JP2017158379A - 回転電機 - Google Patents

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Kiminori Sawahata
公則 澤畠
和雄 西濱
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和雄 西濱
健一 杉本
Kenichi Sugimoto
健一 杉本
小山 貴之
Takayuki Koyama
貴之 小山
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Abstract

【課題】損失および発熱を低減でき、信頼性の高い回転電機を提供すること。【解決手段】回転電機1の固定子10は、固定子コア11と、固定子コアの内周面に周方向に離間して形成される固定子スロット12と、各固定子スロットに巻装された巻線13と、巻線を固定子スロット内で径方向に保持する第1の楔15と、第1の楔から径方向内側へ離間して設けられ、第1の楔との間に空気の流通する通路17が形成された第2の楔161とを備え、第2の楔は磁性材料から形成されている。これにより、高調波磁束を第2の楔を介して固定子コアに流すことができ、回転子に生じる損失を低減できる。さらに、通路を流れる空気により第2の楔を冷却することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、回転電機に関する。
近年、インバータを用いて回転電機を高速運転することによって、駆動システム全体を省スペース化することが求められている。高速運転する回転電機として、誘導電動機や永久磁石型同期電動機がある。誘導電動機は、回転子コアのスロットに設けられた複数の回転子導体が回転子コアの端面においてエンドリング(短絡環)で連結された回転子を備えている。永久磁石型同期電動機では、回転子コアの外周表面または回転子コア内の溝に、永久磁石を配置している。
誘導電動機の回転子導体は、銅、銅合金(真鍮、クロム銅など)、アルミなどによって形成される。通常、誘導電動機および永久磁石同期電動機のいずれも、回転子コアは透磁率の高い電磁鋼板を積層して形成される。
回転電機をインバータによって高速運転する場合、回転子コアや回転子導体、永久磁石に働く遠心力が大きくなる。そのため、回転子の外径を小さくして軸方向に長い形状としたり、回転子コアを積層型から高強度な塊状型に変更したりする。誘導電動機の場合は、回転子導体の端部に補強用のリテイニングリングを接続したり、回転子コアと回転子導体とを溶接または接合したりすることによって、強度を高めることもある。
回転電機内では電気的な損失が生じるため、この電気的損失により熱が発生する。誘導電動機の場合、回転子導体には、高速回転による遠心力が作用するばかりか、電機損失に起因する熱応力も作用する。これにより、誘導電動機の回転子の強度が低下するおそれがある。
永久磁石同期電動機の場合は、電気的損失に起因する熱によって永久磁石が減磁し、所望の出力を得られなくおそれがある。したがって、高速回転が求められる回転電機には、高強度化技術だけでなく、低損失化技術や高冷却構造の適用も求められる。
これらの課題に対して特許文献1では、交流励磁同期発電機の回転子スロット内において、回転子コアの最外周面に磁性楔を配置する。これにより特許文献1では、回転子コアが遠心力によって径方向外側への移動するのを防止すると共に、スロット高調波による電圧波形の歪を軽減する。
特許文献2では、固定子スロットの径方向最内面に磁性楔を配置し、固定子内周面に設置したキャンと固定子スロット内に配置した非磁性楔とで磁性楔挟み込む。これにより、特許文献2では、低損失化と固定子の冷却構造の向上とを図っている。
特許文献3では、固定子および回転子のそれぞれの各スロット内に、磁性体層と非磁性体層とからなる二層構造の楔を設ける。特許文献3では、径方向内側の楔を磁性体、径方向外側の楔を非磁性体とすることで、楔の高強度化を図ると共に、励磁電流や損失の低減を図っている。
特開2009−303396号 特開2012−213272号 特開昭63−161834号
