JP2017145722A - フィルタ及びオイルストレーナ - Google Patents

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淳史 幸
Junji Yuki
淳史 幸
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Abstract

【課題】筒状のフィルタを容易に成形できるようにする。【解決手段】オイルを濾過する網目部11a、11b、12a、12bが筒を形成するように設けられた樹脂製の筒状フィルタ10は、上側フィルタ部11と、下側フィルタ部12とが組み合わされている。上側フィルタ部11における網目部11a、11bの周りに上側シール板部14が設けられている。下側フィルタ部12における網目部12a、12bの周りに下側シール板部15が設けられている。上側フィルタ部11及び下側フィルタ部12が組み合わされた状態で上側シール板部14と下側シール板部15とが重なり合ってシールされる。【選択図】図3

Description

本発明は、例えばエンジンや自動変速機のオイルパン等に設けられるオイルストレーナ及びフィルタに関し、特に、オイルストレーナの内部に収容されているフィルタが立体形状である構造の技術分野に属する。
従来より、例えばエンジンや自動変速機のオイルパン等にはオイルを濾過するためのオイルストレーナが設けられている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1、2のオイルストレーナは、ケーシングと、該ケーシングの内部に収容されている筒状のフィルタとを備えている。
また、特許文献1、2のケーシングは、フィルタが筒状であることから全体として筒状に形成されており、その長手方向一端部にオイル流入孔が形成され、他端部にオイル流出孔が形成されている。そして、オイル流入孔とオイル流出孔との間において流入側ケーシング部材と流出側ケーシング部材とに分割されており、流入側ケーシング部材及び流出側ケーシング部材が共に筒状をなしている。流入側ケーシング部材と流出側ケーシング部材は突き合わされた状態で溶着される。
特開2010−7627号公報 特許第4749298号公報
ところで、特許文献1、2のようにフィルタを筒状にすることで、平面型フィルタと同等の濾過面積を確保しながら、コンパクトにすることが可能になる。すなわち、仮に特許文献1、2の筒状フィルタを展開して同等の濾過面積を持つ平面型フィルタを想定した場合、平面型フィルタは面方向に大型になるので、ケーシングもそれに対応するように大型化し、しかも、平面型フィルタの一方側の面から他方側の面にオイルの流通空間を確保しなければならず、全体としてオイルストレーナが大型化してしまう。したがって、筒状フィルタを使用したいという要求がある。
しかしながら、筒状のフィルタを金型で成形する場合を想定すると、該フィルタの各面に、オイル濾過用の小さな孔を多数形成しなければならず、筒状のままでの成形は型構造上、難しい場合がある。特に、フィルタが長い筒状である場合には成形がより一層難しくなることが考えられる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、筒状のフィルタを容易に成形できるようにすることにある。
上記目的を達成するために、第1の発明は、
オイルを濾過する網目部(11a、11b、12a、12b)が筒を形成するように設けられた樹脂製の筒状フィルタ(10)において、
上記フィルタ(10)は、上記網目部(11a、11b)を有する第1フィルタ部(11)と、該第1フィルタ部(11)とは別部材からなり、上記網目部(12a、12b)を有する第2フィルタ部(12)とが組み合わされて構成され、
上記第1フィルタ部(11)における上記網目部(11a、11b)の周りに第1シール部(14)が設けられ、
上記第2フィルタ部(12)における上記網目部(12a、12b)の周りに第2シール部(15)が設けられ、
上記第1フィルタ部(11)及び上記第2フィルタ部(12)が組み合わされた状態で上記第1シール部(14)と上記第2シール部(15)とが重なり合って該第1フィルタ部(11)及び該第2フィルタ部(12)の間がシールされることを特徴とする。
この構成によれば、第1フィルタ部と第2フィルタ部とが別部材であるため、筒状フィルタを金型で一体成形する場合に比べて、第1フィルタ部及び第2フィルタ部の成形が容易になる。そして、第1フィルタ部及び第2フィルタ部を組み合わせると、第1シール部と第2シール部とによって第1フィルタ部及び該第2フィルタ部の間がシールされるので、オイルの濾過時に未濾過のオイルが下流側へ流れないようにすることが可能になる。
第2の発明は、第1の発明において、
上記第1シール部(14)及び上記第2シール部(15)の少なくとも一方には、他方側へ向けて突出する凸部(14a)が形成され、他方には、上記凸部(14a)が嵌合する凹部(15a)が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、第1フィルタ部及び第2フィルタ部が組み合わされた状態で、第1シール部の凸部が第2シール部の凹部に嵌合するので、第1シール部と第2シール部とによる下流側のシールが確実になる。
第3の発明は、
オイルを濾過する網目部(11a、11b、12a、12b)が筒を形成するように設けられた樹脂製の筒状フィルタ(10)と、
上記フィルタ(10)を収容するケーシング(20)とを備えたオイルストレーナ(1)において、
上記フィルタ(10)は、上記網目部(11a、11b)を有する第1フィルタ部(11)と、上記網目部(12a、12b)を有する第2フィルタ部(12)とが組み合わされて構成され、
上記第1フィルタ部(11)における上記網目部(11a、11b)の周りに第1シール部(14)が設けられ、
上記第2フィルタ部(12)における上記網目部(12a、12b)の周りに第2シール部(15)が設けられ、
上記第1フィルタ部(11)及び上記第2フィルタ部(12)が組み合わされた状態で上記第1シール部(14)と上記第2シール部(15)とが重なり合って該第1フィルタ部(11)及び該第2フィルタ部(12)の間がシールされ、
上記ケーシング(20)は、第1ケーシング部材(30)と第2ケーシング部材(40)とを接合してなり、
上記フィルタ(10)の上記第1シール部(14)及び上記第2シール部(15)は、上記第1ケーシング部材(30)と上記第2ケーシング部材(40)とによって接合方向に挟持されることを特徴とする。
この構成によれば、第1フィルタ部と第2フィルタ部とが別部材であるため、第1フィルタ部及び第2フィルタ部の成形が容易になる。また、フィルタの第1シール部及び第2シール部が第1ケーシング部材と第2ケーシング部材とで挟持されるので、シール性がより一層高まる。
第4の発明は、
オイルを濾過する網目部(11a、11b、12a、12b)が筒を形成するように設けられた樹脂製の筒状フィルタ(10)において、
