JP2017155226A - エラストマー成形体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 熱伝導に異方性を有する熱伝導異方性粒子を利用して、熱伝導性をより向上させたエラストマー成形体、およびその製造方法を提供する。【解決手段】 エラストマー成形体は、エラストマーからなる基材10と、基材10中に配向して含有されている複合粒子11と、を有する。複合粒子11は、熱伝導に異方性を有し結晶面の方向に熱伝導率が大きい熱伝導異方性粒子が凝集した凝集体12と、凝集体12にバインダーを介して付着されている磁性粒子13と、を有する。エラストマー成形体の製造方法は、凝集体の粉末、磁性粒子の粉末、およびバインダーを含む粉末原料を撹拌して複合粒子の粉末を製造する複合粒子製造工程と、該複合粒子の粉末とエラストマー原料とを含む混合原料を調製する混合原料調製工程と、該混合原料を成形型に配置して、磁場中で該混合原料を成形する成形工程と、を有する。【選択図】 図1
Description
本発明は、熱伝導性が高いエラストマー成形体、およびその製造方法に関する。
電子機器においては、電子部品の温度上昇を抑制するためにヒートシンクが使用される。電子部品とヒートシンクとの間には、発生した熱をヒートシンクに効率良く伝達するために、放熱シートが介装される。放熱シートとしては、高分子材料からなる基材に、熱伝導率が大きい酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素などのフィラーが配合された成形体が知られている。
例えば、鱗片状の窒化ホウ素粒子を高分子材料に分散して成形した場合、成形時の流れや圧力により粒子が倒れ、粒子の長手方向がシートの面方向に平行になりやすい。鱗片状の窒化ホウ素粒子は、熱伝導率が粒子の方向により異なるという、熱伝導の異方性を有する。具体的には、鱗片状の窒化ホウ素粒子においては、長手方向(結晶面方向)の熱伝導率が短手方向や厚さ方向の熱伝導率よりも大きい。したがって、単に鱗片状の窒化ホウ素粒子を高分子材料に分散するだけでは、シートの厚さ方向の放熱性を充分に向上させることはできない。
この問題を解決するため、特許文献1においては、鱗片状の窒化ホウ素粒子が等方的に凝集した凝集体を熱硬化性樹脂に分散した熱伝導性シートが提案されている。この場合、凝集体そのものの熱伝導率は等方的になるかもしれないが、シートの厚さ方向において熱の伝達経路を形成するためには、分散された凝集体同士が接触するよう、凝集体を高充填する必要がある。この場合、シートの硬度が高くなり伸びが低下して、柔軟性が損なわれるおそれがある。また、シートの質量が増加する、コストがかさむといった問題も生じる。
一方、特許文献2、4においては、窒化ホウ素の磁気率の異方性を利用して、高分子材料中に充填された窒化ホウ素粒子を、磁場により一方向に配向させた熱伝導性シートが提案されている。しかしながら、窒化ホウ素粒子を配向させた場合には、粒子同士の界面の熱抵抗の影響が大きくなり、熱伝導性の向上効果は小さい。また、窒化ホウ素粒子を単独で配向させるためには、磁束密度が比較的大きい磁場が必要になる。
この点、特許文献3、5においては、窒化ホウ素粒子などの熱伝導異方性粒子の表面に磁性粒子が接着された複合粒子を、エラストマー中に配向させた成形体が開示されている。特許文献3、5に記載された成形体においては、磁性粒子の磁場配向性を利用して、窒化ホウ素粒子を配向させる。しかしながら、窒化ホウ素粒子の表面には官能基がないため、表面は不活性である。このため、窒化ホウ素粒子の表面には、磁性粒子が付着しにくいという問題がある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、熱伝導に異方性を有する熱伝導異方性粒子を利用して、熱伝導性をより向上させたエラストマー成形体を提供することを課題とする。また、その製造方法を提供することを課題とする。
(1)上記課題を解決するため、本発明のエラストマー成形体は、エラストマーからなる基材と、該基材中に配向して含有されている複合粒子と、を有するエラストマー成形体であって、該複合粒子は、熱伝導に異方性を有し結晶面の方向に熱伝導率が大きい熱伝導異方性粒子が凝集した凝集体と、該凝集体にバインダーを介して付着されている磁性粒子と、を有することを特徴とする。
本発明のエラストマー成形体は、配向した複合粒子を有する。複合粒子の核となるのは、熱伝導異方性粒子が凝集した凝集体である。凝集体の表面は、複数の熱伝導異方性粒子が集まって形成されるため、単独の粒子の表面とは異なり、ごつごつした凹凸を有する。このため、接触面積が大きくなり、磁性粒子が凹部に入り込みやすくなる。したがって、熱伝導異方性粒子が窒化ホウ素粒子のような表面が不活性な粒子の場合でも、凝集体の表面に磁性粒子が担持されやすい。このように、熱伝導異方性粒子を単体で使用するのではなく、その凝集体を使用することにより、磁場配向させるのに充分な量の磁性粒子を容易に付着させることができる。
磁性粒子は、磁場中で磁力線に沿って配向する。よって、複合粒子に磁場を作用させると、磁性粒子の磁場配向により、凝集体を含む複合粒子全体が、磁力線に沿って配向する。このように、凝集体と磁性粒子とを複合化することにより、磁性粒子の磁場配向を利用して、凝集体を配向させることができる。
凝集体(複合粒子)は、配向方向に線状に連なって、基材に含有されている。これにより、基材中に熱の伝達経路が形成される。したがって、凝集体を配向せずに分散させる場合と比較して、より少量の配合量で所望の熱伝導性を得ることができる。よって、成形体の柔軟性を損なうことなく、高熱伝導化を図ることができる。また、成形体の質量の増加やコストの増加も抑制することができる。
凝集体を構成する熱伝導異方性粒子は、熱伝導率が方向により異なる粒子であり、結晶面の方向に大きい熱伝導率を有する。このため、熱伝導異方性粒子を単独で配向させた場合には、その配向方向が成形体の熱伝導性に大きく影響する。しかしながら、本発明のエラストマー成形体においては、熱伝導異方性粒子の凝集体を配向させる。これにより、個々の粒子の方向性による影響を小さくすることができる。また、凝集体を配向させることにより、熱伝導異方性粒子を配向させる場合と比較して、粒子同士の界面の熱抵抗の影響が小さくなる。このため、熱伝導性の向上効果が大きい。また、凝集体の表面には磁性粒子が付着している。このため、熱伝導異方性粒子やその凝集体のみを配向させる場合と比較して、磁束密度が比較的小さい低磁場で配向させることができる。
(2)上記本発明のエラストマー成形体は、以下の二つの方法により製造することができる。第一の製造方法は、熱伝導に異方性を有し結晶面の方向に熱伝導率が大きい熱伝導異方性粒子が凝集した凝集体の粉末、磁性粒子の粉末、およびバインダーを含む粉末原料を撹拌して複合粒子の粉末を製造する複合粒子製造工程と、該複合粒子の粉末とエラストマー原料とを含む混合原料を調製する混合原料調製工程と、該混合原料を成形型に配置して、磁場中で該混合原料を成形する成形工程と、を有することを特徴とする。
