JP2017144494A - ウェーハの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ワイヤの使用量とウェーハ面内の厚さのばらつきとを抑制可能なウェーハの製造方法を提供すること。
【解決手段】ワイヤソーを用いた単結晶インゴットの切断によりウェーハを製造するウェーハの製造方法であって、ワイヤソーのワイヤにおける第1の単結晶インゴットの切断に用いられた領域のうち、摩耗量が最大値で安定し直径が最小値で一定となるワイヤ径安定領域R2のみを用いて、第2の単結晶インゴットを切断する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ウェーハの製造方法に関する。
従来、単結晶インゴットの直胴部を切断してウェーハを製造する際に、ワイヤを再利用することで使用量を減らす方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、単結晶インゴットを切断したワイヤを再度用い、次の単結晶インゴットを切断する際に、ワイヤの張力を前回切断時の87%〜95%にするとともに、ワイヤの供給量(単結晶インゴット1本の切断に用いられるワイヤの長さ)を前回切断時の供給量に対して125%以上にする方法が開示されている。
特開2015−100853号公報
ところで、1本の単結晶インゴットを切断するとワイヤが摩耗するが、この摩耗領域は、直径が最小値で一定となるワイヤ径安定領域と、このワイヤ径安定領域よりも先に切断を行った領域であって、ワイヤ径安定領域に近づくにしたがって直径が減少するワイヤ径減少領域と、ワイヤ径安定領域よりも後に切断を行った領域であって、ワイヤ径安定領域から離れるにしたがって直径が増加するワイヤ径増加領域とを有することが知られている(例えば、特開2012−106322号公報参照)。
使用後のワイヤは、このように直径が一定でないことから、特許文献1に記載の方法のように、2回目の切断に用いるワイヤの長さを1回目よりも長くすると、直径が異なる領域で単結晶インゴットが切断されてしまい、ウェーハ面内の厚さがばらつくおそれがある。
本発明の目的は、ワイヤの使用量とウェーハ面内の厚さのばらつきとを抑制可能なウェーハの製造方法を提供することにある。
本発明のウェーハの製造方法は、ワイヤソーを用いた単結晶インゴットの切断によりウェーハを製造するウェーハの製造方法であって、前記ワイヤソーのワイヤにおける第1の単結晶インゴットの切断に用いられた領域のうち、摩耗量が最大値で安定し直径が最小値で一定となるワイヤ径安定領域のみを用いて、第2の単結晶インゴットを切断することを特徴とする。
本発明によれば、第1の単結晶インゴットの切断に用いられたワイヤのうち、直径が最小値で一定となるワイヤ径安定領域のみを用いて第2の単結晶インゴットを切断するため、第2の単結晶インゴットから得られるウェーハ面内の厚さのばらつきを抑制できる。また、第1の単結晶インゴットの切断に用いられたワイヤを第2の単結晶インゴットの切断にも用いるため、ワイヤの使用量も抑制できる。
本発明のウェーハの製造方法において、前記ワイヤ径安定領域の張力が前記第1の単結晶インゴット切断時の張力よりも小さい条件で、前記第2の単結晶インゴットを切断することが好ましい。
ここで、ワイヤ安定領域は、摩耗により細くなった領域のため、摩耗前よりも破断荷重が小さくなる。このため、第1の単結晶インゴットの切断時以上の張力で第2の単結晶インゴットを切断すると、ワイヤが断線してしまうおそれがある。
本発明によれば、第1の単結晶インゴットの切断時より小さい張力で第2の単結晶インゴットを切断するため、ワイヤの断線を抑制できる。
本発明のウェーハの製造方法において、前記第1の単結晶インゴット切断前の前記ワイヤの破断荷重および直径と、前記ワイヤ径安定領域の直径とに基づいて、前記ワイヤ径安定領域の張力を設定することが好ましい。
ここで、張力が小さすぎると、単結晶インゴット切断時にワイヤが単結晶インゴットの軸方向や切断方向にぶれてしまい、ウェーハ面内の厚さのばらつきが大きくなるおそれがある。
本発明によれば、第1の単結晶インゴット切断前のワイヤの破断荷重および直径と、ワイヤ径安定領域の直径とに基づいて、ワイヤ径安定領域の破断荷重を求め、第2の単結晶インゴット切断時の張力を、この求めた破断荷重を超えず、かつ、ワイヤがぶれない程度まで大きくすることができる。したがって、ワイヤの摩耗状態にかかわらず、ワイヤの断線と、ウェーハ面内の厚さのばらつきが大きくなることとを抑制できる。
本発明のウェーハの製造方法において、前記ワイヤ径安定領域の単位長さあたりの仕事量が前記第1の単結晶インゴット切断時の単位長さあたりの仕事量以下になる条件で、前記第2の単結晶インゴットを切断することが好ましい。
ここで、ワイヤの単位長さあたりの仕事量(以下、「単位長さあたりの仕事量」を、単に「仕事量」と言う場合がある)は、ワイヤの単位長さあたりの摩耗量にほぼ比例する。このため、第2の単結晶インゴットの切断時におけるワイヤ径安定領域の仕事量を大きくするほど、当該ワイヤ径安定領域が細くなり、ワイヤが断線してしまうおそれがある。
本発明によれば、第1の単結晶インゴットの切断時以下の仕事量で、第2の単結晶インゴットを切断するため、切断中にワイヤ径安定領域が細くなりすぎて、ワイヤが断線してしまうことを抑制できる。
本発明のウェーハの製造方法において、前記ワイヤにおける前記第1の単結晶インゴットの切断に用いた領域の総仕事量および当該領域の長さと、前記ワイヤ径安定領域の長さとに基づいて、前記ワイヤ径安定領域の総仕事量を設定することが好ましい。
ここで、ワイヤにおける単結晶インゴットの切断に用いられた領域の総仕事量は、単結晶インゴットから得られるウェーハの面積および枚数にほぼ比例する。このため、断線を防ぐためにワイヤ径安定領域の総仕事量の設定値を必要以上に小さくすると、直径が小さい第2の単結晶インゴットを準備したり(ウェーハの面積を小さくしたり)、第2の単結晶インゴットから得られるウェーハの枚数を少なくしたりする必要があり、製造効率が低くなる。
本発明によれば、第1の単結晶インゴットの切断に用いた領域の総仕事量および当該領域の長さと、ワイヤ径安定領域の長さとに基づいて、ワイヤ径安定領域の総仕事量の最大許容値を求め、この最大許容値を超えない範囲で、第2の単結晶インゴットから得られるウェーハの枚数を多くしたり、面積を大きくしたりすることができ、製造効率を高めることができる。
本発明のウェーハの製造方法において、前記第1の単結晶インゴットよりも直径が小さい前記第2の単結晶インゴットを切断することが好ましい。
本発明によれば、適切な直径の第2の単結晶インゴットを選択するだけの簡単な方法で、ワイヤ径安定領域の総仕事量を設定することができる。また、第1の単結晶インゴットおよび第2の単結晶インゴットから、直径が異なりかつ厚さのばらつきが抑制されたウェーハを得ることができる。
本発明のウェーハの製造方法において、前記第1の単結晶インゴットよりも短い前記第2の単結晶インゴットを切断することが好ましい。
本発明によれば、適切な長さの第2の単結晶インゴットを選択するだけの簡単な方法で、ワイヤ径安定領域の総仕事量を設定することができる。また、第1の単結晶インゴットおよび第2の単結晶インゴットから、直径が同じでありかつ厚さのばらつきが抑制されたウェーハを得ることができる。
本発明のウェーハの製造方法において、同じ直径の複数の前記第1の単結晶インゴットを、同じ切断条件で順次切断する工程と、前記ワイヤ径安定領域のみを用いて、複数の第2の単結晶インゴットを順次切断する工程とを実施することが好ましい。
本発明によれば、複数の第1の単結晶インゴット切断後におけるワイヤ径減少領域、ワイヤ径安定領域およびワイヤ径増加領域の位置を容易に把握することができ、複数の第2の単結晶インゴット切断に用いるワイヤ径安定領域を容易に特定でき、製造効率を高めることができる。
本発明の一実施形態に係るワイヤソーを示す模式図。 前記ワイヤソーを用いたウェーハの製造方法の説明図であり、(A)は第1のウェーハ製造工程、(B)は第1のウェーハ製造工程後のワイヤの形状、(C)は第2のウェーハ製造工程を示す。 前記ワイヤソーを用いたウェーハの製造方法の説明図であり、(A)はインゴットとワイヤとの位置関係、(B)はワイヤの長さと摩耗量との関係、(C)はワイヤの長さとワイヤの直径との関係を示す。 本発明の適用例1におけるウェーハの製造方法の説明図であり、(A)は第1のウェーハ製造工程、(B)は第1のウェーハ製造工程後のワイヤの形状、(C)は第2のウェーハ製造工程、(D)は他の第2のウェーハ製造工程を示す。 本発明の適用例2におけるウェーハの製造方法の説明図であり、(A)は第1のウェーハ製造工程後のワイヤの形状、(B)は第2のウェーハ製造工程、(C)は他の第2のウェーハ製造工程を示す。
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
[ワイヤソーの構成]
まず、ワイヤソーの構成について説明する。
