JP2017149522A - 自動原稿搬送装置、およびそれを備えた画像読取システムと画像形成装置 - Google Patents

自動原稿搬送装置、およびそれを備えた画像読取システムと画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】重送原稿をユーザーに容易に確認させると共に、経路から容易に除去させることを簡単な構成で実現する自動原稿搬送装置を提供する。【解決手段】ADF(110)では搬送部(201)が、スキャナー(120)のコンタクトガラス(121)に面した経路(CP)に沿って原稿を搬送する。重送検出部(203)が重送センサー(11X、11Y)で原稿の重送を検出した場合に制御部(204)は、重送原稿(DC1、DC2)が重なり合う部分(OVL)の長さを、位置検出部(202)が通紙センサー(11P、…、11S)で検出した重送原稿の位置から推測する。その長さが閾値(LWL)以上である場合、制御部(204)は搬送部に重送原稿を停止位置まで搬送させる。その停止位置では重送原稿の先頭の1枚(DC1)が排紙口(116)からはみ出すと共に、重なり合う部分の後端が排紙口よりも上流に留まる。【選択図】図8

Description

本発明は原稿の搬送技術に関し、特に重送の検出技術に関する。
近年、ネットワーク技術の著しい普及に伴い、ペーパーレス化が多くの企業、公共機関においてそれぞれのネットワークシステムを利用して進められている。「ペーパーレス化」とは、文書、数表、絵画、写真等、従来、紙に印刷された画像として利用、保管されてきた情報を電子データ化し、ネットワークシステムによる利用、保管を可能にすることをいう。ペーパーレス化には、書類をコンピューターで電子ファイルとして作成することに加え、手書きまたは印刷物の画像を画像読取装置で電子データ化する(すなわち「読み取る」)ことが含まれる。「画像読取装置」(「イメージスキャナー」とも呼ばれる。)とは、原稿に表示された情報を光学的に読み取って電気信号に変換する装置の総称である。
ペーパーレス化の進展に伴い、画像読取装置への自動原稿搬送装置(以下、「ADF」という。)の搭載が一般化しつつある。「ADF」は、画像読取装置が画像を読み取ることのできる場所へ原稿を自動的に搬送する装置である。ペーパーレス化を目的とする画像読取作業では一般にデータ化対象の情報を表示する原稿量が多いので、ADFを利用して画像読取装置に原稿を高速に処理させることが作業の効率化に不可欠である。
ADFに複数枚の原稿を1枚ずつ連続して搬送させる場合、原稿の重送が生じる危険性が避けられない。原稿の「重送」とは、複数枚の原稿から1枚を分離し損なうことにより2枚以上の原稿を互いに重なり合った状態のまま、あたかも1枚の原稿として搬送することをいう。この状態の原稿(以下、「重送原稿」という。)からは画像読取装置が正しい画像を読み取ることはできないので、ADFは原稿の重送を検出した場合、ユーザーにエラーを通知してその解消を促す。
このエラーを通知する際、従来のADFは重送原稿を次の2種類の方法のいずれかで処理する。(1)ジャムを検出した場合と全く同様に原稿の搬送を中止し、重送原稿を後続の原稿共々、搬送経路上に残留させる。その後、それらの原稿がすべて除去されるまでADFは待機する。この方法は、重送原稿をユーザーに確認させやすい点では有利である反面、搬送経路から原稿を除去する手間をユーザーにかけさせる点で不利である。(2)重送原稿を先行の原稿と同様に排紙トレイへ排出する。その後、原稿の搬送の再開がユーザーに指示されるまでADFは待機する。この方法は、搬送経路から原稿をユーザーに除去させる必要がない点では有利である反面、重送原稿を排紙トレイ上の他の原稿に紛れ込ませてしまう点で不利である。
これら2種類の方法の利点を両立させる工夫の1つとしては、重送原稿を通常の排紙トレイとは別のトレイへ退避させる技術が知られている(たとえば特許文献1参照)。この技術には、搬送経路から原稿をユーザーに除去させる必要もなければ、重送原稿が他の原稿に紛れ込む危険性もない。
特開2007−228184号公報
「ADFでは原稿の重送の危険性が不可避である」という前提の下でADFの操作性を更に向上させるには、重送原稿を搬送経路から自動的に除去すると共に、重送原稿をユーザーに容易に確認させることが必要である。これらの両方を満たす技術としては特許文献1に開示されたものが知られてはいる。しかし、この技術では重送原稿の退避先とそこまでの搬送経路とが通常の構成とは別に必要である。これはADFの構造の簡単化を阻み、部品点数の削減を妨げるので、ADFの製造容易性の向上と製造コストの削減とが困難である。
本発明の目的は上記の課題を解決することであり、特に、重送原稿をユーザーに容易に確認させると共に、搬送経路から容易に除去させることを簡単な構成で実現する自動原稿搬送装置を提供することにある。
本発明の1つの観点における自動原稿搬送装置は、画像読取装置の読み取り位置へ原稿を搬送する自動原稿搬送装置であり、その読み取り位置を経由する搬送経路に沿って原稿を搬送する搬送手段と、その搬送手段が搬送経路の終端から排出した原稿を収容する排紙トレイと、搬送手段が搬送経路に沿って搬送している原稿の位置を検出する位置検出手段と、搬送手段による原稿の重送を検出する重送検出手段と、位置検出手段が検出する原稿の位置に基づいて搬送手段を制御し、重送検出手段による重送の検出に応じて、位置検出手段が検出する重送原稿の位置からその重送原稿が重なり合う部分の長さを求め、その長さが閾値以上である場合、搬送手段に重送原稿を停止位置まで搬送させる制御手段とを備える。この停止位置では重送原稿のうち、先頭の1枚が搬送経路の終端から排紙トレイへはみ出すと共に、その重送原稿の重なり合う部分の後端が搬送経路の終端に、またはその終端よりも上流に留まるように、制御手段は搬送手段にその重送原稿を停止させる。
停止位置では重送原稿の先頭の1枚のうち、搬送経路の終端から排紙トレイへはみ出た部分をユーザーが引っ張ることによりその1枚の全体を搬送経路の終端から引き出すことが可能であるように、重送原稿の重なり合う部分の後端の位置を制御手段は設定してもよい。
停止位置では重送原稿の重なり合う部分のうち、搬送経路の終端から排紙トレイへはみ出た部分をユーザーが引っ張ることによりその重送原稿の全体を搬送経路の終端から引き出すことが可能であるように、上記の閾値を制御手段が設定してもよい。
上記の自動原稿搬送装置は、搬送対象の原稿を収容する給紙トレイと、その給紙トレイに収容された原稿の長さを測定する測定手段とを更に備えてもよい。この場合、位置検出手段は、搬送経路上の第1点を通過する原稿の端部を検出する通紙センサーを含んでもよい。重送検出手段は、搬送経路上、その第1点よりも下流に位置する第2点を2枚以上の原稿が重なって通過することを検出する重送センサーを含み、それら2枚以上の原稿を重送原稿として識別してもよい。制御手段は、通紙センサーが重送原稿の先頭の1枚の先端を検出した時点から、その1枚に後続の原稿が重なって第2点を通過することを重送センサーが検出した時点までの間に搬送手段がその1枚を搬送した距離を求め、その距離を測定手段が測定した原稿の長さから除いた値と、搬送経路のうち第1点から第2点までの部分の長さとの和を、重送原稿の重なり合う部分の長さに設定してもよい。
位置検出手段は、搬送手段が搬送経路の終端から排紙トレイへ排出する原稿の端部を検出する排紙センサーを含んでもよい。この場合、制御手段は、停止位置では重送原稿の先頭の1枚が排紙センサーに検出され続けるようにその重送原稿の重なり合う部分の後端の位置を設定し、搬送手段にその重送原稿を停止位置まで搬送させた後、排紙センサーが原稿を検出しなくなったことに応じて搬送手段に原稿の搬送を再開させてもよい。
制御手段は、重送原稿の重なり合う部分の長さが閾値に満たない場合、搬送手段にその重送原稿を停止位置へ搬送させることを中止してもよい。
重送検出手段は、停止位置に停止した2枚以上の原稿の重なりを検出する重なりセンサーを含んでもよい。この場合、制御手段は、重送原稿の重なり合う部分の長さが閾値に満たない場合にも搬送手段にその重送原稿を停止位置まで搬送させ、その後、重なりセンサーがその重送原稿の重なりの解消を検出したことに応じて搬送手段にその重送原稿の搬送を再開させてもよい。
位置検出手段は、搬送手段が原稿を搬送する間、その原稿の速度の設定値からその原稿の位置を検出するタイミングを予測し、予測されたタイミングとその原稿の位置を実際に検出したタイミングとの間の誤差を計測してもよい。この場合、制御手段は、搬送手段に原稿を搬送させる間、搬送手段にその原稿の速度の設定値を指示して、位置検出手段の計測する誤差が許容上限を超えたことを原稿のジャムとして検出し、搬送手段に重送原稿を停止位置まで搬送させる際、その重送原稿の速度を設定値よりも低減させ、かつ許容上限を引き下げてもよい。制御手段は更に、重送検出手段が原稿の重送を検出した時点で原稿のジャムを検出している場合には、搬送手段にその重送原稿を停止位置へ搬送させることを中止してもよい。
本発明の1つの観点における画像読取システムは、読み取り位置に存在する原稿から画像を読み取る画像読取装置と、その読み取り位置へ原稿を搬送する上記の自動原稿搬送装置とを備える。本発明の1つの観点における画像形成装置は、この画像読取システムと、その画像読取システムが読み取った画像をシートに印刷する画像形成手段とを備える。
本発明による自動原稿搬送装置は上記のとおり、原稿の重送の検出に応じてまず重送原稿が互いに重なり合う部分の長さを求め、この長さが閾値以上である場合に重送原稿を停止位置まで搬送する。その停止位置では重送原稿のうち、先頭の1枚が搬送経路の終端から排紙トレイへはみ出すと共に、重送原稿の重なり合う部分の後端が搬送経路の終端に、またはその終端よりも上流に留まる。これによりこの自動原稿搬送装置は、重送原稿をユーザーに容易に確認させると共に、搬送経路から容易に除去させることを簡単な構成で実現することができる。
本発明の実施形態1による画像形成装置の外観を示す斜視図である。 図1の示す線分II−IIに沿った自動原稿搬送装置(ADF)とスキャナーとの断面図である。 図1の示す画像形成装置の内部構造を模式的に示す正面図である。 図1の示す画像形成装置の電子制御系統の構成を示すブロック図である。 図2の示すADF内の原稿の搬送経路を示す模式図である。 (a)は、図5の示す搬送経路を重送原稿が移動する際における分離センサーの出力信号、クロック信号、および重送センサーの出力信号のタイミングチャートであり、(b)は、(a)の示すクロック信号の波形を示す拡大図である。(c)、(d)、(e)はそれぞれ、図2の示す重送センサーの隙間に原稿がない状態、原稿が1枚だけ通過する状態、原稿が2枚重なって通過する状態を示す模式図である。 (a)は、図5の示す分離センサーが原稿の先端を検出した時点でのその原稿の状態を示す模式図であり、(b)は、図5の示す重送センサーが原稿の重送を検出した時点での重送原稿の状態を示す模式図である。 (a)は、図1の示す排紙トレイへ排出された原稿と停止位置に搬送された重送原稿との外観を示す斜視図であり、(b)は、(a)の示す線分b−bに沿った断面図である。 (a)は、排紙口からはみ出して停止した重送原稿の状態を模式的に示す断面図であり、(b)は、(a)の状態における操作パネルの表示を示す模式図である。(c)は、ユーザーによって排紙口から除去される重送原稿の状態を模式的に示す断面図であり、(d)は、(c)の状態における操作パネルの表示の消去を示す模式図である。 図1の示すADFによる重送監視処理のフローチャートのうち原稿の重送を検出する部分である。 図1の示すADFによる重送監視処理のフローチャートのうち、重送原稿の搬送の適否を判断する部分である。 図1の示すADFによる重送監視処理のフローチャートのうち、停止位置へ重送原稿を搬送する部分と、重送原稿の除去に応じて搬送の中断状態から復帰する部分とである。 本発明の実施形態2によるADF内の原稿の搬送経路を示す模式図である。 (a)は、排紙口からはみ出して停止した重送原稿の状態を模式的に示す断面図であり、(b)は、ユーザーによって重送原稿の先頭の1枚が排紙口から除去される際の重送原稿の状態を模式的に示す断面図であり、(c)は、重送原稿の残りが排紙口に停止した状態を示す模式図である。 (a)は、図14の示す分離センサーが原稿の先端を検出した時点でのその原稿の状態を示す模式図であり、(b)は、その分離センサーが重送原稿の最後端を検出し終えた時点でのその重送原稿の状態を示す模式図である。 実施形態2による重送監視処理のフローチャートのうち、重送原稿の搬送の適否を判断する部分である。 実施形態2による重送監視処理のフローチャートのうち、重送部分長が閾値以上である場合に停止位置へ重送原稿を搬送する部分と重送原稿の除去に応じて搬送の中断状態から復帰する部分、および重送部分長が閾値未満である場合に重送原稿の後続部分長を計測する部分である。 実施形態2による重送監視処理のフローチャートのうち、重送部分長が閾値未満である場合に停止位置へ重送原稿を搬送する部分、重なりセンサーで重送原稿の先頭の除去を検出して残りを搬送する部分、および残りの除去に応じて搬送の中断状態から復帰する部分である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
