JP2017143945A - ニードルレスポートおよびこれに具備されるニードルレスポート用キャップ - Google Patents

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Abstract

【課題】拭き取り消毒がより容易にかつ確実に行なえる取扱い性に優れたニードルレスポートを提供する。
【解決手段】ニードルレスポート1Aは、雄ルアーが挿入可能な開口が一端に形成されるとともに、外周面に雄ネジ21bが設けられてなる略円筒状のポート部21と、ポート部21の他端に配置され、上記開口を介して挿入された雄ルアーによって押し下げられることで開放可能な自閉式のスリット31が設けられたセプタム30と、ポート部21に着脱自在に取付けられ、取付状態において上記開口を閉鎖可能なキャップ3とを備える。キャップ3は、雄ネジ21bに螺合可能な雌ネジ41aが内周面に設けられた略円筒状の固定部41と、固定部41の内部を挿通可能となるように固定部41の軸方向に沿って延在するロッド部43とを含む。固定部41とロッド部43とは、固定部41の軸方向に沿って相対的に移動可能に連結される。
【選択図】図3

Description

本発明は、輸液ラインや容器等に付設される混注ポートの一種であるニードルレスポートおよびこれに具備されるニードルレスポート用キャップ(以下、単にキャップと称する場合もある)に関する。
従来、輸液ラインや容器等の密閉性を維持しつつ液体の注入や採取を可能にする混注ポートとして、様々な構造のものが提案されている。その一つとして、ニードルレスポートが知られている。
ニードルレスポートは、弾性変形することで開放可能な自閉式のスリットが設けられたセプタムを備えており、ポート部に挿入された雄ルアーによってセプタムが押し下げられることで上記スリットが開放するものである。このニードルレスポートは、金属製の穿刺針等を用いずとも液体の注入や採取が行なえるものであり、この点において高い利便性を備えている。
上述したニードルレスポートは、特に医療用途において汎用されており、たとえば投薬のために患者の静脈に繋がれる輸液ラインに付設される。この場合、ニードルレスポートは、たとえば輸液ラインを構成する一対のチューブの接続部に設置される医療用コネクタに設けられる。このようなニードルレスポートが設けられた医療用コネクタが具体的に開示された文献としては、たとえば特表2009−511181号公報(特許文献1)がある。
ここで、医療用途に用いられるニードルレスポートにあっては、雄ルアーを挿入するための開口が不使用時において閉鎖されることとなるように、ポート部にキャップが着脱自在に取付けられることが一般的である。これは、衛生面の観点から、ニードルレスポートの雄ルアーが挿入されることとなる部分の表面に不使用時において細菌等が付着してしまうことを防止するためである。
一方で、医療用途に用いられるニードルレスポートにあっては、通常、上述したセプタムが、雄ルアーを挿入するための開口が設けられたポート部の奥まった位置に設けられる。これは、セプタムがポート部の開口寄りの位置に設けられた場合に、セプタムよりも奥側の位置に空間が別途発生し、当該空間に液体が滞留することで血栓が生じてしまう懸念があるためであり、これを防止するための措置である。
さらに、医療用途に用いられるニードルレスポートにあっては、衛生面の観点から、液体の注入や採取の前後において、雄ルアーに接触することとなる部分のセプタムの表面がアルコールを滲み込ませたガーゼ等の消毒用シートによって拭き取り消毒される。しかしながら、上述したようにセプタムをポート部の奥まった位置に設けた場合には、当該セプタムの表面を拭き取り消毒することが困難になる課題があった。
そこで、上記特許文献1に開示のニードルレスポートにおいては、拭き取り消毒の作業性を向上させるために、ポート部に着脱自在に取付けられるキャップの頂面に外側に向けて突出する棒状の突出部を設けることとしている。これにより、拭き取り消毒の際に、取り外したキャップの天地をひっくり返して棒状の突出部に消毒用シートを宛がってこれをポート部に挿し込むことが可能になり、拭き取り消毒の作業性の容易化が図られる。
特表2009−511181号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示の構成を採用した場合には、上述したようにキャップの天地をひっくり返す必要があるため、その際にキャップを過って落としてしまう蓋然性が高い問題があった。より具体的には、拭き取り消毒に際しては、一方の手で消毒用シートを持ち、他方の手でキャップを操作する場合が多く、その際にキャップの天地が片手でひっくり返されることになり、往々にしてキャップを落としてしまうおそれがあった。
したがって、本発明は、上述した問題を解決すべくなされたものであり、拭き取り消毒がより容易にかつ確実に行なえる取扱い性に優れたニードルレスポートおよびこれに具備されるニードルレスポート用キャップを提供することを目的とする。
本発明に基づくニードルレスポートは、雄ルアーが挿入可能な開口が一端に形成されるとともに、外周面に雄ネジが設けられてなる略円筒状のポート部と、上記ポート部の他端に配置され、上記開口を介して挿入された雄ルアーによって押し下げられることで開放可能な自閉式のスリットが設けられたセプタムと、上記ポート部に着脱自在に取付けられ、上記ポート部に取付けられた取付状態において、上記開口を閉鎖可能なキャップとを備えている。上記キャップは、上記雄ネジに螺合可能な雌ネジが内周面に設けられた略円筒状の固定部と、上記固定部の内部を挿通可能となるように上記固定部の軸方向に沿って延在するロッド部とを含んでいる。上記固定部と上記ロッド部とは、上記固定部の軸方向に沿って相対的に移動可能に連結されている。
上記本発明に基づくニードルレスポートにおいては、上記ロッド部が、上記ポート部の上記一端または上記ポート部の内周面と突き当たり可能な拡径部を有していることが好ましい。
上記本発明に基づくニードルレスポートにおいては、上記拡径部が、上記ポート部の内径よりも大きい外形を有していることが好ましく、その場合には、上記ロッド部のうち、上記取付状態において上記セプタム側に位置することとなる上記ロッド部の先端から上記固定部の軸方向に沿って上記ロッド部の根元側に向けて離れた部分に上記拡径部が設けられることにより、上記ロッド部の上記ポート部に対する挿入深さが制限されるように構成されていることが好ましい。
上記本発明に基づくニードルレスポートにおいては、上記固定部と上記ロッド部とが、単一の部材からなる一部品にて構成されていてもよい。
