JP2017149219A - 路面状況推定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】より路面状況の推定精度を向上させることを可能とする。【解決手段】タイヤ側装置1においてタイヤ3の接地区間中における振動発電素子11の検出信号の高周波成分のレベルを算出させ、それを路面状況データとして送信する。より詳しくは、接地区間中の振動発電素子11の検出信号における高周波成分の積分電圧値を取得し、その積分電圧値を路面状況データとする。そして、その路面状況データを車両側装置2で受信し、走行路面の路面状況を推定する。このとき、車両の走行状態に応じて積分電圧値を補正し、補正後の積分電圧値に基づいて路面状況を推定する。これにより、車両の走行状態に応じて、振動発電素子11の検出信号における高周波成分のレベルが変動しても、路面状況の推定を精度よく行うことができる。【選択図】図1

Description

本発明は、タイヤが受ける振動に基づいて路面状況を推定する路面状況推定装置に関するものである。
従来、特許文献1において、タイヤトレッドの裏面にタイヤ側装置を備え、タイヤ側装置にてタイヤに加えられる振動を検出すると共に、その振動の検出結果を車両側装置に伝え、路面状況の推定を行う路面状況推定装置が提案されている。この路面状況推定装置では、タイヤ回転に伴ってタイヤトレッドのうち振動発電素子の配置箇所と対応する部分が路面に接地しているときに、振動発電素子の検出信号における高周波成分のレベルが路面状況に応じて変わる。このため、タイヤトレッドのうち振動発電素子の配置箇所と対応する部分が路面に接地しているときを接地区間中として、接地区間中の振動発電素子の検出信号における高周波成分のレベルを路面状況データとして用いる。そして、タイヤ側装置から車両側装置に向けて路面状況データを送信し、車両側装置において路面状況データに基づいて路面状況を推定している。より詳しくは、電圧値として示される検出信号の高周波成分を積分した積分電圧値を路面状況データとして用い、車両側装置において、積分電圧値の大きさに基づいて路面摩擦係数(以下、路面μという)の推定などを行っている。
特開2015−174636号公報
しかしながら、車両の走行状態に応じて、振動発電素子の検出信号における高周波成分のレベルが変動するため、路面μなどの推定精度が低下する。
本発明は上記点に鑑みて、より路面状況の推定精度を向上させることが可能な路面状況推定装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、車両に備えられるタイヤ(3)のトレッド(31)の裏面に取り付けられ、タイヤの振動の大きさに応じた検出信号を出力する振動検出部(11)と、タイヤの1回転中におけるトレッドのうちの振動検出部の配置箇所と対応する部分が接地している接地区間を抽出する区間抽出部(17)および接地区間中における検出信号の高周波成分のレベルを算出するレベル算出部(18)を有する信号処理部(13)と、高周波成分のレベルの算出結果を走行路面の路面状況が表された路面状況データとして送信する送信機(14)と、を有するタイヤ側装置(1)と、送信機から送信された路面状況データを受信する受信機(21)と、路面状況データに基づいて走行路面の路面状況を推定する状況推定部(22)と、を有する車両側装置(2)とを備え、車両側装置は、車両の走行状態を示す情報を検出する情報検出部(23)を含み、状況推定部は、情報検出部で検出された走行状態を示す情報および受信した路面状況データが示す高周波成分のレベルの算出結果に基づいて走行路面の路面状況を推定する。
このように、タイヤ側装置においてタイヤの接地区間中における振動検出部の検出信号の高周波成分のレベルを算出させ、それを路面状況データとして送信している。また、その路面状況データを車両側装置で受信し、タイヤ側装置において走行路面の路面状況を推定している。そして、このとき、タイヤ側装置では、車両の走行状態に応じて積分電圧値を補正し、補正後の積分電圧値に基づいて路面状況を推定している。このため、車両の走行状態に応じて、振動検出部の検出信号における高周波成分のレベルが変動しても、路面状況の推定を精度よく行うことができる。したがって、路面状況の推定精度を向上させることが可能な路面状況推定装置とすることができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を示すものである。
第1実施形態にかかる路面状況推定装置の全体のブロック構成を示した図である。 タイヤ側装置が取り付けられたタイヤの断面模式図である。 タイヤ回転時における振動発電素子の出力電圧波形図である。 アスファルト路のように路面摩擦係数(以下、μという)が比較的大きな高μ路面を走行している場合における振動発電素子の出力電圧の変化を示した図である。 凍結路のように路面μが比較的小さな低μ路面を走行している場合における振動発電素子の出力電圧の変化を示した図である。 高μ路面を走行している場合と低μ路面を走行してる場合それぞれについて、接地区間中における出力電圧の周波数解析を行った結果を示した図である。 高周波成分のレベルを接地区間中に抽出した高周波成分の積分によって算出する場合における信号処理回路部の具体的な回路構成を示した図である。 走行路面が低μ路面の場合と高μ路面の場合それぞれの場合でのコンデンサでの充電の様子を示した図である。 制動中に、ブレーキ圧が上昇して制動力が大きくなったときのタイヤ回転方向の加速度と補正前後の積分電圧値の変化を示したタイムチャートである。 図8で示した実験結果に基づいてブレーキ圧と積分電圧値の関係を表した図である。 操舵操作を行ったときの左右輪でのタイヤ回転方向の加速度と補正前後の積分電圧値の変化を示したタイムチャートである。 図10で示した実験結果に基づいて操舵角と積分電圧値の関係を表した図である。 第2実施形態にかかる路面状況推定装置の全体のブロック構成を示した図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
図1〜図11を参照して、本実施形態にかかる路面状況推定装置について説明する。本実施形態にかかる路面状況推定装置は、車両の各車輪に備えられるタイヤの接地面における振動に基づいて走行中の路面状況を推定するものとして用いられる。
