JP2017157774A - 半導体発光素子、及びその製造方法 - Google Patents

半導体発光素子、及びその製造方法 Download PDF

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Toshiaki Asai
俊晶 浅井
知也 井上
Tomoya Inoue
知也 井上
浩崇 渡邉
Hirotaka Watanabe
浩崇 渡邉
彰宏 栗栖
Akihiro Kurisu
彰宏 栗栖
中津 弘志
Hiroshi Nakatsu
弘志 中津
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Abstract

【課題】発光層上のコンタクト層での光吸収を低減することができる半導体発光素子、及びその製造方法を提供する。【解決手段】半導体発光素子は、内部に転位を有する第1導電型の第1半導体層と、該第1半導体層上に設けられた発光層と、該発光層の上に設けられた第1導電型とは異なる第2導電型の第2半導体層と、を備える。第1半導体層は、転位に起因する角錐状の凹部を発光層に形成する凹部形成層を有する。第2半導体層は、発光層上及び凹部の内面上に設けられたクラッド層と、該クラッド層上に設けられたコンタクト層と、を有する。コンタクト層の発光層上での膜厚が60[nm]未満である。【選択図】図1

Description

本発明は、半導体発光素子、及びその製造方法に関する。
III族窒化物半導体を用いた半導体発光素子は、一般に、キャリアとしての電子を生成するためのn型ドーパントを含有するn型III族窒化物半導体層と、キャリアとしての正孔を生成するためのp型ドーパントを含有するp型III族窒化物半導体層との間に、III族窒化物半導体を含む発光層を配置して形成されている。そして、この種の半導体発光素子では、複数の井戸層と複数の障壁層とを交互に積層してなる多重量子井戸構造にて、発光層を構成している。
また、半導体発光素子の製造において、たとえば、サファイアなどの異種材料の基板上にGaN系の半導体層を成長させると、格子の不整合に起因する多数の貫通転位が生じる。この貫通転位に対応してV字状の凹部(所謂Vピット)が発光層まで直径を拡大しながら形成される。
本発明に関連する先行技術として、特許文献1は、n型窒化物半導体層、ピット拡張層、発光層、正孔注入層、及びp型窒化物半導体層が順に積層された半導体発光素子を教示している。n型窒化物半導体層にはn型ドーパント(Siなど)がドーピングされている。ピット拡張層は該ピット拡張層を始点とするV字状のピットを該ピット拡張層及び発光層に発生させる。発光層上及びピットの内面上には正孔注入層が設けられている。正孔注入層及びp型窒化物半導体層にはp型ドーパント(Mgなど)がドーピングされている。
特開2015−109383号公報
しかしながら、発光層にて発生した光は発光層の上に設けられるp側コンタクト層で一部吸収されてしまうことが懸念されている。このような問題に対して、特許文献1は何ら言及していない。
本発明は、上記の状況を鑑みて、発光層上のコンタクト層での光吸収を低減することができる半導体発光素子、及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の一の態様による半導体発光素子は、内部に転位を有する第1導電型の第1半導体層と、該第1半導体層上に設けられた発光層と、該発光層の上に設けられた前記第1導電型とは異なる第2導電型の第2半導体層と、を備え、前記第1半導体層は、前記転位に起因する角錐状の凹部を前記発光層に形成する凹部形成層を有し、前記第2半導体層は、前記発光層上及び前記凹部の内面上に設けられたクラッド層と、該クラッド層上に設けられたコンタクト層と、を有し、前記コンタクト層の前記発光層上での膜厚が60[nm]未満である構成とされる。
上記の半導体発光素子は、コンタクト層の発光層上での膜厚X[nm]がクラッド層の膜厚Y[nm]に対して、X≦Y+10を満たす構成であってもよい。
上記の半導体発光素子は、第2半導体層の上面は平坦であって、第2半導体層の下部の一部は凹部内に設けられる構成であってもよい。
上記の半導体発光素子は、クラッド層は、発光層上及び凹部の内面上に設けられた第1クラッド層と、該第1クラッド層上に設けられた第2クラッド層と、からなり、第1クラッド層での第2導電型の不純物濃度は第2クラッド層での第2導電型の不純物濃度よりも少ない構成であってもよい。
上記の半導体発光素子は、コンタクト層にドーピングされた第2導電型の不純物濃度は、1×1019〜1×1020[cm-3]であり、第2クラッド層にドーピングされた第2導電型の不純物濃度よりも大きい構成であってもよい。
また、上記目的を達成するために本発明の一の態様による半導体発光素子の製造方法は、内部に転位を有する第1導電型の第1半導体層上に発光層が設けられるステップと、前記第1導電型とは異なる第2導電型の第2半導体層が前記発光層の上に設けられるステップと、を備え、前記第1半導体層が設けられるステップは、前記転位に起因する角錐状の凹部を前記発光層に形成する凹部形成層が設けられるステップを含み、前記第2半導体層が設けられるステップは、前記発光層上及び前記凹部の内面上にクラッド層が設けられるステップと、該クラッド層上にコンタクト層が設けられるステップと、を含み、前記コンタクト層が設けられるステップにおいて、該コンタクト層の前記発光層上での膜厚が60[nm]未満とされる構成とされる。
上記の半導体発光素子の製造方法において、クラッド層が設けられるステップは、発光層上及び凹部の内面上に第1クラッド層が設けられるステップと、該第1クラッド層上に第2クラッド層が設けられるステップと、を含み、第1クラッド層の成長温度は第2クラッド層の成長温度よりも高い構成であってもよい。
上記の半導体発光素子の製造方法において、第1クラッド層が設けられるステップにおいて、該第1クラッド層には第2導電型の不純物がドーピングされず、第2クラッド層が設けられるステップにおいて、該第2クラッド層には第2導電型の不純物がドーピングされる構成であってもよい。
本発明によると、p側コンタクト層での光吸収を低減することができる半導体発光素子、及びその製造方法を提供することができる。
