JP2017143008A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】発熱を低く抑えること
【解決手段】
ここで提案される非水電解液二次電池は、非水電解液の非水溶媒は、エチレンカーボネートの水素原子のうち少なくとも何れか1つの水素原子が、少なくとも1つの水素原子がフッ素又はフッ素含有官能基に置換されたアルキル基に、置換されたフッ素化環状カーボネートを含んでいる。負極活物質層63と非水電解液との発熱ピークは、正極活物質層53と非水電解液との発熱ピークよりも低く、セパレータ72の耐熱温度は、正極活物質層53と非水電解液との発熱ピークよりも高い。セパレータ72と負極活物質層63との間には、樹脂粒子を含む樹脂粒子層78が配置されている。樹脂粒子は、負極活物質層63と非水電解液との発熱ピークよりも低い融点を有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、非水電解液二次電池に関する。
特開2007−250415号公報には、環状カーボネート中の60重量%以上が、フッ素原子がカーボネート環に直結したフッ素化エチレンカーボネートであり、かつ、非水溶媒中の環状カーボネートと鎖状カーボネートの重量比率が2:98から35:65である非水電解液二次電池が提案されている。同公報によれば、かかる構成によって、正極上での電解液の酸化分解反応が抑制され、高温高電圧での充放電サイクル特性、電圧の維持性、電池の膨れの全てでバランス良く優れる電池を得られるとされている。ここで、フッ素化エチレンカーボネートとしては、例えば、4−フルオロエチレンカーボネート(FEC)が例示されている。フッ素化鎖状カーボネートとしては、例えば、メチル−2,2,2−トリフルオロエチルカーボネート(MFEC)が例示されている(例えば、段落0054,実施例1,2,6−11,15,16)。
特開2007−250415号公報
本発明者は、耐酸化性を有する電解液溶媒として、フッ素化環状カーボネートとフッ素化鎖状カーボネートとを組み合わせたフッ素化溶媒を用いることを検討している。
その結果得られた知見では、特許文献1で開示されているように、フッ素化環状カーボネートとして4−フルオロエチレンカーボネートが用いられている場合には、電池を昇温していくと、正極側が、負極側よりも低い温度で発熱する傾向があった。
また、本発明者は、耐酸化性をさらに向上させるべく、フッ素化環状カーボネートとして、エチレンカーボネートの水素原子のうち少なくとも何れか1つの水素原子が、少なくとも1つの水素原子がフッ素又はフッ素含有官能基に置換されたアルキル基に、置換したフッ素化環状カーボネートを用いることも検討している。このようなフッ素化環状カーボネートには、例えば、トリフルオロエチレンカーボネートが挙げられる。かかるフッ素化環状カーボネートは、4−フルオロエチレンカーボネートが用いられている場合よりも耐酸化性を向上させることができる。
しかしながら、エチレンカーボネートの水素原子のうち少なくとも何れか1つの水素原子が、少なくとも1つの水素原子がフッ素又はフッ素含有官能基に置換されたアルキル基に置換したフッ素化環状カーボネート、例えば、エチレンカーボネートの1つの水素原子を、CF,CHなどで置換したフッ素化環状カーボネートは、負極との関係において140℃程度の温度で発熱する可能性がある。つまり、電池を昇温していくと、負極側が、正極側よりも低い温度で発熱する傾向があり、フッ素化環状カーボネートとして4−フルオロエチレンカーボネートが用いられている場合とは全く異なる事象が生じる。このため、エチレンカーボネートの水素原子のうち少なくとも何れか1つの水素原子が、少なくとも1つの水素原子がフッ素又はフッ素含有官能基に置換されたアルキル基に置換したフッ素化環状カーボネートを用いる場合には、発熱を低く抑えるための特別な対策が必要である。
ここで提案される非水電解液二次電池は、ケースと、ケースに収容された電極体と、ケースに収容された非水電解液とを備えている。電極体は、正極活物質を含む正極活物質層を有する正極と、負極活物質を含む負極活物質層を有する負極と、正極活物質層と負極活物質層との間に配置されたセパレータとを有している。非水電解液の非水溶媒は、エチレンカーボネートの水素原子のうち少なくとも何れか1つの水素原子が、少なくとも1つの水素原子がフッ素又はフッ素含有官能基に置換されたアルキル基に、置換されたフッ素化環状カーボネートを含んでいる。そして、負極活物質層と非水電解液との発熱ピークは、正極活物質層と非水電解液との発熱ピークよりも低い。また、セパレータの耐熱温度は、正極活物質層と非水電解液との発熱ピークよりも高い。そして、セパレータと負極との間に、樹脂粒子を含む樹脂粒子層が配置されており、樹脂粒子は、負極活物質層と非水電解液との発熱ピークよりも低い融点を有する。
かかる非水電解液二次電池によれば、エチレンカーボネートの水素原子のうち少なくとも何れか1つの水素原子が、少なくとも1つの水素原子がフッ素又はフッ素含有官能基に置換されたアルキル基に、置換されたフッ素化環状カーボネートが用いられているにも関わらず、負極活物質層と非水電解液との反応が進むのが抑えられ、当該反応に起因する発熱が低く抑えられる。