《実施形態1》
[画像形成装置の外観]
図1は本発明の実施形態1による画像形成装置の外観を示す斜視図である。この画像形成装置は複合機(multi-function peripheral:MFP)100であり、スキャナー、カラーコピー機、およびカラーレーザープリンターの機能を併せ持つ。図1を参照するに、MFP100の筐体の上面には自動原稿搬送装置(auto document feeder:ADF)110が開閉可能に装着されている。ADF110の直下に位置する筐体の上部にはスキャナー120が内蔵され、この筐体の下部にはプリンター130が内蔵されている。プリンター130の底部には給紙カセット133が引き出し可能に取り付けられている。
MFP100は胴内排紙型である。すなわち、スキャナー120とプリンター130との隙間DSPには排紙トレイ150が設置され、その奥の排紙口131から排紙されたシートを収容する。この隙間DSPの横に位置する筐体の前面部分には操作パネル160が取り付けられている。操作パネル160の前面にはタッチパネルが埋め込まれ、その周囲に各種の機械的な押しボタンが配置されている。
[ADFの構造]
図2は、図1の示す線分II−IIに沿ったADF110の断面図である。図2を参照するにADF110は、給紙トレイ111、原稿サイズセンサー11M、11N、給紙口112、搬送ローラー群11A、11B、…、11G、通紙センサー群11P、11Q、…、11S、重送センサー11X、11Y、押さえ部材113、114、裏面スキャナー115、排紙口116、排紙トレイ117、および搬送カバー118を含む。
給紙トレイ111はADF110の上面に載置され、この上に、読み取り対象の画像が表示された原稿の束ST1が収容される。給紙トレイ111はADF110の上面に対して上下に揺動可能であり、この揺動により水平方向に対する傾斜角が可変である。この傾斜角が増大するとき、給紙トレイ111に収容された原稿の束ST1の先端部が給紙口112に接近する。給紙トレイ111の上面には原稿サイズセンサー11M、11Nが埋め込まれている。各センサー11M、11Nは反射型光センサーであり、その上部に向かって光を照射してその上部からの反射光を検出する。この反射光の強度から各センサー11M、11Nの上方を覆う原稿の有無が判断される。給紙トレイ111の端部から各センサー11M、11Nまでの距離は既知であるので、給紙トレイ111に収容された原稿がいずれのセンサー11M、11Nを覆うかに応じてその原稿のサイズが、A3、B4等の標準値のいずれであるかが識別される。
給紙口112はADF110の筐体の開口部であり、ADF110の内部に設けられた原稿の搬送経路の始端に相当する。初段の搬送ローラー、すなわちピックアップローラー11Aは給紙口112の上部に設置され、給紙トレイ111に収容された原稿の束ST1の最も上の1枚DC1に接触して回転し、その1枚DC1を束ST1から分離して給紙口112へ取り込む。次段の搬送ローラー、すなわち給紙ローラー11Bと分離ローラー11Cとはたとえば同方向に回転するローラーの対であり、給紙口112の中で互いの外周面を近接させてニップを形成している。給紙ローラー11Bはピックアップローラー11Aから送り出された原稿DC1の上面に接触して、その原稿DC1を下流へ進める向きに回転する。分離ローラー11Cはその原稿DC1の下面に接触して、その原稿DC1を上流へ戻す向きに回転する。給紙ローラー11Bよりも分離ローラー11Cはトルクが弱いので、その原稿DC1自体は前進する。もし、ピックアップローラー11Aがその原稿DC1を束ST1から分離し損ねてその原稿DC1に次の原稿を重ねて送り出した場合、次の原稿は分離ローラー11Cには直に接触する。この原稿と前の原稿DC1との重なりが十分に小さければ、この原稿の前進は分離ローラー11Cによって阻まれる。
3段目の搬送ローラー、すなわちデスキューローラー11Dは一般に停止しており、給紙ローラー11Bから送り出された原稿DC1の先端に接触してその先端の前進を阻む。この間、その原稿DC1の後半部が給紙ローラー11Bから送り出され続けるので、その原稿DC1の先端部にはたわみ(ループ)RPが生じる。このループRPを成す先端部の長さが所定値(たとえば3mm)に達するタイミングで給紙ローラー11Bは回転を停止する。その後、この原稿DC1と先行の原稿DC2との間隔(紙間)が所定値まで開くタイミングでデスキューローラー11Cが回転を始め、その原稿DC1を前進させる。このとき、ループRPが平面に復帰する際の応力によりその原稿DC1のスキュー(搬送方向に対する原稿の長さ方向の傾き)が是正される。
4段目の搬送ローラー11Eは、デスキューローラー11Dから送り出された原稿DC2に接触して回転し、その原稿DC2を搬送経路の露出部11Oへ進める。この露出部11Oでは、ADF110の底面に設けられた開口部を通して搬送経路が露出すると共に、第1押さえ部材113が、搬送経路を間に挟んでスキャナー120の上面に対向するように設置されている。第1押さえ部材113は露出部11Oを通過中の原稿DC2の部分に適度な力を加えて、その部分とスキャナー120の上面との間の距離を適切に保つ。
5段目の搬送ローラー11Fは、露出部11Oを通過し終えた原稿DC2の部分に接触して回転し、その原稿DC2を第2押さえ部材114と裏面スキャナー115との隙間へ進める。この隙間を隔てて第2押さえ部材114は裏面スキャナー115に対向し、その隙間を通過中の原稿DC2の部分に適度な力を加えて、その部分と裏面スキャナー115との間の距離を適切に保つ。この部分の表面に裏面スキャナー115は光を照射し、その表面で反射された光量を検出して電気信号に変換し、スキャナー120へ送信する。この光量は原稿の表面の光反射率に応じて変化するので、変換後の電気信号はその原稿の表面に表示された画像を表す。
6段目の搬送ローラー11Gは、第2押さえ部材114と裏面スキャナー115との隙間を通過した原稿DC2に接触して回転し、その原稿DC2を排紙口116へ進める。排紙口116はADF110の筐体の開口部であり、搬送経路の終端に相当する。排紙口116には最終段の搬送ローラー、すなわち排紙ローラー11Hが設置され、前段の搬送ローラー11Gから渡された原稿DC3に接触して回転し、その原稿DC3を排紙口116から排出する。排紙トレイ117は給紙トレイ111の下方に設置され、排紙口116から排出された原稿の束ST2を収容する。
各通紙センサー11P、11Q、…、11Sは反射型光センサーであり、発光部と受光部とを含む。発光部は赤外線等、所定波長の光を監視領域に対して出射させ、受光部はその領域から入射する同じ波長の光を検出する。その領域を原稿が通過する間、その原稿は発光部からの出射光を受光部へ向けて反射するので、その領域に原稿が存在する場合は存在しない場合よりも受光部の検出光量が増大する。したがって、各通紙センサー11P、…は出力信号のレベルを、受光部の検出光量が原稿からの反射に起因する値まで増大した場合には「オン」に設定し、その値を下回っている場合には「オフ」に設定する。こうして各通紙センサー11P、…の出力信号のオンオフに基づいて、その監視領域を通過中の原稿の有無が識別される。初段の通紙センサー、すなわち分離センサー11Pは給紙ローラー11Bと分離ローラー11Cとの間のニップの出口付近を監視領域とし、そのニップから送出される原稿DC1を検出する。次段の通紙センサー、すなわちデスキューセンサー11Qはデスキューローラー11Dの上流側に隣接する搬送経路部分を監視領域とし、デスキューローラー11Dまで到達した原稿DC1を検出する。3段目の通紙センサー、すなわち読取前センサー11Rは4段目の搬送ローラー11Eと搬送経路の露出部11Oとの間の搬送経路部分を監視領域とし、露出部11Oを通過する原稿DC2を検出する。最終段の通紙センサー、すなわち排紙センサー11Sは排紙口116またはそれよりも上流に位置する搬送経路部分を監視領域とし、排紙トレイ117へ排出される原稿DC3を検出する。
重送センサー11X、11Yは超音波センサーであり、送波器11Xと受波器11Yとを含む。送波器11Xと受波器11Yとは、給紙ローラー11Bと分離ローラー11Cとの下流側に隣接する搬送経路部分を間に挟んで互いに対向するように配置されている。送波器11Xは一定周波数(たとえば数百kHz)の超音波を受波器11Yに向けて出射させ、受波器11Yは搬送経路を透過した超音波を検出する。両器11X、11Yの間を原稿が通過する際、その原稿が送波器11Xからの超音波を部分的に吸収し、または反射する等により散逸させる。その結果、送波器11Xが出射させる超音波に対して受波器11Yが検出する超音波は減衰する。この減衰量から、両器11X、11Yの間を通過する原稿が2枚以上重なっているか否かが識別される。
搬送カバー118は、ADF110の筐体の上部に開閉可能に取り付けられた蓋状部材である。図2が示すように搬送カバー118は、原稿の搬送経路のうち給紙口112から4段目の搬送ローラー11Eの上流側に隣接する部分までの範囲を覆う。図2は示していないが、搬送カバー118の基端部(給紙口112とは反対側の端部)には水平方向(図2では紙面の法線方向)の回転軸が設けられている。この軸のまわりに揺動することで搬送カバー118は開閉する。搬送カバー118が開くと、すなわち図2に一点鎖線で示される姿勢にまで揺動すると、その底面が覆っていた搬送経路の範囲が露出するので、その範囲をユーザーに触れさせることが可能である。図2は示していないが、搬送カバー118が閉じた姿勢で接触するADF110の筐体部分には開閉センサーが設置されている。このセンサーは操作スイッチ(押しボタン等の機械的なスイッチ)または(誘導型、静電容量型、もしくは超音波/光電型の)近接スイッチであり、搬送カバー118の開閉に応じてオンオフする。
[スキャナーの構造]
図2は、図1が示す直線II−IIに沿ったスキャナー120の断面図を含む。図2を参照するに、スキャナー120はフラットベッド型であり、コンタクトガラス121、プラテンガラス122、スライダー123、光学素子124、125、ラインセンサー126、および画像処理回路127を含む。
コンタクトガラス121はスキャナー120の上面に開けられたスリットを塞ぎ、ADF110の底面に露出した原稿の搬送経路に面している。プラテンガラス122は、そのスリットとは別に設けられたスキャナー120の上面の開口部を塞いでいる。図2は示していないが、ADF110はスキャナー120に開閉可能に取り付けられ、開いた状態ではこのプラテンガラス122が露出するので、その上に原稿が載置可能である。スライダー123はスキャナー120の内部に、コンタクトガラス121の直下からプラテンガラス122の反対側の端までの間を往復運動可能に設置されている。スライダー123は線光源128とミラー129とを含む。線光源128はスライダー123の上面から、コンタクトガラス121を通してADF110の露出部11Oを通過する原稿の表面に光を照射し、プラテンガラス122を通してその上に載置された原稿の表面に光を照射する。ミラー129は、各原稿の表面で反射されてスライダー123の上面に入射した光を光学素子124、125へ向けて反射する。この反射光を光学素子124、125はラインセンサー126の受光面に集束させる。この受光面に集束した光量をラインセンサー126は検出して電気信号に変換する。この光量は原稿の表面の光反射率に応じて変化するので、その表面に表示された画像を表す。ADF110の露出部11Oを通過する原稿からラインセンサー126が読み取る画像は、同じ原稿から裏面スキャナー115が読み取る画像とは、それを表示するその原稿の面が反対である。画像処理回路127はラインセンサー126と裏面スキャナー115とから電気信号を受け取ってその信号を画像データに変換し、プリンター130または外部の電子機器へ送信する。
[プリンターの構造]
