JP2017145867A - 車両の動力伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】動力伝達経路上に配設され、回転軸間の動きを規制するトレランスリングに発生する磨耗を抑制することのでき構造を提供する。
【解決手段】一方の回転軸に接触し、回転軸間の動きを規制するトレランスリングに設けられた突起部と突起部との間の平坦部に突起部より高さの低い突起を設け、効果的に潤滑油を保持するとともに、トレランスリングの摺動が発生した際に、高さの低い突起部から排出された潤滑油が回転軸間の動きを規制する突起部に潤滑油を供給することのできる位置に、高さの低い突起部を形成することによって、摺動時に発生するトレランスリングの磨耗を軽減する。
【選択図】図8
【解決手段】一方の回転軸に接触し、回転軸間の動きを規制するトレランスリングに設けられた突起部と突起部との間の平坦部に突起部より高さの低い突起を設け、効果的に潤滑油を保持するとともに、トレランスリングの摺動が発生した際に、高さの低い突起部から排出された潤滑油が回転軸間の動きを規制する突起部に潤滑油を供給することのできる位置に、高さの低い突起部を形成することによって、摺動時に発生するトレランスリングの磨耗を軽減する。
【選択図】図8
Description
本発明は、車両に備えられる動力伝達装置に係り、特に、動力伝達経路上に配設されるトレランスリングに関するものである。
同心に設けられた2つの回転軸の内周面と外周面との間にトレランスリングを介在させ、回転軸間の回転を規制又は許容したり、両回転軸間に回転抵抗を付与する技術が開示されている。たとえば、特許文献1においては、トレランスリングをモータ軸の外周面とロックホルダーの内周面との間に圧入し、ステアリング操作時の回転力にモータ駆動に基づく回転を上乗せさせるステアリング機構において、前記モータの停止時におけるトルクリミッタとして用いる技術が開示されている。
特許文献1のトレランスリングにあっては、トレランスリングの環状部から径方向の外側に突き出した突起部が開示されており、この突起部とトレランスリングが配置される回転軸、すなわちモータ軸との間に生じる空間に潤滑油を貯留しこの潤滑油を排出することで、トレランスリングと回転軸とが摺動することによる磨耗を抑制している。ところで、高回転数で連続的に相対回転する一対の回転軸間にトレランスリングを圧入させた場合には、突起内部に貯留する潤滑油が回転から生じる遠心力等によって突起部内に留まり、突起部内から回転軸とトレランスリングとの摺動部に充分に排出されないことがあり、トレランスリングと回転軸との磨耗による負荷を充分に抑制することができないことにより耐久性に影響がでる可能性がある。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、トレランスリングと回転軸とが摺動する部分に潤滑油を効果的に送ることによって摺動による磨耗を効果的に抑制できる技術を提供することにある。
第1の発明の要旨とするところは、共通の軸線まわりに配置された第1回転軸および第2回転軸が互いに嵌合されることで動力伝達可能に連結された車両の動力伝達装置において、前記第1回転軸と前記第2回転軸との間にトレランスリングが介挿されており、前記トレランスリングは、前記第1回転軸および前記第2回転軸のうち一方の回転軸と接触する円筒状の基板部と、該基板部から径方向の外側に突き出して他方の回転軸と接触する複数の突起部と、前記基板部の内周面に開口する凹みを形成し、前記突起部より径方向の外側への突出量が小さい複数の油保持部とを備え、前記トレランスリングの周方向において前記突起部と前記油保持部とが隣接する領域を有することを特徴とする。
第2の発明の要旨とするところは、前記複数の突起部は、回転方向に連続する前記突起部における前記トレランスリングの一方の側縁から前記突起部までの距離を互いに異ならせて設け、前記基板部の前記突起部と該トレランスリングの側縁との間の領域の内、前記突起部と該トレランスリングの側縁とのより大きい領域に前記油保持部が形成されていることを特徴とする。
第3の発明の要旨とするところは、前記油保持部は、前記円筒状の基板部の周方向と略直角をなす方向に長い長手形状を持つことを特徴とする。
第1発明の車両の動力伝達装置によれば、トレランスリングの環状部から径方向の外側に突き出し、一方の回転軸と接触する突起部とともに、突起部より径方向の外側への突き出しが小さい油保持部を備えている。この油保持部は、トランスリングの環状部と接触する回転軸表面からの径方向外側への突き出しが小さいため、高い回転速度で駆動される回転軸において、突起部よりも回転軸と接触するトランスリングの環状部近傍に潤滑油を保持しやすい等により、回転軸とトランスリングとが摺動した場合の潤滑油の排出は、油保持部からの排出が突起部からの排出よりも良好であり、突起部よりも油保持部は、トレランスリングの円筒状の基板と回転軸との間に油膜を形成しやすくなっている。さらに、回転軸とトランスリングとが摺動した場合、すなわち突起部が接触する回転軸と、トランスリングの基板部とが接触するもう一方の回転軸との回転速度差が生じ大きなトルク変動が発生した場合に、突起部の外縁部分に最も大きい負荷がかかることとなるが、摺動方向において突起部と油保持部との一部が連続して配置されているため、油保持部から排出された潤滑油によって形成された油膜の一部に突起部の外縁部分が重なりやすくなるため、効果的に摺動時の磨耗を抑制することができる。
