JP2011031429A - 積層フィルム - Google Patents

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JP2011031429A JP2009178060A JP2009178060A JP2011031429A JP 2011031429 A JP2011031429 A JP 2011031429A JP 2009178060 A JP2009178060 A JP 2009178060A JP 2009178060 A JP2009178060 A JP 2009178060A JP 2011031429 A JP2011031429 A JP 2011031429A
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Abstract

【課題】 透明電極層やガスバリア層などの透明無機層を含む透明性や耐熱性に優れた積層フィルムであり、さらに、熱処理を行っても反りや変形が抑制された透明無機層を含む積層フィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】特定の芳香族酸二無水物とジアミンを特定の作成方法で作成した、透明性、低線膨張性及び高寸法安定性に優れたポリイミドフィルムをベースフィルムとして用いることにより、熱変形が小さい透明無機層を含む積層フィルムが得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐熱性や寸法変化率に優れる積層フィルムに関する。好適には、高寸法変化率に優れるポリイミドに無機材料や金属材料からなる膜を積層した積層フィルムに関し、特に、温度変化時に反りや変形が小さいディスプレイ用基板や太陽電池用基板として好適に利用できる積層フィルムに関するものである。
近年、液晶や有機EL、電子ペーパー等のディスプレイや、太陽電池、タッチパネル等のエレクトロニクスの急速な進歩に伴い、デバイスの耐破損性の向上、薄型化や軽量化、更には、フレキシブル化が要求されるようになってきた。現在、これらのデバイスのベース基板としては、ガラス板上にTFTや透明電極などの様々な電子素子やガスバリア層などの無機膜を形成したガラスベースの積層材料が用いられている。
しかしながら、ガラス基板を用いたデバイスは、厚い、重い、破損しやすい、といった問題があり、このガラス板の代わりにフィルム材料を用いるプラスチックフィルム基板が検討されてきており、パネル自体の薄型化や軽量化、さらには、フレキシブル化が期待されている。しかしながらプラスチックフィルム上への電子素子やガスバリア層の直接形成には、用いるフィルムの耐熱性を超える高温プロセスが必要な場合があり、その場合、フィルムが処理温度に耐えられず積層フィルムが変形し、カールしてしまう課題があった。
これに対し、先行文献1では、特定のポリエステルフィルムを用いて比較的低温で製膜したガスバリアフィルムについて例示されている。しかし、得られる積層フィルムのバリア層のクラック発生や積層フィルム全体の変形、耐熱性の面で十分ではなかった。
また、先行文献2では、特定の脂肪族構造を有するポリイミドフィルム上に酸化インジウム・スズ(ITO)を積層した、透明導電フィルムが例示されている。ここで用いられているポリイミドの面内線膨張係数として45ppm/℃以下が好ましいとされているが、これだけでは温度や変形などのわずかな刺激で透明電極層がポリイミドフィルムから剥がれ性能が低下するなど十分ではなかった。
また、先行文献3では、特定の構造を有するポリイミドフィルム上に透明電極もしくはシリコン系ガスバリア膜を製膜した積層フィルムが例示されている。しかし、透明電極材料やシリコンを含む無機材料をフィルムに積層して、積層フィルムの変形や素子破壊を防ぐためには十分ではなかった。
以上のように、液晶や有機EL、電子ペーパー等のディスプレイや、太陽電池、タッチパネル等の部材に用いることのできる、透明無色で耐熱性を有し、しかも透明電極やシリコンを含む無機材料並みの面内線膨張係数を有するプラスチックフィルムはこれまで存在せず、これら電子デバイスの耐破損性の向上、薄型化や軽量化、更には、フレキシブル化を阻む要因となっていた。
特開2007−152932 特開2004−111152 特開2007−046054
本発明は、上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、本発明の目的は、透明性や耐熱性、更には加熱時の変形や反りが大幅に低減された、積層フィルムを得ることを目的とする。
本願発明の構成は以下のものである。
1). A.下記式(1)で表される繰り返し単位を含み、ポリアミド酸に脱水触媒及びイミド化剤を混合した溶液を支持体上に流延することにより作成したポリイミドフィルムであり、全光線透過率が80%以上であり、波長440nmでの光線透過率が60%以上であることを特徴とするポリイミドからなる層と、B.透明無機層を含む積層フィルムであり、80mm×5mmの大きさのフィルムを200℃で10分間加熱したあとの変形量が10mm以下であることを特徴とする積層フィルム。