図3はプリンター130の構造を模式的に示す正面図である。図3にはプリンター130の要素が、あたかも筐体の前面を透かして見えているように描かれている。図3を参照するに、プリンター130は電子写真式のカラープリンターすなわちカラーレザープリンターであり、給送部10、作像部20、定着部30、および排紙部40を含む。これらの要素10、…、40は協働して画像形成手段として機能し、MFP100の筐体内でシートを搬送しながら、画像データに基づいてそのシートに画像を形成する。
給送部10は搬送ローラー群12、13、14を利用して給紙カセット11からシートSHTを1枚ずつ作像部20へ給送する。シートSHTの材質はたとえば紙または樹脂であり、紙種はたとえば、普通紙、上質紙、カラー用紙、または塗工紙であり、サイズは、A3、A4、A5、B4等の標準値である。
作像部20は、給送部10から送られたシートSH2の上にトナー像を形成する。具体的には、4つの作像ユニット21Y、21M、21C、21Kのそれぞれがまず、露光部26からのレーザー光を利用して感光体ドラム25Y、25M、25C、25Kの表面を画像データに基づいたパターンで露光し、その表面に静電潜像を作成する。各作像ユニット21Y、…は次にその静電潜像を、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)のいずれかのトナーで現像する。得られた4色のトナー像は1次転写ローラー22Y、22M、22C、22Kと感光体ドラム25Y、…との間の電界によって感光体ドラム25Y、…の表面から順番に中間転写ベルト23の表面上の同じ位置へ転写される。こうしてその位置に1つのカラートナー像が構成される。このカラートナー像は更に中間転写ベルト23と2次転写ローラー24との間の電界により、両者23、24の間のニップへ通紙されたシートSH2の表面へ転写される。その後、シートSH2に分離電圧が印加されることによってそのシートSH2が2次転写ローラー24から剥がされ、定着部30へ送り出される。
定着部30は、作像部20から送り出されたシートSH2の上にトナー像を熱定着させる。具体的には、定着ローラー31と加圧ローラー32との間のニップへそのシートSH2が通紙されるとき、定着ローラー31はそのシートSH2の表面へ内蔵のヒーターの熱を加え、加圧ローラー32はそのシートSH2の加熱部分に対して圧力を加えて定着ローラー31へ押し付ける。定着ローラー31からの熱と加圧ローラー32からの圧力とにより、トナー像がそのシートSH2の表面上に定着する。その後、定着部30はこのシートSH2を上部からガイド板41に沿って排紙口42へ送り出す。
排紙部40は、定着部30から送り出されたシートSH3を排紙ローラー43によって排紙口42から排出し、排紙トレイ150に収容する。
[画像形成装置の電子制御系統]
図4は、MFP100の電子制御系統の構成を示すブロック図である。図4を参照するにこの電子制御系統では、ADF110、スキャナー120、およびプリンター130の要素10、20、30、40に加えて操作部50と主制御部60とが、バス90を通して互いに通信可能に接続されている。
−操作部−
操作部50はユーザーの操作または外部の電子機器との通信を通してジョブの要求と印刷対象の画像データとを受け付けてそれらを主制御部60へ伝える。図4を参照するに操作部50は操作パネル160と外部インタフェース(I/F)52とを含む。操作パネル160は、図1が示すように、押しボタン、タッチパネル、およびディスプレイを含む。操作パネル160は、操作画面および各種パラメーターの入力画面等のGUI画面をディスプレイに表示する。操作パネル160はまた、ユーザーが操作した押しボタンまたはタッチパネルの位置を識別し、その識別に関する情報を操作情報として主制御部60へ伝える。外部I/F52は、USBポートまたはメモリカードスロット等の映像入出力端子を含み、それらを通して、USBメモリー、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)等、外付けの不揮発性大容量記憶装置から直に印刷対象の画像データを読み込み、またはそれらの記憶装置へスキャナー120で取り込んだ画像データを書き出す。外部I/F52はまた外部ネットワーク(図4は示していない。)に有線または無線で接続され、その接続先から印刷対象の画像データを取得し、またはその接続先へスキャナー120で取り込んだ画像データを送出する。
−主制御部−
主制御部60は、MFP100の内部に設置された1枚の印刷回路基板に実装された集積回路である。図4を参照するに主制御部60は、CPU61、RAM62、およびROM63を含む。CPU61は1つのマイクロプロセッサ(MPU)で構成され、各種ファームウェアを実行して、バス90に接続された他の要素10、20、…を制御する。RAM62は、DRAM、SRAM等の揮発性半導体メモリー装置であり、CPU61がファームウェアを実行する際の作業領域をCPU61に提供すると共に、操作部50が取得した印刷対象の画像データを一時的に保存する。ROM63は書き込み不可の不揮発性記憶装置と書き換え可能な不揮発性記憶装置との組み合わせで構成されている。前者はファームウェアを格納し、後者は、EEPROM、フラッシュメモリー、SSD等の半導体メモリー装置、またはHDDを含み、CPU61に環境変数等の保存領域を提供する。
CPU61が各種ファームウェアを実行することにより、主制御部60は操作部50からの操作情報に基づき、MFP100内の他の要素10、20、…に対する制御主体としての多様な機能を実現する。具体的には、主制御部60は操作部50に操作画面等のGUI画面を表示させてユーザーの入力操作を受け付けさせる。この入力操作を表す操作情報の受信に応じて主制御部60は、稼動モード、待機モード、スリープモード等、MFP100の動作モードを決定し、その動作モードに応じた処理を各要素10、…に指示する。たとえば、操作部50がユーザーから印刷ジョブを受け付けたとき、主制御部60はまず操作部50に印刷対象の画像データをRAM62へ転送させる。主制御部60は次にそのジョブの示す印刷条件に従い、給送部10には給送すべきシートの種類とその給送のタイミングとを指定し、作像部20には形成すべきトナー像を表す画像データを提供し、定着部30には維持すべき定着ローラー31の表面温度を指定する。
主制御部60はまた、MFP100の各要素10、20、…の動作状態を監視し、いずれかに不具合を検出したときには動作モードを適切に変更してその不具合の解消を図る。たとえば、シートの搬送タイミングの遅れを検知したときには、プリンター130に処理を中断させると共に、操作パネル160に「ジャムが生じた」旨のメッセージを表示させてユーザーにその解消を促す。給紙カセット11における紙切れ、または作像ユニット21Y、…におけるトナー不足を検知したときには、プリンター130に処理を中断させると共に、操作パネル160に「紙が切れた/トナーが不足している」旨のメッセージを表示させてユーザーにそれらの補充を促す。さらに、ADF110から原稿の重送を通知されたときには、スキャナー120に処理を中断させると共に、ADF110に重送原稿を処理させ、その結果に応じたメッセージを操作パネル160に表示させる。
[ADFの電子制御系統]
図4を更に参照するに、ADF110の電子制御系統は、裏面スキャナー115に加えて、搬送部201、位置検出部202、重送検出部203、および制御部204を含む。これらの機能部201、…、204は、ADF110に内蔵の印刷回路基板上に実装された、MPU/CPU、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラム可能な集積回路(FPGA)等の集積回路が専用のファームウェアを実行することによって実現される。
−搬送部−
搬送部201は、各搬送ローラー11A、…、11Hに駆動力を与えるモーターを制御することにより、これらのローラー11A、…に原稿を搬送経路に沿って所定の速度と所定のタイミングとで搬送させる。
図5は、ADF110内における原稿の搬送経路を示す模式図である。図5を参照するに、この搬送経路は破線CPで示されている。搬送経路CPに沿って搬送ローラー群11A、…、11Hがほぼ等間隔に配置されている。搬送経路CPの周辺には搬送ローラー群11A、…の駆動用モーター群M1、M2、M3、M4が設置されている。搬送カバー118の中には給送モーターM1が給紙口111の近傍に設置され、ピックアップローラー11Aと給紙ローラー11Bとを回転させる。ADF110の筐体内には分離モーターM2が給紙口111の近傍に設置され、分離ローラー11Cを回転させる。搬送経路CPが囲む空間の中にはメインモーターM3が設置され、3段目から6段目までの搬送ローラー11D、…、11Gを回転させる。排紙口116の近傍には排紙モーターM4が配置され、排紙ローラー11Hを回転させる。各モーターM1、…はたとえば直流ブラシレス(BLDC)モーターまたはステッピングモーターであり、搬送部201から印加される電圧に応じた回転力を生成し、ギア、ベルト等の動力伝達系統を通して駆動対象のローラーに与える。各モーターM1、…はまた光学式または磁気式のエンコーダーを搭載し、それを利用して実際の回転数に応じた周波数の信号を搬送部201へフィードバックする。
図4は示していないが、搬送部201は制御回路と駆動回路とを含む。制御回路は、各モーターM1、…からフィードバックされる実際の回転数に基づいて、そのモーターに対する印加電圧の値を駆動回路に指示する。駆動回路はインバーターであり、パワートランジスタ(FET)等のスイッチング素子を利用してモーターに対して電圧を印加する。
−位置検出部−
位置検出部202は各通紙センサー11P、…、11Sを次のように利用して、搬送ローラー群11A、…が搬送する原稿の位置を検出する。図5は各通紙センサー11P、…を三角形で表す。ピックアップローラー11Aと給紙ローラー11Bとが搬送経路に取り込んだ原稿を分離センサー11Pが検出する度に、位置検出部202はその時点からの経過時間をタイマーで計測する。この経過時間と原稿の搬送速度とに基づき、位置検出部202は各原稿の移動距離を定期的に、たとえば数十〜数百ミリ秒ごとに計算し、その距離からその原稿の位置を割り出す。位置検出部202は更にこの位置に基づき、デスキューセンサー11Qがその原稿を検出する時刻を予測する。この予測時刻と、デスキューセンサー11Qの出力が示す実際の検出時刻との間の誤差から位置検出部202はその原稿の位置を修正する。以降も同様に位置検出部202は、前段の通紙センサーが原稿を検出した時点からの経過時間とその原稿の搬送速度とに基づいて次段の通紙センサーがその原稿を検出する時刻を予測し、この予測の誤差からその原稿の位置を修正する。
−重送検出部−
重送検出部203は重送センサー11X、11Yを通して給紙ローラー11Bと分離ローラー11Bとによる原稿の重送を検出する。図5では、重送センサー11X、11Yと通紙センサー11P、11Qとの間における監視領域の位置関係がわかりやすいように、重送センサーの送波器11Xと受波器11Yとを示す矩形対が搬送経路CPに対して垂直に配置されている。実際には図2の示すとおり、両器11X、11Yの隙間における超音波の伝搬方向が原稿の搬送方向と斜めに交差するように、両器11X、11Yは配置される。この場合、送波器11Xを出射した超音波は原稿の表面で反射されても送波器11Xには戻らない。したがって、反射波との干渉に起因する出射波の強度変化、および反射波が送波器11Xで再び反射されることにより生じる残響波が受波器11Yに雑音として検出される危険性が回避される。
図6の(a)は、図5の示す搬送経路CPを重送原稿が移動する際における分離センサー11Pの出力信号FDS、クロック信号CLK、および重送センサーの受波器11Yの出力信号MFSのタイミングチャートであり、(b)は、(a)の示すクロック信号CLKの波形の拡大図である。重送検出部203は分離センサー11Pの出力信号FDSのオンに応じて重送センサーの送波器11Xに対するクロック信号CLKの印加を開始すると共に、重送センサーの受波器11Yからの返信の監視を開始する。クロック信号CLKは一定幅PW(たとえば数十μ秒)の矩形波であり、送波器11Xに内蔵の圧電素子を同じ周波数で発振させる。この発振により圧電素子の周囲には超音波が発生し、送波器11Xから受波器11Yへ伝搬する。この超音波に受波器11Yに内蔵の圧電素子が共振して電圧交流信号を生成する。この信号を受波器11Yは出力信号MFSとして重送検出部203へ返す。この出力信号MFSのレベルは受波器11Yに伝搬した超音波の強度を表し、以下に示す送波器11Xと受波器11Yとの隙間を通過する原稿の状態に応じて主に3段階に変化する。
