JP2017154996A - プロスタグランジンe2産生抑制剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】天然物由来の化合物の中からプロスタグランジンE2産生抑制作用を有するものを見出し、それを有効成分とするプロスタグランジンE2産生抑制剤を提供する。【解決手段】本発明のプロスタグランジンE2産生抑制剤の有効成分として、ダビジゲニンを含有させる。【選択図】なし
Description
本発明は、天然物由来の化合物を有効成分として含有するプロスタグランジンE2産生抑制剤に関するものである。
炎症性疾患、例えば、接触性皮膚炎(かぶれ)、乾癬、尋常性天疱瘡、アトピー性皮膚炎、その他肌荒れを伴う各種皮膚炎症性疾患などの原因及び発症機構は、多種多様である。その原因として、プロスタグランジンE2(PGE2)の産生量の増加によるものなどが知られている。
炎症は、発赤、浮腫、発熱、痛み、痒み、機能障害等の症状を示す複雑な反応である。例えば、皮膚においては、紫外線が曝露されたり、刺激性物質と接触したりすると、皮膚内で炎症性サイトカイン等が生成され、皮膚炎症が引き起こされる。その結果、皮膚組織がダメージを受け、肌荒れ、発赤、浮腫、色素沈着等の諸症状が生じるようになる。
炎症性サイトカインの一つとして、プロスタグランジンE2(PGE2)が挙げられる。PGE2は、皮膚においては例えば角化細胞(ケラチノサイト)等で産生され、皮膚炎症を誘発する原因となる。このため、皮膚炎症を治療または予防する方法として、角化細胞でのPGE2の産生を抑制することが考えられる。角化細胞に対しPGE2産生抑制作用を有する成分として、ペンタエリスリトール等が知られている(特許文献1参照)。
本発明は、天然物由来の化合物の中からプロスタグランジンE2産生抑制作用を有するものを見出し、それを有効成分とするプロスタグランジンE2産生抑制剤を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のプロスタグランジンE2産生抑制剤は、ダビジゲニンを有効成分として含有することを特徴とする。
本発明によれば、天然物由来の化合物であるダビジゲニンを有効成分として含有させることにより、作用効果に優れたプロスタグランジンE2産生抑制剤を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態に係るプロスタグランジンE2産生抑制剤は、下記式で表されるダビジゲニン(davidigenin)を有効成分として含有するものである。
本実施形態に係るプロスタグランジンE2産生抑制剤は、下記式で表されるダビジゲニン(davidigenin)を有効成分として含有するものである。
ダビジゲニンは、合成により製造することもできるし、ダビジゲニンを含有する植物の抽出物から単離・精製することにより製造することもできる。さらに、2’,4,4’−トリヒドロキシカルコン(イソリクイリチゲニン)を含有する植物の抽出物を還元処理し、当該抽出物に含まれる2’,4,4’−トリヒドロキシカルコンをダビジゲニンに還元した後、単離・精製することにより製造することも可能である。
ダビジゲニンを合成により製造する場合、公知の方法により合成することができる。例えば、p−ヒドロキシベンズアルデヒドと2,4−ジヒドロキシアセトフェノンとを塩基の存在化でアルドール縮合させ、2’,4,4’−トリヒドロキシカルコンを得る。得られた2’,4,4’−トリヒドロキシカルコンにさらに水素を添加することによりダビジゲニンを得ることができる。
アルドール縮合反応において使用し得る溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール;n−ヘキサン、ベンゼン等の炭化水素系有機溶媒;ジメチルスルホキシド等が挙げられ、これらを1種又は2種以上の混合溶媒として使用することができる。また、アルドール縮合において触媒として使用し得る塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート等が挙げられる。これらの塩基は、適宜溶媒に溶解して加えても良い。アルドール縮合における反応温度は−10〜80℃であることが好ましい。反応後、再結晶などの一般的な精製手法により、2’,4,4’−トリヒドロキシカルコンを得ることができる。