上記本発明に基づくニードルレスポートにおいては、上記固定部と上記ロッド部とが異なる部材からなることにより、上記キャップが、上記異なる部材からなる二部品にて構成されていてもよい。
上記本発明に基づくニードルレスポートにおいては、上記取付状態において上記セプタム側に位置することとなる上記ロッド部の先端が上記固定部の軸方向に沿った少なくとも1カ所以上の位置において軽保持されるように、上記キャップが構成されていることが好ましい。
本発明に基づくニードルレスポート用キャップは、内周面に雌ネジが設けられた略円筒状の固定部と、上記固定部の内部を挿通可能となるように上記固定部の軸方向に沿って延在し、その延在方向における一端側に先端を他端側に根元を有するロッド部とを備えている。上記固定部と上記ロッド部とは、上記固定部の軸方向に沿って相対的に移動可能に連結されている。上記ロッド部は、上記先端が位置する側に向けて、上記先端が上記固定部の軸方向に沿って上記固定部よりも5.0mm以上突出した位置にまで移動可能に構成されている。
上記本発明に基づくニードルレスポート用キャップにあっては、上記ロッド部のうち、上記先端から上記固定部の軸方向に沿って上記根元が位置する側に向けて離れた位置に、直径が4.9mmの仮想円よりも大きい外形を有する部位が設けられていることが好ましい。
上記本発明に基づくニードルレスポート用キャップは、上記固定部の軸方向に沿って上記先端が位置する側に向けて上記ロッド部が移動した状態において上記ロッド部の上記先端が少なくとも1カ所以上の位置において軽保持されるように構成されていることが好ましい。
本発明によれば、拭き取り消毒がより容易にかつ確実に行なえる取扱い性に優れたニードルレスポートおよびこれに具備されるニードルレスポート用キャップとすることができる。
本発明の実施の形態1に係るニードルレスポートを備えた医療用コネクタにおいてコネクタ本体からキャップを取り外した状態を表わす斜視図である。 図1に示す医療用コネクタにおいてコネクタ本体にキャップを取付けた状態を表わす斜視図である。 図2に示す状態における医療用コネクタの断面図である。 図1に示すコネクタ本体の分解斜視図である。 本発明の実施の形態1に係るキャップの形態変化を示す断面図である。 本発明の実施の形態1に係るニードルレスポートを備えた医療用コネクタにおける拭き取り消毒時の操作を説明するための斜視図である。 本発明の実施の形態1に係るニードルレスポートを備えた医療用コネクタにおける拭き取り消毒時の状態を示す模式断面図である。 図1に示す医療用コネクタのニードルレスポートにルアーロック型シリンジを接続する場合の接続前後の模式断面図である。 本発明の実施の形態2に係るニードルレスポートを備えた医療用コネクタにおいてコネクタ本体からキャップを取り外した状態を表わす斜視図である。 図9に示す医療用コネクタにおいてコネクタ本体にキャップを取付けた状態を表わす斜視図である。 図10に示す状態における医療用コネクタの断面図である。 本発明の実施の形態2に係るキャップの形態変化を示す断面図である。 本発明の実施の形態2に係るニードルレスポートを備えた医療用コネクタにおける拭き取り消毒時の操作を説明するための斜視図である。 本発明の実施の形態2に係るニードルレスポートを備えた医療用コネクタにおける拭き取り消毒時の状態を示す模式断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下においては、本発明が適用されたニードルレスポートおよびこれに具備されるニードルレスポート用キャップを備えた医療用コネクタを例示して説明を行なう。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るニードルレスポートを備えた医療用コネクタにおいてコネクタ本体からキャップを取り外した状態を表わす斜視図であり、図2は、コネクタ本体にキャップを取付けた状態を表わす斜視図である。また、図3は、図2に示す状態における医療用コネクタの図2中に示すIII−III線に沿った断面図であり、図4は、コネクタ本体の分解斜視図である。まず、これら図1ないし図4を参照して、本実施の形態に係るニードルレスポートおよびこれに具備されるニードルレスポート用キャップ3を備えた医療用コネクタ1Aの構成について説明する。
図1ないし図3に示すように、医療用コネクタ1Aは、コネクタ本体2と、キャップ3とを備えている。キャップ3は、コネクタ本体2の後述するポート部21に着脱自在に取付けられる。医療用コネクタ1Aは、たとえば投薬のために患者の静脈に繋がれる輸液ラインに付設されるものである。
図1ないし図4に示すように、コネクタ本体2は、第1ハウジング10と、第2ハウジング20と、セプタム30とを有している。
第1ハウジング10は、全体として略円筒状の形状を有しており、ベース部11と、第1ポート12と、第2ポート13と、台座部14とを主として含んでいる。
ベース部11は、略円筒状の形状を有しており、全体として略円筒状の形状を有する第1ハウジング10の軸方向における略中央部に位置している。ベース部11の内部には、輸液ラインの一部を構成する中空部11aが設けられている。
第1ポート12および第2ポート13は、それぞれベース部11の軸方向の一端および他端から突設されており、略円筒状の形状を有している。第1ポート12および第2ポート13の内部の空間は、それぞれベース部11の中空部11aに連通している。
これら第1ポート12および第2ポート13は、輸液ラインの一部を構成する図示しない一対のチューブの各々の一端が接続される継ぎ手部であり、接続に際しては、一方のチューブの一端が第1ポート12に内挿されて固定されるとともに、他方のチューブの一端が第2ポート13に内挿されて固定される。これにより、一対のチューブがベース部11の中空部11aを介して連通することになり、これら一対のチューブと医療用コネクタ1Aとによって輸液ラインが構成されることになる。
台座部14は、ベース部11の周方向の所定位置に設けられており、ベース部11の周壁に穿設された孔部14aと、当該孔部14aを取り囲むようにベース部11の周壁に設けられた環状かつ平面状の座面14bと、当該座面14bから外側に向けて突出するように形成された環状突起14cとを有している。孔部14aは、ベース部11の中空部11aに連通しており、環状突起14cは、孔部14aを取り囲むように位置している。
第2ハウジング20は、全体として略円筒状の形状を有しており、ポート部21と、カバー部22とを含んでいる。