Figure 2011031429
式中R1は下記一般式(2)から選択される4価の有機基を、また、R2は下記一般式(3)から選択される2価の有機基を示し、
Figure 2011031429
Figure 2011031429
式中R3は、水素、ハロゲン、ハロゲン化アルキル、C1〜C16のアルキル基を示す。
2). 透明無機層が透明電極であることを特徴とする1)記載の積層フィルム。
3). 透明無機層がSiを含有する無機材料であることを特徴とする1)記載の積層フィルム。
4). ポリイミドからなる層の100℃から200℃における面内線膨張係数が40ppm以下であり、かつ、積層フィルムを40℃から230℃まで加熱し再び40℃に冷却した時の寸法変化率が0.1%以下であることを特徴とする、1)〜3)記載の積層フィルム。
5). 前記R1の構造が下記一般式(4)から選択される4価の有機基であるポリイミドを用いることを特徴とする、1)〜4)に記載の積層フィルム。
Figure 2011031429
6). 前記R2の構造が下記一般式(5)で表される有機基であるポリイミドを用いることを特徴とする、1)〜5)に記載の積層フィルム。
Figure 2011031429
式中R3は、水素、ハロゲン、ハロゲン化アルキル、C1〜C16のアルキル基を示す。
7). 前記R3がハロゲン、もしくは、ハロゲン化アルキルであるポリイミドを用いることを特徴とする、1)〜6)のいずれかに記載の積層フィルム。
8). 前記R3がトリフルオロメチル基であるポリイミドを用いることを特徴とする、1)〜7)のいずれかに記載の積層フィルム。
上記本発明に係る積層フィルムに用いるポリイミドは、透明性、耐熱性に加えて、様々な無機材料と同じ面内線膨張係数を有し、寸法ヒステリシスが小さいことから、耐熱性、寸法変化率が必要とされる公知の全ての部材用のフィルムや塗膜として好適であり、例えば、印刷物、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー、半導体部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材又は建築材料や構造物としての利用が期待される。
以下において本発明を詳しく説明する。
本発明で製造される積層フィルムは、少なくともA層及びB層からなる構成を有するフィルムである。A層は全光線透過率が80%以上であり、波長440nmでの光線透過率が60%以上であることを特徴とするポリイミドからなる層であり、B層は透明電極材料もしくはSiを含有する無機材料からなる層である。
本発明の積層フィルムは、透明性や低着色性に優れ太陽電池、タッチパネル、ディスプレイ等の光を透過する用途に好適に用いることができる。
A層はポリイミドからなる層であり、そのポリイミドからなる層が、全光線透過率が80%以上であり、波長440nmでの光線透過率が60%以上であることが好ましい。A層の全光線透過率としては80%以上であることが求められるが、85%以上であることが好ましい。全光線透過率が低いと積層フィルム自体の透過率が下がり、ディスプレイやタッチパネル、太陽電池用のフィルムとしては好ましくない。
また、波長440nmでの光線透過率が60%以上であることも必要であるが、70%以上、更には80%以上であることが好ましい。波長440nmでの光線透過率が低いと、積層フィルムが着色し色調が変化するため、ディスプレイやタッチパネル、太陽電池用のフィルムとしては好ましくない。
本発明中のA層は厚さが10〜300μmであることが好ましい。10μm未満では、製造プロセスもしくは使用時の搬送プロセス時に皺を生じたり割れたりしやすくなる。また、300μmを越えるとロール・ツー・ロールによる加工が困難になる傾向がある。
A層の透明性や耐熱性、変形度など物性を著しく変えない範囲であれば、A層に公知の方法で無機物または有機物のフィラー、可塑剤や酸化防止剤を添加してもよく、またコロナ放電処理、プラズマ放電処理、イオンガン処理等の公知の物理的表面処理や、プライマー処理等の化学的表面処理を施しても良い。A層にこのような処理を施すことにより、例えば、耐熱性や耐紫外線性、また、良好な無機膜を形成するのに平滑性などを、付与する事ができる。
本発明のA層は、100℃ から200℃の面内線膨張係数が40ppm/℃以下、更に好ましくは、10ppm/℃以下であることが好ましい。主にポリイミドからなるA層と透明無機材料からなるB層を積層した場合、もし両層の面内線膨張係数が異なると、得られた積層フィルムを室温もしくは高温下に保持した際に積層フィルム全体が反るもしくは曲がるという現象が観測され、その結果、B層に極端に大きな応力がかかり、破壊される恐れがある。