このようにして得られた2’,4,4’−トリヒドロキシカルコンに水素を添加する方法としては、接触還元を用いることができる。接触還元において使用する溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール;酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジオキサン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上の混合溶媒として使用することができる。接触還元において使用し得る触媒としては、パラジウム、パラジウムカーボン、白金、酸化白金などが挙げられる。接触還元における反応温度は−10〜80℃であることが好ましい。反応後、再結晶などの一般的な精製手法により、ダビジゲニンを得ることができる。
なお、上記の方法において、p−ヒドロキシベンズアルデヒドと2,4−ジヒドロキシアセトフェノンとに代えて、これらの化合物に存在する1又は2以上のヒドロキシル基を保護基によりあらかじめ保護した化合物を用いてアルドール縮合を行い、得られた縮合物を還元する前又は還元した後に脱保護を行うことにより、ダビジゲニンを得ることとしても良い。
また、2’,4,4’−トリヒドロキシカルコンを含有する植物の抽出物を還元処理し、2’,4,4’−トリヒドロキシカルコンをダビジゲニンに還元した後、単離・精製することにより製造する場合、以下の方法により製造することができる。この方法により、後述する好ましい生理作用を有するダビジゲニンを、天然物から安価にかつ大量に製造することが可能となる。
2’,4,4’−トリヒドロキシカルコンを含有する植物としては、例えば、甘草(Glychyrrhiza属)の植物が挙げられる。2’,4,4’−トリヒドロキシカルコンを含有する植物抽出物は、植物の抽出に一般に用いられている方法によって得ることができる。例えば、抽出原料を乾燥した後、そのまま又は粗砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより得ることができる。抽出溶媒としては、極性溶媒を使用するのが好ましく、例えば、水、親水性有機溶媒等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて、室温又は溶媒の沸点以下の温度で使用することが好ましい。
抽出処理は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定はされず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出溶媒に抽出原料を浸漬し、常温又は還流加熱下で可溶性成分を抽出させた後、濾過して抽出残渣を除去することにより抽出液を得ることができ、得られた抽出液から溶媒を留去すると濃縮物が、さらに乾燥すると乾燥物が得られる。
以上のようにして得られた抽出液、当該抽出液の濃縮物又は当該抽出液の乾燥物に還元処理を行う方法としては、接触還元を用いることができる。接触還元において使用する溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール;酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジオキサン等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。接触還元において使用し得る触媒としては、パラジウム、パラジウムカーボン、白金、酸化白金などが挙げられ、中でもパラジウムカーボンが好ましい。また、接触還元における反応温度は−10〜80℃であることが好ましい。
以上のようにして還元処理を行った抽出物は、そのままダビジゲニンの単離・精製を行えば良い。なお、還元処理の前後に、酸又は塩基等を用いた加水分解処理を行うことで、ダビジゲニンの収量を高めてもよい。ダビジゲニンを単離・精製する方法は、特に限定されるものではなく、常法により行うことができる。例えば、抽出物を、多孔質物質や多孔性樹脂等を用いたカラムクロマトグラフィーに付すことにより、ダビジゲニンを含有する画分として得ることができる。さらに、得られた画分を、ODSを用いた逆相シリカゲルクロマトグラフィー、再結晶、液−液向流抽出、イオン交換樹脂を用いたカラムクロマトグラフィー等の任意の有機化合物精製手段を用いて精製してもよい。
以上のようにして得られるダビジゲニンは、優れたプロスタグランジンE2(PGE2)産生抑制作用を有しているため、PGE2産生抑制剤の有効成分として用いることができる。本実施形態のPGE2産生抑制剤は、医薬品、医薬部外品、化粧品等の幅広い用途に使用することができる。