第2発明によれば、突起部と突起部とをトレランスリングの回転方向に密に隣接して配置することが可能となり、たとえば一方の回転軸と他方の回転軸との嵌合する力を増加することができる。また、摺動方向において突起部と油保持部との一部が連続して配置されているため、油保持部から排出された潤滑油によって形成された油膜の一部に突起部の外縁部分が重なりやすくなるため、効果的に摺動時の磨耗を抑制することができる。
第3発明によれば、トレランスリングの円筒状の基板部の周方向と略直角方向に長い形状を持つ油保持部は、同一の面積を持つ円形の油保持部よりも回転軸とトランスリングとが摺動した場合の潤滑油の排出がより良好であり効果的に摺動時の磨耗を抑制することができる。
ここで本発明は、好適には共通の軸線まわりに配置された第1回転軸および第2回転軸が互いに嵌合されることで動力伝達可能に連結された嵌合部を、含んで構成される車両の動力伝達装置において、前記軸線の方向において前記嵌合部近傍であって、前記第1回転軸と前記第2回転軸との間にレストリングが介挿されており構造において、動力伝達装置を構成する回転軸間に形成されるガタで発生する歯打ち音を効果的に抑制することができる。
以下、本発明の一実施例について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明が適用されたハイブリッド車両の動力伝達装置10を説明する骨子図である。図1において、動力伝達装置10は、車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスミッションケース12(以下、ケース12という)内において共通の軸線C上に配設された入力回転部材としての入力軸14と、この入力軸14に直接或いは図示しない脈動吸収ダンパー(振動減衰装置)などを介して間接的に連結された無段変速部としての差動部11(電気式差動部)と、その差動部11から図示しない駆動輪への動力伝達経路上において伝達部材18を介して直列に連結されている自動変速機20と、この自動変速機20に連結されている出力回転部材としての出力軸22とを、直列に備えている。この動力伝達装置10は、例えば車両において縦置きされるFR(フロントエンジン・リヤドライブ)型車両に好適に用いられるものであり、入力軸14に直接に或いは図示しない脈動吸収ダンパーを介して直接的に連結された走行用の動力源として例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であるエンジン8と駆動輪との間に設けられる。そして、エンジン8からの動力を動力伝達経路の一部を構成する図示しない差動歯車装置(終減速機)および車軸等を順次介して駆動輪へ伝達する。
このように、本実施例の動力伝達装置10においては、エンジン8と差動部11とは直結されている。この直結にはトルクコンバータやフルードカップリング等の流体式伝動装置を介すことなく連結されているということであり、例えば上記脈動吸収ダンパーなどを介する連結はこの直結に含まれる。
差動部11は、エンジン8と駆動輪との間の動力伝達経路に連結されており、入力軸14および伝達部材18(出力軸)の差動状態を制御する差動用電動機として機能する第1電動機MG1と、入力軸14に入力されたエンジン8の出力を機械的に分配する機械的機構であってエンジン8の出力を第1電動機MG1および伝達部材18に分配する差動機構としての差動遊星歯車装置24と、出力軸として機能する伝達部材18と一体的に回転するように作動的に連結されている第2電動機MG2と、入力軸14を回転停止させるための固定ブレーキB0とを、備えている。本実施例の第1電動機MG1および第2電動機MG2は発電機能をも有する所謂モータジェネレータであるが、第1電動機MG1は反力を発生させるためのジェネレータ(発電)機能を少なくとも備え、第2電動機MG2は走行用の駆動力源として駆動力を出力する走行用電動機として機能するためモータ(電動機)機能を少なくとも備える。
差動機構として機能する差動遊星歯車装置24は、所定のギヤ比を有するシングルピニオン型の差動遊星歯車装置24を主体として構成されている。この差動遊星歯車装置24は、差動サンギヤS0、差動遊星歯車P0、その差動遊星歯車P0を自転および公転可能に支持する差動キャリヤCA0、差動遊星歯車P0を介して差動サンギヤS0と噛み合う差動リングギヤR0を回転要素として備えている。
この差動遊星歯車装置24においては、差動キャリヤCA0は入力軸14すなわちエンジン8に連結されて第1回転要素RE1を構成し、差動サンギヤS0は第1電動機MG1に連結されて第2回転要素RE2を構成し、差動リングギヤR0は伝達部材18に連結されて第3回転要素RE3を構成している。このように構成された差動遊星歯車装置24は、その差動遊星歯車装置24の3要素である差動サンギヤS0、差動キャリヤCA0、差動リングギヤR0がそれぞれ相互に相対回転可能とされて差動作用が作動可能すなわち差動作用が働く差動状態とされる。これより、エンジン8の出力が第1電動機MG1と伝達部材18に分配されると共に、分配されたエンジン8の出力の一部で第1電動機MG1から発生させられた電気エネルギで蓄電されたり第2電動機MG2が回転駆動される。従って、差動部11は電気的な差動装置として機能させられる。例えば差動部11は所謂無段変速状態とされて、エンジン8の所定回転に拘わらず伝達部材18の回転が連続的に変化させられる。すなわち、差動部11はその変速比(入力軸14の回転速度Nin/伝達部材18の回転速度N18)が最小値γ0minから最大値γ0maxまで連続的に変化させられる電気的な無段変速機として機能する。
