JP2017160360A - レーザ剥離用樹脂フィルム、レーザ剥離用ワニス組成物、レーザ剥離用積層体及びレーザ剥離方法 - Google Patents

レーザ剥離用樹脂フィルム、レーザ剥離用ワニス組成物、レーザ剥離用積層体及びレーザ剥離方法 Download PDF

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Rieko FUJISHIRO
理恵子 藤代
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Abstract

【課題】十分に高度な透明性を有し、フィルムの着色を十分に抑制しながらレーザ剥離加工により効率よく基板から剥離することが可能なレーザ剥離用樹脂フィルムを提供する。【解決手段】レーザ剥離用の樹脂フィルムであって、該樹脂フィルムが、式(1)で表される構造の繰り返し単位を含有するポリイミドからなるレーザ剥離用樹脂フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、レーザ剥離用樹脂フィルム、レーザ剥離用ワニス組成物、レーザ剥離用積層体並びにレーザ剥離方法に関する。
近年、マイクロエレクトロニクスの分野においては、量産化の観点から、ガラス等のキャリア基板上に積層された樹脂フィルム(ポリマーレイヤー)をレーザリフトオフ加工(レーザ剥離加工)して製品を製造することが検討されている。例えば、ポリマー上に軽量で頑丈なフレキシブルディスプレイを製造する方法として、ガラス基板(いわゆるキャリア基板)上に積層された樹脂フィルム(ポリマーレイヤー)の上に薄膜トランジスタ等を直接実装した後、レーザリフトオフ加工により、前記ガラス基板から樹脂フィルムを剥離することにより、フレキシブルな樹脂フィルム上に薄膜トランジスタ等が実装されたディスプレイを製造する方法などが知られている。なお、このような樹脂フィルムとしては、ポリイミドからなるフィルムの使用が検討されている(例えば、非特許文献1(2013年6月発行の「LEDs Magazine Japan」の30頁〜32頁に記載された、ラルフ デルムダール著の“マイクロエレクトロニクスにおける大面積レーザリフトオフ加工”)参照)。
一方、ポリイミドの分野においては、芳香族系のテトラカルボン酸二無水物を用いて得られるポリイミドが広く様々な分野に用いられてきた。しかしながら、このような芳香族系のテトラカルボン酸二無水物を用いて得られるポリイミドは着色(黄色〜褐色)があり、透明性が必要とされる用途等への使用は困難であった。そのため、近年では、透明性が十分に高いポリイミドの研究が進められており、例えば、特許文献1(国際公開第2011/099518号)に記載のような特定の一般式で記載される繰り返し単位を有するポリイミドが開発されている。
国際公開第2011/099518号
ラルフ デルムダール、「マイクロエレクトロニクスにおける大面積レーザリフトオフ加工」、LEDs Magazine Japan、2013年6月発行、30頁〜32頁
しかしながら、上記特許文献1には、レーザリフトオフ法(レーザ剥離加工)について何ら記載がない。また、上記特許文献1に記載のポリイミドからなるフィルムをレーザ剥離加工に単に利用した場合には、レーザ剥離加工によりフィルムに着色が発生したり、ショットムラが生じたり、剥離自体ができなかったりする場合があり、レーザ剥離加工において、フィルムの品質を十分に維持したままで効率よく剥離するといった点では必ずしも十分なものではなかった。
本発明は、前記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、十分に高度な透明性を有し、フィルムの着色を十分に抑制しながらレーザ剥離加工により効率よく基板から剥離することが可能なレーザ剥離用樹脂フィルム、そのレーザ剥離用樹脂フィルムを効率よく製造することが可能なレーザ剥離用ワニス組成物、前記レーザ剥離用樹脂フィルムを備える積層体、並びに、その積層体を用いたレーザ剥離方法、を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、レーザ剥離加工に用いる樹脂フィルム(レーザ剥離用の樹脂フィルム)を、下記一般式(1)で表される繰り返し単位のうち、R10の種類が異なる少なくとも2種の繰り返し単位を含有するポリイミドからなるフィルムとし、該ポリイミドに含有される上記一般式(1)で表される繰り返し単位のうちの少なくとも1種を該式(1)中のR10が下記一般式(2)で表される基である繰り返し単位(A)とし、更に、該ポリイミド中の前記繰り返し単位(A)の含有量を全繰り返し単位に対して50〜99モル%とすることにより、フィルムが十分に高度な透明性を有するものとなるばかりか、基板に積層された状態でレーザ剥離加工を行った場合において、フィルムの着色を十分に抑制して品質を十分に維持しながらレーザ剥離加工により効率よく基板から剥離することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のレーザ剥離用樹脂フィルムは、レーザ剥離用の樹脂フィルムであって、
該樹脂フィルムが、下記一般式(1):
[式(1)中、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、R10は炭素数6〜50のアリール基を示し、nは0〜12の整数を示す。]
で表される繰り返し単位のうち、R10の種類が異なる少なくとも2種の繰り返し単位を含有するポリイミドからなるフィルムであり、
該ポリイミドに含有される上記一般式(1)で表される繰り返し単位のうちの少なくとも1種が、該式(1)中のR10が下記一般式(2):
で表される基である繰り返し単位(A)であり、かつ、
該ポリイミド中の前記繰り返し単位(A)の含有量が全繰り返し単位に対して50〜99モル%であること、
を特徴とするものである。
上記本発明のレーザ剥離用樹脂フィルムにおいては、前記ポリイミドが、前記繰り返し単位(A)とともに、
上記一般式(1)で表され、かつ、該式(1)中のR10が下記一般式(3)〜(14):
で表される基のうちのいずれか1種である繰り返し単位(B)を含有すること、
が好ましい。
また、上記本発明のレーザ剥離用樹脂フィルムにおいては、前記樹脂フィルムは波長308nmのレーザ光の吸光度が1以上4未満のものであることが好ましい。
また、上記本発明のレーザ剥離用樹脂フィルムにおいては、前記樹脂フィルムの線膨張係数は30ppm/K以下であることが好ましい。
さらに、上記本発明のレーザ剥離用樹脂フィルムにおいては、前記樹脂フィルムがガラスに対する密着性向上剤を更に含むものであることが好ましい。
本発明のレーザ剥離用ワニス組成物は、レーザ剥離用の樹脂フィルムの製造に用いるレーザ剥離用ワニス組成物であって、
該ワニス組成物は、樹脂成分と溶媒とを含有し、
該樹脂成分が、下記一般式(15):
[式(15)中、R、R、Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、R10は炭素数6〜50のアリール基を示し、nは0〜12の整数を示す。]
で表される繰り返し単位のうち、R10の種類が異なる少なくとも2種の繰り返し単位を含有するポリアミド酸からなり、
該ポリアミド酸に含有される上記一般式(15)で表される繰り返し単位のうちの少なくとも1種が、該式(15)中のR10が下記一般式(2):
で表される基である繰り返し単位(C)であり、かつ、
該ポリアミド酸中の前記繰り返し単位(C)の含有量が全繰り返し単位に対して50〜99モル%であること、
を特徴とするものである。
上記本発明のレーザ剥離用ワニス組成物においては、前記ポリアミド酸が、前記繰り返し単位(A)とともに、
上記一般式(15)で表され、かつ、該式(15)中のR10が下記一般式(3)〜(14):
で表される基のうちのいずれか1種である繰り返し単位(D)を含有すること、
が好ましい。
上記本発明のレーザ剥離用ワニス組成物においては、前記ワニス組成物がガラスに対する密着性向上剤を更に含むことが好ましい。
本発明のレーザ剥離用積層体は、ガラス基板と、該ガラス基板上に積層された上記本発明のレーザ剥離用樹脂フィルムとを備えることを特徴とするものである。
また、本発明のレーザ剥離方法は、上記本発明のレーザ剥離用積層体に対してガラス基板側からレーザ光を照射して、該積層体中のガラス基板から樹脂フィルムを剥離することを特徴とする方法である。
本発明によれば、十分に高度な透明性を有し、フィルムの着色を十分に抑制しながらレーザ剥離加工により効率よく基板から剥離することが可能なレーザ剥離用樹脂フィルム、そのレーザ剥離用樹脂フィルムを効率よく製造することが可能なレーザ剥離用ワニス組成物、前記レーザ剥離用樹脂フィルムを備える積層体、並びに、その積層体を用いたレーザ剥離方法、を提供することが可能となる。
実施例1で得られた樹脂フィルム(ポリイミドフィルム)のIRスペクトルを示すグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
[レーザ剥離用樹脂フィルム]
本発明のレーザ剥離用樹脂フィルムは、レーザ剥離用の樹脂フィルムであって、
該樹脂フィルムが、下記一般式(1):
[式(1)中、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、R10は炭素数6〜50のアリール基を示し、nは0〜12の整数を示す。]
で表される繰り返し単位のうち、R10の種類が異なる少なくとも2種の繰り返し単位を含有するポリイミドからなるフィルムであり、
該ポリイミドに含有される上記一般式(1)で表される繰り返し単位のうちの少なくとも1種が、該式(1)中のR10が下記一般式(2):
で表される基である繰り返し単位(A)であり、かつ、
該ポリイミド中の前記繰り返し単位(A)の含有量が全繰り返し単位に対して50〜99モル%であること、
を特徴とするものである。
なお、本発明のレーザ剥離用樹脂フィルムは、レーザを利用した剥離方法(いわゆるレーザリフトオフ法)に利用されるもの(レーザ剥離用のもの)であり、例えば、基板上に積層された本発明のレーザ剥離用樹脂フィルムに対してレーザを照射した場合には、フィルムの着色を十分に抑制して、フィルムの品質を十分に維持しながら該フィルムを効率よく基板から剥離することが可能である。
このような樹脂フィルムは、上記一般式(1)で表される繰り返し単位のうち、R10の種類が異なる少なくとも2種の繰り返し単位を含有するポリイミドからなるフィルムである。このように、前記樹脂フィルムは、R10の種類が異なる2種以上の上記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むものである。ここで、先ず、上記一般式(1)中のR、R、R、R10及びnについて説明する。
このような一般式(1)中のRとして選択され得るアルキル基は、炭素数が1〜10のアルキル基である。このような炭素数が10を超えると、得られるポリイミドの耐熱性が低下する。また、このようなRとして選択され得るアルキル基の炭素数としては、ポリイミドを製造した際により高度な耐熱性が得られるという観点から、1〜6であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜4であることが更に好ましく、1〜3であることが特に好ましい。また、このようなRとして選択され得るアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
前記一般式(1)中のRとしては、ポリイミドを製造した際により高度な耐熱性が得られるという観点から、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましく、中でも、原料の入手が容易であることや精製がより容易であるという観点から、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基であることがより好ましく、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。また、このような式中の複数のRは精製の容易さ等の観点から、同一のものであることが特に好ましい。