第一の製造方法においては、複合粒子を撹拌造粒法により製造する。これにより、複合粒子の粉末を容易に製造することができる。撹拌造粒法によると、凝集体と磁性粒子とを、バインダーによりソフトに接着させることができる。よって、凝集体のアスペクト比が大きい場合でも、その形状を崩すことなく、磁性粒子と複合化することができる。また、バインダーを用いることにより、磁性粒子の付着量を多くすることができる。磁性粒子の付着量が多いと、磁束密度が1000mT以下の比較的低磁場でも、複合粒子を配向させることができる。後述するように、磁場の形成には、例えば電磁石が用いられる。低磁場中で成形できると、成形型を挟んで配置される電磁石のギャップを、大きくすることができる。このため、成形型のキャビティを大きくすることができ、製品の形状自由度が高くなる。また、電磁石の設備コスト、ランニングコストも低くすることができる。
ちなみに、粒子を機械的に固着させる方法として、メカノケミカル法がある。しかしながら、凝集体に対して、圧縮力、剪断力が作用するメカノケミカル処理を行うと、凝集体が粉砕されて、形状を維持できないという問題もある。また、バインダーを用いずに凝集体と磁性粒子とを複合化した場合、磁性粒子の付着量が少なくなり、配向に必要な磁性が不足する。このため、低磁場では所望の配向状態を実現することができない。
第二の製造方法は、熱伝導に異方性を有し結晶面の方向に熱伝導率が大きい熱伝導異方性粒子が凝集した凝集体の粉末を気体により浮遊流動させた状態で、バインダー溶液に磁性粒子の粉末を分散した分散液を噴霧して複合粒子の粉末を製造する複合粒子製造工程と、該複合粒子の粉末とエラストマー原料とを含む混合原料を調製する混合原料調製工程と、該混合原料を成形型に配置して、磁場中で該混合原料を成形する成形工程と、を有することを特徴とする。
第二の製造方法においては、複合粒子を流動層コーティング法により製造する。これにより、複合粒子の粉末を容易に製造することができる。流動層コーティング法によると、浮遊流動している凝集体に、分散液の噴霧により磁性粒子が接着され、速やかに乾燥される。このため、凝集体同士の結着が抑制され、凝集体を単分散した状態で磁性粒子を付着させることができる。これにより、個々の凝集体に磁性粒子が付着した均質な複合粒子を、精度よく製造することができる。また、凝集体と磁性粒子とをバインダーで接着させることによる利点については、撹拌造粒法を採用する第一の製造方法と同様である。
以下、本発明のエラストマー成形体およびその製造方法の実施の形態について説明する。なお、本発明のエラストマー成形体およびその製造方法は、以下の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良などを施した種々の形態にて実施することができる。
<エラストマー成形体>
図1に、本発明のエラストマー成形体の一実施形態のモデル図を示す。図1に示すように、エラストマー成形体1は、エラストマーからなる基材10と、基材10中に配向して含有されている複合粒子11と、を有している。複合粒子11は、エラストマー成形体1の厚さ方向に線状に連なって配向している。エラストマー成形体1の厚さ方向は、熱伝導方向に相当する。複合粒子11は、熱伝導異方性粒子が凝集した凝集体12と、凝集体12の表面にバインダーを介して付着されている磁性粒子13と、を有している。
図1に、本発明のエラストマー成形体の一実施形態のモデル図を示す。図1に示すように、エラストマー成形体1は、エラストマーからなる基材10と、基材10中に配向して含有されている複合粒子11と、を有している。複合粒子11は、エラストマー成形体1の厚さ方向に線状に連なって配向している。エラストマー成形体1の厚さ方向は、熱伝導方向に相当する。複合粒子11は、熱伝導異方性粒子が凝集した凝集体12と、凝集体12の表面にバインダーを介して付着されている磁性粒子13と、を有している。
[エラストマー]
エラストマーとしては、架橋ゴムおよび熱可塑性エラストマーの中から適宜選択すればよい。エラストマーは、ソリッド体でも、ポリウレタンフォームなどの発泡体でもよい。但し、複合粒子などの充填性を考慮すると、気泡(セル)を有しないソリッド体が望ましい。例えば、架橋ゴムとしては、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴムなどが挙げられる。また、熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系、オレフィン系、塩化ビニル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系の各種熱可塑性エラストマーが挙げられる。
エラストマーとしては、架橋ゴムおよび熱可塑性エラストマーの中から適宜選択すればよい。エラストマーは、ソリッド体でも、ポリウレタンフォームなどの発泡体でもよい。但し、複合粒子などの充填性を考慮すると、気泡(セル)を有しないソリッド体が望ましい。例えば、架橋ゴムとしては、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴムなどが挙げられる。また、熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系、オレフィン系、塩化ビニル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系の各種熱可塑性エラストマーが挙げられる。
架橋ゴムの硬化方法は、ゴムポリマーの種類に応じて適宜選択すればよい。例えば、加熱硬化、紫外線硬化、電子線硬化、湿気硬化などが挙げられる。複合粒子を磁場配向させるためには、エラストマーの硬化を、磁場を作用させながら行う必要がある。例えば、加熱硬化型のエラストマーの場合、エラストマー原料の温度を上げて、硬化させる。しかしながら、高温になると磁場を形成する磁石の磁性が低下して、磁場が弱くなるおそれがある。このため、エラストマーの硬化温度は、200℃以下であることが望ましい。また、複合粒子を低磁場で配向させるためには、エラストマーの粘度は、100Pa・s以下であることが望ましい。エラストマーの粘度が高いと、粘性抵抗の影響で複合粒子が配向しにくくなるおそれがある。なお、エラストマーの粘度が高い場合には、溶剤で希釈して低粘度化し、硬化時に溶剤を揮発させればよい。溶剤を使用せずに液状化、低粘度化が可能であるという観点から、エラストマーとしては、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムのいずれかが望ましい。
[複合粒子]
複合粒子は、熱伝導異方性粒子が凝集した凝集体と、該凝集体にバインダーを介して付着されている磁性粒子と、を有する。凝集体を構成する熱伝導異方性粒子は、熱伝導に異方性を有する粒子、すなわち、熱伝導率が方向により異なる粒子であり、結晶面の方向に大きい熱伝導率を有する。熱伝導異方性粒子の結晶面の方向の熱伝導率は、150W/m・K以上であることが望ましい。熱伝導異方性粒子の形状は、鱗片状が望ましい。熱伝導異方性粒子は、非磁性体の粒子でよい。本明細書では、強磁性体および反強磁性体以外の、反磁性体および常磁性体を、非磁性体と称す。熱伝導異方性粒子としては、例えば、窒化ホウ素粒子、黒鉛粒子などが挙げられる。