第1実施形態に係る半導体発光素子の断面構造例を示す縦断面図である。 半導体発光素子内のドーパント(Mg、Al、In)のの濃度分布の一例を示すSIMSデータである。 実施例1〜3及び比較例1〜2におけるp側クラッド層の成長条件及びp側コンタクト層の膜厚を示している。 実施例1及び実施例2におけるn側クラッド層のn型ドーパントの濃度分布を示すグラフである。 実施例1〜3および比較例1〜2の半導体発光素子におけるp側コンタクト層の膜厚と光出力との関係を示す散布図である。 実施例1〜3および比較例1〜2の半導体発光素子におけるp側コンタクト層の膜厚とESD正規化不良率との関係を示す散布図である。 第2実施形態に係る半導体発光素子の断面構造例を示す縦断面図である。 半導体発光素子を備えた半導体発光装置の構成例を示す斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。すなわち、実施の形態の例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に記載がない限り、本発明の範囲を限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。また、使用する図面は、本実施の形態を説明するための一例であり、実際の大きさを表すものではない。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。また、本明細書において、「層上」等の「上」は、必ずしも上面に接触して形成される場合に限定されず、離間して上方に形成される場合や、層と層の間に介在層が存在する場合も包含する意味で使用する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る半導体発光素子100の断面構造例を示す縦断面図である。半導体発光素子100は、図1に示すように、基板110と、中間層120と、下地層130と、n型半導体層140と、発光層240と、p型半導体層320と、透明導電層410と、n側電極510と、p側電極610と、を備えている。半導体発光素子100は、たとえばフェイスアップ型のLED(Light emitting diode;発光ダイオード)であり、発光層240で発光された光をp側電極610側の上面から半導体発光素子100の外部に出射する。なお、以下の説明では必要に応じて、中間層120、下地層130、n型半導体層140、発光層240、及びp型半導体層320をまとめて積層半導体層と呼ぶことがある。
基板110上には中間層120が積層され、中間層120上には下地層130が積層されている。下地層130の上面の一部領域にはn型半導体層140が積層されているとともに、該下地層130の上面の他の一部領域にはn側電極510が設けられている。n型半導体層140上には発光層240が積層され、発光層240上にはp型半導体層320が積層されている。p型半導体層320上には透明導電層410が積層されている。透明導電層410上には、p側電極610が該透明導電層410の上面に設けられている。
半導体発光素子100のp側電極610及びn側電極510間に順方向電圧(VF)をかけると、順方向電流(IF)が半導体発光素子100中に流れて、発光層240から目標波長の光(たとえば発光波長λ=400nm〜465nm程度の青色光)が出力される。なお、順方向電圧(VF)は、p側電極610を高電位とし且つn側電極510を低電位とする電圧である。また、順方向電流(IF)は、p側電極610から、透明導電層410、p型半導体層320、発光層240、及びn型半導体層140を介してn側電極510に向かって流れる電流である。
次に、半導体発光素子100の各構成要素について説明する。尚、以下の説明において、III族窒化物半導体の一例としてのAlGaN、GaN、InGaNに関し、各元素の組成比を省略した形で記述する場合がある。
[基板110]
基板110の材料は、特に限定しないが、たとえばサファイア(Al23)、SiC、シリコン(Si)、GaNなどの材料を選択して用いることができる。本実施形態では、サファイアを用いて基板110を形成している。なお、(0001)面(以下、C面と呼ぶ)を主面とする表面に凹凸加工が施されたサファイア基板を基板110として用いる場合は、図1のように、サファイアのC面上に中間層120(後述するAlNバッファ層)を形成することが好ましい。
[中間層120]
中間層120は、たとえばAlxGa1-xN(0≦x≦1)を用いて形成でき、基板11と下地層130との格子定数の違いを緩和する。特に、C面を主面とするサファイアを基板110に用いた場合、中間層120は基板110のC面上にc軸配向した下地層130の単結晶の形成を容易にする効果がある。中間層120は、多結晶であってもよいが、単結晶であればより好ましい。なお、中間層120は、良好な結晶性を得るために、たとえば有機金属気相成長法(MOCVD法:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)で形成される。或いは、より優れた結晶性を得るために、条件を最適化したスパッタ法で中間層120を形成してもよい。
[下地層130]
下地層130は、たとえばAlxInyGazN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)を用いて形成できる。或いは、より良好な結晶性を得るために、AlxGa1-xN(0≦x<1)を用いて形成されてもよい。下地層130の好ましい厚さは100[nm]以上である。より好ましい厚さは500[nm]以上であり、最も好ましい厚さは1000[nm]以上である。
[n型半導体層140]
電子をキャリアとするn型半導体層140は、本発明の第1導電型の第1半導体層の一例であり、n側コンタクト層141と、Vピット形成層142と、n側クラッド層143と、を含んで構成されている。n側コンタクト層141は下地層130の上面の一部領域上に積層され、Vピット形成層142はn側コンタクト層141上に積層され、n側クラッド層143はVピット形成層142上に積層されている。なお、発光層240は該n側クラッド層143上に積層されている。なお、図1の例示に限定されず、n型半導体層140は下地層130をさらに含んでいてもよい。
n側コンタクト層141は、たとえばAlxGa1-xN(0≦x<1、好ましくは0≦x≦0.5、さらに好ましくは0≦x≦0.1)を用いて形成できる。また、n側コンタクト層141には、n型ドーパント(たとえばSi、Ge、及びSnなどの不純物成分)がドープされていることが好ましい。n型ドーパントの含有濃度は、たとえば1×1017[cm-3]〜1×1020[cm-3]である。より好ましい濃度は2×1018[cm-3]〜5×1019[cm-3]であり、該含有濃度はn側電極51との良好なオーミック接触を維持できる点で好ましい。n側コンタクト層141の層厚は、好ましくは500[nm]〜5000[nm]であり、より好ましくは1000[nm]〜4000[nm]の範囲内で設定される。