図1に示すように、ワイヤソー1は、同一水平面上に2個、これら2個の中間の下方に1個配置された合計3個のメインローラ2を備えている。これら3個のメインローラ2の周りには、軸方向に沿ってワイヤ7が螺旋状に巻き付けられている。ワイヤ7は、一般的にピアノ線と呼ばれる高張力メッキ鋼線により構成されている。ワイヤ7の両端側は、それぞれ複数ずつ(図1では、1個ずつ図示)のガイドローラ31およびテンションローラ32を介して、ワイヤ7を送り出したり巻き取ったりする2個のボビン41に固定されている。また、テンションローラ32とボビン41との間には、それぞれトラバーサ42が設けられている。トラバーサ42は、ワイヤ7のボビン41に対する送り出し位置、巻取り位置を調整する機能を有している。さらに、上側の2個のメインローラ2(以下、上側メインローラ21と称す)の上方には、2個の上側メインローラ21の中間位置にスラリーGを供給するノズル5がそれぞれ設けられている。また、ノズル5の上方には、シリコン、SiC、GaAs、サファイア等の単結晶インゴット(以下、単に「インゴット」と言う)Mを保持して昇降させる送り手段6が設けられている。
[ウェーハの製造方法]
次に、ワイヤソー1を用いたインゴットMの切断によりウェーハを製造する方法について説明する。
図2(A)〜(C)に示すように、ウェーハの製造方法は、同じ直径の複数の第1のインゴットを、同じ切断条件で順次切断する第1のウェーハ製造工程と、この第1のウェーハ製造工程に用いられたワイヤ7を用い、複数の第2のインゴットを順次切断する第2のウェーハ製造工程とを備えている。
なお、図2(A),(C)において、横軸の「ワイヤの位置」とは、ワイヤ7の送り方向先端側の所定位置を0kmとしたときの位置を表す。また、図2(A)〜(C)では、それぞれ3本ずつの第1,第2のインゴットを切断する場合について説明する。
〔第1のウェーハ製造工程〕
第1のウェーハ製造工程では、まず、ワイヤ7の張力を以下の式(1)を満たすように設定する。なお、安全係数Sc1を大きくするほど、張力T1が小さくなり、ワイヤ7が断線しにくくなる。
T1=F/Sc1 … (1)
T1 :第1のウェーハ製造工程でのワイヤの張力(N)
F :新品ワイヤ(第1のインゴット切断前のワイヤ)の破断荷重(N)
Sc1:安全係数(ただし、Sc1≧1)
その後、ワイヤソー1は、図2(A)に示すように、第1のウェーハ製造工程において、当該ワイヤソー1の稼動熱による各部材の熱変形などを安定させるために、インゴットMとワイヤ7とを接触させない状態でスラリーGを供給(循環)しつつワイヤ7を走行させる(暖機工程S1)。例えば、ワイヤソー1は、メインローラ2を回転させることで、ワイヤ7を図1に示す一方向E1に走行させるとともに、ワイヤ7の張力がT1となるように、テンションローラ32の上下方向の位置を調整し、2個の上側メインローラ21間にスラリーGを供給する。
このとき、ワイヤ7は摩耗しないため、図2(B)に示すように、暖機工程S1後のワイヤ7の直径は、新品と同じDW1になる。
暖機工程S1の後、ワイヤソー1は、図2(A)に示すように、ワイヤ7の走行速度、走行方向、張力、スラリーGの供給状態を維持しながら第1のインゴットM1を下降させ、走行中のワイヤ7に押し当てることで第1のインゴットM1を切断し、複数のウェーハを製造する(切断工程S2)。
この切断工程において、図3(A)に示すように、ワイヤ7と第1のインゴットM1との接触部分には、接触長さが徐々に増加する接触長さ増加領域P1と、最大値で略一定となる接触長さ安定領域P2と、徐々に減少する接触長さ減少領域P3とが存在することになる。
接触長さが大きくなるほど、ワイヤ7に作用する反力が増大し、ワイヤ7に対する負荷は大きくなり、ワイヤ7の摩耗量は大きくなる。このため、図3(B)に示すように、切断開始から切断終了にかけて、ワイヤ7の摩耗量は、接触長さ増加領域P1においては徐々に増加し、接触長さ安定領域P2においては最大値Ymaxで略一定となり、接触長さ減少領域P3においては徐々に減少する。
その結果、図3(C)に示すように、一点鎖線で表すようなワイヤの直径がDW1、長さがX1のワイヤ7で第1のインゴットM1を切断すると、ワイヤ7には、実線で示すように、直径が徐々に減少するワイヤ径減少領域R1と、直径が最小値DW2(DW1−Ymax)で略一定となり、長さがX2のワイヤ径安定領域R2と、直径が徐々に増加するワイヤ径増加領域R3とが形成されることとなる。
第1のインゴットM1の切断が終了すると、ワイヤソー1は、ワイヤ7を他方向E2に走行させるとともに、送り手段6を上昇させることでワイヤ7を引き抜く。このとき、新品よりも細いワイヤ径増加領域R3がウェーハ間を通過するため、ワイヤ7が摩耗したりウェーハが削られたりすることはない。