複合粒子は、熱伝導異方性粒子が凝集した凝集体と、該凝集体にバインダーを介して付着されている磁性粒子と、を有する。凝集体を構成する熱伝導異方性粒子は、熱伝導に異方性を有する粒子、すなわち、熱伝導率が方向により異なる粒子であり、結晶面の方向に大きい熱伝導率を有する。熱伝導異方性粒子の結晶面の方向の熱伝導率は、150W/m・K以上であることが望ましい。熱伝導異方性粒子の形状は、鱗片状が望ましい。熱伝導異方性粒子は、非磁性体の粒子でよい。本明細書では、強磁性体および反強磁性体以外の、反磁性体および常磁性体を、非磁性体と称す。熱伝導異方性粒子としては、例えば、窒化ホウ素粒子、黒鉛粒子などが挙げられる。
凝集体は、(i)熱伝導異方性粒子がランダムに、すなわち個々の粒子の結晶面の方向がばらばらな状態で凝集されたものでもよく、(ii)熱伝導異方性粒子の結晶面が一方向に揃った状態で凝集されたものでもよい。例えば、窒化ホウ素粒子の凝集体の場合、(i)としては、窒化ホウ素を結晶成長させながら凝集させたものがあり、(ii)としては、窒化ホウ素粒子を圧縮して結晶面を一方向に揃えた状態で凝集させた後、粉砕したものがある。熱伝導性の向上効果をより大きくしたい場合には、(ii)の凝集体を採用することが望ましい。すなわち、凝集体における熱伝導異方性粒子の結晶面は、一方向に揃っていることが望ましい。熱伝導異方性粒子は、結晶面の方向に大きい熱伝導率を有する。したがって、(ii)の凝集体においては、熱伝導異方性粒子の結晶面が、熱伝導させる方向に揃っていることが望ましい。すなわち、熱伝導異方性粒子の結晶面の方向と、複合粒子の配向方向と、を同じにすることにより、エラストマー成形体の熱伝導性をより向上させることができる。
凝集体の大きさは、エラストマー成形体の熱伝導方向における厚さを考慮して適宜決定すればよい。エラストマー成形体の厚さに対して凝集体が小さすぎると、熱の伝達経路を形成するために必要な凝集体の数が多くなり、熱抵抗が大きくなる。例えば、エラストマー成形体の熱伝導方向における厚さが1mm程度の場合には、凝集体の大きさを数十〜数百μm程度にするとよい。好適な大きさは、200〜300μmである。
磁性粒子は、磁化特性に優れたものであればよく、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、ガドリニウム、ステンレス鋼、マグネタイト、マグヘマイト、マンガン亜鉛フェライト、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライトなどの強磁性体、MnO、Cr2O3、FeCl2、MnAsなどの反強磁性体、およびこれらを用いた合金類の粒子が好適である。微細な粒子として入手しやすく、飽和磁化が高いという観点から、鉄、ニッケル、コバルト、およびこれらの鉄系合金(ステンレス鋼を含む)の粉末を用いるとよい。
磁性粒子は、凝集体の表面に付着しており、凝集体を配向させる役割を果たす。磁性粒子は、凝集体の表面の一部のみに付着していてもよく、表面全体を被覆するように付着していてもよい。磁性粒子の大きさは、凝集体の大きさ、複合粒子の配向性、および複合粒子間の熱抵抗などを考慮して、適宜決定すればよい。例えば、磁性粒子の最大長さは、凝集体の最大長さの1/10以下であることが望ましい。なお、磁性粒子の大きさが小さくなると、磁性粒子の飽和磁化が低下する傾向がある。したがって、より少量の磁性粒子により、複合粒子を配向させるためには、磁性粒子の粉末の平均粒径を、100nm以上とすることが望ましい。1μm以上、さらには5μm以上とするとより好適である。
磁性粒子の形状は、特に限定されるものではない。例えば、磁性粒子の形状が扁平の場合には、球状の場合と比較して、隣接する凝集体間の距離が短くなる。これにより、複合粒子間における熱伝導性が向上する。その結果、エラストマー成形体の熱伝導性が向上する。また、磁性粒子の形状が扁平の場合には、磁性粒子と凝集体とが面で接触する。つまり、両者の接触面積が大きくなる。これにより、磁性粒子と凝集体との付着力が向上し、磁性粒子が剥離しにくくなる。加えて、磁性粒子と凝集体との間の熱伝導性も向上する。このような理由から、磁性粒子としては、薄片状の粒子を採用することが望ましい。
窒化ホウ素粒子は絶縁性を有するため、熱伝導異方性粒子として窒化ホウ素粒子を使用すると、絶縁性が要求される用途に対し有利である。しかし、磁性粒子として導電性の粒子を使用すると、エラストマー成形体の絶縁性が低下する。したがって、電子部品の放熱用途など、エラストマー成形体に絶縁性が要求される場合には、磁性粒子として絶縁性の粒子を採用することが望ましい。絶縁性の磁性粒子としては、例えば、絶縁処理されたステンレス鋼粒子のように、導電性を有する粒子の表面に絶縁層を形成するなどの絶縁処理を施した絶縁処理粒子を使用することができる。しかし、絶縁処理粒子の場合、内部が導電性を有するため、エラストマー成形体の絶縁破壊強度を大きくするには限界がある。したがって、絶縁性の磁性粒子としては、粒子そのものが絶縁性を有する酸化鉄粒子、マンガンフェライト粒子などが好適である。特に、酸化鉄粒子は、飽和磁化が高く、絶縁性に優れ、安価であるという理由から好適である。
磁性粒子は凝集体にバインダーを介して付着される。バインダーは、凝集体の材質、成形性への影響などを考慮して、適宜選択すればよい。成形性への影響が少なく、環境にも優しいという理由から、水溶性のバインダーが好適である。例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
本発明のエラストマー成形体における複合粒子の含有量は、凝集体の種類に応じて適宜決定すればよい。複合粒子の含有量が少なすぎると熱の伝達経路が充分に形成されない。このため、熱伝導性の向上効果を得るためには、複合粒子の含有量は、エラストマー成形体の質量を100質量%とした時の40質量%以上であることが望ましい。一方、成形性や物性への影響を少なくする、コスト高を防ぐという観点から、複合粒子の含有量は、エラストマー成形体の質量を100質量%とした場合の300質量%以下であることが望ましい。
本発明のエラストマー成形体は、複合粒子に加えて、配向せずに基材中に分散される非配向フィラーを有していてもよい。非配向フィラーは、熱伝導性の向上、絶縁性の付与、難燃性の向上など、目的に応じて適宜選択すればよい。絶縁性を付与するには、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、タルクなどの絶縁性粒子を用いればよい。熱伝導性を向上させるには、熱伝導率が比較的大きい熱伝導性粒子を用いればよい。熱伝導率が5W/m・K以上の熱伝導性粒子としては、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどが挙げられる。なかでも絶縁性と熱伝導性の両方に優れた粒子が好適である。
非配向フィラーとして熱伝導性粒子が含有される場合には、複合粒子の含有量を少なくしてもよい。すなわち、熱伝導性粒子と複合粒子との含有量の合計が、エラストマー成形体の質量を100質量%とした時の40質量%以上であればよい。