図1に示すように路面状況推定装置100は、タイヤ側に設けられたタイヤ側装置1と、車体側に備えられた車両側装置2とを有する構成とされている。そして、路面状況推定装置100は、タイヤ側装置1より走行中の路面状況を表すデータを送信すると共に、車両側装置2がタイヤ側装置1から送信されたデータを受信し、そのデータに基づいて走行中の路面状況を推定する。具体的には、タイヤ側装置1および車両側装置2は、以下のように構成されている。
タイヤ側装置1は、図1に示すように、振動発電素子11、電力供給回路12、信号処理回路部13、および送信機14を備えた構成とされ、図2に示されるように、タイヤ3のトレッド31の裏面側に設けられる。
振動発電素子11は、タイヤ3が回転する際にタイヤ側装置1が描く円軌道に対して接する方向、つまり図2中の矢印Xの方向で示されるタイヤ接線方向の振動に応じた検出信号を出力する振動検出部を構成するものである。本実施形態の場合、振動発電素子11でタイヤ接線方向の振動に応じた検出信号を出力させるのに加えて、振動エネルギーを電気エネルギーに変換し、それに基づいてタイヤ側装置1の電源を生成している。このため、振動発電素子11は、タイヤ接線方向の振動に対して発電するように配設されている。このような振動発電素子11としては、例えば静電誘導型の発電素子(例えば、エレクトレット)、圧電素子、摩擦式、磁歪式、電磁誘導型の素子を適用できる。また、発電用途を加味しないタイヤ接線方向の振動に応じた検出信号を出力するだけであれば他のもの、例えば加速度センサなどを用いることもできる。
例えば振動発電素子11として静電誘導型の発電素子を用いる場合には、マイナスの電荷を帯びる下部電極に対して静電誘導によってプラスに帯電させられる上部電極が水平方向に振動させられると、静電誘導による電荷が変動し、起電力を生じることで発電する。このような振動発電素子11の発電に基づいて、タイヤ側装置1の電源を生成すると共に、タイヤ接線方向の振動の大きさに応じた検出信号を生成する。
すなわち、路面状況推定装置100が備えられた車両が走行する際には、タイヤ3の回転運動や路面の凹凸などの種々の要因によって、タイヤ3のトレッド31に振動が生じる。この振動が振動発電素子11に伝わることで、振動発電素子11による発電が行われ、それが電力供給回路12に伝えられることでタイヤ側装置1の電源が生成される。また、振動発電素子11の発電の際の出力電圧が振動の大きさに応じて変化することから、振動発電素子11の出力電圧をタイヤ接線方向の振動の大きさを表す検出信号として信号処理回路部13に伝えるようにしている。なお、振動発電素子11の出力電圧は、上部電極が振動によって往復動することから、交流電圧となる。
電力供給回路12は、振動発電素子11の出力電圧に基づいて蓄電して電源を生成し、電力を信号処理回路部13および送信機14に供給するための回路であり、整流回路15および蓄電回路16を備えた構成とされている。
整流回路15は、振動発電素子11より出力される交流電圧を直流変換する公知の回路である。振動発電素子11で出力される交流電圧は、この整流回路15で直流変換され、蓄電回路16に出力される。整流回路15は、全波整流回路であっても半波整流回路であってもよい。
蓄電回路16は、整流回路15より印加される直流電圧を蓄電するための回路であり、コンデンサなどによって構成される。振動発電素子11の出力電圧は、整流回路15を介して蓄電回路16で蓄電され、ここで蓄電された電圧を電源として、タイヤ側装置1が備える信号処理回路部13や送信機14などへの電力供給を行っている。また、電力供給回路12が蓄電回路16を備えることによって、振動発電素子11が余剰に発電している時にはその余剰分を蓄電しておき、発電量が不足している場合に、その不足分を補えるようになっている。
信号処理回路部13は、信号処理部に相当する部分であり、振動発電素子11の出力電圧をタイヤ接線方向の振動データを表す検出信号として用いて、この検出信号を処理することで路面状況を表すデータを得て、それを送信機14に伝える役割を果たす。すなわち、信号処理回路部13は、振動発電素子11の出力電圧の時間変化に基づいて、タイヤ3の回転時における振動発電素子11の接地区間を抽出している。なお、ここでいう接地区間とは、タイヤ3のトレッド31のうち振動発電素子11の配置箇所と対応する部分が路面接地している区間のことを意味している。本実施形態の場合、振動発電素子11の配置箇所がタイヤ側装置1の配置箇所とされているため、接地区間とはタイタイヤ3のトレッド31のうちタイヤ側装置1の配置箇所と対応する部分が路面接地している区間と同意である。
そして、この振動発電素子11の接地区間中の検出信号に含まれる高周波成分が路面状況を表していることから、この高周波成分を抽出すると共に抽出した高周波成分に基づいて路面状況を表すデータを生成し、送信機14に伝えている。
具体的には、信号処理回路部13は、各種回路やCPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のマイクロコンピュータ等によって構成され、振動発電素子11の出力電圧に基づいて上記処理を行っている。そして、信号処理回路部13は、それらの処理を行う部分として区間抽出部17とレベル算出部18とを備えている。
区間抽出部17は、振動発電素子11の出力電圧で表される検出信号のピーク値を検出することで、振動発電素子11の接地区間を抽出し、接地区間中であることをレベル算出部18に伝える。また、区間抽出部17は、送信機14に対してレベル算出部18の算出結果を路面状況が表された路面状況データとして車両側装置2に送信させる送信トリガを発生させる。以下、具体的に区間抽出部17の機能について説明する。
タイヤ回転時における振動発電素子11の出力電圧波形は例えば図3に示す波形となる。この図に示されるように、タイヤ3の回転に伴ってトレッド31のうち振動発電素子11の配置箇所と対応する部分が接地し始めた接地開始時に、振動発電素子11の出力電圧が極大値をとる。区間抽出部17では、この振動発電素子11の出力電圧が極大値をとる第1ピーク値のタイミングを接地開始時として検出している。さらに、図3に示されるように、タイヤ3の回転に伴ってトレッド31のうち振動発電素子11の配置箇所と対応する部分が接地していた状態から接地しなくなる接地終了時に、振動発電素子11の出力電圧が極小値をとる。区間抽出部17では、この振動発電素子11の出力電圧が極小値をとる第2ピーク値のタイミングを接地終了時として検出している。
