JP2017148803A - シチナカイト構造を有するシリコチタネートを含む組成物を用いるセシウム又はストロンチウムの少なくともいずれかの吸着方法 - Google Patents

シチナカイト構造を有するシリコチタネートを含む組成物を用いるセシウム又はストロンチウムの少なくともいずれかの吸着方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、従来のセシウム吸着剤よりも高いセシウム吸着性能を有するシチナカイト構造を有するシリコチタネートを含む組成物を用いるセシウム又はストロンチウムの少なくともいずれかの吸着方法を提供する。更には、本発明は従来のストロンチウム吸着剤より高いストロンチウム吸着性能を有するシリコチタネートを含む組成物を用いるセシウム又はストロンチウムの少なくともいずれかの吸着方法を提供するものである。【解決手段】 ニオブを含有し、シチナカイト構造を有するシリコチタネートを含み、なおかつ、CuKα線(λ=1.5405Å)を線源とするXRDパターンにおいて、少なくとも2θ=8.8±0.5°、2θ=10.0±0.5°、及び2θ=29.6±0.5°からなる群の2以上に回折ピークを有するシリコチタネート組成物を用いるセシウム又はストロンチウムの少なくともいずれかの吸着方法。【選択図】 図1

Description

本発明は、シチナカイト構造を有するシリコチタネートを含む組成物を用いるセシウム又はストロンチウムの少なくともいずれかの吸着方法に関する。このシリコチタネートを含む組成物は、例えば汚染水、海水、地下水中の有害イオン処理等の用途に有用である。
水溶液から有害イオンを除去できる吸着剤として、シリコチタネートが知られている。
例えば、特許文献1には海水中の放射性物質の除去用イオン交換体としてシリコチタネートおよびその製法が開示されている。
特許文献1において、ニオブを含有したシリコチタネートが開示されている。
さらに、特許文献1におけるシリコチタネートの原料は有機系アルコキシ化合物を含んでいる。すなわち、特許文献1の原料にはシリカ源はオルトケイ酸テトラエチル、チタン源はオルトチタン酸テトライソプロピル、並びに、構造規定剤としてテトラプロピルアンモニウムブロマイド及び、テトラブチルアンモニウムブロマイド等を含んでいるものであった。これらの各シリカ源、チタン源、及び、構造規定剤は入手が困難である上に、危険物又は劇物に該当するため、その高温下で発生する蒸気が爆発の原因となる。そのため、特許文献1の製造方法は、低温下での反応が必要とされるが、低温にすると反応速度が低下し生産性は落ちるため好ましくない。
特許文献2には、気体あるいは液体からなる混合物を分離する分離剤としてのチタノシリケート型ゼオライトの製造方法が開示されている。しかしながら、特許文献2におけるシリカ源、チタン源、及び、構造規定剤は、危険物あるいは劇物に該当するテトラアルキルオルトシリケート、テトラブチルオルトチタネート、水酸化テトラプロピルアンモニウムであった。これらの化合物、及び、これらの化合物を混合した混合物は、その高温下で発生する蒸気が反応管の腐食の原因となる為に、テフロン(登録商標)内筒を備えたステンレス製耐圧反応管などの様な特殊な製造装置を使用する必要があった。
特許文献3では、セシウムのみを含む水溶液に対する吸着剤として結晶性ケイチタン酸塩CST−2が開示されている。
特許文献4では、セシウム及びストロンチウムを含む水溶液に対する吸着剤としてケイチタン酸が開示されている。
特許文献5では、シチナカイト構造とは異なる結晶性シリコチタネートと、チタン酸塩を含むセシウム又はストロンチウムの吸着剤が開示されている。
米国特許6110378号公報 特許第3840506号明細書 特許4919528号 特開2013−088391号 特許5696244号
本発明は、従来のセシウム吸着剤よりも高いセシウム吸着性能を有するシチナカイト構造を有するシリコチタネートを含む組成物、特に微量のセシウム(以下、「Cs」とも表記する。)を含有する被処理媒体に対する高い吸着性能、並びに、Cs以外の金属イオンを多量に含有する被処理媒体に対する高い選択的吸着性能を有するシリコチタネートを含む組成物を用いるセシウム又はストロンチウムの少なくともいずれかの吸着方法を提供するものである。
更には、本発明は従来のストロンチウム吸着剤より高いストロンチウム吸着性能を有するシリコチタネート、特に微量のストロンチウム(以下、「Sr」とも表記する。)を含有する被処理媒体に対する高い吸着性能、並びに、Sr以外の金属イオンを多量に含有する被処理媒体に対する高い選択的吸着性能を有するシリコチタネートを含む組成物を用いるセシウム又はストロンチウムの少なくともいずれかの吸着方法を提供することを別の目的とする。
本発明者らは、セシウム又はストロンチウムの少なくともいずれかの吸着方法で用いる、危険物又は劇物ではない化合物を原料として用いることができるシリコチタネート及びこれを含む組成物の製造方法を見出し、本発明を完成したものである。
更には、本発明者らは、セシウム又はストロンチウムの少なくともいずれかの吸着方法で用いる、シチナカイト構造を有するシリコチタネート、及びニオブを含有し、なおかつ、X線回折において特定の回折ピークを有する組成物を見出し、本発明を完成したものである。
以下、セシウム又はストロンチウムの少なくともいずれかの吸着方法で用いるシリコチタネートを含む組成物(以下、「シリコチタネート組成物」ともいう。)の製造方法(以下、「シリコチタネート組成物の製造方法」ともいう。)について説明する。
シリコチタネート組成物の製造方法は、無機系チタン化合物、無機系ケイ素化合物、水、及び、アルカリ金属水酸化物を混合してシリコチタネートゲルを得るゲル工程、当該シリコチタネートゲルを結晶化する結晶化工程、を有するシチナカイト構造を有するシリコチタネートを含む組成物の製造方法である。
ゲル工程では、無機系チタン化合物、無機系ケイ素化合物、水、及び、アルカリ金属水酸化物を混合して無定形のシリコチタネートゲルを得る。
ゲル工程では、チタン源として無機系チタン化合物、及び、ケイ素源として無機系ケイ素化合物を使用する。これらのチタン源及びケイ素源は、有機系アルコキシ金属化合物をはじめとする、危険物又は劇物のいずれも含まない。さらに、無機系チタン化合物、及び、無機系ケイ素化合物は、アルカリ金属水酸化物水溶液に可溶である。また、無機系チタン化合物と無機系ケイ素化合物とを混合しても、アルコール等の有機物は発生しない。そのため、チタン源及びケイ素源は、有機系アルコキシチタン化合物又は有機系アルコキシケイ素化合物などの有機系アルコキシ金属化合物に比べてハンドリングが容易である。更には安価であることから、無機系チタン化合物及び無機系ケイ素化合物はより工業的な使用に適している。
無機系チタン化合物として、硫酸チタン、オキシ硫酸チタン、メタチタン酸ソーダ、及び、塩化チタンからなる群の少なくとも1種を挙げることができる。より好ましい無機系チタン化合物として、硫酸チタン又はオキシ硫酸チタンの少なくともいずれか、更にはオキシ硫酸チタンを挙げることができる。
無機系ケイ素化合物として、珪酸ソーダ、シリカゾル、ヒュームドシリカ、及びホワイトカーボンからなる群の少なくとも1種を挙げることができる。アルカリ金属水酸化物の水溶液に溶解させることが比較的容易であるため、無機系ケイ素化合物は珪酸ソーダ、又はシリカゾルの少なくともいずれかであることが好ましく、珪酸ソーダであることが更に好ましい。
