JP2022125649A - 車両用駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】入力軸、回転電機、出力用差動歯車機構、及び変速機を備えた構成において、車両への搭載性を高く確保しやすい車両用駆動装置を実現する。【解決手段】車両用駆動装置100は、内燃機関EGの出力軸である内燃機関出力軸ESと同軸に配置され、内燃機関出力軸ESに駆動連結される入力軸Iと、回転電機MG1と、入力される回転を一対の車輪W1に分配する出力用差動歯車機構DF1と、入力軸I及び回転電機MG1の側から伝達される回転を、選択された変速比で変速して出力用差動歯車機構DF1の側へ伝達する変速機TMと、を備える。入力軸Iが、第1軸X1上に配置され、変速機TMが、第1軸X1とは異なる第2軸X2上に配置され、回転電機MG1及び出力用差動歯車機構DF1が、第1軸X1及び第2軸X2とは異なる第3軸X3上に配置されている。【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関の出力軸と同軸に配置されて当該出力軸に駆動連結される入力軸と、回転電機と、入力される回転を一対の車輪に分配する出力用差動歯車機構と、入力軸及び回転電機の側から伝達される回転を変速して出力用差動歯車機構の側へ伝達する変速機と、を備えた車両用駆動装置に関する。
このような車両用駆動装置の一例が、特表2020-525358号公報(特許文献1)に開示されている。以下、この背景技術の説明では、特許文献1における符号を括弧内に引用する。
特許文献1の図1に示されている車両用駆動装置は、内燃機関(3)の出力軸(18)と同軸に配置されて当該出力軸(18)に駆動連結される入力軸(8)と、回転電機(4)と、入力される回転を一対の車輪に分配する出力用差動歯車機構(30)と、入力軸(8)及び回転電機(4)の側から伝達される回転を変速して出力用差動歯車機構(30)の側へ伝達する変速機(19)と、を備えている。
特許文献1の図1に示されている車両用駆動装置では、入力軸と、回転電機と、出力用差動歯車機構と、変速機とが、互いに異なる4つの軸に分かれて配置されている。そのため、車両用駆動装置の軸方向視での寸法が大きくなりやすく、車両への搭載性を確保し難くなるおそれがある。車両用駆動装置の軸方向視での寸法を小さく抑えるために、特許文献1の図3等に示されるように回転電機を入力軸と同軸に配置して、車両用駆動装置の軸数を少なく抑えることも考えられる。しかしながら、この場合、回転電機が内燃機関に対して軸方向に並んで配置されるため、車両用駆動装置及び内燃機関を含む駆動ユニットが軸方向に大型化して、車両への搭載性が低下し得る。
そこで、入力軸、回転電機、出力用差動歯車機構、及び変速機を備えた構成において、車両への搭載性を高く確保しやすい車両用駆動装置の実現が望まれる。
本開示に係る車両用駆動装置は、内燃機関の出力軸である内燃機関出力軸と同軸に配置され、前記内燃機関出力軸に駆動連結される入力軸と、回転電機と、入力される回転を一対の車輪に分配する出力用差動歯車機構と、前記入力軸及び前記回転電機の側から伝達される回転を、選択された変速比で変速して前記出力用差動歯車機構の側へ伝達する変速機と、を備え、前記入力軸が、第1軸上に配置され、前記変速機が、前記第1軸とは異なる第2軸上に配置され、前記回転電機及び前記出力用差動歯車機構が、前記第1軸及び前記第2軸とは異なる第3軸上に配置されている。
本構成では、第1軸、第2軸、及び第3軸の3つの軸に分かれて配置される入力軸、変速機、及び出力用差動歯車機構のうちの1つである出力用差動歯車機構と同軸に、回転電機が配置される。よって、回転電機がこれら3つの軸とは異なる第4軸上に配置される場合に比べて、車両用駆動装置の軸数を少なく抑えて、車両用駆動装置の軸方向視での寸法を小さく抑えることができる。また、本構成では、軸方向寸法が比較的大きい変速機が、軸方向寸法が比較的大きい内燃機関が配置される第1軸とは異なる第2軸上に配置されると共に、回転電機が、軸方向寸法が比較的小さい出力用差動歯車機構と共に第3軸上に配置される。よって、いずれも軸方向寸法が比較的大きい内燃機関と変速機とを互いに並列に配置することができると共に、回転電機及び出力用差動歯車機構を、軸方向寸法が比較的大きいこれらの変速機及び内燃機関とは別軸にこれらと並列に配置することができる。そのため、車両用駆動装置及び内燃機関を含む駆動ユニットの軸方向寸法も小さく抑えやすい。
以上のように、本構成によれば、入力軸、回転電機、出力用差動歯車機構、及び変速機を備えた構成において、車両用駆動装置の軸数を少なく抑えて、車両用駆動装置の軸方向視での寸法を小さく抑えることができると共に、車両用駆動装置及び内燃機関を含む駆動ユニットの軸方向寸法も小さく抑えやすい。この結果、車両用駆動装置の車両への搭載性を高く確保しやすくなっている。
車両用駆動装置の更なる特徴と利点は、図面を参照して説明する実施形態についての以下の記載から明確となる。
〔第1の実施形態〕
車両用駆動装置の第1の実施形態について、図面(図1~図4)を参照して説明する。図1及び図2に示すように、車両用駆動装置100は、第1車輪W1を駆動する第1駆動ユニット100Aと、第2車輪W2を駆動する第2駆動ユニット100Bと、を備えている。本実施形態では、第1車輪W1は車両の前輪であり、第2車輪W2は車両の後輪である。本実施形態では、第1車輪W1が「車輪」に相当する。
車両用駆動装置の第1の実施形態について、図面(図1~図4)を参照して説明する。図1及び図2に示すように、車両用駆動装置100は、第1車輪W1を駆動する第1駆動ユニット100Aと、第2車輪W2を駆動する第2駆動ユニット100Bと、を備えている。本実施形態では、第1車輪W1は車両の前輪であり、第2車輪W2は車両の後輪である。本実施形態では、第1車輪W1が「車輪」に相当する。
図1に示すように、車両用駆動装置100(具体的には、第1駆動ユニット100A)は、内燃機関EGの出力軸である内燃機関出力軸ESに駆動連結される入力軸Iと、第1回転電機MG1と、第1出力用差動歯車機構DF1と、変速機TMと、を備えている。変速機TMは、入力軸I及び第1回転電機MG1の側から伝達される回転を、選択された変速比で変速して第1出力用差動歯車機構DF1の側へ伝達する。すなわち、変速機TMは、入力軸I及び第1回転電機MG1と、第1出力用差動歯車機構DF1と、の間の動力伝達経路に配置されている。本実施形態では、車両用駆動装置100(具体的には、第1駆動ユニット100A)は、更に、分配用差動歯車機構SPと、第1係合装置CL1と、第2係合装置CL2と、内燃機関出力軸ESから入力軸Iに伝達される回転方向の振動を減衰させるダンパDPと、を備えている。本実施形態では、第1回転電機MG1が「回転電機」に相当し、第1出力用差動歯車機構DF1が「出力用差動歯車機構」に相当する。
ここで、本願において「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が1つ又は2つ以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材(例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等)が含まれる。なお、伝動部材として、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置(例えば、摩擦係合装置、噛み合い式係合装置等)が含まれていてもよい。但し、差動歯車機構の各回転要素について「駆動連結」という場合には、当該差動歯車機構が備える3つ以上の回転要素に関して互いに他の回転要素を介することなく駆動連結されている状態を指すものとする。
入力軸Iは、第1軸X1上に配置されている。内燃機関出力軸ES及びダンパDPも、第1軸X1上に配置されている。つまり、入力軸Iは、内燃機関出力軸ES及びダンパDPと同軸に配置されている。変速機TMは、第1軸X1とは異なる第2軸X2上に配置されている。第1回転電機MG1及び第1出力用差動歯車機構DF1は、第1軸X1及び第2軸X2とは異なる第3軸X3上に配置されている。本実施形態では、分配用差動歯車機構SP、第1係合装置CL1、及び第2係合装置CL2のそれぞれが、第1軸X1上又は第2軸X2上に配置されている。すなわち、分配用差動歯車機構SPは、第1軸X1上又は第2軸X2上に配置され、第1係合装置CL1は、第1軸X1上又は第2軸X2上に配置され、第2係合装置CL2は、第1軸X1上又は第2軸X2上に配置されている。本実施形態では、分配用差動歯車機構SP、第1係合装置CL1、及び第2係合装置CL2の全てが、第1軸X1上に配置されている。