図1は、ここで提案される非水電解液二次電池の構成例を模式的に示す断面図である。 図2は、正極と負極の昇温試験の結果を示すグラフである。 図3は、捲回電極体40の積層構造を示す断面図である。
以下、ここで提案される非水電解液二次電池の一実施形態を説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。本発明は、特に言及されない限りにおいて、ここで説明される実施形態に限定されない。
図1は、ここで提案される非水電解液二次電池の構成例を模式的に示す断面図である。図1では、いわゆる角型のリチウムイオン二次電池10が図示されている。リチウムイオン二次電池10は、電極体としての捲回電極体40と、非水電解液80とを備えている。捲回電極体40は、正極としての正極シート50と、負極としての負極シート60と、正極と負極との間に配置されたセパレータ72,74とを有している。このリチウムイオン二次電池10では、かかる捲回電極体40と電解液80とがケース20に収容されている。
正極シート50は、正極集電箔51と、正極集電箔51の両面に保持された正極活物質層53とを有している。正極活物質層53は、例えば、正極活物質粒子と、導電助剤とが結着材によって結着した層である。正極活物質層53は、粒子間に電解液が適度に染み渡りうるように、所要の空隙を有している。
負極シート60は、負極集電箔61と、負極集電箔61の両面に保持された負極活物質層63とを有している。負極活物質層63は、例えば、負極活物質粒子と、導電助剤とが結着材によって結着した層である。負極活物質層63は、粒子間に電解液が適度に染み渡りうるように、所要の空隙を有している。
図1に示された形態では、正極集電箔51は帯状のシート(例えば、アルミニウム箔)である。正極活物質層53は、正極集電箔51の幅方向片側に設定された露出部52を除いて、正極集電箔51の両面に形成されている。負極集電箔61は、帯状のシート(例えば、銅箔)である。負極活物質層63は、負極集電箔61の幅方向片側に設定された露出部62を除いて、負極集電箔61の両面に形成されている。
正極シート50と負極シート60とは、長さ方向の向きを揃え、セパレータ72、74を挟んで正極活物質層53と負極活物質層63とが対向するように重ねられている。この際、正極集電箔51の露出部52がセパレータ72、74の幅方向の片側にはみ出て、負極集電箔61の露出部62がセパレータ72、74の幅方向の反対側にはみ出るように、正極シート50と負極シート60とが重ねられている。正極シート50と負極シート60とセパレータ72、74は、上記のように重ねられた状態で正極シート50の短幅に沿って設定された捲回軸WL周りに捲回されている。捲回電極体40の捲回軸WLに沿った片側には、セパレータ72、74から正極集電箔51の露出部52がはみ出ている。反対側には、セパレータ72、74から負極集電箔61の露出部62がはみ出ている。捲回電極体40は、捲回軸WLを含む一平面に沿って扁平な形状で、扁平な長方形の収容領域を有する角型のケース20に収容されている。また、ケース20と、ケース20に収容される捲回電極体40との間には、絶縁フィルム(図示省略)が介在し、ケース20と捲回電極体40とが絶縁されているとよい。
図1に示す例では、ケース20は、ケース本体21と、封口板22とを備えている。ここで、ケース本体21は、一面が開口した有底直方体形状を有している。封口板22は、ケース本体21の開口を塞ぐ部材である。かかる封口板22がケース本体21の開口周縁に溶接されることによって、略六面体形状のケース20が構成されている。図1に示す例では、封口板22には、正極の外部端子25と負極の外部端子26とが設けられている。外部端子25、26は、ケース20内に延びた内部端子23,24に電気的に接続されている。正極の内部端子23の先端部23aには、正極集電箔51の露出部52が溶接されている。負極の内部端子24の先端部24aには、負極集電箔61の露出部62が溶接されている。
正極集電箔51は、内部端子23および外部端子25を通じて外部の装置に電気的に接続される。負極の外部端子26は、内部端子24に電気的に接続されている。負極集電箔61は、内部端子24および外部端子26を通じて外部の装置に電気的に接続される。封口板22には、安全弁30や注液孔32が設けられており、注液孔32にはキャップ材33が取り付けられている。
ケース20に収容された電解液80は、捲回軸WLの軸方向の両側から電極体40の内部に浸入する。電解液80は、捲回電極体40の内部において、正極活物質層53や負極活物質層63の空隙などに十分に染み渡る。電解液80には、リチウムイオン二次電池10の電池反応に寄与しうる電解質イオンとしてリチウムイオンが含まれている。なお、図1において、電解液80の量は、厳密ではない。