また、このような一般式(1)中のR、Rとして選択され得る炭素数1〜10のアルキル基は、前述のRとして選択され得る炭素数1〜10のアルキル基と同様のものである。このようなR、Rとして選択され得る置換基としては、精製の容易さの観点から、それぞれ独立に、上記置換基の中でも、水素原子、炭素数1〜10(好ましくは1〜6、より好ましくは1〜5、更に好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜3)のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。
また、前記一般式(1)中のnは0〜12の整数を示す。このようなnの値が前記上限を超えると、精製が困難になる。また、このような一般式(1)中のnの数値範囲の上限値は、より精製が容易となるといった観点から、5であることがより好ましく、3であることが特に好ましい。また、このような一般式(1)中のnの数値範囲の下限値は、一般式(1)で表される繰り返し単位を形成する際に用いる原料化合物の安定性の観点、すなわち、より容易にポリイミドを製造するとの観点からは、1であることがより好ましく、2であることが特に好ましい。このように、一般式(1)中のnとしては、2〜3の整数であることが特に好ましい。
さらに、このような一般式(1)中のR10として選択され得るアリール基は、炭素数が6〜50のものであるが、このようなアリール基の炭素数は6〜40であることが好ましく、6〜30であることがより好ましく、12〜20であることが更に好ましい。このような炭素数が前記下限未満では得られるポリイミドの耐熱性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、得られたポリイミドの溶媒に対する溶解性が低下する傾向にある。
また、前記一般式(1)中のR10としては、耐熱性と溶解性のバランスの観点から、下記一般式(16)〜(19):
[式(18)中、R11は、水素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基及びトリフルオロメチル基よりなる群から選択される1種を示し、式(19)中、Qは、式:−O−、−S−、−CO−、−CONH−、−CONH−C−NHCO−、−NHCO−C−CONH−、−SO−、−C(CF−、−C(CH−、−CH−、−O−C−C(CH-C−O−、−O−C−C(CF-C−O−、−O−C−SO-C−O−、−C(CH−C−C(CH−、−O−C−C−O−、−C−、−C14−及び、−O−C−O−で表される基、並びに、下記一般式(20):
(式(20)中、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基及びトリル基のうちのいずれか1種を示し、yは1〜18の整数を示す。)
で表される基からなる群から選択される1種を示す。]
で表される基のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
このような一般式(18)中のR11としては、耐熱性の観点から、水素原子、フッ素原子、メチル基又はエチル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
また、上記一般式(19)中のQとして選択され得る上記一般式(20)で表される基において、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基及びトリル基のうちのいずれか1種である。このようなアルキル基の炭素数が前記上限を超えるとポリイミドフィルムの耐熱性や透明性が低下する傾向にある。このようなRとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、フェニル基、トリル基であることが好ましく、メチル基、エチル基であることがより好ましく、メチル基が更に好ましい。
また、上記一般式(20)中のyは1〜15(より好ましくは3〜12、更に好ましくは5〜10)の整数を示す。このようなyの値が前記下限未満ではポリイミドフィルムの接着性やレーザ剥離性(基板上にフィルムを作成した場合においてレーザ剥離処理を施した場合のフィルムの剥離のしやすさ)が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えるとポリイミドフィルムの耐熱性や透明性が低下する傾向にある。
なお、このような式(19)で表され、且つ、該式(19)中のQが上記一般式(20)で表される基である場合の上記一般式(1)中のR10としては、例えば、下記式(14):
[式(14)中、Meはメチル基であることを示す。]
で表される基が挙げられる。
また、本発明にかかるポリイミドは、前述のように、上記一般式(1)で表される繰り返し単位のうち、R10の種類(前記アリール基の種類)が異なる少なくとも2種の繰り返し単位を含有する。そして、このようなポリイミドに含有される、少なくとも2種の上記一般式(1)で表される繰り返し単位のうちの少なくとも1種は、該式(1)中のR10が上記一般式(2)で表される基である繰り返し単位(A)である(なお、上記一般式(2)で表される基は、前述の一般式(19)で表される基であって該一般式(19)中のQが−CONH−で表される基である場合のうちの一つに相当する。)。
このように、本発明にかかるポリイミドは、上記一般式(1)で表される繰り返し単位の一つとして前記繰り返し単位(A)を必ず含有するが、かかるポリイミドは、前記繰り返し単位(A)ととともに、前記繰り返し単位(A)とはR10の種類(前記アリール基の種類)が異なる、少なくとも1種の上記一般式(1)で表される繰り返し単位を更に含有する必要がある。このような、前記繰り返し単位(A)とはR10の種類(前記アリール基の種類)が異なる、少なくとも1種の上記一般式(1)で表される繰り返し単位としては、R10が上記一般式(2)で表される基以外の基である上記一般式(1)で表される繰り返し単位(前記繰り返し単位(A)以外の一般式(1)で表される繰り返し単位)であればよく、特に制限されるものではないが、レーザ剥離時の着色防止やフィルムの品質維持の観点から、R10が下記一般式(3)〜(14):
で表される基のうちのいずれか1種である繰り返し単位(B)であることが好ましい。
このように、本発明にかかるポリイミドとしては、前記繰り返し単位(A)とともに、前記繰り返し単位(B)を含有するポリイミドが好ましい。なお、繰り返し単位(B)は1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて利用してもよいが、耐熱性や品質安定性の観点から、1種を単独で用いることが好ましい。このように、本発明にかかるポリイミドとしては、耐熱性や品質安定性の観点から、前記繰り返し単位(A)と前記繰り返し単位(B)の1種とを組み合せたものであることがより好ましい。
また、前記繰り返し単位(B)としては、透過率、濁度(HAZE)や黄色度(YI)、位相差(リタデーション)等の光学特性、引張強度、弾性率、破断伸びやガラスとの密着強度等の機械的特性、線膨張係数、ガラス転移温度や分解温度等の熱的特性の観点から、R10が上記一般式(3)〜(14)で表される基のうちのいずれかであることが好ましく、上記一般式(3)、(4)、(5)、(12)、(13)、(14)で表される基のうちのいずれかであることがより好ましく、上記一般式(3)、(4)、(14)で表される基のうちのいずれかであることが更に好ましい。
また、本発明にかかるポリイミドは、本発明の効果を損なわない範囲において、上記一般式(1)で表される繰り返し単位以外の他の繰り返し単位を含有してもよい。このような他の繰り返し単位としてはポリイミドに利用し得る公知の繰り返し単位を適宜利用し得る。また、本発明にかかるポリイミドとしては、より高い効果が得られることから、上記一般式(1)で表される繰り返し単位の含有比率は、全繰り返し単位に対するモル比で97モル%以上であることが好ましく、98モル%以上であることがより好ましく、99モル%以上であることが更に好ましく、100モル%であること(上記一般式(1)で表される繰り返し単位のみからなるものであること)が特に好ましい。
また、本発明にかかるポリイミドとしては、該ポリイミド中の前記繰り返し単位(A)の含有量が全繰り返し単位に対して50〜99モル%である。このような繰り返し単位(A)の含有量が前記下限未満ではレーザ剥離が困難となり、他方、前記上限を超えるとレーザ剥離時に着色やショットムラが生じる。また、同様の観点でより高い効果が得られることから、前記ポリイミド中の前記繰り返し単位(A)の含有量は、全繰り返し単位に対して60〜90モル%であることがより好ましく、70〜80モル%であることが更に好ましい。
また、本発明にかかるポリイミドは、その繰り返し単位として、繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)とを含有する場合、前記繰り返し単位(A)と前記繰り返し単位(B)とのモル比[(A):(B)]は50:50〜99:1であることが好ましく、60:40〜90:10であることがより好ましく、70:30〜80:20であることが更に好ましい。このような繰り返し単位(B)の含有量が前記下限未満ではレーザ剥離が困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとレーザ剥離時に着色やショットムラが生じる傾向にある。
また、本発明にかかるポリイミドにおいては、前記繰り返し単位(A)と前記繰り返し単位(B)とを含有する場合、ポリイミド中の全繰り返し単位に対する前記繰り返し単位(A)と前記繰り返し単位(B)との総量(合計量)は、モル比で、70モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることが更に好ましく、100モル%であること(前記繰り返し単位(A)と前記繰り返し単位(B)のみからなるものであること)が特に好ましい。
さらに、このようなポリイミドからなる樹脂フィルム(本発明のレーザ剥離用樹脂フィルム)においては、ガラスに対する密着性向上剤を更に含むことが好ましい。すなわち、このような樹脂フィルムは、前記ポリイミドと前記密着性向上剤とを含む樹脂組成物からなることが好ましい。このような密着性向上剤を含有することで、レーザ剥離前の段階においては、ガラス基板に対して十分に高度な密着性を示すことが可能となり、レーザ剥離加工前の状態で加工等させる場合等に、特に、剥がれによる破損が生じることをより高度に抑制することができる。一方、このような密着性向上剤により、ガラス基板に対する密着性を向上させても、本発明のレーザ剥離用樹脂フィルムにおいては、いわゆるレーザリフトオフ法により、ガラス基板から効率よく剥離することができる。
このような密着性向上剤としては、ガラスに対する密着性を向上させることが可能なものであればよく、特に制限されるものではないが、シランカップリング剤、シロキサン樹脂、ポリシランが好ましく、シランカップリング剤、シロキサン樹脂がより好ましく、シランカップリング剤が特に好ましい。このような密着性向上剤としては特に制限されず、市販品を適宜利用してもよい。