アルカリ金属水酸化物として、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムからなる群の少なくとも1種を挙げることができる。安価であるため、アルカリ金属水酸化物は水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウムの少なくともいずれかであることが好ましく、水酸化ナトリウムであることが好ましい。
水は、各原料を水溶液とした場合に含まれる水分であってもよく、各原料とは別に水を加えて混合してもよい。
ゲル工程では、無機系チタン化合物、無機系ケイ素化合物、水、およびアルカリ金属水酸化物を混合することにより、無定形のシリコチタネートゲル(以下、単に「シリコチタネートゲル」ともいう。)が生じる。無機系チタン化合物、無機系ケイ素化合物、水、および、アルカリ金属水酸化物は、以下の混合モル比となるように混合することが好ましい。
Si/Tiモル比 0.5以上、2.0以下
O/Tiモル比 20以上、150以下
M/Tiモル比 1.0以上、5.0以下
(Mは、Li,Na、及びKの群から選ばれる1種のアルカリ金属であり、MはNaであることが好ましい)
更に混合モル比は以下の割合であることがより好ましい。
Si/Tiモル比 1.0以上、2.0以下
O/Tiモル比 20以上、150以下
M/Tiモル比 1.0以上、5.0以下
(Mは、Li,Na、及びKの群から選ばれる1種のアルカリ金属であり、MはNaであることが好ましい)
Si/Tiモル比は、0.5以上、2.0以下であればよく、好ましくは0.8以上、1.7以下、より好ましくは1.0以上、1.5以下である。Si/Tiモル比が0.5以上、2.0以下であることで、シリコチタネート組成物が効率よく得られる。
O/Tiモル比は、20以上、150以、更には40以上、100以下であることが好ましい。HO/Tiモル比が20以上であることで、得られるシリコチタネートゲルの粘度が下がり撹拌しやすくなる。HO/Tiモル比が150以下であることで、シリコチタネート組成物の収率が高くなりやすい。
M/Tiモル比は、1.0以上、5.0以下、更には1.5以上、4.5以下、また更には2.5以上、4.5以下であることが好ましい。混合物のM/Tiモル比が1.0以上、5.0以下であることで、シリコチタネート組成物が効率よく得られる。
シリコチタネートゲルは、ニオブを含む。ニオブを含むシリコチタネートゲルは、無機系チタン化合物、無機系ケイ素化合物、水、アルカリ金属水酸化物及びニオブ源を混合する方法、又は、シリコチタネートゲルにニオブ源を添加する方法、の少なくともいずれかの方法で得られる。
ニオブ源は、ニオブを含む金属、合金及び化合物からなる群の少なくとも一種であることが好ましい。ニオブを含む化合物は、ニオブを含む水酸化物、塩化物、硝酸塩及び硫酸塩からなる群の少なくとも一種が挙げられる。シリコチタネート組成物のCsの吸着特性がより向上するため、ニオブ源は、ニオブを含む化合物、更にはニオブを含む水酸化物又は硝酸塩の少なくともいずれか、また更にはニオブの水酸化物を挙げることができる。
シリコチタネート組成物の製造方法は、以下のモル比を有するシリコチタネートゲルを結晶化する結晶化工程を有する。
Si/Tiモル比 0.5以上、2.0以下
O/Tiモル比 100超、150以下
M/Tiモル比 1.0以上、5.0以下
Nb/Tiモル比 0.30以上、0.65以下、好ましくは0.36以上、0.65以下
または、
Si/Tiモル比 0.5以上、2.0以下
O/Tiモル比 20以上、150以下、好ましくは50以上、150以下
M/Tiモル比 1.0以上、5.0以下
Nb/Tiモル比 0.65超、1.5以下、好ましくは0.65超、1.2以下
結晶化工程において、このような混合モル比を有するシリコチタネートゲルを結晶化することで、シリコチタネート組成物を得ることができる。
結晶化工程において結晶化されるシリコチタネートゲルは、好ましくは以下の組成を有する。
Si/Tiモル比 1.29超、1.40未満
O/Tiモル比 100超、150以下
M/Tiモル比 1.0以上、5.0以下
Nb/Tiモル比 0.30以上、0.65以下
または、
Si/Tiモル比 0.5以上、2.0以下
O/Tiモル比 20以上、150以下
M/Tiモル比 1.0以上、5.0以下
Nb/Tiモル比 0.65超、1.5以下
シリコチタネートゲルは、更に好ましくは以下の組成を有する。
Si/Tiモル比 1.29超、1.40未満
O/Tiモル比 100超、150以下
M/Tiモル比 1.0以上、5.0以下
Nb/Tiモル比 0.30以上、1.00以下
これにより、より短時間でシリコチタネートゲルを結晶化することができる。
シリコチタネートゲルに種晶を混合することが好ましい。シリコチタネートゲルに種晶を混合することで、より短時間でシリコチタネートゲルが結晶化する。種晶は結晶性シリコチタネートであればよく、例えば、シチナカイト構造のシリコチタネートを挙げることができる。シリコチタネートゲルに対する種晶の量は、0.5重量%以上、10重量%以下、更には0.5重量%以上、5重量%以下であることが好ましい。
当該シリコチタネートゲルを結晶化することでシリコチタネート組成物が得られる。
結晶化工程では、無機系チタン化合物、無機系ケイ素化合物、水、およびアルカリ金属水酸化物を混合することにより得られるシリコチタネートゲルを結晶化する。すなわち、シリコチタネート組成物の製造方法では、危険物又は劇物に該当しないケイ素源及びチタン源を使用するだけでなく、構造指向剤を使用しない。構造指向剤は、通常、高価な化合物である。構造指向剤を使用しないシリコチタネート組成物の製造方法により、より安価にシリコチタネート組成物を製造することができる。
結晶化温度は150℃以上、230℃以下であればよく、好ましくは160℃以上、220℃以下、より好ましくは170℃以上、200℃以下である。結晶化温度が150℃以上であれば、得られるシリコチタネートの結晶性が高くなりやすい。230℃以下であれば汎用の反応容器等を使用するのに十分な温度となる。
結晶化時間は24時間以上120時間以下であればよい。結晶化時間が24時間以上であれば得られるシリコチタネート組成物に含まれるシリコチタネートの結晶性が高くなりやすい。一方、120時間以下であれば、十分なCs又はSrの吸着特性を有するシリコチタネート組成物が得られる。
シリコチタネート組成物の製造方法は結晶化工程において、シリコチタネートゲルを結晶化することでシリコチタネート組成物を得ることができる。さらにシリコチタネート組成物の製造方法は結晶化で得られた結晶化物であるシリコチタネート組成物を冷却、ろ過、洗浄、及び乾燥する各工程をいずれか1種以上含んでいてもよい。
結晶化したシリコチタネート組成物を冷却する場合は、特に限定する冷却条件は無いが、10℃/分で加熱炉冷却、または加熱炉より取り出し強制又は放冷することが挙げられる。