Vピット形成層142は、n側コンタクト層141及びn側クラッド層143に接しており、n型半導体層140が内部に有する転位に起因する角錐状(図1ではV字状)の凹部250vを発光層240に形成する。以下では、V字状の凹部250vをVピット250vと呼ぶ。n型半導体層140の内部には、サファイアなどの異種材料の基板110上に積層した窒化ガリウム系半導体において両者間の格子不整に起因して発生する複数の貫通転位が発生している。Vピット形成層142は、該貫通転位の少なくとも一部に起因するVピット250vを発光層240に形成する。このVピット250vの始点はn型半導体層140内の貫通転位の少なくとも1つから延びており、該始点の平均的な位置は発光層240内又はn側クラッド層143内に存在している。なお、図1では、理解を容易にするために、1つのVピット250Vのみを図示しているが、実際には複数のVピット250Vが形成される。
Vピット形成層142はキャリアとしての電子を生成するためのn型ドーパントを含有するn型III族窒化物半導体層であることが好ましい。その層厚はたとえば40nmである。Vピット形成層142でのn型ドーパントの含有濃度は、好ましくは1×1018[cm-3]以上であり、より好ましくは3×1018[cm-3]以上である。このように設定すれば、Vピット形成層142の膜質がn側コンタクト層141の膜質よりも低下するので、Vピット形成層142によるVピット250vの発生効果が有効に発揮される。なお、Vピット形成層142はアンドープ層であってもよい。
n側クラッド層143は、発光層240へのキャリア(ここでは電子)の注入とキャリアの閉じ込めを行なう。n側クラッド層143の全体の膜厚は、好ましくは5[nm]〜500[nm]であり、より好ましくは150[nm]〜250[nm]である。n側クラッド層143のn型ドーパントの含有濃度は、好ましくは1.0×1017[cm-3]〜1.0×1020[cm-3]であり、より好ましくは2.0×1018[cm-3]〜6.0×1018[cm-3]である。
n側クラッド層143は、第1n側クラッド層と第2n側クラッド層とが交互に積層された多層構造を有している。第1n側クラッド層は、たとえば、膜厚が20[nm]以上且つ30[nm]以下であって、組成がInyGa1-yN(0.0≦y≦0.1)であることが好ましい。また、第2n側クラッド層は、たとえば、膜厚が5[nm]以上且つ15[nm]以下であって、組成がInyGa1-yN(0.0<y<0.4)であることが好ましい。
[発光層240]
発光層240は、バンドギャップエネルギーの小さい井戸層241とバンドギャップエネルギーの大きい障壁層242を交互に積層した多重量子井戸構造を有している。井戸層241及び障壁層242のペア数(井戸層241及び障壁層242を1ペアとする)は3以上であればよく、好ましくは3〜50であり、より好ましくは3から20である。ペア数が過度に大きいと、通常、生産性が低下するので好ましくない。
多重量子井戸構造の井戸層241には、通常、InyGa1-yN(0.1<y<0.4)からなるIII族窒化物半導体層が用いられる。井戸層241の膜厚は、量子効果が得られる程度であればよい。該膜厚は、たとえば1[nm]〜10[nm]であり、発光出力の点で好ましくは2[nm]〜6[nm]である。また、障壁層242には、井戸層241よりバンドギャップエネルギーが大きいGaNまたはAlyGa1-yN(0.0≦y≦1.0)を用いることが好ましい。井戸層241及び障壁層242には、設計によりドーパント(不純物成分)をドーピングしてもしなくてもよい。多重量子井戸構造の更なる説明は後述する。
[p型半導体層320]
正孔をキャリアとするp型半導体層320は、本発明の第2導電型の第2半導体層の一例であり、p側クラッド層310と、p側コンタクト層321と、を含んで構成されている。p側クラッド層310は発光層240上及びVピット250vの内面(傾斜面251)上に積層され、p側コンタクト層321はp側クラッド層31上に積層されている。なお、透明導電層41はp側コンタクト層321上に積層される。
p側クラッド層310は、発光層240へのキャリア(ここでは正孔)の注入とキャリアの閉じ込めを行なう。p側クラッド層310は、好ましくはAlxGa1-xN(0<x≦0.4)を用いて形成されている。p側クラッド層310の膜厚は、好ましくは5[nm]〜100[nm]であり、より好ましくは10[nm]〜60[nm]である。
このp側クラッド層310は、発光層240及びVピット250vの傾斜面251上に積層される第1p側クラッド層311と、該第1p側クラッド層311上に積層される第2p側クラッド層312と、を有している。なお、第2p側クラッド層312上にはp側コンタクト層321が積層されている。
第1p側クラッド層311には、p型ドーパント(たとえばMgなどの不純物成分)の意図的なドーピングはされていない。こうすれば、p型半導体層320におけるn型半導体層140及び発光層240に近い部分での結晶品質を向上させることができる。従って、Vピット250vの先端部分での電流リークの発生を抑制できる。これは半導体発光素子100の光出力の向上及びリーク不良の低減に寄与する。なお、第2p側クラッド層312の成長過程においてp型ドーパントが第1p側クラッド層311に拡散する(後述の図2参照)。そのため、第1p側クラッド層311は若干のp型ドーパントを含有しているが、その含有濃度は第2p側クラッド層312よりも低い。
第2p側クラッド層312には、p型ドーパント(たとえばMg)が意図的にドーピングされており、その含有濃度は、好ましくは1×1019[cm-3]〜1×1021[cm-3]であり、より好ましくは1×1019[cm-3]〜1×1020[cm-3]である。
p側コンタクト層321は、透明導電層410をp型半導体層320上に積層するために設けられており、発光層240へのキャリア(ここでは正孔)の注入層としても機能する。p側コンタクト層321は、好ましくはAlxGa1-xN(0≦x≦0.4)を用いて形成され、p型ドーパント(たとえばMg)を含んでいる。p側コンタクト層321のp型ドーパントの含有濃度は、好ましくは1×1018[cm-3]〜1×1021[cm-3]であり、より好ましくは1×1019[cm-3]〜1×1020[cm-3]である。この濃度であれば、p側コンタクト層321上に設けられる透明導電層410とのコンタクト抵抗を低減することができるので、半導体発光素子100の動作電圧を低くすることができる。さらに、p側コンタクト層321のp型ドーパントが発光層240に拡散することによって発生する発光層240の結晶劣化と半導体発光素子100の光出力の低下とを抑制又は防止することができる。