非配向フィラーを配合する場合、複合粒子の配向性を阻害しないよう、比較的粒子径が小さい粒子を用いることが望ましい。例えば、平均粒径が0.1μm以上20μm以下の粉末を用いると好適である。また、非配向フィラーとして、粒子径が異なる二種類以上の粒子を混合して用いることが望ましい。この場合、次の二つの利点がある。第一に、小径粒子が大径粒子間の隙間に入り込むため、非配向フィラーの高充填が可能になる。これにより、熱伝導性向上などの所望の効果を得やすくなる。第二に、成形前の混合原料の粘度上昇を抑制することができる。これにより、非配向フィラーを高充填しても混合原料の流動性を維持できるため、成形時における複合粒子の磁場配向を阻害しにくい。
粒子径が異なる粒子は、材質が同じでも異なっていてもよい。ここで、「粒子径」とは、粒子の最大径を意味する。大径粒子と小径粒子との粒子径比は、1.5倍以上であることが望ましい。例えば、非配向フィラーは、粒子径が15μm以上の大径粒子と、10μm以下の小径粒子と、を有する形態が好適である。また、大径粒子は、質量比で、小径粒子と同等若しくはそれより少ない割合で配合されることが望ましい。例えば、小径粒子と大径粒子との質量比は、1:1〜1:0.1であることが望ましい。
<エラストマー成形体の製造方法>
[第一の製造方法]
本発明のエラストマー成形体の第一の製造方法は、複合粒子を撹拌造粒法により製造する場合の製造方法であって、複合粒子製造工程と、混合原料調製工程と、成形工程と、を有する。以下、各工程について説明する。
[第一の製造方法]
本発明のエラストマー成形体の第一の製造方法は、複合粒子を撹拌造粒法により製造する場合の製造方法であって、複合粒子製造工程と、混合原料調製工程と、成形工程と、を有する。以下、各工程について説明する。
(1)複合粒子製造工程
本工程は、熱伝導に異方性を有し結晶面の方向に熱伝導率が大きい熱伝導異方性粒子が凝集した凝集体の粉末、磁性粒子の粉末、およびバインダーを含む粉末原料を撹拌して複合粒子の粉末を製造する工程である。本工程は、いわゆる撹拌造粒機を用いて行えばよい。
本工程は、熱伝導に異方性を有し結晶面の方向に熱伝導率が大きい熱伝導異方性粒子が凝集した凝集体の粉末、磁性粒子の粉末、およびバインダーを含む粉末原料を撹拌して複合粒子の粉末を製造する工程である。本工程は、いわゆる撹拌造粒機を用いて行えばよい。
凝集体、磁性粒子、およびバインダーについては、前述した通りである。よって、ここでは説明を省略する。また、凝集体の粉末、磁性粒子の粉末、およびバインダーの配合量についても、製造される複合粒子の磁場配向性や、複合粒子を含むエラストマー成形体の熱伝導性などを考慮して、適宜調整すればよい。
例えば、窒化ホウ素粒子の凝集体または黒鉛粒子の凝集体を用いる場合には、磁性粒子の粉末の配合量を、凝集体の粉末100質量部に対して20質量部以上160質量部以下とすることが望ましい。磁性粒子の粉末の配合量が少なすぎると、複合粒子の配向に必要な磁性が不足するおそれがある。一方、磁性粒子の粉末の配合量が多すぎると、磁性粒子の付着量が過剰になる分だけ、エラストマー成形体の質量の増加やコスト高を招く。また、磁性粒子の熱伝導率が小さい場合、熱抵抗も増加する。
バインダーの配合量は、接着対象である凝集体および磁性粒子の粉末の合計質量を100質量部とした場合の2質量部以上5質量部以下であることが望ましい。バインダーの配合量が2質量部未満の場合には、凝集体や磁性粒子の表面にバインダーが行き渡らず、接着性が低下する。一方、5質量部を超えると、過剰のバインダーにより、複合粒子同士が凝集するおそれがある。バインダーは固体でも液体でもよい。なお、粉末原料を高速で撹拌すると、摩擦熱が生じる。このため、バインダーとしては、揮発性のないものが望ましい。例えば、水溶性のバインダーが好適である。水溶性のバインダー粉末を用いる場合、予めバインダーと他の原料の粉末とを撹拌した後に、水を添加するとよい。こうすることにより、粒子の凝集を抑制することができる。
(2)混合原料調製工程
本工程は、先の工程において製造された複合粒子の粉末とエラストマー原料とを含む混合原料を調製する工程である。
本工程は、先の工程において製造された複合粒子の粉末とエラストマー原料とを含む混合原料を調製する工程である。
エラストマー原料は、エラストマー成分のポリマー(エラストマーが架橋ゴムの場合には、架橋前のポリマー)の他、必要に応じて、架橋剤、遅延剤、可塑剤、触媒、発泡剤、整泡剤、難燃剤、帯電防止剤、減粘剤、安定剤、充填剤、着色剤などを含む。混合原料は、複合粒子の粉末とエラストマー原料とを、撹拌羽根などを用いて撹拌、混合して調製すればよい。
例えば、エラストマー原料が発泡ウレタン原料の場合には、複合粒子の粉末を、ポリオール原料およびポリイソシアネート原料の少なくとも一方に、予め配合しておいてもよい。また、ポリオール原料とポリイソシアネート原料とを、各々高圧で噴射して衝突させることにより混合する衝突攪拌法を採用してもよい。
前述したように、本発明のエラストマー成形体においては、基材中に、複合粒子とは別に、非配向フィラーが分散されていてもよい。この形態のエラストマー成形体を製造する場合には、エラストマー原料に、複合粒子の粉末と非配向フィラーとを混合すればよい。例えば、非配向フィラーとして、粒子径が異なる粒子を混在させる場合には、平均粒径が異なる二種類以上の粉末を配合すればよい。この場合、平均粒径が最小の粉末と、それの1.5倍以上の平均粒径を有する粉末と、を組み合わせることが望ましい。例えば、平均粒径が15μm以上50μm以下の大粒径粉末と、平均粒径が0.1μm以上10μm以下の小粒径粉末と、を配合することが望ましい。
(3)成形工程
本工程は、先の工程において調製した混合原料を成形型に配置して、磁場中で混合原料を成形する工程である。
本工程は、先の工程において調製した混合原料を成形型に配置して、磁場中で混合原料を成形する工程である。
成形型は、密閉型でも開放型でもよい。磁場は、複合粒子を配向させる方向に形成すればよい。例えば、複合粒子を直線状に配向させる場合、混合原料の一端から他端に向かって、磁力線を作用させることが望ましい。このような磁場を形成するためには、混合原料を挟むように磁石を配置すればよい。磁石には、永久磁石または電磁石を用いればよい。電磁石を用いると、磁場形成のオン、オフを瞬時に切り替えることができ、磁場の強さの制御が容易である。
また、磁場を構成する磁力線は閉ループを形成していることが望ましい。こうすることで、磁力線の漏洩が抑制され、混合原料に安定した磁場を作用させることができる。なお、成形型の外部に配置した磁石により、成形型の内部に磁場を形成させるには、成形型としては透磁率の低い材質、つまり非磁性の材質のものを使用するとよい。例えば、アルミニウムやアルミニウム合金製の成形型が好適である。この場合、電磁石などの磁力源から発生する磁場、磁力線が影響を受けにくく、磁場状態のコントロールがしやすい。ただし、必要とする磁場、磁力線の状態に応じて適宜、磁性材料からなる成形型を使用してもよい。