結晶化したシリコチタネート組成物をろ過する場合は、任意のろ過方法で行うことができる。例えば、ヌッチェを用いるろ過方法、又はベルトフィルター等のフィルターを用いるろ過方法を挙げることができる。フィルター等を用いるろ過方法では、当該フィルターは1μm程度の目開きのものを用いることが好ましい。
結晶化したシリコチタネート組成物を洗浄する場合は、当該シリコチタネート組成物に対して5倍〜10倍の重量の純水を洗浄水として用いることができる。また更には、当該純水を60℃〜90℃の温水とし、これを洗浄水として用いることが好ましい。これと当該シリコチタネート組成物とを混合することで洗浄することが挙げられる。
結晶化したシリコチタネート組成物を乾燥する場合は、当該シリコチタネート組成物を大気中で、50℃以上、120℃以下、更には70℃以上、90℃以下で乾燥することが挙げられる。乾燥後、シリコチタネート組成物が凝集している場合は乳鉢、粉砕機などで適宜解砕すればよい。
結晶化後にこれらの工程を経ることで、シリコチタネート組成物を粉末とすることができる。
以下、シリコチタネート組成物について説明する。
シリコチタネート組成物はシチナカイト構造を有するシリコチタネート、及びニオブを含有し、なおかつ、少なくとも2θ=8.8±0.5°、2θ=10.0±0.5°、及び2θ=29.6±0.5°からなる群の2以上に回折ピークを有するシリコチタネート組成物である。
本明細書において、2θは、CuKα線(波長λ=1.5405Å)を線源とした粉末X線回折(以下、「XRD」という。)パターンにおけるX線回折角の値(°)である。更には、2θに回折ピークを有するとは、前述の線源を用いた測定により得られたXRDパターンにおける回折ピークを意味する。
シリコチタネート組成物の製造方法で得られるシリコチタネート組成物は、シチカナイト構造を有するシリコチタネートを含み、Csの吸着量が大きい。更には、シリコチタネート組成物は海水成分共存下でSr吸着量及びCsの吸着量が大きく、また選択的にSrを吸着する効果を有する。
シチナカイト構造を有するシリコチタネート(以下、「S型シリコチタネート」ともいう。)とは、American Mineralogist Crystal Structure Database(http://ruff.geo.arizona.edu./AMS/amcsd.php、検索日:2014年7月1日以下、「参照HP」とする。)におけるsitinakiteに記載された粉末X線回折(以下、「XRD」とする。)ピークで特定される結晶構造を有する結晶性シリコチタネートである。
シリコチタネート組成物は、S型シリコチタネート、及びニオブを含有し、なおかつ、少なくとも2θ=8.8±0.5°、2θ=10.0±0.5°、及び2θ=29.6±0.5°からなる群の2以上に回折ピークを有する。当該回折ピークを有するシリコチタネート組成物は、より高いSrの吸着特性を有する。
シリコチタネート組成物は、当該組成物中にニオブを含有していれば、ニオブの状態は特に限定されない。例えば、ニオブはニオブ含有化合物、更にはニオブ酸塩、ニオブシリケート、ニオブチタネート及びNb−Si−Ti系酸化物からなる群のいずれかであってもよい。また、S型シリコチタネートにニオブが含まれていてもよい。
シリコチタネート組成物は、少なくとも表1に示す2θ、及び、XRDピーク強度比を有することが好ましい。シリコチタネート組成物が、このような2θ、及び、XRDピーク強度比を有することにより、シリコチタネート組成物が、より高いSrの吸着特性を有する。
Figure 2017148803
シリコチタネート組成物は、更に好ましくは以下の表2に示す2θ、及び、XRDピーク強度比を有する。
Figure 2017148803
なお、表1及び2におけるXRDピーク強度比とは、2θ=11.3±0.5のピーク強度を100とした場合、当該XRDピーク強度に対する各2θにおけるXRDピークの強度の相対値である。
シリコチタネート組成物は、2θ=8.8±0.5°、2θ=10.0±0.5°、及び2θ=29.6±0.5°からなる群の2以上に回折ピークを有する結晶性物質(以下、単に「結晶性物質」ともいう。)と、S型シリコチタネートとを含むシリコチタネート組成物であることが好ましい。ここで、結晶性物質として、S型シリコチタネート以外の結晶性シリコチタネート、チタン酸塩、ニオブ酸塩、ケイ酸塩、ニオブシリケート、ニオブチタネート、及びNb−Si−Ti系酸化物からなる群の少なくとも1種を挙げることができ、好ましくは、ニオブ酸塩又はケイ酸塩の少なくともいずれか、更に好ましくはニオブ酸塩を挙げることができる。
ここで、前記のXRDピークを有していれば、結晶性物質は2以上の化合物であってもよく、2以上のニオブ酸塩であることが好ましい。
結晶性物質がニオブ酸塩を含む場合、シリコチタネート組成物に含まれるニオブ酸塩の組成は、NaxNbyOz・nHO(ここでx=1〜20,y=1〜30、z=5〜80、n=10〜100)が挙げられる。
シリコチタネート組成物のNb/Tiモル比は、好ましくは0.30以上、更に好ましくは0.35以上、また更に好ましくは0.60以上である。これによりシリコチタネート組成物はより高いSr吸着性能を有する。
シリコチタネート組成物のNb/Tiモル比として、例えば、0.30以上、更には0.35以上0.60未満、または、0.60以上1.5以下が挙げられる。シリコチタネート組成物のNb/Tiモル比が上記の範囲であることで、より高いCs、及びSr吸着性能を有する。シリコチタネート組成物のNb/Tiモル比は0.35以上0.60未満、又は0.60以上1.20以下であることが好ましい。
シリコチタネート組成物のM/Tiモル比は、0.50以上4.0以下、更には0.50以上3.0以下、また更には0.80以上2.5以下、また更には1.1以上2.5以下であることが好ましい。シリコチタネート組成物のM/Tiモル比が0.50以上4.0以下であることで、シリコチタネート組成物はより高いCs、及びSr吸着性能を有する。
シリコチタネート組成物のSi/Tiモル比は、0.40以上2.0以下、更には0.50以上1.8以下、また更には0.74以上1.6以下であることが好ましい。シリコチタネート組成物のSi/Tiモル比が0.40以上2.0以下であることで、シリコチタネート組成物はより高いCs、及びSr吸着性能を有する。
シリコチタネート組成物の平均粒径は、1.0μm以上20μm以下、更には4.0μm以上20μm以下であることが好ましく、また更には、8.0以上20μm以下であることが好ましい。
シリコチタネート組成物は粒径分布の累積曲線において、10μmでの累積値が90%以下であることが好ましく、更には、60%以下であることが好ましい。
ここで、シリコチタネート組成物に係わる「平均粒径」とは、体積基準で表される粒径分布の累積曲線が中央値(メディアン径;累積曲線の50%に対応する粒径)である粒と同じ体積の球の直径をいい、レーザー回折法による粒径分布測定装置によって測定することができる。
シリコチタネート組成物の粒子径は、0.5μm以上150μm以下であることが挙げられる。さらに、各粒子径の体積頻度は比較的均一になりやすい。そのため、シリコチタネート組成物の粒子径分布はモノモーダルではない粒子径分布、更にはマルチモーダルの粒子径分布となりやすく、また、全ての粒子径の粒子の体積頻度は5%以下となりやすい。