上記フィルタ(10)は、上記網目部(11a、11b)を有する第1フィルタ部(11)と、上記網目部(12a、12b)を有する第2フィルタ部(12)と、上記第1フィルタ部(11)及び上記第2フィルタ部(12)を連結する折り曲げ可能な連結部(13)とを有し、
上記連結部(13)が折り曲げられて上記第1フィルタ部(11)及び上記第2フィルタ部(12)が組み合わされることを特徴とする。
この構成によれば、第1フィルタ部と第2フィルタ部とが半筒状部材であるため、筒状フィルタを金型で一体成形する場合に比べて、第1フィルタ部及び第2フィルタ部の成形が容易になる。また、第1フィルタ部と第2フィルタ部とを連結部によって連結した状態で型内において一体成形することが可能になる。さらに、連結部を折り曲げることによって第1フィルタ部及び第2フィルタ部が組み合わされて筒状フィルタとなる。
第5の発明は、第4の発明において、
上記第1フィルタ部(11)と上記第2フィルタ部(12)との少なくとも一方にフィルタ材(16)がインサート成形され、
上記フィルタ材(16)は上記連結部(13)を構成していることを特徴とする。
この構成によれば、フィルタ材がインサート成形されることで、第1フィルタ部及び第2フィルタ部がフィルタ材を介して確実に連結されることになる。そして、フィルタ材における第1フィルタ部と第2フィルタ部との間の部分が連結部になることから、連結部を少ない力で容易に折り曲げて第1フィルタ部及び第2フィルタ部を組み合わせることが可能になる。また、連結部自体でオイルを濾過することも可能になるので、仮に連結部が開くようなことがあっても未濾過のオイルが下流側へ流れないようにすることが可能になる。
第6の発明は、
オイルを濾過する網目部(11a、11b、12a、12b)が筒を形成するように設けられた樹脂製の筒状フィルタ(10)と、
上記フィルタ(10)を収容するケーシング(20)とを備えたオイルストレーナ(1)において、
上記フィルタ(10)は、上記網目部(11a、11b)を有する第1フィルタ部(11)と、上記網目部(12a、12b)を有する第2フィルタ部(12)とが組み合わされて構成され、
上記第1フィルタ部(11)における上記網目部(11a、11b、12a、12b)の周りに第1シール部(14)が設けられ、
上記第2フィルタ部(12)における上記網目部(12a、12b)の周りに第2シール部(15)が設けられ、
上記第1フィルタ部(11)及び上記第2フィルタ部(12)が組み合わされた状態で上記第1シール部(14)と上記第2シール部(15)とが重なり合って該第1フィルタ部(11)及び該第2フィルタ部(12)の間がシールされ、
上記ケーシング(20)には、オイルを該ケーシング(20)の内部に流入させるためのオイル流入管部(48)が形成され、
上記フィルタ(10)には、上記オイル流入管部(48)に嵌合する嵌合部(17)が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、第1フィルタ部と第2フィルタ部とが別部材であるため、筒状フィルタを金型で一体成形する場合に比べて、第1フィルタ部及び第2フィルタ部の成形が容易になる。そして、第1フィルタ部及び第2フィルタ部を組み合わせると、第1シール部と第2シール部とによって第1フィルタ部及び該第2フィルタ部の間がシールされるので、オイルの濾過時に未濾過のオイルが下流側へ流れないようにすることが可能になる。
また、ケーシングの内部に収容されているフィルタの嵌合部がケーシングのオイル流入管部に嵌合することで、フィルタがケーシングの内部で位置決めされる。
第1の発明によれば、第1フィルタ部と第2フィルタ部とを組み合わせて筒状フィルタを構成するようにしたので、筒状フィルタを金型で一体成形する場合に比べて容易に成形できる。また、第1フィルタ部及び第2フィルタ部を組み合わせた状態で第1シール部と第2シール部とによって第1フィルタ部及び該第2フィルタ部の間をシールできるので、未濾過のオイルが下流側へ流れないようにすることができる。
第2の発明によれば、第1シール部の凸部が第2シール部の凹部に嵌合するので、第1シール部と第2シール部とによるシールを確実にすることができる。
第3の発明によれば、第1フィルタ部と第2フィルタ部とを組み合わせて筒状フィルタを構成するようにしたので、筒状フィルタを金型で一体成形する場合に比べて容易に成形できる。また、フィルタの第1シール部及び第2シール部を第1ケーシング部材と第2ケーシング部材とで挟持するので、シール性をより一層高めることができる。
第4の発明によれば、第1フィルタ部と第2フィルタ部とを組み合わせて筒状フィルタを構成するようにしたので、筒状フィルタを金型で一体成形する場合に比べて容易に成形できる。また、第1フィルタ部と第2フィルタ部とを連結部によって連結した状態で一体成形できる。さらに、連結部を折り曲げることによって第1フィルタ部及び第2フィルタ部を容易に組み合わせることができる。
第5の発明によれば、第1フィルタ部や第2フィルタ部にインサート成形されたフィルタ材で連結部を構成できるので、連結部を少ない力で容易に折り曲げて第1フィルタ部及び第2フィルタ部を組み合わせることができる。また、連結部自体でオイルを濾過できるので、仮に連結部が開くようなことがあっても未濾過のオイルが下流側へ流れないようにすることができる。
第6の発明によれば、第1フィルタ部と第2フィルタ部とを組み合わせて筒状フィルタを構成するようにしたので、筒状フィルタを金型で一体成形する場合に比べて容易に成形できる。また、第1フィルタ部及び第2フィルタ部を組み合わせた状態で第1シール部と第2シール部とによって第1フィルタ部及び第2フィルタ部の間をシールできるので、未濾過のオイルが下流側へ流れないようにすることができる。また、フィルタをケーシングの内部で確実に位置決めすることができる。
本発明の実施形態1に係るオイルストレーナを上方から見た斜視図である。 下側ケーシング部材を上方から見た斜視図である。 図1におけるIII−III線断面図である。 フィルタの斜視図である。 連結部を折り曲げる前のフィルタの斜視図である。 実施形態1の変形例1に係る図3相当図である。 実施形態1の変形例2に係る図4相当図である。 実施形態1の変形例2に係るフィルタを組み立てる前の状態を示す斜視図である。 図7におけるIX−IX線断面図である。 実施形態1の変形例3に係る図4相当図である。 実施形態1の変形例3に係る図5相当図である。 図10におけるXII−XII線断面図である。 実施形態2に係る図1相当図である。 実施形態2に係る図2相当図である。 実施形態2に係る図4相当図である。 実施形態2に係る図5相当図である。 実施形態2の変形例1に係る図4相当図である。 実施形態2の変形例1に係るフィルタを組み立てる前の状態を示す斜視図である。 図17におけるXIX−XIX線断面図である。 実施形態3に係る図1相当図である。 実施形態3に係る図4相当図である。 実施形態3に係る図5相当図である。 実施形態3の変形例1に係る図4相当図である。 実施形態3の変形例1に係る図5相当図である。 実施形態3の変形例2に係る図4相当図である。 実施形態3の変形例2に係る図5相当図である。 実施形態3の変形例3に係る図4相当図である。 実施形態3の変形例3に係る図5相当図である。 実施形態4に係るオイルストレーナの縦断面図である。 実施形態4に係るフィルタの斜視図である。 実施形態4の変形例1に係る図29相当図である。 実施形態4の変形例2に係り、図29のA−A線に相当する断面図である。 実施形態4の変形例3に係り、図29のA−A線に相当する断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るオイルストレーナ1を示すものである。このオイルストレーナ1は、図示しないが、例えば自動車のエンジンのオイルパンの内部や自動変速機(オートマチックトランスミッション)のオイルパンの内部に設けられるものであり、オイルパンの内部に貯留されているオイルを濾過した後、オイルポンプ(図示せず)に供給するためのものである。尚、オイルストレーナ1は、エンジンや自動変速機以外にも各種機械が有しているオイルパンの内部に設けることもできる。