特許文献1では、回転子スロット内の最外周部分に磁性楔を配置し、そのすぐ内側に非磁性楔を配置することで、回転子のスロット高調波による電圧歪を低減する。しかし、磁性楔は透磁率が高いため、非磁性楔よりも鉄損が大きくなり、発熱量が増加する。さらに、特許文献1の構造では、磁性楔と非磁性楔との間に空気の流通する空間が存在しないため、磁性楔の冷却を期待することができず、回転電機全体としても冷却効果が低い。
特許文献2では、磁性楔がキャンと非磁性楔とで挟み込まれており、磁性楔が直接冷却風と接する構造ではないため、磁性楔は空気へ熱を伝達することができない。このため、特許文献2では、磁性楔に発生する損失に伴う発熱を低減することができず、磁性楔の温度上昇を抑制することができない。したがって、特許文献2では、モータ各部や磁性楔の温度上昇に伴い、磁性楔の強度が低下したり、破損したりする可能性がある。
特許文献3では、固定子および回転子のスロット内に、磁性体層と非磁性体層とからなる二層構造の楔を設けて、楔の高強度化と、励磁電流や損失の低減とを図っている。特許文献1、2と同様に、磁性楔部分では非磁性部分よりも鉄損が大きくなるため、発熱量が増加する。しかし、特許文献3の場合、磁性楔が非磁性楔と合わせて二層構造となっているため、磁性楔は固定子内周側(ギャップ側)からしか熱伝達できない。したがって、特許文献3も、磁性楔の発熱を低減しにくい構造となっている。
本発明は、上記課題に着目してなされたもので、その目的は、損失および発熱を低減することができ、信頼性の高い回転電機を提供することにある。
上記課題を解決すべく、本発明に従う回転電機は、固定子と回転子を備える回転電機であって、固定子は、磁性材料から筒状に形成された固定子コアと、固定子コアの内周面に周方向に離間して位置し、内周面側が開口して軸方向に形成される固定子スロットと、各固定子スロットに巻装された巻線と、巻線を固定子スロット内で径方向に保持する第1の楔と、第1の楔から径方向内側へ離間して設けられ、第1の楔との間に空気の流通する通路が形成された第2の楔とを備え、第2の楔は磁性材料から形成されている。
本発明によれば、各固定子スロット内に、第1の楔と第2の楔とにより通路を形成することができるため、通路を流れる空気により、磁性材料からなる第2の楔を冷却することができる。さらに、磁性材料からなる第2の楔は、第1の楔から径方向内側に離間して固定子スロット内に設けられるため、高調波の磁束を第2の楔を介して固定子コアに流すことができ、回転子に生じる損失を低減できる。
回転電機を回転軸方向から見た部分断面図。 図1中の固定子の拡大図。 回転子バーに発生する損失の計算結果を示すグラフ。 回転子コアに発生する損失の計算結果を示すグラフ。 回転電機を横方向から拡大して示す軸方向断面図と、その一部を拡大して示す説明図。 第1実施例の変形例に係り、回転電機を横方向から拡大して示す軸方向断面図およびその一部を拡大して示す説明図。 第2実施例に係る回転電機の固定子を回転軸方向から拡大して示す断面図。 第3実施例に係る回転電機の固定子を回転軸方向から拡大して示す断面図。 第4実施例に係る回転電機の固定子を回転軸方向から見た部分断面図。 第5実施例に係る回転電機を回転軸方向から見た断面図。 第5実施例の変形例に係り、回転電機を回転軸方向から見た断面図。
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。本実施形態では、回転電機として、かご形誘導電動機と永久磁石型同期電動機を例に挙げて説明する。本実施形態に係る回転電機では、固定子コアの内周面に開口するオープンスロットの固定子スロットを用いる。固定子スロットは、底部の幅と開口部の幅とがほぼ等しい開放形状でもよいし、あるいは、底部の幅よりも開口部の幅の方が狭い半閉形状でもよい。
本実施形態では、後述するように、固定子スロットに、巻線を保持する第1の楔と、第1の楔から径方向内側に離間して固定子スロットの開口部側に位置する磁性の第2の楔とを設ける。第1の楔の径方向内側の面と、第2の楔の径方向外側の面と、固定子スロットの内壁面とにより、空気の流れる通路が形成される。
本実施形態では、磁性の第2の楔によって、高調波磁束を固定子コアに流することができるため、回転子の発熱を抑制することができる。第2の楔は、通路を流れる空気により冷却されるため、高調波磁束が流れることによる発熱を低減できる。これにより本実施形態に係る固定子構造を持つ回転電機は、損失および発熱を抑制することができ、信頼性を向上することができる。