ポート部21は、略円筒状の形状を有しており、内部に中空部21aが設けられるとともに、外周面に雄ネジ21bが設けられている。ポート部21の軸方向の一端には、雄ルアーが挿入可能な開口が形成されている。
カバー部22は、上述した開口が設けられた一端とは反対側に位置するポート部21の軸方向の他端から外側に向けてフランジ状に突設された略環状の部位からなる。カバー部22の表面のうち、ポート部21の上記他端側に位置する外表面には、環状かつ平面状の押圧面22aが設けられている。
第2ハウジング20は、カバー部22が設けられた側の端部が第1ハウジング10の台座部14に向き合った状態で第1ハウジング10に固定されており、より詳細には、カバー部22の外縁部が第1ハウジング10の台座部14の外縁部に固定されている。これにより、ポート部21は、全体として略円筒状の形状を有する第1ハウジング10の軸方向と直交する方向に向けて第1ハウジング10のベース部11から延在して位置している。
セプタム30は、所定の厚みを有する円盤状のディスク弁からなり、その中央部に直線状に延びるスリット31が設けられている。スリット31は、セプタム30が弾性変形することで開放可能な自閉式の連通孔であり、厚み方向に沿ってセプタム30を貫通している。
セプタム30は、第1ハウジング10と第2ハウジング20との間に形成された空間に介装されており、第1ハウジング10と第2ハウジング20とによって圧縮された状態で挟持されている。これにより、第1ハウジング10の内部に位置する中空部11aと、第2ハウジング20の内部に位置する中空部21aとは、セプタム30によって隔たれた状態とされている。
セプタム30が第1ハウジング10と第2ハウジング20とによって挟持されることにより、セプタム30の一方の主面の周縁部が、第1ハウジング10の座面14bに圧接触しており、セプタム30の他方の主面の周縁部が、第2ハウジング20の押圧面22aに圧接触している。これにより、セプタム30と第1ハウジング10との境界およびセプタム30と第2ハウジング20との境界において、密閉性が確保されることになる。
加えて、上述したように、第1ハウジング10の座面14bには、環状突起14cが設けられている。当該環状突起14cは、第1ハウジング10とセプタム30との接触部における密着性をさらに高めるために設けられたものであり、当該環状突起14cがセプタム30の一方の主面の周縁部に食い込むことにより、当該部分における密閉性がさらに向上することになる。
セプタム30に設けられたスリット31は、中空部11aに面するとともに中空部21aにも面している。これにより、ポート部21の中空部21aに雄ルアーが挿入された場合において、雄ルアーによってセプタム30が押し下げられることにより、セプタム30が中空部11a側に向けて弾性変形することになり、これに伴ってスリット31が開口することで輸液ラインの密閉性を維持しつつ液体の注入や採取が可能になる。
上述した第1ハウジング10および第2ハウジング20は、その材質が特に制限されるものではないが、樹脂材料を用いた射出成型品にてこれが構成されていることが好ましい。ここで、樹脂材料としては、ポリプロピレンやポリエチレン等の比較的硬質のものが用いられることが好ましい。なお、第1ハウジング10と第2ハウジング20との固定方法も、特に制限されるものではないが、好適には溶着や接着、機械的な係止またはそれらの組み合わせ等が利用できる。
また、セプタム30は、その材質が特に制限されるものではないが、良好な弾性を呈することとなるように、たとえばシリコーンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、天然ゴム等のゴム材料か、あるいは熱可塑性エラストマー等によって形成されていることが好ましい。
図4に示すように、第2ハウジング20およびセプタム30を第1ハウジング10に組付けるに際しては、まず、セプタム30によって第1ハウジング10の孔部14aが覆われるとともにセプタム30の一方の主面の周縁部が第1ハウジング10の座面14bに載置されるように、セプタム30が第1ハウジング10の台座部14に載置される。この状態において、第1ハウジング10の台座部14に載置されたセプタム30を覆うように、さらに第2ハウジング20が第1ハウジング10の台座部14に組付けられ、さらにその後、カバー部22の外縁部が第1ハウジング10の台座部14の外縁部に固定される。
一方、図1ないし図3に示すように、キャップ3は、単一の部材からなる一部品としてのキャップ体40にて構成されている。
キャップ体40は、固定部41と蛇腹部42とロッド部43とを含んでおり、内部にロッド部43が立設されてなる全体として有底略円筒状の形状を有している。
固定部41は、略円筒状の形状を有しており、内周面に雌ネジ41aが設けられている。固定部41は、キャップ3をコネクタ本体2に取付けるための部位であり、コネクタ本体2のポート部21よりも僅かに大きい外形を有している。固定部41の内周面に設けられた雌ネジ41aは、ポート部21の外周面に設けられた雄ネジ21bに螺合可能であり、取付状態においてこれら雄ネジ21bと雌ネジ41aとが螺合することにより、キャップ3がコネクタ本体2のポート部21に取付けられる。
蛇腹部42は、略円筒状の形状を有しており、固定部41の軸方向の一端から連続して延びている。蛇腹部42は、複数の襞が軸方向に沿って並ぶように配置されたものであり、複数の襞の各々は、周方向に沿って周回して設けられている。これら複数の襞が展ばされたり折り畳まれたりすることにより、蛇腹部42は、軸方向に沿って伸縮することになる。蛇腹部42の固定部41が位置する側とは反対側の端部には、内側に向けて延びるように円環平板状の頂部42aが設けられている。
ロッド部43は、先端43aが閉塞された中空略円筒状の形状を有しており、蛇腹部42の上述した頂部42aから連続して延びるように立設されている。ロッド部43の外径は、固定部41および蛇腹部42の内径よりも小さく構成されており、これによりロッド部43は、固定部41および蛇腹部42の内部に挿通している。なお、ロッド部43の外径は、2.0mm以上5.0mm以下とされることが好ましい。