オイルストレーナ1は、図3にも示すように、筒状フィルタ10と、該フィルタ10を収容する筒状ケーシング20とを少なくとも備えており、ケーシング20に流入したオイルをフィルタ10によって濾過した後、ケーシング20の外部に流出させるように構成されている。また、オイルパンの内部には図示しない各種部品が配設されており、これら部品と干渉しないようにオイルストレーナ1の配設位置及び形状が設定されている。
(フィルタの構成)
フィルタ10は例えば樹脂材を射出成形してなるものであり、図4にも示すように、角筒状をなしており、オイルストレーナ1の内部のオイル流れ方向を基準としたとき、上流側から下流側へ向かって長く延びている。これにより、コンパクトなフィルタ10としながら広い濾過面積が確保されるので、フィルタ10の長寿命化が図られる。尚、オイルストレーナ1の内部のオイル流れ方向上流側及び下流側は図1に示すように設定されており、オイルの流れ方向はオイルストレーナ1の長手方向と一致している。
フィルタ10の軸線は、該フィルタ10の長手方向に延びている。フィルタ10は、例えば、上下方向の寸法が幅方向の寸法よりも短く設定された扁平形状となっている。これにより、フィルタ10の高さを低くしながら広い濾過面積を確保することが可能になる。尚、フィルタ10は、例えば、円筒状であってもよいし、扁平な筒状であってもよく、その形状は特に限定されない。
フィルタ10の上壁部、下壁部及び下流側端壁部は、それぞれ、細かな孔を多数有する網目部11a、11b、12a、12bで構成されている。つまり、網目部11a、11b、12a、12bが角筒を形成するように設けられていることで、フィルタ10が筒状となっている。また、図示しないが、フィルタ10の側壁部11h、11g、12h、12gに網目部を形成してもよい。また、図示しないが、各網目部11a、11b、12a、12bには該網目部11a、11b、12a、12bを補強するためのリブを一体成形してもよく、このリブは縦方向や横方向に延びるように形成することができる。また、フィルタ10のオイル流れ方向上流側及び下流側を図4に示す方向とは逆にしてもよい。
フィルタ10の上流端部には開口部10dが形成されている。開口部10dによってフィルタ10の内部が開放されている。この開口部10dはフィルタ10の幅方向に長い形状となっている。開口部10dは、未濾過のオイルをフィルタ10の内部に流入させるための流入用開口部であるが、オイル流れ方向を逆にすると流出用開口部となる。
図5にも示すように、フィルタ10は、網目部11a、11bを有する上側フィルタ部(第1フィルタ部)11と、網目部12a、12bを有する下側フィルタ部(第2フィルタ部)12と、上側フィルタ部11及び下側フィルタ部12を連結する折り曲げ可能な連結部13とを有していて、上側フィルタ部11、下側フィルタ部12及び連結部13が一体成形されている。連結部13が折り曲げられて図4に示すように上側フィルタ部11及び下側フィルタ部12が組み合わされる。
上側フィルタ部11は、フィルタ10の略上半部を構成する部分であり、下方に開放する凹状に形成されている。下側フィルタ部12は、フィルタ10の略下半部を構成する部分であり、上方に開放する凹状に形成されている。上側フィルタ部11及び下側フィルタ部12のオイル流れ方向の寸法は略同じに設定されている。これにより、図4に示すように上側フィルタ部11及び下側フィルタ部12が組み合わされた状態で、上側フィルタ部11の下方への開放部分と、下側フィルタ部12の上方への開放部分とが一致して筒状フィルタ10となる。
尚、図示しないが、円筒状フィルタ10の場合、上側フィルタ部11及び下側フィルタ部12の周壁部11h、11g、12h、12gが円弧状に湾曲した形状になり、型の移動方向が半径方向となるが、この場合も成形は容易に可能である。
また、図示しないが、上側フィルタ部11及び下側フィルタ部12の断面形状が異なっていてもよい。
上側フィルタ部11における網目部11a、11bの周りには、フィルタ10の外方へ突出する上側シール板部(第1シール部)14が設けられている。上側シール板部14は、上側フィルタ部11の下方への開放部分を囲むように形成され、かつ、開口部10dに対応する部分には形成されないように、平面視でコ字状に延びている。
下側フィルタ部12における網目部12a、12bの周りには、フィルタ10の外方へ突出する下側シール板部(第2シール部)15が設けられている。下側シール板部15は、下側フィルタ部12の上方への開放部分を囲むように形成され、かつ、開口部10dに対応する部分には形成されないように、平面視でコ字状に延びている。
上側シール板部14と下側シール板部15とは、略平坦に形成され、上側フィルタ部11及び下側フィルタ部12を組み合わせた状態(図4に示す状態)で上下方向に重なり合い、上側フィルタ部11及び下側フィルタ部12の間は開口部10dを除いてシールされる。したがって、開口部10dからフィルタ10の内部に流入したオイルは、上側フィルタ部11と下側フィルタ部12との合わせ部から漏れることなく、各網目部11a、11b、12a、12bを通過して濾過された後、フィルタ10の外部に流出する。
また、フィルタ10の開口部10dの周縁部には、該フィルタ10の軸線の径方向に突出する板状の上側被固定部10b及び下側被固定部10cが設けられている。上側被固定部10bは上側フィルタ部11に一体成形され、下側被固定部10cは下側フィルタ部12に一体成形されている。上側フィルタ部11及び下側フィルタ部12を組み合わせた状態で上側被固定部10b及び下側被固定部10cが連続して枠状になる。上側被固定部10b及び下側被固定部10cは、オイルの脈動等によって変形しないように厚肉に形成されている。尚、上側被固定部10b及び下側被固定部10cの突出方向は、フィルタ10の軸線方向に対して交差する方向であればよく、軸線と直交していなくてもよい。
