JP2017155823A - 天吊り用補強具、補強構造及び補強方法 - Google Patents

天吊り用補強具、補強構造及び補強方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 吊り具を破損することなく、天吊りの補強を容易に行うことができる補強具、補強構造及び補強方法を提供することである。【解決手段】 複数の吊り具によって物品が天井から吊り下げられる天吊りにおいて、これら複数の吊り具に、各吊り具を経由して紐状部材を取り付けるように構成する。この紐状部材は、前記複数の吊り具において可動状態となるように取付け部材を用いて取り付けられる。1本の紐状部材の長さで変形できる位置までこれが切れることなく可動し、この可動量は紐状部材と取付け部材の摩擦により制御される。【選択図】 図3

Description

本発明は、複数の吊り具によって機器類等の物品が天井から吊り下げられる天吊りを補強する天吊り用補強具、天吊りの補強構造及び天吊り用補強方法に関する。
天吊りは、例えば固定部である天井スラブに埋め込まれたアンカー及びインサートの雌ねじに、雄ねじである吊り用の全ねじ(吊りボルト)が4本取り付けられ、各全ねじのもう一方の端部に機器類等の物品が接続されることで、該物品が空中に設置されるといったものである。
かかる天吊りにおいては、振れ止めや耐震等のための補強が必要となる場合が少なくない。例えば吊り具として上記のような全ねじが用いられる場合、その補強として従来から、図20に示されるように、隣接する全ねじ(21〜24)の一方の上端ともう一方の下端に、専用金具を用いて採寸された振れ止め及び補強用の全ねじ(31〜38)をX状に配置し、固定して取り付けるいわゆるX状据付け法が用いられている。4本の全ねじを吊り具に用いる一般的な天吊りの場合、この補強法によると、隣接する全ねじの4対すべてに、補強用の全ねじ2本がX状に固定して取付けられる。
X状据付け法は、補強用部材としてそれ自体が剛性を有する全ねじを用い、かつこれら補強用全ねじを複数用いて補強対象に固定させるものである。これによると、一見十分な補強が得られるようにみえ、実際もある程度の揺れに対しては補強効果が得られる。しかしながら、この方法によると、天吊りに大きな揺れが生じたり共振したりした場合、施工の都合で発生する天井スラブの固定部と、この方法で用いられる専用金具との隙間に、局所的に応力が集中し、吊り具である吊り用の全ねじが破断することがある(2011年3月11日に発生した東日本大震災による被害においても、かかる破断例が数多く確認されている)。そのため、X状据付け法は、大きな揺れなどに対しては、施工の状況次第で補強の目的を達せられないのみならず、かえって吊り具が破損されるおそれがある。
のみならず、例えば天吊りが高所に設置されており、その補強を高所で行わざるを得ないような場合、X状据付け法によると、補強用の全ねじを高所で採寸して地上で必要な長さに切断し、これらを持って再び高所まで上がり取り付けなければならない。同様に、狭い場所などにおける作業性も悪い。この方法においては一人で作業を行うのが困難であり、多くの作業時間も必要となる。
特開平7−137992号
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、吊り具を破損することなく、天吊りの補強を容易に行うことができる補強具、補強構造及び補強方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、従来のように剛性の補強用部材を補強対象に固定させることで天吊りの補強効果を得るのとは異なり、補強部材自体が変形し得る部材を用い、かつこれを補強対象に完全に固定させることなく、変位可能とすることで、揺れなどにより発生する応力を集中させず、しかも補強具の設置を容易にするという技術思想に基づくものである。
すなわち、本発明は、第1の側面として、複数の吊り具によって物品が天井から吊り下げられる天吊りを補強する天吊り用補強具であって、少なくとも1本の紐状部材と、前記紐状部材を前記複数の吊り具に取り付けるための取付け部材とを備え、前記取付け部材は前記複数の吊り具のそれぞれに少なくとも一つ設置され、前記紐状部材が、前記複数の吊り具に設置された取付け部材に取り付けられることにより該複数の吊り具の全てに取付けられ、前記紐状部材は、前記各取付け部材において可動状態となることを特徴とする天吊り用補強具を提供する。