図6の(c)は、その隙間に原稿がない状態を示す模式図である。この状態では、送波器11Xを出射した超音波USXはほとんど減衰することなく受波器11Yに入射する。したがって、受波器11Yの出力信号MFSのレベルは最高値MX(たとえば5V)に達する。
図6の(d)は、重送センサー11X、11Yの隙間に原稿が1枚だけ通過する状態を示す模式図である。この状態では、送波器11Xを出射した超音波USXはその原稿DC0を透過する。このとき、透過波の一部がその原稿DC0に吸収され、または反射、回折により拡散されて散逸する。その結果、受波器11Yへの入射波USYが送波器11Xからの出射波USXに対して減衰するので、受波器11Yの出力信号MFSのレベルは最高値MXよりも低い値LV1(たとえば4.5V)へ降下する。
図6の(e)は、重送センサー11X、11Yの隙間に原稿が2枚重なって通過する状態を示す模式図である。この状態では、送波器11Xからの出射波USXはそれらの原稿DC1、DC2の両方を単に透過するだけでなく、一部が両原稿DC1、DC2間で反射を繰り返す。その結果、透過波の散逸量が単一の原稿DC0による値よりも大幅に増大するので、受波器11Yへの入射波USYは送波器11Xからの出射波USXに対して大幅に減衰する。したがって、受波器11Yの出力信号MFSのレベルは許容下限値MN付近の値LV2(たとえば1V)まで一気に降下する。このレベルは、重送センサー11X、11Yの隙間に原稿が3枚以上重なって通過する状態では許容下限値MNに更に近づく。
このように受波器11Yの出力信号MFSのレベルは主に3段階MX、LV1、LV2以下に変化し、かつ、最高値MXと次値LV1との間の差に比べて次値LV1と最低値LV2との間の差が著しく大きい。したがって、重送検出部203はそのレベルに対する閾値LTHを次値LV1と最低値LV2との中間に設定し、そのレベルが閾値LTH以上に維持されている間は「原稿の重送が発生していない」と判断し、そのレベルが閾値LTHを下回ったことを「原稿の重送」として検出する。その後、そのレベルが閾値LTH以上に回復すれば、重送検出部203は「重送原稿の重なり合う部分が重送センサー11X、11Yの隙間を通過し終えた」と判断する。
−制御部−
制御部204は、位置検出部202が検出する原稿の位置に基づいて搬送部201を制御する。具体的には、制御部204は搬送部201に原稿を搬送させる際、まず搬送部201にその原稿の搬送速度の設定値を指示する。制御部204は次に、その原稿の先端がデスキューセンサー11Qに検出される時点から、その原稿の先端部のうちループRPを成す部分の長さが所定値に達する時点までの時間を計算する。デスキューセンサー11Qの出力信号が実際にオンに遷移した時点からその時間が経過したタイミングで、制御部204は搬送部201に給紙ローラー11Bの回転を停止させる。制御部204は続いて、その原稿の先端がデスキューセンサー11Qに検出される時点から、その原稿と先行の原稿との紙間が所定値まで開く時点までの時間を計算する。デスキューセンサー11Qの出力信号が実際にオンに遷移した時点からその時間が経過したタイミングで、制御部204は搬送部201にデスキューローラー11Cの回転を開始させる。制御部204は更に排紙センサー11Sの出力信号のオンに応じて搬送部201に排紙ローラー11Hの回転を開始させる。
制御部204はその他に、スキャナー120と裏面スキャナー115とのそれぞれに搬送中の原稿から画像を読み取るべきタイミングを通知する。図5は各スキャナー120、115が画像を読み取ることのできる場所である読み取り位置、すなわち搬送経路の露出部11O、および第2押さえ部材114と裏面スキャナー115との隙間を矢印AR1、AR2で示す。具体的には、制御部204はまず、給紙トレイ111の原稿サイズセンサー11M、11Nの出力に基づいて原稿のサイズを標準値の中から選択し、特に搬送方向における原稿の全長を決定する。制御部204は次にこの全長に基づき、原稿の先端が読取前センサー11Rに検出される時点から、その原稿がスキャナー120の読み取り位置AR1を通過し始める時点と通過し終える時点、および裏面スキャナー115の読み取り位置AR2を通過し始める時点と通過し終える時点のそれぞれまでの時間を計算する。これらの時間に基づいて制御部204は読取前センサー11Rの出力信号のオンに応じて、スキャナー120にはその読み取り位置AR1を通過する原稿から画像を読み取るべきタイミングを通知し、裏面スキャナー115にはその読み取り位置AR2を通過する原稿から画像を読み取るべきタイミングを通知する。
制御部204は搬送部201に原稿を搬送させる間、その原稿の位置を検出するタイミングの予測値と実際の値との間の誤差を位置検出部202が計測する度にその計測値を位置検出部202から取得する。その計測値が許容上限を超えたこと、またはその誤差を位置検出部202が計測不能であることを制御部204は原稿のジャムとして検出し、搬送部201に搬送中の原稿を搬送経路上に停止させて、その旨を主制御部60に通知する。この通知に応じて主制御部60は操作パネル160に「紙詰まりが生じた」旨のメッセージを表示させてユーザーにその解消を促す。
<原稿の重送の検出時>
制御部204は、重送検出部203による重送の検出に応じて搬送部201に重送原稿を所定の位置まで搬送させる。この位置を以下、「停止位置」と呼ぶ。具体的には、制御部204はまず搬送部201に原稿の搬送を中断させる。これにより重送原稿は、互いに重なり合う部分の先端が重送センサー11X、11Yの隙間に挟まった状態で停止する。制御部204は次にこの重なり合う部分の長さ(以下、「重送部分長」という。)を次のように推測する。
たとえば、図6の(a)が示す時刻T0にピックアップローラー11Aと給紙ローラー11Bとが先頭の原稿DC1を搬送経路CPに取り込む。その後、第1時刻T1にこの原稿DC1の先端TPEが分離センサー11Pの監視領域に到達する。
図7の(a)は第1時刻T1におけるその先頭DC1の状態を示す模式図である。第1時刻T1以降、その先頭DC1の先端TPEが分離センサー11Pからの出射光を反射し始めるので、そのセンサー11Pの出力信号FDSがオンに遷移する。これに応じて位置検出部202は計時を開始し、重送検出部203は重送センサーの送波器11Xに対するクロック信号CLKの印加と受波器11Yの出力信号MFSの監視とを開始する。第1時刻T1からしばらくの間は重送センサー11X、11Yの隙間に原稿が存在しないので、受波器11Yの出力信号MFSのレベルが最高値MXに維持される。
図6の(a)が示す第2時刻T2には原稿DC1の先端TPEが重送センサー11X、11Yの隙間に到達し、送波器11Xからの超音波を減衰させ始める。この原稿DC1の厚みはまだ1枚分であるので、受波器11Yの出力信号MFSのレベルが最高値MXから次値LV1までしか降下しない。
図7の(b)は、図6の(a)が示す第3時刻T3における重送原稿DC1、DC2の状態を示す模式図である。第3時刻T3には、原稿DC1に次の原稿DC2が重なる部分OVLの先端OVTが重送センサー11X、11Yの隙間に到達するので、原稿の厚みが2枚分以上に増大する。したがって、受波器11Yの出力信号MFSのレベルが次値LV1から降下して閾値LTHを下回るので、重送検出部203は原稿の重送を検出する。この検出に応じて制御部204は搬送部201に原稿の搬送を中断させると共に、位置検出部202の計時値に基づいて第1時刻T1から第3時刻T3までの経過時間を割り出す。制御部204は次にこの経過時間からデスキューローラー11Dによる原稿の停止時間を除き、得られた時間と原稿の搬送速度との積(正確には積分値)を、第1時刻T1から第3時刻T3までの間に重送原稿DC1、DC2が搬送された距離CVDとして推測する。制御部204は続いてこの距離CVDと原稿の全長DCLとの間の差に、分離センサー11Pの監視領域から重送センサー11X、11Yの隙間までの搬送経路部分の長さDS1を加え、得られた値を重送部分長OVLに設定する。
制御部204は続いて、重送部分長OVLが閾値以上であるか否かを確認する。重送部分長OVLが閾値を超えていない場合、制御部204は搬送部201に対する重送原稿の搬送指示を中止して重送原稿DC1、DC2を搬送経路CP上に残留させる。この残留を制御部204は主制御部60に通知し、主制御部60は操作パネル160に表示する。その後、重送原稿DC1、DC2を搬送経路CP上から除去し終えたユーザーに処理の再開を指示されるまで制御部204は待機する。一方、重送部分長OVLが閾値以上である場合、制御部204は搬送部201に、原稿の搬送を中断させた時点から所定の待ち時間(たとえば数十秒)が経過した後に原稿の搬送を再開させ、重送原稿DC1、DC2を停止位置へ移動させる。
<停止位置での重送原稿の状態>
図8の(a)は、排紙トレイ117へ排出された原稿の束ST2と停止位置に搬送された重送原稿DC1、DC2との外観を示す斜視図であり、(b)は、(a)の示す線分b−bに沿った断面図である。図8の(a)を参照するに、停止位置では重送原稿DC1、DC2のうち先頭の1枚DC1の先端部FEPが排紙口116から排紙トレイ117へはみ出すと共に、その1枚DC1と次の原稿DC2とが重なり合う部分(重送部分)OVLの後端が排紙口116よりも上流に留まる。このとき、重送部分長OVLが閾値LWL以上であるので、ADF110の外側からは重送原稿の先頭DC1の先端部FEPだけでなく、重送部分OVLの先端部OVFも排紙口116からはみ出して見える。図8の(b)を参照するに、停止位置では重送部分OVLの後端OVRが排紙センサー11Sの監視領域よりも所定の余裕長MRG、たとえば10mmだけ上流に留まる。したがって、重送原稿DC1、DC2が停止位置に到達した時点以降、重送部分OVLの後端部DTPが排紙センサー11Sからの出射光を反射し続けるので、排紙センサー11Sの出力信号はオンを維持する。
図8の(b)が示すように、重送部分OVLの後端OVRは一般に先頭DC1の後端と一致する。このことを踏まえて重送部分OVLの後端OVRと排紙センサー11Sの監視領域との間の距離、すなわち余裕長MRGは次の条件を満たすように設定される。[1]排紙口116からはみ出した先頭DC1の先端部FEPがユーザーに引っ張らせることの容易な長さである。[2]排紙ローラー11Hによる原稿の位置決め誤差を見越しても、重送部分OVLの後端OVRが排紙センサー11Sよりも上流に留まる。これらの条件が満たされることにより、重送原稿DC1、DC2はいずれも、その全体が排紙トレイ117に落下することなく、排紙口116に挟まった状態で停止する。こうして、重送原稿DC1、DC2をユーザーに一目で特定させることができる。すなわち、スキャナー120に画像の読み込み処理を再開させるには排紙口116からはみ出した原稿DC1、DC2を給紙トレイ111に戻せばよいことを、ユーザーに容易に理解させることができる。
さらに、重送部分長OVLに対する閾値LWLは次の条件を満たすように設定される。排紙口116からはみ出した重送部分OVLの先端部OVFがユーザーに引っ張らせることの容易な長さである。この条件が満たされることにより、ユーザーが重送原稿の先頭DC1を排紙口116から引き出す際に後続の原稿DC2を取り損ねても、その先端部OVFがすでに、ユーザーに引っ張らせることの容易な長さ以上に排紙口116からはみ出している。こうして、重送原稿DC1、DC2のすべてをユーザーに除去させ切ることができる。これにより、重送原稿の取り残しに起因するスキャナー120による処理の再開時におけるジャムを回避することができる。
制御部204は次のように搬送部201に重送原稿DC1、DC2を停止位置へ搬送させる。制御部204はまず搬送部201に重送原稿DC1、DC2の搬送を再開させる。このとき、重送原稿DC1、DC2は単一の原稿よりも重く、かつ嵩張るので搬送経路CPを移動しづらい。したがって、制御部204は重送原稿DC1、DC2の搬送速度を設定値よりも低い値に変更する。また、重送原稿DC1、DC2にはジャムが生じやすいので制御部204は、位置検出部202が原稿の位置を検出するタイミングの予測値と実際の値との間の誤差に対する許容上限を引き下げる。これによりジャムに対する検出感度が上がるので、重送原稿DC1、DC2のジャムに伴う損傷が未然に防がれる。重送原稿DC1、DC2の搬送処理と並行して制御部204は、重送原稿の先頭DC1のうち先端TPEから長さ=全長DCL−余裕長MRGまでの部分が排紙センサー11Sの監視領域を通過するのに必要な時間を予測する。その先頭DC1の先端TPEの検出により排紙センサー11Sの出力信号がオンに遷移したことに応じて制御部204はその遷移した時点からの経過時間を計測し、その計測値が予測値に達するタイミングで搬送部201に排紙ローラー11Hを停止させる。