また、ディスプレイ用途などで、得られた積層フィルムとフォトマスク、または、他のフィルムを組み合わせる場合、もしくは、積層フィルム自体を2枚以上組み合わせる場合、積層フィルム自身が変形すると互いの位置合わせが出来ない場合がある。従って、A層の面内線膨張係数はB層のそれと同じ、もしくはそれに近い値であることが望ましい。透明無機層からなるB層は多くの場合40ppm以下の面内線膨張係数を有するため、A層もその値以下であることが望ましい。
面内線膨張係数は、熱機械分析装置を用いてA層を25℃から昇温・降温して残留歪を除去した後に再び降温する過程に於いて得られた数値で計算することができる。一度昇温し降温した後の25℃における初期試料長をL0、100℃の時の試料長をL1、200℃の時の試料長をL2とすると100℃から200℃の面内線膨張係数は以下の式で求められる。
面内線膨張係数(ppm/℃)=((L2−L1)/L0)/(200−100)×106
さらに、積層フィルムが変形しないためには、積層フィルムを昇温・降温した前後の寸法変化を小さくする必要があり、A層にも同様に小さい寸法変化が求められる。具体的には、A層を40℃から230℃に昇温し再び40℃に冷却した時の、加熱前後の寸法変化率が0.1%以下、更には0.05%であることが好ましい。寸法変化率とは、A層の加熱前の40℃における初期試料長をL0、230℃に加熱後再び40℃に冷却した際の試料長をL1とすると寸法変化率は以下の式で求められる。
寸法変化率(%) = (L1/L0)×100
積層フィルムの変形量とは、積層フィルムの搬送方向、搬送方向と直交する方向からそれぞれ切り出した、長さ80mm、幅5mmの二枚のサンプルを用いた。この二枚のサンプルをガラス板上にその短辺をテープで固定し、固定した部分を風上になるように熱風オーブン中で200℃ 、10分間熱処理した。30分室温で放置後、ガラス面から積層フィルムが浮いている部分の最大高さ(L:mm) を測定する。2つのフィルムの最大高さのうち大きいほうの数字を、変形量とする。
A層の引張弾性率が4GPa未満であると、加工時に変形を起こすことがある。また、引張弾性率に上限はないが引張弾性率が20GPaを超えると、フィルムの靱性が低下し、製膜、加工が困難になることがある。引張弾性率は、より好ましくは、8GPa以上であり、更に好ましくは10GPa以上である。
本発明で製造されるポリイミドは、上記式(1)で表される繰り返し単位を含むポリイミドである。式(1)中のR1は4価の有機基であり、その具体例としては、後述する各酸二無水物成分に対応する4価の有機基、すなわち、酸二無水物成分からポリイミド鎖の形成に関与する両末端酸無水物基を取り除いた構造が挙げられる。
式(2)にあげられている4価の有機基のうち、特にベンゼンもしくはビフェニルを有する構造がこのましい。ベンゼンもしくはビフェニル構造を有する具体的な化合物はピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とその誘導体をあげることができる。この場合、式(1)を製造するために用いる酸二無水物は、それぞれ、ピロメリット酸二無水物、および、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。
式(2)にあげられている4価の有機基を有する化合物を全酸成分として用いることが好ましいが、さらに、その他の酸二無水物は、ポリイミドの透明性を確保できる範囲内であれば2種以上を併用することができる。目的の物性に応じて、酸二無水物全体の70モル%、好ましくは50モル%を超えない範囲で式(2)にあげられている4価の有機基を有する酸二無水物以外の酸二無水物を用いても良い。また、2種以上のそれらは、規則的に配列されていてもよいし、ランダムにポリイミド中に存在していてもよい。
式(2)にあげられている4価の有機基を有する酸二無水物及び/又はその誘導体と併用可能な他の酸二無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ビス[(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル]ベンゼン二無水物、1,4−ビス[(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル]ベンゼン二無水物、2,2−ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}プロパン二無水物、2,2−ビス{4−[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}プロパン二無水物、ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、4,4'−ビス[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]ビフェニル二無水物、4,4'−ビス[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]ビフェニル二無水物、ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルフィド二無水物、ビス{4−[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルフィド二無水物、2,2−ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルプロパン二無水物、2,2−ビス{4−[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}−1,1,1,3,3,3−プロパン二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
一方、式(1)中のR2は2価の有機基であり、その具体例としては、式(3)で記述しているように、後述する各ジアミン成分に対応する2価の有機基、すなわち、ジアミン成分からポリイミド鎖の形成に関与する両末端アミノ基を取り除いた構造が挙げられる。式(3)のうち、好ましくは、フェニレン基、もしくは、ビフェニレン基である。この場合、式(1)を製造するために用いるジアミンは、それぞれ、フェニレン基を有するジアミン、および、ビフェニレン基を有するジアミンである。
また、式(3)中のR3は、水素、ハロゲン、ハロゲン化アルキル、C1〜C16のアルキル基を示す一価の有機基である。得られるポリイミドの透明性、耐熱性、及び寸法変化率から、ハロゲンやハロゲン化アルキルなどの電子吸引基が好ましく、フッ素原子もしくはトリフルオロメチル基が特に好ましい。
式(3)中、特に好ましいものは式(5)で示すものである。この中でR3は上記したものであるが中でもトリフルオロメチル基が好ましい。
具体的には2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン及び/又はその誘導体が挙げられる。
式(3)の構造を有するジアミンを全ジアミン成分として用いるのが好ましいが、その他のジアミンを用いて、ポリイミドの透明性を確保できる範囲内であれば2種以上を併用することができる。目的の物性に応じて、ジアミン全体の70モル%、好ましくは50モル%を超えない範囲で式(3)の構造を有するジアミン以外のジアミンを用いても良い。また、2種以上のそれらは、規則的に配列されていてもよいし、ランダムにポリイミド中に存在していてもよい。
式(3)の構造を有するジアミンと併用可能な他のジアミンとして、用いられるジアミン成分は限定されるわけではないが、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、3,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4'−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4'−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4'−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4'−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6'−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3,3',3'−テトラメチル−1,1'−スピロビインダン、6,6'−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,3',3'−テトラメチル−1,1'−スピロビインダン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、また、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てをフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換したジアミンも使用することができる。
置換基R3は、原料の状態で導入し、ジアミンの状態で既に置換基が導入されたものを用いても良いし、ジアミンと反応させてポリイミドやポリアミド酸の状態で導入しても良い。また、置換基を導入することで吸収する光の波長を調整することが可能であり、置換基を導入することで所望の波長を吸収させるようにすることもできる。
本発明におけるポリイミドフィルムは詳述しているように式(1)、(2)、(3)で示す構造を有することが特徴であるが、ポリイミドフィルムが実質的に上記式で示す構造であることが好ましい。