図1〜図6を用いて第1実施例を説明する。図1は、回転電機1を回転軸方向から見た部分断面図である。図2は、図1の一部を拡大して示す。本実施例では、回転電機1をかご形誘導電動機として構成する。回転電機1は、例えば、固定子10と、固定子10内に同軸に配置された回転子20と、回転子20の中央を貫通して設けられたシャフト25とを備えている。
固定子10は、例えば固定子コア11と、複数の固定子スロット12と、各固定子スロット12に巻装された電機子巻線13と、各固定子スロット12内に設けられた第1の楔15および第2の楔161を備える。
固定子コア11は、磁性材料から筒状に形成されている。固定子スロット12は、固定子コア11の内周面111(図2参照)に周方向に離間して位置し、内周面111側が開口して軸方向に延設されている。
第1の楔15は、各固定子スロット12内で巻線13を径方向に位置決めする位置決め部材である。第1の楔15は、磁性または非磁性のいずれであってもよい。固定子スロット12には、巻線13の径方向内側の端部に位置するようにして、溝121が軸方向に延設されている。第1の楔15は、固定子10の軸方向端部から溝121へ軸方向に挿入されて取り付けられる。
第2の楔161は、各固定子スロット12内に位置して、第1の楔15から径方向内側に離間して設けられる。第2の楔161は、磁性材料から形成されている。各固定子スロット12には、溝121から所定寸法Lだけ離間して、固定子スロット12の開口部側寄りに(内周面111側寄りに)、溝122が軸方向に延設されている。第2の楔161は、固定子10の軸方向端部から溝122へ軸方向に挿入されて取り付けられる。
第2の楔161の径方向内側の面と固定子コア11の内周面111との間には、高さ寸法H1の隙間31が形成されている。後述のように、高さ寸法H1を小さくするほど、第2の楔161による、回転子20へ向かう高調波磁束の抑制効果が向上する。
各固定子スロット12内には、第1の楔15の径方向内側の面と第2の楔161の径方向外側の面と固定子スロット12の内壁面とに囲まれることで、「通路」としてのベントスペース17が形成される。ベントスペース17は、固定子10の両端面側で開口しており、空気が軸方向に流通可能となっている。
回転子20の構成を説明する。回転子20は、例えば、回転子コア21と、回転子スロット22と、回転子バー23と、回転子ティース24とを備える。磁性材料から形成される回転子コア21は、その中央部でシャフト25に連結されている。
回転子コア21には、周方向に離間して軸方向に延びる回転子スロット22が形成されている。各回転子スロット22の間には、回転子ティース24が形成されている。各回転子スロット22内には、軸方向に延びる回転子バー23が収納されている。各回転子バー23の両端は、回転子20の軸方向端面でエンドリングによって接続されている。各回転子バー23がエンドリング27(図5参照)により短絡されることで、かご形導体が回転子20に設けられる。
誘導電動機を運転する際、電機子巻線13に通電して、電機子巻線13からインバータなどの電源周波数(基本波)と同一周波数を持つ磁束を発生させる。回転電機1が誘導電動機である場合、基本波電流による磁束に加えて、巻線配置やスロット数に応じて高調波磁束が発生する。この高調波磁束は、固定子10と回転子20との間のギャップ30を通じて回転子バー23に入り込み、回転子バー23の最外周部分で高調波損失、すなわち渦電流損を発生させる。
高調波磁束は、回転子ティース24の最外周部分にも渦電流損を発生させる。さらに、インバータによって誘導電動機を駆動する場合、巻線13からはインバータのキャリア高調波による高調波磁束も発生するため、回転子バー23および回転子ティース24には、インバータの高調波磁束に起因した渦電流損も発生する。回転子バー23および回転子ティース24の最外周部分に発生するこれらの渦電流損は、誘導電動機としての回転電機1の効率を低下させる原因となる。
また、これらの渦電流損は、回転子バー23および回転子ティース24に熱を発生させるため、熱応力が発生する。誘導電動機を運転するとき、回転子20には回転数に応じて遠心力が働いているため、回転子バー23および回転子ティース24には、遠心力と熱応力とが二重で働くことになる。