シランカップリング剤としては、特に限定されないが、シランカップリング剤の好適な例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕プロピルトリメトキシシラン、〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕プロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、N−t−ブチル−3−(3−トリメトキシシリルプロピル)コハク酸イミド、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランのベンズアルデヒド型ケチミン、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明のレーザ剥離用樹脂フィルムが密着性向上剤を更に含む場合においては、密着性向上剤の含有量は、該フィルムを形成するポリイミド100質量部に対して0.01〜50質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましく、0.5〜5質量部であることが更に好ましい。このような密着性向上剤の含有量が前記下限未満では密着性向上の効果が見られない傾向にあり、他方、前記上限を超えると密着性向上剤がポリイミドに混合せずムラや欠陥の原因となる傾向にある。
また、このような樹脂フィルムを形成するポリイミドは、前記密着性向上剤以外にも、ポリイミドフィルムに利用することが可能な公知の他の成分(例えば酸化防止剤、劣化防止剤、表面改質剤、レべリング剤、靱性向上剤、滑剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、可塑剤、難燃剤、ハードコート剤、充填剤(フィラー、タルク、マイカ、アルミナ、シリカ等)、繊維類(ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、金属繊維等)等)を適宜利用してもよい。
また、このような樹脂フィルムを形成する前記ポリイミドとしては、数平均分子量(Mn)がポリスチレン換算で1000〜500000であることが好ましい。また、このようなポリイミドの重量平均分子量(Mw)としては、ポリスチレン換算で1000〜500000であることが好ましい。さらに、このようなポリイミドの分子量分布(Mw/Mn)は1.1〜5.0であることが好ましい。このようなMn、Mw、Mw/Mnが前記下限未満ではフィルムの物性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると粘度が100000cpsを超え、フィルムの表面平滑性が悪化する傾向にある。なお、このようなポリイミドの分子量(Mw又はMn)や分子量の分布(Mw/Mn)は、測定装置としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用い、測定したデータをポリスチレンで換算して求めることができる。なお、このようなポリイミドにおいては、分子量の測定が困難な場合には、そのポリイミドの製造に用いるポリアミド酸の粘度に基づいて、分子量等を類推して、用途等に応じたポリイミドを選別して使用してもよい。
また、このようなフィルムを形成する前記ポリイミドとしては、ガラス転移温度が200℃以上であることが好ましく、250℃〜500℃であることが更に好ましく、300℃〜450℃とすることが特に好ましい。このようなガラス転移温度が前記下限未満では、耐熱性の観点から目的の用途(ガラス代替や有機EL基板など)に使用不能となる傾向にある。このようなポリイミドのガラス転移温度は、測定装置として熱機械的分析装置(例えば、リガク製の商品名「TMA8311」)を使用し、昇温速度:5℃/分の条件で、窒素雰囲気下、ペネトレーションモードにより30℃から550℃の間を走査することにより求められる値(いわゆるペネトレーション(針入れ)法による測定値)を採用することができる。なお、以下の軟化温度はガラス転移温度と同一の測定条件で同時測定が可能である(ガラス転移温度が検出される場合は軟化温度の前にピークが出現する)。
また、このようなポリイミドとしては、軟化温度が300℃以上のものが好ましく、350〜550℃のものがより好ましい。このような軟化温度が前記下限未満では十分な耐熱性を得ることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとそのような特性を有するポリイミドを製造することが困難となる傾向にある。なお、このような軟化温度は、熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8311」)を使用して、ペネトレーションモードにより測定することができる(いわゆるペネトレーション(針入れ)法により測定できる)。また、測定に際しては、試料のサイズ(縦、横、厚み等)は測定値に影響するものではないため、用いる熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)の石英パンに装着可能なサイズに、試料のサイズを適宜調整すればよい。なお、このような軟化温度の測定方法としては、例えば、測定試料として縦5mm、横5mm、厚み13μmの大きさのポリイミドからなるフィルムを準備し、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8311」)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度5℃/分の条件を採用して、30℃〜550℃の温度範囲の条件でフィルムに透明石英製ピン(先端の直径:0.5mm)を針入れすることにより測定する方法(いわゆるペネトレーション(針入れ)法)を採用してもよい。
さらに、このようなポリイミドとしては、5%重量減少温度(Td5%)が400℃以上のものが好ましく、450〜550℃のものがより好ましい。このような5%重量減少温度が前記下限未満では十分な耐熱性が達成困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、そのような特性を有するポリイミドを製造することが困難となる傾向にある。なお、このような5%重量減少温度は、窒素ガス雰囲気下、窒素ガスを流しながら、走査温度を30℃〜550℃に設定して、昇温速度:10℃/min.の条件で加熱して、用いた試料の重量が5%減少する温度を測定することにより求めることができる。また、このような測定には、測定装置として、例えば、熱重量分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の「TG/DTA220」)を利用することができる。
また、このような本発明にかかる前記樹脂フィルムとしては、波長308nmのレーザ光の吸光度が1以上4未満(より好ましくは1.5以上3.99以下、更に好ましくは2.0以上3.95以下、特に好ましくは2.5以上3.9以下)のものであることが好ましい。このような波長308nmのレーザ光の吸光度が前記下限未満では308nmのレーザ光が吸収されずレーザ剥離が困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると308nmのレーザ光が吸収され過ぎてフィルムが白濁や変色したりショットムラが発生する傾向にある。なお、このようなレーザ光の吸光度は、測定試料として縦70mm、横50mm、厚み13μmの大きさのポリイミドを準備し、測定装置として分光光度計(好ましくは、UV−VIS SPECTRO PHOTO METER[SHIMADZU製の商品名「UV−2550」])を利用して、波長:280〜800nmの光に対する前記試料の吸光度を測定し、波長308nmの光に対する吸光度を求めることで測定できる。
また、このような本発明にかかる前記樹脂フィルム(ポリイミドからなるフィルム)としては、線膨張係数が30ppm/K以下であることが好ましく、0〜20ppm/Kであることがより好ましく、5〜15ppm/Kであることが更に好ましい。このような線膨張係数が前記上限を超えると、金属や無機物と組合せて複合化した場合に熱履歴で剥がれが生じ易くなる傾向にある。また、前記線膨張係数が、前記下限未満では溶解性の低下やフィルム特性の低下が生じる傾向にある。このようなポリイミドの線膨張係数の測定方法としては、縦20mm、横5mmの大きさのポリイミドフィルム(かかるフィルムの厚みは測定値に影響するものではないため特に制限されるものではないが、10〜15μmとすることが好ましい。)を形成して測定試料とし、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)を利用して、窒素雰囲気下、引張りモード(49mN)、昇温速度5℃/分の条件を採用して、50℃〜200℃における前記試料の縦方向の長さの変化を測定して、50℃〜200℃の温度範囲における1℃あたりの長さの変化の平均値を求めることにより得られる値を採用する。
また、本発明のレーザ剥離用樹脂フィルム(前記ポリイミドからなるフィルム)としては、より高度な透明性を得るといった観点から、全光線透過率が80%以上(更に好ましくは85%以上、特に好ましくは87%以上)であるものがより好ましい。また、このようなポリイミドとしては、より高度な透明性を得るといった観点から、ヘイズ(濁度)が5〜0(更に好ましくは4〜0、特に好ましくは3〜0)であるものがより好ましい。さらに、このようなポリイミドとしては、より高度な無色透明性を得るといった観点から、黄色度(YI)が6〜0(更に好ましくは5〜0、特に好ましくは4〜0、最も好ましくは3〜0)であるものがより好ましい。このような全光線透過率、ヘイズ(濁度)及び黄色度(YI)は、ポリイミドの種類等を適宜選択することにより容易に達成することができる。なお、このような全光線透過率、ヘイズ(濁度)及び黄色度(YI)は、測定装置として、日本電色工業株式会社製の商品名「ヘーズメーターNDH−5000」又は日本電色工業株式会社製の商品名「分光色彩計SD6000」を用いて(日本電色工業株式会社製の商品名「ヘーズメーターNDH−5000」で全光線透過率とヘイズとを測定し、日本電色工業株式会社製の商品名「分光色彩計SD6000」で黄色度を測定する。)、厚みが10〜15μmのポリイミドからなるフィルムを測定用の試料として用いて測定した値を採用することができる。なお、全光線透過率、ヘイズ(濁度)及び黄色度(YI)は、厚みが10〜15μmのポリイミドからなるフィルムであれば、厚みが十分に薄く、測定値に影響がでないことから、同一のポリイミドからは同一の値を測定できる。そのため、全光線透過率、ヘイズ(濁度)及び黄色度(YI)の測定には、前記範囲の厚みを有するフィルムを利用すればよい。また、測定試料の縦、横の大きさは、前記測定装置の測定部位に配置できるサイズであればよく、縦、横の大きさは適宜変更してもよい。なお、このような全光線透過率は、JIS K7361−1(1997年発行)に準拠した測定を行うことにより求め、ヘイズ(濁度)は、JIS K7136(2000年発行)に準拠した測定を行うことにより求め、黄色度(YI)はASTM E313−05(2005年発行)に準拠した測定を行うことにより求める。
また、本発明のレーザ剥離用樹脂フィルムの形状は特に制限されず、用途に応じて適宜その設計を変更することができる。また、このような本発明のレーザ剥離用樹脂フィルムの厚みも特に制限されるものではないが、マイクロエレクトロニクスの分野(高輝度のLEDやフレキシブルディスプレイ等等)において基板として利用するといった観点からは、厚みが5〜200μmであることが好ましく、10〜100μmであることがより好ましい。このような厚みが前記下限未満では薄すぎて強度が弱く取り扱いが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると均一な膜を作製するのが困難となる傾向にある。
このような本発明のレーザ剥離用樹脂フィルムは、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ、タッチパネル、フレキシブルディスプレイパネル、高輝度LEDウエハ、極薄シリコンウエハ、三次元半導体パッケージ等のマイクロエレクトロニクス用の基板(基板材料)として非常に有用である。特に、本発明のレーザ剥離用樹脂フィルムは、上述のようなポリイミドからなり、かかるポリイミドが基本的に透明性が高くかつ耐熱性に優れ、かつ低照射エネルギーでレーザ剥離が可能であるため、マイクロエレクトロニクスの基板(LED、高集積半導体デバイス、フレキシブル・ディスプレイ等の基板)に用いた場合、製品の量産時に高い処理能力と高い歩留まりを達成できるばかりか、より低コストでガラス等のキャリア基板から樹脂フィルムを剥離することができ、経済性もより高度なものとなる。