以上、非水電解液二次電池の一例として、リチウムイオン二次電池10の構成例を例示したが、リチウムイオン二次電池10を構成する部材の一般的な材料については、種々の公知文献が存在するため、ここでは詳しい説明を省略する。また、リチウムイオン二次電池10の構成はかかる形態に限定されない。例えば、ケース20は、円筒形状のケースでもよい。また、ケース20は、袋状の形態でもよく、いわゆるラミネートタイプの外装体でもよい。また、電極体は、必ずしも捲回された構造でなくてもよい。例えば、正極シートと負極シートとがセパレータを介して積層されたものでもよい。
本発明者は、正極の最大到達電位が、金属リチウム基準(vs.Li/Li+)で4.3V以上、より具体的には、4.5V以上、さらには5.0V以上となるような高電位型の非水電解液二次電池に対して、フッ素化溶媒を用いることを検討している。かかる高い作動電位を有する正極活物質材料として、例えば、LiNi0.5Mn1.5がある。なお、ここで提案される非水電解液二次電池において、正極活物質材料は、特段、LiNi0.5Mn1.5に限定されない。
正極の作動電位を高くする場合、それに応じた耐酸化性を有する非水電解液を用いる必要がある。このため非水電解液80に用いられる非水溶媒の耐酸化性を向上させる必要が生じる。本発明者は、非水溶媒の耐酸化性を向上させるべく、フッ素化環状カーボネートを含む非水溶媒を用いることを検討している。フッ素化環状カーボネートは、フッ素化されていない環状カーボネートに比べて酸化されにくい。
本発明者は、フッ素化環状カーボネートとして、特に、エチレンカーボネートの水素原子のうち少なくとも何れか1つの水素原子が、少なくとも1つの水素原子がフッ素又はフッ素含有官能基に置換されたアルキル基に、置換されたフッ素化環状カーボネートを用いることを検討している。例えば、エチレンカーボネートの少なくとも何れか1つの水素原子が、CF、CH、CHCF(CFなどのフッ素含有官能基に置換されたフッ素化環状カーボネートが挙げられる。本発明者の知見では、このようなフッ素化環状カーボネートを含む非水溶媒を用いることによって、非水電解液の耐酸化性を向上させることができる。
ここで用いられるフッ素化環状カーボネートには、例えば、トリフルオロメチルエチレンカーボネート(化1)である。フルオロエチルエチレンカーボネート(化2)、ジフルオロエチルエチレンカーボネート(化3)が挙げられる。ここで用いられるフッ素化環状カーボネートは、ここで例示されるものに限定されない。これらのフッ素化環状カーボネートは、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
Figure 2017143008
Figure 2017143008
Figure 2017143008
また、フッ素化環状カーボネートを含む非水溶媒には、フッ素化鎖状カーボネートが含まれていてもよい。フッ素化鎖状カーボネートは、溶媒粘度を低く抑えるために用いられる。
フッ素化鎖状カーボネートとしては、例えば、メチル−2,2,2−トリフルオロエチルカーボネート、エチル−2,2,2−トリフルオロエチルカーボネート、メチル2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルカーボネート、メチル2,2,3,3−テトラフルオロプロピルカーボネート、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルカーボネート、メチル−2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチル−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルカーボネート、ジ(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、フルオロメチルメチルカーボネート、(ジフルオロメチル)メチルカーボネート、ビス(フルオロメチル)カーボネート、(1−フルオロエチル)メチルカーボネート、(2−フルオロエチル)メチルカーボネート、エチルフルオロメチルカーボネート、(1−フルオロエチル)フルオロメチルカーボネート、(2−フルオロエチル)フルオロメチルカーボネート、(1,2−ジフルオロエチル)メチルカーボネート、(1,1−ジフルオロエチル)メチルカーボネート、(1−フルオロエチル)エチルカーボネート、(2−フルオロエチル)エチルカーボネート、エチル(1,1−ジフルオロエチル)カーボネート、エチル(1,2−ジフルオロエチル)カーボネート、ビス(1−フルオロエチル)カーボネート、ビス(2−フルオロエチル)カーボネート、(1−フルオロエチル)(2−フルオロエチル)カーボネートなどが挙げられる。
イオン伝導度と粘度の観点からは炭素数が5以下のフッ素化鎖状カーボネートが好ましい。さらに、高温での正極での安定性を考慮すると、メチル−2,2,2−トリフルオロエチルカーボネート、エチル−2,2,2−トリフルオロエチルカーボネート、ジ−2,2,2−トリフルオロエチルカーボネートなどの2,2,2−トリフルオロエチル基を有するカーボネートが特に好ましい。上記のフッ素化鎖状カーボネートは、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