上側フィルタ部11と下側フィルタ部12とを連結している連結部13は、上側シール板部14と下側シール板部15との間に設けられており、例えば上側シール板部14及び下側シール板部15よりも薄肉に形成された薄肉ヒンジで構成することができる。連結部13を薄肉ヒンジとすることで、連結部13の形成が容易になるとともに、連結部13を容易に折り曲げることが可能になる。連結部13は、図5に示す状態から、上側シール板部14と下側シール板部15が重なり合うように、図4に示す状態となるまで折れ曲がる。尚、連結部13は薄肉ヒンジ以外の構成であってもよく、例えば連結部13の幅を、上側シール板部14及び下側シール板部15の幅よりも狭くすることで、連結部13を薄肉ヒンジとしなくても容易に折り曲げることができる。また、薄肉ヒンジを形成せずに、また、幅を狭くすることなく折り曲げることができる材料の場合には、薄肉ヒンジの形成、及び幅を狭くする構成は必須なものでなく、板厚や幅を変えることなく連結部13を設けることもできる。
フィルタ10を、下方に開放する凹状の上側フィルタ部11と、上方に開放する凹状の下側フィルタ部12とに分割した状態で成形するようにしたので、筒状フィルタ10を分割することなく一体成形する場合に比べて型構造がシンプルになり、上側フィルタ部11及び下側フィルタ部12の成形が容易になる。また、連結部13を上側フィルタ部11及び下側フィルタ部12に一体成形しているので部品点数が増加することはない。
(ケーシングの構成)
ケーシング20は、全体として筒状に形成されており、図1及び図3に示すように上下方向、即ち、該ケーシング20の軸線の径方向に分割された上側ケーシング部材(第1ケーシング部材)30と下側ケーシング部材(第2ケーシング部材)40とを備えている。上側ケーシング部材30及び下側ケーシング部材40は共に樹脂材を射出成形してなるものであり、互いに接合されている。
上側ケーシング部材30は、ケーシング20の略上半部を構成するものであり、上壁部31と、上壁部31の周縁部から下方へ延びる上側周壁部32とを有している。一方、下側ケーシング部材40は、ケーシング20の略下半部を構成するものであり、下壁部41と、下壁部41の周縁部から上方へ延びる下側周壁部42とを有している。
上壁部31は、オイル流れ方向下流側へ行くほど上に位置するように緩やかに傾斜している。上壁部31におけるオイル流れ方向下流側には、上下方向に延びるオイル流出孔33がケーシング20の内部及び外部に連通するように形成されている。オイル流出孔33の周囲には外方へ延びる締結フランジ34が形成されている。締結フランジ34には、オイルストレーナ1をエンジン等に締結するための締結部材(図示せず)が上下方向に挿通する挿通孔34a、34aが、オイル流出孔33を径方向に挟むように設けられている。各挿通孔34aには金属製のブッシュ2が嵌入されている。また、締結フランジ34の上面には、オイル流出孔33を囲むように延びるシール材嵌入溝34bが形成されている。シール材嵌入溝34bには、図示しないが、シール材としてのOリングが嵌入されている。
上側ケーシング部材30の上側周壁部32の下端部には、ケーシング20の外方へ延出する接合フランジ35が形成されている。接合フランジ35は、上側周壁部32の下方へ開放した部分を囲むように形成されている。接合フランジ35の下面が下側ケーシング部材40に接合される接合面35a(図5に示す)とされており、この接合面35aは平坦であってもよいし、接合面35aに溶着用突条部(図示せず)を形成してもよい。
図1に破線で示すように、上側ケーシング部材30の内面には、フィルタ10の上側被固定部10bが嵌合する上側嵌合溝36が形成されている。上側嵌合溝36は、上側ケーシング部材30の幅方向両端部に亘って延びており、具体的には、上側周壁部32の内面及び上壁部31の内面に連続して形成されている。上側嵌合溝36の両端部は、接合フランジ35の接合面35aに開口している。上側嵌合溝36の幅は、フィルタ10の上側被固定部10bの厚みと同程度か、上側被固定部10bの厚みよりも若干狭く設定してシール効果を得るのが好ましい。これにより、フィルタ10の上側被固定部10bが上側嵌合溝36に嵌合した状態でオイルが上側被固定部10bと上側嵌合溝36との間を流れ難くなる。上側嵌合溝36は、上側ケーシング部材30のオイル流れ方向中央部よりも上流側寄りに位置しているが、この上側嵌合溝36の形成位置はケーシング20の形状やフィルタ10の形状及び大きさ等によって変更することが可能である。
上側嵌合溝36の形成により、上側ケーシング部材30の外面には幅方向に延びる上側突条部37(図1参照)が形成されることになる。つまり、上側突条部37の内部に上側嵌合溝36が形成される。この上側突条部37は上側ケーシング部材30の上側周壁部32と上壁部31とに亘っているので、上側ケーシング部材30を補強するリブとしても機能する。
下側ケーシング部材40の下壁部41は、オイル流れ方向下流側へ行くほど上に位置するように緩やかに傾斜している。下壁部41におけるオイル流れ方向上流側には、上下方向に延びるオイル流入孔43がケーシング20の内部及び外部に連通するように形成されている。オイル流入孔43とオイル流出孔33とはケーシング20の軸線方向に互いに離れることになる。オイル流入孔43の下端部は、オイルパンの底壁部近傍に配置される。
また、この実施形態では、オイル流入孔43の開口面積と、オイル流出孔33の開口面積と、フィルタ10の開口部10dの開口面積とは略等しく設定されている。これにより、オイルがオイル流入孔43からフィルタ10の開口部10dを経てオイル流出孔33に流れる間の流通抵抗を低減することができる。
図2に示すように、下側ケーシング部材40の下側周壁部42の上端部には、ケーシング20の外方へ延出する接合フランジ45が形成されている。接合フランジ45は、下側周壁部42の上方へ開放した部分を囲むように形成されている。接合フランジ45の上面が上側ケーシング部材30に接合される接合面45a(図3に示す)とされており、この接合面45aは平坦であってもよいし、接合面45aに溶着用突条部(図示せず)を形成してもよい。
図2に示すように、下側ケーシング部材40の内面には、フィルタ10の下側被固定部10cが嵌合する下側嵌合溝46が形成されている。下側嵌合溝46は、下側ケーシング部材40の幅方向両端部に亘って延びており、具体的には、下側周壁部42の内面及び下壁部41の内面に連続して形成されている。下側嵌合溝46の両端部は、接合フランジ45の接合面45aに開口している。下側嵌合溝46の幅は、フィルタ10の下側被固定部10cの厚みと同程度か、下側被固定部10cの厚みよりも若干狭く設定してシール効果を得るのが好ましい。
下側嵌合溝46の形成により、下側ケーシング部材40の外面には幅方向に延びる下側突条部47が形成されることになる。つまり、下側突条部47の内部に下側嵌合溝46が形成される。この下側突条部47は下側ケーシング部材40の下側周壁部42と下壁部41とに亘っているので、下側ケーシング部材40を補強するリブとしても機能する。
下側ケーシング部材40の接合フランジ45には、フィルタ10の上側シール板部14及び下側シール板部15の幅方向両縁部が嵌まるシール板嵌合凹部45b、45bが形成されている。シール板嵌合凹部45bは、接合フランジ45の接合面45aにおけるフィルタ10内側を下方へ窪ませることによって形成されており、具体的には、上記下側嵌合溝46の形成部位からオイル流れ方向下流側へ向かって長く延びている。シール板嵌合凹部45bのオイル流れ方向上流側の端部は、下側嵌合溝46の端部と接続されている。シール板嵌合凹部45bのオイル流れ方向の寸法は、フィルタ10の上側シール板部14及び下側シール板部15のオイル流れ方向の寸法と略同じに設定されている。