自動変速機20は、エンジン8と駆動輪との間の動力伝達経路の一部を構成しており、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置26、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置28を備え、有段式の自動変速機として機能する遊星歯車式の多段変速機である。第1遊星歯車装置26は、第1サンギヤS1、第1遊星歯車P1、その第1遊星歯車P1を自転および公転可能に支持する第1キャリヤCA1、第1遊星歯車P1を介して第1サンギヤS1と噛み合う第1リングギヤR1を備えており、所定のギヤ比を有している。第2遊星歯車装置28は、第2サンギヤS2、第2遊星歯車P2、その第2遊星歯車P2を自転および公転可能に支持する第2キャリヤCA2、第2遊星歯車P2を介して第2サンギヤS2と噛み合う第2リングギヤR2を備えており、所定のギヤ比を有している。
自動変速機20では、第1サンギヤS1は、第1ブレーキB1を介してケース12に選択的に連結されている。また、第1キャリヤCA1と第2リングギヤR2とが一体的に連結されて第2クラッチC2を介して伝達部材18に連結されると共に、第2ブレーキB2を介してケース12に選択的に連結されている。また、第1リングギヤR1と第2キャリヤCA2とが一体的に連結されて出力軸22に連結されている。また、第2サンギヤS2が第1クラッチC1を介して伝達部材18に選択的に連結されている。さらに第1キャリヤCA1と第2リングギヤR2とが一方向クラッチF1を介して非回転部材であるケース12に連結されることで、エンジン8と同方向の回転が許容される一方、逆方向の回転が禁止されている。これにより、第1キャリヤCA1および第2リングギヤR2は、逆回転不能な回転部材として機能する。
自動変速機20は、解放側係合装置の解放と係合側係合装置の係合とによりクラッチツウクラッチ変速が実行されて複数の変速段が選択的に成立させられることにより、略等比的に変化する変速比γ(=伝達部材18の回転速度N18/出力軸22の回転速度Nout)が各変速段毎に得られる。例えば、図2の係合作動表に示されるように、第1クラッチC1の係合および一方向クラッチFにより第1変速段1stが成立させられる。また、第1クラッチC1および第1ブレーキB1の係合により第2変速段2ndが成立させられる。また、第1クラッチC1および第2クラッチC2の係合により第3変速段3rdが成立させられる。また、第2クラッチC2および第1ブレーキB1の係合により第4変速段4thが成立させられる。また、第1クラッチC1および第2ブレーキB2の係合により後進変速段Revが成立させられる。
また、第1電動機MG1および第2電動機MG2によって車両を駆動する際には、固定ブレーキB0が係合される。固定ブレーキB0が係合されると、エンジン8に連結された入力軸14が回転停止させられ、第1電動機MG1の反力トルクが伝達部材18から出力される。従って、第2電動機MG2に加えて第1電動機MG1による駆動が可能となる。このとき自動変速機20は、第1変速段1st〜第4変速段4thの何れかが成立させられる。また、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、および第2ブレーキB2の解放によりニュートラル「N」状態とされる。また、第1変速段1stのエンジンブレーキの際には、第2ブレーキB2が係合させられる。
図3は、差動部11と自動変速機20とを備える動力伝達装置10において、変速段毎に連結状態が異なる各回転要素の回転速度の相対関係を直線上で表すことができる共線図を示している。この図3の共線図は、各遊星歯車装置24、26、28のギヤ比の関係を示す横軸と、相対的回転速度を示す縦軸とから成る二次元座標であり、3本の横線のうちの下側の横線X1が回転速度零を示し、上側の横線X2が回転速度「1.0」すなわち入力軸14に連結されたエンジン8の回転速度Neを示し、X3が差動部11から自動変速機20に入力される後述する第3回転要素RE3の回転速度を示している。
また、差動部11を構成する差動遊星歯車装置24の3つの要素に対応する3本の縦線Y1、Y2、Y3は、左側から順に第2回転要素RE2に対応する差動部サンギヤS0、第1回転要素RE1に対応する差動部キャリヤCA0、第3回転要素RE3に対応する差動部リングギヤR0の相対回転速度を示すものであり、これらの間隔は差動遊星歯車装置24のギヤ比に応じて定められている。
また、自動変速機20の4本の縦線Y4、Y5、Y6、Y7は、左から順に、第4回転要素RE4に対応する第2サンギヤS2、第5回転要素RE5に対応する相互に連結された第1リングギヤR1および第2キャリヤCA2、第6回転要素RE6に対応する相互に連結された第1キャリヤCA1および第2リングギヤR2、第7回転要素RE7に対応する第1サンギヤS1をそれぞれ表し、それらの間隔は第1、第2遊星歯車装置26、28のギヤ比に応じてそれぞれ定められている。
図3の共線図を用いて表現すれば、本実施例の動力伝達装置10は、差動遊星歯車装置24の第1回転要素RE1(差動キャリヤCA0)が入力軸14すなわちエンジン8に連結され、第2回転要素RE2(差動サンギヤS0)が第1電動機MG1に連結され、第3回転要素RE3(差動リングギヤR0)が伝達部材18および第2電動機MG2に連結され、入力軸14の回転を差動遊星歯車装置24および伝達部材18を介して自動変速機20へ伝達するように構成されている。このとき、Y2とX2の交点を通る斜めの直線L0により差動サンギヤS0の回転速度と差動リングギヤR0の回転速度との関係が示される。
例えば、差動部11においては、第1回転要素RE1乃至第3回転要素RE3が相互に相対回転可能とされる差動状態とされており、直線L0と縦線Y3との交点で示される差動リングギヤR0の回転速度が車速Vに拘束されて略一定である場合には、第1電動機MG1の回転速度を制御することによって直線L0と縦線Y1との交点で示される差動サンギヤS0の回転が上昇或いは下降させられると、直線L0と縦線Y2との交点で示される差動キャリヤCA0の回転速度すなわちエンジン回転速度Neが上昇或いは下降させられる。