図2に示すように、本実施形態では、第2駆動ユニット100Bは、第2回転電機MG2と、カウンタギヤ機構CGと、第2出力用差動歯車機構DF2と、を備えている。
第2回転電機MG2は、第11軸X11上に配置されている。そして、カウンタギヤ機構CGは、第11軸X11とは異なる第12軸X12上に配置されている。また、第2出力用差動歯車機構DF2は、第11軸X11及び第12軸X12とは異なる第13軸X13上に配置されている。
本例では、上記の各軸(第1軸X1~第3軸X3、第11軸X11~第13軸X13)は、互いに平行に配置されている。以下の説明では、上記の各軸に平行な方向を、車両用駆動装置100の「軸方向L」とする。すなわち、第1軸X1、第2軸X2、及び第3軸X3に平行な方向を軸方向Lとする。そして、軸方向Lの一方側(具体的には、軸方向Lにおける内燃機関EGに対して入力軸Iが配置された側、図1参照)を「軸方向第1側L1」とし、軸方向Lの他方側(軸方向第1側L1とは反対側)を「軸方向第2側L2」とする。また、上記の各軸に直交する方向を、各軸を基準とした「径方向R」とする。なお、どの軸を基準とするかを区別する必要がない場合やどの軸を基準とするかが明らかである場合には、単に「径方向R」と記す場合がある。
図1に示すように、入力軸Iは、内燃機関EGに対して軸方向第1側L1に配置されている。そして、入力軸Iは、ダンパDPを介して、内燃機関出力軸ESに駆動連結されている。内燃機関EGは、第1車輪W1の駆動力源として機能する。内燃機関EGは、燃料の燃焼により駆動されて動力を取り出す原動機(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等)である。
第1回転電機MG1は、第1車輪W1の駆動力源として機能する。第1回転電機MG1は、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能とを有している。具体的には、第1回転電機MG1は、バッテリやキャパシタ等の蓄電装置との間で電力の授受を行うように、当該蓄電装置と電気的に接続されている。そして、第1回転電機MG1は、蓄電装置に蓄えられた電力により力行して駆動力を発生する。また、第1回転電機MG1は、内燃機関EGの駆動力、又は第1出力用差動歯車機構DF1の側から伝達される駆動力により発電を行って蓄電装置を充電する。
第1回転電機MG1は、非回転部材(例えば、第1回転電機MG1等を収容するケース)に固定された第1ステータST1と、当該第1ステータST1に対して相対回転可能に支持された第1ロータRT1と、を備えている。本実施形態では、第1ロータRT1は、第1ステータST1に対して径方向Rの内側に配置されている。車両用駆動装置100は、第1回転電機MG1の第1ロータRT1と一体的に回転する第1ロータ軸RS1を備えている。本実施形態では、第1ロータRT1が「ロータ」に相当し、第1ロータ軸RS1が「ロータ軸」に相当する。
分配用差動歯車機構SPは、第1分配用回転要素E1と、第2分配用回転要素E2と、第3分配用回転要素E3と、を備えている。第1分配用回転要素E1は、入力軸Iに駆動連結されている。第2分配用回転要素E2は、変速機TMに駆動連結されている。第3分配用回転要素E3は、第1回転電機MG1の第1ロータRT1に駆動連結されている。
本実施形態では、分配用差動歯車機構SPは、第1サンギヤS1、第1キャリヤC1、及び第1リングギヤR1を備えた遊星歯車機構である。本例では、分配用差動歯車機構SPは、第1ピニオンギヤP1を支持する第1キャリヤC1と、第1ピニオンギヤP1に噛み合う第1サンギヤS1と、当該第1サンギヤS1に対して径方向Rの外側に配置されて第1ピニオンギヤP1に噛み合う第1リングギヤR1と、を備えたシングルピニオン型の遊星歯車機構である。なお、分配用差動歯車機構SPは、ダブルピニオン型の遊星歯車機構等の、シングルピニオン型以外の遊星歯車機構であってもよい。
本実施形態では、第1分配用回転要素E1は、第1サンギヤS1である。そして、第2分配用回転要素E2は、第1キャリヤC1である。また、第3分配用回転要素E3は、第1リングギヤR1である。したがって、本実施形態に係る分配用差動歯車機構SPの各回転要素の回転速度の順は、第1分配用回転要素E1、第2分配用回転要素E2、第3分配用回転要素E3の順となっている。ここで、「回転速度の順」とは、各回転要素の回転状態における回転速度の順番のことである。各回転要素の回転速度は、遊星歯車機構の回転状態によって変化するが、各回転要素の回転速度の高低の並び順は、遊星歯車機構の構造によって定まるものであるため一定となる。
本実施形態では、車両用駆動装置100は、第1軸X1と第2軸X2との間の動力伝達を行う第1ギヤ11及び第2ギヤ12を更に備えている。本実施形態では、第1ギヤ11及び第2ギヤ12は、分配用差動歯車機構SPと変速機TMとの間の動力伝達経路に配置されている。
第1ギヤ11は、第1軸X1上に配置されている。本実施形態では、第1ギヤ11は、第2分配用回転要素E2に駆動連結されている。ここでは、第1ギヤ11は、第2分配用回転要素E2と一体的に回転するように連結されている。
第2ギヤ12は、第2軸X2上に配置されている。本実施形態では、第2ギヤ12は、変速機TMの入力軸である変速入力軸61に駆動連結されている。ここでは、第2ギヤ12は、変速入力軸61と一体的に回転するように連結されている。
本実施形態では、第1ギヤ11と第2ギヤ12とのそれぞれが、第1軸X1~第3軸X3とは異なる第4軸X4上に配置された第1アイドラギヤ21に噛み合っている。つまり、本実施形態では、第1ギヤ11と第2ギヤ12とは、第1アイドラギヤ21の周方向の互いに異なる位置において、第1アイドラギヤ21に噛み合っている。これにより、第1ギヤ11と第2ギヤ12とは、第1アイドラギヤ21を介して互いに連動して回転するように連結されている。なお、図1や後に参照する図6~図9において、2つのギヤ同士を結ぶ破線(例えば、第1ギヤ11と第1アイドラギヤ21とを結ぶ破線)は、これら2つのギヤが噛み合っていることを示している。
また、本実施形態では、車両用駆動装置100は、第3軸X3と分配用差動歯車機構SPが配置される軸(本実施形態では、第1軸X1)との間の動力伝達を行う第3ギヤ13及び第4ギヤ14を更に備えている。
第3ギヤ13は、第3軸X3上に配置されている。そして、第3ギヤ13は、第1ロータRT1に駆動連結されている。本実施形態では、第3ギヤ13は、第1ロータRT1に対して軸方向第1側L1に配置されている。そして、第3ギヤ13は、第3軸X3上に配置された第1ロータ軸RS1を介して、第1ロータRT1と一体的に回転するように連結されている。
第4ギヤ14は、分配用差動歯車機構SPが配置される軸上に配置され、本実施形態では、第1軸X1上に配置されている。ここでは、第4ギヤ14は、第1ギヤ11に対して軸方向第2側L2に配置されている。そして、第4ギヤ14は、第3分配用回転要素E3に駆動連結されている。本実施形態では、第4ギヤ14は、第3分配用回転要素E3としての第1リングギヤR1に対して径方向Rの外側に配置されている。そして、第4ギヤ14は、第1リングギヤR1と一体的に回転するように連結されている。
本実施形態では、第3ギヤ13と第4ギヤ14とのそれぞれが、第1軸X1~第4軸X4とは異なる第5軸X5上に配置された第2アイドラギヤ22に噛み合っている。つまり、本実施形態では、第3ギヤ13と第4ギヤ14とは、第2アイドラギヤ22の周方向の互いに異なる位置において、第2アイドラギヤ22に噛み合っている。これにより、第3ギヤ13と第4ギヤ14とは、第2アイドラギヤ22を介して互いに連動して回転するように連結されている。