なお、本実施形態に係るPGE2産生抑制剤の有効成分として、精製・単離したダビジゲニンに替えて、ダビジゲニンを含有する組成物を用いてもよい。ここで、本実施形態における「ダビジゲニンを含有する組成物」には、ダビジゲニンを含有する植物を抽出原料として得られる抽出物、2’,4,4’−トリヒドロキシカルコンを含有する植物抽出物を還元処理することによりダビジゲニンを含有するものとなった組成物等が含まれる。また、「抽出物」には、抽出処理により得られる抽出液、当該抽出液の希釈液もしくは濃縮液、または当該抽出液を乾燥して得られる乾燥物が含まれる。
本実施形態に係るPGE2産生抑制剤の有効成分として、ダビジゲニンを含有する組成物を用いる場合は、精製してダビジゲニンの純度を高めたものを使用することが好ましい。ダビジゲニンの純度を高めたものを有効成分として使用することによって、より一層作用効果に優れたPGE2産生抑制剤を得ることができる。
本実施形態のPGE2産生抑制剤は、ダビジゲニンまたはダビジゲニン含有組成物のみからなるものでもよいし、ダビジゲニンまたはダビジゲニン含有組成物を製剤化したものでもよい。
本実施形態のPGE2産生抑制剤は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状等の任意の剤形に製剤化することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味・矯臭剤等を用いることができる。PGE2産生抑制剤は、他の組成物(例えば、皮膚化粧料等)に配合して使用することができるほか、軟膏剤、外用液剤、貼付剤等として使用することができる。
本実施形態のPGE2産生抑制剤を製剤化した場合、ダビジゲニンの含有量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜設定することができる。
なお、本実施形態のPGE2産生抑制剤は、必要に応じて、PGE2産生抑制作用を有する他の天然抽出物等を、ダビジゲニンとともに配合して有効成分として用いることができる。
本実施形態のPGE2産生抑制剤の患者に対する投与方法としては、経口投与、経皮投与等が挙げられ、疾患の種類に応じて、その予防・治療等に好適な方法を適宜選択すればよいが、本実施形態のPGE2産生抑制剤は皮膚の角化細胞におけるPGE2産生の抑制に特に有効であるため、経皮投与であることが好ましい。
また、本実施形態のPGE2産生抑制剤の投与量は、疾患の種類、重症度、患者の個人差、投与方法、投与期間等によって適宜増減すればよい。
本実施形態のPGE2産生抑制剤は、有効成分であるダビジゲニンが有するPGE2産生抑制作用を通じて、刺激性物質の接触による接触性皮膚炎(かぶれ);乾癬、尋常性天疱瘡、その他肌荒れに伴う各種皮膚炎症性疾患を予防、治療または改善することができる。また、本実施形態のPGE2産生抑制剤は、有効成分であるダビジゲニンが有するPGE2産生抑制作用を通じて、紫外線曝露による発赤、紅斑、色素沈着等の皮膚炎症を予防、治療または改善することができる。ただし、本実施形態のPGE2産生抑制剤は、これらの用途以外にもPGE2産生抑制作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
また、本実施形態のPGE2産生抑制剤は、優れたPGE2産生抑制作用を有するため、例えば、皮膚外用剤や頭皮外用剤等の経皮用外用剤や飲食品等に配合するのに好適である。この場合に、ダビジゲニンまたはダビジゲニン含有組成物をそのまま配合してもよいし、ダビジゲニンまたはダビジゲニン含有組成物から製剤化したPGE2産生抑制剤を配合してもよい。
ここで、経皮用外用剤としては、その区分に制限はなく、経皮的に使用される皮膚化粧料、医薬部外品、医薬品等を幅広く含むものであり、具体的には、例えば、軟膏、クリーム、乳液、化粧水、美容液、ローション、ジェル、美容オイル、パック、ファンデーション、リップクリーム、入浴剤、ヘアートニック、ヘアーローション、シャンプー、リンス、石鹸、ボディシャンプー等が挙げられる。なお、これらに加えて、PGE2の産生抑制以外の効能効果を標榜する外用剤(例えば、育毛効果を標榜した頭皮外用剤等)に、当該効能効果を補完する目的で、本実施形態のPGE2産生抑制剤を配合してもよい。
飲食品とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口又は消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品等の区分に制限されるものではない。したがって、本実施形態における「飲食品」は、経口的に摂取される一般食品、健康食品(機能性飲食品)、保健機能食品(特定保健用食品,栄養機能食品)、医薬部外品、医薬品等を幅広く含むものである。
また、本実施形態のPGE2産生抑制剤は、優れたPGE2産生抑制作用を有するので、これらの作用機構に関する研究のための試薬としても好適に利用することができる。