また、差動部11の変速比が「1.0」に固定されるように第1電動機MG1の回転速度を制御することによって差動サンギヤS0の回転がエンジン回転速度Neと同じ回転とされると、直線L0は横線X2と一致させられ、エンジン回転速度Neと同じ回転で差動リングギヤR0の回転速度すなわち伝達部材18が回転させられる。或いは、差動部11の変速比が「1.0」より小さい値例えば0.7程度に固定されるように第1電動機MG1の回転速度を制御することによって差動サンギヤS0の回転が零とされると、直線L0は図3に示す状態とされ、エンジン回転速度Neよりも増速されて伝達部材18が回転させられる。また、例えば第2電動機MG2を逆回転させることで、直線L0Rに示すように、差動リングギヤR0に連結された伝達部材18の回転速度N18が、零より低い回転速度で回転させられる。
また、自動変速機20において第4回転要素RE4は第1クラッチC1を介して伝達部材18に選択的に連結され、第5回転要素RE5は出力軸22に連結され、第6回転要素RE6は第2クラッチC2を介して伝達部材18に選択的に連結されると共に第2ブレーキB2を介してケース12に選択的に連結され、第7回転要素RE7は第1ブレーキB1を介してケース12に選択的に連結される。
自動変速機20では、例えば差動部11において第1電動機MG1の回転速度を制御することによって差動サンギヤS0の回転速度を略零とすると、直線L0は図3に示す状態とされ、エンジン回転速度Neよりも増速されて第3回転要素RE3に出力される。そして図3に示すように、第1クラッチC1と第2ブレーキB2とが係合させられることにより、第4回転要素RE4の回転速度を示す縦線Y4と横線X3との交点と第6回転要素RE6の回転速度を示す縦線Y6と横線X1との交点とを通る斜めの直線L1と、出力軸22と連結された第5回転要素RE5の回転速度を示す縦線Y5との交点で、第1変速段1stの出力軸22の回転速度が示される。
同様に、第1クラッチC1と第1ブレーキB1とが係合させられることにより決まる斜めの直線L2と、出力軸22と連結された第5回転要素RE5の回転速度を示す縦線Y5との交点で、第2変速段2ndの出力軸22の回転速度が示される。第1クラッチC1と第2クラッチC2とが係合させられることにより決まる水平な直線L3と、出力軸22と連結された第5回転要素RE5の回転速度を示す縦線Y5との交点で、第3変速段3rdの出力軸22の回転速度が示される。第2クラッチC2と第1ブレーキB1とが係合させられることにより決まる斜めの直線L4と、出力軸22と連結された第5回転要素RE5の回転速度を示す縦線Y5との交点で、第4変速段4thの出力軸22の回転速度が示される。また、第2電動機MG2を逆回転させるとともに、第1クラッチC1と第2ブレーキB2とが係合させられることにより決まる斜めの直線LRと、出力軸22と連結された第5回転要素RE5の回転速度を示す縦線Y5との交点で、後進変速段Revの出力軸22の回転速度が示される。
図4は、動力伝達装置10の一部を示す断面図である。図4の動力伝達装置10にあっては、主に差動部11の出力軸として機能する伝達部材18、およびその伝達部材18に連結されている第2電動機MG2の断面図を示している。伝達部材18は、差動遊星歯車装置24の差動リングギヤR0に連結されている入力側回転軸30と、自動変速機22の入力軸としても機能する出力側回転軸32と、第2電動機MG2のロータ軸34とを含んで構成されている。これら入力側回転軸30、出力側回転軸32、およびロータ軸34は、何れも同じ軸線Cまわりに配置されている。なお、出力側回転軸32が本発明の第1回転軸に対応し、ロータ軸34が本発明の第2回転軸に対応している。
入力側回転軸30と出力側回転軸32とは、径方向外側から見て軸線C方向で離れた位置に配置されており、これら入力側回転軸30と出力側回転軸32との間を、第2電動機MG2のロータ軸34が連結している。
第2電動機MG2のロータ軸34は、円筒状に形成され、軸線C方向で互いに向かい合う入力側回転軸30および出力側回転軸32の外周端部(先端)を覆うようにして配置されている。ロータ軸34は、軸線C方向の外周一端が軸受35aを介してケース12に連結された電動機カバー37に回転可能に支持されているとともに、軸線C方向の外周他端が軸受35bを介してケース12に回転可能に支持されている。また、出力側回転軸32は、軸受36等を介してケース12に回転可能に支持されている。
入力側回転軸30には、軸線C方向で出力側回転軸32と向かい合う側の外周面に外周歯38が形成されている。出力側回転軸32には、軸線C方向で入力側回転軸30と向かい合う側の外周面に、入力側回転軸30の外周歯38と同じ形状の外周歯40が形成されている。円筒状に形成されている第2電動機MG2のロータ軸34の内周側には、前記外周歯38および外周歯40とスプライン嵌合する内周歯42が形成されている。そして、この入力側回転軸30の外周歯38とロータ軸34の内周歯42とがスプライン嵌合するとともに、出力側回転軸32の外周歯40とロータ軸34の内周歯42とがスプライン嵌合されている。入力側回転軸30の外周歯38とロータ軸34の内周歯42とが互いにスプライン嵌合されることで、入力側回転軸30とロータ軸34とを動力伝達可能に連結するスプライン嵌合部50が形成される。スプライン嵌合部50において、外周歯38と内周歯42との間にガタが形成されており、このガタの間で入力側回転軸30とロータ軸34との相対回転が許容される。また、出力側回転軸32の外周歯40とロータ軸34の内周歯42とが互いにスプライン嵌合されることで、出力側回転軸32とロータ軸34とを動力伝達可能に連結するスプライン嵌合部52が形成される。スプライン嵌合部52において、外周歯40と内周歯42との間にガタが形成されており、このガタの間で出力側回転軸32とロータ軸34との相対回転が許容される。