第1係合装置CL1は、入力軸Iと第1分配用回転要素E1との間の動力伝達経路に配置されている。そして、第1係合装置CL1は、入力軸Iと第1分配用回転要素E1との間の動力伝達を断接するように(すなわち、選択的に切断又は接続するように)構成されている。本例では、第1係合装置CL1は、一対の摩擦部材を備え、当該一対の摩擦部材同士の係合の状態が油圧によって制御される摩擦係合装置である。これにより、第1係合装置CL1を滑り係合状態として、第1係合装置CL1の伝達トルク容量を制御することができる。したがって、第1回転電機MG1の駆動力を利用して内燃機関EGを始動する場合に、第1回転電機MG1から内燃機関EGに伝達されるトルクを制御することができるため、第1回転電機MG1を一旦停止する必要がない。ここで、「滑り係合状態」とは、摩擦係合装置の一対の摩擦部材間に回転速度差(滑り)がある係合状態である。
第2係合装置CL2は、分配用差動歯車機構SPの第1分配用回転要素E1、第2分配用回転要素E2、及び第3分配用回転要素E3の3つの回転要素のうちから選択される2つの間の動力伝達を断接するように構成されている。本実施形態では、第2係合装置CL2は、第1分配用回転要素E1としての第1サンギヤS1と、第2分配用回転要素E2としての第1キャリヤC1との間の動力伝達を断接するように構成されている。本例では、第2係合装置CL2は、一対の摩擦部材を備え、当該一対の摩擦部材同士の係合の状態が油圧によって制御される摩擦係合装置である。
本実施形態では、第1軸X1上において、軸方向第1側L1から、第1係合装置CL1、第2係合装置CL2、分配用差動歯車機構SP、ダンパDP、内燃機関EGの順に配置されている。
変速機TMは、入力軸I及び第1回転電機MG1の側から変速入力軸61に伝達される回転を変速して、変速機TMの出力軸である変速出力軸62に伝達する。変速入力軸61及び変速出力軸62は、第2軸X2上に配置されている。本実施形態では、変速機TMの全体が、第2軸X2上に配置されている。すなわち、変速機TMは、互いに平行に配置された複数の軸の間で動力の伝達を行う機構(例えば、平行軸歯車機構や巻掛伝動機構)を備えていない。
本実施形態では、変速機TMは、複数の変速段を形成可能に構成されている。そして、変速機TMは、分配用差動歯車機構SPの側から伝達される回転を、複数の変速段のうちの形成された変速段に応じた変速比で変速して第1出力用差動歯車機構DF1の側へ伝達する。本実施形態では、変速機TMは、分配用差動歯車機構SPからの回転を、複数の変速段のうちの形成された変速段に応じた変速比(変速出力軸62の回転速度に対する変速入力軸61の回転速度の比)で変速して、変速出力軸62に駆動連結された変速出力ギヤ3に出力する。ここでは、変速出力ギヤ3は、変速出力軸62と一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、第2ギヤ12は、変速機TMに対して軸方向第1側L1に配置され、変速出力ギヤ3は、変速機TMに対して軸方向第2側L2に配置されている。
本実施形態では、変速機TMは、第1遊星歯車機構PG1及び第2遊星歯車機構PG2を備えた遊星歯車式の変速機である。また、本実施形態では、変速機TMは、上記の複数の変速段を形成するための係合装置として、第1変速用クラッチCt1と、第2変速用クラッチCt2と、第1変速用ブレーキBt1と、第2変速用ブレーキBt2と、を備えている。
第1遊星歯車機構PG1は、第2サンギヤS2、第2キャリヤC2、及び第2リングギヤR2を備えた遊星歯車機構である。本実施形態では、第1遊星歯車機構PG1は、第2ピニオンギヤP2を支持する第2キャリヤC2と、第2ピニオンギヤP2に噛み合う第2サンギヤS2と、当該第2サンギヤS2に対して径方向Rの外側に配置されて第2ピニオンギヤP2に噛み合う第2リングギヤR2と、を備えたシングルピニオン型の遊星歯車機構である。
第2遊星歯車機構PG2は、第1遊星歯車機構PG1に対して軸方向第2側L2に隣接して配置されている。第2遊星歯車機構PG2は、第3サンギヤS3、第3キャリヤC3、及び第3リングギヤR3を備えた遊星歯車機構である。本実施形態では、第2遊星歯車機構PG2は、第3ピニオンギヤP3を支持する第3キャリヤC3と、第3ピニオンギヤP3に噛み合う第3サンギヤS3と、当該第3サンギヤS3に対して径方向Rの外側に配置されて第3ピニオンギヤP3に噛み合う第3リングギヤR3と、を備えたシングルピニオン型の遊星歯車機構である。
本実施形態では、第2キャリヤC2と第3リングギヤR3とが、一体的に回転するように連結されている。また、第2リングギヤR2と第3キャリヤC3とが、一体的に回転するように連結されている。
本実施形態では、第2キャリヤC2が、第1変速用クラッチCt1を介して、第2分配用回転要素E2としての第1キャリヤC1に駆動連結されている。また、第3サンギヤS3が、第2変速用クラッチCt2を介して、第2分配用回転要素E2としての第1キャリヤC1に駆動連結されている。
本実施形態では、第1変速用クラッチCt1は、第2分配用回転要素E2としての第1キャリヤC1に駆動連結された変速入力軸61と第1遊星歯車機構PG1の第2キャリヤC2とを、互いに選択的に連結するように構成されている。そして、第2変速用クラッチCt2は、第2分配用回転要素E2としての第1キャリヤC1に駆動連結された変速入力軸61と第2遊星歯車機構PG2の第3サンギヤS3とを、互いに選択的に連結するように構成されている。また、本実施形態では、第1変速用ブレーキBt1は、第1遊星歯車機構PG1の第2サンギヤS2を、非回転部材(ここでは、変速機TM等を収容する車両用駆動装置100(具体的には、第1駆動ユニット100A)のケースCS)に対して選択的に固定するように構成されている。そして、第2変速用ブレーキBt2は、第2遊星歯車機構PG2の第3リングギヤR3を、非回転部材(ここでは、ケースCS)に対して選択的に固定するように構成されている。本例では、上記の変速用クラッチCt1,Ct2及び変速用ブレーキBt1,Bt2のそれぞれは、一対の摩擦部材を備え、当該一対の摩擦部材同士の係合の状態が油圧によって制御される摩擦係合装置である。
本実施形態では、第1変速用ブレーキBt1が、第1遊星歯車機構PG1に対して軸方向第1側L1に隣接して配置されている。そして、第1変速用クラッチCt1が、第1変速用ブレーキBt1に対して軸方向第1側L1に隣接して配置されている。
また、本実施形態では、第2変速用クラッチCt2が、第2遊星歯車機構PG2の第3サンギヤS3に対して径方向Rの内側であって、第2軸X2を基準とした径方向Rに沿う径方向視で第3サンギヤS3と重複する位置に配置されている。そして、第2変速用ブレーキBt2が、第2遊星歯車機構PG2の第3リングギヤR3に対して径方向Rの外側であって、第2軸X2を基準とした径方向Rに沿う径方向視で第3リングギヤR3と重複する位置に配置されている。更に、第2変速用クラッチCt2と第2変速用ブレーキBt2とが、第2軸X2を基準とした径方向Rに沿う径方向視で、互いに重複するように配置されている。ここで、2つの要素の配置に関して、「特定方向視で重複する」とは、その視線方向に平行な仮想直線を当該仮想直線と直交する各方向に移動させた場合に、当該仮想直線が2つの要素の双方に交わる領域が少なくとも一部に存在することを指す。
本実施形態では、変速出力軸62は、第2遊星歯車機構PG2の第3キャリヤC3と一体的に回転するように連結されている。また、本実施形態では、変速出力ギヤ3は、第2遊星歯車機構PG2に対して軸方向第2側L2に隣接して配置されている。
第1出力用差動歯車機構DF1は、入力される回転を一対の第1車輪W1に分配するように構成されている。本実施形態では、第1出力用差動歯車機構DF1は、当該第1出力用差動歯車機構DF1の入力要素である第1差動入力ギヤ4を備えている。第1差動入力ギヤ4は、変速出力ギヤ3に駆動連結されている。本実施形態では、第1差動入力ギヤ4と変速出力ギヤ3とのそれぞれが、第1軸X1~第5軸X5とは異なる第6軸X6上に配置された第3アイドラギヤ23に噛み合っている。つまり、本実施形態では、第1差動入力ギヤ4と変速出力ギヤ3とは、第3アイドラギヤ23の周方向の互いに異なる位置において、第3アイドラギヤ23に噛み合っている。これにより、第1差動入力ギヤ4と変速出力ギヤ3とは、第3アイドラギヤ23を介して互いに連動して回転するように連結されている。