このような本発明のレーザ剥離用樹脂フィルムは、後述の本発明のレーザ剥離用ワニス組成物を利用することで効率よく製造することができる。このような本発明のレーザ剥離用樹脂フィルムを製造するための好適な方法は、後述の本発明のレーザ剥離用積層体を製造するための方法と併せて説明する。以上、本発明のレーザ剥離用樹脂フィルムについて説明したが、以下、本発明のレーザ剥離用ワニス組成物について説明する。
[レーザ剥離用ワニス組成物]
本発明のレーザ剥離用ワニス組成物は、レーザ剥離用の樹脂フィルムの製造に用いるレーザ剥離用ワニス組成物であって、
該ワニス組成物は、樹脂成分と溶媒とを含有し、
該樹脂成分が、下記一般式(15):
[式(15)中、R、R、Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、R10は炭素数6〜50のアリール基を示し、nは0〜12の整数を示す。]
で表される繰り返し単位のうち、R10の種類が異なる少なくとも2種の繰り返し単位を含有するポリアミド酸からなり、
該ポリアミド酸に含有される上記一般式(15)で表される繰り返し単位のうちの少なくとも1種が、該式(15)中のR10が下記一般式(2):
で表される基である繰り返し単位(C)であり、かつ、
該ポリアミド酸中の前記繰り返し単位(C)の含有量が全繰り返し単位に対して50〜99モル%であること、
を特徴とするものである。
このように、本発明のレーザ剥離用ワニス組成物は樹脂成分と溶媒とを含有する。このような樹脂成分は、上記一般式(15)で表される繰り返し単位のうち、R10の種類(前記アリール基の種類)が異なる少なくとも2種の繰り返し単位を含有するポリアミド酸からなる。なお、上記一般式(15)で表される繰り返し単位中のR、R、R、R10及びnは、上記一般式(1)で表される繰り返し単位中のR、R、R、R10及びnと同義である(それらの好適なものも同様のものである。)。
また、本発明にかかるポリアミド酸に含有される、R10の種類(前記アリール基の種類)が異なる少なくとも2種の上記一般式(15)で表される繰り返し単位のうち、少なくとも1種は、該式(15)中のR10が上記一般式(2)で表される基である繰り返し単位(C)である(なお、上記一般式(2)で表される基は、上記の一般式(19)で表される基であって該一般式(19)中のQが−CONH−で表される基である場合のうちの一つに相当する。)。
このように、本発明にかかるポリアミド酸は、上記一般式(15)で表される繰り返し単位の一つとして前記繰り返し単位(C)を必ず含有するが、かかるポリアミド酸は、前記繰り返し単位(C)とはR10の種類(前記アリール基の種類)が異なる、少なくとも1種の上記一般式(15)で表される繰り返し単位を更に含有する必要がある。このような前記繰り返し単位(C)とはR10の種類(前記アリール基の種類)が異なる、少なくとも1種の上記一般式(15)で表される繰り返し単位としては、R10が上記一般式(2)で表される基以外の基である上記一般式(15)で表される繰り返し単位(前記繰り返し単位(C)以外の一般式(15)で表される繰り返し単位)であればよく、特に制限されるものではないが、上記一般式(15)で表され、かつ、該式(15)中のR10が上記一般式(3)〜(14)で表される基のうちのいずれか1種である、繰り返し単位(D)であることが好ましい。
このように、本発明にかかるポリアミド酸としては、前記繰り返し単位(C)とともに、前記繰り返し単位(D)を含有するポリアミド酸であることが好ましい。なお、繰り返し単位(D)は1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて利用してもよいが、耐熱性や品質安定性の観点から、1種を単独で用いることが好ましい。このように、本発明にかかるポリアミド酸としては、耐熱性や品質安定性の観点から、前記繰り返し単位(C)と前記繰り返し単位(D)の1種とを組み合せたものであることがより好ましい。
また、前記繰り返し単位(D)としては、透過率、濁度(HAZE)や黄色度(YI)、位相差(リタデーション)等の光学特性、引張強度、弾性率、破断伸びやガラスとの密着強度等の機械的特性、線膨張係数、ガラス転移温度や分解温度等の熱的特性の観点から、R10が上記一般式(3)〜(14)で表される基のうちのいずれかであることが好ましく、上記一般式(3)、(4)、(5)、(12)、(13)、(14)で表される基のうちのいずれかであることがより好ましく、上記一般式(3)、(4)、(14)で表される基のうちのいずれかであることが更に好ましい。
また、本発明にかかるポリアミド酸は、本発明の効果を損なわない範囲において、上記一般式(15)で表される繰り返し単位以外の他の繰り返し単位を含有してもよい。このような他の繰り返し単位としてはポリアミド酸に利用し得る公知の繰り返し単位を適宜利用し得る。また、本発明にかかるポリアミド酸としては、より高い効果が得られることから、上記一般式(15)で表される繰り返し単位の含有比率は、全繰り返し単位に対するモル比で97モル%以上であることが好ましく、98モル%以上であることがより好ましく、99モル%以上であることが更に好ましく、100モル%であること(上記一般式(15)で表される繰り返し単位のみからなるものであること)が特に好ましい。
また、本発明にかかるポリアミド酸としては、該ポリアミド酸中の前記繰り返し単位(C)の含有量が全繰り返し単位に対して50〜99モル%である。このような繰り返し単位(C)の含有量が前記下限未満ではレーザ剥離が困難となり、他方、前記上限を超えるとレーザ剥離時に着色やショットムラが生じる。また、同様の観点でより高い効果が得られることから、前記ポリアミド酸中の前記繰り返し単位(C)の含有量は、全繰り返し単位に対して60〜90モル%であることがより好ましく、70〜80モル%であることが更に好ましい。
また、本発明にかかるポリアミド酸が、その繰り返し単位として、繰り返し単位(C)と繰り返し単位(D)とを含有する場合、繰り返し単位(C)と繰り返し単位(D)とのモル比[(C):(D)]は50:50〜99:1であることが好ましく、60:40〜90:10であることがより好ましく、70:30〜80:20であることが更に好ましい。このような繰り返し単位(D)の含有量が前記下限未満ではレーザ剥離が困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとレーザ剥離時に着色やショットムラが生じる傾向にある。
また、このようなポリアミド酸としては、固有粘度[η]が0.05〜3.0dL/gであることが好ましく、0.1〜2.0dL/gであることがより好ましい。このような固有粘度[η]が0.05dL/gより小さいと、これを用いてフィルム状のポリイミドを製造した際に、得られるフィルムが脆くなる傾向にあり、他方、3.0dL/gを超えると、粘度が高すぎて加工性が低下し、例えばフィルムを製造した場合に均一なフィルムを得ることが困難となる。また、このような固有粘度[η]は、以下のようにして測定することができる。すなわち、先ず、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドを用い、そのN,N−ジメチルアセトアミド中に前記ポリアミド酸を濃度が0.5g/dLとなるようにして溶解させて、測定試料(溶液)を得る。次に、前記測定試料を用いて、30℃の温度条件下において動粘度計を用いて、前記測定試料の粘度を測定し、求められた値を固有粘度[η]として採用する。なお、このような動粘度計としては、離合社製の自動粘度測定装置(商品名「VMC−252」)を用いる。
また、本発明のワニス組成物は、前記樹脂成分とともに溶媒を含有する。このような溶媒としては、前記樹脂成分を溶解することが可能な有機溶媒であればよく、特に制限されるものではない。このような有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、ピリジンなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒;テトラハイドロフラン、ジオキサン、セロソルブ、グライムなどのエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;などが挙げられる。このような有機溶媒は、1種を単独であるいは2種以上を混合して使用してもよい。
また、本発明のレーザ剥離用ワニス組成物は、ガラスに対する密着性向上剤を更に含むことが好ましい。このような密着性向上剤を含有することで、レーザ剥離用ワニス組成物を用いて、ガラス基板上にフィルムを形成した場合に、フィルムのガラス基板に対する密着性を向上させることが可能となり、その状態で加工等させる場合に、剥がれや破損が生じることをより高度に抑制することができる。一方、このような密着性向上剤により、ガラス基板に対する密着性を向上させても、本発明のレーザ剥離用ワニス組成物を用いてガラス基板上にフィルムを形成した場合には、そのフィルムが、いわゆるレーザリフトオフ法によりガラス基板から効率よく剥離することが可能である。
このような密着性向上剤としては、ガラスに対する密着性を向上させることが可能なものであればよく、特に制限されるものではないが、シランカップリング剤、シロキサン樹脂、ポリシランが好ましく、シランカップリング剤、シロキサン樹脂がより好ましく、シランカップリング剤が特に好ましい。
また、本発明のレーザ剥離用ワニス組成物が密着性向上剤を更に含む場合においては、密着性向上剤の含有量は、前記ポリアミド酸100質量部に対して0.01〜50質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましく、0.5〜5質量部であることが更に好ましい。このような密着性向上剤の含有量が前記下限未満では密着性向上の効果が見られない傾向にあり、他方、前記上限を超えると密着性向上剤がポリイミドに混合せずムラや欠陥の原因となる傾向にある。
なお、このような本発明のレーザ剥離用ワニス組成物を製造するための方法としては、特に制限されるものではないが、以下のような方法を好適に採用することができる。すなわち、本発明のレーザ剥離用ワニス組成物を製造するための方法としては、溶媒中において、下記一般式(21):
[式(21)中、R、R、R、nは、それぞれ、上記一般式(1)中のR、R、R、nと同義である(その好適なものも同様のものである。)。]
で表されるテトラカルボン酸二無水物と、後述の芳香族ジアミンの混合物とを反応せしめることでポリアミド酸を形成することにより、前記溶媒とポリアミド酸とを含む組成物(樹脂溶液:レーザ剥離用ワニス組成物)を得ることにより製造する方法を好適に採用することができる(なお、このような方法に利用する芳香族ジアミンの混合物は、R10の種類が異なる少なくとも2種の下記一般式(22):
N−R10−NH (22)
[式(22)中、R10は上記一般式(1)中のR10と同義である(その好適なものも同様のものである。)。]
で表される芳香族ジアミンからなり、前記芳香族ジアミンのうちの少なくとも1種が、R10が上記一般式(2)で表される基である4,4’−ジアミノベンズアニリド(DABAN)であり、かつ、該4,4’−ジアミノベンズアニリドの含有量が、芳香族ジアミンの総量に対するモル比が50〜99モル%のものである。すなわち、このような芳香族ジアミンの混合物は、4,4’−ジアミノベンズアニリドと、4,4’−ジアミノベンズアニリド(DABAN)以外の上記一般式(22)で表される芳香族ジアミンの少なくとも1種と、の混合物である。)。