本工程においては、磁束密度が略均一な磁場を、混合原料に作用させることが望ましい。具体的には、混合原料における磁束密度の差が、±10%以内であるとよい。±5%以内、さらには±3%以内であるとより好適である。混合原料に一様な磁場を作用させることにより、複合粒子の偏在を抑制することができ、所望の配向状態を得ることができる。また、成形は、150mT以上1200mT以下の磁束密度で行うとよい。こうすることで、混合原料中の複合粒子を、確実に配向させることができる。本工程にて成形が終了した後、脱型して、本発明のエラストマー成形体を得る。
[第二の製造方法]
本発明のエラストマー成形体の第二の製造方法は、複合粒子を流動層コーティング法により製造する場合の製造方法であって、複合粒子製造工程と、混合原料調製工程と、成形工程と、を有する。混合原料調製工程および成形工程については、第一の製造方法と同じである。よって、ここでは複合粒子製造工程についてのみ説明する。
本発明のエラストマー成形体の第二の製造方法は、複合粒子を流動層コーティング法により製造する場合の製造方法であって、複合粒子製造工程と、混合原料調製工程と、成形工程と、を有する。混合原料調製工程および成形工程については、第一の製造方法と同じである。よって、ここでは複合粒子製造工程についてのみ説明する。
複合粒子製造工程は、熱伝導に異方性を有し結晶面の方向に熱伝導率が大きい熱伝導異方性粒子が凝集した凝集体の粉末を気体により浮遊流動させた状態で、バインダー溶液に磁性粒子の粉末を分散した分散液を噴霧して複合粒子の粉末を製造する工程である。本工程は、いわゆる流動層造粒機を用いて行えばよい。
凝集体、磁性粒子、およびバインダーについては、前述した通りである。また、凝集体の粉末、磁性粒子の粉末、バインダーの配合量については、第一の製造方法と同じである。よって、ここでは説明を省略する。
凝集体の粉末は、空気などの気体の流れで浮遊させながら流動させればよい。例えば、85℃程度に加熱された熱風を用いると、磁性粒子を凝集体に付着させた後、瞬時に乾燥させることができる。分散液は、バインダーを水または有機溶剤に溶解したバインダー溶液に、磁性粒子の粉末を分散して調製すればよい。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
1.熱伝導性の評価
<複合粒子の製造>
[複合粒子A]
複合粒子を撹拌造粒法により製造した。まず、鱗片状の窒化ホウ素(BN)粒子の凝集体であって、BN粒子の結晶面が一方向に揃っているものの粉末(スリーエムジャパン(株)製「Flakes 70/500」、平均粒径(D50)230〜280μm)と、磁性粒子としての絶縁性ステンレス鋼粉末(エプソンアトミックス(株)製「Fe−3.5%Si−4.5%Cr」の絶縁処理品、球状、平均粒径3μm)と、バインダーとしてのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、信越化学工業(株)製「TC−5」)と、を準備した。
<複合粒子の製造>
[複合粒子A]
複合粒子を撹拌造粒法により製造した。まず、鱗片状の窒化ホウ素(BN)粒子の凝集体であって、BN粒子の結晶面が一方向に揃っているものの粉末(スリーエムジャパン(株)製「Flakes 70/500」、平均粒径(D50)230〜280μm)と、磁性粒子としての絶縁性ステンレス鋼粉末(エプソンアトミックス(株)製「Fe−3.5%Si−4.5%Cr」の絶縁処理品、球状、平均粒径3μm)と、バインダーとしてのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、信越化学工業(株)製「TC−5」)と、を準備した。
次に、凝集体粉末300g、絶縁性ステンレス鋼粉末150g、およびHPMC13.5gを、FMミキサ(日本コークス工業(株)製)の容器内へ投入し、1分間混合した。その後、水を125g添加して、さらに6分間混合して、複合粒子の粉末を製造した。得られた複合粒子を「複合粒子A」と称す。
[複合粒子B]
凝集体の種類を変更した点、水の配合量を51gに変更した点以外は、複合粒子Aと同様にして複合粒子の粉末を製造した。凝集体としては、鱗片状のBN粒子がランダムに(個々の粒子の結晶面の方向がばらばらな状態で)凝集したものの粉末(サンゴバン(株)製「PCTP30D」、平均粒径(D50)180μm)を使用した。得られた複合粒子を「複合粒子B」と称す。
凝集体の種類を変更した点、水の配合量を51gに変更した点以外は、複合粒子Aと同様にして複合粒子の粉末を製造した。凝集体としては、鱗片状のBN粒子がランダムに(個々の粒子の結晶面の方向がばらばらな状態で)凝集したものの粉末(サンゴバン(株)製「PCTP30D」、平均粒径(D50)180μm)を使用した。得られた複合粒子を「複合粒子B」と称す。
[複合粒子C]
凝集体ではなく鱗片状のBN粒子(一次粒子)の粉末を使用した点、水の配合量を33gに変更した点以外は、複合粒子Aと同様にして複合粒子の粉末を製造した。BN粉末としては、サンゴバン(株)製「PCTP30」(平均粒径(D50)30μm)を使用した。得られた複合粒子を「複合粒子C」と称す。
凝集体ではなく鱗片状のBN粒子(一次粒子)の粉末を使用した点、水の配合量を33gに変更した点以外は、複合粒子Aと同様にして複合粒子の粉末を製造した。BN粉末としては、サンゴバン(株)製「PCTP30」(平均粒径(D50)30μm)を使用した。得られた複合粒子を「複合粒子C」と称す。
[複合粒子D]
凝集体および磁性粒子の種類を変更した点、水の配合量を110gに変更した点以外は、複合粒子Aと同様にして複合粒子の粉末を製造した。凝集体としては、鱗片状の黒鉛粒子の凝集体であって、黒鉛粒子の結晶面が一方向に揃っているものの粉末(伊藤黒鉛工業(株)製「EC100」、平均粒径150〜200μm)を使用した。磁性粒子としては、ステンレス鋼粉末(SUS410L、薄片状、平均粒径20μm)を使用した。なお、薄片状のステンレス鋼粉末については、球状のステンレス鋼粉末(大同特殊鋼(株)製「DAP410L」、平均粒径10μm)を、扁平化処理して製造した。すなわち、球状のステンレス鋼粉末を、遊星ボールミル(Gokin Planetaring社製「Planet−M」)に、直径5mmのジルコニア製ボールと共に充填し、回転速度300rpmで、一時間処理した。得られた複合粒子を「複合粒子D」と称す。
凝集体および磁性粒子の種類を変更した点、水の配合量を110gに変更した点以外は、複合粒子Aと同様にして複合粒子の粉末を製造した。凝集体としては、鱗片状の黒鉛粒子の凝集体であって、黒鉛粒子の結晶面が一方向に揃っているものの粉末(伊藤黒鉛工業(株)製「EC100」、平均粒径150〜200μm)を使用した。磁性粒子としては、ステンレス鋼粉末(SUS410L、薄片状、平均粒径20μm)を使用した。なお、薄片状のステンレス鋼粉末については、球状のステンレス鋼粉末(大同特殊鋼(株)製「DAP410L」、平均粒径10μm)を、扁平化処理して製造した。すなわち、球状のステンレス鋼粉末を、遊星ボールミル(Gokin Planetaring社製「Planet−M」)に、直径5mmのジルコニア製ボールと共に充填し、回転速度300rpmで、一時間処理した。得られた複合粒子を「複合粒子D」と称す。