切断工程S2の後、ワイヤソー1は、図2(A)に示すように、次の切断工程までの準備やワイヤソー1の保守点検などのため、第1のインゴットM1とワイヤ7とを接触させない状態でワイヤ7を一方向E1に送る(送り工程S3)。このとき、ワイヤ7は摩耗しないため、図2(B)に示すように、送り工程S3後のワイヤ7の直径は、新品と同じDW1になる。
この後、ワイヤソー1は、切断する残りの第1のインゴットM1の本数に応じて(本実施形態では2本)、切断工程S2と送り工程S3とを繰り返し、第1のウェーハ製造工程が終了する。以上により、処理が図2(A)の左側の工程から右側の工程に流れ、ワイヤ7は、図2(B)に示すように、位置L1〜L2,L5〜L6,L9〜L10がワイヤ径減少領域R1になり、位置L2〜L3,L6〜L7,L10〜L11がワイヤ径安定領域R2になり、位置L3〜L4,L7〜L8,L11〜L12がワイヤ径増加領域R3になる。また、位置L0〜L1,L4〜L5,L8〜L9,L12〜L13が、ワイヤ7の直径が新品と同じ未摩耗領域R0になる。
1本のワイヤ7を用いて、長さが異なりかつ直径が同じ複数の第1のインゴットM1を切断する場合は、それらの中で最長のインゴットに適した切断条件で全ての第1のインゴットM1を順次切断することが好ましい。このようにすれば、より短い他の第1のインゴット切断時のワイヤに対する負荷は、最長のインゴット切断時の負荷よりも小さく、断線が発生するおそれは小さい。そして、切断工程S2(図2(B)の位置L1〜L4,L5〜L8,L9〜L12)で使用されるワイヤ長さX1と、ワイヤ径安定領域R2(位置L2〜L3,L6〜L7,L10〜L11)のワイヤ長さX2はそれぞれ同じ長さとなるため、複数の第2のインゴット切断に用いるワイヤ径安定領域R2の位置を容易に特定できる。
〔第2のウェーハ製造工程〕
第2のウェーハ製造工程では、まず、第1のウェーハ製造工程でワイヤ7を巻き取ったボビン41を、第2のウェーハ製造工程で用いる他のワイヤソー1にセットし直す。その後、ワイヤ7の張力を設定する。この際、以下の式(2)を満たすように、ワイヤ7の張力を設定することが好ましい。このように、ワイヤ径安定領域R2の張力が第1のインゴットM1切断時の張力よりも小さい条件で、第2のインゴットを切断することにより、ワイヤ7の断線を抑制できる。
T2≦T1 … (2)
また、特に、ワイヤ7の張力を以下の式(3)を満たすように設定することが好ましい。なお、安全係数Sc2を大きくするほど、張力T2が小さくなり、ワイヤ7が断線しにくくなる。
T2≦F/Sc2×(DW2/DW1) … (3)
T2 :第2のウェーハ製造工程でのワイヤの張力(N)
F :新品ワイヤ(第1のインゴット切断前のワイヤ)の破断荷重(N)
Sc2:安全係数(ただし、Sc2≧1)
DW1:新品ワイヤの直径(mm)
DW2:ワイヤ径安定領域の直径(mm)
第1のインゴットM1切断前のワイヤ7の破断荷重Fおよび直径DW1と、ワイヤ径安定領域R2の直径DW2とを考慮に入れた上記式(3)を用いることで、ワイヤ7の張力T2を、破断荷重を超えず、かつ、ワイヤ7が走行中にぶれない程度まで大きくすることができ、ワイヤ7の断線と、ウェーハ面内の厚さのばらつきが大きくなることとを抑制できる。
また、第2のウェーハ製造工程では、ワイヤ径安定領域R2の仕事量を設定する。この際、ワイヤ径安定領域R2の仕事量が、第1のインゴットM1切断時の仕事量以下になる条件で、第2のインゴットを切断することが好ましい。このようにすれば、切断中にワイヤ径安定領域R2が細くなりすぎ、ワイヤ7が断線してしまうことを抑制できる。
また、特に、第2のインゴットのサイズおよび切断条件が以下の式(4)を満たすことが好ましい。
A2≦A1×X2/X1 … (4)
A2:1本の第2のインゴット切断総面積(mm
(1本の第2のインゴットから得られる1枚のウェーハの面積×
(1本の第2のインゴットから得られるウェーハの枚数−1))
A1:1本の第1のインゴット切断総面積(mm
(1本の第1のインゴットから得られる1枚のウェーハの面積×
(1本の第1のインゴットから得られるウェーハの枚数−1))
X2:1つのワイヤ径安定領域の長さ(km)
X1:1本の第1のインゴットの切断に用いたワイヤの長さ(km)