p側コンタクト層321の透明電極層410と接する上面は(特にVピット250v上においても)平坦となっている。また、Vピット250v上において、p側コンタクト層321の下部はVピット250v内に突出して設けられている。すなわち、p側コンタクト層321は、p側クラッド層310とともにVピット250v内に充填されてその上面を平坦することができる。こうすれば、ESD不良のような欠陥に由来する不良を低減することができる。さらに、p型半導体層320から発光層240にキャリアを効率良く注入して、半導体発光素子100の光出力をさらに向上させることができる。
また、p側コンタクト層321の発光層240上(すなわちVピット250v上以外)での膜厚は、好ましくは5[nm]〜200[nm]であり、より好ましくは20[nm]〜100[nm]であり、さらに好ましくは60[nm]未満である。特に、60[nm]未満であれば、p型ドーパントに起因するp側コンタクト層312での光吸収を効果的に低減することができる。
さらに、p側コンタクト層312の発光層240上での膜厚X[nm]は、p側クラッド層311の膜厚Y[nm]に対して、X≦Y+10を満たすことが好ましい。こうすれば、p側コンタクト層312内のp型ドーパントに起因する光吸収をさらに低下させて、半導体発光素子100の光出力をさらに向上させることができる。
[透明導電層410]
透明導電層410は、n側電極510を形成するためにエッチング等の手段によって一部が除去された積層半導体層の上面のほぼ全面を覆うように形成されている。
透明導電層410は、Inを含む導電性の酸化物を用いて形成される。該酸化物としては、たとえば、ITO(酸化インジウム錫;In23−SnO2)、IZO(酸化インジウム亜鉛;In23−ZnO)、IGO(酸化インジウムガリウム;In23−Ga23)、ICO(酸化インジウムセリウム;In23−CeO2)などが挙げられる。透明導電層410の膜厚は、特に制限されないが、たとえば10[nm]〜500[nm]の範囲内に設定される。
[n側電極510及びp側電極610]
n側電極510及びp側電極610は、複数種の金属層を積層して構成されている。本実施形態では、n側電極510は、所謂ボンディングパッドを兼ねており、外部に露出する面に図示しないボンディングワイヤが接続されている。また、p側電極610には、発光層240に対して均一に電流を供給するため、細線形状の延伸部が設けられている。該延伸部は、発光層240の大きさ及び形状に応じて、その長さ、太さ、及び本数などとその好適な形状とを設計できる。積層半導体層の上面の法線方向から見た平面視におけるn側電極510及びp側電極610の形状には、任意の形状(たとえば円形状、多角形状など)を選択できる。
[多重量子井戸構造]
多重量子井戸構造は7つの井戸層241と7つの障壁層242とを含んで構成されている。なお、以下の説明では、7つの井戸層241を順に第1〜第7井戸層2411〜2417と呼び、7つの障壁層242を順に第1〜第7障壁層2421〜2427と呼ぶ。但し、7つの井戸層2411〜2417を総称する場合にはこれらを単に井戸層241と呼び、7つの障壁層2421〜2427を総称する場合にはこれらを単に障壁層242と呼ぶ。
図1に示すように、n側クラッド層143(より詳しくは第1n側クラッド層)上には第1井戸層2411が積層され、第1井戸層2411上には第1障壁層2421が積層されている。第1障壁層2421上には第2井戸層2412が積層され、第2井戸層2412上には第2障壁層2422が積層されている。第2障壁層2422上には第3井戸層2413が積層され、第3井戸層2413上には第3障壁層2423が積層されている。第3障壁層2423上には第4井戸層2414が積層され、第4井戸層2414上には第4障壁層2424が積層されている。第4障壁層2424上には第5井戸層2415が積層され、第5井戸層2415上には第5障壁層2425が積層されている。第5障壁層2425上には第6井戸層2416が積層され、第6井戸層2416上には第6障壁層2426が積層されている。第6障壁層2426上には第7井戸層2417が積層され、第7井戸層2417上には第7障壁層2427が積層されている。
このように、発光層240の多重量子井戸構造では、1つの井戸層241が、1つの障壁層242及びn側クラッド層143、又は、2つの障壁層242によって挟み込まれている。また、多重量子井戸構造のn型半導体層140(n側クラッド層143)と接する側には第1井戸層2411が位置し、p型半導体層320(p側クラッド層310)と接する側には第7障壁層2427が位置している。
[Vピット250v]
発光層240には、図1に示すように、p型半導体層320のp側クラッド層310側に開口した角錐状のVピット250vが生じている。このVピット250vは、斜面251を有し、たとえばn型半導体層14の貫通転位に起因して形成される。GaN系半導体などは、サファイアなどの六方晶系の材料を用いた基板110上に成長させる場合、基板110のC面(0001面)又は該C面から任意のオフ角を有する面上で成長する。このように、異種材料の基板110上にGaN系半導体などのn型半導体層140を成長させると、n型半導体層140には、格子不整に起因する多数の貫通転位が形成される。そして、n型半導体層140上に積層した発光層240には、その下地のn型半導体層140に生じた貫通転位に起因して、Vピット250vが形成される。
発光層240にVピット250vが形成された半導体発光素子では、Vピット250vの斜面251で複数の井戸層241の端部がp型半導体層320と直接に接触するため、その接触部の近傍部分(すなわちVピット250vの斜面251の近傍部分)の電気抵抗が低下する。たとえば、図1に示す半導体素子100において、n側電極510を高電位とし且つp側電極610を低電位とする逆方向電圧(たとえばVR=1000V)を印加した場合、Vピット250vにおいて発光層240の井戸層241からp側クラッド層310に逆方向電流(IR)が流れやすい。これは、井戸層241の端部が、p側クラッド層310のうちのVピット250v内に埋め込まれた部分321aに露出して直接に接するためと考えられる。発光層240では薄膜の井戸層241と障壁層242とを交互に積層させているので、Vピット250vの底、及びn側クラッド層143に近い井戸層241は埋め込まれにくく、上記の逆方向電流(IR)は、n側クラッド層143に近い井戸層241から特に流れやすい傾向がある。