また、第2の側面として、前記紐状部材の両端が連結される上記の天吊り用補強具を提供する。
第3の側面として、複数の紐状部材がそれぞれ異なる取付け部材に取り付けられる上記いずれかの天吊り用補強具を提供する。
第4の側面として、前記紐状部材の張力を調整する張力調整部材を備える上記いずれかの天吊り用補強具を提供する。
第5の側面として、複数の吊り具によって物品が天井から吊り下げられ、少なくとも1本の紐状部材と、前記紐状部材を前記複数の吊り具に取付けるための取付け部材とを備え、前記取付け部材は前記複数の吊り具のそれぞれに少なくとも一つ設置され、前記紐状部材が、前記複数の吊り具に設置された取付け部材に取り付けられたことにより該複数の吊り具の全てに取付けられ、前記紐状部材は、前記各取付け部材において可動状態となることを特徴とする天吊りの補強構造を提供する。
第6の側面として、複数の吊り具によって物品が天井から吊り下げられる天吊りを補強する天吊り用補強方法であって、前記複数の吊り具をそれぞれ経由するように紐状部材を取り付け、前記紐状部材を前記複数の吊り具において可動状態とすることを特徴とする天吊り用補強方法を提供する。
本発明によれば、補強具による吊り具の破損を回避することができる。また、天吊りの補強を作業性の悪い場所、例えば高所で行うことを要する場合でも、補強用の全ねじを高所で採寸して地上で必要な長さに切断し、これらを持って再び高所まで上がり取り付けるといった作業を回避できる。
本発明の第1実施形態にかかる図である。 本発明の第2実施形態にかかる図である。 本発明の第3実施形態にかかる図である。 本発明の第4実施形態にかかる図である。 本発明の第5実施形態にかかる図である。 本発明の第6実施形態にかかる図である。 本発明の取付け部材の一例を示す図であり、(A)(B)(C)は同一の取付け部材をそれぞれ別の側から見た図である。 本発明の第3実施形態の実験結果を示したグラフである。 図7の取付け部材を吊り具に装着し、これに紐状部材を通した状態を示す図である。 従来の補強方法の実験結果を示したグラフである。 本発明の比較例1にかかる図である。 本発明の比較例2にかかる図である。 本発明の比較例3にかかる図である。 本発明の比較例4にかかる図である。 本発明の比較例5にかかる図である。 本発明の比較例6にかかる図である。 比較例3の実験結果を示したグラフである。 張力調整部材の一例を示す図である。(A)は通常の状態を示し、(B)はばねが圧縮した状態を示す。 張力調整部材を用いた一例を示す図である。 従来の補強具とそれによる補強方法(X状据付け法)を示す図である。
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1は、一般的に行われる4本の全ねじ(吊り具)21、22、23、24を用いて物品(吊り物)25を吊り下げる天吊りについて、本発明の天吊り用補強具を用いて補強した場合の補強後の状態の一例を示すものであり、隣接する全ねじを紐状部材が経由する場合の一例にかかる。なお、4本の全ねじの上端が天井に取り付けられるが、図において天井は省略している。本実施形態においては、吊り具である全ねじ21、22、23、24のそれぞれに取付け部材1、2、3、4が1つずつ装着され、1本の紐状部材9が、これらの取付け部材に順次取り付けられる。
本発明の紐状部材には、ワイヤやファイバーロープを用いることができる。紐状部材の材質や直径は適宜選択することが可能である。例えばファイバーロープの材質としてカーボンファイバー、樹脂ファイバーなどを用いてもよい。紐状部材の直径は、吊り物の重量や材質に基づく耐久性などを考慮して決める。
従来の補強具(図20)においては、補強用全ねじ31〜38の取り付け角度が決められてしまうため、補強施工が画一化されざるを得なかったが、本発明は紐状部材を用いるため、変形が可能であり、様々な環境、条件に応じ、補強施工することが可能となる。
すなわち、かかる紐状部材を用いることにより、強度の面では、後述の取付け部材に対する可動性と併せ、応力集中を回避することが可能となる。
また、作業面では、例えば高所や天井裏などの作業性の悪い状況下で後付けによる補強を容易に行うことが可能となる。紐状部材はボビン巻きなどにすることが可能であるため、従来の補強用全ねじに比べて持ち運びが容易となり、高所等において一人で採寸して紐状部材を切断することも可能となる。
