JP2017152202A - 封止構造、封止方法および封止用キット - Google Patents
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Abstract
Description
最初に、本発明によるコードヒータの一例である線状PTCヒータ20の一例について説明する。図1は、図2に示す線状PTCヒータ20の発熱部10を説明するための斜視図であり、好ましくは銅単線のより線または編組線である第1の給電線11と第2の給電線12とを給電線として備え、第1の給電線11と第2の給電線12の間には複数の正温度係数特性を備えたチップ状の発熱体13が複数個、並列に接続されている。
線状PTCヒータ20は、使用に当たって、図3に示すように、適宜の電源線30とその端部同士で接続される。通常、電源線30は、第1の給電線31と第2の給電線32とアース線33を有し、その全体が絶縁外皮34で被覆されている。線状PTCヒータ20と電源線30の接続に当たっては、双方の端部から絶縁外皮19、34を除去した後、第1の給電線11と31同士、第2の給電線12と32同士、アース線18と33同士を結線する。結線後の状態が図4に示されており、結線には、圧着端子35が用いられ、その外側は収縮チューブ36によって被覆される。また、線状PTCヒータ20と電源線30との接続部には、発熱体13は存在しない。
さらに、線状PTCヒータ20を現場で施工するに当たっては、ロール状に巻き込まれた線状PTCヒータ20が適宜の長さに切断され、その一方端には上記のように電源線30が接続され、他方端は、好ましくは、図5に示すように、切断端面から10mm程度、第2の絶縁外皮19を除去した状態とされる。また、前記第2の絶縁外皮19を除去した領域には発熱体13が存在しないようにする。切断端面には、第1の給電線11および第2の給電線12の端面が露出している。
図4に示した状態にある線状PTCヒータ20と電源線30との接続部を水密状態に封止して、使用中に結線部間での絶縁破壊が生じないようにする必要がある。そのために、本発明では、接続部保護カバー40と、該接続部保護カバー40内に封入される、封入当初は流動性があり経時的に硬化して固形化する性状を備えた非導電性樹脂材料200を用いる。
接続部保護カバー40は、図6の斜視図に示すように、いずれも好ましくは熱可塑性樹脂の射出成形品である、本体部50と蓋部70とで構成される。
図6に斜視図を、図7に4面図を示す本体部50は熱可塑性樹脂の成形品であり、その全体形状は、底板51を有し、上方を解放した箱型形状である。底板51の長手方向の両側辺からは左右の側壁52、52が立ち上がっており、底板51の短手方向の両側辺からは前側壁53aと後側壁53bが立ち上がっている。
図6に上から見た斜視図を、図8に下から見た斜視図を、図9に4面図を示す蓋部70は、前記した本体部50内に、図4に示した線状PTCヒータ20と電源線30との接続部を収容した状態で、該本体部50の内部空間を実質的に封止できる形状であれば、任意の形状であってよい。図6、図8、図9は、蓋部70の一例を示しており、この例では、蓋部70は基本的に平板状であり、その平面視での形状は、本体部50の開放側での外郭形状と一致する形状とされている。
封止に当たっては、最初に、図10に示すように、線状PTCヒータ20と電源線30との接続部を本体部50内に挿入する。その際に、線状PTCヒータ20側に本体部50の凹陥部54側が位置し、電源線30側に本体部50の凹陥溝59側が位置するように、両者を位置させる。また、本体部50の前記凹陥部54内に線状PTCヒータ20の第2の絶縁外皮19が位置できるように、また、凹陥溝59内に電源線30の絶縁外皮34が位置することができるように、また、前記のように、接続部には発熱体13が存在しないように、接続部の長さを設定する。
図10に示す状態に線状PTCヒータ20と電源線30との接続部を本体部50内に挿入した後、本体部50の前記した空所62内に、硬化前は流動性があり硬化後に固形化する非導電性樹脂材料200を注入しながら充填する。このような物性を有する非導電性樹脂材料200としては、エポキシ系樹脂、シリコーンゴム、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等を例示することができる。2液型のものであってもよく、1液型のものであってもよい。空所62内に非導電性樹脂材料200を注入すると、それ自体が流動性を有することから、外部から力を加えることなく、前記空所62の隅々まで、非導電性樹脂材料200が自己の流動性によって行きわたり、本体部50の内部空間は非導電性樹脂材料200によってすべて充填される。