[複合粒子E]
凝集体ではなく鱗片状の黒鉛粒子(一次粒子)の粉末を使用した点、水の配合量を30gに変更した点以外は、複合粒子Dと同様にして複合粒子の粉末を製造した。黒鉛粉末としては、伊藤黒鉛工業(株)製「X−100」(平均粒径60μm)を使用した。得られた複合粒子を「複合粒子E」と称す。
凝集体ではなく鱗片状の黒鉛粒子(一次粒子)の粉末を使用した点、水の配合量を30gに変更した点以外は、複合粒子Dと同様にして複合粒子の粉末を製造した。黒鉛粉末としては、伊藤黒鉛工業(株)製「X−100」(平均粒径60μm)を使用した。得られた複合粒子を「複合粒子E」と称す。
表1に、製造した複合粒子の原料および配合量を示す。
製造した複合粒子を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した。図2に、複合粒子AのSEM写真を示す(倍率500倍)。図3に、複合粒子CのSEM写真を示す(倍率500倍)。図2に示すように、複合粒子Aにおいては、BN凝集体の表面に多量のステンレス鋼粒子が付着していた。一方、図3に示すように、複合粒子Cにおいては、BN粒子の表面に付着したステンレス鋼粒子はわずかであった。
<エラストマー成形体の製造>
複合粒子A〜Eを用いて、エラストマー成形体を製造した。まず、液状シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング(株)製「EG−3100」)100質量部と、架橋剤のハイドロゲンジメチコン(信越化学工業(株)製「KF9901」)0.2質量部と、遅延剤のアセチレングリコール(日信化学工業(株)製「サーフィノール(登録商標)61」)0.05質量部と、を混合し、シリコーンコンパウンドを製造した。
複合粒子A〜Eを用いて、エラストマー成形体を製造した。まず、液状シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング(株)製「EG−3100」)100質量部と、架橋剤のハイドロゲンジメチコン(信越化学工業(株)製「KF9901」)0.2質量部と、遅延剤のアセチレングリコール(日信化学工業(株)製「サーフィノール(登録商標)61」)0.05質量部と、を混合し、シリコーンコンパウンドを製造した。
次に、製造したシリコーンコンパウンドに複合粒子A〜Eを各々混合して、混合原料を調製した。続いて、各混合原料を、予めオーブンにて130℃に加熱したアルミニウム製の成形型(後述する図4、図5参照。キャビティは縦130mm×横130mm×厚さ5mmの直方体。)に注入し、密閉した。そして、磁場配向させるものは、成形型を磁気誘導成形装置に設置して成形した。また、磁場配向させないものは、そのまま130℃下で10分間保持して成形した。
図4に、磁気誘導成形装置の斜視図を示す。図5に、同装置の断面図を示す。図4においては、説明の便宜上、ヨーク部および芯部のハッチングを省略して示す。図4、図5に示すように、磁気誘導成形装置2は、架台3と、電磁石部4と、成形型5と、面状ヒーター60と、断熱部材61と、を備えている。
電磁石部4は、架台3の上面に載置されている。電磁石部4と架台3とは、各々にブラケット31をねじ止めすることにより、固定されている。電磁石部4は、ヨーク部40U、40Dと、コイル部41L、41Rと、ポールピース42U、42Dと、を備えている。
ヨーク部40Uは、鉄製であり、平板状を呈している。ヨーク部40Dも同様に、鉄製であり、平板状を呈している。ヨーク部40U、40Dは、上下方向に対向して配置されている。
コイル部41Lは、ヨーク部40U、40Dの間に介装されている。コイル部41Lは、成形型5の左側に配置されている。コイル部41Lは、上下方向に二つ重ねて配置されている。コイル部41Lは、各々、芯部410Lと導線411Lとを備えている。芯部410Lは、鉄製であって、上下方向に延びる柱状を呈している。導線411Lは、芯部410Lの外周面に巻装されている。導線411Lは、電源(図略)に接続されている。
コイル部41Rは、ヨーク部40U、40Dの間に介装されている。コイル部41Rは、成形型5の右側に配置されている。コイル部41Rは、上下方向に二つ重ねて配置されている。コイル部41Rは、各々、コイル部41Lと同様の構成を備えている。すなわち、コイル部41Rは、芯部410Rと導線411Rとを備えている。導線411Rは、芯部410Rの外周面に巻装されている。導線411Rは、電源(図略)に接続されている。
ポールピース42Uは、鉄製であり、平板状を呈している。ポールピース42Uは、ヨーク部40Uの下面中央に配置されている。ポールピース42Uは、ヨーク部40Uと成形型5との間に介装されている。ポールピース42Dは、鉄製であり、平板状を呈している。ポールピース42Dは、ヨーク部40Dの上面中央に配置されている。
成形型5は、コイル部41Lとコイル部41Rとの間に、配置されている。成形型5は、上型50Uと下型50Dとを備えている。上型50Uは、正方形板状を呈している。下型50Dは、直方体状を呈している。下型50Dの上面には、凹部が形成されている。凹部は、上方に開口する直方体状を呈している。上型50Uと下型50Dとが合体することにより、直方体状のキャビティ51が区画されている。キャビティ51には、前述したように、混合原料が充填されている。
面状ヒーター60は、正方形シート状を呈している。面状ヒーター60は、下型50Dの下面を覆うように配置されている。面状ヒーター60により、成形型5は100℃に保持されている。
断熱部材61は、ガラス繊維製であり、平板状を呈している。断熱部材61は、面状ヒーター60とポールピース42Dとの間に介装されている。断熱部材61により、面状ヒーター60から電磁石部4への熱の移動が、抑制されている。
導線411Lに接続された電源および導線411Rに接続された電源を、共にオンにすると、コイル部41Lの芯部410Lの上端がN極に、下端がS極に磁化される。このため、芯部410Lに、下方から上方に向かって磁力線L(図5に点線で示す)が発生する。同様に、コイル部41Rの芯部410Rの上端がN極に、下端がS極に磁化される。このため、芯部410Rに、下方から上方に向かって磁力線Lが発生する。
コイル部41Lの芯部410L上端から放射された磁力線Lは、ヨーク部40U、ポールピース42Uを通って、成形型5のキャビティ51内に流入する。その後、ポールピース42D、ヨーク部40Dを通って、芯部410L下端に流入する。同様に、コイル部41Rの芯部410R上端から放射された磁力線Lは、ヨーク部40U、ポールピース42Uを通って、成形型5のキャビティ51内に流入する。その後、ポールピース42D、ヨーク部40Dを通って、芯部410R下端に流入する。このように、磁力線Lは閉ループを構成するため、磁力線Lの漏洩は抑制される。また、成形型5のキャビティ51内には、上方から下方に向かって略平行な磁力線Lにより一様な磁場が形成される。具体的には、キャビティ51内の磁束密度は、約1000mTであった。また、キャビティ51内における磁束密度の差は、±3%以内であった。成形は、130℃下で、10分間磁場をかけながら行った。成形が終了した後、脱型して、エラストマー成形体を得た。