他方で、本発明者は、上述したようにエチレンカーボネートの水素原子のうち少なくとも何れか1つの水素原子が、少なくとも1つの水素原子がフッ素又はフッ素含有官能基に置換されたアルキル基に、置換されたフッ素化環状カーボネートを含む非水溶媒を用いた非水電解液を用意し、非水電解液二次電池を作製した。ここでは、正極活物質にLiNi0.5Mn1.5を用い、負極活物質に天然黒鉛を用いた。そして、かかる非水電解液二次電池を充電した後で加熱した場合に起こる現象について検討した。
図2は、正極と負極の昇温試験の結果を示すグラフである。図2に示されるように、上述したように作製された非水電解液二次電池を充電した後で解体する。そして、正極活物質層と、負極活物質層を取り出す。そして、それぞれ電解液と混ぜて熱安定性を確認した。昇温試験では、正極活物質層と、負極活物質層を取り出し、それぞれ上述したようにエチレンカーボネートの水素原子のうち少なくとも何れか1つの水素原子が、少なくとも1つの水素原子がフッ素又はフッ素含有官能基に置換されたアルキル基に、置換されたフッ素化環状カーボネート(単体)と混ぜたサンプルを得た。そして、当該サンプルについて温度を上げていき、当該サンプルの発熱量を測定した。グラフの縦軸は、昇温試験で測定されたサンプルの単位重量当たりの発熱量である。
図2において、グラフGpは、正極の昇温試験の結果を示している。グラフGpで示されるように、正極活物質層と上述したフッ素化環状カーボネートとを混ぜた熱量測定用正極サンプルにおいては、約190℃に発熱ピークが見られた。グラフGnは、負極の昇温試験の結果を示している。グラフGnで示されるように、負極活物質層と上述したフッ素化環状カーボネートとを混ぜた熱量測定用負極サンプルにおいては、大凡140℃に発熱ピークが見られた。すなわち、この検討において、上述したフッ素化環状カーボネート非水電解液が用いられている場合、負極活物質層は、正極活物質層よりも低い温度において非水電解液と反応する。そして、当該反応に起因する発熱ピークが140℃程度の温度にあることが見出された。また、負極活物質層の単位質量当たりの発熱量は、正極活物質よりも大きかった。
上記のようにエチレンカーボネートの水素原子のうち少なくとも何れか1つの水素原子が、少なくとも1つの水素原子がフッ素又はフッ素含有官能基に置換されたアルキル基に、置換されたフッ素化環状カーボネートを含む非水溶媒が用いられた場合には、特に温度上昇に対して、負極活物質層と非水電解液との反応を抑制する必要が生じる場合がある。このように新たに見出された知見を基に、本発明者は、上記のような非水溶媒が用いられた非水電解液二次電池について、セパレータと負極活物質層との間に、非水電解液と負極活物質層との発熱ピークよりも低い融点を有する樹脂粒子を含む樹脂粒子層を配置することを提案する。
かかる構成によれば、非水電解液と負極活物質層との発熱を伴う反応が進む前に樹脂粒子層が溶融し、樹脂が負極活物質層に染み込む。このことによって、負極活物質層と非水電解液との反応が抑制される。なお、本案では、非水電解液と負極活物質層との発熱ピークよりも低い融点を有する樹脂粒子を含む樹脂粒子層が配置されている。樹脂粒子層は、非水電解液と負極活物質層との発熱を伴う反応が進む前に溶融するとの観点において、例えば、同様の樹脂からなる多孔質の延伸フィルムに置き換えられる。しかし、延伸フィルムには、残留応力があるため、溶融に伴い樹脂が移動し、負極活物質層に染み込む樹脂の密度にムラが生じやすい。つまり、延伸フィルムを用いた場合、延伸フィルムが溶融しても、樹脂は負極活物質層に対して均一に染み込みにくい。これに対して、樹脂粒子層では、樹脂粒子は、個々に独立しており、残留応力による影響がなく、概ねその場で溶融して負極活物質層に染み込む。負極活物質層に対して均一に樹脂粒子層が形成されていれば、負極活物質層に染み込む樹脂の密度は均一になりやすい。このため、上述した樹脂粒子層は、負極活物質層と非水電解液との反応を効率良く抑制することができる。
例えば、正極シート50と負極シート60との間にセパレータ72,74が配置されている(図1参照)。具体的には、セパレータ72,74は、正極シート50の正極活物質層53と、負極シート60の負極活物質層63との間に配置されている。図3は、捲回電極体40の積層構造を示す断面図である。図3では、正極シート50の正極活物質層53と、負極シート60の負極活物質層63との間に配置されたセパレータ72が図示されている。図示されないが、セパレータ74は、セパレータ72と同様の構成であるとよい。
セパレータ72は、図3に示すように、シート状のセパレータ基材72Aと、セパレータ基材72Aの片面に設けられた耐熱層76と、耐熱層76とは反対側の面に設けられた樹脂粒子層78とを備えている。耐熱層76は、正極活物質層53に対向しており、樹脂粒子層78は、負極活物質層63に対向している。樹脂粒子層78の樹脂粒子は、非水電解液と負極との発熱ピークよりも低い温度に融点が設定されている。負極活物質層63と非水電解液とが反応して温度が高くなると、樹脂粒子は、負極活物質層63と非水電解液とが発熱ピークを迎える前に溶融して負極活物質層63に染み込む。溶融した樹脂が負極活物質層63に染み込むと、負極活物質層63と非水電解液との反応は抑制される。