非導電性樹脂材料200を充填した後、本体部50の開放側に蓋部70を取り付ける。上記の例では、蓋部70は凸部82を有する脚81を有しており、本体部50は脚部81の凸部82が係合できる切り欠き部61を有しているので、蓋部70を本体部50の上から押し付けることで、両者は、図11に示すように、ほぼ密閉された状態で一体化する。もし、そのような係止機能を備えない本体部50および蓋部70を用いる場合には、シャコ万のような固定具を用いて、本体部50と蓋部70を一体に保持する。また、蓋部70は、裏面に突条83を有しており、突条83により押し付けられることで、線状PTCヒータ20と電源線30およびその接続部が、蓋部70の裏面に密着するのも回避できる。
次に、線状PTCヒータ20の先端部の封止について説明する。
先端部保護カバー90は、図12の斜視図に示すように、いずれも好ましくは熱可塑性樹脂の射出成型品である、本体部100と蓋部110とで構成される。
本体部100は、図13の3面図にも示すように、底板101と底板101の周囲から立ち上がる周囲壁102を有する。この例において、底板101の前方側は円弧状をなしており、後方側は方形をなしている。周囲壁102は、底板101の後方端の辺から立ち上がる後壁103と、他の周囲辺から立ち上がる周囲壁104とで構成される。
蓋部110は、前記した本体部100内に線状PTCヒータ20の先端部を収容した状態で、該本体部100の内部空間を実質的に封止できる形状であれば、任意の形状であってよい。図14に下から見た斜視図を、また、図15に3面図を示すように、この例では、蓋部110は基本的に平板状であり、その平面視での形状は、本体部100の開放側での外郭形状と一致する形状とされている。
線状PTCヒータ20の端部の封止に当たっては、最初に、図5に示すように、線状PTCヒータ20の端部から所定の長さにわたり第2の絶縁外皮19を除去する。第2の絶縁外皮19を除去した状態の先端部を、図16(a)に示すように、本体部100内に挿入する。その際に、本体部100の前記凹陥部105内に線状PTCヒータ20の第2の絶縁外皮19が位置できるように、また、本体部100の内部には発熱体13が位置しないように、第2の絶縁外皮19を除去する場所および距離を調整する。図16(a)に示すように、挿入した状態で、線状PTCヒータ20の先端部と本体部100の周囲壁102の間には、空所120が残存している。
図16(a)に示す状態に線状PTCヒータ20の先端部を本体部100内に挿入した後、本体部100の前記した空所120内に、硬化前は流動性があり硬化後に固形化した非導電性樹脂材料200を注入しながら充填する。このような物性を有する非導電性樹脂材料200としては、前記したように、エポキシ系樹脂、シリコーンゴム、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等を例示することができる。2液型のものであってもよく、1液型のものであってもよい。空所120内に非導電性樹脂材料200を注入すると、それ自体が流動性を有することから、外部から力を加えることなく、前記空所120の隅々まで、非導電性樹脂材料200が自己の流動性によって行きわたり、本体部100の内部空間は非導電性樹脂材料200によってすべて充填される。
非導電性樹脂材料200を充填した後、本体部100の開放側に蓋部110を取り付ける。上記の例では、蓋部110は凸部118を有する脚117を有しており、本体部100は脚部117の凸部118が係合できる切り欠き部108を有しているので、蓋部110を本体部100の上から押し付けることで、両者は、図16(b)に示すように、ほぼ密閉された状態で一体化する。もし、そのような係止機能を備えない本体部100および蓋部110を用いる場合には、シャコ万のような固定具を用いて、本体部100と蓋部110を一定時間一体に保持する。また、蓋部110は、裏面に突条119を有しており、突条119により押し付けられることで、線状PTCヒータ20の先端部が、蓋部110の裏面に密着するのも回避できる。
図17は、本発明による封止用キットの一例を示している。この封止用キット300では、前記した本体部50と蓋部70とからなる接続部保護カバー40と、本体部100と蓋部110とからなる先端部保護カバー90と、硬化前は流動性があり硬化後に固形化する非導電性樹脂材料200の一例である2液型非導電性樹脂材料のチューブ201と202とからなっている。使用現場の環境によっては、接続部保護カバー40と非導電性樹脂材料200とで封止用キットとしてもよく、先端部保護カバー90と非導電性樹脂材料200とで封止用キットとしてもよい。また、図示しないが、線状PTCヒータ20と電源線30とをキットに加えることもできる。