シール板嵌合凹部45bの深さ(上下方向の寸法)は、フィルタ10の上側シール板部14及び下側シール板部15の合計の厚さ寸法と略同程度か、上側シール板部14がシール板嵌合凹部45bから僅かに突出する程度に設定されている。これにより、上側ケーシング部材30と下側ケーシング部材40とを接合した際に、接合フランジ35と接合フランジ45とによってフィルタ10の上側シール板部14及び下側シール板部15を挟持することができる。
尚、上側ケーシング部材30の接合フランジ35に上側シール板部14の幅方向両縁部が嵌まるシール板嵌合凹部35b、35bが形成されていて、下側シール板部15の幅方向両縁部が嵌まるシール板嵌合凹部45b、45bが形成されていてもよい。
図示したケーシング20の形状は一例であり、ケーシング20を図示した形状よりも小さくしてもよいし、各部に凹部や屈曲部を有する形状としてもよい。これにより、オイルパンの内部に配設されている部品とオイルストレーナ1との干渉を回避できる。
(オイルストレーナの製造方法)
次に、上記のように構成されたオイルストレーナ1の製造方法について説明する。まず、フィルタ10、上側ケーシング部材30及び下側ケーシング部材40を成形する。成形直後のフィルタ10は、図5に示すように上側フィルタ部11、下側フィルタ部12及び連結部13が一体成形されていて、上側フィルタ部11及び下側フィルタ部12が連結部13によって直線状に連結されている。この状態から図4に示す状態となるように連結部13を折り曲げて上側シール板部14と下側シール板部15とを重ねる。このとき、連結部13が薄肉ヒンジの場合には小さな力で狙い通りの軌跡を描くように折り曲げることができる。
その後、フィルタ10を例えば下側ケーシング部材40に仮保持させる。このとき、フィルタ10の下側被固定部10cを下側ケーシング部材40の下側嵌合溝46に差し込んで嵌合させる。その後、上側ケーシング部材30を下側ケーシング部材40と重ね、このときにフィルタ10の上側被固定部10bを上側ケーシング部材30の上側嵌合溝36に差し込んで嵌合させる。そして、上側ケーシング部材30の接合フランジ35の接合面35aと、下側ケーシング部材40の接合フランジ45の接合面45aとを接合する。両接合面35a、45aを接合する際には、周知の超音波溶着法や振動溶着法等を使用することができる。超音波溶着法を使用することで溶着時間の短縮及び設備費を低減することができる。
両接合面35a、45aを接合すると上側ケーシング部材30と下側ケーシング部材40との間が全周に亘ってシールされるとともに、フィルタ10の上側被固定部10bが上側ケーシング部材30の内面に固定され、下側被固定部10cが下側ケーシング部材40の内面に固定される。このとき、上側被固定部10b及び下側被固定部10cがケーシング20内面に嵌合しているので、フィルタ10の開口部10d側の全周をシールすることができ、未濾過のオイルが流出するのを未然に防止できる。
両接合面35a、45aを接合することで、フィルタ10の上側シール板部14及び下側シール板部15がケーシング20の接合フランジ35と接合フランジ45とによって両フランジ35、45の接合方向に挟持される。これにより、上側シール板部14及び下側シール板部15が重なり合った状態で全体に亘って密着して上側フィルタ部11及び下側フィルタ部12の間がシールされるので、上側フィルタ部11と下側フィルタ部12との間から未濾過のオイルが流出することはない。
以上説明したように、この実施形態1によれば、上側フィルタ部11及び下側フィルタ部12を組み合わせて筒状フィルタ10を構成するようにしたので、筒状フィルタ10を金型で一体成形する場合に比べて容易に成形できる。また、上側フィルタ部11及び下側フィルタ部12を組み合わせた状態で上側シール板部14及び下側シール板部15によって上側フィルタ部11及び下側フィルタ部12の間をシールできるので、未濾過のオイルが下流側へ流れないようにすることができる。また、上側フィルタ部11及び下側フィルタ部12に連結部13が一体成形されているので、この連結部13がシール部となり、上側シール板部14及び下側シール板部15の間から未濾過のオイルが漏れてしまうのを防止できる。
また、図6に示す実施形態1の変形例1のように、上側シール板部14には、下側シール板部15側へ向けて突出する凸部14aが形成され、下側シール板部15には、上記凸部14aが嵌合する凹部15aが形成されていてもよい。図示しないが、これとは反対に、下側シール板部15には、上側シール板部14側へ向けて突出する凸部が形成され、上側シール板部14には、上記凸部が嵌合する凹部が形成されていてもよい。凸部14aは上側シール板部14の外縁部に沿うように連続して延びている。これにより、上側シール板部14及び下側シール板部15の相対的な位置ずれが抑制されるとともに、上側シール板部14及び下側シール板部15の間のシール性をより一層高めることができる。
また、図7〜図9に示す実施形態1の変形例2のように、フィルタ10の上側フィルタ部11及び下側フィルタ部12を一体成形することなく、互いに別部材で構成してもよい。この場合、上側フィルタ部11の上側シール板部14の縁部に下方へ屈曲する屈曲部14bが形成されている。この屈曲部14bは、下側フィルタ部12の下側シール板部15の縁部15bに係合するようになっている。下側シール板部15の縁部15bが屈曲部14bの内部に差し込まれた状態で係合する。屈曲部14bを下側シール板部15の縁部15bに係合させることで、上側シール板部14及び下側シール板部15が重なり合った状態になる。尚、図示しないが、下側シール板部15に屈曲部を設け、この屈曲部を上側シール板部14の縁部に係合させるようにしてもよい。
また、図10〜図12に示す実施形態1の変形例3のように、フィルタ10の成形時に、上側フィルタ部11から下側フィルタ部12に亘って連続するフィルタ材16をインサート成形するようにしてもよい。フィルタ材16は、図12に示すように、上側フィルタ部11の上側被固定部10bから上壁部、オイル流れ方向下流側の壁部に亘って設けられており、上壁部及びオイル流れ方向下流側の壁部において網目部を構成している。さらに、フィルタ材16は、下側フィルタ部12のオイル流れ方向下流側の壁部から下壁部に亘って設けられて下側被固定部10cに達しており、下壁部及びオイル流れ方向下流側の壁部において網目部11a、11b、12a、12bを構成している。そして、フィルタ材16は、上側シール板部14から下側シール板部15に亘って連続しており、フィルタ材16における上側シール板部14と下側シール板部15との間の部分は、露出して折り曲げ可能な連結部13を構成している。フィルタ材16の一部が連結部13となっているので、連結部13を小さな力で容易に折り曲げることができる。フィルタ材16は、不織布が好ましいが、不織布以外にも織布等を使用することもできる。また、湾曲又は屈曲しやすいフィルタ材16であってもよく、特に材質は問わない。また、連結部13が開いたとしても、連結部13がフィルタ材16で構成されているのでオイルを連結部13で濾過することができ、未濾過のオイルが下流側へ流れてしまうのを防止できる。尚、連結部13がヒンジ形状となってもよい。フィルタ材16は、例えば、金属メッシュ、樹脂メッシュ、樹脂ネット等であってもよい。