取付け部材は、吊り具に装着され、取付け部材の装着後、これに紐状部材が取り付けられる。吊り具が全ねじの場合の取り付け部材の一例(13)を図7(A)(B)に示し、この取付け部材に紐状部材(紐状部材は断面図で示されている)を通した状態を更に別の角度(上方)から見たものを図7(C)に示す。また、この取付け部材13を全ねじ24に装着し、紐状部材9を通した状態を図9に示す。
取付け部材は、紐状部材が動ける状態で維持(支持)できるものであればよい。図7に示される例においては、装着された際に紐状部材が支持される支持部をボルト26で構成し、ナット27で締め付けて留めるようにしている。支持部本体(この例ではボルト26の軸)28は、紐状部材が接触し、紐状部材の可動量(可動範囲)が両者の摩擦により制御されることから、ネジ切り等はしない。取付け部材13は、ボルト26とナット27を外すと、回転軸部30を中心として、側部39が両側に開く。吊り具である全ねじの所定の取付け場所に吊り具係合部29をあてて側部39を閉じ、ボルト26とナット27を装着して留め、取付け具13を全ねじ24に確実に固定する。
このようにして全ねじ24に固定した取付け具13に、紐状部材9を取り付ける。紐状部材は、取付け部材に括り付けるなどのように固着されたり完全に固定されたりすることはなく、取付け部材に通したり掛けたりするなどしてある程度可動するように取り付ける(図7(C)、図9参照)。これにより、1本の紐状部材の長さで変形できる位置までこれが切れることなく動き得る(可動する)ものとなるため、天吊りに揺れなどが生じた場合、応力の集中が緩和される。
上記の可動量は、取付け部材と紐状部材との摩擦により制御される。すなわち、取付け部材の側部39の内側のいずれかの箇所に紐状部材が接して摩擦が生じ、この摩擦により上記可動量が制御される。なお、このように摩擦が生じることから取付け部材が摩擦により削れる可能性があるため、取り付け部材には耐摩耗性を有する金具ないし金属を用いるのが好適である。
取付け部材は吊り具に後付けで装着することができるように構成する。また、吊り具が雄ねじの全ねじの場合、例えば取付け部材の吊り具への接続部を雌ねじ状に形成するなどすれば、全ねじの上下端の近傍まで設置でき、施工上の隙間を減らせるため、吊り具である全ねじにおいて応力が集中してしまう弱体部分(過負荷部分)を減らすことができる。
なお、吊り物の吊り構造としては、ワイヤを用いた特許文献1などが提案されている。これは、吊り物の昇降、風力や地震等の外力による水平方向への搖動を抑制するためのものであり、吊りを補強するものではない。また、シーブ14を取り付け、吊り物を直接ワイヤで固定するものであり、天吊りの補強を容易にするものとはならない。
本発明の紐状部材の取り付けについて説明すると、図1において、例えばまず第1取付け部材1に紐状部材9の一端(始点)を通すように又は掛けるようにして取り付ける。
次に、この紐状部材9を、第2取付け部材2、第3取付け部材3、第4取付け部材4に、順次取り付ける。上記のとおりこれらの取付け部材には紐状部材を固着させず、紐状部材を取付け部材に通すように又は掛けるようにして、紐状部材がある程度動けるように取り付ける。
その後、紐状部材9の他端(終点)側を、紐状部材9の一端(始点)側と、かしめるなどして連結させる。この連結は、ワイヤなどをかしめるための従来の用具、金具(一例を図18に符号40で示す)を用いることができる。なお、紐状部材の一端側と他端側を連結させるが、ここでも紐状部材を取付け部材に結び付けることはなく、紐状部材は取付け部材に固着させない。
これにより、隣接する全ねじ全てを紐状部材が経由するルートが形成される。紐状部材は、いずれの取付け部材(1〜4)に対しても、固着(結び付けられるなど)されず可動(動き得る状態)である。
このようにして本発明の補強具を天吊りに取り付けると、揺れによって生じる引張応力には紐状部材が作用して耐え、また圧縮応力には吊り具としての全ねじの弾性変形量を紐状部材にて制限することで、この全ねじの座屈を抑制しながら各応力を各所に分散することが可能となる。そのため、吊り具である全ねじの破断のリスクが格段に少ないものとなる。
紐状部材を上記のようにいわばループ状とし、紐状部材が全ての取付け部材において可動状態となるように構成すると、紐状部材が引っ張られる力と緩む力が相殺され、応力の集中が緩和される。
(第2実施形態)