アミン成分としては、ハロゲン化アルキル鎖特にはトリフルオロメチル基を有するものが好ましい。中でも特に好ましいものは式(5)で示すものである。この中でR3はトリフルオロメチル基である。
また、テトラカルボン酸二無水物としてはビフェニル構造、非置換のベンゼン・ナフタレン構造を有するものが好ましい。また、アミン成分、テトラカルボン酸二無水物が共に上記構造を有することが特に好ましい。
具体的に特に好ましく用いられるアミン成分としては、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンが好ましい。また、テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、が挙げられ、中でも3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましい。アミン成分、テトラカルボン酸二無水物が共に上記具体例で示す化合物を用いることが特に好ましい。
本発明のポリイミドを製造する方法としては、例えば、酸二無水物とジアミンから前駆体であるポリアミド酸を合成し、これに脱水触媒やイミド化剤を添加して塗布し、ポリイミドフィルムを得る手法が代表的に挙げられる。ポリアミド酸の状態で成形し、その後、脱水触媒やイミド化剤を用いずに加熱によりイミド化を行う手法では、得られるフィルムの面内線膨張係数や寸法変化率が悪く、目的には適さない。また、ポリアミド酸の状態で成形し、その後、脱水触媒やイミド化剤中に浸漬する方法では、面内線膨張係数や寸法変化率をコントロールしてポリイミドフィルムを得ることが難しく、様々な無機材料と同じ面内線膨張係数や寸法変化率を有するフィルムを得るという目的を達成できない。
用いるイミド化剤としては、3級アミンが好ましく、中でも複素環式3級アミンが好ましい。具体的にはピリジン、2,5−ジエチルピリジン、ピコリン、キノリン、イソキノリンをあげることができる。脱水触媒としては、酸無水物が好ましく、具体的には無水酢酸、プロピオン酸無水物、n−酪酸無水物、安息香酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物をあげることができ、中でも無水酢酸が最も好ましい。
本発明では、ポリアミド酸のカルボン酸に対してのイミド化剤の添加モル量を多くするほど、得られるフィルムの面内線膨張係数や寸法変化率が良好になる傾向がある。一方で、多量のイミド化剤によりイミド化があまりに早く進行すると、フィルム化を行う前に不溶化してしまい、キャストできない等の問題が出るので、実用的にはイミド化剤の添加量としては、ポリアミド酸のカルボン酸基に対して、0.05〜2.0倍モル当量、さらには0.6〜2.0倍モル当量が好ましい。
また、脱水触媒は添加する量を多くしても得られるフィルムの物性は変わりにくい傾向があるが、キャストフィルムを基板から剥がしやすくなる傾向がある。これらの傾向から、脱水触媒の添加量としては、ポリアミド酸のカルボン酸基に対して、0.05〜10.0倍モル当量が、さらには3.6〜10.0倍モル当量であることが好ましい。なお、イミド化剤、脱水触媒の上記好ましい範囲は適宜組み合わせて用いることができる。
次に、本発明にかかる積層フィルムを構成するB層、すなわち、透明無機層について説明する。かかる透明無機層としてはITOやIZOなどの透明電極材料やSiを含有する無機材料を用いることができる。これら膜の製造方法としては、例えば、A層を含むフィルムに、物理気相成長法、または、化学気相成長法、あるいは、その両者を併用して、透明電極材料もしくはSiを含有する無機材料を付着することにより、1層からなる単層膜あるいは2層以上からなる多層膜または複合膜を形成して製造することができる。
かかる物理気相成長法による無機膜の作成方法としては、例えば、真空蒸着法(抵抗加熱、誘電加熱、EB加熱方式)、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンクラスタービーム法等が挙げられる。また、化学気相成長法による無機膜の作成方法としては、例えば、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等が挙げられる。
B層がSiを含む無機層である場合、B層の厚みは10nm〜1μm、さらには35nm〜850nmであることが好ましい。B層の厚みがこの範囲にあることにより、酸素や水蒸気の通常の空気の成分が最終製品の機能層、すなわち、TFT層やEL発光層、発電層への侵入防止の面や、屈曲時の割れの面での問題が少なくなる。
また、B層が透明電極材料の場合、一般的な透明電極材料、例えば、ニッケル、金、白金、パラジウムやこれらの合金或いは酸化インジウム・スズ(ITO)、酸化インジウム・亜鉛(IZO)、酸化錫、酸化亜鉛、沃化銅などの仕事関数の大きな金属やそれらの合金、化合物が用いられる。特に酸化インジウム・スズ(ITO)、酸化インジウム・亜鉛(IZO)、酸化亜鉛が好ましい。