ロッド部43のうち、取付状態においてセプタム30側に位置することとなる先端43aから固定部41の軸方向に沿ってロッド部43の根元側(すなわち、蛇腹部42の頂部42a側)に向けて所定距離(5.0mm以上、好ましくは5.0mm以上6.0mm以下)だけ離れた部分には、ポート部21の内径よりも大きい外形を有する部位(すなわち拡径部)が設けられている。本実施の形態においては、当該部位よりも先端43a側の部分において、ロッド部43の外径がポート部21の内径よりも小さく構成されており、当該部位よりも上記根元側の部分において、ロッド部43の外径がポート部21の内径よりも大きく構成されている。これにより、ロッド部43には、後述する突き当たり面43b1が形成されることになるが、その詳細については後述することとする。なお、上記拡径部は、ロッド部43の上記一端側の内径が4.9mmである場合に、直径が4.9mmの仮想円よりも大きい外形を有していることが好ましい。
上述したように、固定部41、蛇腹部42およびロッド部43を含むキャップ体40は、単一の部材からなる一部品として構成される。ここで、キャップ体40は、その材質が特に制限されるものではないが、樹脂材料を用いた射出成型品またはシート成型品にてこれが構成されていることが好ましい。上記樹脂材料としては、ポリプロピレンやポリエチレン等の比較的硬質のものや、比較的軟質の熱可塑性エラストマー等を用いることができる。
図5は、本実施の形態に係るキャップの形態変化を示す断面図である。ここで、図5(A)は、キャップの蛇腹部を展開させた状態を表わしており、図5(B)は、キャップの蛇腹部を収縮させた状態を表わしている。次に、この図5を参照して、本実施の形態に係るキャップ3の形態変化について説明する。
上述したように、本実施の形態に係るキャップ3においては、固定部41とロッド部43とが蛇腹部42によって連結されている。そのため、蛇腹部42が有する複数の襞が展ばされたり折り畳まれたりすることにより、蛇腹部42は、軸方向に沿って伸縮し、これに伴って固定部41とロッド部43とが固定部41の軸方向に沿って相対的に移動することになる。
具体的には、図5(A)に示すように、蛇腹部42が有する複数の襞が展ばされた状態においては、蛇腹部42が展開されて蛇腹部42の軸方向の長さが相対的に長くなる。そのため、ロッド部43は、その大部分が固定部41および蛇腹部42の内部に収容された状態となる。
一方、図5(B)に示すように、蛇腹部42が有する複数の襞が折り畳まれた状態においては、蛇腹部42が収縮して蛇腹部42の軸方向の長さが短くなる。そのため、ロッド部43は、その根元寄りの部分の一部が固定部41および蛇腹部42の内部に収容されてはいるものの、その先端43a寄りの部分が大きく固定部41および蛇腹部42の外部に向けて突出した状態となる。なお、ロッド部43は、その先端43aが位置する側に向けて、当該先端43aが固定部41の軸方向に沿って固定部41よりも5.0mm以上突出した位置にまで移動可能となるように構成されている。
すなわち、本実施の形態に係るキャップ3においては、蛇腹部42が軸方向に沿って伸縮することにより、固定部41とロッド部43とが固定部41の軸方向に沿って相対的に移動し、結果としてロッド部43の先端43aの突出量を変化させることができるように構成されている。
ここで、本実施の形態に係るキャップ3にあっては、上述した蛇腹部42が展開した状態と収縮した状態との少なくとも2つの状態において、当該キャップ3の形態が安定的に維持可能となるように構成されている。換言すれば、ロッド部43の先端43aが固定部41の軸方向に沿った少なくとも2カ所の位置において軽保持されるように、キャップ3が構成されている。
このように構成することにより、後述するキャップ3の使用態様の各局面において、キャップ3の形態が安定することになり、キャップ3の機能が十分に発揮されることになる。なお、キャップ3の形態の維持は、たとえばキャップ体40の形状や材質を調整することで実現可能である。
図6および図7は、本実施の形態に係るニードルレスポートを備えた医療用コネクタにおける拭き取り消毒時の操作を説明するための斜視図および模式断面図である。次に、これら図6および図7ならびに前述の図2および図3を参照して、本実施の形態に係るキャップ3の使用方法について詳説する。
図2および図3に示すように、ニードルレスポートの不使用時(当該不使用時には、医療用コネクタ1A自体の不使用時(たとえば医療用コネクタ1Aの出荷前や保管時等)や、医療用コネクタ1Aの使用時であって液体の注入や採取が実施されていないとき等が含まれる)においては、コネクタ本体2のポート部21にキャップ3が取付けられる。このキャップ3がコネクタ本体2に取付けられた取付状態においては、ポート部21に設けられた雄ルアー挿入用の開口がキャップ3によって閉鎖された状態となり、医療用コネクタ1Aの雄ルアーが挿入されることとなる部分の表面に細菌等が付着してしまうことが防止できる。
ここで、図3に示すように、取付状態においては、キャップ3が図5(A)において示した状態にあり、蛇腹部42が展開された状態にあるため、キャップ3のロッド部43の先端43aは、セプタム30に非接触または軽接触の状態にある。したがって、セプタム30に設けられたスリット31が開口することはなく、輸液ラインの液密性が確保されることになる。
ただし、当該図3に示す状態において、キャップ3が過って操作されて蛇腹部42が収縮してしまった場合には、ロッド部43の先端43aがセプタム30を大きく押し込むことでセプタム30が押し下げられてスリット31が開口してしまい、結果として輸液ラインの液密性が阻害されてしまう懸念がある。そのため、本実施の形態においては、上述したように、ロッド部43の軸方向における所定部位に、ポート部21の内径よりも大きい外形を有する部位が設けられている。
これにより、上述の過った操作がなされた場合にも、ロッド部43には、セプタム30側を向く突き当たり面43b1が形成されているため、当該突き当たり面43b1がポート部21の軸方向端面に当接することになり、それ以上のロッド部43の挿入が行なわれなくなる。
このように、ロッド部43に上述した如くの突き当たり面43b1を設けることにより、ロッド部43のポート部21に対する挿入深さが制限されることになり、キャップ3の取付状態における輸液ラインの液密性が確実に担保できることになる。
一方、医療用コネクタ1Aの使用時であってかつ液体の注入や採取が実施される場合には、これに先立ってまず拭き取り消毒が行なわれる。拭き取り消毒時においては、キャップ3がコネクタ本体2から取り外され、取り外されたキャップ3とアルコールを滲み込ませたガーゼ等の消毒用シートとが用いられて消毒作業が行われる。
その際、図6および図7に示すように、キャップ3が図5(B)において示した状態(すなわち、蛇腹部42が収縮した状態)とされ、当該状態にあるキャップ3の固定部41から突出した部分のロッド部43の先端43aに消毒用シート70が宛がわれ、この状態において消毒用シート70ごとロッド部43がポート部21の中空部21aに挿入される。