ここで、第1のインゴット切断総面積A1は、ワイヤ7における第1のインゴットM1の切断に用いた領域の総仕事量にほぼ比例する。また、第2のインゴット切断総面積A2は、ワイヤ径安定領域R2の総仕事量にほぼ比例する。このように、第1のインゴット切断総面積A1、第1のインゴットM1の切断工程で用いたワイヤ7の長さX1、ワイヤ径安定領域R2の長さX2を考慮に入れた上記式(4)を用いることで、第2のインゴット切断総面積A2の最大許容値を求め、この最大許容値を超えない範囲で、第2のインゴットから得られるウェーハの枚数を多くしたり、面積を大きくしたりすることができ、製造効率を高めることができる。
例えば、上記式(4)を満たす範囲で第2のインゴット切断総面積A2を設定する方法としては、第1のインゴットM1よりも直径が小さい第2のインゴット、第1のインゴットM1よりも短い第2のインゴット、第1のインゴットM1よりも直径が小さくかつ短い第2のインゴットを選択する方法などが例示できる。
1本のワイヤ7を用いて、長さが異なりかつ直径が同じ複数の第1のインゴットM1を切断する場合は、前記のように、それらの中で最長のインゴットに適した切断条件で全ての第1のインゴットM1を順次切断することが好ましい。そして、この最長の第1のインゴットの切断総面積A1(これは、複数のA1の中で最大となる)とワイヤ使用長さX1、ワイヤ径安定領域R2の長さX2より、第2のインゴット切断総面積A2の最大許容値を求め、この最大許容値を超えない範囲で、複数の第2のインゴットを順次切断する。このようにすれば、断線の発生を抑制しつつ、第2のインゴットから得られるウェーハの枚数を多くしたり、面積を大きくしたりすることができ、製造効率を高めることができる。
その後、上記式(4)を考慮に入れたサイズの第2のインゴットを送り手段6に取り付ける。そして、ワイヤソー1は、ワイヤ7を第1のウェーハ製造工程での送り方向後端側、例えば、図2(B)に示すように、L13の位置から送り始め、ワイヤ径安定領域R2のみを用いて第2のインゴットを切断する。
具体的には、ワイヤソー1は、図2(C)に示すように、暖機工程S11を行う。暖機工程S11では、ワイヤ7が位置L13から位置L11まで送られるが、暖機工程S11前後でワイヤ7の直径は変わらない。
暖機工程S11の後、ワイヤソー1は、ワイヤ7の走行速度、走行方向、張力、スラリーGの供給状態を維持しながら第2のインゴットを切断し、複数のウェーハを製造する(切断工程S12)。この切断工程S12には、上述したように、位置L11から位置L10までのワイヤ径安定領域R2が用いられる。そして、ワイヤ径安定領域R2が切断工程S2時と同様に摩耗し、ワイヤ径減少領域と、ワイヤ径安定領域と、ワイヤ径増加領域とが形成される。
また、第2のインゴットの切断が終了すると、ワイヤソー1は、ワイヤ7を逆方向に走行させるとともに、送り手段6を上昇させることでワイヤ7を引き抜く。
切断工程S12の後、ワイヤソー1は、ワイヤ7を位置L10から位置L7まで送る送り工程S13を行う。この送り工程S13前後でワイヤ7の直径は変わらない。
この後、ワイヤソー1は、切断する第2のインゴットの本数に応じて、ワイヤ径安定領域R2のみを用いた切断工程S12と、送り工程S13とを繰り返し、第2のウェーハ製造工程が終了する。以上により、処理が図2(C)の右側の工程から左側の工程に流れる。
[本発明の適用例]
〔適用例1〕
次に、直径300mmの第1のインゴットの切断に使用したワイヤを、直径200mmの第2のインゴットの切断に使用する場合について説明する。
図4(A)に示す第1のウェーハ製造工程において、ワイヤを500km準備した。また、直径300mm、長さ300mmの第1のインゴットM11を準備した。
そして、図1に示すようなワイヤソーを用い、ワイヤの張力T1を破断荷重以下の20Nに設定し、第1のインゴットM11を切断ピッチ1mmで切断することで、300枚のウェーハを製造した。1本の第1のインゴットM11の切断に160kmのワイヤを使用し、1本のワイヤで、同じ大きさの第1のインゴットM11を3本切断することができた。
第1のウェーハ製造工程終了後のワイヤ径安定領域R2は、図4(B)に示すように、120kmであった。また、ワイヤ径安定領域R2の直径は、未摩耗領域R0の直径の95%であった。
次に、ワイヤを巻き取ったボビンを、別のワイヤソーにセットし直し、第2のウェーハ製造工程を行った。
まず、上記式(2),(3)に基づいて、ワイヤの張力T2を設定した。この際、安全係数Sc2をSc1と同じ値にすると、式(3)の計算結果は、
T2≦18.05N(=20×(95/100)
となったので、張力T2を18Nに設定した。
また、上記式(4)に基づいて、切断可能な第2のインゴットの長さを求めた。式(4)の