ここで、銅などで形成される回転子バー23は、電磁鋼板やソリッドコアなどで形成される回転子コア21、回転子ティース24に比べて強度が低いため、運転中に損傷するおそれがある。回転子バー23の軸方向端部に補強用のリテイニングリングを接続したり、回転子コア21と回転子バー23とを溶接または接合したりすることで、回転子バー23の強度を高めることも可能である。
しかし、それらの強度向上策は、あくまでも回転子バー23の許容応力を向上するための方策であり、応力の発生そのものを低減することはできない。したがって、回転子コア21や回転子バー23に発生する遠心力および熱応力が非常に大きいために、強度が不足しうる回転子20については、回転子コア21や回転子バー23に発生する渦電流損を低減させる必要がある。
そこで、本実施例では、磁性を持つ第2の楔161により回転子20へ作用する高調波磁束を低減すると共に、固定子スロット12内に形成したベントスペース17を流れる空気によって第2の楔161に発生する熱を除去する。
本実施例では、上述の通り、固定子スロット12の中に巻線13を固定するための第1の楔15と、第1の楔15から径方向内側に離れた第2の楔161とを配置し、第1の楔15と第2の楔161との間にベントスペース17を設けている。
第2の楔161の材料は磁性体であり、その透磁率が高いため磁束が通りやすい。前述の通り、巻線13の配置やスロット数に応じた高調波磁束やインバータのキャリア高調波による高調波磁束は、固定子10と回転子20の間の空気層のギャップ30を介して回転子20へ入り込む。
しかし、本実施例では、固定子スロット12内に磁性体の第2の楔161を設けているため、高調波磁束は第2の楔161に積極的に流れるようになる。これにより、回転子20へ入りこむ高調波磁束が減少するため、回転子コア21および回転子バー23で発生する損失が低減する。したがって、誘導電動機である回転電機1の高効率化を実現できると共に、回転子バー23に発生する発熱および熱応力も抑制することができる。
図3は、第2の楔161の設置位置と回転子バー23に発生する渦電流損との関係を示す。図4は、第2の楔161の設置位置と回転子コア21に発生する渦電流損との関係を示す。いずれの図も、縦軸は渦電流損を示し、横軸は第2の楔161の固定子コア11の内周面111からの距離を百分率で示す。第2の楔161の径方向内側の面が内周面111に一致する場合が0%であり、第2の楔161が内周面111から寸法H1だけ径方向外側に位置する場合が100%である。換言すれば、寸法H1は、ギャップ30からの距離である。なお、図3,図4において左端は、第2の楔161を非磁性材料から形成する場合の比較例である。
第2の楔161が非磁性体である場合、その透磁率は空気と同一であるため、ギャップ30からの高さ寸法H1を変更したとしても、回転子バー23や回転子コア21に発生する損失は変化せず常に一定となる。
これに対し、第2の楔161を磁性体とした場合は、第2の楔161を非磁性体とした場合に比べて、渦電流損は低下する。例えば、図3および図4より、回転子バー23では0.8%低下し、回転子コア21では1.0%低減する。
ギャップ30からの高さ寸法H1をさらに小さくすると、すなわち、第2の楔161をギャップ30に近づけるほど渦電流損は低下する。第2の楔161を基準位置(H1=100%)に設置した場合に比べて、回転子バー23の渦電流損は59.4%まで低下し、回転子コア21の渦電流損は55.8%まで低下する。これは、高調波磁束は、その空間的な分布が基本波と同一であり、固定子10の最内周側を流れやすいためである。
仮に第1の楔15を磁性体にした場合、第2の楔161を配置したときと同様の効果が得られる。しかし、図3および図4より、第1の楔15を磁性体にした場合の効果は、第2の楔161をギャップ30に近づけた場合の効果に比べて小さいと言える。すなわち、高調波磁束は、固定子10の最内周111側を流れやすいため、第1の楔15を磁性体に変更しても、あまり効果はないと考えられる。
換言すれば、第1の楔15は、巻線13を固定子スロット12内に固定するためのものなので、ギャップ30から離れた位置に配置する必要がある。したがって、第1の楔15を磁性体にすることによる、回転子20に発生する渦電流損を低減する効果はわずかなものとなる。