振動発電素子11が上記のようなタイミングでピーク値をとるのは、以下の理由による。すなわち、タイヤ3の回転に伴ってトレッド31のうち振動発電素子11の配置箇所と対応する部分が接地する際、振動発電素子11の近傍においてタイヤ3のうちそれまで略円筒面であった部分が押圧されて平面状に変形する。このときの衝撃を受けることで、振動発電素子11の出力電圧が第1ピーク値をとる。また、タイヤ3の回転に伴ってトレッド31のうち振動発電素子11の配置箇所と対応する部分が接地面から離れる際には、振動発電素子11の近傍においてタイヤ3は押圧が解放されて平面状から略円筒状に戻る。このタイヤ3の形状が元に戻るときの衝撃を受けることで、振動発電素子11の出力電圧が第2ピーク値をとる。このようにして、振動発電素子11が接地開始時と接地終了時でそれぞれ第1、第2ピーク値をとるのである。また、タイヤ3が押圧される際の衝撃の方向と、押圧から開放される際の衝撃の方向は逆方向であるため、出力電圧の符号も逆方向となる。
そして、区間抽出部17は、第1、第2ピーク値のタイミングをレベル算出部18に伝え、第1ピーク値のタイミングから第2ピーク値のタイミングまでの期間、振動発電素子11の出力電圧に含まれる高周波成分を整流して積分させる指示を出す。このようにして、区間抽出部17は、振動発電素子11の接地区間を抽出し、接地区間中であることをレベル算出部18に伝えている。
また、振動発電素子11の出力電圧が第2ピーク値をとるタイミングが振動発電素子11の接地終了時となるため、区間抽出部17は、このタイミングで送信機14に送信トリガを送っている。これにより、送信機14より、レベル算出部18から伝えられる算出結果を路面状況データとして送信させている。このように、送信機14によるデータ送信を常に行うのではなく、振動発電素子11の接地終了時に限定して行うようにしているため、消費電力を低減することが可能となる。
レベル算出部18は、区間抽出部17から接地区間中であることが伝えられると、その期間中に振動発電素子11の出力電圧に含まれるタイヤ3の振動に起因する高周波成分のレベルを算出する。路面状態が同じ路面を一定速度で直進走行した場合、高周波成分のレベルは概ね一定となることから、高周波成分のレベルを産出することで路面状況を検出できる。このため、レベル算出部18は、その算出結果を路面状況が表された路面状況データとして送信機14に伝える。ここで、路面状況を表わす指標として高周波成分のレベルを算出するようにしているが、その理由について図4および図5を参照して説明する。
図4Aは、アスファルト路のように路面μが比較的大きな高μ路面を走行している場合における振動発電素子11の出力電圧の変化を示している。また、図4Bは、凍結路のように路面μが比較的小さな低μ路面を走行している場合における振動発電素子11の出力電圧の変化を示している。
これらの図から分かるように、路面μにかかわらず、接地区間の最初と最後、つまり振動発電素子11の接地開始時と接地終了時において第1、第2ピーク値が現れる。しかしながら、路面μの影響で、車両が低μ路面を走行しているときにはタイヤ3のスリップによる細かな高周波振動が出力電圧に重畳される。このため、高μ路面を走行している場合と低μ路面を走行してる場合それぞれについて、接地区間中における出力電圧の周波数解析を行うと、図5に示す結果となる。すなわち、低周波域では高μ路と低μ路のいずれを走行する場合にも高いレベルになるが、1kHz以上の高周波域では低μ路を走行する場合の方が高μ路を走行する場合よりも高いレベルになる。このため、振動発電素子11の出力電圧の高周波成分のレベルが路面状況を表す指標となる。
したがって、レベル算出部18によって接地区間中における振動発電素子11の出力電圧の高周波成分のレベルを算出することで、これを路面状況データとすることが可能となる。例えば、高周波成分のレベルは、振動発電素子の出力電圧から高周波成分を抽出し、接地区間中に抽出した高周波成分を積分することで算出することができる。
図6は、接地区間中に抽出した高周波成分の積分によって高周波成分のレベルを算出するときに適用する信号処理回路部13の具体的な回路構成を示した図である。
図6において、区間抽出部17は、振動発電素子11の出力電圧を検出信号として入力し、検出信号の解析結果に基づいてレベル算出部18に積分指示信号を出力すると共に送信機14に対して送信トリガを出力する。
具体的には、区間抽出部17は、パルス検出部171を有し、このパルス検出部171にて、振動発電素子11の接地開始時および接地終了時における検出信号のピークを検出している。そして、パルス検出部171は、振動発電素子11の検出信号が第1ピーク値となったタイミングで積分指示信号を出力し、第2ピーク値となったタイミングで積分指示信号を解除する。本実施形態の場合、パルス検出部171から積分指示信号としてハイレベルが出力されるとスイッチ172がオン、それがインバータ173によって反転されてローレベルが伝えられるとスイッチ174がオフされて高周波成分の積分が開始される。また、積分指示信号が解除されてパルス検出部171の出力がローレベルになるとスイッチ172がオフ、それがインバータ173によって反転されてハイレベルが伝えられるとスイッチ174がオンとなって高周波成分の積分が終了される。
レベル算出部18は、ハイパスフィルタ部181、整流部182および積分部183を有した構成とされている。
ハイパスフィルタ部181は、振動発電素子11の検出信号の高周波成分を抽出する高周波成分抽出手部を構成する。ハイパスフィルタ部181は、コンデンサ181a、181bおよび抵抗181cを有するCRフィルタ回路によって構成され、コンデンサ181a、181bの容量値や抵抗181cの抵抗値の調整により、振動発電素子11の検出信号の高周波成分のみを通過させる。