また本発明においては、B層としては、無機物もしくは金属膜の1層からなる単層膜のみならず無機物もしくは金属膜の2層以上からなる多層膜等から構成することもできるものである。すなわち、A層の少なくとも一方、もしくは両方の面に、化学的組成の異なるB1層、B2層など2層以上の多層に設けることもできるものである。また、B層の上に更にA層を再び積層することも可能である。更に、B層はA層の全面を覆うものでなくても良く、必要な部位を覆うだけでも良い。

次に、本発明に係るポリイミドを合成する手法をこれより具体的に例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。
酸成分として上記3、3'、4、4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、及び、アミン成分として2、2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンを用いてポリイミドを合成する例を述べる。先ず、2、2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンを溶解させたジメチルアセトアミドに、等モルの3,3'、4、4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を徐々に加え、室温で撹拌する。
1〜20時間程度撹拌した後、ポリアミド酸溶液を得る。そのポリアミド酸を0℃以下の低温にした後、イミド化剤としてピリジン、ピコリン、キノリン、イソキノリンなどのイミド化剤、脱水剤として無水酢酸、プロピオン酸無水物、n−酪酸無水物、安息香酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物などの酸無水物を加える。その後、溶液を激しく攪拌し真空下もしくは遠心沈殿機等を用いて脱泡した後、ガラスやフィルム、金属ベルトなどの基板上に塗布乾燥し、塗膜を成形させる。それを例えば300℃以上に加熱し溶剤を除去することでポリイミドの塗膜が得られる。
このようにして合成される本発明のポリイミドは、ポリイミド本来の耐熱性及び寸法変化率を優れたものとするために、芳香族酸成分及び/又は芳香族アミン成分の共重合割合ができるだけ大きいことが好ましい。具体的には、イミド構造の繰り返し単位を構成する酸成分に占める芳香族酸成分の割合が50モル%以上、特に70モル%以上であることが好ましく、全てが芳香族酸成分であることが最も好ましい。
イミド構造の繰り返し単位を構成するアミン成分に占める芳香族アミン成分の割合が40モル%以上、特に60モル%以上であることが好ましく、全てが芳香族アミン成分であることが最も好ましい。酸成分、アミン成分共に全て芳香族成分を用いたポリイミドが特に好ましい。
酸成分、アミン成分に芳香族環が複数有し、その複数の芳香族環が得られるポリイミドの主鎖を形成する場合には、複数の芳香族環の間には屈曲性を有する成分が含まれないことが好ましい。屈曲性を有する成分とは、例えば、炭素原子、酸素原子、硫黄原子などを介したものをあげることができる。複数の芳香族環は直接結合していることが好ましい。直接結合には、ナフタレン構造で結合している場合と、ビフェニル構造で結合している場合を含むが、この中でもビフェニル構造により結合している芳香族環を有するものが好ましい。
このようにして合成される本発明のポリイミドは、透明性と共にフィルム面内の低い面内線膨張と加熱前後の高い寸法変化率を有することを特徴としており、例えば引っ張り加重法により、15mm×5mmのフィルム試料に加重を3.0gとし、10℃/minの昇温速度で測定したときに、面内線膨張係数が40ppm以下のポリイミドフィルムを得ることができる。
また用いるイミド化剤量をポリアミド酸のカルボン酸基に対して、それぞれ、0.5倍モル量、1.0倍モル量、1.5倍モル量とすることにより、得られるフィルムの面内線膨張係数を20ppm以下、さらには10ppm以下、特には5ppm以下のポリイミドフィルムを得ることも可能である。また、用いるイミド化剤量をポリアミド酸のカルボン酸基に対して、それぞれ、0.5倍モル量、1.0倍モル量、1.5倍モル量とすることにより、40℃から230℃まで加熱し再び40℃に戻した場合の加熱前後の寸法変化率が0.1%以下、さらには0.05%以下、特には0.03%以下のポリイミドフィルムを得ることも可能である。
本発明のポリイミドフィルムに用いるポリイミドの重量平均分子量は、その用途にもよるが、3,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、5,000〜500,000の範囲であることがさらに好ましく、10,000〜500,000の範囲であることがさらに好ましい。重量平均分子量が3,000以下であると、塗膜又はフィルムとした場合に十分な強度が得られにくい。また、10,000未満であると着色の原因になるポリマー末端の数が相対的に多くなることから着色する場合がある。一方、1,000,000を超えると粘度が上昇し、溶解性も落ちてくるため、表面が平滑で膜厚が均一な塗膜又はフィルムが得られにくい。