<熱伝導率および体積抵抗率の測定>
製造したエラストマー成形体の熱伝導率を、JIS A1412−2(1999)の熱流計法に準拠した、英弘精機(株)製「HC−110」を用いて測定した。また、エラストマー成形体の体積抵抗率を、JIS K6271(2008)の平行端子電極法に準拠した、ケースレーインスツルメンツ社製「高電圧ソース・メジャーユニット237」を用いて測定した。印加電圧は1kVとした。
製造したエラストマー成形体の熱伝導率を、JIS A1412−2(1999)の熱流計法に準拠した、英弘精機(株)製「HC−110」を用いて測定した。また、エラストマー成形体の体積抵抗率を、JIS K6271(2008)の平行端子電極法に準拠した、ケースレーインスツルメンツ社製「高電圧ソース・メジャーユニット237」を用いて測定した。印加電圧は1kVとした。
<評価>
表2に、エラストマー成形体の組成と、熱伝導率および体積抵抗率の測定結果と、を示す。表2中、配向効果とは、同じ組成で磁場配向の有無のみが異なる二つのエラストマー成形体の熱伝導率を比較した指標であり、磁場配向ありのエラストマー成形体の熱伝導率を、磁場配向なしのエラストマー成形体の熱伝導率で除した値である。配向効果が大きいほど、磁場配向させることによる熱伝導率の向上効果が大きい。
表2に、エラストマー成形体の組成と、熱伝導率および体積抵抗率の測定結果と、を示す。表2中、配向効果とは、同じ組成で磁場配向の有無のみが異なる二つのエラストマー成形体の熱伝導率を比較した指標であり、磁場配向ありのエラストマー成形体の熱伝導率を、磁場配向なしのエラストマー成形体の熱伝導率で除した値である。配向効果が大きいほど、磁場配向させることによる熱伝導率の向上効果が大きい。
表2に示すように、複合粒子としてBN凝集体を含む実施例1、2の成形体の熱伝導率は、複合粒子としてBN粒子を含む比較例4の成形体の熱伝導率よりも大きくなった。同様に、複合粒子として黒鉛凝集体を含む実施例3の成形体の熱伝導率は、複合粒子として黒鉛粒子を含む比較例6の成形体の熱伝導率よりも大きくなった。これは、凝集体を使用すると、熱の伝達経路を形成するのに必要な複合粒子の数が少なくなるため、粒子同士の界面の熱抵抗の影響が減少するためである。また、実施例1の成形体の方が、実施例2の成形体よりも熱伝導率が大きくなった。これは、実施例1の成形体中の複合粒子が、熱伝導率が大きい結晶面が一方向(熱伝導方向)に揃った凝集体を含むためである。
磁場配向の有無の違いを比較すると、BN、黒鉛のいずれの場合も、磁場をかけて成形した成形体の方が熱伝導率は大きくなった。また、磁場配向の有無による配向効果を比較すると、実施例1の成形体の方が比較例4の成形体より大きくなった。同様に、実施例3の成形体の方が比較例6の成形体より大きくなった。凝集体には、磁場配向させるのに充分な量の磁性粒子を付着させることができる。このため、凝集体は比較的低磁場でも配向し、配向による熱伝導性の向上効果が大きくなったと考えられる。
黒鉛は導電性を有する。このため、磁場配向により導電経路が形成され、実施例3の成形体においては、BNを使用した実施例1、2の成形体と比較して、電気抵抗が低下した。したがって、成形体に絶縁性を付与したい場合には、BNなどの絶縁性粒子の凝集体を使用すればよい。
2.熱伝導性および絶縁破壊強度の評価
<複合粒子の製造>
[複合粒子F]
複合粒子Aと同じ凝集体粉末(鱗片状のBN粒子の凝集体であって、BN粒子の結晶面が一方向に揃っているものの粉末)300gと、複合粒子Dと同じステンレス鋼粉末150gと、HPMC13.5gと、をFMミキサ(同上)の容器内へ投入し、1分間混合した。その後、水を125g添加して、さらに6分間混合して、複合粒子の粉末を製造した。得られた複合粒子を「複合粒子F」と称す。
<複合粒子の製造>
[複合粒子F]
複合粒子Aと同じ凝集体粉末(鱗片状のBN粒子の凝集体であって、BN粒子の結晶面が一方向に揃っているものの粉末)300gと、複合粒子Dと同じステンレス鋼粉末150gと、HPMC13.5gと、をFMミキサ(同上)の容器内へ投入し、1分間混合した。その後、水を125g添加して、さらに6分間混合して、複合粒子の粉末を製造した。得られた複合粒子を「複合粒子F」と称す。
[複合粒子G]
複合粒子を流動層コーティング法により製造した。まず、複合粒子Aと同じ凝集体粉末と、磁性粒子としての酸化鉄粉末(チタン工業(株)製「γ−MRD」、短針状、平均粒径1μm)と、バインダーとしてのポリビニルアルコール(PVA:日本酢ビ・ポバール(株)製「JP−18S」)と、を準備した。次に、凝集体粉末300gを流動層コーティング装置((株)パウレック製)の容器内へ投入し、温風で浮遊流動させながら、PVA水溶液450gに酸化鉄粉末150gを分散させた分散液を噴霧して、複合粒子の粉末を製造した。PVA水溶液は、水432gにPVA18gを溶解した水溶液である。得られた複合粒子を「複合粒子G」と称す。製造した複合粒子を、SEMにて観察した。図6に、複合粒子GのSEM写真を示す(倍率250倍)。図6のSEM写真においてBN凝集体の表面が白く見えるように、複合粒子Gにおいては、BN凝集体の表面全体が酸化鉄粒子で被覆されていた。
複合粒子を流動層コーティング法により製造した。まず、複合粒子Aと同じ凝集体粉末と、磁性粒子としての酸化鉄粉末(チタン工業(株)製「γ−MRD」、短針状、平均粒径1μm)と、バインダーとしてのポリビニルアルコール(PVA:日本酢ビ・ポバール(株)製「JP−18S」)と、を準備した。次に、凝集体粉末300gを流動層コーティング装置((株)パウレック製)の容器内へ投入し、温風で浮遊流動させながら、PVA水溶液450gに酸化鉄粉末150gを分散させた分散液を噴霧して、複合粒子の粉末を製造した。PVA水溶液は、水432gにPVA18gを溶解した水溶液である。得られた複合粒子を「複合粒子G」と称す。製造した複合粒子を、SEMにて観察した。図6に、複合粒子GのSEM写真を示す(倍率250倍)。図6のSEM写真においてBN凝集体の表面が白く見えるように、複合粒子Gにおいては、BN凝集体の表面全体が酸化鉄粒子で被覆されていた。
表3に、製造した複合粒子の原料および配合量を示す。
<エラストマー成形体の製造>
複合粒子A、F、Gを用いて、エラストマー成形体を製造した。まず、先のエラストマー成形体の製造で使用したのと同じシリコーンコンパウンドに、複合粒子A、F、Gの各々と、非配向フィラーと、を混合して、混合原料を調製した。非配向フィラーとしては、絶縁性かつ熱伝導性を有する以下の二種類の粉末の一方または両方を使用した。
酸化アルミニウム粉末:デンカ(株)製「DAW−03」、球状、平均粒径3μm。
酸化マグネシウム粉末:協和化学工業(株)製「パイロキスマ(登録商標)3320」、球状、平均粒径20μm。
