JP2017144633A - 複合シート - Google Patents

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登志子 中東
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Abstract

【課題】強度特性と、特に垂直方向(厚さ方向)の防水性に優れ、キャッピングシートとして好適に使用することができる材料を提供すること。
【解決手段】通気防水層と、該通気防水層上に位置する接着剤層と、該接着剤層上に位置する多孔質層と、を有し、前記接着剤層が、熱可塑性エラストマーを主成分とするホットメルト接着剤から成る層であることを特徴とする、複合シート。
【選択図】なし

Description

本発明は複合シートに関する。詳しくは、キャッピングシートとして好適に使用することができる、防水性に優れた複合シートに関する。
東日本大震災による原子力発電所の事故のため、大量の放射性物質が環境中に放出され、周辺地域の土壌を汚染した。放出された放射性物質は、津波被害地域にも降下して、破壊された家屋、構造物等を汚染した。
広い範囲に拡散された放射性物質は、雨水及び下水に流されて下水処理場に集まった。従って、下水処理後の汚泥から高濃度の放射性物質が検出されている。汚染物質を焼却した後の焼却灰には放射性物質が濃縮され、高濃度の放射線を放出するものとなった。
このような放射性物質を含む土壌、廃棄物等の処理については、これらが長期間にわたって放射線を放出することを考慮し、周辺環境に及ぼす影響がないように処分される必要がある。
一般の廃棄物の最終処分場等では、埋め立て後の廃棄物層を、覆土、工業用シート等によってキャッピングし、景観、跡地利用、及び浸出水量の削減を目的にした最終覆土が行われる。
放射性廃棄物の最終処分の方法としては、地中に深く埋め込むことが望ましいと考えられている。しかしながら、放射性廃棄物を埋め込む土地の確保が難しいことから、当面は仮置場に仮置きしているのが現状である。
放射性廃棄物の仮置場においては、汚染を拡散させないように放射性廃棄物を袋(例えばフレキシブルコンテナバッグ)に収容し、更にキャッピングシートで覆って管理されている。
キャッピングシートには以下の特性が求められる。
(1)通気特性:廃棄物中の有機物の腐敗によって発生するガスをスムーズに放出し、ガス滞留による変形及び蓄熱が抑制されていること、
(2)防水特性:雨水を浸透させないこと、及び
(3)強度特性:台風等に耐え得る強度・固定方法、及び獣傷、歩行に耐え得る耐貫通性を有すること。
このような要求を満たすために、例えば、通気防水フィルムの両面に不織布シートを貼りあわせたキャッピングシートが提案されている(特許文献1及び2)。
特開2011−245745号公報 特開2009−183849号公報
キャッピングシートは、一般に、例えば幅2m×長さ50m程度のシートとして製造されており、現場でシート同士を接合することによって、現場の必要に合わせたサイズ(幅)を有する1枚の大きなシートとして使用されている。従来のキャッピングシートでは、シート同士の接合性が不十分であり、毛細管現象によってシートの接合部から雨水が浸入し、防水性に劣るとの問題があった。
また、キャッピングシートは、種々の機能を有する複数の層から成る複合シートの形態をとることが多い。この複合シートを構成する層の中には防水機能を発揮する層も含まれてはいるけれども、複合シート全体の防水性は必ずしも十分ではない。特に、処分場において長期間屋外放置された場合には、シートの厚さ方向の漏水が発生する場合があるため、最終処分場における半永久的なキャッピングシート、及び放射性廃棄物の仮置場等の厳密な管理を要する場面におけるキャッピングシートとしては、未だ全幅の信頼をおけるものではない。
本発明は、上記の現状に鑑みてなされたものである。従って、本発明の目的は、強度特性と、特に垂直方向(厚さ方向)の防水性に優れ、キャッピングシートとして好適に使用することができる材料を提供することである。
本発明は以下のとおりに要約される。
[1] 通気防水層と、該通気防水層上に位置する接着剤層と、該接着剤層上に位置する多孔質層と、を有し、
前記接着剤層が、熱可塑性エラストマーを主成分とするホットメルト接着剤から成る層であることを特徴とする、複合シート。
[2] 前記接着剤層が、ポリオレフィン系ホットメルト接着剤から成る層である、[1]に記載の複合シート。
[3] 前記通気防水層が高密度ポリエチレン系不織布から成る層であり、そして
前記多孔質層がポリオレフィン系微多孔膜、ポリオレフィン系極細不織布、又はポリエステル系極細不織布から成る層である、[1]又は[2]に記載の複合シート。
[4] 前記多孔質層上に更に保護層を有する、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の複合シート。