ここで用いている分子量とは、ゲルパーミレーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値のことをいい、ポリイミド前駆体そのものの分子量でも良いし、無水酢酸等で化学的イミド化処理を行った後のものでも良い。
本発明のポリイミドフィルムは、特に優れた寸法変化率を有することを特徴とするが、耐熱性、絶縁性等のポリイミド本来の特性も損なわれておらず、良好である。
例えば、窒素中で測定した5%重量減少温度は、250℃以上が好ましく、300℃以上がさらに好ましい。ここで、5%重量減少温度とは、熱重量分析装置を用いて重量減少を測定した時に、サンプルの重量が初期重量から5%減少した時点(換言すればサンプル重量が初期の95%となった時点)の温度である。同様に10%重量減少温度とはサンプル重量が初期重量から10%減少した時点の温度である。
ガラス転移温度は、耐熱性の観点からは高ければ高いほど良いが、示差走査熱量測定装置において、昇温速度10℃/minの条件で測定したときのガラス転移温度が、200℃以上が好ましく、更に好ましくは300℃以上であるとよい。
本発明に係るポリイミドフィルムは、そのまま製品や部材を作製するためのコーティングや成形プロセスに供してもよいが、該ポリイミドを必要に応じて溶剤に溶解又は分散させ、さらに、光又は熱硬化性成分、本発明に係るポリイミド以外の非重合性バインダー樹脂、その他の成分を配合して、ポリイミドフィルムを調製してもよい。
ポリイミドに加工特性や各種機能性を付与するために、その他に様々な有機又は無機の低分子又は高分子化合物を配合してもよい。例えば、染料、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、微粒子、増感剤等を用いることができる。微粒子には、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の有機微粒子、コロイダルシリカ、カーボン、層状珪酸塩等の無機微粒子等が含まれ、それらは多孔質や中空構造であってもよい。また、その機能又は形態としては顔料、フィラー、繊維等がある。
本発明に係るポリイミドフィルムは、式(1)で表されるポリイミド成分を、フィルム全体に対し、通常、50〜99.9重量%の範囲内で含有させることが好ましい。また、その他の任意成分の配合割合は、ポリイミドフィルムの固形分全体に対し、0.1重量%〜50重量%の範囲が好ましい。0.1重量%未満だと、添加物を添加した効果が発揮されにくく、50重量%を越えると、添加物の特性が最終生成物であるフィルムに反映されにくい。
なお、ポリイミドフィルムの固形分とは実質全てではあるが、フィルムを加熱により揮発する以外の全成分であり、液状のモノマー成分も固形分に含まれる。 本発明にかかる積層フィルムは、透明耐熱で温度に対して寸法変化の小さいフィルムに透明無機材料を積層したものであり、特にエレクトロニクス分野で必要とする様々な用途に応用できる。すなわち、ディスプレイや太陽電池用のガスバリアフィルム、透明導電フィルム、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、反射防止膜、ホログラム等に用いることができる。
(前駆体溶液の合成)
(1)前駆体溶液1の合成
2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン 1.20g(6mmol)を50mlの3つ口フラスコに投入し、3.88gの脱水されたジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解させ窒素気流下、氷浴で冷却しながら撹拌した。そこへ、上記3,3',4,4'-BPDA1.77g(6mmol)を添加し、添加終了後、氷浴中で5時間撹拌し、粘ちょうな液体(前駆体溶液1)を得た。
(合成例)
合成した上記前駆体溶液1を0℃付近に冷却した後、βピコリン1.67g(18mmol)及び無水酢酸11.0g(108mmol)の混合液を添加し激しく攪拌した。その後、真空下に置き脱泡したのち、ポリエチレンナフタレートフィルム上に流し、スリット間隔を0.5mmに設定したバーコーターでフィルム上に塗布した。その後、1200℃に温められたオーブン内で9分乾燥させた。その後、窒素雰囲気下、オーブンにより300℃で1時間加熱を行い、ポリイミドフィルム1を得た。得られたフィルムは溶剤に不溶であり、膜厚は35μm±2μmであった。
[光学特性の評価]
全光線透過率については、D65光源を備えたヘーズメーター(日本電色工業(株)、NDH−300A)を用いて測定した。また、440nmにおける透過率測定については、紫外可視光スペクトロフォトメーター(JASCO社、V560)を用いた。ポリイミドフィルム1の全光線透過率は87%、波長440nmにおける透過率は82%であった。