本実施形態では、第1出力用差動歯車機構DF1は、傘歯車型の差動歯車機構である。具体的には、第1出力用差動歯車機構DF1は、第1差動入力ギヤ4と一体的に回転するように連結された中空の第1差動ケースと、当該第1差動ケースに収容された第1ギヤ機構と、を備えている。第1ギヤ機構は、第1差動ケースと一体的に回転するように連結された第1ピニオンシャフトに対して回転可能に支持された一対の第1差動ピニオンギヤと、当該一対の第1差動ピニオンギヤに噛み合って分配出力要素として機能する一対の第1サイドギヤと、を含む。本実施形態では、一対の第1サイドギヤのそれぞれには、第1車輪W1に駆動連結された第1出力軸DS1が一体的に回転するように連結されている。こうして、本実施形態では、第1出力用差動歯車機構DF1は、一対の第1出力軸DS1を介して、第1差動入力ギヤ4の回転を一対の第1車輪W1に分配する。本実施形態では、第1出力軸DS1が「出力軸」に相当する。
上述したように、車両用駆動装置100は、第1回転電機MG1の第1ロータRT1と一体的に回転する第1ロータ軸RS1を備えている。第1軸X1、第2軸X2、及び第3軸X3に平行な方向を軸方向Lとして、図1に示すように、第1ロータ軸RS1は、軸方向Lに貫通する貫通孔THを備えた筒状に形成されている。そして、第1出力用差動歯車機構DF1と一対の第1車輪W1の一方(ここでは、一対の第1車輪W1のうちの軸方向第1側L1に配置される方)とを駆動連結する第1出力軸DS1が、貫通孔THを通って第1ロータRT1及び第1ロータ軸RS1を軸方向Lに貫通するように配置されている。
上記のように第1出力軸DS1を配置することで、第1回転電機MG1を第1出力用差動歯車機構DF1が配置される第3軸X3上に配置しつつ、第1回転電機MG1に対して軸方向Lの両側に配置される第1車輪W1と第1出力用差動歯車機構DF1とを適切に駆動連結することができる。
第1軸X1、第2軸X2、及び第3軸X3に平行な方向を軸方向Lとし、軸方向Lにおける内燃機関EGに対して入力軸Iが配置された側を軸方向第1側L1とし、軸方向第1側L1とは反対側を軸方向第2側L2として、本実施形態では、第1回転電機MG1が、第1出力用差動歯車機構DF1に対して軸方向第1側L1に配置されている。そして、変速機TMと第1回転電機MG1との間の動力伝達を行う第1動力伝達機構PT1が、第1回転電機MG1に対して軸方向第1側L1に配置され、変速機TMと第1出力用差動歯車機構DF1との間の動力伝達を行う第2動力伝達機構PT2が、第1回転電機MG1に対して軸方向第2側L2に配置されている。本実施形態では、第1動力伝達機構PT1が、「変速機と回転電機との間の動力伝達を行う機構」に相当し、第2動力伝達機構PT2が、「変速機と出力用差動歯車機構との間の動力伝達を行う機構」に相当する。
本実施形態では、第1動力伝達機構PT1は、変速機TMに対して軸方向第1側L1に配置され、第2動力伝達機構PT2は、変速機TMに対して軸方向第2側L2に配置されている。
本実施形態では、第1動力伝達機構PT1は、変速機TMと第1回転電機MG1との間の動力伝達を、分配用差動歯車機構SPを介して行うように構成されている。そのため、第1動力伝達機構PT1には、第1回転電機MG1と分配用差動歯車機構SPとの間の動力伝達を行う機構と、分配用差動歯車機構SPと、分配用差動歯車機構SPと変速機TMとの間の動力伝達を行う機構とが含まれている。本実施形態では、第1回転電機MG1と分配用差動歯車機構SPとの間の動力伝達を行う機構は、第3ギヤ13及び第4ギヤ14を用いて構成され、本例では、更に第2アイドラギヤ22を用いて構成されている。また、本実施形態では、分配用差動歯車機構SPと変速機TMとの間の動力伝達を行う機構は、第1ギヤ11及び第2ギヤ12を用いて構成され、本例では、更に第1アイドラギヤ21を用いて構成されている。
本実施形態では、第2動力伝達機構PT2は、変速出力ギヤ3及び第1差動入力ギヤ4を用いて構成され、本例では、更に第3アイドラギヤ23を用いて構成されている。
上記のように、本実施形態では、第1回転電機MG1が第1出力用差動歯車機構DF1に対して軸方向第1側L1に配置され、第1動力伝達機構PT1が第1回転電機MG1に対して軸方向第1側L1に配置され、第2動力伝達機構PT2が第1回転電機MG1に対して軸方向第2側L2に配置されるため、第1動力伝達機構PT1と第1回転電機MG1とを適切に駆動連結すると共に第2動力伝達機構PT2と第1出力用差動歯車機構DF1とを適切に駆動連結することができる。そして、第1動力伝達機構PT1と第2動力伝達機構PT2とが第1回転電機MG1に対して軸方向Lの両側に分かれて配置されるため、第1動力伝達機構PT1と第2動力伝達機構PT2とを、これら2つの動力伝達機構の干渉を避けつつ軸方向Lで第1回転電機MG1の側に寄せて配置することができ、車両用駆動装置100(ここでは、第1駆動ユニット100A)の軸方向寸法を小さく抑えやすい。
第1軸X1、第2軸X2、及び第3軸X3に平行な方向を軸方向Lとして、本実施形態では、変速機TMの軸方向Lの配置領域の少なくとも一部が、内燃機関EGの軸方向Lの配置領域と重複し、第1回転電機MG1の軸方向Lの配置領域の少なくとも一部が、内燃機関EGの軸方向Lの配置領域と重複し、第1出力用差動歯車機構DF1の軸方向Lの配置領域の少なくとも一部が、内燃機関EGの軸方向Lの配置領域と重複している。
このように、本実施形態では、車両用駆動装置100が備える変速機TM、第1回転電機MG1、及び第1出力用差動歯車機構DF1の全てが、内燃機関EGと軸方向Lの配置領域が少なくとも一部で重複するように配置されるため、車両用駆動装置100(ここでは、第1駆動ユニット100A)及び内燃機関EGを含む駆動ユニットの軸方向寸法を小さく抑えることができる。
本実施形態では、変速機TMの軸方向Lの配置領域における軸方向第2側L2の部分が、内燃機関EGの軸方向Lの配置領域と重複している。すなわち、変速機TMの軸方向第2側L2の端部が、内燃機関EGの軸方向第2側L2の端部に対して、軸方向Lの同じ位置又は軸方向第1側L1(本例では、後者)に位置していると共に、変速機TMの軸方向第1側L1の端部が、内燃機関EGの軸方向第1側L1の端部に対して軸方向第1側L1に位置している。また、本実施形態では、第1回転電機MG1の軸方向Lの配置領域における軸方向第2側L2の部分が、内燃機関EGの軸方向Lの配置領域と重複している。また、本実施形態では、第1出力用差動歯車機構DF1の軸方向Lの配置領域の全体が、内燃機関EGの軸方向Lの配置領域と重複している。すなわち、第1出力用差動歯車機構DF1の軸方向第2側L2の端部が、内燃機関EGの軸方向第2側L2の端部に対して、軸方向Lの同じ位置又は軸方向第1側L1(本例では、後者)に位置していると共に、第1出力用差動歯車機構DF1の軸方向第1側L1の端部が、内燃機関EGの軸方向第1側L1の端部に対して、軸方向Lの同じ位置又は軸方向第2側L2(本例では、後者)に位置している。
図2に示すように、第2回転電機MG2は、第2車輪W2の駆動力源として機能する。第2回転電機MG2は、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能とを有している。具体的には、第2回転電機MG2は、上記の蓄電装置と電気的に接続されている。そして、第2回転電機MG2は、蓄電装置に蓄えられた電力により力行して駆動力を発生する。また、第2回転電機MG2は、回生中には、第2出力用差動歯車機構DF2の側から伝達される駆動力により発電を行って蓄電装置を充電する。
第2回転電機MG2は、非回転部材(例えば、第2回転電機MG2等を収容するケース)に固定された第2ステータST2と、当該第2ステータST2に対して相対回転可能に支持された第2ロータRT2と、を備えている。本実施形態では、第2ロータRT2は、第2ステータST2に対して径方向Rの内側に配置されている。
カウンタギヤ機構CGは、カウンタ入力ギヤ51と、カウンタ出力ギヤ52と、これらのギヤ51,52を一体的に回転するように連結するカウンタ軸53と、を備えている。
カウンタ入力ギヤ51は、カウンタギヤ機構CGの入力要素である。カウンタ入力ギヤ51は、第2回転電機MG2の第2ロータRT2と一体的に回転するように連結されたロータギヤRGに噛み合っている。ロータギヤRGは、軸方向Lに沿って延在する第2ロータ軸RS2を介して、第2ロータRT2と一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、第2ロータギヤRG2及び第2ロータ軸RS2は、第11軸X11上に配置されている。