[5] 前記シートの直径30cmの円形の領域に圧力水頭100cmの水圧を厚さ方向にかけたときの24時間経過後の透水量が1×10−8/h以下であり、
JIS L1096Bに準拠して測定した貫通抵抗力が12N以上である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の複合シート。
[6] [1]〜[5]のいずれか一項に記載の複合シートから成るキャッピングシート。
[7] 通気防水層と多孔質層とを、熱可塑性エラストマーを主成分とするホットメルト接着剤によって接着する工程を有することを特徴とする、[1]に記載の複合シートの製造方法。
[8] 前記接着剤がポリオレフィン系ホットメルト接着剤である、[7]に記載の方法。
本発明によれば、強度特性と、特に垂直方向(厚さ方向)の防水性に優れ、キャッピングシートとして好適に使用することができる複合シートが提供される。
実施例において、垂直方向透水性の評価に用いた透水試験器の構造を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の複合シートは、通気防水層(第1層)と、該通気防水層上に位置する接着剤層1と、該接着剤層上に位置する多孔質層(第2層)と、を有する。上記の記接着剤層1は、熱可塑性エラストマーを主成分とするホットメルト接着剤から成る層である。
上記多孔質層上には、更に保護層(第3層)を有することが好ましい。上記の多孔質層(第2層)と保護層(第3層)との間には、接着剤層2を有することが好ましい。この接着剤層2は、上記と同様の熱可塑性エラストマーを主成分とするホットメルト接着剤から成る層であることが好ましい。
<通気防水層(第1層)>
本発明の複合シートにおける第1層である通気防水層は、水は通さないが、気体は透過させる性質を有するシートである。通気防水層が透過させる気体としては、例えば、窒素、酸素、二酸化炭素、水蒸気等が挙げられる。市販品の中には、特に水蒸気の透過性を有することに着目して「透湿防水シート」と呼ばれる商品もあるが、この透湿防水シートも本発明における通気防水層として好ましく使用することができる。
本発明の複合シートにおける通気防水層を構成する材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン系微多孔膜、HDPE(高密度ポリエチレン)系不織布等が挙げられる。
通気防水層の通気性及び防水性は、いずれも、該通気防水層の面密度(目付け量)と深く関連するから、本発明における通気防水層としては、これを構成する材料に応じた適切な面密度を有するシートを採用することが好ましい。通気防水層の面密度は、ポリオレフィン系微多孔膜の場合は60g/m〜120g/m、HDPE系不織布の場合は40g/m〜120g/mの面密度がそれぞれ適切である。
本発明における通気防水層の厚さは、通気性と防水性とを両立するとともに、キャッピングシートとして用いるときの機械的強度を十分に高くするとの観点から、3μm〜100μmであることが好ましく、5μm〜50μmであることがより好ましく、10μm〜30μmであることが更に好ましい。
通気防水層は、これを用いて複合シートとする際のハンドリング性を良好とすべき観点から、保形性(ある程度の硬さ)を有することが好ましい。
通気防水層が十分な保形性を有していない場合には、これを予め補強層と積層したうえで、複合シートの製造に供してもよい。この方法は、通気防水層が微多孔膜から成るシートである場合には、特に有効である。
本発明の複合シートにおける通気防水層としては、耐薬品性、破断、及び突き刺し強度が良好であるとの観点から、HDPE系不織布から成る層が好ましく、HDPE極細連続長繊維不織布から成る層がより好ましい。HDPE極細連続長繊維不織布は、立体的な3次元構造を有するウェブから成り、繊維間に有意の間隙があるため通気性を有する一方で、高密度ポリエチレンという素材に由来する疎水性を有し、更にフラットエンボス構造によって表面の平滑性にも優れることから、本発明における通気防水層として非常に適している。
このHDPE極細連続長繊維不織布から成るシートは市販品として入手することも可能であり、例えば、旭・デュポンフラッシュスパンプロダクツ株式会社製の「タイベック(登録商標)」が好ましいものとして挙げられる。
<接着剤層1>
本実施形態における接着剤層1は、熱可塑性エラストマーを主成分とするホットメルト接着剤から成る層である。
熱可塑性エラストマーを主成分とするホットメルト接着剤としては、例えば、
スチレン系ブロック共重合体を用いるゴム系ホットメルト接着剤、
エチレン系共重合体を用いるエチレン共重合体系ホットメルト接着剤、
オレフィン(共)重合体(上記エチレン系共重合体を除く)を用いるポリオレフィン系ホットメルト接着剤、
等を挙げることができる。