整流部182は、ブリッジ状に配置したダイオード182a〜182dを有する全波整流回路によって構成されており、ハイパスフィルタ部181で抽出された検出信号の高周波成分を全波整流する。これにより、積分部183に対して全波整流後の正電圧のみが印加されるようにできる。
積分部183は、振動発電素子11の検出信号の高周波成分を積分する部分であり、本実施形態では、積分部183はコンデンサ183aおよび抵抗183bを有した構成とされている。
コンデンサ183aは、全波整流後の高周波成分に基づいて充電される。このコンデンサ183aの充電電圧が高周波成分を積分した値に相当し、このコンデンサ183aの積分電圧値が路面状況を表すデータとして送信機14に入力される。すなわち、図5に示したように、車両の走行路面が低μ路面である場合と高μ路面である場合とで振動発電素子11の検出信号の高周波成分のレベルが異なっていることから、路面状況に応じてコンデンサ183aの積分電圧値が変化する。
図7は、走行路面が低μ路面の場合と高μ路面であるアスファルト路の場合それぞれの場合でのコンデンサ183aでの充電の様子を示している。それぞれの場合について、3回ずつ試行、つまり試行回数N=3としている。この図に示されるように、走行路面が低μ路面の場合、高μ路面の場合と比較して振動発電素子11の検出信号の高周波成分のレベルが大きくなるため、コンデンサ183aの積分電圧値が大きくなる。このように、路面状況に応じてコンデンサ183aの積分電圧値の大きさが変化するため、コンデンサ183aの積分電圧値が路面状況を表すデータとなる。
抵抗183bは、パルス検出部171が積分指示信号を解除してスイッチ174がオンされたときに、コンデンサ183aに接続されることでコンデンサ183aを放電する。これにより、次に高周波成分の積分を行う際に、コンデンサ183aの電圧を0にリセットしておくことが可能となる。
このような回路により、信号処理回路部13を構成することができ、振動発電素子11の出力電圧の高周波成分を積分部183にて積分することで、接地区間中における高周波成分のレベルを算出することができる。
送信機14は、信号処理回路部13から伝えられた路面状況データを車両側装置2に対して送信するものである。送信機14と車両側装置2が備える受信機21との間の通信は、例えば、Bluetooth(登録商標)などの公知の近距離無線通信技術によって実施可能である。路面状況データを送信するタイミングについては任意であるが、上記したように、本実施形態では、振動発電素子11の接地終了時に区間抽出部17から送信トリガが送られることで送信機14から路面状況データが送られるようになっている。このように、送信機14によるデータ送信を常に行うのではなく、振動発電素子11の接地終了時に限定して行うようにしているため、消費電力を低減することが可能となる。
なお、路面状況データについては、車両に備えられたタイヤ3毎に予め備えられている車輪の固有認識情報(以下、ID情報という)と共に送ることもできる。各車輪の位置については、車輪が車両のどの位置に取り付けられているかを検出する周知の車輪位置検出装置によって特定できることから、車両側装置2にID情報と共に路面状況データを伝えることで、どの車輪のデータであるかが判別可能になる。通常、走行路面の路面μは均一であると想定されるが、車両の左右輪で路面μが異なるμスプリット路なども有り、このようなμスプリット路においては各車輪毎に路面状況データが伝えるられると好ましい。勿論、各車輪毎に路面状況を推定するのではなく、各車輪から送られてきた路面状況データが示す積分電圧値の平均値を路面状況の推定に用いるなど、複数の路面状況データを路面状況の推定に用いるようにしても良い。
一方、車両側装置2は、受信機21と状況推定部22および情報検出部23を備えた構成とされており、タイヤ側装置1より送信された路面状況データを受信し、このデータに基づいて各種処理を行うことで、走行中の路面状況を検出する。
受信機21は、タイヤ側装置1が送信した路面状況データを受信するための装置である。受信機21で受信した路面状況データは、受信するたびに状況推定部22に逐次出力される。
状況推定部22は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のマイクロコンピュータによって構成され、ROMなどに記憶されたプログラムに従って路面状況の検出のための処理を行っている。具体的には、状況推定部22は、路面状況データが示す積分電圧値の大きさに基づいて路面μを推定しており、例えば積分電圧値が判定閾値よりも大きければ走行路面が低μ路面、小さければ走行路面が高μ路面と判定する。判定閾値は、図7に示すように走行路面が低μ路面であるときに想定される積分電圧値と高μ路面であるときに想定される積分電圧値の中間値に設定される。このため、この判定閾値との大小比較によって、走行路面の路面状況を推定することが可能となる。
ただし、タイヤ側装置1より伝えられる路面状況データが示す積分電圧値は、車両の制動中や左右への操舵中には、制動による減速度の影響や操舵によるスリップ影響を受けている。このため、積分電圧値をそのまま用いて路面状況の推定を行うと、正確に路面状況を推定することができない。このため、状況推定部22は、後述する情報検出部23から例えば車両の走行状態を示す各種情報、換言すれば物理量を取得し、各種情報を加味して路面状況の推定を行っている。この各種情報を加味した路面状況の推定方法については後述する。
情報検出部23は、例えば車両の走行状態を示す各種情報を検出する部分である。情報検出部23は、各種センサ類などによって構成されていても良いが、他の電子制御装置から車両の走行状態を示す各種情報を検出するもので構成することができる。例えば、情報検出部23は、ブレーキ制御用の電子制御装置(以下、ブレーキECUという)から制動力などを示す制動情報を検出したり、ステアリング用の電子制御装置(以下、ステアリングECUという)から操舵角などの操舵状態を示す操作情報を検出する。ブレーキECUは、例えばブレーキ圧(例えばマスタシリンダ圧)から制動力を検出しているため、情報検出部23は、その検出結果を制動情報として検出している。また、ステアリングECUは、例えば電動パワーステアリング装置におけるトルクセンサの検出結果に基づいて左右の操舵角を検出しているため、情報検出部23は、その検出結果を操舵情報として検出している。