図1に示されるルートとは別のルートで紐状部材を吊り具に取り付けた例であって、隣接する全ねじを紐状部材が経由する場合の他の例を、図2に示す。
図2の例においては、例えばまず第5取付け部材5に紐状部材10の一端(始点)を通すような又は掛けるようにして取り付け、次に、第6取付け部材6、第7取付け部材7、第8取付け部材8の順で紐状部材10をこれらに可動的に(すなわち、紐状部材がこれらの取付け部材に対して動くことができるように)取り付ける。その後、紐状部材10の他端(終点)を、紐状部材10の一端(始点)と連結する。紐状部材の一端と他端を連結するが、ここでも紐状部材を取付け部材に結び付ける等はしない。従って、紐状部材10は、いずれの取付け部材(5〜8)に対しても、固着されず可動状態となる。
この実施形態においても、作用効果等は第1実施形態において記載の点と同様である。
(第3実施形態)
図3に、図1の例と図2の例を組み合わせた補強例を示す。この場合、8個の取付け部材(1〜8)と、2本の紐状部材(9,10)が用いられることとなる。なお、図3、図6、図13、図16、図19などにおいて、それぞれ2本の紐状部材(例えば図3において符号9と10で示されるもの)が異なる態様の線にて示されているが、これは各紐状部材のルートを理解しやすくするために過ぎず、2本の紐状部材は材質等を同じとしてよい(異なるものとしてもよい)。
図3に示された補強例は、重複しない2つのルートにより紐状部材9,10が吊り具(全ねじ)21,22,23,24に取り付けられるものである。これにより、紐状部材が隣接する全ねじを全て2回経由するルートが形成される。本実施形態においても、紐状部材は、いずれの取付け部材に対しても、固着(結び付けられるなど)されず可動状態となる。
かかる実施形態によれば、仮に1つのルートの紐状部材(9又は10)が破損しても、残りが全ての全ねじ(21〜24)を経由して接続されているため、補強機能が直ちに失われるような事態を回避することが可能となる。
(第4実施形態)
第1実施形態〜第3実施形態は隣接する全ねじを紐状部材が経由する例にかかるものである。これに対し、第4実施形態〜第6実施形態においては、隣接及び対角の全ねじを紐状部材が経由する例について述べる。
図4に示す例においては、例えばまず第6取付け部材に紐状部材11の一端(始点)を通すように又は掛けるようにして取り付け、次に、第5取付け部材、第4取付け部材、第3取付け部材の順で紐状部材11をこれらに可動的に(すなわち、紐状部材がこれらの取付け部材に対して動くことができるように)取り付ける。その後、紐状部材11の他端(終点)を、紐状部材11の一端(始点)と連結する。ここでも紐状部材を取付け部材に結び付ける等はしない。
これにより、隣接及び対角の全ねじを紐状部材が経由するルートが形成される。このようにして本発明の補強具を天吊りに取り付けると、揺れによって生じる引張応力には紐状部材が作用して耐え、また圧縮応力には吊り具としての全ねじの弾性変形量を紐状部材にて制限することで、この全ねじの座屈を抑制しながら各応力を各所に分散することが可能となる。そのため、吊り具である全ねじの破断のリスクが格段に少ないものとなる。その他、この実施形態においても、作用効果等は第1実施形態において記載の点と同様である。
(第5実施形態)
図4に示されるルートとは別のルートで紐状部材を吊り具に取り付けた例であって、隣接及び対角の全ねじを紐状部材が経由する場合の他の例を、図5に示す。
図5の例においては、例えばまず第2取付け部材2に紐状部材の一端(始点)を通すように又は掛けるようにして取り付け、次に、第1取付け部材1、第8取付け部材8、第7取付け部材7の順で紐状部材12をこれらに可動的に(すなわち、紐状部材がこれらの取付け部材に対して動くことができるように)取り付ける。その後、紐状部材12の他端(終点)を、紐状部材12の一端(始点)と連結する。ここでも紐状部材を取付け部材に結び付ける等はしない。
この実施形態においても、作用効果等は第1実施形態において記載の点と同様である。
(第6実施形態)
図6に、図4の例と図5の例を組み合わせた補強例を示す。この場合、8個の取付け部材(1〜8)と、2本の紐状部材(11,12)が用いられることとなる。
図6に示された補強例は、重複しない2つのルートにより紐状部材11,12が吊り具(全ねじ)21,22,23,24に取り付けられるものである。これにより、紐状部材が隣接及び対角の全ねじ全てを経由するルートが形成される。本実施形態においても、紐状部材は、いずれの取付け部材に対しても、固着(結び付けられるなど)されず可動状態となる。