A1=6727500π(=150×π×(300−1))
X2=120
X1=160
であり、1本の第2のインゴットから得られるウェーハの枚数をNwとすると、
A2=100×π×(Nw−1)
となる。これらの値を式(4)に代入すると、
Nw≦505.5625
となる。
したがって、切断ピッチを1mmにすると、120kmのワイヤ径安定領域R2のみを用いて、直径200mm、長さ505mm以下の第2のインゴットを切断することができる。
以上のことから、図4(C)に示すように、ワイヤの張力T2を18Nに設定し、3箇所のワイヤ径安定領域R2のそれぞれにおいて、長さ505mm以下の第2のインゴットM121を1本ずつ、合計3本切断することができる。
また、図4(D)に示すように、張力T2を18Nに設定し、各ワイヤ径安定領域R2のそれぞれにおいて、長さ252mm以下の第2のインゴットM122を2本ずつ、合計6本切断することができる。
〔適用例2〕
次に、適用例1の第1のウェーハ製造工程で得られたワイヤを、直径150mmの第2のインゴットの切断に使用する場合について説明する。
図5(A)に示すように、図4(B)と同じ形状のワイヤを巻き取ったボビンを、別のワイヤソーにセットし直し、第2のウェーハ製造工程を行った。
まず、ワイヤの張力T2を、適用例1と同じ18Nに設定した。
また、上記式(4)に基づいて、切断可能な第2のインゴットの長さを求めた。式(4)のA1、X2、X1は、それぞれ適用例1と同じ6727500π、120、160であり、1本の第2のインゴットから得られるウェーハの枚数をNwとすると、
A2=75×π×(Nw−1)
となる。これらの値を式(4)に代入すると、
Nw≦898
となる。
したがって、切断ピッチを1mmにすると、120kmのワイヤ径安定領域R2のみを用いて、直径150mm、長さ898mm以下の第2のインゴットを切断することができる。
以上のことから、図5(B)に示すように、ワイヤの張力T2を18Nに設定し、3箇所のワイヤ径安定領域R2のそれぞれにおいて、長さ449mm以下の第2のインゴットM123を2本ずつ、合計6本切断することができる。
また、図5(C)に示すように、張力T2を18Nに設定し、各ワイヤ径安定領域R2のそれぞれにおいて、長さ299mm以下の第2のインゴットM124を3本ずつ、合計9本切断することができる。
[実施形態の作用効果]
上述したように、第1のインゴットM1切断後のワイヤ7のうち、ワイヤ径安定領域R2のみを用いて第2のインゴットを切断するため、第2のインゴットから得られるウェーハ面内の厚さのばらつきを抑制できる。また、第1のインゴットM1の切断に用いられたワイヤ7を第2のインゴットの切断にも用いるため、ワイヤ7の使用量も抑制できる。
第1のウェーハ製造工程において、同じ直径の複数の第1のインゴットM1を、同じ切断条件で順次切断するため、第1のウェーハ製造工程後におけるワイヤ径減少領域R1、ワイヤ径安定領域R2およびワイヤ径増加領域R3の位置を容易に把握することができる。したがって、第2のウェーハ製造工程で利用するワイヤ径安定領域R2を容易に特定でき、製造効率を高めることができる。
[変形例]
なお、本発明は上記実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の改良ならびに設計の変更などが可能であり、その他、本発明の実施の際の具体的な手順、及び構造などは本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などとしてもよい。
例えば、ワイヤ径安定領域R2の破断荷重以下であれば、第2のインゴット切断時の張力T2を第1のインゴット切断時の張力T1より大きくしてもよい。
第2のインゴット切断時の張力T2を、式(3)に基づき設定せずに、ワイヤ径安定領域R2の破断荷重以下のデフォルト値に設定してもよい。
第2のインゴット切断時にワイヤ7が断線しない条件であれば、ワイヤ径安定領域R2の仕事量が第1のインゴットM1切断時の仕事量より大きい条件で、第2のインゴットを切断してもよい。
第2のインゴット切断総面積A2を、式(4)に基づき設定せずに、第2のインゴット切断時にワイヤ7が断線しないようなデフォルト値に設定してもよい。
第1のウェーハ製造工程において、第1のインゴットM1の直径および切断条件のうち少なくとも一方を異ならせて、複数の第1のインゴットM1を切断してもよく、この場合、第1のウェーハ製造工程中やその後にワイヤ径安定領域R2を特定する処理を行えばよい。