<重送の検出に伴う搬送の中断状態からの復帰>
図9の(a)は、停止位置における重送原稿DC1、DC2の状態を模式的に示す断面図であり、(b)は、このときの操作パネル160の表示を示す模式図である。制御部204は上記のとおり、重送原稿の先頭DC1の先端TPEから長さ=全長DCL−余裕長MRGまでの部分が排紙センサー11Sの監視領域に到達するタイミングを予測し、その予測したタイミングで搬送部201に排紙ローラー11Hを停止させる。これにより、重送原稿DC1、DC2は停止位置に、図9の(a)が示すように一部が排紙口116からはみ出した状態で停止する。この停止を制御部204は主制御部60に通知する。この通知に応じて主制御部60は操作パネル160に、重送原稿DC1、DC2が排紙口116に残っている旨の表示を開始させる。たとえば図9の(b)が示すように、「重送です。排紙口に残っている原稿を給紙トレイに戻してください」等のメッセージMSGが操作パネル160に表示される。
制御部204はその後、排紙センサー11Sの出力信号に基づき、重送原稿DC1、DC2が停止位置から除去されたか否かを識別する。図9の(a)が示すように、停止位置では重送部分OVLの後端OVRよりも余裕長MRGだけ前の部分DTPが排紙センサー11Sの監視領域に静止して排紙センサー11Sからの出射光を反射し続ける。したがって、排紙センサー11Sの出力信号がオンを維持するので、制御部204は「重送原稿が停止位置に残っている」と判断し、主制御部60に重送原稿の残留に関する操作パネル160の表示を維持させる。
図9の(c)は、ユーザーによって排紙口116から除去される重送原稿DC1、DC2の状態を模式的に示す断面図であり、(d)は、(c)の状態における操作パネル160の表示の消去を示す模式図である。図9の(c)を参照するに、図9の(b)の表示に応じてユーザーが重送原稿DC1、DC2のうち、排紙口116からはみ出た部分を引っ張る。これにより、重送原稿DC1、DC2の全体が排紙センサー11Sの監視領域を離脱するので、排紙センサー11Sの出力信号がオンからオフへ遷移する。この遷移を制御部204は「重送原稿が停止位置から除去された」と判断して主制御部60に通知する。この通知に応じて主制御部60は操作パネル160に、重送原稿の残留に関する表示を消去させる。すなわち、ユーザーが重送原稿DC1、DC2を排紙口116から引き抜くだけで、図9の(d)が示すように、「重送です。…」等のメッセージMSGが画面から自動的に消去される。
制御部204は更に、搬送経路上に残留する他の原稿の有無を確認して、その有無を主制御部60に通知する。この通知に応じて主制御部60は操作パネル160に、搬送経路上に原稿が残っていない場合には「原稿の搬送の再開が可能である」旨のメッセージを表示させ、残っている場合には「ジャムが生じた」旨のメッセージを表示させる。
[重送監視処理の流れ]
図10〜図12はADF110が原稿の重送を監視する処理のフローチャートである。この処理は、給紙ローラー11Bと分離ローラー11Cとの間のニップから送出される原稿の検出により分離センサー11Pの出力信号FDSがオンに遷移する度に開始される。
−重送の検出−
図10は、ADF110による重送監視処理のフローチャートのうち、原稿の重送を検出する部分である。
ステップS101では、分離センサー11Pの出力信号FDSがオンに遷移した時刻T1を位置検出部202が記録し、この時刻T1からの計時を開始する。その後、処理はステップS102に進む。
ステップS102では、重送検出部203が重送センサーの送波器11Xに対するクロック信号CLKの印加を開始すると共に、重送センサーの受波器11Yの出力信号MFSの監視を開始する。その後、処理はステップS103へ進む。
ステップS103では、受波器11Yの出力信号MFSのレベルが閾値LTHを下回るか否かを重送検出部203が確認する。そのレベルが閾値LTH以上であれば処理はステップS104へ進み、閾値LTHを下回れば処理はステップS107へ進む。
ステップS104では、受波器11Yの出力信号MFSのレベルが閾値LTH以上であるので、原稿の重送が生じていない。したがって、分離センサー11Pの出力信号FDSがオンからオフに遷移したか否かを位置検出部202は確認する。オフに遷移していればその時刻T5を位置検出部202が記録して処理はステップS105へ進み、オンのままであれば処理はステップS103を繰り返す。
ステップS105では、分離センサー11Pの出力信号FDSがオフに遷移しているので、その時刻T5からの経過時間が閾値以上に達したか否かを位置検出部202は確認する。この閾値は、1枚の原稿の後端が分離センサー11Pの監視領域を通過し終えた時点から、その後端が重送センサー11X、11Yの隙間を通過し終える時点までの時間を表す。時刻T5からの経過時間が閾値以上であれば処理はステップS106へ進み、閾値未満であれば処理はステップS103を繰り返す。
ステップS106では、分離センサー11Pの出力信号FDSがオンからオフに遷移した時刻T5からの経過時間が閾値以上であるので、その時刻T1に分離センサー11Pが検出した原稿の後端が重送センサー11X、11Yの隙間を通過し終えている。したがって、重送検出部203は送波器11Xに対するクロック信号CLKの印加を停止する。その後、処理は終了する。
ステップS107では、受波器11Yの出力信号MFSのレベルが閾値LTHを下回るので、重送検出部203は原稿の重送を検出する。この検出に応じて制御部204は搬送部201に原稿の搬送を中断させる。その後、処理はステップS111へ進む。
−重送原稿の搬送の適否判断−
図11は、ADF110による重送監視処理のフローチャートのうち、重送原稿の搬送の適否を判断する部分である。
ステップS111では、搬送中の原稿にジャムが生じているか否か、すなわち位置検出部202による原稿の検出時刻の予測の誤差が許容上限を超え、または計測不能であるか否かを制御部204が確認する。ジャムが生じていなければ処理はステップS112へ進み、生じていれば処理はステップS115へ進む。
ステップS112では、制御部204は重送原稿DC1、DC2の重送部分長OVLを計算する。具体的には、制御部204はまず位置検出部202の計時値に基づいて第1時刻T1から第3時刻T3までの経過時間を割り出す。制御部204は次にこの経過時間のうち、デスキューローラー11Dが原稿を停止させた時間以外の部分における原稿の搬送速度の積分値を重送原稿DC1、DC2の搬送距離CVDとして推測する。制御部204は続いてこの距離CVDと原稿の全長DCLとの間の差に、分離センサー11Pの監視領域から重送センサー11X、11Yの隙間までの搬送経路部分の長さDS1を加え、得られた値を重送部分長OVLに設定する:OVL=DCL−CVD+DS1。その後、処理はステップS113へ進む。
ステップS113では、重送部分長OVLが閾値LWL以上であるか否かを制御部204は確認する。閾値LWL未満であれば処理はステップS113へ進み、以上であれば処理はステップS115へ進む。
ステップS114では、重送部分長OVLが閾値LWL以上であるので、制御部204は続いて、この時点で搬送カバー118が閉じたままであるか否かを開閉センサーの出力から確認する。開いていれば処理はステップS115へ進み、閉じたままであれば処理はステップS116へ進む。
ステップS115では、(i)搬送中の原稿にジャムが生じ、(ii)重送原稿の重送部分長OVLが閾値LWL未満であり、または、(iii)搬送カバー118が開いている。したがって、搬送部201による重送原稿DC1、DC2の更なる搬送は、場合(i)には不可能であり、場合(ii)には、重送原稿DC1、DC2のうち先頭DC1以外の原稿DC2を排紙口116からユーザーに引っ張らせることの容易な長さ以上にはみ出させることができない危険性が高く、場合(iii)には搬送経路の露出部分に誤って触れたユーザーの手を傷つける危険性がある。それ故、制御部204は搬送部201による重送原稿の搬送を中止して搬送不良、すなわちジャムまたは重送を主制御部60に通知する。この通知に応じて主制御部60はスキャナー120を停止させて操作パネル160に「ジャム/重送が生じた」旨のメッセージを表示させる。その後、処理は終了する。
ステップS116では、搬送カバー118が閉じたままであるので、制御部204は搬送部201に原稿の搬送を中断させた時点から待ち時間が経過したか否かを確認する。経過していれば処理はステップS117へ進み、経過していなければ処理はステップS114を繰り返す。
ステップS117では、搬送カバー118が開けられることなく、搬送部201が原稿の搬送を中断した時点から待ち時間が経過している。重送の検出時にはジャムが生じていないので、重送原稿DC1、DC2は停止位置まで搬送可能である。また、重送部分長OVLが閾値LWL以上であるので、停止位置では重送原稿DC1、DC2のすべてが排紙口116からユーザーに引っ張らせることの容易な長さ以上にはみ出す可能性が高い。したがって、制御部204は搬送部201に重送原稿DC1、DC2の搬送を再開させる。その後、処理はステップS121へ進む。
−停止位置への重送原稿の搬送−
図12の前半は、ADF110による重送監視処理のフローチャートのうち、停止位置へ重送原稿を搬送する部分である。この部分はステップS121〜S124から成る。
ステップS121では、重送原稿の先頭DC1のうち先端TPEから長さ=全長DCL−余裕長MRGまでの部分が排紙センサー11Sの監視領域を通過するのに必要な時間ΔT1を制御部204が予測する。その後、処理はステップS122へ進む。
ステップS122では、重送原稿の先頭DC1の先端TPEの検出により排紙センサー11Sの出力信号がオンに遷移したか否かを位置検出部202が確認する。遷移すれば処理はステップS123へ進み、遷移するまで処理はステップS122を繰り返す。
ステップS123では、排紙センサー11Sの出力信号がオンに遷移したので、それに応じて制御部204はその遷移した時点からの経過時間を計測し、その計測値が予測値ΔT1以上であるか否かを確認する。以上であれば処理はステップS124へ進み、以上に達するまで処理はステップS123を繰り返す。
ステップS124では、排紙センサー11Sの出力信号がオンに遷移した時点からの経過時間が予測値ΔT1以上に達しているので、制御部204は搬送部201に排紙ローラー11Hを停止させる。これにより、重送原稿DC1、DC2は停止位置に、排紙口116からはみ出した状態で停止する。この停止を制御部204は主制御部60に通知し、この通知に応じて主制御部60は操作パネル160に、重送原稿DC1、DC2が排紙口116に残っている旨の表示を開始させる。その後、処理はステップS131へ進む。
−重送の検出に伴う搬送の中断状態からの復帰−
図12の後半は、ADF110による重送監視処理のフローチャートのうち、停止位置からの重送原稿DC1、DC2の除去に応じて搬送の中断状態から復帰する部分である。この部分はS131〜S134から成る。
ステップS131では、排紙センサー11Sの出力信号がオンからオフへ遷移したか否かを制御部204は確認する。遷移すれば処理はステップS132へ進み、遷移するまで処理はステップS131を繰り返す。
ステップS132〜S134は復帰処理の主要部であり、搬送経路上に残留する原稿の有無から処理の再開が可能であるか否かが判断される。
ステップS132では、排紙センサー11Sの出力信号がオンからオフへ遷移したので重送原稿DC1、DC2の全体が排紙センサー11Sの監視領域を離脱している可能性が高い。この遷移を制御部204は主制御部60に通知し、この通知に応じて主制御部60は操作パネル160に重送原稿の残留に関する表示を消去させる。制御部204は更に搬送経路上に残留する他の原稿の有無を確認する。具体的には、制御部204はまず搬送部201にメインモーターM3と排紙モーターM4とを所定時間(たとえば数秒間)駆動させ、ピックアップローラー11A、給紙ローラー11B、および分離ローラー11Cを除く他の搬送ローラー11C、11D、…、11Hを回転させる。この間、通紙センサー11P、…、11Sの出力信号がすべてオフを維持するか否かを制御部204は確認する。いずれの出力信号もオフを維持すれば処理はステップS133へ進み、いずれかの出力信号がオンに遷移すれば処理はステップS134へ進む。