複合粒子A、F、Gを用いて、エラストマー成形体を製造した。まず、先のエラストマー成形体の製造で使用したのと同じシリコーンコンパウンドに、複合粒子A、F、Gの各々と、非配向フィラーと、を混合して、混合原料を調製した。非配向フィラーとしては、絶縁性かつ熱伝導性を有する以下の二種類の粉末の一方または両方を使用した。
酸化アルミニウム粉末:デンカ(株)製「DAW−03」、球状、平均粒径3μm。
酸化マグネシウム粉末:協和化学工業(株)製「パイロキスマ(登録商標)3320」、球状、平均粒径20μm。
次に、先のエラストマー成形体の製造で使用したのと同じ成形型(予めオーブンにて130℃に加熱されている。キャビティは縦130mm×横130mm×厚さ5mmの直方体。)に、各混合原料を注入し、密閉した。そして、当該成形型を磁気誘導成形装置(前出図4、図5参照)に設置して成形した。成形は、130℃下で、10分間磁場をかけながら行った。成形が終了した後、脱型して、エラストマー成形体を得た。
<熱伝導率および絶縁破壊強度の測定>
製造したエラストマー成形体の熱伝導率を、前述した測定器「HC−110」を用いて測定した。また、エラストマー成形体の絶縁破壊強度を、ヤマヨ試験機有限会社製「絶縁破壊試験装置「YST−243−20R」を用いて測定した。具体的には、絶縁油を入れた油槽中に配置されている電極間にエラストマー成形体を挟み、電圧を印加して、絶縁破壊が発生する電圧を測定した。
製造したエラストマー成形体の熱伝導率を、前述した測定器「HC−110」を用いて測定した。また、エラストマー成形体の絶縁破壊強度を、ヤマヨ試験機有限会社製「絶縁破壊試験装置「YST−243−20R」を用いて測定した。具体的には、絶縁油を入れた油槽中に配置されている電極間にエラストマー成形体を挟み、電圧を印加して、絶縁破壊が発生する電圧を測定した。
<評価>
表4に、エラストマー成形体の組成、熱伝導率、および絶縁破壊強度の測定結果を示す。表4中、実施例7の成形体においては、酸化マグネシウム粉末が大粒径粉末に、酸化アルミニウム粉末が小粒径粉末に相当する。
表4に、エラストマー成形体の組成、熱伝導率、および絶縁破壊強度の測定結果を示す。表4中、実施例7の成形体においては、酸化マグネシウム粉末が大粒径粉末に、酸化アルミニウム粉末が小粒径粉末に相当する。
表4に示すように、実施例4→実施例7の順に、絶縁破壊強度は大きくなった。実施例4と実施例5とを比較してわかるように、磁性粒子の材質を導電性のステンレス鋼から絶縁処理を施したステンレス鋼に変更することにより、成形体の絶縁破壊強度を大きくすることができた。実施例5と実施例6、7を比較してわかるように、磁性粒子の材質を絶縁性の酸化鉄に変更することにより、成形体の絶縁破壊強度を飛躍的に大きくすることができた。また、実施例4〜7の成形体の熱伝導率はいずれも大きかった。特に、実施例7の成形体において熱伝導率が大きくなった。実施例7の成形体においては、非配向フィラーの含有量が多い。非配向フィラーとして、高絶縁性かつ高熱伝導性の粒子を高充填することにより、成形体の熱伝導性を飛躍的に大きくすることができた。
本発明のエラストマー成形体は、電子機器、自動車、建築などの幅広い分野において用いることができる。具体的には、パソコンなどの電子機器に用いられる放熱部材、車載用ECU(電子制御ユニット)の放熱部材、LED(発光ダイオード)照明用の放熱部材などに好適である。
1:エラストマー成形体、10:基材、11:複合粒子、12:凝集体、13:磁性粒子。
2:磁気誘導成形装置、3:架台、31:ブラケット、4:電磁石部、40D、40U:ヨーク部、41L、41R:コイル部、42D、42U:ポールピース、410L、410R:芯部、411L、411R:導線、5:成形型、50U:上型、50D:下型、51:キャビティ、60:面状ヒーター、61:断熱部材、L:磁力線。
2:磁気誘導成形装置、3:架台、31:ブラケット、4:電磁石部、40D、40U:ヨーク部、41L、41R:コイル部、42D、42U:ポールピース、410L、410R:芯部、411L、411R:導線、5:成形型、50U:上型、50D:下型、51:キャビティ、60:面状ヒーター、61:断熱部材、L:磁力線。
Claims (11)
- エラストマーからなる基材と、該基材中に配向して含有されている複合粒子と、を有するエラストマー成形体であって、
該複合粒子は、熱伝導に異方性を有し結晶面の方向に熱伝導率が大きい熱伝導異方性粒子が凝集した凝集体と、該凝集体にバインダーを介して付着されている磁性粒子と、を有することを特徴とするエラストマー成形体。 - 前記凝集体における前記熱伝導異方性粒子の前記結晶面は、一方向に揃っている請求項1に記載のエラストマー成形体。
- 前記熱伝導異方性粒子の前記結晶面の方向と、前記複合粒子の配向方向と、は同じである請求項2に記載のエラストマー成形体。
- 前記熱伝導異方性粒子の形状は、鱗片状である請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のエラストマー成形体。
- 前記熱伝導異方性粒子は、窒化ホウ素粒子および黒鉛粒子の少なくとも一方である請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のエラストマー成形体。
- 前記磁性粒子の最大長さは、前記凝集体の最大長さの1/10以下である請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のエラストマー成形体。
- 前記磁性粒子は、酸化鉄粒子である請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のエラストマー成形体。
- さらに、前記基材中に配向せずに分散される非配向フィラーを有する請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のエラストマー成形体。
- 前記非配向フィラーは、粒子径が1.5倍以上異なる大径粒子と小径粒子とを有する請求項8に記載のエラストマー成形体。
- 請求項1に記載のエラストマー成形体の製造方法であって、
熱伝導に異方性を有し結晶面の方向に熱伝導率が大きい熱伝導異方性粒子が凝集した凝集体の粉末、磁性粒子の粉末、およびバインダーを含む粉末原料を撹拌して複合粒子の粉末を製造する複合粒子製造工程と、
該複合粒子の粉末とエラストマー原料とを含む混合原料を調製する混合原料調製工程と、
該混合原料を成形型に配置して、磁場中で該混合原料を成形する成形工程と、
を有することを特徴とするエラストマー成形体の製造方法。 - 請求項1に記載のエラストマー成形体の製造方法であって、
熱伝導に異方性を有し結晶面の方向に熱伝導率が大きい熱伝導異方性粒子が凝集した凝集体の粉末を気体により浮遊流動させた状態で、バインダー溶液に磁性粒子の粉末を分散した分散液を噴霧して複合粒子の粉末を製造する複合粒子製造工程と、
該複合粒子の粉末とエラストマー原料とを含む混合原料を調製する混合原料調製工程と、
該混合原料を成形型に配置して、磁場中で該混合原料を成形する成形工程と、
を有することを特徴とするエラストマー成形体の製造方法。
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