ロータ軸34の外周面には、第2電動機MG2を構成するロータ46が固定され、そのロータ46の外周側に、第2電動機MG2を構成するステータ48が配置されている。ロータ46は複数枚の鋼板が積層されることで構成されている。また、ステータ48も同様に、複数枚の鋼板が積層されることで構成され、ケース12に図示しないボルトで回転不能に固定されている。
上記のように構成される動力伝達装置10において、入力側回転軸30にエンジン8のトルクが伝達されると、入力側回転軸30とロータ軸34との間のスプライン嵌合部50を介してロータ軸34にトルクが伝達される。さらに、ロータ軸34と出力側回転軸32とのスプライン嵌合部52を介して出力側回転軸32にトルクが伝達される。従って、第2電動機MG2からトルクが出力されない状態であっても、入力側回転軸30とロータ軸34とのスプライン嵌合部50に形成されるガタが詰められる。
ところで、自動変速機20に入力されるトルクが零であった場合、ロータ軸34と出力側回転軸32との間に形成されるガタは詰まらないため、この間で歯打ち音が発生する可能性がある。また、スプライン嵌合部50とスプライン嵌合部52との間で伝達されるトルクの向きが反転する、たとえば第2電動機MG2を駆動状態から回生に切り替える場合に歯打ち音が発生する可能性があり、これを抑制するため、本実施例では、軸線C方向でスプライン嵌合部52近傍であって、ロータ軸34と出力側回転軸32との間に、トレランスリング54が介挿されている。
出力側回転軸32の外周面には、円環状の環状溝56が形成され、この環状溝56によって形成される環状空間にトレランスリング54が収容されている。図5は、トレランスリング54の形状を示している。
図5に示すトレランスリング54は、金属製の弾性材料から構成され、周方向の一部に切欠62が形成された略円環状に形成されている。トレランスリング54は、略円環状に形成されている環状部64と環状部64から径方向外側に突き出す複数個の外向突起部66とを備えている。環状部64は、周方向の一部に切欠62が形成されていることから、弾性変形させることが可能となり、出力側回転軸32に予め嵌め付けることが可能となる。なお、外向突起部66が、本発明の突起部に対応している。
外向突起部66は、環状部64の幅方向(図5において左右方向)の略中央から左右の幅方向に交互に略一定寸法ずらされて配置されており、組付後においてロータ軸34に当接させられる。外向突起部66は、周方向で等角度間隔に配置されており、周方向で隣り合う外向突起部66の間に平坦面68が形成されている。なお、平坦面68は、環状部64の一部として機能する。外向突起部66は、軸線C方向から見てそれぞれ台形状に形成されており、径方向の外側には、組付後においてロータ軸34の内周面と当接する当接面70が形成されている。ここで、トレランスリング54は、一枚の鋼板がプレス加工されることによって成形されるものであり、図5の破線で示すように、外向突起部66の裏側には、出力側回転軸32の外周面に開口する凹状の空間である、外向突起凹部67が形成されている。また、トレランスリング54の硬さは、出力側回転軸32の外周表面およびロータ軸34の内周表面の硬さよりも低い値に設定されている。
また、スプライン嵌合部50とスプライン嵌合部52との間で伝達されるトルクの向きが反転する、たとえば第2電動機MG2を駆動状態から回生に切り替える場合に、トレランスリング54は、その環状部64の内周面と出力側回転軸32の環状溝56との間でわずかに摺動が生じ、外向突起部66の当接面70とロータ軸34の内周面(後述する内周インロー面80)との間では滑りが生じないように設計されている。例えば、トレランスリング54の環状部64と出力側回転軸32とが接触する総面積が、トレランスリング54の外向突起部66の当接面70とロータ軸34とが接触する総面積よりも大きくされている。
図4に戻り、トレランスリング54の環状部64と接触する出力側回転軸32内には、軸線Cに平行な軸線方向油路72、およびその軸線方向油路72と環状溝56(環状空間)とを連通する第1径方向油路74が形成されている。さらに、出力側回転軸32には、軸線方向油路72とケース12内に形成されている供給油路73とを連通する第2径方向油路75が形成されている。図示しない油圧制御回路からケース12の供給油路73に供給された潤滑油は、第2径方向油路75、軸線方向油路72、および第1径方向油路74を通って、トレランスリング54が収容されている環状空間(環状溝56)に供給される。供給された潤滑油は、トレランスリング54を潤滑したり、トレランスリング54の摩耗による摩耗粉を洗浄したり、トレランスリング54を冷却したりする。また、トレランスリング54を潤滑した潤滑油は、出力側回転軸32に形成されている後述する溝86を通って排出される。
また、出力側回転軸32には、軸線C方向で外周歯40とトレランスリング54が収容される環状溝56との間に、第1外周インロー面76が形成されている。また、出力側回転軸32には、軸線C方向で第1外周インロー面76から環状溝56を隔てた位置に、第2外周インロー面78が形成されている。すなわち、出力側回転軸32の外周歯40を基準にして軸線C方向で第1外周インロー面76および環状溝56よりも遠ざかる位置に、第2外周インロー面78が形成されている。よって、軸線C方向で第1外周インロー面76と第2外周インロー面78との間に、トレランスリング54が配置される。