なお、本実施形態のPGE2産生抑制剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば,マウス,ラット,ハムスター,イヌ,ネコ,ウシ,ブタ,サル等)に対して適用することもできる。
以下、製造例および試験例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の各例に何ら制限されるものではない。
〔製造例1〕ダビジゲニンの製造−1
甘草の一種であるグリチルリーザ・インフラータ(Glychyrrhiza inflata)の根茎部を粉砕し、チップ状にした。この甘草チップ1.0kgをフラスコに取り、10Lの50容量%エタノール水溶液を加え、80℃で2時間抽出した後、ろ過した。得られたろ液を40℃以下の温度で減圧下濃縮した後、40℃で減圧乾燥を行い、黄褐色粉末である甘草根茎部50%エタノール抽出物(150g)を得た。
甘草の一種であるグリチルリーザ・インフラータ(Glychyrrhiza inflata)の根茎部を粉砕し、チップ状にした。この甘草チップ1.0kgをフラスコに取り、10Lの50容量%エタノール水溶液を加え、80℃で2時間抽出した後、ろ過した。得られたろ液を40℃以下の温度で減圧下濃縮した後、40℃で減圧乾燥を行い、黄褐色粉末である甘草根茎部50%エタノール抽出物(150g)を得た。
このようにして得られた甘草根茎部50%エタノール抽出物10gに水25mLを加えて懸濁させ、次いでエタノール25mLおよび5質量%パラジウムカーボンを加えて撹拌し、室温にて懸濁液中に水素ガスを16時間吹き込んだ。次いで、ろ過により触媒を除去し、ろ液として甘草抽出物の還元処理物(10g)を得た。
このようにして得られた甘草抽出物の還元処理物10gに95質量%硫酸5.0mLを加え、80℃で2時間反応させた。得られた反応液を多孔性樹脂(三菱化学社製,Diaion HP−20,500mL)上に付し、水2L、エタノール2Lの順で溶出させた。エタノール2Lで溶出させた画分からエタノールを留去し、エタノール溶出画分2.5gを得た。このエタノール溶出画分2.5gをメタノール:水=60:40(容量比)の混合液に溶解し、ODS(富士シリシア化学社製,クロマトレックスODS DM1020T)を充填したガラス製のカラム上部より流入して、ODSに吸着させた。移動相としてメタノール:水=60:40(容量比)を流し、その溶出液を集め、溶媒を留去し、ダビジゲニン濃縮液300mgを得た。得られたダビジゲニン濃縮液を、下記の条件で液体クロマトグラフィーを用いて分画した。
<液体クロマトグラフィー条件>
固定相:JAIGEL GS−310(日本分析工業社製)
カラム径:20mm
カラム長:250mm
移動相流量:5mL/min
検出:RI
固定相:JAIGEL GS−310(日本分析工業社製)
カラム径:20mm
カラム長:250mm
移動相流量:5mL/min
検出:RI
ここで、保持時間40分〜50分に溶出する画分をリサイクルHPLCにより精製を行い、精製物を得た(220mg)。得られた精製物について、13C−NMRにより分析した結果を以下に示す。
<13C−NMRケミカルシフトδ(帰属炭素)>
205.6(C=O),166.4(4’−C),166.3(2’−C),156.7(4−C),133.7(6’−C),133.2(1−C),130.4(2,5−C),116.2(3,5−C),114.1(1’−C),109.1(5’−C),103.7(3’−C),40.9(α−C),31.0(β−C)
205.6(C=O),166.4(4’−C),166.3(2’−C),156.7(4−C),133.7(6’−C),133.2(1−C),130.4(2,5−C),116.2(3,5−C),114.1(1’−C),109.1(5’−C),103.7(3’−C),40.9(α−C),31.0(β−C)
以上の結果から、甘草抽出物の還元処理物を多孔性樹脂により分画し、ODSにより分離し、さらに液体クロマトグラフィーにより精製して得られた精製物が、下記式で表されるダビジゲニン(試料1)であることが確認された。
〔製造例2〕ダビジゲニンの製造−2
48%質量水酸化ナトリウム水溶液10mLにイオン交換水10mLを加えて希釈した。これを60℃に加熱し、撹拌しながらp−ヒドロキシベンズアルデヒド1.2gを加えて溶解し、次いで2’,4’−ジヒドロキシアセトフェノン1.5gを加えて溶解した。この反応液を60℃に加熱したまま24時間撹拌し、さらに加熱を止めて室温で48時間撹拌した。得られた反応液を氷浴上で冷却しながら、水80mLを用いて希釈した後、あらかじめ調製した10%硫酸水溶液40mLを加えて黄色結晶を析出させた。この懸濁液からろ紙を用いたろ過によって沈殿部をろ取した。ろ取した沈殿を40℃にて減圧乾燥し、2’,4,4’−トリヒドロキシカルコン500mgを黄色結晶として得た。