ここで、耐熱層76は、例えば、無機フィラーを含み、必要に応じ、バインダ、増粘剤等を含み得る。無機フィラーとしては、例えば、アルミナ(Al)、マグネシア(MgO)、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)等の無機酸化物、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、マイカ、タルク、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン等の粘土鉱物、ガラス繊維等が挙げられる。なかでも、アルミナ、ベーマイト、およびマグネシアが好ましく用いられる。これらの無機フィラーは融点が高く、耐熱性に優れる。またモース硬度が比較的高く、機械的強度および耐久性にも優れる。さらに比較的安価なため原料コストを抑えることができる。かかる耐熱層76が設けられていることによって、セパレータ72,74は200℃程度の高温でも膜形状を維持することができる。なお、図3の例では、セパレータ72は耐熱層76を備えているが、セパレータ基材72Aが所要の耐熱温度を備えていれば、耐熱層76は必ずしも設けられていなくてもよい。このように所要の耐熱温度を備えたセパレータ基材としては、例えば、アラミドやポリイミドが挙げられる。
また、樹脂粒子層78は、例えば、非水電解液と負極活物質層との反応に起因する発熱ピークよりも低い温度に融点が設定された樹脂粒子を用意し、当該樹脂粒子の層を形成するとよい。本発明者の知見によれば、非水電解液と負極活物質層との発熱ピークは、大凡140℃程度に生じる。このため、当該樹脂粒子の融点は、大凡140℃よりも低い温度、例えば、110℃以上135℃以下、より好ましくは115℃以上、また好ましくは130℃以下の適当な温度に設定されているとよい。このような樹脂粒子は、例えば、ポリエチレンを用いて作製されうる。
かかる樹脂粒子層78の作製は、例えば、以下のように行なう。まず、平均粒子径(D50)が約1μmのポリエチレン粒子(PE粒子)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、水を分散溶媒として混合したスラリーを用意する。次に、PE粒子を含むスラリーをセパレータの所定の面に塗布し、乾燥させるとよい。乾燥後の樹脂粒子層78では、ポリエチレン粒子は、増粘剤として混合されたカルボキシメチルセルロース(CMC)を介してセパレータに保持される。かかる樹脂粒子層78は、例えば、15μm程度の厚さで形成されているとよい。このような樹脂粒子層78は、図3に示すように、負極活物質層63に向けて配置されているとよい。なお、図3の形態では、樹脂粒子層78は、セパレータ72,74に設けられているが、かかる形態に限定されない。例えば、樹脂粒子層78は、例えば、負極活物質層63の表面に設けられていても良い。また、セパレータ72,74と負極活物質層63との間に、別途、シート状の基材を用意して、当該シート状の基材に樹脂粒子層78を設けてもよい。このように、樹脂粒子層78は、前記セパレータと負極との間に配置されているとよい。
〈評価用電池〉
本発明者は、種々評価用電池を作製し、樹脂粒子層を設けた効果を評価した。以下、評価用電池の構成を説明する。ここで用意された評価用電池(サンプル1〜サンプル12)を、表1に示す。
Figure 2017143008
各サンプル1〜12の評価用電池は、セパレータの構成、樹脂粒子層の構成および樹脂粒子層の有無および電解液の構成が異なる。その余の構成は同じである。評価用電池の正極シートと負極シートは、以下のように作製されている。
〈正極シートの作製〉
正極シートには、正極活物質としてLiNi0.5Mn1.5が用いられている。正極活物質としてのLiNi0.5Mn1.5は、例えば、Li以外の金属を所定の割合で含む硫酸塩を所定量溶解させ、NaOHで中和しながら、前駆体を得る。得られた前駆体を所定量の炭酸リチウムと混合し、900℃で15h焼成、粉砕する。そして、篩に掛けて平均粒子径(D50)が10μmの正極活物質(LiNi0.5Mn1.5の粒子)を得た。そして、かかる正極活物質粒子(活物質)と、導電助剤としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、重量比にて活物質:AB:PVdF=87:10:3の割合で混合して正極形成用のスラリーを作製した。正極形成用のスラリーの溶媒には、N−メチル−2−ピロリドンを用いた。作製されたスラリーを正極集電体としてのAl箔に塗布し、乾燥させることによって、正極活物質層を備えた正極シートを得た。
〈負極シートの作製〉