このような方法に利用する上記一般式(21)で表されるテトラカルボン酸二無水物を製造するための方法は特に制限されず、公知の方法(例えば、国際公開第2011/099518号に記載の方法)を適宜採用することができる。
また、このような方法に利用する芳香族ジアミンの混合物は、上述のように、4,4’−ジアミノベンズアニリドと、該4,4’−ジアミノベンズアニリド以外の上記一般式(22)で表される芳香族ジアミンの少なくとも1種の混合物である。このような4,4’−ジアミノベンズアニリド(DABAN)以外の少なくとも1種の上記一般式(22)で表される芳香族ジアミンとしては、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、3,3’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、p−ジアミノベンゼン、m−ジアミノベンゼン、o−ジアミノベンゼン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルビフェニル,3,3’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、2,6−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、3,4’−ジアミノベンズアニリド、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、o−トリジンスルホン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’’ −ジアミノ−p−ターフェニル、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、1,4-ビス−N,N‘−(4’-アミノフェニル)テレフタルアミド、N,N‘−ビス(4−アミノベンゾイル)−p−フェニレンジアミン、両末端アミノ変性シリコーンオイル(信越シリコーン株式会社製の商品名「X−22−9409」「X−22−1660B−3」等が挙げられる。なお、このように、4,4’−ジアミノベンズアニリド(DABAN)と組み合わせて利用する前記芳香族ジアミンは、上述の本発明のレーザ剥離用ワニス組成物における繰り返し単位の条件(設計)を満たすように、上記一般式(22)で表される芳香族ジアミンの中から適宜選択して用いればよい(なお、一般式(15)で表される繰り返し単位のR10の部分は、利用した上記一般式(22)で表される芳香族ジアミン(4,4’−ジアミノベンズアニリドを含む。)のR10に由来した基となる。
また、4,4’−ジアミノベンズアニリド以外の上記一般式(22)で表される芳香族ジアミンとしては、R10が上記一般式(3)〜(14)で表される基のうちのいずれか1種である、芳香族ジアミンが好ましい。
また、このような方法に利用する芳香族ジアミンは、4,4’−ジアミノベンズアニリドと、4,4’−ジアミノベンズアニリド以外の上記一般式(22)で表される芳香族ジアミンの少なくとも1種との混合物であるが、このような混合物中において、4,4’−ジアミノベンズアニリドの含有量は50〜99モル%である。このような含有量が前記下限未満の場合及び上記上限を超えた場合にはいずれも、形成されるポリアミド酸において繰り返し単位(C)の含有量が50〜99モル%とならなくなり、上記本発明のレーザ剥離用ワニス組成物を製造することができなくなる。このように、4,4’−ジアミノベンズアニリドの含有量を調整することで、形成されるポリアミド酸中の繰り返し単位(C)の含有量を所望の範囲に調整することができることから、目的とする設計に応じて、上記範囲内で全芳香族ジアミン中の4,4’−ジアミノベンズアニリドの含有量を適宜調整することで、所望の設計の上記本発明のレーザ剥離用ワニス組成物を形成することができる。なお、4,4’−ジアミノベンズアニリド以外の上記一般式(22)で表される芳香族ジアミンの含有量も、目的とするポリアミド酸の設計に応じて、1〜50モル%の範囲で適宜調整すればよい。
また、このような方法に利用する溶媒としては、上記記一般式(21)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、上述の芳香族ジアミンとを反応させる際に利用することが可能なものであればよく、特に制限されないが、前記テトラカルボン酸二無水物と上述の芳香族ジアミンの双方を溶解することが可能なものを好適に利用することができる。また、このような溶媒としては、上記本発明のレーザ剥離用ワニス組成物中の溶媒として説明したものを好適に利用することができる。
また、このような方法において、溶媒中、上記記一般式(21)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、上述の芳香族ジアミンとを反応させる方法としては、これらの原料化合物を利用する以外は、ポリアミド酸を製造するための方法として公知の方法(国際公開第2011/099518に記載の方法、国際公開第2013/021942に記載の方法)を適宜利用することができる。このように、上記テトラカルボン酸二無水物と、上述の芳香族ジアミンとを反応させる際の条件としては、公知の条件を適宜採用すればよく、例えば、前記溶媒と、前記テトラカルボン酸二無水物と、前記芳香族ジアミン(2種以上の混合物)とを含有する混合液を準備し、大気圧、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性雰囲気の条件下、0〜50℃の温度条件下において、0.5〜24時間撹拌することにより、これらを反応させてポリアミド酸を形成する方法を採用してもよい。
このようにしてポリアミド酸を形成することにより、溶媒と、前記ポリアミド酸とを含有する上記本発明のレーザ剥離用ワニス組成物を得ることができる。なお、最終的に得られるレーザ剥離用ワニス組成物に、ガラスに対する密着性向上剤を更に含有させる場合には、ポリアミド酸を形成させる前又は後のいずれかの段階において、溶媒中に前記密着性向上剤を添加すればよい。また、このようにして得られたポリアミド酸は、そのまま(溶媒中で反応させた場合においてその溶媒中に存在する状態でそのまま)或いは単離した後に再度溶媒に溶解させて、上記本発明のレーザ剥離用ワニス組成物としてもよい。以上、本発明のレーザ剥離用ワニス組成物について説明したが、以下、本発明のレーザ剥離用積層体について説明する。
[レーザ剥離用積層体]
本発明のレーザ剥離用積層体は、ガラス基板と、該ガラス基板上に積層された上記本発明のレーザ剥離用樹脂フィルムとを備えるものである。
このようなガラス基板としては、レーザリフトオフ法に利用される公知のガラス基板を適宜利用できる。また、このようなガラス基板の形状は、特に制限されず、最終的な製品等の目的の設計に応じて適宜変更すればよい。このようなガラス基板の厚みも特に制限されないが、マイクロエレクトロニクスの分野において、加工時に、いわゆるキャリア基板等として利用するといった観点からは、厚みが20〜2000μmであることが好ましく、100〜1000μmであることがより好ましい。
また、本発明のレーザ剥離用積層体においては、前記ガラス基板上に、上記本発明のレーザ剥離用樹脂フィルムが積層されている。このような本発明のレーザ剥離用樹脂フィルムは透明性が十分に高いものである。そして、このようにガラス基板上に積層された本発明のレーザ剥離用樹脂フィルムに、ガラス基板側からレーザ光を照射することでフィルムの着色を十分に抑制しながら効率よく基板から樹脂フィルムを剥離することが可能である。
このような本発明のレーザ剥離用樹脂フィルムの厚みも特に制限されるものではないが、マイクロエレクトロニクスの分野(高輝度のLEDやフレキシブルディスプレイ等等)において基板として利用するといった観点からは、厚みが5〜200μmであることが好ましく、10〜100μmであることがより好ましい。このような厚みが前記下限未満では薄すぎて強度が弱く取り扱いが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると均一な膜を作製するのが困難となる傾向にある。
このような本発明のレーザ剥離用積層体は、これを利用して、その樹脂フィルム面上(レーザ剥離用樹脂フィルムの表面上)に、例えば、薄膜トランジスタを直接実装した後、ガラス基板と前記樹脂フィルムとの界面において、ガラス基板を剥離することで、フレキシブルな樹脂フィルムからなる基板上に薄膜トランジスタが実装された、フレキシブルなディスプレイ材料を効率よく得ることができる。なお、上記レーザ剥離用樹脂フィルムは、レーザ剥離後においても透明性が十分に高く、着色も十分に抑制されているため、特に基板に透明性が必要となる分野に用いる基板等に有用である。
また、このような本発明のレーザ剥離用積層体を製造するための方法としては、例えば、以下の方法を好適に利用できる。すなわち、このようなレーザ剥離用積層体の好適な製造方法は、ガラス基板上に上記本発明のレーザ剥離用ワニス組成物を塗布して、レーザ剥離用ワニス組成物からなる塗膜を形成した後、該塗膜から溶媒を除去し、該塗膜中のポリアミド酸をイミド化することにより、ガラス基板上にポリイミドからなる樹脂フィルム(上記レーザ剥離用樹脂フィルム)を積層することにより、ガラス基板と、該ガラス基板上に積層された上記本発明のレーザ剥離用樹脂フィルムとを備える本発明のレーザ剥離用積層体を得る方法を採用することが好ましい。
このような方法に用いるガラス基板は、本発明のレーザ剥離用積層体中のガラス基板として説明したものと同様のものである。また、前記ガラス基板上に上記本発明のレーザ剥離用ワニス組成物を塗布する方法(塗布方法)としては特に制限されず、公知の方法(キャスト法など)を適宜採用することができる。また、このようなレーザ剥離用ワニス組成物の塗布により形成される塗膜の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜設計を変更すればよい。
また、前記レーザ剥離用ワニス組成物からなる塗膜から溶媒を除去する方法も特に制限されず、公知の方法を適宜利用でき、例えば、溶媒の種類に応じて、温度条件を0〜100℃(より好ましくは20〜80℃)として0.1〜10時間程度加熱する方法を適宜採用することができる。また、このようにして溶媒を除去した後にポリアミド酸をイミド化する方法も特に制限されず、公知のポリイミドの製造方法(国際公開第2011/099518に記載の方法、国際公開第2013/021942に記載の方法)において採用されているイミド化の方法(例えば、前記ポリアミド酸を60〜450℃(より好ましくは100〜400℃、更に好ましくは150〜350℃、特に好ましくは200℃〜300℃)に加熱してイミド化する方法等)を適宜採用することができる。
このようにして、上記本発明のレーザ剥離用ワニス組成物を用いて塗膜を形成し、溶媒を除去し、塗膜中のポリアミド酸をイミド化(塗膜を加熱により硬化)させることにより、効率よく上記本発明のレーザ剥離用樹脂フィルムを製造することができる。また、上述のようにレーザ剥離用樹脂フィルムを製造した場合には、上記本発明のレーザ剥離用ワニス組成物を用いて、ガラス基板に上記本発明のレーザ剥離用樹脂フィルムを効率よく積層することが可能であるため、これにより上記本発明のレーザ剥離用積層体を効率よく製造することも可能となる。以上、本発明のレーザ剥離用積層体について説明したが、以下、本発明のレーザ剥離方法について説明する。
[レーザ剥離方法]
本発明のレーザ剥離方法は、上記本発明のレーザ剥離用積層体に対してガラス基板側からレーザ光を照射して、該積層体中のガラス基板から樹脂フィルムを剥離することを特徴とする方法である。