シリコチタネート組成物は、このような特徴を有する粒子である。このような特徴を有する粒子の状態もCs又はSrの少なくともいずれかの吸着特性の向上に寄与していると考えられる。
シリコチタネート組成物は、高いCsの吸着特性を有する。シリコチタネート組成物のCsの分配係数(以下、「Kd(Cs)」とする。)として、100,000mL/g以上、更には200,000mL/g以上、また更には1,000,000mL/gを挙げることができる。
シリコチタネート組成物は、高いSrの吸着特性を有することが好ましい。シリコチタネート組成物はSrの分配係数(以下、「Kd(Sr)」とする。)として、3,000mL/g、更には10,000mL/g以上、また更には20,000mL/g以上であることが好ましい。
本発明において、分配係数(Kd)は、吸着剤を用いて金属イオン含有被処理媒体(以下、単に「被処理媒体」ともいう。)に対して金属イオンの吸着処理を行った際の、当該吸着剤の吸着特性の指標であり、以下の式(1)から求めることができる。
Kd=(C。−C)/C×V/m (1)
Kd : 分配係数(mL/g)
C。 : 吸着処理前の被処理媒体中の金属イオン濃度(ppm)
C : 吸着平衡時の被処理媒体中の金属イオン濃度(ppm)
V : 被処理媒体の体積(mL)
m : 吸着剤の重量(g)
例えば、吸着剤としてシリコチタネート組成物、被処理媒体としてCs含有水溶液を使用して、当該水溶液に対してCs吸着処理を行う場合、シリコチタネート組成物のCsの吸着特性を、上記(1)式において以下の値を用いて、Csの分配係数として求めることができる。
Kd(Cs) : Csの分配係数(mL/g)
C。 : 吸着処理前のCs含有水溶液中の金属イオン濃度(ppm)
C : 吸着平衡時のCs含有水溶液中の金属イオン濃度(ppm)
V : Cs含有水溶液の体積(mL)
m : シリコチタネート組成物の重量(g)
同様な方法により、ストロンチウムの分配係数(Kd(Sr))、カルシウムの分配係数(以下、「Kd(Ca)」とする。)、及びマグネシウムの分配係数(以下、「Kd(Mg)」とする。)を求めることができる。
シリコチタネート組成物は、シリコチタネート組成物と無機バインダーを含む成形体であることが好ましい。成形体であることにより、シリコチタネート組成物は強度が向上し、特に耐摩耗性に優れる。このため、例えば、被処理媒体として液体を用い、シリコチタネート組成物成形体を含む吸着剤の充填層に連続的に流通させて、Cs及びSrの吸着処理を行っても成形体の磨耗が抑制されるため、吸着剤を長期間使用することができる。
シリコチタネート組成物が成形体である場合、成形体が含有する好ましい無機バインダーとして粘土、シリカゾル、アルミナゾル、及び、ジルコニアゾルからなる群の少なくとも1種を挙げることができる。更には、好ましい無機バインダーとして粘土を挙げることができる。また更には、好ましい粘土としてカオリン、セピオライト、及びアパタルジャイトからなる群の少なくとも1種を挙げることができる。
シリコチタネート組成物が成形体である場合、その形状は球状、略球状、楕円状、円柱状、多面体状及び不定形からなる群の少なくとも一種の形状であることが好ましい。
シリコチタネート組成物が成形体である場合、その大きさは0.1mm以上、かつ、2.0mm以下の径を有することが好ましい。
シリコチタネート組成物が成形体である場合、シリコチタネート組成物と無機バインダーを混練した後、混練物を成形する成形工程、及び、成形工程で得られる成形体を焼成する焼成工程を含む製造方法により、シリコチタネート組成物成形体を得ることができる。
成形工程において、混練物の成形性を改善するために適宜成形助剤、又は水の少なくともいずれかを使用することができる。好ましい成形助剤として、カルボキシメチルセルロースを挙げることができる。
焼成工程において、成形体を焼成する温度として、100℃以上、400℃以下を挙げることができる。焼成温度が100℃以上であることで、得られる成形体の強度がより向上する。焼成温度が400℃以下であれば、得られる成形体の強度が十分となる。
シリコチタネート組成物は、Csの吸着剤として使用することができる。シリコチタネート組成物をCsの吸着剤として使用する場合、当該吸着剤はシリコチタネート組成物を含んでいればよく、シリコチタネート組成物粉末、又はシリコチタネート組成物成形体の少なくともいずれかで含んでいればよい。更には、Cs吸着剤は、イオン交換樹脂、粘土鉱物、ゼオライト、フェロシアン化合物、及び金属有機錯体からなる群の少なくとも1種を含んでいてもよい。
シリコチタネート組成物は、Srの吸着性能に優れることから、Srの吸着剤としても使用することができる。
シリコチタネート組成物をCs又はSrの少なくともいずれかの吸着方法に用いる場合、当該シリコチタネート組成物とCs又はSrの少なくともいずれかを含む被処理媒体を接触させればよい。被処理媒体として、液体、又は固体の少なくともいずれかを挙げることができ、例えば、土壌、廃棄物、海水、又は地下水を挙げることができる。
なお、シリコチタネート組成物と被処理媒体とを24時間以上接触させた状態を、吸着平衡時とすればよい。
シリコチタネート組成物は、Cs以外の1種類以上の金属イオンを含有する被処媒体と接触させても選択的にCsを吸着する。そのため、シリコチタネート組成物はCsを含有する被処理媒体だけでなく、Cs以外の1種以上の金属イオンを含有する被処理媒体に対しても、Csの吸着処理に用いることができる。
被処理媒体は、Csを含む2種以上の金属イオンを含有する水溶液であることが好ましいい。Csを含む2種以上の金属イオンを含有する水溶液に対するCsのKdが高いことで、シリコチタネート組成物のCsの選択吸着能が高くなる。Csを含む2種以上の金属イオンを含有する水溶液としては、Csの他に、Na、Mg、Ca、K、及びSrからなる群のいずれか2種以上を含有する水溶液、例えば、海水や模擬海水を挙げることができる。
シリコチタネート組成物を用いたCs又はSrの少なくともいずれかの吸着方法において、シリコチタネート組成物と被処理媒体を含む系の温度は、−30℃以上、かつ、60℃以下、更には0℃以上、かつ、50℃以下、また更には10℃以上、かつ、30℃以下、また更には20℃以上、かつ、30℃以下を挙げることができる。系の温度が上記の範囲であれば、シリコチタネート組成物は十分なCs及びSr吸着特性を有する。
シリコチタネート組成物は、Cs及びSrを含有する被処媒体と接触させても、Cs及びSrの両方を吸着する。更には、シリコチタネート組成物はCs及びSr以外の1種類以上の金属イオンを含有する被処媒体と接触させても選択的にCs及びSr両方を吸着する。そのため、シリコチタネート組成物はCs及びSrを含有する被処理媒体だけでなく、Cs及びSr以外の1種以上の金属イオンを含有する被処理媒体に対しても用いることができる。
シリコチタネート組成物はCs又はSrの少なくともいずれかの吸着剤として使用することができる。
シリコチタネート組成物はCs又はSrの少なくともいずれかの吸着方法に用いることができる。
シリコチタネート組成物は、Csの吸着性能が非常に高い。また更にはSrの吸着性能が高い。
シリコチタネート組成物は、特にCs,及びSrの吸着性能が高い。シリコチタネート組成物は、特に海水のような複数の金属イオンを含有する被処理媒体から選択的にCs、及びSrを吸着することができる。また、シリコチタネート組成物は微量のSrを含有する被処理媒体から効率よくCs、及びSrを吸着することができる。