上記ゴム系ホットメルト接着剤におけるスチレン系ブロック共重合体としては、例えば、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのブロック共重合体、該ブロック共重合体の水素添加物等を挙げることができる。上記エチレン共重合体系ホットメルト接着におけるエチレン系共重合体としては、エチレンと極性モノマーとの共重合体を好ましく使用することができ、具体的には例えば、エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン−アクリル酸メチルコポリマー(EMA)、エチレン−メタアクリル酸メチルコポリマー(EMMA)、エチレン−アクリル酸エチルコポリマー(EEA)、エチレン−アクリル酸n−ブチルコポリマー(EnBA)等を挙げることができる。上記ポリオレフィン系ホットメルト接着剤におけるオレフィン(共)重合体(上記エチレン系共重合体を除く)としては、1種又は2種以上のα−オレフィンの共重合体を好ましく使用することができ、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等から選択される1種以上のα−オレフィンの単独重合体又は共重合体を挙げることができる。
本実施形態における接着剤層1としては、例えばキャッピングシートとしての使用の際に遭遇する可能性がある、夏場の直射日光、被覆物の発酵等による加熱に耐え得る耐熱性を有すべき観点から、軟化点が比較的高い接着剤から成る層で得あることが好ましく、通気防水層及び多孔質層に対する濡れ性と、両層の接合性との双方が良好であることから、特に好ましくはポリオレフィン系のホットメルト接着剤である。
接着剤層1は、通気性を確保するために空隙を有するパターン状に存在することが好ましい。接着剤層1の存在パターンとしては、例えばドット状、ストライプ状、スパイラル状、格子状等を挙げることができる。これらのうち、通気防水層と多孔質層との間の接着力を十分に高くするための接着面積を大きくすることができるとともに、シートとしての高い通気性を確保するために、接着剤層1は、ドット状パターンで存在することが好ましい。
接着剤層1の塗布量は、目付け量として、例えば3gsm(グラム/平方メートル)〜100gsmとすることができ、好ましくは10gsm〜50gsmである。
<多孔質層(第2層)>
多孔質層は、微細な空隙を有するシートから成る。
本発明の複合シートにおける多孔質層としては、例えば、微多孔膜、不織布、織物、編物等から成ることができる。これらのうち微多孔膜又は不織布が、遮光性、撥水性、含水性、及び貫入抵抗に優れることから好ましい。
微多孔膜の構成材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等を挙げることができる。
不織布としては特に限定されるものではないが、熱可塑性合成繊維不織布が好ましく、スパンボンド法、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、水柱交絡法等による不織布が特に好ましい。
不飾布の構成繊維としては、例えば、スパンボンド法、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、水柱交絡法、メルトブロー法等の方法によって製造された熱可塑性合成繊維不織布が好ましい。例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン等から成る繊維を挙げることができる。
これらの具体例としては、
ポリエステルとして、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、共重合ポリエステル等を;
ポリアミドとして、例えば、ナイロン6、ナイロン66、共重合ポリアミド繊維等を;
ポリオレフィンとして、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、共重合ポリエチレン、共重合ポリプロピレン等を;
それぞれ挙げることができる。これらのうち、スパンボンド法によるポリエステル長繊維から成る不飾布が、強度、剛性、及びニードルパンチ加工性に優れる点で、好ましい。
多孔質層として不飾布を用いる場合、その構成繊維は太さ1μm〜30μm程度であることができるが、1μm〜5μm程度の極細繊維を用いることが、防水性及び強度保持の点で、好ましい。1μmより細い繊維を用いた場合には、防水性の面で好ましいが、不織布の強度の観点で劣るものとなる。
極細繊維から成る極細繊維から成る不飾布は、例えば、メルトブロー法等によって製造することができる。
本発明の複合シートにおける多孔質層としては、ポリオレフィン系微多孔膜、又はポリオレフィン若しくはポリエステル系極細不織布から成る層であることが好ましい。
多孔質層の厚さは、例えば5μm〜100μmとすることができ、好ましくは10〜50μmであり、より好ましくは15μm〜40μmである。
<接着剤層2>
本発明の複合シートの任意的な構成要件である接着剤層2は、接着剤層1と同じ材料から構成されていてもよいし、異なる材料から構成されていてもよい。接着剤層2としては、例えば熱可塑性エラストマーを主成分とするホットメルト接着剤であることができる。この熱可塑性エラストマーを主成分とするホットメルト接着剤としては、接着剤層1として使用可能なホットメルト接着剤について上述したところと同様である。
