JP2017155847A - 遮熱層及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材1に形成された遮熱層11は、多数の中空粒子12と中空粒子を基材に保持すると共に上記中空粒子間を埋めて当該遮熱層の母材を形成するシリコーン系バインダ13とを備え、このバインダにナノ粒子14が分散している。熱収縮によって内部に発生する引張応力がバインダ中のナノ粒子によって分散されて、不均一な応力集中が防がれる。そのため、遮熱層の熱収縮によるクラックの発生が抑制され、また、クラックが入っても、その進展が抑制される。
【選択図】図3
Description
中空粒子と、バインダ用の反応性シリコーンと、該反応性シリコーンのシラノール基と反応して化学的に結合する官能基を有するナノ粒子との混合物を調製する工程と、
上記混合物を基材に塗布する工程と、
上記基材に塗布された混合物を焼成する工程とを備え、
上記焼成により、上記反応性シリコーンを架橋硬化させるとともに、上記ナノ粒子をその官能基によって反応性シリコーンに化学的に結合させて、上記基材に上記中空粒子とナノ粒子とバインダよりなる遮熱層を形成することを特徴とする。
図2に示すように、ピストン1の頂面に遮熱層11が形成されている。図3に示すように、遮熱層11は、無機酸化物よりなる多数の中空粒子12と、この中空粒子12をピストン1に保持すると共に中空粒子12間を埋めて当該遮熱層11の母材(マトリックス)を形成するシリコーン系のバインダ13とを備え、バインダ13にはナノ粒子14が分散している(図3では、ナノ粒子14を点々で表している。)。
上記遮熱層は以下に述べる方法によって製造することができる。この製造方法は、中空粒子と、バインダ用の反応性シリコーンと、ナノ粒子との混合物を調製する工程と、この混合物を基材に塗布する工程と、この基材に塗布された混合物を焼成する工程とを備えている。この焼成により、反応性シリコーンを架橋硬化させて、上記基材に上記中空粒子とナノ粒子とバインダよりなる遮熱層を形成することができる。
−サンプル1−
中空粒子としてのアルミノシリケート製微細バルーン(平均粒径3〜7μm,中空率80%)、反応性シリコーンとしての信越化学社製シリコーン樹脂KR−251、並びに無機ナノ粒子としてのシリカ製ナノバルーン(平均粒径100nm,中空率57%)を準備した。KR−251は、メチル系ストレートシリコーン樹脂を二官能化させ、さらに高分子化させたものである。
中空粒子としてホウケイ酸ガラス製のガラスバルーン(平均粒径20μm,中空率80%)と、反応性シリコーンとしてのKR−251とを準備した。このガラスバルーンとKR−251をディスパーサで攪拌混合し、得られた混合物(遮熱材料)をサンプル1と同様に基材にスプレーで塗布し、加熱焼成して遮熱層を形成した。
中空粒子としてガラスバルーンに代えてアルミノシリケート製微細バルーン(平均粒径3〜7μm,中空率80%)を採用する他は、サンプル2と同様にして遮熱層を形成した。
中空粒子としての微細バルーンと反応性シリコーンとしてのKR−251をディスパーサで攪拌混合した後に、微細バルーンの一部を超音波破砕する工程を追加する他は、サンプル3と同様にして遮熱層を形成した。
サンプル1〜4を加熱してその温度を室温から500℃まで1時間をかけて上昇させ、500℃に6時間保持した後に室温まで冷却するという加熱処理を行なった。これを以下では500℃耐熱試験という。この耐熱試験前後の遮熱層の鉛筆硬度(引っ掻き硬さ)を調べた。サンプル1については、800℃に6時間保持する800℃耐熱試験後の鉛筆硬度についても調べた。
サンプル1〜4の各仕様において、膜厚を変えた遮熱層を形成し、500℃耐熱試験後の遮熱層の鉛筆硬度を調べた。結果を図7に示す。
サンプル1(微細バルーン破砕+ナノバルーン)の仕様において、ナノバルーンの含有量を変えて800℃耐熱試験後の鉛筆硬度を調べた。いずれも遮熱層の膜厚は75μmとし、微細バルーンの仕込み量は45容量%とした。結果を表1に示す。
サンプル1(微細バルーン破砕+ナノバルーン)の仕様で調製したナノバルーン含有量が2容量%の試料と、サンプル4(微細バルーン破砕)の仕様で調製したナノバルーン含有量が0容量%の試料について、熱重量減少分析を行なった。その結果(TG曲線)を図8に示す。図8では、「ナノバルーン」を「ナノ粒子」と表記し、含有量については「容量%」を単に「%」と表記している。
11 遮熱層
12 中空粒子
13 バインダ
14 ナノ粒子
Claims (8)
- 基材に形成された遮熱層であって、
多数の中空粒子と、
上記中空粒子を上記基材に保持すると共に上記中空粒子間を埋めて当該遮熱層の母材を形成するシリコーン系バインダとを備え、
上記バインダにナノ粒子が分散していることを特徴とする遮熱層。 - 請求項1において、
上記バインダと上記ナノ粒子とが化学的に結合していることを特徴とする遮熱層。 - 請求項2において、
上記ナノ粒子はシリカよりなり、該ナノ粒子と上記バインダとがシラノール基の脱水縮合によってシロキサン結合していることを特徴とする遮熱層。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
上記ナノ粒子の少なくとも一部は中空状であることを特徴とする遮熱層。 - 請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
上記遮熱層における上記ナノ粒子の含有量が0.5容量%以上10容量%以下であることを特徴とする遮熱層。 - 請求項1乃至請求項6のいずれか一において、
上記バインダには上記中空粒子が破砕されてなる破砕殻が含まれていることを特徴とする遮熱層。 - 中空粒子と、バインダ用の反応性シリコーンと、該反応性シリコーンのシラノール基と反応して化学的に結合する官能基を有するナノ粒子との混合物を調製する工程と、
上記混合物を基材に塗布する工程と、
上記基材に塗布された混合物を焼成する工程とを備え、
上記焼成により、上記反応性シリコーンを架橋硬化させるとともに、上記ナノ粒子をその官能基によって反応性シリコーンに化学的に結合させて、上記基材に上記中空粒子とナノ粒子とバインダよりなる遮熱層を形成することを特徴とする遮熱層の製造方法。 - 請求項7において、
上記混合物を上記基材に塗布する前に、上記混合物に超音波を印加して上記中空粒子の一部を破砕する工程を備えていることを特徴とする遮熱層の製造方法。
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