以上から、第1の楔15は、磁性体でも非磁性体のどちらでもよい。第1の楔15の役割は、巻線13を固定子スロット12内に固定することなので、そのために十分な強度が得られれば、材質は問わない。
一方、第2の楔161は、磁性体であるため、高調波磁束による鉄損の影響によって発熱する可能性がある。第2の楔161が発熱すると、第2の楔161を固定子スロット12内に固定するための強度が低下する恐れがある。そこで、本実施例では、特別なエネルギを用いずに第2の楔161を冷却するための機構を固定子10内に設けている。
図5は、回転電機1を横方向から拡大して示す軸方向断面図と、その一部を拡大して示す説明図である。図5に示すように、第1の楔15と第2の楔161との間に設けられたベントスペース17には、固定子10の軸方向端部から冷却風F1が流入する。軸方向端部からの冷却風F2は固定子10と回転子20の間のギャップ30(および固定子スロット12内の隙間31)にも流れる。この冷却構造により、第2の楔161は、径方向内側と径方向外側との両面から、熱伝達によって冷却されることになる。
このように構成される本実施例によれば、固定子スロット12のギャップ30付近に磁性体の第2の楔161を設けるため、高調波磁束が回転子20へ作用するのを低減することができ、回転子20の発熱を抑制できる。さらに、本実施例では、固定子スロット12内に空気の流れるベントスペース17を形成するため、ベントスペース17を流れる空気およびギャップ30(および隙間31)を流れる空気により、第2の楔161をその両面側から空冷することができる。したがって、本実施例では、第2の楔161の鉄損による発熱を抑制することができ、第2の楔161の強度が熱で低下するのを防止し、信頼性を高く保つことができる。
本実施例では、回転子20での発熱抑制と、固定子10に設けた第2の楔161の発熱抑制とが結合することで、回転電機1の信頼性を向上できるようになっている。
図6を参照して、第1実施例の変形例を説明する。回転電機1としての誘導電動機には、巻線13の冷却効果を高めるために、固定子コア11に複数の固定子中間ダクト19が設けられているものがある。図6は、固定子中間ダクト19を有する誘導電動機としての回転電機1を横方向から拡大して示す軸方向断面図と、その一部を拡大して示す説明図である。
固定子コア11には、内周面111から径方向外側に向けて延びる固定子中間ダクト19が、軸方向に離間して複数設けられている。回転子コア21にも、固定子中間ダクト19に対応すべく、シャフト25との接続面から径方向外側に向けて延びる回転子中間ダクト29が、軸方向に離間して複数設けられている。各固定子中間ダクト19と各回転子中間ダクト29とは、位置が揃うようにして形成されている。
固定子中間ダクト19には、通常の場合、回転子中間ダクト29を通過した空気、または固定子10と回転子20の間のギャップ30を通過した空気が流入する。これに対し本実施例では、固定子スロット12内にベントスペース17を形成しているため、巻線13を冷却するための風量を増大することができる。このように構成される変形例も第1実施例と同様の作用効果を奏する。
図7を用いて第2実施例を説明する。本実施例を含む以下の各実施例では、第1実施例との相違を中心に説明する。図7は、本実施例に係る回転電機1Aの固定子10を回転軸方向から見た部分断面を示す。
本実施例における回転電機1Aは、固定子スロット12内に設けられた溝122に複数の楔161A1,161A2を径方向に重ね合わせて密着させて配置し、これら楔161A1と楔161A2との間に隙間を形成しない構造としている。換言すれば、本実施例では、径方向に密着して重ねた複数の楔161A1,161A2から第2の楔161Aを構成している。
楔161A1,161A2は共に磁性体で形成されており、その設置方法や効果は第1実施例に記載の第2の楔161で述べた通りである。第1実施例のように、固定子スロット12内の溝122に第2の楔161を一つだけ設ける場合、回転電機1の運転中に発生する熱や電磁力に対する強度が不足する可能性がある。
第2の楔161の径方向厚みを厚くすれば、強度を高めることができる。しかし、第2の楔161を十分に厚く製造することが難しい場合もある。したがって、本実施例では、複数の楔161A1,161A2を密着させて重ね合わせることで第2の楔161Aを形成する。