なお、このようにして車両側装置2によって路面状況が推定されると、その推定結果を例えば車載ネットワークであるCAN(Controller Area Networkの略)通信に載せている。この路面状況の推定結果が例えばブレーキECUなどに入力され、アンチロックブレーキ制御などを行う際の指標、例えばアンチロックブレーキ制御における制御開始閾値の設定に用いられる。
続いて、各種情報を加味した路面状況の推定方法について説明する。上記したように、状況推定部22は、情報検出部23から車両の走行状態を示す各種情報を取得し、各種情報を加味して路面状態を推定する。
状況推定部22は、基本的にはタイヤ側装置1から伝えられる路面状況データが示す積分電圧値から路面状況を推定している。ただし、タイヤ側装置1より伝えられる路面状況データが示す積分電圧値は、車両の制動中や左右への操舵中には、制動による減速度の影響や操舵によるスリップ影響を受けている。このため、状況推定部22は、制動中である場合や操舵中である場合などには積分電圧値を補正し、補正後の積分電圧値に基づいて路面状況を推定する。
図8に示すように、制動中に、ブレーキ圧が上昇して制動力が大きくなると、それに応じて振動発電素子11の出力電圧で表される検出信号が変化する。具体的には、ブレーキ圧が高くなるほど、グリップ力が低下し、低μ路面のように高周波成分のレベルが高くなる。このため、路面状況が変化していないのにブレーキ圧の上昇、つまり制動力の増加に伴って検出信号の積分電圧値が上昇していき、判定閾値を超えてしまう。
したがって、ブレーキ圧に対応して積分電圧値を補正し、ブレーキ圧が大きくなるほど積分電圧値を小さくする補正を行う。例えば、同じ路面状況で車両を走行させた場合のブレーキ圧に対する積分電圧値の変化を実験により調べると共に、その実験結果に基づいて関数式もしくはマップを作成し、作成した関数式もしくはマップを用いて積分電圧値の補正を行うことができる。
図9は、図8で示した実験結果に基づいてブレーキ圧と積分電圧値の関係を表した図であり、ブレーキ圧をx、積分電圧値をyとして、実験結果を二次関数で近似すると、例えばy=0.042x2−0.214x+1.27という関数式に近似された。なお、図9中に示した積分電圧値は、ブレーキ圧が0のときを1として正規化した値としてある。
このように、同じ路面状態で車両を走行させた場合でも、ブレーキ圧が大きくなるほど積分電圧値が高くなる。このため、例えば上記した二次関数が示すyの逆数を係数としてタイヤ側装置1から伝えられた路面状況データが示す積分電圧値に掛け算することで、補正後の積分電圧値を取得することができる。
同様に、図10に示すように、操舵中に、操舵角が増加すると、それに応じて振動発電素子11の出力電圧で表される検出信号が変化する。具体的には、操舵角が高くなるほど、旋回外輪における振動発電素子11の検出信号に対して遠心方向に滑る成分が含まれるようになって、低μ路面のように高周波成分のレベルが高くなる。図10の場合では、層舵角が0度を中心としてマイナス側になると右に操舵を行った場合を示しており、プラス側になると左に操舵を行った場合を示している。この図より、右に操舵を行った場合に左前輪の積分電圧値が大きくなっていて、左に操舵を行った場合に右前輪の積分電圧値が大きくなっていることが確認できる。なお、左右の操舵を行った場合に、同じ操舵角であっても左前輪と右前輪における積分電圧値に相違が出ているが、これはタイヤ間のバラツキなどの影響であり、積分電圧値の増加の仕方としては同じ傾向になる。このため、路面状況が変化していないのに操舵角の増加に伴って検出信号の積分電圧値が上昇していき、判定閾値を超えてしまう。
したがって、操舵角に対応して積分電圧値を補正し、操舵角が大きくなるほど積分電圧値を小さくする補正を行う。例えば、同じ路面状況で車両を走行させた場合の操舵角に対する積分電圧値の変化を実験により調べると共に、その実験結果に基づいて関数式もしくはマップを作成し、作成した関数式もしくはマップを用いて積分電圧値の補正を行うことができる。
図11は、図10で示した実験結果に基づいて操舵角と積分電圧値の関係を表した図であり、操舵角をx、積分電圧値をyとして、実験結果を二次関数で近似すると、例えばy=0.0002x2−0.0123x+1.1072という関数式に近似された。なお、図11中に示した積分電圧値は、操舵角が0のときを1として正規化した値としてある。
このように、同じ路面状態で車両を走行させた場合でも、操舵角が大きくなるほど積分電圧値が高くなる。このため、例えば上記した二次関数が示すyの逆数を係数としてタイヤ側装置1から伝えられた路面状況データが示す積分電圧値に掛け算することで、補正後の積分電圧値を取得することができる。
なお、ここではブレーキ圧や操舵角に応じて積分電圧値を補正する場合の一例を示したが、これらの一方のみを行っても良いし、両方を行っても良い。両方を行う場合には、図9や図11から得られる各係数を共に積分電圧値に掛け算することで、補正後の積分電圧値を取得することができる。
以上説明したように、本実施形態にかかる路面状況推定装置100では、タイヤ側装置1においてタイヤ3の接地区間中における振動発電素子11の検出信号の高周波成分のレベルを算出させ、それを路面状況データとして送信している。より詳しくは、接地区間中の振動発電素子11の検出信号における高周波成分の積分電圧値を取得し、その積分電圧値を路面状況データとしている。そして、その路面状況データを車両側装置2で受信し、走行路面の路面状況を推定している。これにより、周波数解析を行わなくても路面状況を推定することが可能となる。
また、路面状況推定装置100は、車両の走行状態に応じて積分電圧値を補正し、補正後の積分電圧値に基づいて路面状況を推定している。このため、車両の走行状態に応じて、振動発電素子11の検出信号における高周波成分のレベルが変動しても、路面状況の推定を精度よく行うことができる。したがって、路面状況推定装置100における路面状況の推定精度を向上させることが可能となる。