また、ロータ軸34の内周側には、組付後において第1外周インロー面76および第2外周インロー面78と嵌合する内周インロー面80が形成されている。内周インロー面80は、組付後において軸線C方向で第1外周インロー面76および第2外周インロー面78と嵌合可能な長さに設定されている。
第1外周インロー面76と内周インロー面80とが嵌合すると、すきまばめであるものの、第1外周インロー面76と内周インロー面80との間でガタつくことなく嵌り合うように、第1外周インロー面76および内周インロー面80の寸法(寸法公差)が設定されている。また、第2外周インロー面78と内周インロー面80とが嵌合すると、すきまばめであるものの、第2外周インロー面78と内周インロー面80との間でガタつくことなく嵌り合うように、第2外周インロー面78および内周インロー面80の寸法(寸法公差)が設定されている。
第1インロー部82と第2インロー部84とは、何れも同じ寸法関係を有して構成されている。すなわち、第1外周インロー面76および第2外周インロー面78の外径は同じであり、内周インロー面80の穴の径についても同じである。また、トレランスリング54の軸線C方向の両側に、第1インロー部82および第2インロー部84が形成される。これら第1インロー部82および第2インロー部84は密閉性が高いことから、出力側回転軸32の環状溝56によって形成される環状空間に潤滑油が溜まりやすくなる。
図6は、第1インロー部82を切断線Aで切断した断面図であって、出力側回転軸32の第1外周インロー面76側の形状を示している。図6において左側が第1インロー部82を軸線C方向から見た図であり、右側が第1インロー部82を径方向外側から見た図である。図6に示すように、第1外周インロー面76を軸線C方向から見ると、第1外周インロー面76には、軸線C方向の両側を貫通する軸線Cに平行な溝86が等角度間隔で複数本(本実施例では4本)形成されている。第1外周インロー面76に溝86が形成されることで、第1インロー部82に隙間が形成され、この隙間が環状空間における潤滑油排出口として機能する。すなわち、油路72および径方向油路74を経由してトレランスリング54に供給された潤滑油は、トレランスリング54を潤滑したあと、溝86を通って排出される。
トレランスリング54は、組付後において、出力側回転軸32とロータ軸34との間で圧縮変形させられることで、出力側回転軸32とトレランスリング54との接触面、およびロータ軸34とトレランスリング54との接触面との間で、互いの面を垂直に押圧する押圧力が発生する。この押圧力と、接触面の間の摩擦係数とに基づいて摩擦抵抗が発生するため、トレランスリング54によってロータ軸34と出力側回転軸32とが、周方向で互いにガタつくことが制限される。しかしながら、スプライン嵌合部50とスプライン嵌合部52との間で伝達されるトルクの向きが反転する比較的大きなトルク変動、たとえば第2電動機MG2を駆動状態から回生に切り替える場合においては、トレランスリング54が出力側回転軸32の外周表面と接触する部分において摺動が生じることがあり、摺動による磨耗を抑制する必要が生じる。トレランスリング54に摺動が生じる場合には、外向突起部66の回転方向と略直角をなす外縁部分に最も大きな摩擦力が発生することとなる。
図5のトレランスリング54において潤滑油は、トレランスリング54の外向突起部66の裏側に形成される空間である、外向突起凹部67内に保持される。しかし、トレランスリング54に摺動が生じる場合、すなわち外向突起部66の回転方向と略直角をなす外縁部分に最も大きな摩擦力が発生する場合、トレランスリング54の外向突起部66に変形が生じやすくなる。外向突起部66が変形した場合は、特に外向突起凹部67の外縁(開口縁)の四隅からの潤滑油の漏れが発生することにより、外向突起凹部67内に保持される潤滑油の量が減少しやすくなる。外向突起凹部67内に保持される潤滑油が減少した場合に、更に遠心力で外向突起凹部67の奥に集められると外向突凹部67の外縁部分にうまく届かない。この状態で比較的大きなトルク変動が生じた場合には、最も大きな摩擦力が発生する外向突起凹部67の外縁部分に充分な潤滑油が供給されず、磨耗が生じやすくなる。特にトレランスリング54の回転速度が高い場合、すなわち出力側回転軸32が高い回転速度で回転している場合には、外向突起部66の裏側に形成される空間である外向突起凹部67の奥に保持される潤滑油が回転によって生じる遠心力等により、外向突起凹部67の外縁部分に充分排出されないことがあり外向突起部66の回転方向と略直角をなす外縁部分に摩擦力を生じやすくなる。
図7は、図5のトレランスリング54の略円環状に形成されている環状部64を水平に展開した図であり、図示された複数の外向突起部66の一つには当接面70を図示し、その他の外向突起部66には当接面70を図示せず外向突起部66の外縁のみ示している。図8は、本発明における油保持部60を備えたトレランスリング54の一例であり、環状部64を水平に展開した図である。複数の油保持部60は、環状部64に形成され、主に外向突起部66と周方向に隣り合った他の外向突起部66との間の平坦面68に形成されている。油保持部60は、図10で示された断面図のように外向突起部66の裏側の面、すなわちトレランスリング54が出力側回転軸32に接する面に油保持凹部61を持ち、潤滑油を保持するように形成されており、油保持部60の径方向の外側への突き出しは、外向突起部66より小さく設定されている。