<半導体発光素子100の製造方法>
次に、半導体発光素子100の製造方法を説明する。多重量子井戸構造からなる発光層240を有する半導体発光素子100の製造方法は第1〜第4の工程を含んでいる。
(第1の工程)
まず、サファイアなどからなる基板110上に、例えば、MOCVD法により、中間層120及び下地層130が順に積層される。次いで、下地層130上に、n型半導体層140(すなわちn側コンタクト層141、Vピット形成層142、及びn側クラッド層143)が積層される。なお、n型半導体層140は、水素雰囲気で、基板110の温度を900[℃]〜1200[℃]の範囲内にして成長させることが好ましい。また、n側コンタクト層141はトリメチルガリウム(TMG)などのIII族金属の有機金属原料とアンモニア(NH3)などの窒素原料とを用いて成長させる。MOCVD法における圧力条件は、好ましくは15[kPa]〜80[kPa]であり、より好ましくは15〜60[kPa]である。キャリアガスには、窒素ガス、水素ガス、又は、水素ガス及び窒素ガスの混合ガスが使用される。
(第2の工程)
第2の工程では、有機金属気相成長法(MOCVD法)によって発光層240がn型半導体層140上に積層される。この工程では、InGaNを含む井戸層241と障壁層242とが交互に積層した多重量子井戸構造からなる発光層240に、Vピット250vが形成される。
まず、井戸層242と障壁層241とを交互に繰返し積層して、n型半導体層140上に発光層240を形成する。本実施形態では、前述した第1の工程において、基板110(たとえばサファイア基板)上にGaN系半導体などのn型半導体層140を成長させることにより、格子不整に起因して多数の貫通転位が形成される。そして、n型半導体層140上に積層する発光層240には、下地のn型半導体層140に生じた貫通転位に起因して、Vピット250vが形成される。
本実施形態では、井戸層242は、青色発光を呈する構成とするため、InyGa1-yN(0.1<y<0.25)なる組成のIII族窒化物半導体を用いて形成される。なお、井戸層241及び障壁層242の組成及び膜厚は、発光波長が所定値となるように適宜設定することができる。また、発光層240の成長の際、キャリアガスとして窒素ガスを用いることができる。また、多重量子井戸構造の発光層240の場合、InyGa1-yNを井戸層242とし、井戸層242よりバンドギャップエネルギーが大きいGaNを障壁層241とすることが好ましい。また、障壁層241及び井戸層242には、ドーパントをドーピングしても良いしドーピングしなくてもよい。
障壁層242を成長させる際にはトリエチルガリウム(TEG)等のIII族金属の有機金属原料を供給する。同時に、アンモニア(NH3)及び窒素(N2)などの原料ガスを供給する。Si等をドーピングするため、ジシラン(Si26)などの原料ガスを供給する場合もある。また、井戸層242を成長させる際には、原料として、トリエチルガリウム(TEG)とトリメチルインジウム(TMI)とを、アンモニア(NH3)及び窒素(N2)ガスとともに供給する。
(第3の工程)
次に、発光層240上にp側クラッド層310とp側コンタクト層321とを順に積層して、p型半導体層320を形成する。すなわち、まず、成長温度を上げて、発光層240上及びVピット250vの内面(傾斜面251)上に第1p側クラッド層311をたとえば1030℃で成長させる。このとき、p型ドーパントの原料となる有機金属ガスは供給しない。このように、その後、成長温度を下げて、p型ドーパントの原料となるたとえばCp2Mg(ビスシクロペンタジエ二―ル・マグネシウム)などの有機金属ガスを供給しつつ、第2p側クラッド層312をたとえば930℃で成長させる。なお、第2p側クラッド層312が成長する際、p型ドーパントを意図的にはドーピングしなかった第1p側クラッド層311にも第2p側クラッド層312からp型ドーパントが拡散する。そのため、第1p側クラッド層311は実質的に第2p側クラッド層312p型よりも少ない濃度のp型ドーパントがドーピングされた状態となる。この後、上記の有機金属ガスを供給しつつ、p側コンタクト層321をp側クラッド層310上に成長させる。
図2は、半導体発光素子100内のドーパント(Mg、Al、In)の濃度分布の一例を示すSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)データである。図2に示すように、Alを多く含む層(つまりp側クラッド層320)は2層に分かれており、発光層240側の層(つまり第1p側クラッド層311)のMg濃度が相対的に低く、p側コンタクト層321側の層(つまり第2p側クラッド層312)のMg濃度は相対的に高くなっている。なお、第1p側クラッド層311にMgが検出されている理由は、Mgが第1p側クラッド層312から拡散するためである。
このように、第1p側クラッド層311の成長温度を第2クラッド層312の成長温度よりも高くすれば、第1クラッド層311の2次元成長を促進して、凹部250v内を部分的或いは完全に第1クラッド層311で充填することができる。従って、第2クラッド層312上に設けるコンタクト層321の膜厚が薄くても、凹部250v上におけるコンタクト層321の上面を完全に平坦化できる。さらに、第1p側クラッド層311を比較的に高い温度で成長させて該第1p側クラッド層311に意図的なp型ドーパントのドーピングを施さないことにより、p型半導体層320におけるn型半導体層140及び発光層240に近い領域の結晶品質を向上させることができる。これにより、角錐状のVピット250vの先端部分での電流リークの発生を抑制でき、半導体発光素子100の光出力の向上、及びリーク不良の低減に寄与できる。
次に、積層半導体層のp型半導体層320の上の一部に透明絶縁層(不図示)を積層する。さらに、n側電極510を形成するため、エッチングなどの手段を用いてp型半導体層320の一部を除去する。そして、残ったp型半導体層320の上面のほぼ全面を覆うように、透明導電層410を積層する。続いて、透明導電層410の上面に電極層を積層して、たとえばフォトリソグラフィーの手法を用いて所定の領域以外の部分を除去することにより、透明導電層410上にp側電極610を形成する。続いて、フォトリソグラフィーの手法によりパターニングを行って、所定の領域の積層半導体層の一部をエッチングすることにより、n側コンタクト層141の一部を露出させ、半導体露出面141aを形成する。次いで、その半導体露出面141a上にn側電極510を形成する。