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して積分電圧値の補正をタイヤ側装置1で行うようにするものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
上記したように、積分電圧値は制動による影響を受けて変化する。制動中には減速度が発生することから、減速度に基づいて制動中であることを検出し、それに基づいて積分電圧値を補正することもできる。
したがって、図12に示すように、本実施形態では、タイヤ側装置1における信号処理回路部13に補正部19を備えている。この補正部19にて、路面状況データが示す積分電圧値を補正し、補正後の積分電圧値を示した路面状況データに直して送信機14に伝えるようにしている。
具体的には、補正部19には、区間検出部17から第1ピーク値から第2ピーク値までの時間間隔が伝えられるようになっている。または、補正部19に第1ピーク値および第2ピーク値のタイミングが伝えられることで、補正部19にて第1ピーク値から第2ピーク値までの時間間隔が算出できるようになっている。第1ピーク値から第2ピーク値までの時間間隔は、車両が接地区間分の距離を走行するのに掛かる時間に相当することから、この時間間隔が車速に対応する値になる。したがって、この時間間隔の変化量に基づいて車両の加減速を検出できる。すなわち、時間間隔が減少する場合には車両の加速中、増加する場合には車両の減速中と検出できる。これに基づき、補正部19は、時間間隔の変化量が増加する際に、車両の減速中であること、つまり制動中であることを検出し、時間間隔の変化量の大きさに応じて積分電圧値を補正する。例えば、時間間隔の変化量と積分電圧値との関係を示す関数式またはマップを用いて、補正部19にて、時間間隔の変化量が大きくなるほど積分電圧値が小さくなるように積分電圧値を補正する。
このように、タイヤ側装置1によって積分電圧値の補正を行うこともできる。この場合、車両側装置2においては、積分電圧値を補正することなく、タイヤ側装置1から伝えられた路面状況データに基づいて路面状態を推定することができる。こようにしても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1、第2実施形態に対してグリップ力の低下についても検出できるようにしたものであり、その他については第1、第2実施形態と同様であるため、第1、第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
上記したように、路面状況推定装置100によって路面μなどの路面状況を検出することができるが、本実施形態では、それに加えて路面状況、具体的にはタイヤと路面との間の状況としてグリップ力の低下についても検出する。
例えば、上記第1実施形態において、ブレーキ圧が高くなるほど積分電圧値が大きくなることについて説明したが、ブレーキ圧が高くて積分電圧値が高い状態は路面μが高かったとしてもタイヤと路面との間のグリップ力が落ちてきていることを意味している。したがって、状況推定部22において、ブレーキ圧と積分電圧値に基づいてグリップ力の低下を判定することができる。例えば、状況推定部22ではブレーキ圧および積分電圧値が把握できていることから、ブレーキ圧が所定値以上の場合において積分電圧値が第1閾値を超えたか否かを判定し、超えた場合にグリップ力が低下したと判定する。
一方、ブレーキ液圧が所定値よりも低いにもかかわらず積分電圧値が低い場合には、路面μが低くてグリップ力が落ちてきていることを意味している。この場合にも、状況推定部22において、ブレーキ圧と積分電圧値に基づいてグリップ力の低下を判定することができる。例えば、状況推定部22ではブレーキ圧が所定値未満である場合に積分電圧値が第2閾値を超えたか否かを判定し、超えた場合に場合にグリップ力が低下したと判定する。
このように、路面状態推定部22によってグリップ力の低下を判定した場合、例えばそのグリップ力の低下をブレーキECUなどに伝え、各種車両運動制御を実行する際の摩擦円の設定を行う際の指標に用いられるようにすることができる。また、状況推定部22から図示しない警報装置にグリップ力が低下したことを伝え、ドライバに対してその旨の警告を行うようにしても良い。
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。本実施形態では、路面状態推定装置100として、タイヤと路面との間におけるグリップ力を推定し、その低下を伝える装置について説明する。なお、本実施形態の路面状態推定装置100の基本構成についても、図1に示した第1実施形態のものと同様である。
上記第3実施形態で説明したように、路面状況推定装置100にて、タイヤと路面との間の状況を示すグリップ力の推定を行うことができる。本実施形態では、路面状況推定装置100として、路面μなどの推定を行うことなく、タイヤと路面との間におけるグリップ力の推定のみを行う。
すなわち、上記したように、ブレーキ圧が高くて積分電圧値が高い状態は路面μが高かったとしてもタイヤと路面との間のグリップ力が落ちてきていることを意味している。したがって、状況推定部22において、ブレーキ圧と積分電圧値に基づいてグリップ力の低下を判定することができる。例えば、状況推定部22ではブレーキ圧および積分電圧値が把握できていることから、積分電圧値が第1閾値を超えたか否かを判定し、超えた場合に場合にグリップ力が低下したと判定する。このとき、ブレーキ圧に応じて第1閾値を設定して積分電圧値と第1閾値とを比較するようにしても良いし、ブレーキ圧が所定値以上の場合にのみ積分電圧値と第1閾値とを比較するようにしても良い。
一方、ブレーキ液圧が低いにもかかわらず積分電圧値が低い場合には、路面μが低くてグリップ力が落ちてきていることを意味している。この場合にも、状況推定部22において、ブレーキ圧と積分電圧値に基づいてグリップ力の低下を判定することができる。例えば、状況推定部22ではブレーキ圧が所定値以下である場合に積分電圧値が第2閾値を超えたか否かを判定し、超えた場合に場合にグリップ力が低下したと判定する。
このように、路面状態推定部22によってグリップ力の低下を判定した場合、例えばそのグリップ力の低下をブレーキECUなどに伝え、各種車両運動制御を実行する際の摩擦円の設定を行う際の指標に用いられるようにすることができる。また、状況推定部22から図示しない警報装置にグリップ力が低下したことを伝え、ドライバに対してその旨の警告を行うようにしても良い。