これにより、ロッド部43によって押し込まれた部分の消毒用シート70が、雄ルアーに接触することとなる部分のセプタム30の表面に接触することになり、これにより当該セプタム30の表面の消毒が行なわれる。その結果、当該セプタム30の表面に万が一、細菌等が付着していた場合にもこれが除去されることになり、その後に実施される液体の注入や採取の際に、輸液ラインに細菌等が混入してしまうことが防止できる。
また、その際、上述したロッド部43に設けられた突き当たり面43b1が消毒用シート70を介してポート部21の軸方向端面に当接することにより、ロッド部43のポート部21に対する挿入深さが制限されることになるため、この拭き取り消毒時においても輸液ラインの液密性が確保されることになる。
ここで、上述した拭き取り消毒時においては、取付状態にあるキャップ3をコネクタ本体2から取り外し、その後、キャップ3の蛇腹部42が展開した状態から収縮した状態へと形態変化させ、さらに消毒用シート70を介在させた状態でキャップ3のロッド部43の先端43aをポート部21の中空部21aへ挿し込むまでの一連の作業の間の全期間にわたって、キャップ3の天地をひっくり返す必要がない。
そのため、本実施の形態に係るニードルレスポートおよびこれに具備されるキャップ3とすることにより、キャップ3を落下させる可能性が非常に低く抑えられることになり、結果として拭き取り消毒がより容易にかつ確実に行なえる取扱い性に優れたものとすることができる。
また、キャップ3は、コネクタ本体2から取り外された状態において、たとえば固定部41を片方の手の親指と中指で把持し、当該片方の手の人差し指で頂部42aを固定部41側に向けて押し下げる方法や、固定部41を片方の手の人差し指と中指の間において挟み、当該片方の手の親指で頂部42aを固定部41側に向けて押し下げる方法等によって操作できる。
したがって、本実施の形態に係るニードルレスポートおよびこれに具備されるキャップ3とすることにより、上述した拭き取り消毒の一連の作業において、一方の手で消毒用シート70を持ち、他方の手でキャップ3を操作することもでき、この点においても、拭き取り消毒がより容易にかつ確実に行なえる取扱い性に優れたものとすることができる。また、使用後にロッド部43をキャップ3内に戻すことでロッド部43をキャップ3内に位置させることができ、ロッド部43の汚染を防止することができる。
図8は、本実施の形態に係る医療用コネクタのニードルレスポートにルアーロック型シリンジを接続する場合の接続前後の模式断面図であり、図8(A)および図8(B)は、それぞれ接続前の状態および接続後の状態を表わしている。以下、この図8を参照して、本実施の形態の係る医療用コネクタ1Aのニードルレスポートの使用態様の一例として、当該ニードルレスポートにルアーロック型シリンジ60を接続する場合の使用態様について説明する。
図8に示すように、ルアーロック型シリンジ60は、バレルの先端にルアーロック型雄側コネクタを有しており、当該ルアーロック型雄側コネクタは、雄ルアー61と、当該雄ルアー61を取り囲むように設けられた筒状のロック部62とを含んでいる。雄ルアー61の内部には、ルアーロック型シリンジ60の外部とバレルの内部とを連通させる中空部61aが設けられており、ロック部62の内周面には、雌ネジ62aが設けられている。
図8(A)に示すように、医療用コネクタ1Aのニードルレスポートにルアーロック型シリンジ60を接続するに際しては、医療用コネクタ1Aのニードルレスポートにルアーロック型シリンジ60のルアーロック型雄側コネクタが対峙するようにし、この状態において、ポート部21の中空部21aに雄ルアー61を図中に示す矢印A方向に向けて挿入しつつ、ポート部21にロック部62が捻じ込まれるように図中に示す矢印B方向に向けてルアーロック型シリンジ60を回転させる。これにより、ポート部21の外周面に設けられた雄ネジ21bとロック部62の内周面に設けられた雌ネジ62aとが螺合するとともに、雄ルアー61の先端によってセプタム30が中空部11a側に向けて押し下げられる。
図8(B)に示すように、医療用コネクタ1Aのニードルレスポートにルアーロック型シリンジ60が接続された状態においては、雄ルアー61によってセプタム30が押し下げられることでセプタム30が所定量だけ弾性変形し、これによってスリット31が開口した状態にある。そのため、開口したスリット31と雄ルアー61の中空部61aとを介して、輸液ラインの一部である医療用コネクタ1Aの中空部11aとルアーロック型シリンジ60のバレルの内部とが連通した状態となり、これにより輸液ラインの密閉性を維持しつつ液体の注入や採取が行なえることになる。
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2に係るニードルレスポートを備えた医療用コネクタにおいてコネクタ本体からキャップを取り外した状態を表わす斜視図であり、図10は、コネクタ本体にキャップを取付けた状態を表わす斜視図である。また、図11は、図10に示す状態における医療用コネクタの図10中に示すXI−XI線に沿った断面図である。まず、これら図9ないし図11を参照して、本実施の形態に係るニードルレスポートおよびこれに具備されるニードルレスポート用キャップ3を備えた医療用コネクタ1Bの構成について説明する。
図9ないし図11に示すように、本実施の形態に係る医療用コネクタ1Bは、上述した実施の形態1に係る医療用コネクタ1Aと比較した場合に、同様の構成のコネクタ本体2と、異なる構成のキャップ3とを備えている。具体的には、キャップ3は、異なる部材からなる固定部材50Aおよびロッド部材50Bの二部品にて構成されている。
固定部材50Aは、有底略円筒状の固定部51を含んでおり、固定部51の内周面には、雌ネジ51aが設けられている。固定部51の軸方向の一端には、底部51bが設けられており、底部51bの中央には、平面視円形の貫通孔51b1が設けられている。なお、固定部51の外周面は、所定形状の凹凸面にて構成されており、これにより後述する操作の際の手のスリップの防止が図られている。
固定部51は、キャップ3をコネクタ本体2に取付けるための部位であり、コネクタ本体2のポート部21よりも僅かに大きい外形を有している。固定部51の内周面に設けられた雌ネジ51aは、ポート部21の外周面に設けられた雄ネジ21bに螺合可能であり、取付状態においてこれら雄ネジ21bと雌ネジ51aとが螺合することにより、キャップ3がコネクタ本体2のポート部21に取付けられる。