(第4の工程)
第1〜第3の工程後、基板110のサファイアウエハをチップ状に分割することにより、半導体発光素子100が製造される。
次に、実施例1〜3及び比較例1〜2を挙げて、本実施形態の半導体発光素子100についてさらに詳細に説明する。但し、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。図3は、実施例1〜3及び比較例1〜2でのp側クラッド層310の成長条件及びp側コンタクト層321の膜厚を示している。図4は、実施例2及び実施例3におけるn側クラッド層143のn型ドーパントの濃度分布を示すグラフである。
(実施例1)
実施例1では、C面を主面とするサファイアからなる基板110上に、MOCVD法により、AlNからなる中間層120、GaNからなる下地層130を順に積層した。次いで、下地層130上にn側コンタクト層141、Vピット形成層142、及びn側クラッド層143を順に積層した。なお、n側コンタクト層141は、Siをn型ドーパントとするn−GaNで構成した。Vピット形成層142はn−GaNで構成し、その層厚は45[nm]とした。n側クラッド層143は、層厚12.5[nm]の n−In0.04Ga0.96Nと、層厚30[nm]のn−GaNを1周期とする計4周期からなる多層構造とした。
続いて、n側クラッド層143上に、MOCVD法により、InGaNからなる井戸層241とGaNからなる障壁層242とを交互に繰り返し積層し、7つの井戸層241と7つの障壁層242とを含む14層で構成されている発光層240を積層した。
次に、MOCVD法により、第7障壁層2427上に、膜厚40[nm]のp−AlGaNからなるp側クラッド層310を積層した。この際、第1p側クラッド層311の膜厚は10[nm]とし、Mgをp型ドーパントとする第2p側クラッド層312の膜厚は30[nm]とした。そして、p側クラッド層310上に、Mgをp型ドーパントとする膜厚40[nm]のp−GaNからなるp側コンタクト層321を積層した。
(実施例2)
実施例2では、図4に示すように、n側クラッド層143でのn型ドーパント(たとえばSi)の含有濃度を一定(たとえば4.0×1018[cm-3])とした。図4は、実施例1及び実施例2におけるn側クラッド層143のn型ドーパント濃度を示すグラフである。その他の条件は実施例1と同様とした。なお、図4において、LSi1は実施例1の半導体発光素子100内でのSi(n型ドーパント)の分布を示し、LSi2は実施例2の半導体発光素子100内でのSiの分布を示している。また、LIn1は実施例1の半導体発光素子100内でのInの分布を示し、LSi2は実施例2の半導体発光素子100内でのInの分布を示している。
(実施例3)
実施例3ではさらに、図3に示すように、第1p側クラッド層311及び第2p側クラッド層312を相対的に低い成長温度(930℃)で成長させた。その他の条件は実施例2と同様とした。
(比較例1、2)
次に、本発明の効果を検証するために、図3に示すように、比較例1ではp側コンタクト層321の層厚を100[nm]とし、比較例2ではp側コンタクト層321の層厚を60[nm]とした。また、比較例1、2では、第1p側クラッド層311及び第2p側クラッド層312を相対的に低い成長温度(930℃)で成長させた。その他の構造は実施例1と同様とした。
<光出力の評価>
実施例1〜3及び比較例1〜2の半導体発光素子100に20mAの電流を印加して、光出力Poを測定した。図5は、実施例1〜3および比較例1〜2の半導体発光素子100におけるp側コンタクト層321の膜厚と光出力Poとの関係を示す散布図である。図5では、各々に測定した光出力Poの値を、その発光波長と光出力(Po)の関係から発光波長452[nm]に換算し直してグラフ化している。
実施例1〜3の半導体発光素子100は比較例1、2の半導体発光素子に比べ、非常に高い光出力であることが確認された。これはp側コンタクト層321を薄膜化することで、発光層240で発光した光のp側コンタクト層321での吸収が低減されたためと考えられる。対して、比較例2の光出力は比較例1に比べて高くなっているが、比較例1、2の光出力Poは実施例1〜3に比べて低い。
<ESD正規化不良率の評価>
次に、実施例1〜3および比較例1〜2の半導体発光素子100のESD正規化不良率の評価結果について説明する。図6は、実施例1〜3および比較例1〜2の半導体発光素子100におけるp側コンタクト層321の膜厚とESD正規化不良率との関係を示す散布図である。図6では、実施例1〜3及び比較例1〜2の半導体発光素子100に、個々の素子に分割する前のウエハの状態で、p側電極610及びn側電極510間に1000Vの逆方向電圧(VR)を印加するESD(electrostatic discharge:静電気放電)印加試験を行ない、ESD正規化不良率を評価した結果を示している。
実施例1、2の半導体発光素子100は実施例3の半導体発光素子100に比べ、非常に低いESD正規化不良率であることが確認された。実施例1、2では、p側クラッド層310を2層に分け、発光層240側の第1p側クラッド層311を相対的に高温(1030℃)で成長させることによりVピット250vの傾斜面251での横方向成長を促している。そのため、Vピット250vを埋め込み易くなる。第2p側クラッド層312でVピット250vを埋め込むことにより、p型半導体層320からn側クラッド層143に近い井戸層242への逆方向電流(IR)を抑制させることができる。これによりESD不良率を低減することができる。
なお、実施例3で、ESD正規化不良率が高い理由は次のように考えられる。すなわち、実施例3では、p側コンタクト層321を薄くすることにより光出力Poが増加した一方で、第1p側クラッド層311の低温成長によってp型半導体層320(特にp側コンタクト層321)によるVピット250vの埋め込みが弱くなる。そのため、Vピット250vに起因するESD正規化不良が発生したと考えられる。但し、ESD正規化不良は、発光素子の使用方法などによって、回避可能である。
以上、本実施形態によれば、半導体発光素子100は、内部に転位を有する第1導電型(n型)の第1半導体層140と、該第1半導体層140上に設けられた発光層240と、該発光層240の上に設けられた第1導電型(n型)とは異なる第2導電型(p型)の第2半導体層320と、を備える。第1半導体層140は、転位に起因する角錐状の凹部250vを発光層240に形成する凹部形成層142を有する。第2半導体層320は、発光層240上及び凹部250vの内面251上に設けられたクラッド層311と、該クラッド層311上に設けられたコンタクト層312と、を有する。コンタクト層312の発光層240上での膜厚が60[nm]未満である。