このようなレーザ光の照射方法としては特に制限されず、公知の方法(いわゆるレーザリフトオフ(LLO)法として利用し得る公知の方法)を適宜利用することができる。また、このようなレーザ剥離方法(レーザリフトオフ方法)において利用することが可能なレーザ照射装置(レーザ源)としては、特に制限されるものではなく、レーザリフトオフ(LLO)法に利用可能な公知のレーザ照射装置(レーザ源)を適宜利用することができるが、デリケートな構造に損傷を与えずに広い面積を一度に効率よく加工するという観点から、波長308nmのエキシマレーザの発振器(レーザ発振器)を利用することが好ましい。
また、レーザ光を照射に際しては、レーザ光の照射条件は特に制限されず、公知の条件を適宜採用することができる。また、レーザー光の照射に際して、パルス幅を10〜40ns(より好ましくは20〜30ns)とすることが好ましく、繰返し周波数を10〜500Hz(より好ましくは20〜200Hz)とすることが好ましく、照射エネルギー密度を10〜800mJ/cm(より好ましくは50〜400mJ/cm)とすることが好ましく、最大パルスエネルギーを10〜800mJ/pulse(より好ましくは50〜400mJ/pulse)とすることが好ましい。
また、レーザー光の照射時のレーザの照射形状は特に制限されないが、ラインビーム、正方形ビーム、長方形ビームが好ましく、ラインビームであることがより好ましい。また、レーザ光の照射領域を移動させながらレーザを照射する場合において、照射領域の重なり率(オーバーラップ率:レーザ光の照射ごとに移動させながらレーザを照射する場合において、各レーザ光の照射ごとに重なっている照射面積の比率)は、照射するレーザの出力等によっても異なるものではあるが、5〜95%とすることが好ましく、50〜90%とすることがより好ましい。このようなオーバーラップ率が前記下限未満では着色したり白濁したりショットムラが生じたりする傾向にあり、他方、前記上限を超えると照射エネルギーを低めることが出来ず着色するとともに生産効率が落ちる傾向にある。
このようにして、上記本発明のレーザ剥離用積層体に対してガラス基板側からレーザ光を照射することにより、該積層体中のガラス基板から樹脂フィルム(レーザ剥離用樹脂フィルム)を効率よく剥離することができる。そのため、例えば、上記本発明のレーザ剥離用積層体の樹脂フィルム面上に薄膜トランジスタを直接実装した後、本発明のレーザ剥離方法を利用して、ガラス基板と前記樹脂フィルムとの界面において剥離することで、フレキシブルな樹脂フィルム(レーザ剥離用樹脂フィルム)からなる基板上に薄膜トランジスタが実装された、フレキシブルなディスプレイ材料を効率よく得ることができる。このように、上記本発明のレーザ剥離用積層体の樹脂フィルム面上(レーザ剥離用樹脂フィルムの表面上)に、目的に応じて構造体(例えば、薄膜トランジスタ、ITO膜、タッチパネル素子、カラーフィルター、有機EL素子、液晶ディスプレイ素子等)を適宜積層した後、そのような構造体が積層された上記本発明のレーザ剥離用積層体に対して、本発明のレーザ剥離方法を利用して、ガラス基板から前記樹脂フィルム(レーザ剥離用樹脂フィルム)を剥離することで、レーザ剥離用樹脂フィルムを基板とした各種装置(有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ、タッチパネル、フレキシブルディスプレイパネル、高輝度LEDウエハ、極薄シリコンウエハ、三次元半導体パッケージ等)を効率よく製造することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<テトラカルボン酸二無水物の準備工程>
国際公開第2011/099518号の合成例1、実施例1及び実施例2に記載された方法に準拠して、下記一般式(I):
で表されるテトラカルボン酸二無水物(CpODA:ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物)を準備した。
<ワニス組成物の調製工程>
30mlの三口フラスコをヒートガンで加熱して十分に乾燥させた。次に、十分に乾燥させた前記三口フラスコ内の雰囲気ガスを窒素で置換し、前記三口フラスコ内を窒素雰囲気とした。次いで、芳香族ジアミンとして、4,4’−ジアミノベンズアニリド0.1636g(0.72mmol、日本純良薬品株式会社製:DABAN、下記一般式(A):
で表される化合物)と、p−フェニレンジアミン0.0195g(0.18mmol:Aldrich製:PPD:下記一般式(B):
で表される化合物)の混合物(DABANとPPDのモル比([DABAN]:[PPD])が80:20)を準備し、前記三口フラスコ内に、該芳香族ジアミンの混合物を添加した後、更に、N,N−ジメチルアセトアミドを2.7g添加して、撹拌することにより、前記N,N−ジメチルアセトアミド中に前記芳香族ジアミン(DABANとPPDの混合物)を溶解させて溶解液を得た。
次に、前記溶解液を含有する三口フラスコ内に、窒素雰囲気下、上記一般式(I)で表される化合物(CpODA)を0.3459g(0.90mmol)添加した後、窒素雰囲気下、室温(25℃)で12時間撹拌して、溶媒中においてポリアミド酸を形成することにより、樹脂成分(ポリアミド酸)と溶媒とを含有するワニス組成物を得た。なお、このようなワニス組成物の調製に用いた材料やその比率等を表1に示す。
なお、かかるワニス組成物(ポリアミド酸のN,N−ジメチルアセトアミド溶液:ポリアミド酸溶液)の一部を利用して、組成物中に形成されたポリアミド酸の固有粘度[η]を測定した。すなわち、ポリアミド酸の濃度が0.5g/dLとなるN,N−ジメチルアセトアミド溶液を調製して測定試料とし、離合社製の自動粘度測定装置(商品名「VMC−252」)を用い、30℃の温度条件下においてポリアミド酸の固有粘度[η]を測定したところ、ポリアミド酸の固有粘度[η]は0.72dL/gであった。
<積層体の調製工程>
ガラス基板として無アルカリガラス(コーニング社製の商品名「イーグルXG」、縦:100mm、横:100mm、厚み:0.7mm、波長308nmの光の透過率:69%)を準備し、上述のようにして得られたワニス組成物を、前記ガラス基板の表面上に、加熱硬化後の塗膜の厚みが13μmとなるようにスピンコートして、前記ガラス基板上にワニス組成物の塗膜を形成した。その後、前記塗膜の形成されたガラス基板を60℃のホットプレート上に載せて2時間静置して、前記塗膜から溶媒を蒸発させて除去した(溶媒除去処理)。このような溶媒除去処理を施した後、前記塗膜の形成されたガラス基板を3L/分の流量で窒素が流れているイナートオーブンに投入し、イナートオーブン内で、窒素雰囲気下、80℃の温度条件で0.5時間静置した後、300℃の温度条件で0.5時間加熱し、更に370℃の温度条件(最終加熱温度)で0.5時間加熱して、前記塗膜を硬化せしめ、前記ガラス基板(無アルカリガラス)上にポリイミドからなる薄膜(樹脂フィルム)を積層して積層体を得た。
(実施例2)
ワニス組成物の調製工程において、p−フェニレンジアミン(PPD)を0.18mmol用いる代わりに4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(日本純良薬品株式会社製:4−APBP、下記一般式(C):
で表される化合物)を0.18mmol用いて、芳香族ジアミンの混合物の種類を「DABANとPPDの混合物」から、「DABANと4−APBPの混合物(DABANと4−APBPのモル比([DABAN]:[4−APBP])が80:20)」に変更した以外は、実施例1と同様の方法を採用して積層体を得た。なお、ワニス組成物の調製に用いた材料やその比率等を表1に示す。
(実施例3)
ワニス組成物の調製工程において、p−フェニレンジアミン(PPD)を0.18mmol用いる代わりにm−トリジン(和歌山精化工業株式会社製:m−Tol、下記一般式(D):
で表される化合物)を0.18mmol用いて、芳香族ジアミンの混合物の種類を「DABANとPPDの混合物」から、「DABANとm−Tolの混合物(DABANとm−Tolのモル比([DABAN]:[m−Tol])が80:20)」に変更した以外は、実施例1と同様の方法を採用して積層体を得た。なお、ワニス組成物の調製に用いた材料やその比率等を表1に示す。
(実施例4)
ワニス組成物の調製工程において、p−フェニレンジアミン(PPD)を0.18mmol用いる代わりに4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(東京化成株式会社製:4,4’−DDE、下記一般式(E):
で表される化合物)を0.18mmol用いて、芳香族ジアミンの混合物の種類を「DABANとPPDの混合物」から、「DABANと4,4’−DDEの混合物(DABANと4,4’−DDEのモル比([DABAN]:[4,4’−DDE])が80:20)」に変更した以外は、実施例1と同様の方法を採用して積層体を得た。なお、ワニス組成物の調製に用いた材料やその比率等を表1に示す。
(実施例5)
ワニス組成物の調製工程において、p−フェニレンジアミン(PPD)を0.18mmol用いる代わりに1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(和歌山精化工業株式会社製:TPE−R、下記一般式(F):
で表される化合物)を0.18mmol用いて、芳香族ジアミンの混合物の種類を「DABANとPPDの混合物」から、「DABANとTPE−Rの混合物(DABANとTPE−Rのモル比([DABAN]:[TPE−R])が80:20)」に変更した以外は、実施例1と同様の方法を採用して積層体を得た。なお、ワニス組成物の調製に用いた材料やその比率等を表1に示す。
(実施例6)
ワニス組成物の調製工程において、p−フェニレンジアミン(PPD)を0.18mmol用いる代わりに1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(和歌山精化工業株式会社製:4,4−BAB、下記一般式(G):
で表される化合物)を0.18mmol用いて、芳香族ジアミンの混合物の種類を「DABANとPPDの混合物」から、「DABANと4,4−BABの混合物(DABANと4,4−BABのモル比([DABAN]:[4,4−BAB])が80:20)」に変更した以外は、実施例1と同様の方法を採用して積層体を得た。なお、ワニス組成物の調製に用いた材料やその比率等を表1に示す。
(実施例7)
ワニス組成物の調製工程において、p−フェニレンジアミン(PPD)を0.18mmol用いる代わりにビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(和歌山精化工業株式会社製:BAPS、下記一般式(H):
で表される化合物)を0.18mmol用いて、芳香族ジアミンの混合物の種類を「DABANとPPDの混合物」から、「DABANとBAPSの混合物(DABANとBAPSのモル比([DABAN]:[BAPS])が80:20)」に変更した以外は、実施例1と同様の方法を採用して積層体を得た。なお、ワニス組成物の調製に用いた材料やその比率等を表1に示す。
(実施例8)
ワニス組成物の調製工程において、p−フェニレンジアミン(PPD)を0.18mmol用いる代わりにビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(和歌山精化工業株式会社製:BAPS−M、下記一般式(I):
で表される化合物)を0.18mmol用いて、芳香族ジアミンの混合物の種類を「DABANとPPDの混合物」から、「DABANとBAPS−Mの混合物(DABANとBAPS−Mのモル比([DABAN]:[BAPS−M])が80:20)」に変更した以外は、実施例1と同様の方法を採用して積層体を得た。なお、ワニス組成物の調製に用いた材料やその比率等を表1に示す。
(実施例9)
ワニス組成物の調製工程において、p−フェニレンジアミン(PPD)を0.18mmol用いる代わりに2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(和歌山精化工業株式会社製:BAPP、下記一般式(J):
