JP2017144694A - 液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置 - Google Patents
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Abstract
Description
Qout={Rin/(Rin+Rout)}×Q−q・・・式(1)
前述した本発明の液体吐出ヘッド1の実施形態に基づく、より具体的な実施例について説明する。図7は、実施例1の分配部材22の吐出口6の列方向に沿う断面(図4のA−A線の位置での断面)の模式図を示している。本実施例での液体吐出ヘッド1では、排出分配流路19の幅が供給分配流路18の幅よりも小さく、排出分配流路19の流路断面積は供給分配流路18の半分である。従って、排出分配流路19の流抵抗は供給分配流路18の流抵抗よりも大きい。それにより、図2,図3に示す排出口5、排出裏面流路27、および排出分配流路19の合成流抵抗が、供給口4、供給裏面流路26、および供給分配流路18の合成流抵抗と比較して、1割程度大きくなっている。
比較例では、圧力差により循環する流量の4倍程度の流量の液体が、図2,3に示す吐出口6から吐出され、排出分配流路19内の高温の液体が排出口5や排出裏面流路27を介して個別液室3に逆流し、個別液室3内の液体の温度が一時的に過剰に高くなる。
これに対し、本実施例では、一時的に上昇した個別液室3内の液体の温度は、比較例に比べると低く抑えられている。これは、本実施例では、排出口5、排出裏面流路27、および排出分配流路19の合成流抵抗が、供給口4、供給裏面流路26、および供給分配流路18の合成流抵抗と比較して1割程度大きいからである。すなわち、式(1)からわかるように、排出分配流路19から個別液室3に逆流する高温の液体の流量が、比較例に比べて1割程度小さく、個別液室3内の液体の温度上昇が抑制されるからである。
本発明の実施例2の液体吐出ヘッドでは、図10に示すように、各供給分配流路18の大きさと各排出分配流路19の大きさがほぼ等しく、供給分配流路18の数が排出分配流路19の数の2倍である。これにより、図2、図3に示す排出口5、排出裏面流路27、および排出分配流路19の合成流抵抗が、供給口4、供給裏面流路26、および供給分配流路18の合成流抵抗と比較して、3割程度大きくなっている。図8に示す比較例では、供給分配流路18と排出分配流路19の数および大きさはほぼ等しい。
本実施例の液体吐出ヘッド1を、実施例1および比較例の液体吐出ヘッドと同じ条件で駆動した時の、個別液室3内の液体の平均温度の時間プロファイルを図11に示している。本実施例では、実施例1よりもさらに、一時的に上昇した個別液室3(図4参照)内の液体の温度が低く抑えられている。これは、本実施例では、図2,3に示す排出口5、排出裏面流路27、および排出分配流路19の合成流抵抗が、供給口4、供給裏面流路26、および供給分配流路18の合成流抵抗と比較して3割程度大きいからである。式(1)からわかるように、排出分配流路19から個別液室3に逆流する高温の液体の流量が、比較例に比べて3割程度小さく、個別液室3内の液体の温度上昇が抑制されるからである。
以上説明したように、本実施例によると、供給分配流路18の数を増やして流抵抗を小さくすることにより、個別液室3内の液体の温度上昇を抑制し、形成する画像の品位を高く保つことができる液体吐出ヘッド1を作製可能である。
本発明の実施例3の液体吐出ヘッドでは、液体吐出時に排出分配流路19から個別液室3(図4参照)に逆流する液体を大幅に低減することにより、個別液室3内の液体の温度上昇を抑制するために、以下の条件を設定した。図2,図3に示す供給口4、供給裏面流路26、供給分配流路18の合成流抵抗Rinと、排出口5、排出裏面流路27、排出分配流路19の合成流抵抗Routと、液体吐出量Qと、非吐出時に個別液室3を通って循環する液体の流量qを以下のように設定する。
q>{Rin/(Rin+Rout)}×Q・・・式(2)
そして、液体吐出量Qよりも多量の液体が非吐出時に個別液室3を通って循環して、圧力損失による流路内の圧力分布が大きくなって吐出特性のバラツキが生じることを防ぐために、非吐出時に液体が循環する量qを液体吐出量Qより小さくする。
q<Q・・・式(3)
これらの式(2),(3)から、排出分配流路19から逆流する高温インクの流量を大幅に低減し、かつ圧力損失による吐出特性のバラツキを回避するために、以下の条件を設定する。
Q>q>{Rin/(Rin+Rout)}×Q・・・式(4)
この式(4)の関係を満たすことで、排出分配流路19内から個別液室3(図4参照)に逆流する流体の流量を大幅に低減することができる。この式(4)を満たすことは、実施例1,2と同様に排出分配流路19と供給分配流路18の形状や寸法や数を適宜に設定することによって、供給側と排出側の流抵抗Rin、Routを調整することで可能である。
これは、本実施例では、非吐出時に個別液室3を通って循環する液体の流量qが、式(4)の条件を満たし、排出分配流路19内の高温の液体が個別液室へほとんど逆流しないからである。比較例では、非吐出時の液体の循環流量qが、式(4)の右辺の値の半分程度の小ささであるため、分配流路19内の高温の液体が個別液室へ逆流し、個別液室3内の液体の温度が上昇する。しかし、本実施例では、比較例に比べて、排出分配流路19から逆流する高温の液体が大幅に低減し、個別液室3内の液体の温度上昇が非常に小さい。その結果、形成する画像の品位を高く保つことができる。
3 個別液室
4 供給口
5 排出口
6 吐出口
14 圧力発生素子
16 供給共通流路
17 排出共通流路
18 供給分配流路
19 排出分配流路
20 基板(記録素子基板)
21 カバープレート
22 分配部材
23 共通流路部材
24 供給側開口
25 排出側開口