本発明の複合シートにおける接着剤層2は、キャッピングシートが遭遇する可能性のある加熱条件に耐え得る耐熱性を有すべき観点から、ポリオレフィン系のホットメルト接着剤から成る層であることが好ましい。
接着剤層2の存在パターン、及び目付けについては、接着剤層1の好ましい要件として上記に説明したところと同じである。
<保護層(第3層)>
本発明の複合シートにおける保護層は、機械的強度と、好ましくは耐候性と、を有し、本発明の複合シートをキャッピングシートとして使用するときに必要な強靭性を付与する機能を有する。
保護層は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の繊維、又はこれら繊維を組み合わせて製造される不飾布から成ることが、機械的強度に優れる点で好ましい。ポリオレフィン、ポリエステル、及びポリアミドの具体例としては、それぞれ、多孔質層を構成する不飾布について上記したところと同じである。
該不飾布の製造方法としては、例えば、トウ開繊、スパンボンド、サーマルボンド、ニードルパンチ、水路交絡等の方法が挙げられる。これらのうち、スパンボンド法によることが、強度に優れる点で、好ましい。
保護層として用いられる不飾布の繊維径は、1.0dtex〜30dtexであることが好ましく、1.5dtex〜20dtexであることがより好ましい。
保護層としての不飾布の目付けは、20gsm〜300gsmが好ましく、30gsm〜250gsmがより好ましい。
保護層は、紫外線吸収剤を含有していてもよい。
保護層が紫外線吸収剤を含有していることにより、本発明の複合シートをキャッピングシートとして使用するときの耐候性を向上することができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系等の、公知の各種剤を適宜選択して用いることができる。
<複合シートの製造方法>
本発明の複合シートは、上記の構成を有するものである限り、どのような方法によって製造されてもよい。
例えば、通気防水層と多孔質層とを、熱可塑性エラストマーを主成分とするホットメルト接着剤によって接着することによって製造することができる。接着剤の塗布は、例えば、カーテンスプレー法、ポーラスコート法、スパイラルスプレー法、フォーミングメルト法、ロール塗布法等を挙げることができる。これらのうち、カーテンスプレー法によることが、通気性の確保及び接着力の確保の両面から好ましい。
複合シートが多孔質層上に、接着剤層2及び保護層を更に有する場合、多孔質層と保護層とを、接着剤(好ましくは熱可塑性エラストマーを主成分とするホットメルト接着剤)を用いて上記と同様にして接着することによって製造することができる。
この場合、通気防水層上に多孔質層を接着する工程と、多孔質層上に保護層を接着する工程とは、逐次に行ってもよいし、同時に行ってもよい。
<複合シート>
本発明の複合シートは、上記のとおり、通気防水層(第1層)と、該通気防水層上に位置する接着剤層1と、該接着剤層上に位置する多孔質層(第2層)と、を有し、好ましくは上記多孔質層上に、接着剤層2を介して保護層(第3層)を更に有する。該複合シートは、好ましくは上記の方法により製造される。
このような構成を有する本発明の複合シートは、優れた防水性と、優れた機械的強度と、優れた通気性と、を具備するから、例えば廃棄物の屋外堆積場のキャッピングシートとして好適に使用することができる。
本発明の複合シートの直径30cmの円形の領域に圧力水頭100cmの水圧を厚さ方向にかけたときの24時間経過後の透水量は、好ましくは1×10−8/h以下であり、より好ましくは1×10−10/h以下であり、特にはこの値を実質的に0とすることも可能である。
本発明の複合シートについて、JIS L1096Bに準拠して測定した貫通抵抗力は、好ましくは12N以上であり、より好ましくは14N以上であり、特には15N以上とすることも可能である。本発明の複合シートをキャッピングシートとして使用する場合には、この貫通抵抗力を過度に高くしてもキャッピングシートとしての利便性が直線的に高くなるわけではなく、かえってコストの無意味な増大を将来する。従って、貫通抵抗力は、例えば20N以下で十分であり、好ましくは18N以下である。
以下の実施例及び比較例において製造された複合シートの評価は、以下の方法によって行った。
(1)垂直方向透水性
複合シートの垂直方向透水性は、図1に示した透水試験器を用いて評価した。
装置の有孔底板に、パッキンを介して複合シートを固定し、直径30cmの水圧付与面を形成した。ここで、複合シートとパッキンとの接触領域にパラフィン・シリコーン系のコーキング材を配置して、水圧付与面以外からの不要な水漏れを防止した。そして、透水円筒に水を静かに注入して、上記の水圧付与面に対してシートの厚さ方法に圧力水頭100cmの水圧をかけた。