負極活物質は、平均粒子径が20μmの天然黒鉛系の炭素材料を使用した。ここでは、かかる炭素材料と、結着剤としてのスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、重量比にて炭素材料:SBR:CMC=98:1:1の割合で混合して負極形成用のスラリーを作製した。負極形成用のスラリーの溶媒には、イオン交換水を用いた。作製されたスラリーを負極集電体としての銅箔に塗布し、乾燥させることによって、負極活物質層を備えた負極シートを得た。
〈電解液〉
電解液は、電解液A〜Cを用意した。電解液A〜Cは、フッ素化環状カーボネートとフッ素化鎖状カーボネートとを、組成比(体積比)で環状:鎖状=30:70となる割合で混合した溶媒が用いられている。このうち、フッ素化鎖状カーボネートには、メチル2,2,2トリフルオロエチルカーボネート(化4)が用いられている。フッ素化環状カーボネートは、電解液A〜Cにおいてそれぞれ異なる。電解液A〜Cには、支持塩としてLiPFが1mol/Lの割合で混合されている。
Figure 2017143008
ここで、電解液Aには、環状カーボネートとしてトリフルオロメチルエチレンカーボネート(化1)が用いられている。
電解液Bには、環状カーボネートとしてフルオロエチルエチレンカーボネート(化2)が用いられている。
電解液Cには、環状カーボネートとして4−フルオロエチレンカーボネート(化5)が用いられている。
Figure 2017143008
ここで、電解液A,Bに用いられたフッ素化環状カーボネートは、エチレンカーボネートの水素原子のうち少なくとも何れか1つの水素原子が、少なくとも1つの水素原子がフッ素又はフッ素含有官能基に置換されたアルキル基に、置換されたフッ素化環状カーボネートに含まれる。電解液Cに用いられたフッ素化環状カーボネートは、エチレンカーボネートの水素原子のうち少なくとも何れか1つの水素原子が、少なくとも1つの水素原子がフッ素又はフッ素含有官能基に置換されたアルキル基に、置換されたフッ素化環状カーボネートには含まれない。表1に示すように、サンプル1〜サンプル10の評価用電池は、電解液Aを用いて作製されている。サンプル11の評価用電池は、電解液Cを用いて作製されている。サンプル12の評価用電池は、電解液Bを用いて作製されている。
〈セパレータ〉
次に、セパレータは、ポリエチレン単層からなる多孔質セパレータ(PE単層)と、ポリプロピレンからなる多孔質のセパレータ基材の片面に耐熱層を設けたHRLセパレータ(PP+HRL)とを用意した。表1において、セパレータの耐熱温度は、セパレータが膜形状を維持しうる上限温度である。上記PE単層のセパレータの耐熱温度は約145℃であった。HRLセパレータの耐熱温度は約236℃であった。
(樹脂粒子層)
また、負極上に(具体的には、負極活物質層の上に)樹脂粒子層が設けられた負極シートも用意した。樹脂粒子層には、樹脂粒子として、平均粒子径(D50)が大凡1μmのポリエチレン粒子(PE)と、ポリプロピレン粒子(PP)とを用いたものを用意した。樹脂粒子の溶融温度は、それぞれ表1のように調整されたものを用いており、サンプルによって異なる。ここで、何れも重量比にて樹脂粒子:CMC=99.3:0.7の割合で水を混合したスラリーが作製される。そして、当該スラリーをセパレータの負極に対向する側に塗布し、乾燥させることによって、大凡15μmの厚さの樹脂粒子層が設けられている。
〈電池の作製〉
上述したように用意された正極シートと、セパレータと、負極シートを用い、電池の設計容量が約14mAhとなるように電極サイズを調整した後で電極体を形成し、各種電解液と共にラミネートで封止することで電池を作製した。
〈電極と電解液との熱安定性の評価〉
電極と電解液との熱安定性は、以下のように評価した。上述したように作製された非水電解液二次電池をSOC100%の状態にまで充電し、Ar雰囲気下のグローブボックスの中で、このリチウムイオン二次電池を解体した。正極活物質層および負極活物質層から、粉末状の正極活物質層のサンプルおよび負極活物質層のサンプルをそれぞれ取り出した。そして、正極活物質層のサンプル80mgと電解液80μLとを熱量測定容器に封入して熱量測定用正極サンプル(以下、「正極サンプル」という。)を調製した。また、負極活物質層のサンプル40mgと電解液80μLとを熱量測定容器に封入して熱量測定用負極サンプル(以下、「負極サンプル」という。)を調製した。正極サンプルおよび負極サンプルについて、それぞれカルベ式熱量計(C80)を用いて、70℃〜250℃の範囲で0.7℃/分の昇温速度で昇温しながら、発熱量を測定した。