26 供給裏面流路
27 排出裏面流路
28 共通流路部材
Claims (13)
- 液体が供給される複数の個別液室と、各々の前記個別液室にそれぞれ設けられている吐出口およびエネルギー発生素子と、前記個別液室に液体を供給する供給側の流路と、前記吐出口から吐出されない液体を前記個別液室から排出する排出側の流路と、を備え、前記供給側の流路の流抵抗が前記排出側の流路の流抵抗よりも小さいことを特徴とする、液体吐出ヘッド。
- 前記供給側の流路の、各々の前記個別液室に開口している供給口よりも上流側の部分の流抵抗が、前記排出側の流路の、各々の前記個別液室に開口している排出口よりも下流側の部分の流抵抗よりも小さい、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記吐出口が形成されている吐出口形成部材と、前記エネルギー発生素子が配置されている基板とが接合されて、前記個別液室が形成されており、
前記基板の、前記吐出口形成部材と接合されている面の反対側に、前記供給側の流路の一部と前記排出側の流路の流路の一部とが形成されている少なくとも1つの板部材が積層されており、前記供給側の流路の前記少なくとも1つの板部材に形成されている部分の流抵抗が、前記排出側の流路の前記少なくとも1つの板部材に形成されている部分の流抵抗よりも小さい、請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記少なくとも1つの板部材は、前記供給側の流路の一部を構成する供給分配流路と、前記排出側の流路の一部を構成する排出分配流路と、が形成された分配部材を含み、前記供給分配流路の流抵抗が前記排出分配流路の流抵抗よりも小さい、請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記供給分配流路の前記液体の流れの方向に垂直な断面積が、前記排出分配流路の前記液体の流れの方向に垂直な断面積よりも大きい、請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
- 1つの前記個別液室に接続される前記供給分配流路の数が、当該個別液室に接続される前記排出分配流路の数よりも多い、請求項4または5に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記少なくとも1つの板部材は、前記供給側の流路の一部であって前記供給分配流路よりも上流側に位置する供給共通流路と前記排出側の流路の一部であって前記排出分配流路も下流側に位置する排出共通流路とが形成された共通流路部材と、前記供給側の流路の一部であって前記供給分配流路よりも上流側に位置する供給側開口と前記排出側の流路の一部であって前記排出分配流路も上流側に位置する排出側開口とが形成されたカバープレートと、をさらに含み、
前記共通流路部材に前記分配部材が重ねられ、前記分配部材の、前記共通流路部材に接合される側と反対側に前記カバープレートが重ねられ、前記カバープレートの、前記分配部材に接合される側と反対側に前記基板が重ねられており、前記供給共通流路が、少なくとも前記供給分配流路および前記供給側開口を介して、各々の前記個別液室に開口している供給口に接続され、前記排出共通流路が、少なくとも前記排出分配流路および前記排出側開口を介して、各々の前記個別液室に開口している排出口に接続されており、
前記供給共通流路の流抵抗が前記排出共通流路の流抵抗とほぼ等しく、前記供給側開口の流抵抗が前記排出側開口の流抵抗とほぼ等しい、請求項4から6のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記基板は、前記供給側の流路の一部であって前記供給分配流路と前記供給口との間に位置する供給裏面流路と、前記排出側の流路の一部であって前記排出分配流路と前記排出口との間に位置する排出裏面流路とがさらに形成されており、前記供給裏面流路の流抵抗が前記排出裏面流路の流抵抗とほぼ等しい、請求項4から7のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記供給側の流路と前記個別液室と前記排出側の流路とによって、液体の循環流路が構成されている、請求項1から8のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 液体が供給される複数の個別液室と、各々の前記個別液室にそれぞれ設けられている吐出口およびエネルギー発生素子と、前記個別液室に液体を供給する供給側の流路と、前記吐出口から吐出されない液体を前記個別液室から排出する排出側の流路と、を備え、前記供給側の流路と前記個別液室と前記排出側の流路とによって構成される循環流路を流れる液体の流量qと、前記吐出口からの液体の吐出量Qと、前記供給側の流路の流抵抗Rinと、前記排出側の流路の流抵抗Routが、Q>q>{Rin/(Rin+Rout)}×Qの関係を満たすことを特徴とする、液体吐出ヘッド。
- 前記個別液室の内部の液体は、前記個別液室の外部との間で循環される、請求項1から10のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 請求項1から11のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドと、前記供給側の流路に接続され、前記液体吐出ヘッドに供給する液体を保持するとともに、前記排出側の流路に接続され、前記吐出口から吐出されずに前記液体吐出ヘッドから排出された液体を受ける、少なくとも1つの液体保持手段と、を含むことを特徴とする、液体吐出装置。
- 前記液体吐出ヘッドの温度を調整する加温手段をさらに含む、請求項12に記載の液体吐出装置。
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