シリコチタネート組成物の製造方法により、一般的で、入手が容易な無機系チタン化合物、及び無機系ケイ素化合物を用いて、安全に生産することができ、且つ汎用のオートクレーブが使用できる。
さらに、シリコチタネート組成物の製造方法では、劇薬や危険物である有機系アルコキシチタン化合物又は有機系アルコキシケイ素化合物などの有機系アルコキシ金属化合物を使用せずに、構造指向剤も必要としない。これにより、より製造コストが安価であるため、シリコチタネート組成物の製造方法は、より工業的な製造方法である。
また、シリコチタネート組成物の製造方法により得られるシリコチタネート組成物は、Sr及びCsに対選択的な吸着特性を有する。
実施例1のシリコチタネート組成物のXRD図を示す。 実施例2のシリコチタネート組成物のXRD図を示す。 実施例3のシリコチタネート組成物のXRD図を示す。 実施例4のシリコチタネート組成物のXRD図を示す。 実施例5のシリコチタネート組成物のXRD図を示す。 実施例6のシリコチタネート組成物のXRD図を示す。 実施例7のシリコチタネート組成物のXRD図を示す。 実施例8のシリコチタネート組成物のXRD図を示す。 比較例1のシリコチタネート組成物のXRD図を示す。 比較例2のシリコチタネート組成物のXRD図を示す。 比較例3のシリコチタネート組成物のXRD図を示す。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。しかしながら、本発明はこれらに限定されるものではない。
(粉末X線回折測定)
一般的なX線回折装置(商品名:MXP3HF型X線回折計、マックスサイエンス社製)を使用して試料のXRDパターンを測定した。測定条件は以下のとおりとした。
線源 : CuKα線(λ=1.5405Å)
測定モード : ステップスキャン
スキャン条件: 毎秒0.04°
発散スリット: 1.00deg
散乱スリット: 1.00deg
受光スリット: 0.30mm
計測時間 : 3.00秒
測定範囲 : 2θ=5.0°〜60.0°
得られたXRDパターンと、参照HPに記載されたシチナカイト構造のシリコチタネートのXRDピークとを比較することで、シチナカイト構造の同定を行った。
(シリコチタネート組成物の組成分析)
結晶化物の組成分析は一般的なICP法により測定した。測定には、一般的なICP−AES(装置名:OPTIMA3000DV、PERKIN−ELMER社製)を使用した。
(Sr、Csイオン濃度の測定)
被処理媒体として、Cs,又はSrの少なくともいずれかを含有し、海水と類似した組成を有する金属イオン含有水溶液(以下、「模擬海水」ともいう。)を調製し、当該水溶液に対して吸着処理を行った。水溶液中のSrイオン濃度は適宜、希釈してICP法により測定した。測定には、一般的なICP−AES(装置名:OPTIMA3000DV、PERKIN−ELMER社製)を使用した。Ca、Mg、Na、及び、Kも同様の方法で測定した。
また、水溶液中のCs濃度はICP−MASS(装置名:NExION300S、PERKIN−ELMER社製)で測定した。
得られた各金属濃度から、各金属のKdを計算した。
(金属の除去率)
吸着処理による各金属の除去率は以下の式(2)より求めた。
除去率 = (C−C)/C。×100 (2)
C。 : 吸着処理前の金属イオン含有水溶液中の金属イオン濃度(ppm)
C : 吸着平衡時の金属イオン含有水溶液中の金属イオン濃度(ppm)
(粒径分布測定)
光散乱式粒度分布測定により、粒径分布の累積曲線を測定した。測定には、一般的な光散乱式粒子径分布測定装置(日機装株式会社 MICROTRAC HRA MODEL:9320−X1000)を用いた。前処理として、試料を蒸留水に懸濁させ、超音波ホモジナイザーを用いて2分間分散させた。得られた粒径分布の累積曲線から、平均粒径、及び10μmでの累積値を得た。
(粒子の観察)
一般的な走査型電子顕微鏡(装置名:JSM−6390LV、日本電子株式会社製)を用いて試料の粒子を観察した。
実施例1
ケイ酸ソーダ(SiO;29.1重量%)20g、オキシ硫酸チタン水溶液(TiOSO;8.2重量%)71g、水酸化ナトリウム(NaOH;48重量%)63g及び、純水41gを混合し、以下の組成からなる無定形シリコチタネートゲルを得た。
Si/Tiモル比 = 1.37
Na/Tiモル比 = 3.3
O/Tiモル比 = 82
得られた無定形シリコチタネートゲルに、水酸化ニオブ(Nb(OH))粉末20g、及びシチナカイト構造の結晶を有するシリコチタネートを種晶として無定形シリコチタネートゲルに対して1重量%添加し、以下の組成を有するスラリー状のNb含有無定形シリコチタネートゲルを得た。
Si/Tiモル比 = 1.37
Na/Tiモル比 = 3.3
Nb/Tiモル比 = 1.0
O/Tiモル比 = 82
当該Nb含有無定形シリコチタネートゲルを撹拌しながらステンレス製オートクレーブ(商品名:KH−02、HIRO COMPANY製)に充填した。これを180℃で72時間加熱して原料混合物を結晶化させて結晶化物を得た。
結晶化時の圧力は0.8MPaであり180℃での水蒸気圧に該当した。結晶化後の結晶化物を、冷却、ろ過、洗浄、及び乾燥して粉末状のシリコチタネートを得た。本実施例のシリコチタネート組成物の組成は以下のとおりであった。
Si/Tiモル比 = 1.50
Na/Tiモル比 = 2.06
Nb/Tiモル比 = 1.05
XRD測定の結果、得られたシリコチタネート組成物は表3に示すX線回折角、及び回折ピーク強度比を有することを確認した。XRDパターンを図1に示す。得られたXRDパターンから、本実施例の結晶化物は、S型シリコチタネート、及び、二オブ酸塩を含むことを確認した。得られたシリコチタネート組成物の組成分析の結果を表11に示す。
Figure 2017148803
被処理媒体としてSr及びCsを含む模擬海水を用いて、本実施例で得られたシリコチタネート組成物のSr及びCsの選択的吸着特性の評価を行った。模擬海水として、NaCl、MgCl、CaCl、NaSO、KCl、Sr標準液、及びCs標準液を用い、以下の組成を含む水溶液を調製した。
Na :870重量ppm(NaCl由来)
Mg :118重量ppm
Ca : 41重量ppm
Na :126重量ppm(NaSO由来)
K : 32重量ppm
Cs : 1重量ppm
Sr : 1重量ppm
(ここでNaの合計の濃度は996重量ppmである)
1Lの模擬海水に対し、本実施例のシリコチタネート組成物を0.05g添加し、この模擬海水を25℃、800rpmの条件下で24時間攪拌し、シリコチタネート組成物のSr、及びCs吸着特性の評価とした。なお、シリコチタネート組成物は、前処理として大気中、100℃で1時間加熱した。
吸着特性の評価後の模擬海水中のCs濃度は0.021重量ppm、Sr濃度は0.44重量ppmであった。これより、各金属のKdは以下のとおりであった。
Kd(Cs) : 932,000mL/g
Kd(Sr) : 25,500mL/g
また、各金属の除去率は以下のとおりであった。
Cs : 97.9%
Sr : 56%