ロッド部材50Bは、先端53aが閉塞された中空略円筒状の形状を有するロッド部53と、ロッド部53の先端53aが位置する側とは反対側の端部に設けられたフランジ状の操作摘み54とを含んでいる。ロッド部53は、固定部材50Aの底部51bに設けられた貫通孔51b1に挿通されており、これにより固定部材50Aとロッド部材50Bとが相互に組付けられているとともに、ロッド部53が固定部51の内部に挿通している。なお、ロッド部53の外径は、2.0mm以上5.0mm以下とされることが好ましい。
ここで、ロッド部53の外径は、貫通孔51b1の径とほぼ同等となるように構成されており、これによりロッド部53は、固定部51に摺動可能に保持されている。そのため、固定部材50Aとロッド部材50Bとは、相対的に移動可能に組付けられている。
ロッド部53のうち、取付状態においてセプタム30側に位置することとなる先端53aから固定部51の軸方向に沿ってロッド部53の根元側(すなわち、操作摘み54側)に向けて所定距離(5.0mm以上、好ましくは5.0mm以上6.0mm以下)だけ離れた部分には、ポート部21の内径よりも大きい外形を有する部位である膨出部53b(すなわち拡径部)が設けられている。これにより、ロッド部53には、後述する突き当たり面53b1が形成されることになるが、その詳細については後述することとする。なお、上記膨出部(拡径部)は、ロッド部53の上記一端側の内径が4.9mmである場合に、直径が4.9mmの仮想円よりも大きい外形を有していることが好ましい。
また、上述した膨出部53bは、固定部材50Aの底部51bに設けられた貫通孔51b1の径よりも大きい外形を有している。これにより、ロッド部53には、ロッド部53の根元側を向く突き当たり面53b2が設けられることになる。突き当たり面53b2は、ロッド部53の移動を制限する部位であり、当該突き当たり面53b2が固定部材50Aの底部51bに当接することにより、それ以上のロッド部53の移動が制限されてロッド部材50Bの固定部材50Aからの脱落が防止されている。
なお、操作摘み54の外周面は、所定形状の凹凸面にて構成されており、これにより後述する操作の際の手のスリップの防止が図られている。
上述したように、キャップ3は、固定部材50Aおよびロッド部材50Bからなる二部品にて構成される。ここで、固定部材50Aおよびロッド部材50Bは、その材質が特に制限されるものではないが、樹脂材料を用いた射出成型品にてこれが構成されていることが好ましい。上記樹脂材料としては、ポリプロピレンやポリエチレン、ポリカーボネート等の比較的硬質のものを用いることが好ましい。
図12は、本実施の形態に係るキャップの形態変化を示す断面図である。ここで、図12(A)は、固定部材をロッド部材のロッド部の先端側に配置させた状態を表わしており、図12(B)は、固定部材をロッド部材の操作摘み側に配置させた状態を表わしている。次に、この図12を参照して、本実施の形態に係るキャップ3の形態変化について説明する。
上述したように、本実施の形態に係るキャップ3においては、ロッド部53が固定部51に摺動可能に保持されることにより、固定部材50Aとロッド部材50Bとが、相対的に移動可能に組付けられている。そのため、固定部51に対してロッド部53を摺動させることにより、固定部51とロッド部53とが固定部51の軸方向に沿って相対的に移動することになる。
具体的には、図12(A)に示すように、固定部材50Aをロッド部材50Bのロッド部53の先端53a側に配置させた状態においては、ロッド部53は、その先端53a側の部分が固定部材50Aの内部に収容された状態となり、その操作摘み54側の部分が固定部材50Aの外部に露出した状態となる。
一方、図12(B)に示すように、固定部材50Aをロッド部材50Bの操作摘み54側に配置させた状態においては、ロッド部53は、その操作摘み54側の部分が固定部材50Aの内部に収容された状態となり、その先端53a側の部分が固定部材50Aの外部に露出するとともに大きく固定部51の外部に向けて突出した状態となる。なお、ロッド部53は、その先端53aが位置する側に向けて、当該先端53aが固定部51の軸方向に沿って固定部51よりも5.0mm以上突出した位置にまで移動可能となるように構成されている。
すなわち、本実施の形態に係るキャップ3においては、ロッド部53が軸方向に沿って摺動することにより、固定部51とロッド部53とが固定部51の軸方向に沿って相対的に移動し、結果としてロッド部53の先端53aの突出量を変化させることができるように構成されている。
ここで、本実施の形態に係るキャップ3にあっては、上述した固定部材50Aがロッド部材50Bのロッド部53の先端53a側に配置された状態とロッド部材50Bの操作摘み54側に配置された状態との少なくとも2つの状態において、当該キャップ3の形態が安定的に維持可能となるように構成されている。換言すれば、ロッド部53の先端53aが固定部51の軸方向に沿った少なくとも2カ所の位置において軽保持されるように、キャップ3が構成されている。
このように構成することにより、後述するキャップ3の使用態様の各局面において、キャップ3の形態が安定することになり、キャップ3の機能が十分に発揮されることになる。なお、キャップ3の形態の維持は、たとえば固定部材50Aの底部51bとロッド部材50Bのロッド部53との間の摩擦力を適宜調整することで実現が可能である。
図13および図14は、本実施の形態に係るニードルレスポートを備えた医療用コネクタにおける拭き取り消毒時の操作を説明するための斜視図および模式断面図である。次に、これら図13および図14ならびに前述の図10および図11を参照して、本実施の形態に係るキャップ3の使用方法について詳説する。
図10および図11に示すように、ニードルレスポートの不使用時(当該不使用時には、医療用コネクタ1B自体の不使用時(たとえば医療用コネクタ1Bの出荷前や保管時等)や、医療用コネクタ1Bの使用時であって液体の注入や採取が実施されていないとき等が含まれる)においては、コネクタ本体2のポート部21にキャップ3が取付けられる。このキャップ3がコネクタ本体2に取付けられた取付状態においては、ポート部21に設けられた雄ルアー挿入用の開口がキャップ3によって閉鎖された状態となり、医療用コネクタ1Bの雄ルアーが挿入されることとなる部分の表面に細菌等が付着してしまうことが防止できる。
ここで、図11に示すように、取付状態においては、キャップ3が図12(A)において示した状態にあり、固定部材50Aがロッド部材50Bのロッド部53の先端53a側に配置された状態にあるため、キャップ3のロッド部53の先端53aは、セプタム30に非接触または軽接触の状態にある。したがって、セプタム30に設けられたスリット31が開口することはなく、輸液ラインの液密性が確保されることになる。