(実施形態2)
図13は、本発明の実施形態2に係るオイルストレーナ1を示すものである。実施形態2のオイルストレーナ1は、実施形態1のものに対してフィルタ10の構造が異なっており、これに伴ってケーシング10のフィルタ10が嵌合する部分の構造も異なっている。以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
図15に示すように、実施形態2のフィルタ10は、上側フィルタ部11が平坦な形状となっており、この上側フィルタ部11と下側フィルタ部12とを組み合わせると、下側フィルタ部12の上方への開放部分が上側フィルタ部11によって覆われるようになっている。下側フィルタ部12にも網目部12a、12bが設けられており、広い濾過面積が確保されている。また、フィルタ10の上面には上方へ突出する部分が無いように構成されている。
上側フィルタ部11の上側シール板部14には、オイル流れ方向上流側へ延びる延出部14cが設けられている。上側フィルタ部11と下側フィルタ部12とを組み合わせた状態で、上側シール板部14の延出部14cが、下側フィルタ部12の下側シール板部15よりもオイル流れ方向上流側へ突出するようになっている。また、上側フィルタ部11の網目部11aは、下側フィルタ部12の網目部12bよりもオイル流れ方向上流側へ突出しており、この上側フィルタ部11の網目部11aの直下方にケーシング10のオイル流入孔43が位置している。従って、オイル流入孔43から流入して上方へ流れるオイルは、その上方に上側フィルタ部11の網目部11aが位置しているので、上側フィルタ部11の網目部11aによってスムーズに濾過されることになる。
図14に示すように、下側ケーシング部材40の接合フランジ45に形成されているシール板嵌合凹部45bは、下側ケーシング部材40のオイル流れ方向上流側の下側嵌合溝46の下流側端部まで延びるシール板嵌合凹部45cが形成されている。下側嵌合溝46よりもオイル流れ方向上流側の端部にシール板嵌合凹部45cが形成されていて、上側フィルタ部11の上側シール板部14のみが嵌合する部分であるため、オイル流れ方向下流側の部分に比べて一段浅くなっている。
この実施形態2では、オイルストレーナ1の製造時にフィルタ10を下側ケーシング部材40に仮保持させた際、上側フィルタ部11の上側シール板部14の延出部14cがシール板嵌合凹部45cに嵌合するので、フィルタ10の位置ずれが抑制される。また、フィルタ10を下側ケーシング部材40に仮保持させた状態では、フィルタ10の上面が下側ケーシング部材40から上方へ突出しないので、例えば熱板溶着を行う際に熱板を下側ケーシング部材40の接合フランジ45の接合面45aに接近させることができる。更に、上側フィルタ部11の上側シール板部14の延出部14cの網目部11aを下方へ突出させることもできる。これにより、熱板溶着を行うこともできるので、溶着の自由度が向上する。
以上のように、この実施形態2によれば、実施形態1と同様に、筒状フィルタ10を金型で一体成形する場合に比べて容易に成形できる。また、上側フィルタ部11及び下側フィルタ部12を組み合わせた状態で未濾過のオイルが下流側へ流れないようにすることができる。
また、図17〜図19に示す実施形態2の変形例1のように、フィルタ10の上側フィルタ部11及び下側フィルタ部12を一体成形することなく、互いに別部材で構成してもよい。この場合、上側フィルタ部11の上側シール板部14の縁部に下方へ屈曲する屈曲部14bが形成されている。この屈曲部14bは、下側フィルタ部12の下側シール板部15の縁部15bに係合するようになっている。下側シール板部15の縁部15bが屈曲部14bの内部に差し込まれた状態で係合する。屈曲部14bを下側シール板部15の縁部15bに係合させることで、上側シール板部14及び下側シール板部15が重なり合った状態になる。尚、図示しないが、下側シール板部15に屈曲部を設け、この屈曲部を上側シール板部14の縁部に係合させるようにしてもよい。
上記実施形態1、2において、上側フィルタ部11と下側フィルタ部12の一方が他方向けて窪む凹状に形成されていてもよい。
(実施形態3)
図20は、本発明の実施形態3に係るオイルストレーナ1を示すものである。実施形態3のオイルストレーナ1は、実施形態1のものに対してケーシング10が屈曲している点で異なっており、また、フィルタ10の構造も実施形態1のものとは異なっており、これに伴ってケーシング10のフィルタ10が嵌合する部分の構造も異なっている。以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
ケーシング1は、平面視でオイル流れ方向中間部が屈曲していて、この屈曲部分を境界にしてオイル流れ方向上流側部分の延びる方向と、オイル流れ方向下流側部分の延びる方向とが交差する関係となっている。この実施形態3では、ケーシング1の屈曲部分が1つだけである場合について説明するが、屈曲部分は2つ以上あってもよい。また、ケーシング1は上下方向に屈曲する形状であってもよい。
図21に示すように、フィルタ10はケーシング1の屈曲した形状に対応するように、平面視で屈曲している。また、実施形態3のフィルタ10は、上側フィルタ部11が平坦な形状となっており、この上側フィルタ部11と下側フィルタ部12とを組み合わせると、下側フィルタ部12の上方への開放部分が上側フィルタ部11によって覆われるようになっている。下側フィルタ部12にも網目部12a、12bが設けられており、広い濾過面積が確保されている。また、フィルタ10の上面には上方へ突出する部分が無いように構成されている。
上側フィルタ部11の上側シール板部14には、オイル流れ方向上流側へ延びる延出部14cが設けられている。上側フィルタ部11と下側フィルタ部12とを組み合わせた状態で、上側シール板部14の延出部14cが、下側フィルタ部12の下側シール板部15よりもオイル流れ方向上流側へ突出するようになっている。また、上側フィルタ部11の網目部11aは、下側フィルタ部12の網目部12a、12bよりもオイル流れ方向上流側へ突出しており、この上側フィルタ部11の網目部11aの直下方にケーシング10のオイル流入孔43が位置している。従って、オイル流入孔43から流入して上方へ流れるオイルは、その上方に上側フィルタ部11の網目部11aが位置しているので、上側フィルタ部11の網目部11aによってスムーズに濾過されることになる。
この実施形態3では、オイルストレーナ1の製造時にフィルタ10を下側ケーシング部材40に仮保持させた際、上側フィルタ部11の上側シール板部14の延出部14cが下側ケーシング部材40のシール板嵌合凹部(図示せず)に嵌合するようになっている。これにより、フィルタ10の位置ずれが抑制される。