油保持凹部61の深さは、外向突起凹部67の30%以下が好ましく、外向突起凹部67の10%から20%の範囲がさらに好ましい。また、トレランスリング54の回転方向、すなわち周方向の油保持凹部61の幅についても、外向突起凹部67の回転方向の幅の30%以下が好ましく、外向突起凹部67の10%から20%の範囲がさらに好ましい。油保持部60の形成にはトレランスリング54の板厚より浅い油保持凹部67を数多く形成するディンプル加工が好適に用いられる。
上述の構成によれば、トレランスリング54にトルク変動が生じ当接面70を持つ外向突起部66に変形が生じたとしても、油保持部60は、出力側回転軸32と接触していないためトルク変動による外力を直接受けないこと、および平坦面68を中心として環状部64に形成されているため外向突起部66と比較して変形が小さく、保持されている潤滑油の減少も少ない。また、径方向の外側への突き出しも外向突起部66より小さいためトレランスリング54の回転速度が高い場合にも、遠心力の影響を受けにくく、外向突起凹部67と比較し、油保持凹部61には、より安定に潤滑油が保持される。さらに、複数の油保持部60は、外向突起部66とトレランスリング54の周方向に隣り合った他の外向突起部66との間の平坦面68に主に形成されているため、トレランスリング54が出力側回転軸32の外周表面と接触する部分において摺動が生じた場合、油保持凹部61から出力回転軸32の表面に拡がった潤滑油は外向突起部66の外縁の一部に達することとなり、外向突起部66の外縁の磨耗を効果的に抑制することができる。
つぎに、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図9は、本発明の他の実施例であり、油保持部60を備えたトレランスリング54の他の一例であり、環状部64を水平に展開した図である。外向突起部66は、環状部64の幅方向(図9において上下方向)の中央から上下の幅方向に交互に略一定寸法ずらされて配置されている。また複数の油保持部60の一部は、一つの外向突起部66とその外向突起部66から二番目に隣接した外向突起部66との間の領域を含む環状部、すなわちトレランスリング54の摺動が発生した場合に、油保持部60の油保持凹部61に保持された潤滑油が外向突起凹部67の外縁に供給される位置に配置され、さらに環状部64の中央から略一定寸法ずらされて配置された外向突起部66の外縁から、トレランスリング54の周方向の端部までの上下の領域のより広い領域側に配置されている。図10は、外向突起部66と油保持部60とを切断線Bで切断した断面図である。図10で示された断面図のように、油保持部60は、トレランスリング54が出力側回転軸32に接する面に油保持凹部61によって潤滑油を保持するように形成され、径方向の外側への突き出しは、外向突起部66より小さく設定されている。なお、外向突起部66は環状部64の幅方向(図9において上下方向)の中央から上下の幅方向に交互に略一定寸法ずらされて配置されるものとしたが、特に略一定寸法である必要は無く、トレランスリング54が摺動した場合に複数の油保持部60の一部から外向突起凹部67の外縁に潤滑油が供給される位置にあれば良い。
油保持凹部61の深さは、外向突起凹部67の30%以下が好ましく、外向突起凹部67の10%から20%の範囲がさらに好ましい。また、トレランスリング54の回転方向、すなわち周方向の油保持凹部の幅についても、外向突起凹部67の回転方向の幅の30%以下が好ましく、外向突起凹部67の10%から20%の範囲がさらに好ましい。油保持部60の形成にはトレランスリング54の板厚より浅い油保持凹部67を数多く形成するディンプル加工が好適に用いられる。
上述の構成によれば、実施例1と同様に、トレランスリング54にトルク変動が生じ当接面70を持つ外向突起部66に変形が生じたとしても保持されている潤滑油の減少も少ない。また、径方向の外側への突き出しも外向突起部66より小さいためトレランスリング54の回転速度が高い場合にも、遠心力の影響を受けにくく、外向突起凹部67と比較し、油保持凹部61には、より安定に潤滑油が保持される。複数の油保持部60の一部は、外向突起部66とトレランスリング54の周方向に隣り合った環状部64に形成されているため、トレランスリング54が出力側回転軸32の外周表面と接触する部分において摺動が生じた場合、油保持部60から出力回転軸32の表面に拡がった潤滑油は外向突起凹部67の外縁の一部に達することとなり、外向突起凹部67の外縁の磨耗を効果的に抑制することができる。さらに、本実施例によれば、トレランスリング54の周方向に対し外向突起部66と隣接する外向突起部との間隔を小さくすることが可能となり、外向突起部66によるロータ軸34の内周面の保持力を容易に増加することができる。
つぎに、本発明のさらに他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図11は、本発明のさらに他の実施例であり、油保持部60を備えたトレランスリング54の他の一例であり、環状部64を水平に展開した図である。外向突起部66は、環状部64の幅方向(図11において上下方向)の中央から上下の幅方向に交互に略一定寸法ずらされて配置され、複数の油保持部60とともに実施例2とほぼ同一の位置関係に配置されている。しかし、図11において油保持部60は、トレランスリング54の周方向と略直角をなす方向に長い溝をもつ形状に形成されている。
油保持凹部61の深さは、外向突起凹部67の30%以下が好ましく、外向突起凹部67の10%から20%の範囲がさらに好ましい。また、トレランスリング54の回転方向、すなわち周方向の油保持凹部の幅についても、外向突起凹部67の回転方向の幅の30%以下が好ましく、外向突起凹部67の10%から20%の範囲がさらに好ましい。