1本のワイヤ7を用いて切断する第1のインゴットM1の本数は、2本以下であってもよいし、4本以上であってもよい。
1箇所のワイヤ径安定領域R2で複数の第2のインゴットを切断する場合、第2のインゴットの長さは、合計長さがワイヤ径安定領域R2の長さ以下となる範囲で異なっていてもよく、この場合、第2のインゴットの直径は同じでもよいし、異なっていてもよい。
第1のウェーハ製造工程と第2のウェーハ製造工程とで違うワイヤソー1を用いたが、同じものを用いてもよく、この場合、第1のウェーハ製造工程後、ワイヤ7を逆方向(他方向E2)に走行させながら第2のウェーハ製造工程を行ってもよいし、他方向E2に走行させて一度巻き戻し、一方向E1に走行させながら第2のウェーハ製造工程を行ってもよい。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
[ウェーハの製造方法と断線発生率およびウェーハの品質との関係]
〔ウェーハの製造方法〕
{実施例1}
まず、新品のワイヤを500km準備した。そして、上記適用例1と同様に、破断荷重以下の20Nの張力T1で直径300mm、長さ300mmの第1のインゴットを切断し、300枚のウェーハを製造する第1のウェーハ製造工程を行った。この第1のウェーハ製造工程により、長さが120kmのワイヤ径安定領域R2を有するワイヤを得た。なお、1本の第1のインゴットの切断に用いたワイヤは、160kmであった。また、1本のワイヤで3本の第1のインゴットを切断したため、3箇所のワイヤ径安定領域R2が形成された。
次に、直径200mm、長さが上記式(4)を満たす450mmの第2のインゴットを準備した。また、以下の表1に示すように、張力T2を上記式(2),(3)を満たす18Nに設定した。そして、120kmのワイヤ径安定領域R2のみを用いて第2のインゴットを切断し、450枚のウェーハを製造する第2のウェーハ製造工程を行った。
Figure 2017144494
{比較例1}
まず、新品のワイヤ500kmと、実施例1の第2のウェーハ製造工程と同様のインゴットとを準備した。新品ワイヤに摩耗は無く、直径は全域に渡り均一であるため、使用領域の選択をせずに、全域を使用した。そして、表1に示すように、張力を破断荷重以下の20Nに設定し、通常、新品ワイヤに適用する条件でインゴットを切断し、450枚のウェーハを製造した。なお、インゴットの切断に用いたワイヤは、65kmであった。また、1本のワイヤで7本のインゴットを切断した。
{比較例2}
まず、実施例1の第1のウェーハ製造工程を行うことで得られたワイヤを準備した。
そして、表1に示すように、この得られたワイヤを用いたこと以外は、比較例1と同様の条件、すなわち通常は新品ワイヤに適用する条件で第2のウェーハ製造工程を行った。つまり、切断使用領域を選択せずに、ワイヤ径安定領域R2に加えて、ワイヤ径減少領域R1またはワイヤ径増加領域R3を用いて第2のウェーハ製造工程を行った。なお、比較例1と同じく、第2のインゴット1本から製造されたウェーハは450枚、切断に用いたワイヤは65km、1本のワイヤで切断されたインゴットは7本であった。
〔評価〕
通常、200mmのインゴットは新品の200mmワイヤを用いて切断されるため、評価は、比較例1を基準にして行った。
なお、実施例1および比較例1,2に関し、それぞれ10本のワイヤを使用した結果を評価した。
{断線発生率}
比較例1の断線発生率は、運転の途中停止による設備稼働ロス、復旧に要する作業者の工数ロス、メインローラなど副資材にダメージがあった場合の資材ロスなどの観点から、問題ないレベルであった。
表1に示すように、比較例1の断線発生率を1とした場合、比較例2では3.0以上6.0未満であったのに対し、実施例1では1以上1.1未満であった。
これは、比較例2では、第2のインゴットの切断にワイヤ径の細いワイヤ径安定領域R2を用いているにもかかわらず、張力T2を新品のワイヤ使用時と同様の20N、すなわち、上記式(2),(3)を満たす値18Nより大きく設定しているため、また、ワイヤの使用長さX2を新品のワイヤ使用時と同様の65km、すなわち上記式(4)を満たす値120kmより短く設定することによりワイヤの摩耗量が大きくなるため、ワイヤ径安定領域R2で断線しやすく、断線発生率が比較例1の3.0倍以上6.0倍未満になったと考えられる。
一方、実施例1では、第2のインゴットの切断にワイヤ径安定領域R2のみを用いるが、張力T2を上記式(2),(3)を満たす18Nに設定しているため、また、ワイヤの使用長さX2を上記式(4)を満たす120kmに設定しているため、ワイヤ径安定領域R2でも断線しにくく、断線発生率が比較例1の1倍以上1.1倍未満になったと考えられる。