本実施例のシリコチタネート組成物のCs、及びSrの吸着性能の結果を表11に示す。
実施例2
Nb含有無定形シリコチタネートゲルを以下の組成となるようにしたこと以外は、実施例1と同様な方法でNb含有無定形シリコチタネートゲルを調製した。
Si/Tiモル比 = 1.37
Na/Tiモル比 = 3.3
Nb/Tiモル比 = 0.8
O/Tiモル比 = 82
当該無定形シリコチタネートゲルを撹拌しながらステンレス製オートクレーブ(商品名:KH−02、HIRO COMPANY製)に充填した。これを180℃で72時間加熱して無定形シリコチタネートゲルを結晶化させて結晶化物を得た。
結晶化時の圧力は0.8MPaであり180℃での水蒸気圧に該当した。結晶化後の結晶化物を、冷却、ろ過、洗浄、及び乾燥してシリコチタネート組成物を得た。本実施例のシリコチタネート組成物の組成は以下のとおりであった。
Si/Tiモル比 = 0.98
Na/Tiモル比 = 1.86
Nb/Tiモル比 = 0.75
XRD測定の結果、得られたシリコチタネート組成物は表4に示すX線回折角、及び回折ピーク強度比を有することを確認した。XRDパターンを図2に示す。得られたXRDパターンから、本実施例の結晶化物は、S型シリコチタネート、及び、二オブ酸塩を含むことを確認した。また、得られたシリコチタネート組成物の組成分析の結果を表11に示す。
Figure 2017148803
実施例1と同様な方法で、Cs、及びSrの選択的吸着特性の評価を行った。吸着特性の評価後の模擬海水中のCs濃度は0.017重量ppm、Sr濃度は0.53重量ppmであった。これより、各金属のKdは以下のとおりであった。
Kd(Cs) : 1,160,000mL/g
Kd(Sr) : 17,700mL/g
また、各金属の除去率は以下のとおりであった。
Cs : 98.3%
Sr : 47%
本実施例のシリコチタネート組成物のCs、及びSrの吸着性能の結果を表11に示す。
実施例3
Nb含有無定形シリコチタネートゲルを以下の組成となるようにしたこと以外は、実施例1と同様な方法でNb含有無定形シリコチタネートゲルを調製した。
Si/Tiモル比 = 1.34
Na/Tiモル比 = 3.3
Nb/Tiモル比 = 0.6
O/Tiモル比 = 109
実施例1と同様な方法で、当該無定形シリコチタネートゲルを結晶化し、さらに結晶化物を、冷却、ろ過、洗浄、及び乾燥してシリコチタネート組成物を得た。本実施例のシリコチタネート組成物の組成は以下のとおりであった
Si/Tiモル比 = 0.74
Na/Tiモル比 = 1.27
Nb/Tiモル比 = 0.57
XRD測定の結果、得られたシリコチタネート組成物は表5に示すX線回折角、及び回折ピーク強度比を有することを確認した。XRDパターンを図3に示す。得られたXRDパターンから、本実施例の結晶化物は、S型シリコチタネート、及び、二オブ酸塩を含むこと、すなわち、Nb複合化シリコチタネートであることを確認した。得られたシリコチタネート組成物の組成分析の結果を表11に示す。
Figure 2017148803
実施例1と同様な方法で、Cs、及びSrの選択的吸着特性の評価を行った。吸着特性の評価後の模擬海水中のCs濃度は0.0029重量ppm、Sr濃度は0.62重量ppmであった。これより、各金属のKdは以下のとおりであった。
Kd(Cs) : 6,880,000mL/g
Kd(Sr) : 12,300mL/g
また、各金属の除去率は以下のとおりであった。
Cs : 99.71%
Sr : 38%
本実施例のシリコチタネート組成物のCs、及びSrの吸着性能の結果を表11に示す。
実施例4
Nb含有無定形シリコチタネートゲルを以下の組成となるようにしたこと以外は、実施例1と同様な方法でNb含有無定形シリコチタネートゲルを調製した。
Si/Tiモル比 = 1.34
Na/Tiモル比 = 3.3
Nb/Tiモル比 = 0.6
O/Tiモル比 = 123
実施例1と同様な方法で、当該無定形シリコチタネートゲルを結晶化し、さらに結晶化物を、冷却、ろ過、洗浄、及び乾燥してシリコチタネート組成物を得た。本実施例のシリコチタネート組成物の組成は以下のとおりであった。
Si/Tiモル比 = 0.75
Na/Tiモル比 = 1.33
Nb/Tiモル比 = 0.56
XRD測定の結果、得られたシリコチタネート組成物は表6に示すX線回折角、及び回折ピーク強度比を有することを確認した。XRDパターンを図4に示す。得られたXRDパターンから、本実施例の結晶化物は、S型シリコチタネート、及び、二オブ酸塩を含むことを確認した。得られたシリコチタネート組成物の組成分析の結果を表11に示す。
Figure 2017148803
実施例1と同様な方法で、Cs、及びSrの選択的吸着特性の評価を行った。吸着特性の評価後の模擬海水中のCs濃度は0.0044重量ppm、Sr濃度は0.64重量ppm、であった。これより、各金属のKdは以下のとおりであった。
Kd(Cs) : 4,530,000mL/g
Kd(Sr) : 11,300mL/g
また、各金属の除去率は以下のとおりであった。
Cs : 99.56%
Sr : 36%
本実施例のシリコチタネート組成物のCs、及びSrの吸着性能の結果を表11に示す。
実施例5
Nb含有無定形シリコチタネートゲルを以下の組成となるようにしたこと以外は、実施例1と同様な方法でNb含有無定形シリコチタネートゲルを調製した。
Si/Tiモル比 = 1.34
Na/Tiモル比 = 3.3
Nb/Tiモル比 = 0.5
O/Tiモル比 = 114
当該無定形シリコチタネートゲルを撹拌しながらステンレス製オートクレーブ(商品名:KH−02、HIRO COMPANY製)に充填した。これを180℃で72時間加熱して無定形シリコチタネートゲルを結晶化させて結晶化物を得た。
結晶化時の圧力は0.8MPaであり180℃での水蒸気圧に該当した。結晶化後の結晶化物を、冷却、ろ過、洗浄、及び乾燥してシリコチタネート組成物を得た。本実施例のシリコチタネート組成物の組成は以下のとおりであった。
Si/Tiモル比 = 0.74
Na/Tiモル比 = 1.38
Nb/Tiモル比 = 0.48
XRD測定の結果、得られたシリコチタネート組成物は表7に示すX線回折角、及び回折ピーク強度比を有することを確認した。XRDパターンを図5に示す。得られたXRDパターンから、本実施例の結晶化物は、S型シリコチタネート、及び、二オブ酸塩を含むことを確認した。また、得られたシリコチタネート組成物の組成分析の結果を表11に示す。
Figure 2017148803
実施例1と同様な方法で、Cs、及びSrの選択的吸着特性の評価を行った。吸着特性の評価後の模擬海水中のCs濃度は0.0037重量ppm、Sr濃度は0.67重量ppmであった。これより、各金属のKdは以下のとおりであった。
Kd(Cs) : 5,390,000mL/g
Kd(Sr) : 9900mL/g
また、各金属の除去率は以下のとおりであった。
Cs : 99.63%
Sr : 33%
本実施例のシリコチタネート組成物のCs、及びSrの吸着性能の結果を表11に示す。
実施例6
Nb含有無定形シリコチタネートゲルを以下の組成となるようにしたこと以外は、実施例1と同様な方法でNb含有無定形シリコチタネートゲルを調製した。
Si/Tiモル比 = 1.34