カウンタ出力ギヤ52は、カウンタギヤ機構CGの出力要素である。本実施形態では、カウンタ出力ギヤ52は、カウンタ入力ギヤ51よりも小径に形成されている。また、本実施形態では、カウンタ出力ギヤ52は、カウンタ入力ギヤ51よりも軸方向第2側L2に配置されている。
第2出力用差動歯車機構DF2は、入力される回転を一対の第2車輪W2に分配するように構成されている。本実施形態では、第2出力用差動歯車機構DF2は、当該第2出力用差動歯車機構DF2の入力要素である第2差動入力ギヤ6を備えている。第2差動入力ギヤ6は、カウンタギヤ機構CGのカウンタ出力ギヤ52に噛み合っている。
本実施形態では、第2出力用差動歯車機構DF2は、傘歯車型の差動歯車機構である。具体的には、第2出力用差動歯車機構DF2は、第2差動入力ギヤ6と一体的に回転するように連結された中空の第2差動ケースと、当該第2差動ケースに収容された第2ギヤ機構と、を備えている。第2ギヤ機構は、第2差動ケースと一体的に回転するように連結された第2ピニオンシャフトに対して回転可能に支持された一対の第2差動ピニオンギヤと、当該一対の第2差動ピニオンギヤに噛み合って分配出力要素として機能する一対の第2サイドギヤと、を含む。本実施形態では、一対の第2サイドギヤのそれぞれには、第2車輪W2に駆動連結された第2出力軸DS2が一体的に回転するように連結されている。こうして、本実施形態では、第2出力用差動歯車機構DF2は、一対の第2出力軸DS2を介して、第2差動入力ギヤ6の回転を一対の第2車輪W2に分配する。
以下では、軸方向Lに沿う軸方向視における、車両用駆動装置100の各要素の位置関係について、図4を参照して説明する。なお、図4における矢印「V」は、車両用駆動装置100が車両に搭載された状態(車両搭載状態)の車両用駆動装置100の上下方向を示している。また、図4における矢印「H」で示す幅方向Hは、車両搭載状態において、軸方向Lに沿う軸方向視で上下方向Vに直交する方向(言い換えれば、軸方向L及び上下方向Vの双方に直交する方向)である。そして、幅方向Hの一方側を「幅方向第1側H1」とし、幅方向Hの他方側(幅方向第1側H1とは反対側)を「幅方向第2側H2」としている。本例では、幅方向Hは車両の前後方向に一致し、幅方向第1側H1が車両前方側となり、幅方向第2側H2が車両後方側となる。なお、図4や後に参照する図5では、第6軸X6の図示を省略している。
上述したように、本実施形態では、車両用駆動装置100は、内燃機関出力軸ESから入力軸Iに伝達される回転方向の振動を減衰させるダンパDPを備え、ダンパDPは、第1軸X1上に配置されている。そして、本実施形態では、図4に示すように、車両搭載状態において、第2軸X2は、変速機TMの上端の高さがダンパDPの上端の高さ以下となるように、第1軸X1よりも上方V1に配置され、車両搭載状態において、第3軸X3は、第1軸X1よりも下方V2に配置されている。
このように、本実施形態では、変速機TMが配置される第2軸X2を、変速機TMの上端がダンパDPの上端よりも上方V1に突出しない範囲内で第1軸X1よりも上方V1に配置することができるため、変速機TMの上下方向Vの配置領域がダンパDPの上下方向Vの配置領域に含まれるようにしつつ、変速機TMを上方V1に寄せて配置することができる。そして、このように変速機TMを上方V1に寄せて配置することで、第1軸X1よりも下方V2に配置される第3軸X3も、上方V1に寄せて配置しやすくなる。よって、車両用駆動装置100(ここでは、第1駆動ユニット100A)の上下方向Vの寸法を小さく抑えやすい。
図4に示す例では、第1回転電機MG1の上端の高さがダンパDPの下端の高さよりも上方V1に配置されるように、第3軸X3が配置されている。これにより、車両用駆動装置100の上下方向Vの寸法をより一層小さく抑えやすくなっている。
図4に示すように、本実施形態では、ダンパDPの外径は、変速機TMの外径よりも大きい。言い換えれば、ダンパDPの上下方向Vの配置領域は、変速機TMの上下方向Vの配置領域よりも大きい。そのため、上記のように、第2軸X2を、変速機TMの上端の高さがダンパDPの上端の高さ以下となるように、第1軸X1よりも上方V1に配置することができる。なお、ダンパDPの上端は、軸方向視でのダンパDPの配置領域の上端であり、具体的には、ダンパDPの回転軌跡の外縁(図4においてダンパDPを示す実線の円)の上端である。また、変速機TMの上端は、軸方向視での変速機TMの配置領域の上端であり、具体的には、変速機TMの構成部材のうちの最も上方V1に配置される部材(例えば、第1変速用ブレーキBt1又は第2変速用ブレーキBt2を構成する部材)の上端である。
図4に示すように、本実施形態では、第3軸X3は、第1軸X1と第2軸X2との幅方向Hの間に配置されている。なお、第3軸X3は、第1軸X1及び第2軸X2の双方よりも下方V2において、第1軸X1と第2軸X2との幅方向Hの間に配置されている。このように第3軸X3を第1軸X1と第2軸X2との幅方向Hの間に配置することで、第3軸X3が第1軸X1と第2軸X2との幅方向Hの間に配置されない場合に比べて、車両用駆動装置100(ここでは、第1駆動ユニット100A、以下同様)の幅方向Hの寸法を小さく抑えやすい。車両用駆動装置100の幅方向Hの寸法を小さく抑えることで、図4に示すように、車両における車両用駆動装置100を搭載可能なスペースである搭載スペースMSにおいて、車両用駆動装置100に対して幅方向第1側H1及び幅方向第2側H2の一方又は双方(図4に示す例では、双方)に、設置物OBの設置スペースを確保しやすくなる。設置物OBとして、直流と交流との間で電力を変換して第1回転電機MG1に交流電力を供給するインバータ装置や、オイルポンプから吐出された油の油圧を制御して変速機TMに供給する油圧制御装置を例示することができる。
本実施形態では、第1軸X1は、第2軸X2よりも幅方向第1側H1に配置されている。そして、第3軸X3は、第1軸X1と第2軸X2との間の幅方向Hの中央に対して幅方向第2側H2(すなわち、第2軸X2が配置されている側)に配置されている。図4に示す例では、第1回転電機MG1の幅方向第2側H2の端部が変速機TMの幅方向第2側H2の端部よりも幅方向第2側H2に突出しないように(言い換えれば、第1回転電機MG1の幅方向第2側H2の端部が変速機TMの幅方向第2側H2の端部よりも幅方向第1側H1に配置されるように)、第3軸X3が配置されている。これにより、搭載スペースMSにおける車両用駆動装置100に対して幅方向第2側H2に、設置物OBの設置スペースを確保しやすくなっている。
図3に、本実施形態の車両用駆動装置100の各走行モードにおける、第1係合装置CL1、第2係合装置CL2、第1変速用クラッチCt1、第2変速用クラッチCt2、第1変速用ブレーキBt1、及び第2変速用ブレーキBt2の状態を示す。なお、図3の各係合装置の欄において、「〇」は対象の係合装置が係合状態であることを示し、「-」は対象の係合装置が解放状態であることを示している。
図3に示すように、本実施形態では、第1変速用クラッチCt1が解放状態であり、第2変速用クラッチCt2が係合状態であり、第1変速用ブレーキBt1が解放状態であり、第2変速用ブレーキBt2が係合状態である場合に、第1変速段1stが形成される。また、第1変速用クラッチCt1が解放状態であり、第2変速用クラッチCt2が係合状態であり、第1変速用ブレーキBt1が係合状態であり、第2変速用ブレーキBt2が解放状態である場合に、第1変速段1stよりも変速比が小さい第2変速段2ndが形成される。また、第1変速用クラッチCt1が係合状態であり、第2変速用クラッチCt2が係合状態であり、第1変速用ブレーキBt1が解放状態であり、第2変速用ブレーキBt2が解放状態である場合に、第2変速段2ndよりも変速比が小さい第3変速段3rdが形成される。また、第1変速用クラッチCt1が係合状態であり、第2変速用クラッチCt2が解放状態であり、第1変速用ブレーキBt1が係合状態であり、第2変速用ブレーキBt2が解放状態である場合に、第3変速段3rdよりも変速比が小さい第4変速段4thが形成される。