ステップS133では、通紙センサー11P、…、11Sの出力信号がすべてオフを維持するので搬送経路上には原稿が残っていない。この旨を制御部204は主制御部60に通知し、この通知に応じて主制御部60は操作パネル160に「原稿の搬送の再開が可能である」旨のメッセージを表示させる。その後、処理は終了する。
ステップS134では、通紙センサー11P、…、11Sの出力信号のいずれかがオンに遷移したのでその監視領域に原稿が残っている。したがって、制御部204は復帰処理を中止してジャムを主制御部60に通知する。この通知に応じて主制御部60は操作パネル160に「ジャムが生じた」旨のメッセージを表示させる。その後、処理は終了する。
[実施形態1の利点]
本発明の実施形態1によるADF110では上記のとおり、重送検出部203が重送センサー11X、11Yを通して原稿の重送を検出した場合、制御部204がまず重送原稿DC1、DC2の重送部分長OVLを計測して閾値LWLと比較する。重送部分長OVLが閾値LWL以上であれば、制御部204は搬送部201に重送原稿DC1、DC2を停止位置まで搬送させる。この停止位置では重送原稿の先頭DC1が排紙口116から排紙トレイ117へはみ出すと共に、重送部分OVLの後端OVRが排紙口116よりも、特に排紙センサー11Sの監視領域よりも上流に留まる。したがって、重送原稿DC1、DC2の全体が排紙トレイ117に落下することなく排紙口116に挟まっているので、これらをユーザーに一目で特定させることができる。すなわち、スキャナー120に画像の読み込み処理を再開させるには排紙口116からはみ出した原稿DC1、DC2を給紙トレイ111に戻せばよいことをユーザーに容易に理解させることができる。さらに、排紙センサー11Sの出力信号がオンからオフへ遷移したことから、ユーザーが重送原稿DC1、DC2を停止位置から除去したことを制御部204は検出可能である。したがって、制御部204は主制御部60に、重送原稿の残留に関する表示を消去させることも、搬送経路上に残留する他の原稿の有無を確認して原稿の搬送の再開の可不可を表示させることも、自動的に実行することができる。その上、重送部分長OVLが閾値LWL以上であるので、排紙口116からはみ出した重送部分OVLの先端部OVFがユーザーに引っ張らせることの容易な長さ以上である。したがって、重送原稿の先頭DC1を排紙口116からユーザーが引き出す際に後続の原稿DC2を引き出し損ねても、その先端部OVFがすでにユーザーに引っ張らせることの容易な長さ以上に排紙口116からはみ出している。こうして重送原稿DC1、DC2のすべてをユーザーに除去させ切ることができるので、スキャナー120の処理の再開時におけるジャムを回避することができる。このようにADF110は、重送原稿をユーザーに容易に確認させると共に、搬送経路から容易に除去させることを簡単な構成で実現することができる。
《実施形態2》
本発明の実施形態2による画像形成装置は、実施形態1によるMFP100と同様なMFPである。前者は後者とは、排紙口116の近傍に重なりセンサーを更に備えている点でのみ異なり、その他の要素は実施形態1のものと同様である。したがって、以下では相違点のみを説明し、同様な要素については実施形態1の説明を援用する。
[原稿の搬送経路]
図13は、本発明の実施形態2によるADF内の原稿の搬送経路を示す模式図である。図13を参照するに搬送経路CPには図5の示す要素に加え、重なりセンサー11U、11Vが排紙口116の近傍に設置されている。重なりセンサーは重送センサー11X、11Yと同様な超音波センサーであり、送波器11Uと受波器11Vとを含む。送波器11Uと受波器11Vとは、排紙口116に隣接する搬送経路を間に挟んで互いに対向するように配置されている。送波器11Uは一定周波数(たとえば数百kHz)の超音波を受波器11Vに向けて出射させ、受波器11Vは搬送経路を透過した超音波を検出する。両器11U、11Vの隙間に存在する原稿は送波器11Uからの超音波を部分的に吸収し、または反射する等により散逸させる。その結果、送波器11Uが出射させる超音波に対して受波器11Vが検出する超音波は減衰する。この減衰量から少なくとも、その原稿の厚みが1枚分以下であるか、それとも2枚分以上であるか、すなわち2枚以上の原稿の重なりの有無が識別される。
図13では、図5において重送センサー11X、11Yを示す矩形対と同様に、搬送経路CPにおける監視領域の位置関係がわかりやすいように、重なりセンサーの送波器11Uと受波器11Vとを示す矩形対が搬送経路CPに対して垂直に配置されている。実際には重なりセンサーの両器11U、11Vは図2の示す重送センサーの両器11X、11Yと同様、両器11U、11Vの隙間における超音波の伝搬方向が原稿の搬送方向と斜めに交差するように配置される。この場合、送波器11Uを出射した超音波は原稿の表面で反射されても送波器11Uには戻らない。したがって、反射波との干渉に起因する出射波の強度変化、および反射波が送波器11Uで再び反射されることにより生じる残響波が受波器11Vに雑音として検出される危険性が回避される。
[重なりセンサーの利用方法]
実施形態1では、重送原稿の重送部分長が閾値を超えていない場合、制御部204は搬送部201に対する重送原稿の搬送指示を中止して重送原稿を搬送経路CP上に残留させる。その後、重送原稿を搬送経路CP上から除去し終えたユーザーに処理の再開を指示されるまで制御部204は待機する。これに対して実施形態2では、重送原稿の重送部分長が閾値を超えていない場合にも制御部204は搬送部201に重送原稿を停止位置へ搬送させる。この場合、停止位置では重送原稿DC1、DC2のうち先頭DC1は図8が示すように、排紙口116からユーザーに引っ張らせることの容易な長さ以上の部分がはみ出す一方、後続の原稿DC2は排紙口116からはみ出す部分が図8とは異なり、ユーザーに引っ張らせるには短すぎる危険性が高い。したがって、制御部204はユーザーによる重送原稿の取り残しを防止する目的で、位置検出部202、重送検出部203、および重なりセンサー11U、11Vを次のように利用する。
図14の(a)は、停止位置における重送原稿DC1、DC2の状態を模式的に示す断面図である。図14の(a)を参照するに、停止位置では重送原稿DC1、DC2の重送部分OVLの後端部DTPが排紙センサー11Sからの出射光を反射し続けるので、排紙センサー11Sの出力信号はオンを維持する。さらに、重送部分OVLが重なりセンサー11U、11Vの隙間に位置するので、重なりセンサーの受波器11Vの出力信号は原稿に重なりがあることを示す。搬送部201が重送原稿DC1、DC2を停止位置まで搬送した後、制御部204はまず、位置検出部202には排紙センサー11Sで重送原稿DC1、DC2の有無を確認させ、重送検出部203には重なりセンサー11U、11Vで重送原稿DC1、DC2の重送部分OVLを監視させる。
重なりセンサーの受波器11Vの出力信号は、図6の(a)の示す重送センサーの受波器11Yの出力信号MFSと同様に、レベルが主に3段階MX、LV1、LV2以下に変化し、かつ最高値MXと次値LV1との間の差に比べて次値LV1と最低値LV2との間の差が著しく大きい。したがって、重送検出部203はそのレベルに対する閾値LTHを次値LV1と最低値LV2との中間に設定し、そのレベルが閾値LTH以上に維持されている間は「停止位置に重送部分OVLが存在する」ことを確認し、そのレベルが閾値LTHを下回ったことを「重送部分OVLが解消された」こととして検出する。
図14の(b)は、ユーザーによって重送原稿の先頭DC1が排紙口116から除去される際の重送原稿DC1、DC2の状態を模式的に示す断面図である。図14の(a)、(b)を参照するに、重送原稿DC1、DC2の重送部分長OVLが閾値LWL未満であるので、重送部分OVLの先端部OVFが、図8の(b)とは異なり、排紙口116からわずかにしかはみ出さない。特にこの先端部OVFは、ユーザーに引っ張らせ、または排紙口116の外から視認させるには短すぎる。したがって、ユーザーが重送原稿DC1、DC2のうち排紙口116からはみ出た部分を引っ張ると、その先頭DC1は排紙口116から除去されるものの、重送部分OVL以降の原稿DC2はユーザーに気付かれることなく、排紙口116に取り残される危険性が高い。取り残された原稿DC2は排紙センサー11Sからの出射光を反射し続けるので、排紙センサー11Sの出力信号はオンを維持する。一方、重なりセンサー11U、11Vの隙間から重送原稿の先頭DC1が除去されるので、重なりセンサー11Vの出力信号のレベルは上昇する。
このレベルが閾値LTH以上に達したこと、すなわち重送部分OVLの解消を重送検出部203が検出した場合、この検出に応じて制御部204はまず、位置検出部202に排紙センサー11Sの出力信号のオンを確認させる。この出力信号がオンからオフに遷移している場合、重送原稿の全体が排紙センサー11Sの監視領域を離脱している可能性が高い。したがって制御部204は主制御部60に、重送原稿の残留に関する操作パネル160の表示を消去させる等、原稿搬送の中断状態からの復帰処理を実行させる。一方、排紙センサー11Sの出力信号がオンを維持している場合、図14の(b)が示すように停止位置にはまだ重送原稿DC2が残留する。したがって、制御部204は搬送部201に搬送ローラー11G、11Hを用いた重送原稿の搬送を再開させ、残りの重送原稿DC2がユーザーに引っ張らせることの容易な長さ以上、はみ出るまでその原稿DC2を移動させる。
図14の(c)は、重送原稿の残りDC2が排紙口116に停止した状態を示す模式図である。図14の(c)を参照するに、制御部204は搬送部201に残りの原稿DC2の後端、すなわち重送原稿DC1、DC2の最後端REEを、図8の(b)が示す重送部分OVLの後端OVRの位置、すなわち排紙センサー11Sの監視領域よりも余裕長MRG(たとえば10mm)だけ上流の位置へ搬送させる。具体的には、制御部204はまず重送原稿DC1、DC2のうち、重送部分OVLの後端OVRから最後端REEまでの距離RML(以下、「後続部分長」という。)に等しい長さの部分が排紙センサー11Sの監視領域を通過するのに必要な時間を予測する。制御部204は次に、搬送部201が搬送ローラー11G、11Hの駆動を開始した時点からの経過時間を計測し、その計測値が予測値に達するタイミングで搬送部201に排紙ローラー11Hを停止させる。これにより残りの原稿DC2は、その先端部FEPが図14の(a)の示す重送原稿の先頭DC1の先端部FEPと同じ長さだけ排紙口116からはみ出した位置で停止する。こうして、残りの原稿DC2を先頭DC1と同様にユーザーに完全に除去させることができる。
−重送原稿の後続部分長の計測−
図15の(a)は、分離センサー11Pが重送原稿の先頭DC1の先端TPEを検出した時点、すなわち図6の(a)が示す第1時刻T1におけるその先頭DC1の状態を示す模式図である。この先頭DC1の先端TPEからの反射光により分離センサー11Pの出力信号FDSがオンに遷移する。これに応じて位置検出部202は計時を開始し、重送検出部203は重送センサーの送波器11Xに対するクロック信号CLKの印加と受波器11Yの出力信号MFSの監視とを開始する。
図15の(b)は、分離センサー11Pが重送原稿DC1、DC2の最後端REEを検出し終えた時点、すなわち図6の(a)が示す第5時刻T5における重送原稿DC1、DC2の状態を示す模式図である。この時刻T5以後、重送原稿DC1、DC2からの反射光が途絶えるので、分離センサー11Pの出力信号FDSがオフに遷移する。これに応じて制御部204はまず位置検出部202の計時値に基づき、第1時刻T1から第5時刻T5までの経過時間から、デスキューローラー11Dに重送原稿DC1、DC2を停止させた時間と重送の検出に伴い搬送部201に重送原稿DC1、DC2の搬送を中断させた時間とを除いた時間を割り出す。制御部204は次に、得られた時間における原稿の搬送速度の積分値を重送原稿DC1、DC2の搬送距離TRDとして推測する。制御部204は続いて、この搬送距離TRDから重送原稿の先頭DC1の全長DCLを除いた値を後続部分長RMLとして算定する。
[重送監視処理の流れ]
本発明の実施形態2による重送監視処理は実施形態1によるものとは、重送原稿の搬送の適否判断の一部が異なることに加え、重送原稿の重送部分長OVLが閾値LWL未満である場合に後続部分長RMLの計測処理と重なりセンサー11U、11Vを用いた重送原稿の残りの搬送処理とが追加されている点で異なる。その他のステップは実施形態1のものと同様である。したがって、以下では相違点の詳細のみを説明し、同様な点の詳細については実施形態1の説明を援用する。