Na/Tiモル比 = 3.3
Nb/Tiモル比 = 0.4
O/Tiモル比 = 123
実施例1と同様な方法で、無定形シリコチタネートゲルを結晶化し、さらに結晶化物を、冷却、ろ過、洗浄、及び乾燥してシリコチタネート組成物を得た。本実施例のシリコチタネート組成物の組成は以下のとおりであった。
Si/Tiモル比 = 0.70
Na/Tiモル比 = 1.19
Nb/Tiモル比 = 0.39
XRD測定の結果、得られたシリコチタネート組成物は表8に示すX線回折角、及び回折ピーク強度比を有することを確認した。XRDパターンを図6に示す。得られたXRDパターンから、本実施例の結晶化物は、S型シリコチタネート、及び、二オブ酸塩を含むことを確認した。得られたシリコチタネート組成物の組成分析の結果を表11に示す。
Figure 2017148803
実施例1と同様な方法で、Cs、及びSrの選択的吸着特性の評価を行った。吸着特性の評価後の模擬海水中のCs濃度は0.0038重量ppm、Sr濃度は0.71重量ppmであった。これより、各金属のKdは以下のとおりであった。
Kd(Cs) : 5,240,000mL/g
Kd(Sr) : 8,250mL/g
また、各金属の除去率は以下のとおりであった。
Cs : 99.62%
Sr : 29%
本実施例のシリコチタネート組成物のCs、及びSrの吸着性能の結果を表11に示す。
実施例7
Nb含有無定形シリコチタネートゲルを以下の組成とし、当該ゲルに種晶を加えなかったこと以外は、実施例1と同様な方法でNb含有無定形シリコチタネートゲルを調製した。
Si/Tiモル比 = 1.34
Na/Tiモル比 = 3.3
Nb/Tiモル比 = 0.5
O/Tiモル比 = 109
結晶化時間を24時間にしたこと以外は実施例1と同様な方法で、無定形シリコチタネートゲルを結晶化し、さらに結晶化物を、冷却、ろ過、洗浄、及び乾燥してシリコチタネート組成物を得た。本実施例のシリコチタネート組成物の組成は以下のとおりであった。
Si/Tiモル比 = 0.96
Na/Tiモル比 = 1.65
Nb/Tiモル比 = 0.46
XRD測定の結果、得られたシリコチタネート組成物は表9に示すX線回折角、及び回折ピーク強度比を有することを確認した。XRDパターンを図7に示す。得られたXRDパターンから、本実施例の結晶化物は、S型シリコチタネート、及び、二オブ酸塩を含むことを確認した。得られたシリコチタネート組成物の組成分析の結果を表11に示す。
Figure 2017148803
実施例1と同様な方法で、Srの選択的吸着特性の評価を行った。吸着特性の評価後の模擬海水中のSr濃度は0.67重量ppmであった。これより、Kd(Sr)は以下のとおりであった。
Kd(Sr) : 9,850mL/g
また、Srの除去率は以下のとおりであった。
Sr : 33%
本実施例のシリコチタネート組成物のSrの吸着性能の結果を表11に示す。
実施例8
Nb含有無定形シリコチタネートゲルを以下の組成となるようにしたこと以外は、実施例1と同様な方法でNb含有無定形シリコチタネートゲルを調製した。
Si/Tiモル比 = 1.34
Na/Tiモル比 = 3.3
Nb/Tiモル比 = 0.6
O/Tiモル比 = 109
結晶化時間を24時間にしたこと以外は実施例1と同様な方法で、無定形シリコチタネートゲルを結晶化し、さらに結晶化物を、冷却、ろ過、洗浄、及び乾燥してシリコチタネート組成物を得た。本実施例のシリコチタネート組成物の組成は以下のとおりであった。
Si/Tiモル比 = 0.70
Na/Tiモル比 = 1.19
Nb/Tiモル比 = 0.48
XRD測定の結果、得られたシリコチタネート組成物は表10に示すX線回折角、及び回折ピーク強度比を有することを確認した。XRDパターンを図8に示す。得られたXRDパターンから、本実施例の結晶化物は、S型シリコチタネート、及び、二オブ酸塩を含むことを確認した。得られたシリコチタネート組成物の組成分析の結果を表11に示す。
Figure 2017148803
実施例1と同様な方法で、Srの選択的吸着特性の評価を行った。吸着特性の評価後の模擬海水中のSr濃度は0.70重量ppmであった。これより、Kd(Sr)は以下のとおりであった。
Kd(Sr) : 9,700mL/g
また、Srの除去率は以下のとおりであった。
Sr : 30%
実施例1〜8のシリコチタネート組成物のSrの吸着性能の結果を表11に示す。
Figure 2017148803
実施例9
以下の組成となるようにしたこと以外は、実施例1と同様な方法でNb含有無定形シリコチタネートゲルを調製した。
Si/Tiモル比 = 1.30
Na/Tiモル比 = 3.3
O/Tiモル比 = 109
Nb/Tiモル比 = 0.35
実施例7と同様な方法で結晶化し、更に冷却、ろ過、洗浄、及び乾燥して粉末状のシリコチタネート組成物を得た。本実施例のシリコチタネート粉末の組成は以下のとおりであった。
Si/Tiモル比 = 0.64
Na/Tiモル比 = 0.99
Nb/Tiモル比 = 0.34
また、本実施例のシリコチタネート粉末の平均粒子径は2.7μmであった。
XRD測定の結果、得られたシリコチタネート組成物は表12に示すX線回折角、及び回折ピーク強度比を有することを確認した。得られたXRDパターンと、参照HPに記載されたXRDピークとを比較した結果、本実施例のシリコチタネート組成物は、S型シリコチタネート、及び、V型シリコチタネートを含むことを確認した。得られたシリコチタネート組成物の組成分析の結果を表15に示す。
Figure 2017148803
実施例1と同様な方法で、Srの選択的吸着特性の評価を行った。吸着特性の評価後の模擬海水中のSr濃度は0.675重量ppmであった。これより、SrのKdは9,600mL/g、Srの除去率は32.5%であった。
実施例10
以下の組成となるようにしたこと以外は、実施例1と同様な方法でNb含有無定形シリコチタネートゲルを調製した。
Si/Tiモル比 = 1.35
Na/Tiモル比 = 3.3
O/Tiモル比 = 109
Nb/Tiモル比 = 0.50
実施例7と同様な方法で結晶化し、更に冷却、ろ過、洗浄、及び乾燥して粉末状のシリコチタネート組成物を得た。本実施例のシリコチタネート粉末の組成は以下のとおりであった。
Si/Tiモル比 = 0.87
Na/Tiモル比 = 1.13
Nb/Tiモル比 = 0.49
また、本実施例のシリコチタネート粉末の平均粒子径は2.3μmであった。
XRD測定の結果、得られたシリコチタネート組成物は表13に示すX線回折角、及び回折ピーク強度比を有することを確認した。得られたXRDパターンと、参照HPに記載されたXRDピークとを比較した結果、本実施例のシリコチタネート組成物は、S型シリコチタネート、及び、V型シリコチタネートを含むことを確認した。得られたシリコチタネート組成物の組成分析の結果を表15に示す。
Figure 2017148803
実施例1と同様な方法で、Srの選択的吸着特性の評価を行った。吸着特性の評価後の模擬海水中のSr濃度は0.65重量ppmであった。これより、SrのKdは10,800mL/g、Srの除去率は35%であった。
実施例11
以下の組成となるようにしたこと以外は、実施例1と同様な方法でNb含有無定形シリコチタネートゲルを調製した。