変速機TMが第1変速段1st、第2変速段2nd、第3変速段3rd、及び第4変速段4thのいずれかを形成している状態で、第1係合装置CL1及び第2係合装置CL2が係合状態とされることで、内燃機関EG及び第1回転電機MG1のうちの少なくとも内燃機関EGの駆動力により車両を走行させる走行モード(図3に“1st”、“2nd”、“3rd”、“4th”で示す走行モード)が実現される。これらの走行モードでは、第1係合装置CL1が係合状態とされることにより、内燃機関EGが分配用差動歯車機構SPに連結された状態となる。そして、第2係合装置CL2が係合状態とされることにより、分配用差動歯車機構SPの3つの回転要素E1~E3が互いに一体的に回転する状態となる。
また、変速機TMが第1変速段1st、第2変速段2nd、第3変速段3rd、及び第4変速段4thのいずれかを形成している状態で、第1係合装置CL1が解放状態とされ第2係合装置CL2が係合状態とされることで、内燃機関EG及び第1回転電機MG1のうちの第1回転電機MG1のみの駆動力により車両を走行させる走行モード(図3に“EV 1st”、“EV 2nd”、“EV 3rd”、“EV 4th”で示す走行モード)が実現される。これらの走行モードでは、第1係合装置CL1が解放状態とされることにより、内燃機関EGが分配用差動歯車機構SPから分離されて、内燃機関EGと第1出力用差動歯車機構DF1との間での動力伝達が遮断された状態となる。そして、第2係合装置CL2が係合状態とされることにより、分配用差動歯車機構SPの3つの回転要素E1~E3が互いに一体的に回転する状態となる。
図3に“eTC”で示す走行モードは、分配用差動歯車機構SPにより、第1回転電機MG1のトルクを反力として内燃機関EGのトルクを増幅して第1出力用差動歯車機構DF1の側に伝達することで車両を走行させるモードである。この走行モードは、内燃機関EGのトルクを増幅して第1出力用差動歯車機構DF1に伝達することができるため、所謂、電気式トルクコンバータモードと称される。この走行モードでは、第1係合装置CL1が係合状態となり、第2係合装置CL2が解放状態となるように制御される。更に、本実施形態では、変速機TMが第4変速段4thを形成するように制御される。
上述したように、本実施形態では、車両用駆動装置100は、分配用差動歯車機構SPと、第1係合装置CL1と、第2係合装置CL2と、を備えている。分配用差動歯車機構SPは、第1分配用回転要素E1、第2分配用回転要素E2、及び第3分配用回転要素E3を備え、第1分配用回転要素E1が入力軸Iに駆動連結され、第2分配用回転要素E2が変速機TMに駆動連結され、第3分配用回転要素E3が第1回転電機MG1の第1ロータRT1に駆動連結されている。第1係合装置CL1は、入力軸Iと第1分配用回転要素E1との間の動力伝達経路に配置され、入力軸Iと第1分配用回転要素E1との間の動力伝達を断接する。第2係合装置CL2は、第1分配用回転要素E1、第2分配用回転要素E2、及び第3分配用回転要素E3の3つの回転要素のうちから選択される2つの間の動力伝達を断接する。そして、分配用差動歯車機構SP、第1係合装置CL1、及び第2係合装置CL2のそれぞれが、第1軸X1上又は第2軸X2上に配置されている。
このように車両用駆動装置100が分配用差動歯車機構SP、第1係合装置CL1、及び第2係合装置CL2を備えるため、第1係合装置CL1が係合し且つ第2係合装置CL2が解放した状態で実現される走行モード、第1係合装置CL1が解放し且つ第2係合装置CL2が係合した状態で実現される走行モード、及び、第1係合装置CL1及び第2係合装置CL2の双方が係合した状態で実現される走行モードを含む、複数の走行モードを切り替えて実現することができる。よって、燃料消費率や駆動力確保等の観点から好適な走行モードを適宜選択して実行することができる。そして、分配用差動歯車機構SP、第1係合装置CL1、及び第2係合装置CL2のそれぞれが、第1軸X1上又は第2軸X2上に配置されるため、車両用駆動装置100の軸数の増加を抑制しつつ、上記の複数の走行モードを切り替えることが可能な車両用駆動装置100を実現することができる。
〔第2の実施形態〕
車両用駆動装置の第2の実施形態について、図面(図5及び図6)を参照して説明する。以下では、本実施形態の車両用駆動装置について、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。特に明記しない点については、第1の実施形態と同様であり、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
車両用駆動装置の第2の実施形態について、図面(図5及び図6)を参照して説明する。以下では、本実施形態の車両用駆動装置について、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。特に明記しない点については、第1の実施形態と同様であり、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第1の実施形態では、分配用差動歯車機構SP、第1係合装置CL1、及び第2係合装置CL2の全てが、第1軸X1上に配置されているのに対して、本実施形態では、図6に示すように、第1係合装置CL1が、第1軸X1上に配置され、分配用差動歯車機構SP及び第2係合装置CL2が、第2軸X2上に配置されている。
このように、本実施形態では、分配用差動歯車機構SP、第1係合装置CL1、及び第2係合装置CL2が第1軸X1と第2軸X2とに分かれて配置されるため、これらが全て同軸に配置される場合に比べて、車両用駆動装置100(ここでは、第1駆動ユニット100A)の軸方向寸法を小さく抑えやすい。なお、本実施形態では、分配用差動歯車機構SPが備える2つの回転要素の間の動力伝達を断接する第2係合装置CL2が、分配用差動歯車機構SPと同軸に配置されるため、第2係合装置CL2と分配用差動歯車機構SPとの連結構造の複雑化を抑制しつつ、分配用差動歯車機構SP、第1係合装置CL1、及び第2係合装置CL2を2つの軸に分けて配置することができる。
本実施形態では、第1ギヤ11及び第2ギヤ12は、入力軸Iと分配用差動歯車機構SPとの間の動力伝達経路に配置されている。そして、第2ギヤ12は、第1分配用回転要素E1に駆動連結されている。ここでは、第2ギヤ12は、第1分配用回転要素E1と一体的に回転するように連結されている。また、第2ギヤ12は、分配用差動歯車機構SPに対して軸方向第1側L1に配置されている。第1ギヤ11は、第1係合装置CL1を介して入力軸Iに連結されている。そして、第1係合装置CL1は、入力軸Iと第1ギヤ11との間の動力伝達を断接することで、入力軸Iと第1分配用回転要素E1との間の動力伝達を断接するように構成されている。
本実施形態では、分配用差動歯車機構SPが第2軸X2上に配置されている。そのため、第4ギヤ14は、第2軸X2上に配置されている。また、本実施形態では、分配用差動歯車機構SPは、変速機TMに対して軸方向第1側L1に隣接して配置されている。なお、図6に示す例では、第2係合装置CL2は、分配用差動歯車機構SPと変速機TMとの軸方向Lの間に配置されている。そして、第2分配用回転要素E2が、変速入力軸61に駆動連結されている。ここでは、第2分配用回転要素E2が、変速入力軸61と一体的に回転するように連結されている。このように、本実施形態では、分配用差動歯車機構SPと変速機TMとの間の動力伝達を行う機構は、第1の実施形態とは異なり、第1ギヤ11及び第2ギヤ12を用いずに構成されている。
第1の実施形態では、第4ギヤ14が第1軸X1上に配置されているのに対して、本実施形態では、第4ギヤ14が第2軸X2上に配置されている。そのため、図5に示すように、本実施形態では、第3ギヤ13と第4ギヤ14との双方に噛み合う第2アイドラギヤ22が配置される第5軸X5の配置位置が、第1の実施形態(図4参照)とは異なっている。
〔第3の実施形態〕
車両用駆動装置の第3の実施形態について、図面(図7)を参照して説明する。以下では、本実施形態の車両用駆動装置について、第2の実施形態との相違点を中心に説明する。特に明記しない点については、第2の実施形態と同様であり、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