水圧付与面からの漏水が認められた場合には、100cm水頭を維持しつつ、3時間当たりの透水量を3回計測し、3回の計測値の平均値を3で除すことにより、1時間当たりの透水量(m/h)を求めた。
水圧付与後24時間経過した後に漏水が認められなかった場合には、透水量=0m/hとした。
(2)貫通抵抗
複合シートの貫通抵抗は、JIS L1096Bに準拠し、直径5mm、先端の曲率半径が2mmの貫入棒を用いて測定した。
実施例1
第1層(通気防水層)としてタイベック(商品名、旭化成・デュポン フラッシュスパンプロダクツ(株)製、高密度ポリエチレン製不織布、厚さ:22μm、目付け量:48gsm)を、
第2層(多孔質層)としてポリエチレン製微多孔膜(厚さ:30μm、目付け:27gsm)を、
それぞれ用いた。ポリオレフィン系ホットメルト接着剤をカーテンスプレー法により目付け15gsmにて塗布してこれら両層を接着することにより、2層構成の複合シートを得た。
上記で得た複合シートについて、上述の方法により評価した。
評価結果は表1に示した。
実施例2
第2層としてメルトブロー法によって製造したポリプロピレン製の極細不織布(厚さ:20μm、目付け:40gsm)を用いた他は上記実施例1と同様にして2層構成の複合シートを製造し、評価した。
評価結果は表1に示した。
実施例3
上記実施例1と同様にして得た複合シートの第2層面上に、第3層(保護層)としてポリプロピレン製のスパンボンド不織布(厚さ:38μm、目付け:50gsm)を、更に積層することにより、3層構成の複合シートを製造し、評価した。第3層の積層は、カーテンスプレー法を用いて目付け15gsmにて塗布したポリオレフィン系ホットメルト接着剤により行った。
評価結果は表1に示した。
実施例4及び5、並びに比較例2及び3
第1層、第2層、及び第3層として、それぞれ、表1に記載の物を用い、接着剤の塗布方法を表1に記載の方法に変更した他は上記実施例3と同様にして複合シートを製造し、評価した。
評価結果は表1に示した。
比較例1
第1層としてのタイベック上に、保護層としてのポリプロピレン製のスパンボンド不織布を積層することにより、2層構成の複合シートを製造し、評価した。保護層の積層は、カーテンスプレー法を用いて目付け15gsmにて塗布したポリオレフィン系ホットメルト接着剤によって行った。
評価結果は表1に示した。
Figure 2017144633
表1に記載の原料の略称は、それぞれ、以下の意味である。
[第3層]
PP−SB:ポリプロピレン製のスパンボンド不織布、旭化成せんい(株)製、品名「エルタスP03050」
Es−SB:ポリエステル製のスパンボンド不織布、旭化成せんい(株)製、品名「エルタスE05050」
[第2層]
微多孔膜:ポリエチレン製微多孔膜
極細不織布:メルトブロー法によって製造したポリオレフィン系の極細不織布
[第1層]
タイベック:商品名、旭化成・デュポン フラッシュスパンプロダクツ(株)製、高密度ポリエチレン不織布
ニードルパンチ:ポリエステル系繊維よりなるニードルパンチ不織布
[接着剤層]
PO−HM:ポリオレフィン系ホットメルト接着剤

Claims (8)

  1. 通気防水層と、該通気防水層上に位置する接着剤層と、該接着剤層上に位置する多孔質層と、を有し、
    前記接着剤層が、熱可塑性エラストマーを主成分とするホットメルト接着剤から成る層であることを特徴とする、複合シート。
  2. 前記接着剤層が、ポリオレフィン系ホットメルト接着剤から成る層である、請求項1に記載の複合シート。
  3. 前記通気防水層が高密度ポリエチレン系不織布から成る層であり、そして
    前記多孔質層がポリオレフィン系微多孔膜、ポリオレフィン系極細不織布、又はポリエステル系極細不織布から成る層である、請求項1又は2に記載の複合シート。
  4. 前記多孔質層上に更に保護層を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合シート。
  5. 前記シートの直径30cmの円形の領域に圧力水頭100cmの水圧を厚さ方向にかけたときの24時間経過後の透水量が1×10−8/h以下であり、
    JIS L1096Bに準拠して測定した貫通抵抗力が12N以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合シート。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の複合シートから成るキャッピングシート。
  7. 通気防水層と多孔質層とを、熱可塑性エラストマーを主成分とするホットメルト接着剤によって接着する工程を有することを特徴とする、請求項1に記載の複合シートの製造方法。
  8. 前記接着剤がポリオレフィン系ホットメルト接着剤である、請求項7に記載の方法。
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