こうすれば、クラッド層311は発光層240上だけでなく該発光層240に形成される凹部250vの内面251上に設けられて電子の閉じ込め層として作用し、コンタクト層312はクラッド層311上に設けられる。そのため、クラッド層311及びコンタクト層312を有する第2半導体層320を凹部250v内に充填して正孔注入層として作用させ、半導体発光素子100の光出力を高めることができる。また、コンタクト層312の発光層240上での膜厚が60[nm]未満であるので、コンタクト層312内の第2導電型の不純物(たとえばp型のドーパント)に起因する光吸収を低減することができる。従って、半導体発光素子100の光取り出し効率を向上できるので、光出力をさらに向上させることができる。
上記の半導体発光素子100では、コンタクト層312の発光層240上での膜厚X[nm]がクラッド層311の膜厚Y[nm]に対して、X≦Y+10を満たす。
こうすれば、コンタクト層312内の第2導電型の不純物に起因する光吸収をさらに低下させて、半導体発光素子100の光出力をさらに向上させることができる。
上記の半導体発光素子100では、第2半導体層320の上面は平坦であって、第2半導体層320の下部の一部は凹部250v内に設けられる。
こうすれば、発光層240に形成される凹部250v内を第2半導体層320で充填してその上面を平坦することができる。従って、ESD不良のような欠陥に由来する不良を低減することができる。さらに、第2半導体層320の下部の一部は凹部250v内に設けられるため、第2半導体層320から発光層240に正孔を効率良く注入して、半導体発光素子100の光出力をさらに向上させることができる。
上記の半導体発光素子100では、クラッド層310は、発光層240上及び凹部250vの内面251上に設けられた第1クラッド層311と、該第1クラッド層311上に設けられた第2クラッド層312と、からなり、第1クラッド層311での第2導電型(p型)の不純物濃度は第2クラッド層での第2導電型の不純物濃度よりも少ない。
こうすれば、第2導電型(p型)の不純物の含有濃度は第1クラッド層311の方が第1クラッド層312よりも少ないため、第2半導体層320における第1半導体層140及び発光層240に近い領域での結晶品質を向上させることができる。これにより、角錐状の凹部250vの先端部分での電流リークの発生を抑制でき、半導体発光素子100の光出力の向上、及びリーク不良の低減に寄与できる。
上記の半導体発光素子100では、コンタクト層321にドーピングされた第2導電型(p型)の不純物濃度は、1×1019〜1×1020[cm-3]であり、第2クラッド層312にドーピングされた第2導電型(p型)の不純物濃度よりも大きい。
こうすれば、コンタクト層321上に設けられる透明導電層410とのコンタクト抵抗を低減することができるので、半導体発光素子100の動作電圧を低くすることができる。さらに、コンタクト層321のドーパント(第2導電型の不純物)が発光層240に拡散することに起因する発光層240の結晶劣化と半導体発光素子100の光出力の低下とを抑制又は防止することができる。
また、本実施形態によれば、半導体発光素子100の製造方法は、内部に転位を有する第1導電型(n型)の第1半導体層140上に発光層240が設けられるステップと、第1導電型(n型)とは異なる第2導電型(p型)の第2半導体層320が発光層240の上に設けられるステップと、を備え、第1半導体層140が設けられるステップは、転位に起因する角錐状の凹部250vを発光層240に形成する凹部形成層142が設けられるステップを含み、第2半導体層320が設けられるステップは、発光層240上及び凹部250vの内面251上にクラッド層310が設けられるステップと、該クラッド層上310にコンタクト層321が設けられるステップと、を含み、コンタクト層321が設けられるステップにおいて、該コンタクト層321の発光層240上での膜厚が60[nm]未満とされる。
こうすれば、クラッド層311は発光層240上だけでなく該発光層240に形成される凹部250vの内面251上に設けられて電子の閉じ込め層として作用し、コンタクト層312はクラッド層311上に設けられる。そのため、クラッド層311及びコンタクト層312を有する第2半導体層320を凹部250v内に充填して正孔注入層として作用させ、半導体発光素子100の光出力を高めることができる。また、コンタクト層312の発光層240上での膜厚が60[nm]未満であるので、コンタクト層312内の第2導電型の不純物に起因する光吸収を低減することができる。従って、半導体発光素子100の光取り出し効率を向上できるので、光出力をさらに向上させることができる。
上記の半導体発光素子100の製造方法において、クラッド層310が設けられるステップは、発光層240上及び凹部250vの内面251上に第1クラッド層311が設けられるステップと、該第1クラッド層311上に第2クラッド層312が設けられるステップと、を含み、第1クラッド層311の成長温度は第2クラッド層312の成長温度よりも高い。
こうすれば、第1クラッド層311の成長温度を比較的に高くすれば、該第1クラッド層311の2次元成長を促進して、凹部250v内を部分的或いは完全に第1クラッド層311で充填することができる。従って、第2クラッド層312上に設けるコンタクト層321の膜厚が薄くても、凹部250v上におけるコンタクト層321の上面を完全に平坦化できる。
さらに、上記の半導体発光素子100の製造方法において、第1クラッド層311が設けられるステップにおいて、該第1クラッド層311には第2導電型の不純物がドーピングされず、第2クラッド層312が設けられるステップにおいて、該第2クラッド層312には第2導電型の不純物がドーピングされる。
こうすれば、第1クラッド層311を比較的に高い温度で成長させて該第1クラッド層311に意図的な第2導電型(p型)の不純物のドーピングを施さないことにより、第2半導体層320における第1半導体層140及び発光層240に近い領域の結晶品質を向上させることができる。これにより、角錐状の凹部250vの先端部分での電流リークの発生を抑制でき、半導体発光素子100の光出力の向上、及びリーク不良の低減に寄与できる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、n型半導体層140が超格子層144をさらに含む。以下では、第1実施形態と異なる構成について説明する。また、第1実施形態と同様の構成部には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
