JP2017154160A - 穴抜き加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】プレスによる穴抜き加工で複数の貫通穴を形成した場合でも所定の平面度を確保できるようにする。【解決手段】ダンパープレート素材30には、隣接する穴抜き加工部位42の間の非穴抜き加工部分に補強ビード40が設けられており、その非穴抜き加工部分の剛性が補強ビード40の凹凸形状および加工硬化によって高くされる。これにより、その後のプレスによる穴抜き加工で曲げモーメントが生じても、その曲げモーメントに起因する反り等の変形が抑制されて所定の平面度を確保できる。また、その補強ビード40についても、プレス加工によって板厚方向へ塑性変形させるだけであるため、穴抜き加工と同様に低コストで効率的に加工することができる。【選択図】図4
Description
本発明は穴抜き加工方法に係り、特に、穴抜き加工後の平面度を向上させる技術に関するものである。
コイルスプリング等の複数のダンパー部材と、そのダンパー部材を収容するための貫通穴が一円周上に複数設けられた円板形状のダンパープレートと、を有するトーショナルダンパーが、車両の動力伝達経路等に広く用いられている(特許文献1参照)。上記ダンパープレートのような金属製の板状ワークに対して複数の貫通穴を加工する方法としては、プレスによる穴抜き加工が低コストで効率的である。
しかしながら、プレスによる穴抜き加工では、せん断の際に曲げモーメントが生じ、貫通穴の周縁部に残留応力として残るため、隣接する貫通穴の間隔が狭くて十分な剛性が得られない場合や、軽量化などのために板厚を薄くした場合などに、曲げモーメントに起因して反り等が発生し、平面度が損なわれる可能性があった。平面度が損なわれると、後工程で加工不良や組付不良等の不具合を生じる恐れがるため、所定の平面度を確保するために機械加工等の追加工程が必要になる。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、プレスによる穴抜き加工で複数の貫通穴を形成した場合でも所定の平面度を確保できるようにすることにある。
本発明は、金属製の板状ワークに対してプレスによる穴抜き加工を行なって複数の貫通穴を形成する穴抜き加工方法において、前記穴抜き加工に先立って、前記貫通穴を形成すべき複数の穴抜き加工部位のうち隣接する穴抜き加工部位の間の非穴抜き加工部分に、板厚方向へ塑性変形させた補強部をプレス加工によって設けることを特徴とする。
このような穴抜き加工方法によれば、隣接する穴抜き加工部位の間の非穴抜き加工部分に補強部が設けられ、その非穴抜き加工部分の剛性が高くされるため、その後の穴抜き加工で曲げモーメントが生じても、その曲げモーメントに起因する反り等の変形が抑制されて所定の平面度を確保できる。これにより、例えば貫通穴の間隔に関する制約が緩和されて互いに接近して設けたり、或いは板状ワークの薄板化や軽量化を図ったりすることができる。また、その補強部についても、プレス加工によって板厚方向へ塑性変形させるだけで良いため、穴抜き加工と同様に低コストで効率的に加工することができる。
本発明は、捩り振動を減衰するためのトーショナルダンパーに用いられる円板形状のダンパープレートを製造する際に好適に適用されるが、複数の貫通穴が設けられる他の種々の板状ワークの加工に適用され得る。板状ワークの形状は円板形状に限らず、矩形や長手形状などでも良い。
補強部は、例えば板状ワークの一方の面側が凹んで他方の面側へ膨出する長手状の補強ビードを絞り加工によって設けることが望ましいが、圧印加工によって一方の面側に溝等の凹みを設けるだけでも良いし、補強部の形状は適宜定めることができるなど、種々の態様が可能である。すなわち、補強部は、凹凸などの形状によって剛性を高くすることができるし、塑性変形による加工硬化によって剛性を高くすることも可能で、その両方の作用で剛性を高くすることもできる。
上記補強ビードは、隣接する一対の穴抜き加工部位を結ぶ直線に対して交差する方向、特に直交する方向、に沿って設けることが望ましいが、一対の穴抜き加工部位を結ぶ直線に沿って平行に設けることも可能で、板状ワークの形状や曲げモーメントによる変形形態等に応じて適宜定められる。補強ビードはまた、例えば前記穴抜き加工を行なう穴抜きパンチが押し当てられる側が前記一方の面側、すなわち溝状の凹所が形成される面側になるように設けられるが、凹凸が反対向きとなるように設けることも可能である。
以下、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において、図は説明のために適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明方法を用いて製造されたダンパープレート10の正面図で、図2は図1におけるII−II矢視部分の断面図、図3はそのII−II矢視部分の近傍の斜視図である。このダンパープレート10は、捩り振動を減衰するためのトーショナルダンパーに用いられるもので、円板形状の鋼板にて構成されているとともに、コイルスプリング等のダンパー部材を収容するための貫通穴12が、円板形状の中心線Oを中心とする一円周上に等角度間隔で複数(実施例では8つ)設けられている。