その結果、電解液Aでは、正極サンプルの発熱ピークが197℃であり、負極サンプルの発熱ピークが140℃であった。電解液Bでは、正極サンプルの発熱ピークが162℃であり、負極サンプルの発熱ピークが136℃であった。電解液Cでは、正極サンプルが123℃、135℃、169℃と3つの発熱ピークが生じた。また、負極サンプルの発熱ピークが178℃であった。このように、環状カーボネートとして4−フルオロエチレンカーボネート(化5)が用いられた電解液Cでは、正極サンプルの発熱ピークが、負極サンプルよりも低い。これに対して、環状カーボネートとしてトリフルオロメチルエチレンカーボネート(化1)が用いられた電解液Aや、環状カーボネートとしてフルオロエチルエチレンカーボネート(化2)が用いられた電解液Bでは、負極サンプルの発熱ピークが、正極サンプルよりも高い。このため、電解液Aや電解液Bが用いられた電池では、温度が上がった場合に非水電解液と負極活物質層とに生じる反応に起因して、負極側から発熱が進む可能性がある。
〈電池の熱安定性評価試験〉
評価用電池について、それぞれ作製後の初回充電において1/5Cの電流値で4.9Vまで定電流充電を行ない、その後、電流値が1/50Cになる点まで定電圧充電を行ない、この状態を満充電状態とした。次に、1/5Cの電流値で3.5Vまで定電流方式で放電し、このときの放電された容量を初期容量とした。かかる初期容量の測定は25℃の温度環境で行なった。次に、初期容量測定後の電池を、SOC90%に調整した後、熱量測定容器に封入した。封入したサンプルをカルベ式熱量計(C80)にセットし、70〜200℃の範囲で0.7℃/分で昇温しながら発熱量を測定した。
ここで、サンプル1では、耐熱温度が145℃のPE単層のセパレータが用いられており、樹脂粒子層は設けられていない。このため、上記の熱安定性評価試験において、負極活物質層と非水電解液との反応に起因する発熱が進行した。表1の「総発熱量」は、熱安定性評価試験において、サンプル1の発熱量を100として他のサンプルの発熱量を相対的に評価した。
サンプル2では、耐熱温度が236℃のHRLセパレータが用いられており、樹脂粒子層は設けられていない。この場合、樹脂粒子層が設けられていないために、負極活物質層と非水電解液との反応に起因する発熱が進行した。総発熱量(対サンプル1)は92であった。
サンプル3〜6では、セパレータが用いられず、負極上に樹脂粒子層が形成されている。サンプル3では、樹脂粒子には、溶融温度が117℃のポリエチレン粒子(PE)が用いられている。この場合、総発熱量(対サンプル1)は95であった。樹脂粒子が溶融することによって非水電解液と負極活物質層との発熱が抑制されたものの、セパレータが用いられておらず、正極活物質層と負極活物質層とが短絡することに起因して発熱したものと考えられる。サンプル4では、樹脂粒子には、溶融温度が128℃のポリエチレン粒子(PE)が用いられている。この場合、総発熱量(対サンプル1)は94であった。サンプル5では、樹脂粒子には、溶融温度が141℃のポリエチレン粒子(PE)が用いられている。この場合、総発熱量(対サンプル1)は98であった。サンプル6では、樹脂粒子には、溶融温度が181℃のポリエチレン粒子(PE)が用いられている。この場合、総発熱量(対サンプル1)は94であった。
サンプル7では、耐熱温度が145℃のPE単層のセパレータを基材とし、負極上に樹脂粒子層が設けられている。樹脂粒子は、溶融温度が117℃のポリエチレン粒子(PE)であった。この場合、樹脂粒子層が設けられており、非水電解液と負極活物質層との発熱が抑制されるものの、セパレータの耐熱温度が低く、セパレータが膜形状を維持できなかった。このため、正極活物質層と負極活物質層とが短絡することに起因して発熱し、総発熱量(対サンプル1)は94であった。このことからセパレータが膜形状を維持するとの観点において、セパレータの耐熱温度は、正極活物質層と非水電解液との反応に起因する発熱ピーク(ここでは、電解液Aが用いられており、197℃である。)よりも高いことが望ましいと考えられる。
また、サンプル8、9では、耐熱温度が236℃のHRLセパレータを基材として、負極上に樹脂粒子層が設けられている。樹脂粒子層の樹脂粒子の融点は、何れも負極活物質層と非水電解液との反応に起因する発熱ピーク(ここでは、140℃)よりも低い温度である。このため、負極活物質層と非水電解液との反応が進む前に、樹脂粒子層が溶融し、負極活物質層に染み込む。このため、負極活物質層と非水電解液との反応が進むのが抑えられ、発熱が低く抑えられる。この結果、樹脂粒子の融点が117℃であるサンプル8は、総発熱量(対サンプル1)は54まで低く抑えられた。樹脂粒子の融点が128℃であるサンプル9では、総発熱量(対サンプル1)は59まで低く抑えられた。
これに対して、サンプル10では、耐熱温度が236℃のHRLセパレータを基材として、負極上に樹脂粒子層が設けられている。樹脂粒子層の樹脂粒子の融点は、141℃であった。この場合、樹脂粒子層の樹脂粒子の融点は、負極活物質層と非水電解液との反応に起因する発熱ピーク(ここでは、140℃)よりも高い温度である。このため、負極活物質層と非水電解液との反応がある程度進んでしまい、総発熱量(対サンプル1)は91であった。