かかる実施形態によれば、仮に1つのルートの紐状部材(11又は12)が破損しても、残りが全ての全ねじ(21〜24)を経由して接続されているため、補強機能が直ちに失われるような事態を回避することが可能となる。
(実験1)
本発明の第3実施形態及び従来の補強方法による補強(X状据付け法、図20)につき、加速度と変位に関して以下の条件にて実験(動力加振試験)を行った。
吊り物は機器を模し、寸法を850mm×800mm×385mmHとし、重量を24.6kgとした。吊り具(全ねじ)はW3/8インチとし、長さは910mmとした。本発明の第3実施形態の紐状部材は、直径2mmΦのステンレス製ワイヤとした。X状据付け法における吊り具(全ねじ)はW3/8インチとし、長さは1000mmとした。この補強具には、W3/8インチの全ねじを用いた。加振は約20Hz〜0.8HzのSweep波を用いて行った。加振時間は約100秒である。
実験の結果を、それぞれ図8及び図10に示す。これにより、以下が判明した。
(1) 本発明の第3実施形態による場合、固有振動数は5Hz以上で一般的な建物の固有振動数(例えば3Hz)を上回り、共振する可能性を低減できた。
(2) 共振が発生した場合、従来の補強方法であるX状据付け法では共振が顕著に現れるが(図10)、本発明の第3実施形態による場合、共振は緩和された(図8)。
(3) 本発明の第3実施形態による場合、共振が緩和されたことで吊り具の破断の可能性が低減される一方、吊り物(物品)の揺れの最大変位幅は約50mmであり、吊り具の長さが多少異なるものの(ワイヤ910mm、全ねじ1000mm)、従来の補強方法であるX状据付け法とほぼ同じにとどまるものと推測できた。
(実験2)
実験1の第3実施形態と同一の条件で、本発明の第6実施形態の補強方法による補強について加速度と変位に関する動力加振試験を行った。その結果、第6実施形態による場合、固有振動数は揺れ方向によって異なる特性があるが、一般的な建物の固有振動数を上回り、共振する可能性を低減でき、第3実施形態と同じように共振が緩和されることが判明した。
(比較例1〜3)
紐状部材が隣接する吊り具(吊り用の全ねじ)を経由する例として、紐状部材を1本用いる場合を第1実施形態及び第2実施形態に、紐状部材を2本用いる場合を第3実施形態に挙げたが、この例の他の形態について、紐状部材を1本用いる場合を図11(比較例1)及び図12(比較例2)に、紐状部材を2本用いる場合を図13(比較例3)に示す。比較例3は、比較例1と2を組み合わせたものである。
比較例3につき上記実験1の第3実施形態と同じ条件で実験を行ったところ、第3実施形態の場合に比べ、共振する可能性が現れた(図17)。この比較例においては、紐状部材14,15が同一の全ねじの上下に沿って(重複して)取り付けられる部分が存しており(全ねじ22,24参照)、共振する可能性はこれに基づくものと考えられる。また、紐状部材の吊り具(全ねじ)への取付け部材の数が増えるため(図13に示されるとおり、取付け部材を4個要する全ねじが2本存する)、作業性も悪化せざるを得ない。
(比較例4〜6)
紐状部材が隣接及び対角の吊り具(吊り用の全ねじ)を経由する例として、紐状部材を1本用いる場合を第4実施形態及び第5実施形態に、紐状部材を2本用いる場合を第6実施形態に挙げたが、この例の他の形態について、紐状部材を1本用いる場合を図14(比較例4)及び図15(比較例5)に、紐状部材を2本用いる場合を図16(比較例6)に示す。比較例6は、比較例4と5を組み合わせたものである。
比較例6においても、紐状部材16,17が同一の全ねじの上下に沿って(重複して)取り付けられる部分が存しており(全ねじ22,24参照)、共振する可能性が現れた。また、紐状部材の吊り具(全ねじ)への取付け部材の数が増えるため(図16に示されるとおり、取付け部材を4個要する全ねじが2本存する)、作業性も悪化せざるを得ない。
このように、本発明においては紐状部材の取り付けルートにより補強の効果に違いが生じ得る。すなわち、2本の紐状部材を用いる場合、第3実施形態及び第6実施形態の取り付けルートにおいてより顕著な効果が得られる。
本発明においては、紐状部材を天吊りに取り付ける際の施工誤差を低減させるために、紐状部材の張力を調整する張力調整部材を取り付けることもできる。張力調整部材には緩衝バネを応用することができる。緩衝バネを応用した張力調整部材の一例(18)を図18に示す。図18(A)は通常の状態を示し、両端(19,20)に紐状部材を取り付けて使用する。紐状部材によって、両端側に示される矢印の方向に引っ張られ、圧縮することで施工が完了する。図18(B)はばねが圧縮した状態を示す。
第3実施形態において、第3取付け部材3と第4取付け部材4の間のルートと、第5取付け部材5と第6取付け部材6の間のルートに、図18に示す張力調整部材18を装着した例を図19に示す。張力調整部材を調整してバネが完全に圧縮するように固定する。
張力調整部材を用いることにより、紐状部材を吊り具に取り付けながら人の感覚で張力を調整する必要がなくなり、紐状部材を吊り具に取り付けた後に、紐状部材の張力を一定に調整することが可能となる。
本発明によれば、高価な制振装置を用いることなく、安価な材料によりこれと同様の補強構造を得ることが可能となる。また、従来の補強方法(X状据付け法)と異なり、大きな揺れ等が生じても補強具によって吊り具が破損されることを回避できるため、天吊りにおける安全性を飛躍的に高めることができる。
更に、本発明によれば、高所や屋根裏など作業性の悪い場所で天吊りの補強を行わざるを得ないような場合でも、例えば補強用の全ねじを高所で採寸して地上で必要な長さに切断し、これらを持って再び高所まで上がり取り付けるといった作業を回避することができる。そのため、天吊りの補強作業をX状据付け法などの従来の方法に比べ飛躍的に容易に行うことができ、補強作業に要する時間を短縮できるとともに、これにかかる費用を抑えることが可能となる。
このように、本発明は新規設備及び既存設備への十分な耐震補強を安価かつ容易に行うことができるものであり、その産業上の利用可能性は極めて大きい。
1 第1取付け部材
2 第2取付け部材
3 第3取付け部材
4 第4取付け部材
5 第5取付け部材
6 第6取付け部材
7 第7取付け部材
8 第8取付け部材
9,10,11,12,14,15,16,17 紐状部材
13 取り付け部材
18 張力調整部材
19,20 張力調整部材の両端
21,22,23,24 吊り具(全ねじ)
25 物品
26 支持部(ボルト)
27 留め部(ナット)
28 支持部の本体部
29 吊り具係合部
30 回転軸部
31〜38 従来の補強具
39 取り付け部材13の側部
40 かしめ用具

Claims (6)

  1. 複数の吊り具によって物品が天井から吊り下げられる天吊りを補強する天吊り用補強具であって、
    少なくとも1本の紐状部材と、
    前記紐状部材を前記複数の吊り具に取り付けるための取付け部材とを備え、
    前記取付け部材は前記複数の吊り具のそれぞれに少なくとも一つ設置され、
    前記紐状部材が、前記複数の吊り具に設置された取付け部材に取り付けられることにより該複数の吊り具の全てに取付けられ、
    前記紐状部材は、前記各取付け部材において可動状態となる
    ことを特徴とする天吊り用補強具。
  2. 前記紐状部材の両端が連結される請求項1に記載の天吊り用補強具。
  3. 複数の紐状部材がそれぞれ異なる取付け部材に取り付けられる請求項1又は2に記載の天吊り用補強具。
  4. 前記紐状部材の張力を調整する張力調整部材を備える請求項1〜3のいずれか一項に記載の天吊り用補強具。
  5. 複数の吊り具によって物品が天井から吊り下げられ、
    少なくとも1本の紐状部材と、
    前記紐状部材を前記複数の吊り具に取付けるための取付け部材とを備え、
    前記取付け部材は前記複数の吊り具のそれぞれに少なくとも一つ設置され、
    前記紐状部材が、前記複数の吊り具に設置された取付け部材に取り付けられたことにより該複数の吊り具の全てに取付けられ、
    前記紐状部材は、前記各取付け部材において可動状態となる
    ことを特徴とする天吊りの補強構造。
  6. 複数の吊り具によって物品が天井から吊り下げられる天吊りを補強する天吊り用補強方法であって、
    前記複数の吊り具をそれぞれ経由するように紐状部材を取り付け、
    前記紐状部材を前記複数の吊り具において可動状態とする
    ことを特徴とする天吊り用補強方法。
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