重送監視処理は、給紙ローラー11Bと分離ローラー11Cとの間のニップから送出される原稿の検出により分離センサー11Pの出力信号FDSがオンに遷移する度に開始される。まず図10の示す原稿の重送を検出する部分が実行され、その検出に応じて搬送が中断した場合、重送原稿の搬送の適否が判断される。
−重送原稿の搬送の適否判断−
図16は、実施形態2による重送監視処理のフローチャートのうち、重送原稿の搬送の適否を判断する部分である。この部分は図11の示す部分とは、ステップS113が除去されている点でのみ異なる。
ステップS111では、搬送中の原稿にジャムが生じているか否かを制御部204が確認する。ジャムが生じていなければ処理はステップS112へ進み、生じていれば処理はステップS115へ進む。
ステップS112では、制御部204は重送原稿DC1、DC2の重送部分長OVLを計算する:OVL=DCL−CVD+DS1。その後、処理はステップS114へ進む。
ステップS114では、この時点で搬送カバー118が閉じたままであるか否かを制御部204は確認する。開いていれば処理はステップS115へ進み、閉じたままであれば処理はステップS116へ進む。
ステップS115では、(i)搬送中の原稿にジャムが生じ、または(iii)搬送カバー118が開いている。したがって、制御部204は搬送部201による重送原稿の搬送を中止して搬送不良を主制御部60に通知する。この通知に応じて主制御部60はスキャナー120を停止させて操作パネル160に「ジャム/重送が生じた」旨のメッセージを表示させる。その後、処理は終了する。
ステップS116では、搬送カバー118が閉じたままであるので、制御部204は搬送部201に原稿の搬送を中断させた時点から待ち時間が経過したか否かを確認する。経過していれば処理はステップS117へ進み、経過していなければ処理はステップS114を繰り返す。
ステップS117では、搬送カバー118が開けられることなく、搬送部201が原稿の搬送を中断した時点から待ち時間が経過している。重送の検出時にはジャムが生じていないので、重送原稿DC1、DC2は停止位置まで搬送可能である。したがって、制御部204は搬送部201に重送原稿DC1、DC2の搬送を再開させる。その後、処理は図17の示すステップS141へ進む。
−重送部分長に応じた処理の分岐−
図17、図18は、実施形態2による重送監視処理のフローチャートのうち、停止位置へ重送原稿を搬送する部分と重送原稿の除去に応じて搬送の中断状態から復帰する部分とである。これらの部分は図12の示す実施形態1による部分とは異なり、まずステップS121、S122の間に重送部分長OVLと閾値LWLとを比較するステップS141を含む。重送部分長OVLが閾値LWL未満である場合には更に、ステップS141の後に重送原稿の後続部分長RMLを計測するステップS142〜S144を含み、ステップS124とステップS131との間に重なりセンサー11U、11Vで重送原稿の先頭の除去を検出して残りを搬送するステップS151〜S155を含む。
ステップS121では、重送原稿の先頭DC1のうち先端TPEから長さ=全長DCL−余裕長MRGまでの部分が排紙センサー11Sの監視領域を通過するのに必要な時間ΔT1を制御部204が予測する。その後、処理はステップS141へ進む。
ステップS141では、重送部分長OVLが閾値LWL以上であるか否かを制御部204は確認する。閾値LWL以上であれば処理はステップS122へ進み、未満であれば処理はステップS142へ進む。
−重送部分長OVL≧閾値LWL−
<停止位置への重送原稿の搬送>
ステップS122では、重送部分長OVLが閾値LWL以上であるので、以後の処理は図12の示す実施形態1による処理と同様に進む。まず、重送原稿の先頭DC1の先端TPEの検出により排紙センサー11Sの出力信号がオンに遷移したか否かを位置検出部202が確認する。遷移すれば処理はステップS123へ進み、遷移するまで処理はステップS122を繰り返す。
ステップS123では、排紙センサー11Sの出力信号がオンに遷移したので、それに応じて制御部204はその遷移した時点からの経過時間を計測し、その計測値が予測値ΔT1以上であるか否かを確認する。以上であれば処理はステップS124へ進み、以上に達するまで処理はステップS123を繰り返す。
ステップS124では、排紙センサー11Sの出力信号がオンに遷移した時点からの経過時間が予測値ΔT1以上に達しているので、制御部204は搬送部201に排紙ローラー11Hを停止させ、この停止を主制御部60に通知する。この通知に応じて主制御部60は操作パネル160に重送原稿の残留を表示させ始める。その後、処理はステップS131へ進む。
<搬送の中断状態からの復帰>
ステップS131では、排紙センサー11Sの出力信号がオンからオフへ遷移したか否かを制御部204は確認する。遷移すれば処理はステップS132へ進み、遷移するまで処理はステップS131を繰り返す。
ステップS132〜S134では、制御部204は復帰処理、すなわち搬送経路上に残留する原稿の有無を確認し、原稿の搬送を再開することが可能であるか否かを判断する。その後、処理は終了する。
−重送部分長OVL<閾値LWL−
<重送原稿の後続部分長の計測>
ステップS142では、重送部分長OVLが閾値LWL未満であるので、停止位置へ重送原稿DC1、DC2を搬送するだけでは、先頭DC1を除く残りの原稿DC2を排紙口116からユーザーに引っ張らせることの容易な長さ以上にはみ出させることができない危険性が高い。そのような長さだけ残りの原稿DC2をはみ出させる目的で、まず位置検出部202が重送原稿DC1、DC2の最後端REEの位置を検出する。すなわち、その最後端REEが分離センサー11Pの監視領域を通過したことにより分離センサー11Pの出力信号FDSがオフに遷移したか否かを位置検出部202が確認する。遷移すれば処理はステップS143へ進み、遷移するまで処理はステップS142を繰り返す。
ステップS143では、分離センサー11Pの出力信号FDSがオフに遷移したので、制御部204は重送原稿DC1、DC2の後続部分長RMLを計算する。すなわち、制御部204は位置検出部202の計時値と原稿の搬送速度とに基づき、第1時刻T1から第5時刻T5までの間に搬送部201が重送原稿DC1、DC2を搬送した距離TRDとその先頭DC1の全長DCLとの間の差を後続部分長RMLに設定する:RML=TRD−DCL。その後、処理はステップS144へ進む。
ステップS144では、重送原稿DC1、DC2のうち、後続部分長RMLに等しい長さの部分が排紙センサー11Sの監視領域を通過するのに必要な時間ΔT2を制御部204が予測する。その後、処理は図18の示すステップS122へ進む。
<停止位置への重送原稿の搬送>
停止位置へ重送原稿DC1、DC2を搬送することは、重送部分長OVLが閾値LWL以上であるか否かにかかわらず可能である。したがって、ステップS122〜S124は重送部分長OVLが閾値LWL未満であっても以上である場合と全く同様である。
ステップS122では、重送原稿の先頭DC1の先端TPEの検出により排紙センサー11Sの出力信号がオンに遷移したか否かを位置検出部202が確認する。遷移すれば処理はステップS123へ進み、遷移するまで処理はステップS122を繰り返す。
ステップS123では、排紙センサー11Sの出力信号がオンに遷移したので、それに応じて制御部204はその遷移した時点からの経過時間を計測し、その計測値が予測値ΔT1以上であるか否かを確認する。以上であれば処理はステップS124へ進み、以上に達するまで処理はステップS123を繰り返す。
ステップS124では、排紙センサー11Sの出力信号がオンに遷移した時点からの経過時間が予測値ΔT1以上に達しているので、制御部204は搬送部201に排紙ローラー11Hを停止させ、この停止を主制御部60に通知する。この通知に応じて主制御部60は操作パネル160に重送原稿の残留を表示させ始める。その後、処理はステップS151へ進む。
<重送原稿の先頭の除去の検出>
ステップS151では、重なりセンサーの受波器11Vの出力信号のレベルが閾値LTH以上に達したか否かを重送検出部203が確認する。達していれば処理はステップS152へ進み、達するまで処理はステップS151を繰り返す。
ステップS152では、重なりセンサーの受波器11Vの出力信号のレベルが閾値LTH以上に達しているので、重なりセンサー11U、11Vの隙間には重送原稿の重送部分OVLが存在しない。したがって、制御部204は位置検出部202に排紙センサー11Sの出力信号のオンオフを確認させる。オンのままであれば処理はステップS153へ進む。オフに遷移していれば、重送原稿の全体が排紙センサー11Sの監視領域を離脱している可能性が高いので、ステップS132〜S134による復帰処理が実行された後、処理は終了する。
ステップS153では、排紙センサー11Sの出力信号がオンを維持しているので、停止位置にはまだ重送原稿DC2が残留する。したがって、制御部204は搬送部201に搬送ローラー11G、11Hを用いた重送原稿DC2の搬送を再開させる。その後、処理はステップS154へ進む。
ステップS154では、ステップS153で搬送部201が搬送ローラー11G、11Hの駆動を開始した時点からの経過時間を制御部204は計測し、その計測値がステップS144で予測した値ΔT2以上に達したか否かを確認する。達していれば処理はステップS155へ進み、達するまで処理はステップS154を繰り返す。
ステップS155では、搬送ローラー11G、11Hの駆動開始時点からの経過時間が予測値ΔT2以上に達しているので、残りの重送原稿DC2が後続部分長RMLだけ前進している。したがって制御部204は搬送部201に排紙ローラー11Hを停止させる。これにより残りの原稿DC2は、その先端部FEPがユーザーに引っ張らせることの容易な長さ以上、排紙口116からはみ出した状態で停止する。この停止を制御部204は主制御部60に通知し、この通知に応じて主制御部60は操作パネル160に、重送原稿DC2がまだ排紙口116に残っている旨の表示を開始させる。その後、処理はステップS131へ進む。
<搬送の中断状態からの復帰>
ステップS131〜S134は、重送部分長OVLが閾値LWL以上である場合と同様に、図12の示す実施形態1によるものと全く同様である。
ステップS131では、排紙センサー11Sの出力信号がオンからオフへ遷移したか否かを制御部204は確認する。遷移すれば処理はステップS132へ進み、遷移するまで処理はステップS131を繰り返す。
ステップS132〜S134では、制御部204は復帰処理、すなわち搬送経路上に残留する原稿の有無を確認し、原稿の搬送を再開することが可能であるか否かを判断する。その後、処理は終了する。
[実施形態2の利点]
本発明の実施形態2によるADFでは実施形態1によるもの110とは異なり、重送検出部203が原稿の重送を検出した場合、重送原稿DC1、DC2の重送部分長OVLが閾値LWL以上であるか否かにかかわらず、制御部204は搬送部201に重送原稿DC1、DC2を停止位置まで搬送させる。この停止位置では重送原稿の先頭DC1が排紙口116から排紙トレイ117へはみ出すと共に、重送部分OVLの後端OVRが排紙口116よりも、特に排紙センサー11Sの監視領域よりも上流に留まる。したがって、重送原稿DC1、DC2の全体が排紙トレイ117に落下することなく排紙口116に挟まっているので、これらをユーザーに一目で特定させることができる。さらに、排紙センサー11Sの出力信号がオンからオフへ遷移したことから、ユーザーが重送原稿DC1、DC2を停止位置から除去したことを制御部204は検出可能である。したがって、制御部204は主制御部60に、重送原稿の残留に関する表示を消去させることも、搬送経路上に残留する他の原稿の有無を確認して原稿の搬送の再開の可不可を表示させることも、自動的に実行することができる。
重送部分長OVLが閾値LWL以上である場合、停止位置に停止した重送原稿DC1、DC2は排紙口116から、先頭DC1の先端部だけでなく、重送部分OVLの先端部OVFをもユーザーに引っ張らせることの容易な長さ以上はみ出させる。したがって、重送原稿DC1、DC2のすべてをユーザーに容易に除去させ切ることができるので、スキャナー120の処理の再開時におけるジャムを回避することができる。