Si/Tiモル比 = 1.39
Na/Tiモル比 = 3.3
O/Tiモル比 = 109
Nb/Tiモル比 = 0.50
実施例4と同様な方法で結晶化し、更に冷却、ろ過、洗浄、及び乾燥して粉末状のシリコチタネート組成物を得た。本実施例のシリコチタネート粉末の組成は以下のとおりであった。
Si/Tiモル比 = 0.83
Na/Tiモル比 = 1.03
Nb/Tiモル比 = 0.45
また、本実施例のシリコチタネート粉末の平均粒子径は2.2μmであった。
XRD測定の結果、得られたシリコチタネート組成物は表14に示すX線回折角、及び回折ピーク強度比を有することを確認した。得られたXRDパターンと、参照HPに記載されたXRDピークとを比較した結果、本実施例のシリコチタネート組成物は、S型シリコチタネート、及び、V型シリコチタネートを含むことを確認した。得られたシリコチタネート組成物の組成分析の結果を表15に示す。
Figure 2017148803
実施例1と同様な方法で、Srの選択的吸着特性の評価を行った。吸着特性の評価後の模擬海水中のSr濃度は0.68重量ppmであった。これより、SrのKdは9,400mL/g、Srの除去率は32%であった。
実施例9〜11のシリコチタネート組成物のSrの吸着性能の結果を表15に示す。
Figure 2017148803
比較例1
ケイ酸ソーダ(SiO;29.1重量%)20g、オキシ硫酸チタン水溶液(TiOSO;8.2重量%)71g、水酸化ナトリウム(NaOH;48重量%)63g、及び、純水41gを混合し、以下の組成からなる無定形シリコチタネートゲルを得た。
Si/Tiモル比 = 1.34
Na/Tiモル比 = 3.3
O/Tiモル比 = 82
得られた無定形シリコチタネートゲルに、シチナカイト構造の結晶を有するシリコチタネートを種晶として無定形シリコチタネートゲルに対して1重量%添加した後、実施例1と同様な方法で当該ゲルを結晶化し、さらに結晶化物を、冷却、ろ過、洗浄、及び乾燥してシリコチタネート組成物を得た。
XRD測定の結果、得られたシリコチタネート組成物は表16に示すX線回折角、及び回折ピーク強度比を有することを確認した。本比較例の組成物は2θ=8.8±0.5、2θ=10.0±0.5、及び2θ=29.6±0.5に回折ピークを有さなかった。XRDパターンを図9に示す。本比較例のシリコチタネート組成物はS型シリコチタネートの単相であることを確認した。得られたシリコチタネート組成物の組成分析の結果を表19に示す。
Figure 2017148803
実施例1と同様な方法で、Srの選択的吸着特性の評価を行った。吸着特性の評価後の模擬海水中のSr濃度は0.86重量ppm、Cs濃度は0.021重量ppmであった。これより、各金属のKdは以下のとおりであった。
Kd(Cs) : 932,000mL/g
Kd(Sr) : 3,260mL/g
また、各金属の除去率は以下のとおりであった。
Cs : 98.9%
Sr : 14%
本比較例のシリコチタネート組成物のCs、及びSrの吸着性能の結果を表19に示す。
比較例2
無定形シリコチタネートゲルが以下の組成となるようにしたこと以外は実施例1と同様な方法で無定形シリコチタネートゲルを得た。
Si/Tiモル比 = 1.34
Na/Tiモル比 = 3.3
Nb/Tiモル比 = 0.2
O/Tiモル比 = 82
実施例1と同様な方法で無定形シリコチタネートゲルを結晶化し、さらに結晶化物を、冷却、ろ過、洗浄、及び乾燥してシリコチタネート組成物を得た。
XRD測定の結果、得られたシリコチタネート組成物は表17に示すX線回折角、及び回折ピーク強度比を有し、S型シリコチタネートの単相であることを確認した。XRDパターンを図10に示す。得られたシリコチタネート組成物の組成分析の結果を表19に示す。
Figure 2017148803
実施例1と同様な方法で、Sr及びCsの選択的吸着特性の評価を行った。吸着特性の評価後の模擬海水中のSr濃度は0.85重量ppm、Cs濃度は0.007重量ppmであった。これより、各金属のKdは以下のとおりであった。
Kd(Cs) : 2,840,000mL/g
Kd(Sr) : 3,530mL/g
また、各金属の除去率は以下のとおりであった。
Cs : 99.3%
Sr : 15%
本比較例のシリコチタネート組成物のCs、及びSrの吸着性能の結果を表19に示す。
比較例3
無定形シリコチタネートゲルが以下の組成となるようにしたこと以外は実施例1と同様な方法で無定形シリコチタネートゲルを得た。
Si/Tiモル比 = 1.34
Na/Tiモル比 = 3.3
Nb/Tiモル比 = 0.35
O/Tiモル比 = 82
実施例1と同様な方法で、無定形シリコチタネートゲルを結晶化し、さらに結晶化物を、冷却、ろ過、洗浄、及び乾燥してシリコチタネート組成物を得た。
XRD測定の結果、得られたシリコチタネート組成物は表18に示すX線回折角、及び回折ピーク強度比を有し、S型シリコチタネートの単相であることを確認した。XRDパターンを図11に示す。得られたシリコチタネート組成物の組成分析の結果を表19に示す。
Figure 2017148803
実施例1と同様な方法で、Sr及びCsの選択的吸着特性の評価を行った。吸着特性の評価後の模擬海水中のSr濃度は0.73重量ppm、Cs濃度は0.008重量ppmであった。これより、各金属のKdは以下のとおりであった。
Kd(Cs) : 2,480,000mL/g
Kd(Sr) : 7,400mL/g
また、各金属の除去率は以下のとおりであった。
Cs : 99.2%
Sr : 27%
本比較例のシリコチタネート組成物のCs、及びSrの吸着性能の結果を表19に示す。
Figure 2017148803
本発明は安価な原料を用いて、安全に生産、且つ汎用のオートクレーブを用いることができるシチナカイト構造を有するシリコチタネートを含む組成物を用いるセシウム又はストロンチウムの少なくともいずれかの吸着方法を提供するものである。このシリコタネート組成物は、海水、地下水、汚染水に共存するCs、Srなどの有害イオンを効率よく処理できる。

Claims (4)

  1. シチナカイト構造を有するシリコチタネート、及びニオブを含有し、なおかつ、少なくとも2θ=8.8±0.5°、2θ=10.0±0.5°、及び2θ=29.6±0.5°からなる群の2以上に回折ピークを有するシリコチタネート組成物を用いるセシウム又はストロンチウムの少なくともいずれかの吸着方法。
  2. 少なくとも以下の表1に示す2θ、及びX線回折ピーク強度比を有する請求項1に記載の組成物を用いるセシウム又はストロンチウムの少なくともいずれかの吸着方法。
    Figure 2017148803
  3. 少なくとも2θ=8.8±0.5°、2θ=10.0±0.5°、及び2θ=29.6±0.5°からなる群の2以上に回折ピークを有する結晶性物質を含む請求項1又は2に記載のシリコチタネート組成物を用いるセシウム又はストロンチウムの少なくともいずれかの吸着方法。
  4. 結晶性物質がニオブ酸塩である請求項3に記載のシリコチタネート組成物を用いるセシウム又はストロンチウムの少なくともいずれかの吸着方法。
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