また、フィルタ10を下側ケーシング部材40に仮保持させた状態では、フィルタ10の上面が下側ケーシング部材40から上方へ突出しないので、例えば熱板溶着を行う際に熱板を下側ケーシング部材40の接合フランジ45に接近させることができる。これにより、熱板溶着を行うこともできるので、溶着の自由度が向上する。
以上のように、この実施形態3によれば、実施形態1と同様に、筒状フィルタ10を金型で一体成形する場合に比べて容易に成形できる。また、上側フィルタ部11及び下側フィルタ部12を組み合わせた状態で未濾過のオイルが下流側へ流れないようにすることができる。
また、図23及び図24に示す実施形態3の変形例1のように、フィルタ10の上側フィルタ部11が上方へ膨出するように形成されていてもよい。この変形例1では、上側フィルタ部11が下側ケーシング部材40から上方へ突出することになるので、上側ケーシング部材30と下側ケーシング部材40とを溶着する際には振動溶着法や超音波溶着法を用いるのが好ましい。
また、図25及び図26に示す実施形態3の変形例2のように、フィルタ10の上側フィルタ部11のオイル流れ方向上流端部と、下側フィルタ部12のオイル流れ方向上流端部とを一致させてもよい。この場合、上側フィルタ部11のオイル流れ方向上流端部に、実施形態1で説明したような上側被固定部10bを設け、上側ケーシング部材30の内面に上側嵌合溝(図示せず)を設け、上側被固定部10bを上側嵌合溝に嵌合させる。
また、図27及び図28に示す実施形態3の変形例3のように、上記変形例2の上側フィルタ部11のオイル流れ方向上流端部を下側フィルタ部12のオイル流れ方向上流端部よりもオイル流れ方向上流側に突出させてもよい。これにより、上側フィルタ部11の網目部11aがオイル流入孔(図示せず)の直上方に位置することになるので、流入したオイルをスムーズに濾過できる。
上記実施形態3の上側フィルタ部11がフラットな形状でなくてもよく、例えば凹状に形成されていてもよい。
(実施形態4)
図29は、本発明の実施形態4に係るオイルストレーナ1の縦断面図である。実施形態4のオイルストレーナ1は、実施形態1のものに対してフィルタ10の構造及びフィルタ10の固定構造が異なっている。以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
図30にも示すように、フィルタ10の上壁部には上側筒部16が上方へ突出するように形成されている。この上側筒部16の内部はフィルタ10の内部と連通している。また、フィルタ10の下壁部には下側筒部17が上方へ突出するように形成されている。この下側筒部17の内部はフィルタ10の内部と連通している。
フィルタ10の上側フィルタ部11の上側シール板部14は、上側フィルタ部11の下方への開放部分の全周に亘って形成されている。上側シール板部14の周方向の一部には、下方へ屈曲する屈曲部14dが形成されている。この屈曲部14dは下側シール板部15を挟持するように形成されており、両者間がシールされるようになっている。また、下側フィルタ部12の下側シール板部15は、下側フィルタ部12の上方への開放部分の全周に亘って形成されている。下側シール板部15の周方向の一部には、上方へ屈曲する屈曲部15dが形成されている。この屈曲部15dは上側シール板部14を挟持するように形成されており、両者間がシールされるようになっている。
また、上側ケーシング部材30の上壁部31の内面には、第1環状凸部31aと、第2環状凸部31bとが下方へ突出するように形成されている。第1環状凸部31aはフィルタ10の上側筒部16の外側に嵌合する。第2環状凸部31bは第1環状凸部31aの内側に位置しており、フィルタ10の上側筒部16の内側に嵌合する。フィルタ10の上側筒部16に第1環状凸部31aと第2環状凸部31bが嵌合することで、上側筒部16がシールされるとともに、上側ケーシング部材30に対して固定される。
また、下側ケーシング部材40には、オイル流入管部48が形成されており、このオイル流入管部48の内部にオイル流入孔43が形成されている。オイル流入管部48は、下側ケーシング部材40の下壁部41から下方及び上方の両方向に突出している。オイル流入管部48の上側は、フィルタ10の下側筒部(嵌合部)17の内側に嵌合する。また、下側ケーシング部材40の下壁部41には、オイル流入管部48の上側部分を囲むように延びる環状凸部49が形成されている。環状凸部49は、下側筒部17の外側に嵌合する。フィルタ10の下側筒部17にオイル流入管部48の上側部分及び環状凸部49が嵌合することで、下側筒部17がシールされるとともに、下側ケーシング部材40に対して固定される。
以上のように、この実施形態4によれば、実施形態1と同様に、筒状フィルタ10を金型で一体成形する場合に比べて容易に成形できる。また、上側フィルタ部11及び下側フィルタ部12を組み合わせた状態で屈曲部14d、15dによって両者間をシールすることができるので、未濾過のオイルが下流側へ流れないようにすることができる。
尚、フィルタ10は、上側フィルタ部11と下側フィルタ部12を同一部材で形成することができる。
また、図31に示す実施形態4の変形例1のように、フィルタ10の下側筒部17の外面に係合突出部17aを形成し、下側ケーシング部材40の環状凸部49に、係合突出部17aが嵌入する係合孔49aを形成し、係合突出部17aを係合孔49aに係合させるようにしてもよい。これにより、フィルタ10の下側筒部17が下側ケーシング部材40の環状凸部49に対して確実に固定される。尚、係合突出部17a及び係合孔49aの数は任意の数に設定することができる。
また、図32に示す実施形態4の変形例2のように、フィルタ10の上側筒部16を省略することも可能である。この変形例2では、ケーシング20の第1環状凸部31aと第2環状凸部31bと環状凸部49も省略している。その代わりに、フィルタ10の外周部をケーシング20の内面に当接させることによってフィルタ10を位置決めしている。また、フィルタ10の下側筒部17の内面に係合突出部17bを形成し、オイル流入管部48の上側の外面には、係合突出部17bが嵌入する係合凹部48aを形成し、係合突出部17bを係合凹部48aに係合させるようにしてもよい。これにより、フィルタ10の下側筒部17が下側ケーシング部材40に対して確実に固定される。尚、係合突出部17b及び係合凹部48aの数は任意の数に設定することができる。
また、図33に示す実施形態4の変形例3のように、フィルタ10のシール構造を変更することもできる。この変形例3では、上側フィルタ部11の下方への開放部分の周縁部に、下方へ突出するように上側シール板部14を設ける。そして、下側シール板部15の上面には、上側シール板部14の下部が嵌合する嵌合溝15eを形成する。これにより、上側フィルタ部11と下側フィルタ部12との間をシールすることができる。また、変形例3では、フィルタ10の上壁部に上方へ突出する板部19が形成されている。この板部19の上端部がケーシング20の上壁部31の内面に当接してフィルタ10がケーシング20の内部で安定するようになっている。