トレランスリング54の周方向と略直角をなす方向に長い形状の場合は、同一の面積の円形の形状に対し、トレランスリング54が高い回転速度で回転させられた場合においても潤滑油の保持力が高くなる。このためトレランスリング54にトルク変動が加わりトレランスリング54に摺動が発生した場合に、より確実に油保持部60の油保持凹部61から潤滑油を供給することが可能となる。
なお、上記の実施例において油保持部60の位置を図9と同一、すなわち、外向突起部66は環状部64の幅方向(図11において上下方向)の中央から上下の幅方向に交互に略一定寸法ずらされて配置され、一つおきの外向突起部66の間のより広い環状部64に油保持部60を設置するものとしたが、特にこの位置でなく、たとえば図8における位置、すなわち複数の油保持部60は、外向突起部66と周方向に隣り合った他の外向突起部66との間の平坦面68に主に形成されるものとしても良い。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の様態においても適用される。
例えば、前述の実施例では、動力伝達装置10は、2つの電動機を備えたハイブリッド形式の動力伝達装置であったが、本発明は、必ずしも本実施例のハイブリッド形式の動力伝達装置に限定されない。例えば、電動機を1つ備えたハイブリッド形式の動力伝達装置や、電動機を備えない動力伝達装置に本発明が適用されても構わない。本発明は、一対の回転軸が互いに嵌合されることで動力伝達装置に連結された嵌合部を含んで構成される動力伝達装置であれば、適宜適用することができる。このことから、本発明は、ロータ軸と出力側回転軸とのスプライン嵌合部にも限定されない。
また、前述の実施例では、自動変速機20は前進4段の有段式の変速機であったが、変速段数や内部の連結構成についても特に限定されない。また、有段式の自動変速機20に代わって、例えばベルト式無段変速機をはじめとする無段変速機が適用されても構わない。
また、前述の実施例では、出力側回転軸32にトレランスリング54に潤滑油を供給するための油路が形成されていたが、ロータ軸34側に前記油路が形成されていても構わない。
また、前述の実施例では、油保持部60の形状が同一の円形もしくは、異なった長さをもつ長方形として説明されていたが、特に同一の寸法の円形である必要はなく、異なった寸法の円を持つ複数の油保持部60を一つのトレランスリング54に形成しても良い。また、円形と長方形を組み合わせて複数の油保持部60を形成しても良く、さらに潤滑油の保持を妨げない範囲において、円形、長方形を変形した形状もしくは多角形としても良い。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:動力伝達装置
30、32:第1回転軸、第2回転軸
60:油保持部
64:環状部(基板部)
66:外向突起部(突起部)
30、32:第1回転軸、第2回転軸
60:油保持部
64:環状部(基板部)
66:外向突起部(突起部)
Claims (3)
- 共通の軸線まわりに配置された第1回転軸および第2回転軸が互いに嵌合されることで動力伝達可能に連結された車両の動力伝達装置において、
前記第1回転軸と前記第2回転軸との間にトレランスリングが介挿されており、
前記トレランスリングは、前記第1回転軸および前記第2回転軸のうち一方の回転軸と接触する円筒状の基板部と、該基板部から径方向の外側に突き出して他方の回転軸と接触する複数の突起部と、前記基板部の内周面に開口する凹みを形成し、前記突起部より径方向の外側への突出量が小さい複数の油保持部とを備え、
前記トレランスリングの周方向において前記突起部と前記油保持部とが隣接する領域を有する
ことを特徴とする車両の動力伝達装置。 - 前記複数の突起部は、回転方向に連続する前記突起部における前記トレランスリングの一方の側縁から前記突起部までの距離を互いに異ならせて設け、前記基板部の前記突起部と該トレランスリングの側縁との間の領域の内、前記突起部と該トレランスリングの側縁とのより大きい領域に前記油保持部が形成されている
ことを特徴とする請求項1の車両用動力伝達装置。 - 前記油保持部は、前記円筒状の基板部の周方向と略直角をなす方向に長い長手形状を持つ
ことを特徴とする請求項1または請求項2の車両用動力伝達装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016027203A JP2017145867A (ja) | 2016-02-16 | 2016-02-16 | 車両の動力伝達装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016027203A JP2017145867A (ja) | 2016-02-16 | 2016-02-16 | 車両の動力伝達装置 |
Publications (1)
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Country Status (1)
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JP (1) | JP2017145867A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017537272A (ja) * | 2014-09-23 | 2017-12-14 | サン−ゴバン パフォーマンス プラスティックス コーポレイション | 溝を有するアセンブリ |
-
2016
- 2016-02-16 JP JP2016027203A patent/JP2017145867A/ja active Pending
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