車両用駆動装置の第3の実施形態について、図面(図7)を参照して説明する。以下では、本実施形態の車両用駆動装置について、第2の実施形態との相違点を中心に説明する。特に明記しない点については、第2の実施形態と同様であり、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第2の実施形態では、第1係合装置CL1が、第1軸X1上に配置され、分配用差動歯車機構SP及び第2係合装置CL2が、第2軸X2上に配置されているのに対して、本実施形態では、図7に示すように、分配用差動歯車機構SP、第1係合装置CL1、及び第2係合装置CL2の全てが、第2軸X2上に配置されている。図7に示す例では、第2軸X2上において、軸方向第1側L1から、第1係合装置CL1、分配用差動歯車機構SP、第2係合装置CL2、変速機TMの順に配置されている。
本実施形態では、第1ギヤ11は、入力軸Iと一体的に回転するように連結されている。第2ギヤ12は、第1係合装置CL1を介して第1分配用回転要素E1に連結されている。そして、第1係合装置CL1は、第2ギヤ12と第1分配用回転要素E1との間の動力伝達を断接することで、入力軸Iと第1分配用回転要素E1との間の動力伝達を断接するように構成されている。
〔その他の実施形態〕
次に、車両用駆動装置のその他の実施形態について説明する。
次に、車両用駆動装置のその他の実施形態について説明する。
(1)上記第1の実施形態では、第1軸X1上において、軸方向第1側L1から、第1係合装置CL1、第2係合装置CL2、分配用差動歯車機構SP、ダンパDP、内燃機関EGの順に配置される構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、第1軸X1上におけるこれらの各要素の並び順は適宜変更することができる。例えば、図8に示す例のように、第1軸X1上において、軸方向第1側L1から、ダンパDP、第1係合装置CL1、分配用差動歯車機構SP、第2係合装置CL2、内燃機関EGの順に配置される構成とすることができる。また、図9に示す例のように、第1軸X1上において、軸方向第1側L1から、分配用差動歯車機構SP、第2係合装置CL2、第1係合装置CL1、ダンパDP、内燃機関EGの順に配置される構成とすることもできる。図9に示す例では、上記第1の実施形態とは異なり、第4ギヤ14が第1ギヤ11に対して軸方向第1側L1に配置されている。
(2)上記の各実施形態では、車両搭載状態において、第2軸X2が、変速機TMの上端の高さがダンパDPの上端の高さ以下となるように、第1軸X1よりも上方V1に配置される構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、車両搭載状態において、第2軸X2が、変速機TMの上端の高さがダンパDPの上端の高さ以下となるように、第1軸X1と同じ高さに或いは第1軸X1よりも下方V2に配置される構成とすることもできる。なお、車両搭載状態において、変速機TMの上端の高さがダンパDPの上端よりも上方V1に配置されるように、第2軸X2が配置される構成とすることもできる。
(3)上記の各実施形態では、分配用差動歯車機構SP、第1係合装置CL1、及び第2係合装置CL2のそれぞれが、第1軸X1上又は第2軸X2上に配置される構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、分配用差動歯車機構SP、第1係合装置CL1、及び第2係合装置CL2の少なくともいずれかが、第1軸X1及び第2軸X2とは異なる軸上に配置される構成とすることもできる。
(4)上記の各実施形態では、第1係合装置CL1、第2係合装置CL2、変速用クラッチCt1,Ct2、及び変速用ブレーキBt1,Bt2のそれぞれが、摩擦部材同士の係合の状態が油圧によって制御される摩擦係合装置である構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、これらの少なくともいずれかを、摩擦部材同士の係合の状態が油圧以外の駆動力(例えば、電磁駆動力)によって制御される摩擦係合装置とすることや、摩擦係合装置に代えて噛み合い式係合装置とすることもできる。
(5)上記の各実施形態では、第2係合装置CL2が、第1分配用回転要素E1と第2分配用回転要素E2との間の動力伝達を断接する構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、例えば、第2係合装置CL2が、第2分配用回転要素E2と第3分配用回転要素E3との間の動力伝達を断接する構成とすることもできる。
(6)上記の各実施形態では、分配用差動歯車機構SPの各回転要素の回転速度の順が、第1分配用回転要素E1、第2分配用回転要素E2、第3分配用回転要素E3の順となる構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、例えば、分配用差動歯車機構SPの各回転要素の回転速度の順が、第2分配用回転要素E2、第1分配用回転要素E1、第3分配用回転要素E3の順となる構成とすることもできる。この場合、第1係合装置CL1が係合状態であり第2係合装置CL2が解放状態である場合に実現される走行モードは、内燃機関EGのトルクを第1回転電機MG1と変速機TMとに分配し、第1回転電機MG1のトルクを反力として、内燃機関EGのトルクに対して減衰したトルクを変速機TMに伝達するモード(所謂、スプリットハイブリッドモード)となる。
(7)上記の各実施形態では、変速機TMの軸方向Lの配置領域の少なくとも一部が、内燃機関EGの軸方向Lの配置領域と重複し、第1回転電機MG1の軸方向Lの配置領域の少なくとも一部が、内燃機関EGの軸方向Lの配置領域と重複し、第1出力用差動歯車機構DF1の軸方向Lの配置領域の少なくとも一部が、内燃機関EGの軸方向Lの配置領域と重複する構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、変速機TMの軸方向Lの配置領域が内燃機関EGの軸方向Lの配置領域と重複しない構成、第1回転電機MG1の軸方向Lの配置領域が内燃機関EGの軸方向Lの配置領域と重複しない構成、第1出力用差動歯車機構DF1の軸方向Lの配置領域が内燃機関EGの軸方向Lの配置領域と重複しない構成、或いはこれらを組み合わせた構成とすることもできる。
(8)上記の各実施形態では、第1回転電機MG1が第1出力用差動歯車機構DF1に対して軸方向第1側L1に配置され、第1動力伝達機構PT1が第1回転電機MG1に対して軸方向第1側L1に配置され、第2動力伝達機構PT2が第1回転電機MG1に対して軸方向第2側L2に配置される構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、例えば、第1回転電機MG1が第1出力用差動歯車機構DF1に対して軸方向第2側L2に配置され、第1動力伝達機構PT1が第1回転電機MG1に対して軸方向第2側L2に配置され、第2動力伝達機構PT2が第1回転電機MG1に対して軸方向第1側L1に配置される構成とすることもできる。
(9)上記の各実施形態では、第1ギヤ11と第2ギヤ12とが第1アイドラギヤ21に噛み合い、第3ギヤ13と第4ギヤ14とが第2アイドラギヤ22に噛み合い、第1差動入力ギヤ4と変速出力ギヤ3とが第3アイドラギヤ23に噛み合っている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、第1アイドラギヤ21、第2アイドラギヤ22、及び第3アイドラギヤ23の少なくとも1つに代えて、2つの回転要素を連結するチェーンを設けてもよい。或いは、第1アイドラギヤ21、第2アイドラギヤ22、及び第3アイドラギヤ23の少なくとも1つを備えず、2つのギヤ同士がアイドラギヤを介することなく直接噛み合っていてもよい。
(10)上記の各実施形態では、車両用駆動装置100が、分配用差動歯車機構SPと、第1係合装置CL1と、第2係合装置CL2と、を備える構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、車両用駆動装置100がこれら3つの少なくともいずれかを備えない構成とすることもできる。
(11)上記の各実施形態では、車両用駆動装置100がダンパDPを備える構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、車両用駆動装置100がダンパDPを備えず、入力軸IがダンパDPを介さずに内燃機関出力軸ESに駆動連結される構成とすることもできる。