これにより、本実施例も第1実施例と同様の作用効果を奏することができる上に、生産性を落とすことなく第2の楔161Aの強度を高めることができ、回転電機1Aの信頼性をさらに向上することができる。なお、第2の楔161Aを構成する楔161A1,161A2の厚みは同一であってもよいし、異なってもよい。また、楔161A1,161A2は、同一の磁性材料から形成してもよいし、場合によっては異なる磁性材料から形成してもよい。
図8を参照して第3実施例を説明する。図8は、本実施例による回転電機1Bの固定子10を回転軸方向から見た部分断面を示す。本実施例における回転電機1Bは、固定子10の径方向内側に(固定子コア11の内周面111側に)非磁性リング40を設置することで、各第2の楔161Bを固定子ティース14と非磁性リング40とによって挟み込んで固定している。
第1実施例と第2実施例では、例えば、固定子スロット12内の溝122に第2の楔161,161Aを挿入した後でワニスによって固める。しかし、この固定方法では、固定子スロット12と第2の楔161,161Aとの接触部分は、固定子10の軸方向端部のみとなる。しかし、第2の楔161には熱や電磁力が働くため、これらの影響に対してワニスによる固定だけでは強度が不十分となる場合がある。
そこで本実施例では、固定子ティース14と非磁性リング40とで各第2の楔161Bを挟み込むように固定することで、より高い強度で第2の楔161Bを固定し、回転電機1Bの信頼性を向上させる。
このように構成される本実施例によれば、第1実施例と同様に、回転子20に発生する渦電流損を低減することができ、回転電機1Bの信頼性を向上できる。ただし本実施例では、第2の楔161Bの径方向内側の面がギャップ30を流れる空気に触れないため、第1実施例に比べて、第2の楔161Bに対する冷却性能が低下する。なお、非磁性リング40をできるだけ熱伝導率の高い非磁性材料から形成することで、冷却性能の低下を抑制することもできる。
図9を参照して第4実施例を説明する。図9は、本実施例による回転電機1Cの固定子10を回転軸方向から見た部分断面を示す。本実施例における回転電機1Cでは、第1実施例と同様に設置した第2の楔161のさらに径方向内側に、磁性体の粉末による磁性膜32を形成している。
第1実施例の回転電機1では、第2の楔161と固定子10の内周面111との間に隙間31が存在した。本実施例では、図2に示す隙間31に磁性膜32を設けることで、隙間31を無くしている。各磁性膜32の径方向内側の面は、固定子コア11の内周面111に一致しており、両者の間に段差はない。
磁性膜32は、第2の楔161と固定子10の内周面111との間に塗りこむように配置した上で、ワニスで固定している。回転電機1Cを運転中の機内温度の上昇により磁性膜32の強度が低下する可能性がある。しかし、本実施例も第1実施例と同様に、磁性膜32によって、回転子20表面の渦電流損とそれに伴う温度上昇とを抑制できるため、ワニスによる固定でも温度上昇に対して十分強度を保つことができる。
このように構成される本実施例では、磁性膜32が固定子コア11の内周面111に一致するようにして設けられるため、固定子10から回転子20へ流入する高調波磁束を、第1実施例よりも抑制することができる。
図10および図11を用いて第5実施例を説明する。本実施例では、回転電機1D,1Eを永久磁石型同期電動機として構成する場合を説明する。
図10は、回転電機1Dを回転軸方向から見た部分断面を示す。回転電機1Dは、第1実施例で述べたと同様の固定子10を備える。本実施例の回転電機1Dは、複数の永久磁石26Dで外周面が取り囲まれた回転子20Dを有する。換言すれば、図10の構成では、回転子コア21Dの外周面には、円弧状の複数の永久磁石26Dが隙間無く取り囲むようにして配置されている。
図11は、回転電機1Eを回転軸方向から見た部分断面を示す。図11の回転電機1Eは、複数の永久磁石26Eが埋設された回転子20Eを有する。固定子10の構成は、第1実施例で述べた通りである。回転子20Eの回転子コア21Eには、周方向に離間する複数の溝(図示せず)が軸方向に延びて形成されている。それらの溝内に永久磁石26Eが挿入されて固定されている。