このように、路面状態推定装置100によって、路面状況としてタイヤ3と走行路面との間の状況を示すグリップ力の推定のみを行うものとすることもできる。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
(1)例えば、上記各実施形態では、情報検出部23によって、制動情報や操舵情報を検出し、これらを走行状態を示す物理量として用いて路面状況の推定を行う例について説明した。それらに加えて、アクセル開度や車体に加わる減速度、ヨーレートなどを走行状態を示す物理量として検出し、これらのいずれか1つもしくは複数を加味して路面状況の推定を行うこともできる。このように、ブレーキ圧や操舵角に加えて、アクセル開度や車体に加わる減速度、ヨーレートなどのいずれか1つもしくは複数を加味して路面状況の推定を行う場合でも、上記各実施形態と同様に路面状態の推定を行うことができる。走行状態を示す物理量を表した各種情報の変化と積分電圧値の変化との関係を実験によって求め、その実験結果に基づいて作成した関数式もしくはマップを用いてタイヤ側装置1から伝えられた路面状況データが示す積分電圧値を補正する。これにより、補正後の積分電圧値を取得することができる。
(2)また、上記各実施形態では、振動発電素子11の高周波成分を積分した積分電圧値を路面状況を示す値として用いたが、接地区間中における高周波成分のレベルの値、例えば平均値や最大値を路面状況を示す値として用いることもできる。
(3)また、上記各実施形態では、積分電圧値の補正を行う際に、図9や図11に示した二次関数が示すyの逆数を係数として積分電圧値に掛け算する場合を例に挙げたが、他の手法を用いても良い。すなわち、ブレーキ圧などのように制動力に相当する物理量が大きくなるほど、もしくは、操舵角などのように操舵量に相当する物理量が大きくなるほど、積分電圧値が小さくなるような補正が行われれば、他の手法であっても構わない。例えば、図9や図11に示した二次関数が示すyを積分電圧値から除算することでも同様の補正が行える。
(4)また、第2実施形態では、タイヤ側装置1によって積分電圧値を補正する手法として、第1ピーク値と第2ピーク値との時間間隔を用いているが、車両が制動中であることを検出できる他のパラメータを用いて補正を行っても良い。例えば、第1ピーク値同士もしくは第2ピーク値同士の時間間隔も車速に対応した値になることから、その時間間隔の変化量に基づいて積分電圧値の補正を行うこともできる。また、第1ピーク値もしくは第2ピーク値の大きさも、車速に応じて変化し、車速が大きくなるほど第1ピーク値もしくは第2ピーク値が大きくなることから、第1ピーク値もしくは第2ピーク値の大きさの変化量に基づいて積分電圧値を補正しても良い。
(5)また、上記実施形態では、車両側装置2においてタイヤ側装置1から送信された積分電圧値を一定の判定閾値と比較することで路面状況を推定しているが、判定閾値を可変としても良い。
例えば、車両の走行状態に応じて振動発電素子11の検出信号における高周波成分のレベルが変化することから、その変化に対応させて判定閾値を変化させるようにしても良い。上記各実施形態の例で言えば、制動力が増加するほど、もしくは操舵量が大きくなるほど、高周波成分のレベルの算出結果に相当する積分電圧値が大きくなることから、その変動分に対応させて判定閾値を大きくするようにしても良い。すなわち、制動力が増加するほど、もしくは操舵量が大きくなるほど、高周波レベルの算出結果が判定閾値を超えにくくなるように、算出結果もしくは判定閾値を補正すれば良い。
また、タイヤ3に生じる振動は車速に応じて変化し、車速が大きいほど同じ路面状況であってもタイヤ3に生じる振動が大きくなる。このため、車速が大きいほど、振動発電素子11の検出信号に含まれる高周波成分も大きくなり、コンデンサ183aに充電される積分電圧値も大きくなる。したがって、例えば状況推定部22に車速データを入力し、車速データが示す車速が大きくなるほど判定閾値を大きな値に変化させることもできる。なお、車速データについては、例えば車速センサや車輪速度センサの検出信号に基づいて車載の電子制御装置(例えば各種ECU)で演算されたものをCAN通信を通じて取得すれば良い。
(6)また、上記実施形態では、パルス検出部171にて振動発電素子11の接地開始時から接地終了時までの間、つまり接地時間中の振動発電素子11の検出信号の高周波成分を抽出し、その高周波成分によってコンデンサ183aに充電させて積分電圧値を得た。しかしながら、これは積分電圧値を得るときの充電時間の一例を示したものであり、例えば振動発電素子11の接地開始から一定期間を積分電圧値を得るときの充電時間としても良い。例えば、車両が時速60km/hで走行する際の振動発電素子11の接地時間として想定される時間を充電時間とすることができる。その場合、車両が時速60km/h以上で走行する際に、充電時間中に振動発電素子11が接地区間以外に位置している期間が存在し、その期間中にも振動発電素子11の検出信号の高周波成分がコンデンサ183aに充電されることになる。したがって、その場合には、車速データを入力し、充電時間として振動発電素子11の接地時間として想定している車速を超えている場合には、路面状況推定を行わないようにするのが好ましい。
(7)さらに、上記各実施形態では、車両の走行状態に合わせて振動発電素子11の検出信号における高周波成分のレベルの算出結果、例えば積算電圧値を補正するようにした。これに対して、車両の走行状態が一定の条件になったとき、例えば制動力が所定値以上になった場合や操舵量が所定値以上になった場合に、路面状況推定が的確に行えないとして、路面状況推定を無効化するようにしても良い。勿論、車両の走行状態に合わせて振動発電素子11の検出信号における高周波成分のレベルの算出結果の補正を行いつつ、車両の走行状態が一定の条件になったときに、路面状況推定を無効化するようにしても良い。