また、板部19は、図示しないが、上壁部31の内面に形成された突出部によって、両側を位置決めするようにしてもよい。板部19は複数設けられていてもよい。
また、実施形態1〜4のオイルストレーナ1によれば、上側ケーシング部材30と下側ケーシング部材40がケーシング20の軸線の径方向に分割されているので、例えばケーシング20に複数の屈曲部や凹部を形成してオイルパン内部の部品との干渉を回避する必要があったとしても、これらケーシング部材30、40を成形する際にアンダーカットになることはなく、型構造がシンプルになり、その結果、低コスト化を図ることができる。
また、上記実施形態1〜3では、フィルタ10のオイル流れ方向に対する側壁部11g、11h、12g、12hが板状になっているが、これら側壁部11g、11h、12g、12hのいずれか1つまたは2つ以上がメッシュ形状であってもよい。
また、上記実施形態1〜4では、ケーシング20が扁平な筒状に形成されているが、これに限らず、角筒状であってもよいし、円筒状であってもよい。
また、上記実施形態1〜4では、ケーシング20が略水平方向に延びるように形成されているが、これに限らず、斜めに延びる形状であってもよいし、上下方向に延びる形状であってもよいし、幅が部分的に広くなったり狭くなったりしてもよいし、厚みが部分的に厚くなったり薄くなっていてもよい。
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
以上説明したように、本発明に係るオイルストレーナは、例えば、自動車のエンジンのオイルパンの内部や自動変速機のオイルパンの内部に設けることができる。
1 オイルストレーナ
10 フィルタ
11a、11b、12a、12b 網目部
11 上側フィルタ部(第1フィルタ部)
12 下側フィルタ部(第2フィルタ部)
13 連結部
14 上側シール板部(第1シール部)
15 下側シール板部(第2シール部)
16 フィルタ材
17 下側筒部(嵌合部)
20 ケーシング
30 上側ケーシング部材(第1ケーシング部材)
40 下側ケーシング部材(第2ケーシング部材)
48 嵌合部

Claims (6)

  1. オイルを濾過する網目部(11a、11b、12a、12b)が筒を形成するように設けられた樹脂製の筒状フィルタ(10)において、
    上記フィルタ(10)は、上記網目部(11a、11b)を有する第1フィルタ部(11)と、該第1フィルタ部(11)とは別部材からなり、上記網目部(12a、12b)を有する第2フィルタ部(12)とが組み合わされて構成され、
    上記第1フィルタ部(11)における上記網目部(11a、11b)の周りに第1シール部(14)が設けられ、
    上記第2フィルタ部(12)における上記網目部(12a、12b)の周りに第2シール部(15)が設けられ、
    上記第1フィルタ部(11)及び上記第2フィルタ部(12)が組み合わされた状態で上記第1シール部(14)と上記第2シール部(15)とが重なり合って該第1フィルタ部(11)及び該第2フィルタ部(12)の間がシールされることを特徴とするフィルタ(10)。
  2. 請求項1に記載のフィルタ(10)において、
    上記第1シール部(14)及び上記第2シール部(15)の少なくとも一方には、他方側へ向けて突出する凸部(14a)が形成され、他方には、上記凸部(14a)が嵌合する凹部(15a)が形成されていることを特徴とするフィルタ(10)。
  3. オイルを濾過する網目部(11a、11b、12a、12b)が筒を形成するように設けられた樹脂製の筒状フィルタ(10)と、
    上記フィルタ(10)を収容するケーシング(20)とを備えたオイルストレーナ(1)において、
    上記フィルタ(10)は、上記網目部(11a、11b)を有する第1フィルタ部(11)と、上記網目部(12a、12b)を有する第2フィルタ部(12)とが組み合わされて構成され、
    上記第1フィルタ部(11)における上記網目部(11a、11b)の周りに第1シール部(14)が設けられ、
    上記第2フィルタ部(12)における上記網目部(12a、12b)の周りに第2シール部(15)が設けられ、
    上記第1フィルタ部(11)及び上記第2フィルタ部(12)が組み合わされた状態で上記第1シール部(14)と上記第2シール部(15)とが重なり合って該第1フィルタ部(11)及び該第2フィルタ部(12)の間がシールされ、
    上記ケーシング(20)は、第1ケーシング部材(30)と第2ケーシング部材(40)とを接合してなり、
    上記フィルタ(10)の上記第1シール部(14)及び上記第2シール部(15)は、上記第1ケーシング部材(30)と上記第2ケーシング部材(40)とによって接合方向に挟持されることを特徴とするオイルストレーナ(1)。
  4. オイルを濾過する網目部(11a、11b、12a、12b)が筒を形成するように設けられた樹脂製の筒状フィルタ(10)において、
    上記フィルタ(10)は、上記網目部(11a、11b)を有する第1フィルタ部(11)と、上記網目部(12a、12b)を有する第2フィルタ部(12)と、上記第1フィルタ部(11)及び上記第2フィルタ部(12)を連結する折り曲げ可能な連結部(13)とを有し、
    上記連結部(13)が折り曲げられて上記第1フィルタ部(11)及び上記第2フィルタ部(12)が組み合わされることを特徴とするフィルタ(10)。
  5. 請求項4に記載のフィルタ(10)において、
    上記第1フィルタ部(11)と上記第2フィルタ部(12)との少なくとも一方にフィルタ材(16)がインサート成形され、
    上記フィルタ材(16)は上記連結部(13)を構成していることを特徴とするフィルタ(10)。
  6. オイルを濾過する網目部(11a、11b、12a、12b)が筒を形成するように設けられた樹脂製の筒状フィルタ(10)と、
    上記フィルタ(10)を収容するケーシング(20)とを備えたオイルストレーナ(1)において、
    上記フィルタ(10)は、上記網目部(11a、11b)を有する第1フィルタ部(11)と、上記網目部(12a、12b)を有する第2フィルタ部(12)とが組み合わされて構成され、
    上記第1フィルタ部(11)における上記網目部(11a、11b)の周りに第1シール部(14)が設けられ、
    上記第2フィルタ部(12)における上記網目部(12a、12b)の周りに第2シール部(15)が設けられ、
    上記第1フィルタ部(11)及び上記第2フィルタ部(12)が組み合わされた状態で上記第1シール部(14)と上記第2シール部(15)とが重なり合って該第1フィルタ部(11)及び該第2フィルタ部(12)の間がシールされ、
    上記ケーシング(20)には、オイルを該ケーシング(20)の内部に流入させるためのオイル流入管部(48)が形成され、
    上記フィルタ(10)には、上記オイル流入管部(48)に嵌合する嵌合部(17)が形成されていることを特徴とするオイルストレーナ(1)。
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