(12)上記の各実施形態では、第1出力用差動歯車機構DF1が傘歯車型の差動歯車機構である構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、例えば、第1出力用差動歯車機構DF1は遊星歯車型の差動歯車機構であってもよい。
(13)上記の各実施形態では、変速機TMが4つの変速段を形成可能である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、変速機TMが形成可能な変速段の数が2若しくは3、又は5以上であってもよい。また、上記の各実施形態で示した変速機TMの構成は一例であり、例えば、第1遊星歯車機構PG1と第2遊星歯車機構PG2との間の連結関係や、変速機TMを構成する遊星歯車機構の種類は、適宜変更することができる。
(14)上記の各実施形態では、車両用駆動装置100が第1駆動ユニット100Aに加えて第2駆動ユニット100Bを備える構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、車両用駆動装置100が第2駆動ユニット100Bを備えない構成とすることもできる。この場合、例えば、第1駆動ユニット100Aが第2回転電機MG2を備えていてもよい。
(15)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用すること(その他の実施形態として説明した実施形態同士の組み合わせを含む)も可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
100:車両用駆動装置、CL1:第1係合装置、CL2:第2係合装置、DF1:第1出力用差動歯車機構(出力用差動歯車機構)、DP:ダンパ、DS1:第1出力軸(出力軸)、E1:第1分配用回転要素、E2:第2分配用回転要素、E3:第3分配用回転要素、EG:内燃機関、ES:内燃機関出力軸、I:入力軸、L:軸方向、L1:軸方向第1側、L2:軸方向第2側、MG1:第1回転電機(回転電機)、PT1:第1動力伝達機構(変速機と回転電機との間の動力伝達を行う機構)、PT2:第2動力伝達機構(変速機と出力用差動歯車機構との間の動力伝達を行う機構)、RS1:第1ロータ軸(ロータ軸)、RT1:第1ロータ(ロータ)、SP:分配用差動歯車機構、TH:貫通孔、TM:変速機、V1:上方、V2:下方、W1:第1車輪(車輪)、X1:第1軸、X2:第2軸、X3:第3軸
Claims (7)
- 内燃機関の出力軸である内燃機関出力軸と同軸に配置され、前記内燃機関出力軸に駆動連結される入力軸と、
回転電機と、
入力される回転を一対の車輪に分配する出力用差動歯車機構と、
前記入力軸及び前記回転電機の側から伝達される回転を、選択された変速比で変速して前記出力用差動歯車機構の側へ伝達する変速機と、を備え、
前記入力軸が、第1軸上に配置され、
前記変速機が、前記第1軸とは異なる第2軸上に配置され、
前記回転電機及び前記出力用差動歯車機構が、前記第1軸及び前記第2軸とは異なる第3軸上に配置されている、車両用駆動装置。 - 第1分配用回転要素、第2分配用回転要素、及び第3分配用回転要素を備え、前記第1分配用回転要素が前記入力軸に駆動連結され、前記第2分配用回転要素が前記変速機に駆動連結され、前記第3分配用回転要素が前記回転電機のロータに駆動連結された分配用差動歯車機構と、
前記入力軸と前記第1分配用回転要素との間の動力伝達経路に配置され、前記入力軸と前記第1分配用回転要素との間の動力伝達を断接する第1係合装置と、
前記第1分配用回転要素、前記第2分配用回転要素、及び前記第3分配用回転要素の3つの回転要素のうちから選択される2つの間の動力伝達を断接する第2係合装置と、を更に備え、
前記分配用差動歯車機構、前記第1係合装置、及び前記第2係合装置のそれぞれが、前記第1軸上又は前記第2軸上に配置されている、請求項1に記載の車両用駆動装置。 - 前記第1係合装置が、前記第1軸上に配置され、
前記分配用差動歯車機構及び前記第2係合装置が、前記第2軸上に配置されている、請求項2に記載の車両用駆動装置。 - 前記第1軸、前記第2軸、及び前記第3軸に平行な方向を軸方向とし、前記軸方向における前記内燃機関に対して前記入力軸が配置された側を軸方向第1側とし、前記軸方向第1側とは反対側を軸方向第2側として、
前記回転電機が、前記出力用差動歯車機構に対して前記軸方向第1側に配置され、
前記変速機と前記回転電機との間の動力伝達を行う機構が、前記回転電機に対して前記軸方向第1側に配置され、
前記変速機と前記出力用差動歯車機構との間の動力伝達を行う機構が、前記回転電機に対して前記軸方向第2側に配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。 - 前記回転電機のロータと一体的に回転するロータ軸を備え、
前記第1軸、前記第2軸、及び前記第3軸に平行な方向を軸方向として、
前記ロータ軸は、前記軸方向に貫通する貫通孔を備えた筒状に形成され、
前記出力用差動歯車機構と一対の前記車輪の一方とを駆動連結する出力軸が、前記貫通孔を通って前記ロータ及び前記ロータ軸を前記軸方向に貫通するように配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。 - 前記内燃機関出力軸から前記入力軸に伝達される回転方向の振動を減衰させるダンパを更に備え、
前記ダンパは、前記第1軸上に配置され、
車両搭載状態において、前記第2軸は、前記変速機の上端の高さが前記ダンパの上端の高さ以下となるように、前記第1軸よりも上方に配置され、
車両搭載状態において、前記第3軸は、前記第1軸よりも下方に配置されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。 - 前記第1軸、前記第2軸、及び前記第3軸に平行な方向を軸方向として、
前記変速機の前記軸方向の配置領域の少なくとも一部が、前記内燃機関の前記軸方向の配置領域と重複し、
前記回転電機の前記軸方向の配置領域の少なくとも一部が、前記内燃機関の前記軸方向の配置領域と重複し、
前記出力用差動歯車機構の前記軸方向の配置領域の少なくとも一部が、前記内燃機関の前記軸方向の配置領域と重複している、請求項1から6のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021023357A JP2022125649A (ja) | 2021-02-17 | 2021-02-17 | 車両用駆動装置 |
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JP2021023357A JP2022125649A (ja) | 2021-02-17 | 2021-02-17 | 車両用駆動装置 |
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JP2022125649A true JP2022125649A (ja) | 2022-08-29 |
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JP2021023357A Pending JP2022125649A (ja) | 2021-02-17 | 2021-02-17 | 車両用駆動装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2024048774A1 (ja) * | 2022-09-02 | 2024-03-07 | 株式会社アイシン | 車両用駆動装置 |
-
2021
- 2021-02-17 JP JP2021023357A patent/JP2022125649A/ja active Pending
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WO2024048774A1 (ja) * | 2022-09-02 | 2024-03-07 | 株式会社アイシン | 車両用駆動装置 |
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