図7は、第2実施形態に係る半導体発光素子100の断面構造例を示す縦断面図である。図7の半導体発光素子100では、n側クラッド層143と発光層240との間に超格子層144が設けられている。
超格子層143は、発光層240の特性の更なる向上のために設けられた層であり、バンドギャップエネルギーが相対的に大きなワイドバンドギャップ層と、バンドギャップエネルギーが相対的に小さなナローバンドギャップ層とが交互に積層された超格子構造を有する。ワイドバンドギャップ層及びナローバンドギャップ層は、たとえばAlxInyGazN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)を用いて形成できる。超格子構造の一周期の長さは、発光層240の(井戸層/障壁の)交互積層構造の一周期の長さよりも短いことが好ましく、たとえば1[nm]以上10[nm]以下とされる。
Vピット形成層142及び発光層240間に超格子層143を設けることにより、Vピット形成層142を発光層240から離隔することができる。これにより、Vピット250vの始点の平均的な位置をn型半導体層140に近づけたり発光層240(少なくとも発光層240の上部)内に存在しないようにしたりすることができる。但し、超格子層143の厚さが大きすぎると発光層240の結晶品質の劣化を招くおそれがある。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、半導体発光素子100が半導体発光装置1に搭載される。以下では、第1及び第2実施形態と異なる構成について説明する。また、第1及び第2実施形態と同様の構成部には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
図8は、半導体発光素子100を備えた半導体発光装置1の構成例を示す斜視図である。半導体発光装置1において、半導体発光素子100は、図8に示すように、サブマウント2を介してステム3上にマウントされ、ワイヤ4によってリードピン5と電気的に接続される。そして、キャップ6がステム3上に溶接されることにより、キャンパッケージ型の半導体レーザ装置(半導体光学装置)1に組み立てられる。
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、上述の実施形態は例示であり、その各構成要素及び各処理の組み合わせに色々な変形が可能であり、本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
1 半導体発光装置
2 サブマウント
3 ステム
4 ワイヤ
5 リードピン
6 キャップ
100 半導体発光素子
110 基板
120 中間層(AlNバッファ層)
130 下地層
140 n型半導体層
141 n側コンタクト層
142 Vピット形成層
143 n側クラッド層
144 超格子層
240 発光層
241、2411〜2417 井戸層
242、2421〜2427 障壁層
250v Vピット(V字状の凹部)
251 斜面
320 p型半導体層
310 p側クラッド層
311 第1p側クラッド層
312 第2p側クラッド層
321 p側コンタクト層
410 透明導電層
510 n側電極
610 p側電極

Claims (8)

  1. 内部に転位を有する第1導電型の第1半導体層と、該第1半導体層上に設けられた発光層と、該発光層の上に設けられた前記第1導電型とは異なる第2導電型の第2半導体層と、を備え、
    前記第1半導体層は、前記転位に起因する角錐状の凹部を前記発光層に形成する凹部形成層を有し、
    前記第2半導体層は、前記発光層上及び前記凹部の内面上に設けられたクラッド層と、該クラッド層上に設けられたコンタクト層と、を有し、
    前記コンタクト層の前記発光層上での膜厚が60[nm]未満である半導体発光素子。
  2. 前記コンタクト層の前記発光層上での前記膜厚X[nm]が前記クラッド層の膜厚Y[nm]に対して、X≦Y+10を満たす請求項1に記載の半導体発光素子。
  3. 前記第2半導体層の上面は平坦であって、
    前記第2半導体層の下部の一部は前記凹部内に設けられる請求項1又は請求項2に記載の半導体発光素子。
  4. 前記クラッド層は、前記発光層上及び前記凹部の内面上に設けられた第1クラッド層と、該第1クラッド層上に設けられた第2クラッド層と、からなり、
    前記第1クラッド層での前記第2導電型の不純物濃度は前記第2クラッド層での前記第2導電型の不純物濃度よりも少ない請求項1〜請求項3のいずれかに記載の半導体発光素子。
  5. 前記コンタクト層にドーピングされた前記第2導電型の不純物濃度は、1×1019〜1×1020[cm-3]であり、前記第2クラッド層にドーピングされた前記第2導電型の不純物濃度よりも大きい請求項4に記載の半導体発光素子。
  6. 内部に転位を有する第1導電型の第1半導体層上に発光層が設けられるステップと、
    前記第1導電型とは異なる第2導電型の第2半導体層が前記発光層の上に設けられるステップと、を備え、
    前記第1半導体層が設けられるステップは、前記転位に起因する角錐状の凹部を前記発光層に形成する凹部形成層が設けられるステップを含み、
    前記第2半導体層が設けられるステップは、前記発光層上及び前記凹部の内面上にクラッド層が設けられるステップと、該クラッド層上にコンタクト層が設けられるステップと、を含み、
    前記コンタクト層が設けられるステップにおいて、該コンタクト層の前記発光層上での膜厚が60[nm]未満とされる半導体発光素子の製造方法。
  7. 前記クラッド層が設けられるステップは、前記発光層上及び前記凹部の内面上に第1クラッド層が設けられるステップと、該第1クラッド層上に第2クラッド層が設けられるステップと、を含み、
    前記第1クラッド層の成長温度は前記第2クラッド層の成長温度よりも高い請求項6に記載の半導体発光素子の製造方法。
  8. 前記第1クラッド層が設けられるステップにおいて、該第1クラッド層には前記第2導電型の不純物がドーピングされず、
    前記第2クラッド層が設けられるステップにおいて、該第2クラッド層には前記第2導電型の不純物がドーピングされる請求項7に記載の半導体発光素子の製造方法。
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