{ウェーハの品質}
実施例1、比較例1,2で得られたそれぞれ13500枚、31500枚、31500枚(ただし、断線による切断不良でウェーハとならなかった分を除く)のウェーハのWarpとGBIR(Global flatness back reference ideal range)を測定し、それらの値をそれぞれウェーハの反り、ウェーハ面内厚さのばらつきとして評価した。
表1に示すように、比較例1のWarpの測定値を1とした場合、比較例2では1.1以上1.4未満であったのに対し、実施例1では1以上1.1未満であった。また、比較例1のGBIRの測定値を1とした場合、比較例2では1.1以上1.6未満であったのに対し、実施例1では1以上1.1未満であった。
これは、比較例2では、第2のインゴットの切断にワイヤ径安定領域R2に加えて、ワイヤ径減少領域R1またはワイヤ径増加領域R3も用いられ、ワイヤ直径が異なる領域で1枚のウェーハが切断されるため、ウェーハの反りおよび面内厚さのばらつきが悪いレベルになったと考えられる。
一方、実施例1では、第2のインゴットの切断にワイヤ径安定領域R2のみを用い、ワイヤ直径が同じ領域で1枚のウェーハが切断されるため、ウェーハの反りおよび面内厚さのばらつきが問題ないレベルになったと考えられる。
以上のことから、第1のインゴットの切断に用いられた領域のうちワイヤ径安定領域R2のみを用い、上記式(2),(3)を満たす張力と、上記式(4)を満たすワイヤ使用長さで第2のインゴットを切断することで、新品のワイヤを用いた場合と同水準の品質を有するウェーハを、同水準のワイヤの断線発生率で製造できることが確認できた。
1…ワイヤソー、7…ワイヤ、M1,M11…第1の単結晶インゴット、M121,M122,M123,M124…第2の単結晶インゴット、R2…ワイヤ径安定領域。

Claims (8)

  1. ワイヤソーを用いた単結晶インゴットの切断によりウェーハを製造するウェーハの製造方法であって、
    前記ワイヤソーのワイヤにおける第1の単結晶インゴットの切断に用いられた領域のうち、摩耗量が最大値で安定し直径が最小値で一定となるワイヤ径安定領域のみを用いて、第2の単結晶インゴットを切断することを特徴とするウェーハの製造方法。
  2. 請求項1に記載のウェーハの製造方法において、
    前記ワイヤ径安定領域の張力が前記第1の単結晶インゴット切断時の張力よりも小さい条件で、前記第2の単結晶インゴットを切断することを特徴とするウェーハの製造方法。
  3. 請求項2に記載のウェーハの製造方法において、
    前記第1の単結晶インゴット切断前の前記ワイヤの破断荷重および直径と、前記ワイヤ径安定領域の直径とに基づいて、前記ワイヤ径安定領域の張力を設定することを特徴とするウェーハの製造方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のウェーハの製造方法において、
    前記ワイヤ径安定領域の単位長さあたりの仕事量が前記第1の単結晶インゴット切断時の単位長さあたりの仕事量以下になる条件で、前記第2の単結晶インゴットを切断することを特徴とするウェーハの製造方法。
  5. 請求項4に記載のウェーハの製造方法において、
    前記ワイヤにおける前記第1の単結晶インゴットの切断に用いた領域の総仕事量および当該領域の長さと、前記ワイヤ径安定領域の長さとに基づいて、前記ワイヤ径安定領域の総仕事量を設定することを特徴とするウェーハの製造方法。
  6. 請求項5に記載のウェーハの製造方法において、
    前記第1の単結晶インゴットよりも直径が小さい前記第2の単結晶インゴットを切断することを特徴とするウェーハの製造方法。
  7. 請求項5または請求項6に記載のウェーハの製造方法において、
    前記第1の単結晶インゴットよりも短い前記第2の単結晶インゴットを切断することを特徴とするウェーハの製造方法。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のウェーハの製造方法において、
    同じ直径の複数の前記第1の単結晶インゴットを、同じ切断条件で順次切断する工程と、
    前記ワイヤ径安定領域のみを用いて、複数の第2の単結晶インゴットを順次切断する工程とを実施することを特徴とするウェーハの製造方法。
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