ただし、当該図11に示す状態において、キャップ3が過って操作されてロッド部材50Bが押し込まれてしまった場合には、ロッド部53の先端53aがセプタム30を大きく押し込むことでセプタム30が押し下げられてスリット31が開口してしまい、結果として輸液ラインの液密性が阻害されてしまう懸念がある。そのため、本実施の形態においては、上述したように、ロッド部53の軸方向における所定部位に、ポート部21の内径よりも大きい外形を有する部位である膨出部53bが設けられている。
これにより、上述の過った操作がなされた場合にも、ロッド部53の膨出部53bには、セプタム30側を向く突き当たり面53b1が形成されているため、当該突き当たり面53b1がポート部21の軸方向端面に当接することになり、それ以上のロッド部53の挿入が行なわれなくなる。
このように、ロッド部53に上述した如くの突き当たり面53b1を設けることにより、ロッド部53のポート部21に対する挿入深さが制限されることになり、取付状態における輸液ラインの液密性が確実に担保できることになる。
一方、医療用コネクタ1Bの使用時であってかつ液体の注入や採取が実施される場合には、これに先立ってまず拭き取り消毒が行なわれる。拭き取り消毒時においては、キャップ3がコネクタ本体2から取り外され、取り外されたキャップ3とアルコールを滲み込ませたガーゼ等の消毒用シートとが用いられて消毒作業が行われる。
その際、図13および図14に示すように、キャップ3が図12(B)において示した状態(すなわち、固定部材50Aがロッド部材50Bの操作摘み54側に配置された状態)とされ、当該状態にあるキャップ3の固定部51から突出した部分のロッド部53の先端53aに消毒用シート70が宛がわれ、この状態において消毒用シート70ごとロッド部53がポート部21の中空部21aに挿入される。
これにより、ロッド部53によって押し込まれた部分の消毒用シート70が、雄ルアーに接触することとなる部分のセプタム30の表面に接触することになり、これにより当該セプタム30の表面の消毒が行なわれる。その結果、当該セプタム30の表面に万が一、細菌等が付着していた場合にもこれが除去されることになり、その後に実施される液体の注入や採取の際に、輸液ラインに細菌等が混入してしまうことが防止できる。
また、その際、上述したロッド部53に設けられた突き当たり面53b1が消毒用シート70を介してポート部21の軸方向端面に当接することにより、ロッド部53のポート部21に対する挿入深さが制限されることになるため、この拭き取り消毒時においても輸液ラインの液密性が確保されることになる。
ここで、上述した拭き取り消毒時においては、取付状態にあるキャップ3をコネクタ本体2から取り外し、その後、固定部材50Aがロッド部材50Bのロッド部53の先端53a側に配置された状態からロッド部材50Bの操作摘み54側に配置された状態へと形態変化させ、さらに消毒用シート70を介在させた状態でキャップ3のロッド部53の先端53aをポート部21の中空部21aへ挿し込むまでの一連の作業の間の全期間にわたって、キャップ3の天地をひっくり返す必要がない。
そのため、本実施の形態に係るニードルレスポートおよびこれに具備されるキャップ3とすることにより、キャップ3を落下させる可能性が非常に低く抑えられることになり、結果として拭き取り消毒がより容易にかつ確実に行なえる取扱い性に優れたものとすることができる。また、使用後にロッド部53をキャップ3内に戻すことでロッド部53をキャップ3内に位置させることができ、ロッド部53の汚染を防止することができる。
また、キャップ3は、コネクタ本体2から取り外された状態において、たとえば固定部51を片方の手の親指と中指で把持し、当該片方の手の人差し指で操作摘み54を固定部51側に向けて押し下げる方法や、固定部51を片方の手の人差し指と中指の間において挟み、当該片方の手の親指で操作摘み54を固定部51側に向けて押し下げる方法等によって操作できる。
したがって、本実施の形態に係るニードルレスポートおよびこれに具備されるキャップ3とすることにより、上述した拭き取り消毒の一連の作業において、一方の手で消毒用シート70を持ち、他方の手でキャップ3を操作することもでき、この点においても、拭き取り消毒がより容易にかつ確実に行なえる取扱い性に優れたものとすることができる。
上述した本発明の実施の形態1および2においては、キャップに設けられる固定部とロッド部との連結態様として、固定部とロッド部とを蛇腹部にて接続した連結態様と、固定部とロッド部とが摺動可能に組付けられてなる連結態様とを具体的に例示して説明を行なったが、これら固定部とロッド部との連結態様は、これらの連結態様に限定されるものではなく、固定部とロッド部とが固定部の軸方向に沿って相対的に移動可能に連結された連結態様であれば、どのような連結態様を採用してもよい。
たとえば、上述した本発明の実施の形態1においては、固定部とロッド部とを別々に製造した後に固定部とロッド部とを一体化させることにより、固定部とロッド部とを一部品にて構成することとしてもよい。また、ロッド部の固定部に対する軸方向に沿った相対的な移動を可能にさせる構成として、上述した本発明の実施の形態1においては、蛇腹部が採用された構成とされていたが、軸方向に伸長変形するような構成であればよく、鏡筒(鏡胴)状の筒状体や、硬度を調整した単なる筒状体にて構成してもよい。また、上述した本発明の実施の形態2においては、固定部とロッド部とが単に軸方向にスライドするように構成されていたが、螺旋状のガイドを設けるなどしてねじ式に固定部とロッド部とが軸方向に相対的にスライドするように構成してもよい。
さらに、上述した本発明の実施の形態1および2においては、ロッド部が軸方向の少なくとも2箇所において軽保持されるように構成されていたが、ロッド部が先端側に移動した状態あるいはロッド部が根元側に移動した状態のいずれかで軽保持されるように構成してもよく、また、軽保持機能がないように構成してもよい。なお、消毒時の使用者の使い勝手を考慮すると、ロッドが先端側に移動した状態で軽保持されるように構成しておくことが好ましい。
また、上述した本発明の実施の形態1および2においては、膨出部が凸状に形成されており、当該凸状の膨出部がポートの端部に接触することでロッド部の挿入深さが規制されるように構成しているが、ロッド部の外面をテーパー状に構成することでテーパ部を形成し、当該テーパー部とポートの端部とが接触することでロッド部の挿入深さが規制されるように構成してもよい。また、さらには、ロッド部の挿入深さの規制をポート部の端部とロッド部との接触で行うのではなく、ポート部の内周面とロッド部との接触にて行なうこととしてもよい。