で表される化合物)を0.18mmol用いて、芳香族ジアミンの混合物の種類を「DABANとPPDの混合物」から、「DABANとBAPPの混合物(DABANとBAPPのモル比([DABAN]:[BAPP])が80:20)」に変更した以外は、実施例1と同様の方法を採用して積層体を得た。なお、ワニス組成物の調製に用いた材料やその比率等を表1に示す。
(実施例10)
ワニス組成物の調製工程において、4,4’−ジアミノベンズアニリド(DABAN)とp−フェニレンジアミン(PPD)のモル比([DABAN]:[PPD])が80:20から60:40となるように、DABANとPPDの使用量を変更(なお、芳香族ジアミン(DABANとPPD)の総モル数(合計のモル量)は0.90mmolのままとした。)した以外は、実施例1と同様の方法を採用して積層体を得た。なお、ワニス組成物の調製に用いた材料やその比率等を表1に示す。
(実施例11)
ワニス組成物の調製工程において、4,4’−ジアミノベンズアニリド(DABAN)の使用量を0.72mmolから0.882mmolに変更し、p−フェニレンジアミン(PPD)を0.18mmol用いる代わりに両末端アミノ変性シリコーンオイル(信越シリコーン株式会社製の商品名「X−22−9409」、下記一般式(K):
で表される化合物)を0.018mmol用いて、芳香族ジアミンの混合物の種類を「DABANとPPDの混合物」から、「DABANと両末端アミノ変性シリコーンオイルの混合物(DABANと両末端アミノ変性シリコーンオイルのモル比([DABAN]:[両末端アミノ変性シリコーンオイル])が98:2)」に変更した以外は、実施例1と同様の方法を採用して積層体を得た。なお、ワニス組成物の調製に用いた材料やその比率等を表1に示す。
(実施例12)
ワニス組成物の調製工程において、樹脂成分(ポリアミド酸)と溶媒とを含有する組成物を得た後に、密着性向上剤として3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製の商品名「KBE−903」、)を5.29mg(ポリアミド酸100質量部(529mg)に対して1質量部(5.29mg))添加した以外は、実施例1と同様の方法を採用して積層体を得た。なお、ワニス組成物の調製に用いた材料やその比率等を表1に示す。
(実施例13)
ワニス組成物の調製工程において、樹脂成分(ポリアミド酸)と溶媒とを含有する組成物を得た後に、密着性向上剤として3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製の商品名「KBM−403」、)を5.29mg(ポリアミド酸100質量部(529mg)に対して1質量部(5.29mg))添加した以外は、実施例11と同様の方法を採用して積層体を得た。なお、ワニス組成物の調製に用いた材料やその比率等を表1に示す。
(比較例1)
ワニス組成物の調製工程において、芳香族ジアミンの混合物(DABANとPPDの混合物)を用いる代わりに、4,4’−ジアミノベンズアニリド(日本純良薬品株式会社製:DABAN)を単独で0.90mmol用いた以外(DABANとPPDの混合物の代わりにDABAN(0.90mmol)のみを用いた以外)は、実施例1と同様の方法を採用して積層体を得た。なお、ワニス組成物の調製に用いた材料やその比率等を表1に示す。
(比較例2)
ワニス組成物の調製工程において、4,4’−ジアミノベンズアニリドを0.90mmol用いる代わりに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(東京化成株式会社製:4,4’−DDE)を0.90mmol用いた以外は、比較例1と同様の方法を採用して積層体を得た。なお、ワニス組成物の調製に用いた材料やその比率等を表1に示す。
(比較例3)
ワニス組成物の調製工程において、4,4’−ジアミノベンズアニリドを0.90mmol用いる代わりに、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(和歌山精化工業株式会社製:BAPP)を0.90mmol用いた以外は、比較例1と同様の方法を採用して積層体を得た。なお、ワニス組成物の調製に用いた材料やその比率等を表1に示す。
(比較例4)
ワニス組成物の調製工程において、上記一般式(I)で表される化合物(CpODA)を0.90mmol添加する代わりに、上記一般式(I)で表される化合物(CpODA)0.72mmolとピロメリット酸二無水物(東京化成株式会社製:PMDA、下記一般式(II):
で表される化合物)0.18mmolの混合物(CpODAとPMDAのモル比([CpODA]:[PMDA])が80:20)を用いた以外は、実施例1と同様の方法を採用して積層体を得た。なお、ワニス組成物の調製に用いた材料やその比率等を表1に示す。
(比較例5)
ワニス組成物の調製工程において、上記一般式(I)で表される化合物(CpODA)を0.90mmol添加する代わりに、上記一般式(I)で表される化合物(CpODA)0.72mmolと3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(東京化成株式会社製:BPDA、下記一般式(III):
で表される化合物)0.18mmolの混合物(CpODAとPMDAのモル比([CpODA]:[PMDA])が80:20)を用いた以外は、実施例1と同様の方法を採用して積層体を得た。なお、ワニス組成物の調製に用いた材料やその比率等を表1に示す。
(比較例6)
テトラカルボン酸二無水物の準備工程及びワニス組成物の調製工程を実施せず、前記ワニス組成物の代わりに市販のワニス(宇部興産株式会社製の商品名「Uワニス−A」、溶媒:N-メチル-2-ピロリドン(NMP))を用いた以外は、実施例1と同様の方法を採用して積層体を得た。なお、ワニス組成物の調製に用いた材料やその比率等を表1に示す。なお、ワニス組成物の調製に用いた材料やその比率等を表1に示す。
[実施例1〜13及び比較例1〜6で得られた積層体等の特性の評価]
<樹脂フィルムを形成する樹脂の同定>
各実施例等で採用している方法と同様にして得られた積層体をそれぞれ90℃のお湯に浸漬して、樹脂フィルムを剥離し、得られた樹脂フィルムに対して、IR測定機(日本分光株式会社製FT/IR−4100)を用いたIR分析をそれぞれ行った。このような測定の結果、各実施例及び各比較例で得られた積層体中の樹脂フィルムはいずれもイミドカルボニルのC=O伸縮振動が観察され、いずれの樹脂フィルムもポリイミドからなるフィルムであることが確認された。なお、参考のために、実施例1で得られた積層体中の樹脂フィルムのIR測定結果(IRスペクトル)を図1に示す。図1に示す結果においては、イミドカルボニルのC=O伸縮振動が1698cm−1に観察されており、実施例1で得られた積層体中の樹脂フィルムはポリイミドからなるフィルムであることが分かった。なお、用いたモノマーの種類やその使用量から、各実施例で得られたワニス組成物中のポリアミド酸や、各実施例で得られた樹脂フィルムを形成するポリイミドはいずれも、上記本発明のレーザ剥離用ワニス組成物及び上記本発明のレーザ剥離用樹脂フィルムにおいて説明した条件を満たすものであることが分かる。
<レーザー剥離試験>
各実施例等で得られた積層体に対して、レーザ発振装置としてLight Machinery社製の商品名「pm848(エキシマレーザ(発振ガス:XeCl、波長:308nm)、最大パルスエネルギー:300mJ/pulse)」を用いて、照射エネルギー密度を50〜320mJ/cm(低いエネルギー密度(50mJ/cm)から、剥離が確認されるまでエネルギー密度を10mJ/cmごとに順次上げていき、剥離が確認される照射エネルギー密度を利用した。)とし、レーザ光を照射するごとにレーザ光の照射形状のオーバーラップ率(重なり率)を80%とし、レーザ繰り返し周波数(繰り返し率)を30Hzとし、パルス幅を20〜30nsとし、レーザ光の照射面形状を縦14mm、横30mmの長方形とする条件で、ガラス基板側からレーザ光を照射し、剥離の可否と、着色の有無、ショットムラの有無を目視で判断した。
ここにおいて、剥離の可否に関しては、目視にてニュートンリングが確認された場合に剥離可と判断した。なお、剥離が確認されたものについては、剥離が確認された際のエネルギー密度の値を併せて表2に示す。また、着色の有無は、剥離が確認されたものについて、以下の評価基準:
A:目視にて色味の変化が全く確認されない;
B:目視にて色味が微妙に変化することが確認された(微着色:透明なフィルムの場合、
微白色に変化するものの十分な透明性が確保されていることが目視にて分かるものを、かかるB評価とした。なお、レーザ照射前から着色が確認されるフィルム(透明ではないフィルム)の場合は、色味が微妙に変化すると目視にて判断された場合を、かかるB評価とした);
C:目視にて色味が変化することが確認された(透明なフィルムの場合、変色により透明性が著しく低下していることが確認される場合にはC評価とした。);
により評価した。更に、ショットムラは、剥離が確認されたものについて、以下の評価基準:
A:ショットムラが全く確認されない;
B:ショットムラは確認されるものの、ごく微小なものであり、ショットムラがほとんどない;
C:全面にわたってショットムラが確認された;
により評価した。得られた結果を表2に示す。なお、レーザー照射前の実施例1〜13及び比較例1〜6で得られた積層体のフィルムの色味(製造直後のフィルムの色味)を目視にて確認した結果も併せて表2に示す。
<樹脂フィルムの吸光度の測定>
各実施例等で採用している方法と同様にして得られた積層体をそれぞれ90℃のお湯に浸漬して、樹脂フィルムを剥離し、得られた樹脂フィルムを試料としてそれぞれ用い、測定装置としてUV−VIS SPECTRO PHOTO METER(SHIMADZU製の商品名「UV−2550」)を利用して、280〜800nmにおける前記試料の吸光度を測定して、308nmにおける吸光度を求めた。得られた結果を表2に示す。
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
樹脂フィルムを構成するポリイミドのガラス転移温度(Tg)の値(単位:℃)は、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8311」を用いて、各実施例等で採用している方法と同様にして得られた積層体をそれぞれ90℃のお湯に浸漬して、樹脂フィルムを剥離し、得られた樹脂フィルムから前記測定装置の石英パンに装着できる大きさに切りだした試料(試料サイズは測定値に影響しない)をそれぞれ利用して、窒素雰囲気下、昇温速度5℃/分、30℃〜550℃の温度範囲(走査温度)の条件でフィルムに透明石英製ピン(先端の直径:0.5mm)を500mN圧で針入れすることにより測定した(いわゆるペネトレーション(針入れ)法による測定)。このような測定に際しては、上記測定試料を利用する以外は、JIS K 7196(1991年)に記載の方法に準拠して、測定データに基づいてガラス転移温度(Tg)を求めた。なお、ガラス転移温度が測定される前に軟化温度が測定され、ガラス転移温度が測定されなかったものについては表中、「n.d」と示す。
<5%重量減少温度(Td5%)の測定>
樹脂フィルムを構成するポリイミドの5%重量減少温度は、各実施例等で採用している方法と同様にして得られた積層体をそれぞれ90℃のお湯に浸漬して、樹脂フィルムを剥離し、得られた樹脂フィルムから、それぞれ2〜4mgの試料を準備し、これをアルミ製サンプルパンに入れ、測定装置として熱重量分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の商品名「TG/DTA220」)を使用して、窒素ガス雰囲気下、走査温度を30℃から550℃に設定し、昇温速度10℃/分の条件で加熱して、用いた試料の重量が5%減少する温度を測定することにより求めた。得られた結果を表2に示す。
<線膨張係数(CTE)の測定>