また、サンプル11では、電解液Cが用いられている。耐熱温度が236℃のHRLセパレータを基材として、負極上に樹脂粒子層が設けられている。樹脂粒子層の樹脂粒子の融点は、117℃であった。この場合、負極活物質層と非水電解液との反応に起因する発熱ピーク(ここでは、178℃)が、正極活物質層と非水電解液との反応に起因する発熱ピーク(ここでは、123℃、135℃、169)よりも高かった。このため、樹脂粒子層が溶融する前に、正極活物質層と非水電解液との反応が進み、総発熱量(対サンプル1)は109であった。このように、セパレータと負極との間に、樹脂粒子を含む樹脂粒子層が配置する構成は、負極活物質層と非水電解液との発熱ピークが、正極活物質層と非水電解液との発熱ピークよりも低いことが前提であり、そのような前提であれば、発熱を抑える効果が得られる可能性がある。
サンプル12では、電解液Bが用いられている。電解液Bは、負極活物質層と非水電解液との発熱ピークが136℃であり、正極活物質層と非水電解液との発熱ピーク(162℃)よりも低い。そして、耐熱温度が236℃のHRLセパレータを基材として、負極活物質層に対向する側に樹脂粒子層が設けられている。樹脂粒子層の樹脂粒子の融点は、117℃であり、負極活物質層と非水電解液との反応に起因する発熱ピーク(ここでは、136℃)よりも低い温度である。このため、負極活物質層と非水電解液との反応が進む前に、樹脂粒子層が溶融し、負極活物質層に染み込み、負極活物質層と非水電解液との反応が抑制される。この結果、総発熱量(対サンプル1)は58と低く抑えられた。このように、負極活物質層と非水電解液との発熱ピークが、正極活物質層と非水電解液との発熱ピークよりも低いとよい。また、サンプル12で示されるように、非水電解液は、電解液Aに限定されず、また、電解液Bにも限定されない。
本発明者は、例えば、非水電解液の非水溶媒は、エチレンカーボネートの水素原子のうち少なくとも何れか1つの水素原子が、少なくとも1つの水素原子がフッ素又はフッ素含有官能基に置換されたアルキル基に置換されたフッ素化環状カーボネートが含まれている場合には、同様の事象が生じると考えている。
少なくとも1つの水素原子がフッ素又はフッ素含有官能基に置換されたアルキル基には、例えば、CFと、CHと、CHCF(CFが挙げられる。このように、置換されるアルキル基にはCFの構造が含まれていてもよい。かかる構造は、エチレンカーボネートの耐酸化性を向上させるのに寄与する。かかる推察から一般化すると、エチレンカーボネートの水素原子のうち少なくとも何れか1つの水素原子が、例えば、少なくとも1つの水素原子がCFを含むアルキル基に置換されたフッ素化環状カーボネートが非水溶媒に用いられているとよいと考えられる。この場合には、正極活物質層と非水電解液との発熱ピークが高くなり、負極活物質層と非水電解液との発熱ピークが低くなる可能性がある。したがって、このようなフッ素化環状カーボネートを含む非水溶媒が用いられる場合には、セパレータと負極との間に、負極活物質層と非水電解液との発熱ピークよりも融点が低い樹脂粒子を含む樹脂粒子層を配置するとよい。かかる構成は、負極活物質層と非水電解液との反応に起因する発熱を低く抑える上で有用であると考えられる。
以上、ここで提案される非水電解液二次電池について、種々説明したが、特に言及されない限りにおいて、ここで挙げられた実施形態および実施例は、本発明を限定しない。
例えば、正極や負極やセパレータなど、非水電解液二次電池の構成は、特に言及されない限りにおいて、上述した評価用電池の構成に限定されない。例えば、正極活物質や、負極活物質や、セパレータ、電解液の成分などは、本願発明において特定される構成との矛盾がない限りにおいて、種々の変更が可能である。
10 リチウムイオン二次電池
40 捲回電極体
50 正極シート
51 正極集電箔
53 正極活物質層
60 負極シート
61 負極集電箔
63 負極活物質層
72,74 セパレータ
72A セパレータ基材
76 耐熱層
78 樹脂粒子層
80 非水電解液

Claims (1)

  1. ケースと、
    前記ケースに収容された電極体と、
    前記ケースに収容された非水電解液と
    を備え、
    前記電極体は、
    正極活物質を含む正極活物質層を有する正極と、
    負極活物質を含む負極活物質層を有する負極と、
    前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に配置されたセパレータと
    を有し、
    前記非水電解液の非水溶媒は、
    エチレンカーボネートの水素原子のうち少なくとも何れか1つの水素原子が、少なくとも1つの水素原子がフッ素又はフッ素含有官能基に置換されたアルキル基に、置換されたフッ素化環状カーボネートを含み、
    前記負極活物質層と前記非水電解液との発熱ピークは、前記正極活物質層と前記非水電解液との発熱ピークよりも低く、
    前記セパレータの耐熱温度は、前記正極活物質層と前記非水電解液との発熱ピークよりも高く、
    前記セパレータと負極との間に、樹脂粒子を含む樹脂粒子層が配置されており、
    前記樹脂粒子は、前記負極活物質層と前記非水電解液との発熱ピークよりも低い融点を有する、
    非水電解液二次電池。
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