図10、図11に示すように、永久磁石26D,26Eを配置した回転子20D,26Eの場合、固定子10から回転子20D,20Eへ入り込む高調波磁束の影響により、永久磁石26の表面には渦電流損が発生し、発熱する。図10,図11の構成の場合、誘導電動機とは異なり、永久磁石26D,26Eに熱応力は働かないが、渦電流損に伴う発熱によって、減磁と呼ばれる現象が生じる場合がある。減磁とは、例えば永久磁石26D,26Eの温度上昇により、永久磁石26D,26Eの磁力が低下する現象である。
減磁減少を防止するために、回転子20D,20Eに永久磁石26D,26Eを配置した本実施例でも、高調波磁束をできるだけ低減する方が好ましい。本実施例も第1実施例で述べたと同様の固定子10を有するため、固定子10から回転子20D,20Eへ入り込む高調波磁束を低減できる。これにより、永久磁石型同期電動機として回転電機1D,1Eを構成した場合も、永久磁石26D,26Eの表面での損失および発熱を低減することができ、効率および信頼性を高めることができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。例えば、各実施例で述べた特徴は種々組み合わせることができる。
1,1A,1B,1C,1D,1E:回転電機、10:固定子、11:固定子コア、12:固定子スロット、13:巻線、15:第1の楔、19:固定子中間ダクト、17:ベントスペース、20,20D,20E:回転子、21,21D,21E:回転子コア、25:シャフト、26D,26E:永久磁石、29:回転子中間ダクト、30:ギャップ、31:隙間、32:磁性膜、40:非磁性リング、111:回転子の内周面、161,161A,161B:第2の楔

Claims (8)

  1. 固定子と回転子を備える回転電機であって、
    前記固定子は、
    磁性材料から筒状に形成された固定子コアと、
    前記固定子コアの内周面に周方向に離間して位置し、内周面側が開口して軸方向に形成される固定子スロットと、
    前記各固定子スロットに巻装された巻線と、
    前記巻線を前記固定子スロット内で径方向に保持する第1の楔と、
    前記第1の楔から径方向内側へ離間して設けられ、前記第1の楔との間に空気の流通する通路が形成された第2の楔と、
    を備え、
    前記第2の楔は磁性材料から形成されている、
    回転電機。
  2. 前記回転子は、
    磁性材料から形成される回転子コアと、
    前記回転子コアに周方向に離間して設けられ、かご形二次巻線を構成する回転子バーとを備えて、かご形誘導電動機用の回転子として構成される、
    請求項1に記載の回転電機。
  3. 前記回転子は、
    磁性材料から形成される回転子コアと、
    前記回転子コアの外周面に周方向に離間して配置される複数の永久磁石と、
    を備えて、表面磁石型の永久磁石同期発電機用の回転子として構成される、
    請求項1に記載の回転電機。
  4. 前記回転子は、
    磁性材料から形成される回転子コアと、
    前記回転子コアの内部に周方向に離間して埋設される複数の永久磁石と、
    を備えて、埋込磁石型の永久磁石同期発電機用の回転子として構成される、
    請求項1に記載の回転電機。
  5. 前記第2の楔は、磁性材料から形成される複数の楔を径方向に重ねることで多層構造に形成される、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の回転電機。
  6. 前記固定子の内周面には、非磁性材料から筒状に形成されるリング部材を設け、前記各第2の楔は、前記リング部材と前記各固定子スロット間に形成される固定子ティースとにより、前記固定子コアに固定されて配置される、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の回転電機。
  7. 前記第2の楔の径方向内側の面と前記固定子の内周面との間には、前記固定子と前記回転子の間に形成されるギャップに繋がる隙間が形成されている、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の回転電機。
  8. 前記隙間を埋めるようにして磁性膜が設けられている、
    請求項7に記載の回転電機。
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