樹脂フィルムの線膨張係数(CTE)は、各実施例等で採用している方法と同様にして得られた積層体をそれぞれ90℃のお湯に浸漬して、樹脂フィルムを剥離し、得られた樹脂フィルムから縦20mm、横5mm、厚み13μmの大きさのフィルムをそれぞれ形成して測定試料とし、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)を利用して、窒素雰囲気下、引張りモード(49mN)、昇温速度5℃/分の条件を採用して、50℃〜200℃における前記試料の長さの変化を測定して、50℃〜200℃の温度範囲における1℃あたりの長さの変化の平均値を求めることにより測定した。得られた結果を表2に示す。
<全光線透過率、ヘイズ(濁度)及び黄色度(YI)の測定>
樹脂フィルムの全光線透過率の値(単位:%)、ヘイズ(濁度:HAZE)及び黄色度(YI)は、各実施例等で採用している方法と同様にして得られた積層体をそれぞれ90℃のお湯に浸漬して、樹脂フィルムを剥離し、得られた樹脂フィルムをそのまま測定用の試料として用い、測定装置として日本電色工業株式会社製の商品名「ヘーズメーターNDH−5000」又は日本電色工業株式会社製の商品名「分光色彩計SD6000」を用いて、それぞれ測定を行うことにより求めた。なお、日本電色工業株式会社製の商品名「ヘーズメーターNDH−5000」で全光線透過率とヘイズを測定し、日本電色工業株式会社製の商品名「分光色彩計SD6000」で黄色度を測定した。また、全光線透過率は、JIS K7361−1(1997年発行)に準拠した測定を行うことにより求め、ヘイズ(濁度)は、JIS K7136(2000年発行)に準拠した測定を行うことにより求め、色度(YI)はASTM E313−05(2005年発行)に準拠した測定を行うことにより求めた。得られた結果を表2に示す。
表2に示す結果からも明らかなように、本発明の積層体(実施例1〜13)はいずれも、レーザ照射により、効率よく剥離が可能であるとともに、レーザ着色前の色味が透明(黄色度(YI)、全光線透過率及びヘイズの値等からも無色透明であることが明らかである。)であるばかりかレーザ照射後の着色が十分に抑制されており(上記評価「A」又は「B」であって、ほとんど着色が無く、十分に透明性が維持されていた。)、フィルムの着色を十分に抑制してフィルムの品質を十分に維持しながらレーザ剥離加工により効率よく基板から樹脂フィルムを剥離することが可能であることが確認された。また、本発明の積層体(実施例1〜13)はいずれも、レーザ照射により、ムラの発生が十分に抑制されて効率よく剥離処理を施すことが可能であることも分かった。
これに対して、ワニス組成物の製造時に利用した芳香族ジアミンの種類をDABAN(1種)のみとした場合(比較例1)においては、得られた積層体にレーザ光を照射することで剥離は可能であったものの、透明なフィルムが白色に着色してしまった。また、比較例1においては、レーザの照射時にムラの発生が多かった。このような結果から、芳香族ジアミンの種類をDABAN(1種)のみとした場合(比較例1)においては、フィルムの品質を十分に維持しながらレーザ剥離加工を行うことができないことが分かった。また、ワニス組成物の製造時に利用した芳香族ジアミンの種類をDDE(1種)のみとした場合(比較例2)及びBAPP(1種)のみとした場合(比較例3)においてはいずれも、レーザ光を、エネルギー密度:320mJ/cmの条件で照射しても剥離することができず、レーザ照射をしても、そもそも剥離することができず、レーザ剥離加工に利用することが困難であることが分かった。また、芳香族ジアミンの種類をDABAN(1種)のみとし、かつ、酸二無水物にCpODAとともにCpODA以外の化合物を混合して用いた場合(比較例4及び5)においては、レーザ照射前から透明性が低く、黄色度も21.2以上の大きさとなっていた。そのため、レーザ加工により剥離は可能であったものの、透明性が必要となるような分野に基板として利用することは困難であることが分かった。さらに、市販のワニスを利用して積層体を製造した場合(比較例6)においては、レーザ照射前から透明性が低く、黄色度も39以上であった。また、比較例6においては、レーザ剥離は可能であるものの、変色が起こり色味が黄色から黒に変色しており、透明性が必要となるような分野に基板として利用することは困難であることが分かった。
このような表2に示す結果からも明らかなように、実施例1〜13で得られた積層体中の本発明の樹脂フィルムはいずれも十分に高度な透明性を有し、レーザ剥離加工において、フィルムの着色を十分に抑制してフィルムの品質を十分に維持することが可能であるとともに、レーザ剥離加工により効率よく基板から剥離することが可能なものであることが確認された。なお、表2の記載からも明らかなように、波長308nmのレーザ光の吸光度が3.6〜3.9程度である場合には、フィルムの着色を十分に抑制しかつフィルムの品質を十分に維持しながらレーザ剥離可能であることが分かった。
<実施例1及び11〜13で得られた積層体の180°剥離試験>
密着性向上剤の有無の点でのみ組成が違う実施例1と実施例12との対比、及び、密着性向上剤の有無の点でのみ組成が違う実施例11と実施例13との対比のために、実施例1及び11〜13で得られた積層体に関して、180°剥離試験を行った。このような180°剥離試験には、測定装置として東洋精機製作所製の商品名「STROGRAPH E−L(ロードセルは50N)」を用いた。そして、このような180°剥離試験においては、前記積層体の樹脂フィルム(ポリイミド)の表面を1.0インチ(inch)幅にカッターナイフで傷を入れて、幅1インチ、長さ70mmの短冊状(縦70mm、幅1inch)の部位を形成した後、該短冊の一端(幅1インチ)から反対方向に向かって1cmほど剥離し、その剥離した箇所をクランプで挟んで、300mm/分の条件で剥離抗力(N/inch)を測定した。なお、このような試験はJIS K 6854−2(1999年発行)に準拠したものである。得られた結果を表3に示す。
実施例1と実施例12とを対比すると、密着性向上剤を導入したワニスを利用した場合(実施例12)に、より高度な接着強度があることが確認された。同様に、実施例11と実施例13とを対比すると、密着性向上剤を導入したワニスを利用した場合(実施例13)に、より高度な接着強度があることが確認された。
なお、表2に示す結果からも明らかなように、実施例1及び11〜13で得られた積層体はいずれも、品質の変化を十分に抑制しながら、十分に効率よく樹脂フィルムを剥離することが可能なものである。このような結果から、ワニス組成物に密着性向上剤を更に含有させた場合(実施例12及び13)には、レーザ加工性に影響を与えることなく、レーザ剥離前の段階における接着力を向上させることが可能となり、レーザ剥離前における破損(実装等の加工時の剥離など)がより高度に抑制されたものとなることが分かった。
以上説明したように、本発明によれば、十分に高度な透明性を有し、フィルムの着色を十分に抑制しながらレーザ剥離加工により効率よく基板から剥離することが可能なレーザ剥離用樹脂フィルム、そのレーザ剥離用樹脂フィルムを効率よく製造することが可能なレーザ剥離用ワニス組成物、前記レーザ剥離用樹脂フィルムを備える積層体、並びに、その積層体を用いたレーザ剥離方法を提供することが可能となる。
したがって、本発明のレーザ剥離用樹脂フィルムは、十分に高度な透明性を有しているばかりか、フィルムの着色を十分に抑制しながらレーザ剥離加工により効率よく基板から剥離することが可能であり、例えば、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ、タッチパネル、フレキシブルディスプレイパネル、高輝度LEDウエハ、極薄シリコンウエハ、三次元半導体パッケージ等のマイクロエレクトロニクス用の基板(基板材料)、フレキシブルデバイス(例えば、フレキシブルディスプレイ、フレキシブル太陽電池、フレキシブルタッチパネル電極基板、フレキシブル照明及びフレキシブルバッテリー)等として特に、有用である。

Claims (10)

  1. レーザ剥離用の樹脂フィルムであって、
    該樹脂フィルムが、下記一般式(1):
    [式(1)中、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、R10は炭素数6〜50のアリール基を示し、nは0〜12の整数を示す。]
    で表される繰り返し単位のうち、R10の種類が異なる少なくとも2種の繰り返し単位を含有するポリイミドからなるフィルムであり、
    該ポリイミドに含有される上記一般式(1)で表される繰り返し単位のうちの少なくとも1種が、該式(1)中のR10が下記一般式(2):
    で表される基である繰り返し単位(A)であり、かつ、
    該ポリイミド中の前記繰り返し単位(A)の含有量が全繰り返し単位に対して50〜99モル%であること、
    を特徴とするレーザ剥離用樹脂フィルム。
  2. 前記ポリイミドが、前記繰り返し単位(A)とともに、
    上記一般式(1)で表され、かつ、該式(1)中のR10が下記一般式(3)〜(14):
    で表される基のうちのいずれか1種である繰り返し単位(B)を含有すること、
    を特徴とする請求項1に記載のレーザ剥離用樹脂フィルム。
  3. 前記樹脂フィルムは波長308nmのレーザ光の吸光度が1以上4未満のものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザ剥離用樹脂フィルム。
  4. 前記樹脂フィルムの線膨張係数は30ppm/K以下であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のレーザ剥離用樹脂フィルム。
  5. 前記樹脂フィルムがガラスに対する密着性向上剤を更に含むものであることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載のレーザ剥離用樹脂フィルム。
  6. レーザ剥離用の樹脂フィルムの製造に用いるレーザ剥離用ワニス組成物であって、
    該ワニス組成物は、樹脂成分と溶媒とを含有し、
    該樹脂成分が、下記一般式(15):
    [式(15)中、R、R、Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、R10は炭素数6〜50のアリール基を示し、nは0〜12の整数を示す。]
    で表される繰り返し単位のうち、R10の種類が異なる少なくとも2種の繰り返し単位を含有するポリアミド酸からなり、
    該ポリアミド酸に含有される上記一般式(15)で表される繰り返し単位のうちの少なくとも1種が、該式(15)中のR10が下記一般式(2):
    で表される基である繰り返し単位(C)であり、かつ、
    該ポリアミド酸中の前記繰り返し単位(C)の含有量が全繰り返し単位に対して50〜99モル%であること、
    を特徴とするレーザ剥離用ワニス組成物。
  7. 前記ポリアミド酸が、前記繰り返し単位(A)とともに、
    上記一般式(15)で表され、かつ、該式(15)中のR10が下記一般式(3)〜(14):
    で表される基のうちのいずれか1種である繰り返し単位(D)を含有すること、
    を特徴とする請求項6に記載のレーザ剥離用ワニス組成物。
  8. 前記ワニス組成物がガラスに対する密着性向上剤を更に含むことを特徴とする請求項6又は7に記載のレーザ剥離用ワニス組成物。
  9. ガラス基板と、該ガラス基板上に積層された請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載のレーザ剥離用樹脂フィルムとを備えることを特徴とするレーザ剥離用積層体。
  10. 請求項9に記載のレーザ剥離用積層体に対してガラス基板側からレーザ光を照射して、該積層体中のガラス基板から樹脂フィルムを剥離することを特徴とするレーザ剥離方法。
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