[面内線膨張係数及び加熱前後寸法変化率の評価]
面内線膨張係数は、熱機械分析装置Thermo Plus TMA8310(リガク社製)によって、昇温速度10℃/min、引っ張り加重3gで測定を行った。
ポリイミドフィルム1の100℃〜200℃における面内線膨張係数は3ppm、40℃から230℃に加熱し再び40℃に戻した場合の寸法変化率は0.001%であった。
(実施例1)
上記合成例で得られた厚さ30μm、縦20cm、横20cmのポリイミドフィルムをA層とし、プラズマCVD製膜装置内のチャンバー内にセットした。成膜圧力0.3Pa、温調ドラム温度30℃で、放電ガスとしてアルゴンを、反応ガスとして酸素、アンモニアを導入し、ターゲットにシリコンを用いパルスDC電源により反応性スパッタリング成膜を行った。入力電力を調整することによりA層上に厚さ300nm の酸化ケイ素・窒下ケイ素複合膜(SiOxNy)のガスバリア層を成膜した。成膜後、真空チャンバーを大気圧に戻してから開放し、ガスバリア層付きフィルムをとりだした。
(比較例1)
市販のポリエチレンナフタレートフィルム(PEN Q65、帝人デュポン社製)を、上記プラズマCVDで同様に製膜し、同様にA層上に酸化ケイ素・窒下ケイ素複合膜を有する積層フィルムを作成した。なお、用いたポリエチレンナフタレートフィルムの全光線透過率は87%、440nmにおける透過率は84%であった。
[変形量の評価]積層フィルムの搬送方向、搬送方向と直交する方向からそれぞれ切り出した、長さ80mm、幅5mmの二枚のサンプルをガラス板上にその短辺をテープで固定し、固定した部分を風上になるように熱風オーブン中で200℃ 、10分間熱処理した。30分室温で放置後、ガラス面から積層フィルムが浮いている部分の最大高さ(L:mm) を測定し、2つのフィルムの最大高さのうち大きいほうの数字を変形量とした。
得られた結果をそれぞれ表−1に示す。
Figure 2011031429
実施例1で作成した積層フィルムは、加熱後の変形がほとんどなく、変形度は0であったのに対し、比較例で作成した積層フィルムは、加熱後大きく変形していた。このように、透明で十分な耐熱性を有し、低い面内線膨張及び高い寸法変化率を有するポリイミドフィルムを積層フィルムの基材フィルムとして用いることにより、加熱後も変形しない積層フィルムが得られた。

Claims (8)

  1. A.下記式(1)で表される繰り返し単位を含み、ポリアミド酸に脱水触媒及びイミド化剤を混合した溶液を支持体上に流延することにより作成したポリイミドフィルムであり、全光線透過率が80%以上であり、波長440nmでの光線透過率が60%以上であることを特徴とするポリイミドからなる層と、B.透明無機層を含む積層フィルムであり、80mm×5mmの大きさのフィルムを200℃で10分間加熱したあとの変形量が10mm以下であることを特徴とする積層フィルム。
    Figure 2011031429
    式中R1は下記一般式(2)から選択される4価の有機基を、また、R2は下記一般式(3)から選択される2価の有機基を示し、
    Figure 2011031429
    Figure 2011031429
    式中R3は、水素、ハロゲン、ハロゲン化アルキル、C1〜C16のアルキル基を示す。
  2. 透明無機層が透明電極であることを特徴とする請求項1記載の積層フィルム
  3. 透明無機層がSiを含有する無機材料であることを特徴とする請求項1記載の積層フィルム
  4. ポリイミドからなる層の100℃から200℃における面内線膨張係数が40ppm以下であり、かつ、積層フィルムを40℃から230℃まで加熱し再び40℃に冷却した時の寸法変化率が0.1%以下であることを特徴とする、請求項1〜3記載の積層フィルム。
  5. 前記R1の構造が下記一般式(4)から選択される4価の有機基であるポリイミドを用いることを特徴とする、請求項1〜4に記載の積層フィルム。
    Figure 2011031429
  6. 前記R2の構造が下記一般式(5)で表される有機基であるポリイミドを用いることを特徴とする、請求項1〜5に記載の積層フィルム。
    Figure 2011031429
    式中R3は、水素、ハロゲン、ハロゲン化アルキル、C1〜C16のアルキル基を示す。
  7. 前記R3がハロゲン、もしくは、ハロゲン化アルキルであるポリイミドを用いることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
  8. 前記R3がトリフルオロメチル基であるポリイミドを用いることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の積層フィルム。
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