本発明による封止構造は、コードヒータと電源線との接続部とコードヒータの先端部の双方に同時に適用することもできる。また、コードヒータと電源線との接続部とコードヒータの先端部のいずれか一方にのみ適用することもできる。後者の場合には、本発明による封止構造を適用しない個所には、適宜の他の封止構造を適用することで、現場での施工が行われる。
(使用材料)
線状PTCヒータ20として、図2に示した線状PTCヒータ20と同様な構成を備えたテープヒーター(積水化成品工業株式会社製)(発熱体:チタン酸バリウムに添加物を加えたセラミックス)を用いた。横幅18mm、厚み8mmであり、第1の絶縁外皮16と第2の絶縁外皮19は、共に耐熱性塩化ビニル樹脂である。また、電源線30として、直径が11mmである図3に示した形状のビニルキャブタイヤケーブル(VCT)を用いた。絶縁外皮34は、線状PTCヒータ20の絶縁外皮と同じ耐熱性塩化ビニル樹脂である。
図7および図9に示した形状の接続部保護カバー40を、変成PPE(旭化成株式会社、ザイロン540Z)を用いて射出成形した。また、図13および図15に示す先端部保護カバー90を同じ材料を用いて射出成形した。
線状PTCヒータ20と電源線30との接続部を接続部保護カバー40の本体部50内に挿入し、その空間部に2液型の非導電性樹脂材料200として、主材質がエポキシ樹脂である非導電性樹脂材料(セメダイン社製、ハイスーパー5)を、本体部50内に充填した。その後で蓋部70を本体部50の解放側に被せて密封状態に封止し、30分放置して樹脂を硬化させた。
線状PTCヒータ2の切断した先端部を先端部保護カバー90の本体部100内に挿入し、その空間部に2液型の非導電性樹脂材料200として、主材質がエポキシ樹脂である非導電性樹脂材料(セメダイン社製、ハイスーパー5)を、本体部50内に充填した。その後で蓋部110を本体部100の解放側に被せて密封状態に封止し、30分放置して樹脂を硬化させた。
電気特性(a.導通・短絡、b.絶縁抵抗、c.水中絶縁抵抗)を確認したところいずれも不都合は生じなかった。なお、電気特性のテストは、a.導通・短絡については、2本の給電線の間の抵抗を抵抗計で測定する方法で行い、b.絶縁抵抗については、給電線と編組線シールドの間の抵抗を500Vメガ抵抗計で測定する方法で行い、c.水中絶縁抵抗については、成形後の接続部が完全に水没した状態で水と編組線シールドの間の抵抗を500Vメガ抵抗計で測定する方法にて行った。
非導電性樹脂材料200として、シリコーンゴム(信越化学社製、KE−200)を用いた以外は、実施例1と同様にして線状PTCヒータ20と電源線30との接続部および線状PTCヒータ20の先端部に対する封止処理を行った。結果、実施例1と同様な電気特性の確認結果が得られた。
11…第1の給電線、
12…第2の給電線、
13…正温度係数特性を備えたチップ状の発熱体、
16…第1の絶縁外皮、
17…線状PTCヒータ線、
18…シールド、
19…第2の絶縁外皮、
20…コードヒータの一例である線状PTCヒータ、
30…電源線、
31…第1の給電線、
32…第2の給電線、
33…アース線、
34…絶縁外皮、
35…圧着端子、
36…収縮チューブ、
40…接続部保護カバー、
50…本体部、
70…蓋体、
90…先端部保護カバー、
100…本体部、
110…蓋部、
200…流動性があり経時的に硬化して固形化する性状を備えた非導電性樹脂材料、
300…本発明による封止用キット。
Claims (3)
- コードヒータと電源線との接続部およびコードヒータの先端部の双方またはいずれか一方の封止構造であって、封止すべき部分は保護カバーで覆われており、前記保護カバーの内部には硬化前は流動性があり硬化後に固形化した非導電性樹脂材料が封入されていることを特徴とする封止構造。
- コードヒータと電源線との接続部およびコードヒータの先端部の双方またはいずれか一方の封止方法であって、封止すべき部分に保護カバーを取り付ける工程、前記取り付けた保護カバーの内部に流動性があり経時的に硬化して固形化する性状を備えた非導電性樹脂材料を封入する工程、および、前記液状の非導電性樹脂材料を封入した後に該非導電性樹脂材料が硬化するのを待つ工程、とを少なくとも備えることを特徴とする封止方法。
- コードヒータと電源線との接続部およびコードヒータの先端部の双方またはいずれか一方を封止するのに用いる封止用キットであって、封止すべき部分を覆うことのできる開閉自在な保護カバーと、前記保護カバー内に封入するための流動性があり経時的に硬化して固形化する性状を備えた非導電性樹脂材料とを少なくとも含むことを特徴とする封止用キット。
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