上記複数の貫通穴12は、例えば図5に示すプレス加工装置20を用いた穴抜き加工によって設けられる。プレス加工装置20は、貫通穴12に対応して中心線Sまわりに等角度間隔で設けられた複数の穴抜きパンチ22と、その穴抜きパンチ22に対応して複数の抜き穴24が設けられたダイス26とを備えており、貫通穴12が設けられる前の円板形状のダンパープレート素材30が、その中心線Oがプレス加工装置20の中心線Sと一致する位置に位置決めされてダイス26上に載置される。複数の穴抜きパンチ22は、図示しない上下駆動プレートに配設されて同時に一体的に上下駆動されるようになっており、図5における中心線Sの左側半分に示すようにダイス26の抜き穴24に達する下降端位置まで下降させられることにより、その抜き穴24との間のせん断作用によって複数の貫通穴12を同時に穴抜き加工する。上下駆動プレートには、スプリング等の付勢部材によって下方へ付勢されたストリッパ28が配設されており、図5における中心線Sの右側半分に示すように、穴抜き加工後に穴抜きパンチ22が上方へ後退させられる際に、穴抜き加工後のダンパープレート素材30すなわちダンパープレート10が、穴抜きパンチ22から離脱させられるようになっている。また、穴抜き加工によって切り出された切屑31は、抜き穴24内を落下して排出される。本実施例では、ダンパープレート素材30が板状ワークに相当する。
ここで、このようなプレスによる穴抜き加工では、ダンパープレート素材30がせん断される際に曲げモーメントMが生じ、貫通穴12の周縁部に残留応力として残る。図2および図3に示す矢印は、この曲げモーメントMを示したもので、穴抜きパンチ22が押し当てられる一方の面側、すなわち上面32側へ向かって曲げ変形させるモーメントが残留する。このため、図6に示すようにプレスによる穴抜き加工によって複数の貫通穴12を設けただけの従来のダンパープレート50の場合、その図6の VII−VII 矢視断面を示す図7から明らかなように、上記曲げモーメントMに起因して外周縁部が上面32側へ湾曲する反り52が発生し、平面度が損なわれる場合があった。図7の一点鎖線は、穴抜き加工前の素材形状である。
これに対し、本実施例では、複数の貫通穴12の相互間の複数の非穴抜き加工部分、すなわち周方向に隣接する貫通穴12の間の中間部分に、それぞれプレスによる絞り加工によって補強ビード40が設けられている。この補強ビード40は補強部に相当し、プレス加工装置20による穴抜き加工に先立って、プレス加工によって設けられる。すなわち、図4に示す穴抜き加工前のダンパープレート素材30には、貫通穴12を加工すべき複数の穴抜き加工部位42の間の中間位置に、それぞれ径方向に沿って直線状の補強ビード40が放射状に設けられている。言い換えれば、周方向に隣接する穴抜き加工部位42を結ぶ直線に対して直交する方向(垂直2等分線の方向)に、直線状の補強ビード40が設けられている。また、この補強ビード40は、図2の断面図から明らかなように、穴抜きパンチ22が押し当てられる一方の面である上面32側から絞り加工用のパンチが押圧されることにより、その上面32側が凹んで他方の面である下面34側へ膨出するように断面が板厚方向へ湾曲するように設けられており、上面32には溝状の凹所44が形成されるとともに下面34には凸条46が形成される。なお、図4では、穴抜き加工部位42の境界(外縁)が一点鎖線で示されているが、実際に目で見える必要はない。
このように、本実施例のダンパープレート素材30には、隣接する穴抜き加工部位42の間の非穴抜き加工部分に補強ビード40が設けられており、その非穴抜き加工部分の剛性が補強ビード40の凹凸形状および加工硬化によって高くされる。このため、その後のプレスによる穴抜き加工で曲げモーメントMが生じても、その曲げモーメントMに起因する反り52等の変形が抑制されて所定の平面度を確保できる。これにより、例えば貫通穴12の間隔に関する制約が緩和されて互いに接近して設けたり、ダンパープレート10の薄板化や軽量化を図ったりすることができる。また、その補強ビード40についても、プレス加工によって板厚方向へ塑性変形させるだけで良いため、穴抜き加工と同様に低コストで効率的に加工することができる。
一方、本実施例では隣接する穴抜き加工部位42を結ぶ直線に対して直交する方向、具体的には円板形状のダンパープレート素材30の径方向に、直線状の補強ビード40が放射状に設けられているため、非穴抜き加工部分の径方向の剛性が適切に高められ、外周縁部が板厚方向へ湾曲する反り52等の変形が一層適切に抑制される。
また、本実施例の補強ビード40は、穴抜きパンチ22が押し当てられる上面32側が凹んで下面34側へ膨出するように設けられており、穴抜き加工によって生じる曲げモーメントMに対して反対向きに凸条46が膨出させられるため、形状的にも曲げモーメントMに対する剛性が高められて変形が一層適切に抑制される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
12:貫通穴 30:ダンパープレート素材(板状ワーク) 40:補強ビード(補強部) 42:穴抜き加工部位
Claims (1)
- 金属製の板状ワークに対してプレスによる穴抜き加工を行なって複数の貫通穴を形成する穴抜き加工方法において、
前記穴抜き加工に先立って、前記貫通穴を形成すべき複数の穴抜き加工部位のうち隣接する穴抜き加工部位の間の非穴抜き加工部分に、板厚方向へ塑性変形させた補強部をプレス加工によって設ける
ことを特徴とする穴抜き加工方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2016040503A JP2017154160A (ja) | 2016-03-02 | 2016-03-02 | 穴抜き加工方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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Country Status (1)
Country | Link |
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Cited By (2)
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2016
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