1…タイヤ側装置、2…車両側装置、3…タイヤ、11…振動発電素子、12…電力供給回路、13…信号処理回路部、14…送信機、15…整流回路、16…蓄電回路、17…区間抽出部、18…レベル算出部、19…補正部、21…受信機、22…状況推定部、31…トレッド、100…路面状況推定装置、171…パルス検出部、172…スイッチ、173…インバータ、174…スイッチ、181…ハイパスフィルタ部、182…整流部、183…積分部

Claims (7)

  1. 車両の走行路面の路面状況を推定する路面状況推定装置であって、
    前記車両に備えられるタイヤ(3)のトレッド(31)の裏面に取り付けられ、前記タイヤの振動の大きさに応じた検出信号を出力する振動検出部(11)と、前記タイヤの1回転中における前記トレッドのうちの前記振動検出部の配置箇所と対応する部分が接地している接地区間を抽出する区間抽出部(17)および前記接地区間中における前記検出信号の高周波成分のレベルを算出するレベル算出部(18)を有する信号処理部(13)と、前記高周波成分のレベルの算出結果を前記走行路面の路面状況が表された路面状況データとして送信する送信機(14)と、を有するタイヤ側装置(1)と、
    前記送信機から送信された前記路面状況データを受信する受信機(21)と、前記路面状況データに基づいて前記走行路面の路面状況を推定する状況推定部(22)と、を有する車両側装置(2)とを備え、
    前記車両側装置は、前記車両の走行状態を示す情報を検出する情報検出部(23)を含み、
    前記状況推定部は、前記情報検出部で検出された前記走行状態を示す情報および受信した前記路面状況データが示す前記高周波成分のレベルの算出結果に基づいて前記走行路面の路面状況を推定する路面状況推定装置。
  2. 前記状況推定部は、前記路面状況データが示す前記高周波成分のレベルの算出結果が判定閾値を超えると路面摩擦係数が低い路面であると推定しており、
    該状況推定部は、前記情報検出部で検出された前記走行状態を示す情報に基づいて、前記路面状況データが示す前記高周波成分のレベルの算出結果と前記判定閾値のいずれかを補正する請求項1に記載の路面状況推定装置。
  3. 前記情報検出部は、前記走行状態を示す情報として制動力を示す制動情報を検出し、
    前記状況推定部は、前記制動力が増加するほど、前記路面状況データが示す前記高周波成分のレベルの算出結果が前記判定閾値以上になりにくくなるように、前記補正を行う請求項2に記載の路面状況推定装置。
  4. 前記情報検出部は、前記走行状態を示す情報として操舵量を示す操舵情報を検出し、
    前記状況推定部は、前記操舵量が増加するほど、前記路面状況データが示す前記高周波成分のレベルの算出結果が前記判定閾値以上になりにくくなるように、前記補正を行う請求項2または3に記載の路面状況推定装置。
  5. 前記情報検出部は、前記走行状態を示す情報として制動力を示す制動情報を検出し、
    前記状況推定部は、前記制動力が所定値以上の場合に前記路面状況データが示す前記高周波成分のレベルの算出結果が第1閾値を超えること、もしくは、前記制動力が所定値未満である場合に前記路面状況データが示す前記高周波成分のレベルの算出結果が第2閾値を超えることの少なくとも一方を満たすと、グリップ力の低下と判定する請求項1ないし4のいずれか1つに記載の路面状況推定装置。
  6. 車両の走行路面の路面状況を推定する路面状況推定装置であって、
    前記車両に備えられるタイヤ(3)のトレッド(31)の裏面に取り付けられ、前記タイヤの振動の大きさに応じた検出信号を出力する振動検出部(11)と、前記タイヤの1回転中における前記トレッドのうちの前記振動検出部の配置箇所と対応する部分が接地している接地区間を抽出する区間抽出部(17)および前記接地区間中における前記検出信号の高周波成分のレベルを算出するレベル算出部(18)を有する信号処理部(13)と、前記高周波成分のレベルの算出結果を前記走行路面の路面状況が表された路面状況データとして送信する送信機(14)と、を有するタイヤ側装置(1)と、
    前記送信機から送信された前記路面状況データを受信する受信機(21)と、前記路面状況データに基づいて前記走行路面の路面状況を推定する状況推定部(22)と、を有する車両側装置(2)とを備え、
    前記タイヤ側装置は、前記振動検出部の検出信号に基づいて車両が制動中であることを検出し、前記制動中であることが検出されると前記レベル算出部が算出した前記高周波成分のレベルの算出結果を補正する補正部(19)を有し、該補正部による補正後の前記高周波成分のレベルの算出結果を前記路面状況データとして前記送信機より送信する路面状況推定装置。
  7. 車両の走行路面の路面状況を推定する路面状況推定装置であって、
    前記車両に備えられるタイヤ(3)のトレッド(31)の裏面に取り付けられ、前記タイヤの振動の大きさに応じた検出信号を出力する振動検出部(11)と、前記タイヤの1回転中における前記トレッドのうちの前記振動検出部の配置箇所と対応する部分が接地している接地区間を抽出する区間抽出部(17)および前記接地区間中における前記検出信号の高周波成分のレベルを算出するレベル算出部(18)を有する信号処理部(13)と、前記高周波成分のレベルの算出結果を前記走行路面の路面状況が表された路面状況データとして送信する送信機(14)と、を有するタイヤ側装置(1)と、
    前記送信機から送信された前記路面状況データを受信する受信機(21)と、前記路面状況データに基づいて前記走行路面の路面状況を推定する状況推定部(22)と、を有する車両側装置(2)とを備え、
    前記車両側装置は、前記車両の走行状態を示す情報として制動力を示す制動情報を検出する情報検出部(23)を含み、
    前記状況推定部は、前記情報検出部で検出された前記制動力が所定値以上の場合に前記路面状況データが示す前記高周波成分のレベルの算出結果が第1閾値を超えること、もしくは、前記制動力が所定値未満である場合に前記路面状況データが示す前記高周波成分のレベルの算出結果が第2閾値を超えることの少なくとも一方を満たすと、グリップ力の低下と判定することで、前記路面状況として前記タイヤと前記走行路面との間の状況を推定する路面状況推定装置。
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