48%質量水酸化ナトリウム水溶液10mLにイオン交換水10mLを加えて希釈した。これを60℃に加熱し、撹拌しながらp−ヒドロキシベンズアルデヒド1.2gを加えて溶解し、次いで2’,4’−ジヒドロキシアセトフェノン1.5gを加えて溶解した。この反応液を60℃に加熱したまま24時間撹拌し、さらに加熱を止めて室温で48時間撹拌した。得られた反応液を氷浴上で冷却しながら、水80mLを用いて希釈した後、あらかじめ調製した10%硫酸水溶液40mLを加えて黄色結晶を析出させた。この懸濁液からろ紙を用いたろ過によって沈殿部をろ取した。ろ取した沈殿を40℃にて減圧乾燥し、2’,4,4’−トリヒドロキシカルコン500mgを黄色結晶として得た。
上記の反応を繰り返すことで得られた2’,4,4’−トリヒドロキシカルコン10gを、密封可能な反応容器内でエタノール50mLに溶解し、5質量%パラジウムカーボン1.0gを加えた。この懸濁液を激しく撹拌しながら、容器内を減圧しては水素ガスを吹き込む操作を数回繰り返し、容器内を水素ガスで充満させた。反応液を4時間激しく撹拌した後に、ろ過によって触媒を除去した。得られたろ液に水100mLを加えた。析出した白色結晶をろ紙ろ過によってろ取し、これを40℃にて減圧乾燥することで白色結晶を得た(9.5g)。
得られた白色結晶を13C−NMRにより分析したところ、試料1の結果と一致し、得られた白色結晶がダビジゲニンであることが確認された。
〔試験例1〕ケラチノサイトにおけるPGE2産生抑制作用試験
製造例1で得られたダビジゲニン(試料1)について、以下のようにしてPGE2産生抑制作用を試験した。
製造例1で得られたダビジゲニン(試料1)について、以下のようにしてPGE2産生抑制作用を試験した。
正常ヒト新生児表皮角化細胞(NHEK)を、正常ヒト表皮角化細胞増殖培地(KGM)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を12.5×104 cells/mLの濃度にKGM培地で希釈した後、コラーゲンコートした48ウェルプレートに1ウェル当たり200μLずつ播種し(2.5×104 cells/well)、一晩培養した。細胞が定着したことを確認した後、培地を基礎培地(KBM)200μLに交換し、さらに24時間培養した。
培養終了後、既に存在するCOX−1および少量発現しているCOX−2をアセチル化し失活させるため、500μmol/Lアスピリン含有KBM培地を200μL加え、4時間培養した。4時間後に、細胞をPBS(−)緩衝液で3回洗浄し、100μLのPBS(−)緩衝液を加えUVB照射(35mJ/cm2)を行った。その後、PBS(−)緩衝液を除去し、KBMに溶解した被験試料(試料1,試料濃度は下記表1を参照)を各ウェルに400μLずつ添加し、37℃・5% CO2下で24時間培養した。
培養終了後、各ウェルの培養上清中のプロスタグランジンE2(PGE2)量を、PGE2 EIA Kit(Cayman Chemical社製)を用いて定量した。定量結果から、下記式によりPGE2産生抑制率(%)を算出した。
PGE2産生抑制率(%)={1−(A−C)/(B−C)}×100
式中の各項はそれぞれ以下を表す。
A:被験試料添加・紫外線照射時のPGE2量
B:被験試料無添加・紫外線照射時のPGE2量
C:被験試料無添加・紫外線未照射時のPGE2量
結果を表1に示す。
式中の各項はそれぞれ以下を表す。
A:被験試料添加・紫外線照射時のPGE2量
B:被験試料無添加・紫外線照射時のPGE2量
C:被験試料無添加・紫外線未照射時のPGE2量
結果を表1に示す。
表1に示すように、ダビジゲニン(試料1)は、ケラチノサイトにおいて優れたPGE2産生抑制作用を有することが確認された。また、PGE2産生抑制作用の程度は、ダビジゲニンの濃度によって調節できることが確認された。
本発明のプロスタグランジンE2産生抑制剤は、特に皮膚炎症性疾患、例えば、刺激性物質の接触による接触性皮膚炎(かぶれ);乾癬、尋常性天疱瘡、その他肌荒れに伴う各種皮膚炎症性疾患;紫外線曝露による発赤、紅斑、色素沈着等の皮膚炎症などの予防、治療または改善に大きく貢献できる。
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- ダビジゲニンを有効成分として含有することを特徴とするプロスタグランジンE2産生抑制剤。
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