重送部分長OVLが閾値LWL未満である場合、制御部204は、位置検出部202に排紙センサー11Sで停止位置における重送原稿DC1、DC2の有無を確認させると共に、重送検出部203に重なりセンサー11U、11Vで重送原稿DC1、DC2の重送部分OVLを監視させる。重なりセンサーの受波器11Vの出力信号のレベルが閾値LTH以上に達したとき、排紙センサー11Sの出力信号がオンを維持していれば、停止位置にはまだ重送原稿DC2が残留する。したがって、制御部204は搬送部201に搬送ローラー11G、11Hを用いた重送原稿の搬送を再開させ、残りの重送原稿DC2がユーザーに引っ張らせることの容易な長さ以上、はみ出るまでその原稿DC2を移動させる。こうして、停止位置に移動した時点では重送原稿DC1、DC2の重送部分OVLの先端部OVFが排紙口116からわずかしかはみ出していなくても、残りの原稿DC2を先頭DC1と同様にユーザーに完全に除去させることができる。
以上のとおり、実施形態2によるADFは、実施形態1によるもの110と同様な構成に重なりセンサー11U、11Vを追加するだけで重送原稿を、その重送部分長OVLにかかわらず、ユーザーに容易に確認させると共に、搬送経路から容易に除去させることを実現することができる。
[変形例]
(A)図1の示す画像形成装置100は、カラーレーザープリンターを備えたMFPである。本発明の実施形態1による画像形成装置はその他に、モノクロレーザープリンター、インクジェットプリンター、ファクシミリ、またはコピー機のいずれを備えてもよい。
(B)図2、図13の示すADFはワンパス型であり、原稿の片面の画像をスキャナー120に読み取らせた後、その原稿を反転させることなく、もう片面の画像を裏面スキャナー115に読み取らせる。ADFはその他に反転搬送経路を内蔵した機種であり、その反転搬送経路で原稿を反転させることによりその原稿の両面の画像をスキャナー120に読み取らせてもよい。
(C)図2、図13の示す通紙センサー11P、…は反射型光センサーである。通紙センサーはその他に、透過型光センサーでもよい。
(D)図2、図5、図6、図13の示す重送センサー11X、11Yと、図13の示す重なりセンサー11U、11Vとは超音波センサーである。重送センサーまたは重なりセンサーはその他に、赤外線等を利用する光電型であってもよい。
(E)重送検出部203は、図6の(a)が示すように重送センサーの受波器11Yの出力信号MFSのレベルに対する閾値LTHをそのレベルの次値LV1と最低値LV2との中間に設定し、そのレベルが閾値LTH以上か否かから原稿の重送の有無を識別する。その他に、受波器11Yの出力信号MFSのレベルが最高値MXと次値LV1とのいずれであるかを重送検出部203が十分に高い精度で識別可能である場合、制御部204は次のように重送原稿の先頭DC1の全長を測定してもよい。まず、受波器11Yの出力信号MFSのレベルが最高値MXから次値LV1へ降下したことから、重送センサー11X、11Yの隙間に原稿DC1の先端TPEが到達したことを検出する。その後、そのレベルが最低値LV2まで降下した場合、その原稿DC1に他の原稿DC2が重なっていることを検出し、そのレベルが再び次値LV1まで回復したことから、先頭の原稿DC1が重送センサー11X、11Yの隙間を通過し終えたことを検出する。この場合、出力信号MFSのレベルが次値LV1を下回っていた時間から先頭DC1の全長DCLが測定される。
(F)重送検出部203が原稿の重送を検出した時点で重送原稿よりも先行する原稿が搬送経路上に残っている場合、制御部204はそれらの原稿からの画像の読み取り処理をスキャナー120に続行させてもよい。その時点で重送原稿に後続する原稿が搬送経路上に進入している場合、制御部204はそれらの原稿を搬送経路上に残したまま重送原稿を停止位置に移動させた上で、それらの原稿の残留をジャムとして主制御部60に通知させてもよい。制御部204はその他に、重送原稿が停止位置から除去されたことを契機として搬送部201に後続の原稿を排紙トレイ117へ排出させてもよい。
(G)実施形態2による制御部204は、重なりセンサー11U、11Vが重送原稿の先頭DC1のみの除去を検出した場合、残りの原稿DC2を図14の(c)が示すように、排紙口116からはみ出した状態で停止させる。制御部204はその他に、搬送部201に残りの原稿DC2の全体を排紙トレイ117へ排出させ切ってもよい。ユーザーはすでに先頭DC1を除去しているので、スキャナー120による読み取り処理をその先頭DC1から再開すればよいことをすでに理解しているはずだからである。この場合、重送原稿DC1、DC2の最後端REEの位置は残りの原稿DC2の排出処理に必須ではないので、後続部分長RMLの計測処理は省略されてもよい。
(H)図15では、制御部204は、分離センサー11Pが重送原稿の先頭DC1を検出した第1時刻T1から、分離センサー11Pが重送原稿の最後端REEを検出し終えた第5時刻T5までの間における重送原稿DC1、DC2の搬送距離TRDを求め、この距離TRDと先頭DC1の全長DCLとの間の差を後続部分長RMLとして推測する:RML=TRD−DCL。この場合、残りの原稿DC2の全長が先頭DC1の全長DCLとは異なっていても、後続部分長RMLの推測精度が高い。一方、この精度に対して原稿間での全長の違いが無視できる程度である場合、制御部204は後続部分長RMLを原稿の全長DCLと重送原稿DC1、DC2の重送部分長OVLとの間の差から推測してもよい:RML=DCL−OVL。この場合、第1時刻T1から第5時刻T5までの間における重送原稿DC1、DC2の搬送距離TRDの計測は省略されてもよい。
本発明は原稿の搬送技術に関し、上記のとおり、原稿の重送を検出した場合に重送原稿の重送部分長を計測し、その計測値に基づき、重送原稿を部分的に搬送経路の終端からはみ出す位置で停止させるべきか否かを判断する。このように、本発明は明らかに産業上利用可能である。
100 MFP
110 ADF
116 排紙口
117 排紙トレイ
11H 排紙ローラー
11S 排紙センサー
DC1 重送原稿の先頭の1枚
DC2 重送原稿の次の1枚
DCL 重送原稿の先頭の全長
FEP 重送原稿の先頭の先端部
OVL 重送原稿の重送部分長
OVF 重送原稿の重送部分の先端部
DTP 排紙センサーの監視領域に位置する重送原稿の重送部分の後端部
OVR 重送原稿の重送部分の後端
LWL 重送原稿の重送部分長に対する閾値
MRG 余裕長
ST2 排紙トレイに収容された原稿の束

Claims (11)

  1. 画像読取装置の読み取り位置へ原稿を搬送する自動原稿搬送装置であり、
    前記読み取り位置を経由する搬送経路に沿って原稿を搬送する搬送手段と、
    前記搬送手段が前記搬送経路の終端から排出した原稿を収容する排紙トレイと、
    前記搬送手段が前記搬送経路に沿って搬送している原稿の位置を検出する位置検出手段と、
    前記搬送手段による原稿の重送を検出する重送検出手段と、
    前記位置検出手段が検出する原稿の位置に基づいて前記搬送手段を制御し、前記重送検出手段による重送の検出に応じて、前記位置検出手段が検出する重送原稿の位置から前記重送原稿が重なり合う部分の長さを求め、当該長さが閾値以上である場合、前記搬送手段に前記重送原稿を停止位置まで搬送させる制御手段と、
    を備え、
    前記停止位置では前記重送原稿のうち、先頭の1枚が前記搬送経路の終端から前記排紙トレイへはみ出すと共に、前記重送原稿の重なり合う部分の後端が前記搬送経路の終端に、または当該終端よりも上流に留まるように、前記制御手段は前記搬送手段に前記重送原稿を停止させる
    ことを特徴とする自動原稿搬送装置。
  2. 前記停止位置では前記重送原稿の先頭の1枚のうち、前記搬送経路の終端から前記排紙トレイへはみ出た部分をユーザーが引っ張ることにより当該1枚の全体を前記搬送経路の終端から引き出すことが可能であるように、前記重送原稿の重なり合う部分の後端の位置を前記制御手段は設定することを特徴とする請求項1に記載の自動原稿搬送装置。
  3. 前記停止位置では前記重送原稿の重なり合う部分のうち、前記搬送経路の終端から前記排紙トレイへはみ出た部分をユーザーが引っ張ることにより前記重送原稿の全体を前記搬送経路の終端から引き出すことが可能であるように、前記閾値を前記制御手段が設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動原稿搬送装置。
  4. 搬送対象の原稿を収容する給紙トレイと、
    前記給紙トレイに収容された原稿の長さを測定する測定手段と、
    を更に備え、
    前記位置検出手段は、前記搬送経路上の第1点を通過する原稿の端部を検出する通紙センサーを含み、
    前記重送検出手段は、前記搬送経路上、前記第1点よりも下流に位置する第2点を2枚以上の原稿が重なって通過することを検出する重送センサーを含み、当該2枚以上の原稿を前記重送原稿として識別し、
    前記制御手段は、
    前記通紙センサーが前記重送原稿の先頭の1枚の先端を検出した時点から、当該1枚に後続の原稿が重なって前記第2点を通過することを前記重送センサーが検出した時点までの間に前記搬送手段が当該1枚を搬送した距離を求め、
    当該距離を前記測定手段が測定した原稿の長さから除いた値と、前記搬送経路のうち前記第1点から前記第2点までの部分の長さとの和を、前記重送原稿の重なり合う部分の長さに設定する
    ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の自動原稿搬送装置。
  5. 前記位置検出手段は、前記搬送手段が前記搬送経路の終端から前記排紙トレイへ排出する原稿の端部を検出する排紙センサーを含み、
    前記制御手段は、
    前記停止位置では前記重送原稿の先頭の1枚が前記排紙センサーに検出され続けるように前記重送原稿の重なり合う部分の後端の位置を設定し、
    前記搬送手段に前記重送原稿を前記停止位置まで搬送させた後、前記排紙センサーが原稿を検出しなくなったことに応じて前記搬送手段に原稿の搬送を再開させる
    ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の自動原稿搬送装置。
  6. 前記制御手段は、前記重送原稿の重なり合う部分の長さが前記閾値に満たない場合、前記搬送手段に前記重送原稿を前記停止位置へ搬送させることを中止することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の自動原稿搬送装置。
  7. 前記重送検出手段は、前記停止位置に停止した2枚以上の原稿の重なりを検出する重なりセンサーを含み、
    前記制御手段は、前記重送原稿の重なり合う部分の長さが前記閾値に満たない場合にも前記搬送手段に前記重送原稿を前記停止位置まで搬送させ、その後、前記重なりセンサーが前記重送原稿の重なりの解消を検出したことに応じて前記搬送手段に前記重送原稿の搬送を再開させる
    ことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の自動原稿搬送装置。
  8. 前記位置検出手段は、前記搬送手段が原稿を搬送する間、当該原稿の速度の設定値から当該原稿の位置を検出するタイミングを予測し、予測されたタイミングと当該原稿の位置を実際に検出したタイミングとの間の誤差を計測し、
    前記制御手段は、
    前記搬送手段に原稿を搬送させる間、前記搬送手段に当該原稿の速度の設定値を指示して、前記位置検出手段の計測する誤差が許容上限を超えたことを原稿のジャムとして検出し、
    前記搬送手段に前記重送原稿を前記停止位置まで搬送させる際、前記重送原稿の速度を前記設定値よりも低減させ、かつ前記許容上限を引き下げる
    ことを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかに記載の自動原稿搬送装置。
  9. 前記制御手段は、前記重送検出手段が原稿の重送を検出した時点で原稿のジャムを検出している場合には、前記搬送手段に前記重送原稿を前記停止位置へ搬送させることを中止することを特徴とする請求項8に記載の自動原稿搬送装置。
  10. 前記読み取り位置に存在する原稿から画像を読み取る画像読取装置と、
    前記読み取り位置へ原稿を搬送する請求項1から請求項9までのいずれかに記載の自動原稿搬送装置と、
    を備えた画像読取システム。
  11. 請求項10に記載の画像読取システムと、
    前記画像読取システムが読み取った画像をシートに印刷する画像形成手段と、
    を備えた画像形成装置。
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