また、本発明によれば、消毒作業においてキャップの天地をひっくり返す作業を行う必要がないため、キャップとポート部とを紐あるいは紐状の部材にて繋ぐこともできる。このようにすれば、キャップが地面等に落下することが防止可能になる。また、ロッド部は展開状態において、ロッド部の先端が固定部の端部から食み出さないように構成することが好ましい。このようにすれば、キャップを台等に置く場合に固定部の端部が台に接触するようにしてキャップを立てても、ロッド部の先端が台に触れないことになり、ロッド部が汚染することを防止することができる。また、固定部等のキャップの外観形状は、略円筒形状に限られず、使用者の持ちやすさを考慮した角形状とされいてもよい。
また、上述した本発明の実施の形態1および2においては、ロッド部に突き当たり面を設けることによってロッド部の移動が所定範囲内に制限されるように構成した場合を例示して説明を行なったが、他の機械的な手段等によってロッド部の移動を制限するように構成することも当然に可能である。
また、上述した本発明の実施の形態1および2においては、本発明が適用されたニードルレスポートならびにニードルレスポート用キャップを備えた医療用コネクタを例示して説明を行なったが、本発明の適用対象は、この種の医療用コネクタに設けられたニードルレスポートならびにニードルレスポート用キャップに限定されるものではなく、他の種類の医療用コネクタに設けられたニードルレスポートならびにニードルレスポート用キャップは勿論のこと、各種の医療用の輸液ラインや容器等に付設されたニードルレスポートならびにニードルレスポート用キャップにも、当然にその適用が可能である。
また、本発明の適用対象は、これら医療用の輸液ラインや容器等に付設されたニードルレスポートならびにニードルレスポート用キャップへの適用に制限されるものでもなく、非医療用の輸液ラインや容器等に付設されたニードルレスポートならびにニードルレスポート用キャップへの適用も可能である。
このように、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
1A,1B 医療用コネクタ、2 コネクタ本体、3 キャップ、10 第1ハウジング、11 ベース部、11a 中空部、12 第1ポート、13 第2ポート、14 台座部、14a 孔部、14b 座面、14c 環状突起、20 第2ハウジング、21 ポート部、21a 中空部、21b 雄ネジ、22 カバー部、22a 押圧面、30 セプタム、31 スリット、40 キャップ体、41 固定部、41a 雌ネジ、42 蛇腹部、42a 頂部、43 ロッド部、43a 先端、43b1 突き当たり面、50A 固定部材、50B ロッド部材、51 固定部、51a 雌ネジ、51b 底部、51b1 貫通孔、53 ロッド部、53a 先端、53b 膨出部、53b1,53b2 突き当たり面、54 操作摘み、60 ルアーロック型シリンジ、61 雄ルアー、61a 中空部、62 ロック部、62a 雌ネジ、70 消毒用シート。

Claims (9)

  1. 雄ルアーが挿入可能な開口が一端に形成されるとともに、外周面に雄ネジが設けられてなる略円筒状のポート部と、
    前記ポート部の他端に配置され、前記開口を介して挿入された雄ルアーによって押し下げられることで開放可能な自閉式のスリットが設けられたセプタムと、
    前記ポート部に着脱自在に取付けられ、前記ポート部に取付けられた取付状態において、前記開口を閉鎖可能なキャップとを備え、
    前記キャップは、前記雄ネジに螺合可能な雌ネジが内周面に設けられた略円筒状の固定部と、前記固定部の内部を挿通可能となるように前記固定部の軸方向に沿って延在するロッド部とを含み、
    前記固定部と前記ロッド部とが、前記固定部の軸方向に沿って相対的に移動可能に連結されている、ニードルレスポート。
  2. 前記ロッド部が、前記ポート部の前記一端または前記ポート部の内周面と突き当たり可能な拡径部を有している、請求項1に記載のニードルレスポート。
  3. 前記拡径部が、前記ポート部の内径よりも大きい外形を有し、
    前記ロッド部のうち、前記取付状態において前記セプタム側に位置することとなる前記ロッド部の先端から前記固定部の軸方向に沿って前記ロッド部の根元側に向けて離れた部分に前記拡径部が設けられることにより、前記ロッド部の前記ポート部に対する挿入深さが制限されるように構成されている、請求項2に記載のニードルレスポート。
  4. 前記固定部と前記ロッド部とが、一部品にて構成されている、請求項1から3のいずれかに記載のニードルレスポート。
  5. 前記固定部と前記ロッド部とが異なる部材からなることにより、前記キャップが、前記異なる部材からなる二部品にて構成されている、請求項1から3のいずれかに記載のニードルレスポート。
  6. 前記取付状態において前記セプタム側に位置することとなる前記ロッド部の先端が前記固定部の軸方向に沿った少なくとも1カ所以上の位置において軽保持されるように、前記キャップが構成されている、請求項1から5のいずれかに記載のニードルレスポート。
  7. 内周面に雌ネジが設けられた略円筒状の固定部と、
    前記固定部の内部を挿通可能となるように前記固定部の軸方向に沿って延在し、その延在方向における一端側に先端を他端側に根元を有するロッド部とを備え、
    前記固定部と前記ロッド部とが、前記固定部の軸方向に沿って相対的に移動可能に連結されており、
    前記ロッド部が、前記先端が位置する側に向けて、前記先端が前記固定部の軸方向に沿って前記固定部よりも5.0mm以上突出した位置にまで移動可能に構成されている、ニードルレスポート用キャップ。
  8. 前記ロッド部のうち、前記先端から前記固定部の軸方向に沿って前記根元が位置する側に向けて離れた位置に、直径が4.9mmの仮想円よりも大きい外形を有する部位が設けられている、請求項7に記載のニードルレスポート用キャップ。
  9. 前記固定部の軸方向に沿って前記先端が位置する側に向けて前記ロッド部が移動した状態において前記ロッド部の前記先端が少なくとも1カ所以上の位置において軽保持されるように構成されている、請求項7または8に記載のニードルレスポート用キャップ。
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