JP6798393B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Description
図1は、本開示の実施形態に係る非水電解質二次電池の構成の一例を示す概略図である。電池100は、筐体50を含む。筐体50は円筒形である。ただし本実施形態の筐体は円筒形に限定されるべきではない。筐体は、たとえば角形(扁平直方体形)であってもよい。筐体50は、鉄(Fe)、ステンレス(SUS)、アルミニウム(Al)合金等の金属材料により構成され得る。筐体50は、たとえば、金属材料と樹脂材料との複合材料(たとえばアルミラミネートフィルム等)により構成されてもよい。筐体50は、たとえば、電流遮断機構(CID)、注液孔、ガス排出弁等を備えていてもよい。
正極10は帯状のシートである。図2は、本開示の実施形態に係る正極の構成を示す断面概念図である。図2では、正極10の厚さ方向断面が概念的に示されている。正極10は、正極集電体11、中間層5および正極合材層12を含む。図2では、中間層5および正極合材層12が正極集電体11の片側(片面)のみに配置されているが、中間層5および正極合材層12は、正極集電体11の両側(表裏両面)に配置されていてもよい。
中間層5は、正極集電体11と正極合材層12との間に介在している。中間層5は、第1層1および第2層2を含む。第1層1は、正極集電体11の表面に配置されている。第2層2は、第1層1と正極合材層12との間に介在している。第1層1および第2層2は、それぞれ0.5μm以上の厚さを有する。第1層1および第2層2の厚さは、中間層5の厚さ方向断面の顕微鏡画像において測定され得る。顕微鏡は光学顕微鏡であってもよいし、電子顕微鏡であってもよい。厚さは、顕微鏡画像内の少なくとも3箇所で測定される。少なくとも3箇所の算術平均が測定結果として採用される。
第1層1は、釘刺し時、正極集電体11の露出を抑制することにより、正極集電体11と負極20との短絡を抑制する。第1層1は、87質量%以上100質量%未満の電気絶縁性フィラーと、その残部の第1導電性フィラーおよびバインダとを含む。電気絶縁性フィラーの構成比率が87質量%以上100質量%未満であることにより、釘刺し時および過充電時の両方において発熱が抑制され得る。電気絶縁性フィラーの構成比率が高い程、釘刺し時の発熱抑制効果が大きくなることが期待される。ただし電気絶縁性フィラーの構成比率が過度に高いと、直流抵抗が増加する可能性もある。電気絶縁性フィラーの構成比率は、たとえば、93.5質量%以上であってもよい。電気絶縁性フィラーの構成比率は、たとえば、98質量%以下であってもよいし、97質量%以下であってもよい。
中間層5は、第1層1に加えて第2層2を含む。これにより過充電時に、正極合材層12と正極集電体11とが電気的かつ熱的に絶縁され、発熱が抑制され得る。第2層2は、60質量%以上100質量%未満のポリアミック酸と、その残部の第2導電性フィラーとを含む。ポリアミック酸は、たとえば、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの重縮合により合成され得る。ポリアミック酸は加熱されると溶融物になり、さらに加熱されると、分子内で脱水閉環反応が起こり、ポリイミドになると考えられる。
負極20は帯状のシートである。負極20は負極集電体と負極合材層とを含む。負極集電体は、たとえば、銅(Cu)箔であってもよい。負極集電体は、たとえば、5〜30μmの厚さを有してもよい。負極合材層は、負極集電体の表面に配置されている。負極合材層は、負極集電体の表裏両面に配置されていてもよい。負極合材層は、たとえば、10〜200μmの厚さを有してもよい。
セパレータ30は正極10と負極20との間に介在している。セパレータ30は帯状のシートである。セパレータ30は、たとえば、10〜30μmの厚さを有してもよい。セパレータ30は、電気絶縁性の多孔質膜である。セパレータ30は、たとえば、ポリエチレン(PE)製、ポリプロピレン(PP)製等であり得る。セパレータ30は、たとえば、多層構造を有してもよい。セパレータ30は、たとえば、PP製の多孔質膜、PE製の多孔質膜、およびPP製の多孔質膜がこの順序で積層されることにより構成されていてもよい。
本実施形態の非水電解質は、液体電解質すなわち電解液である。電解液は、電極群40に含浸されている。ただし本実施形態の非水電解質は、ゲル電解質であってもよいし、固体電解質であってもよい。
下記表1に示される試料No.1〜22が製造された。下記表1において、たとえば「試料No4*」のように「*」が付された試料は比較例である。それ以外の試料は実施例である。
1.正極の製造
1−1.第1層の形成
以下の材料が準備された。
電気絶縁性フィラー:アルミナ(住友化学社製、製品名「AKP3000」)
第1導電性フィラー:AB(デンカ社製、製品名「デンカブラック」)
バインダ:PVdF(クレハ社製、グレード「♯7200」)
溶媒:N−メチル−2−ピロリドン(NMP)
正極集電体:帯状Al箔
以下の材料が準備された。
ポリアミック酸:宇部興産社製、製品名「ユピア−AT」
第2導電性フィラー:AB(デンカ社製、製品名「デンカブラック」)
溶媒:NMP
以下の材料が準備された。
正極活物質:LiNi0.82Co0.15Al0.03O2
導電性フィラー:AB(デンカ社製、製品名「デンカブラック」)
バインダ:PVdF
以下の材料が準備された。
負極活物質:黒鉛
バインダ:SBRおよびCMC
溶媒:水
負極集電体:帯状Cu箔
帯状のセパレータが準備された。セパレータは25μmの厚さを有するものとされた。セパレータは、3層構造を有するものとされた。すなわちセパレータは、PP製の多孔質膜、PE製の多孔質膜およびPP製の多孔質膜がこの順序で積層されることにより、構成されたものである。
溶媒:[EC:DMC:EMC=3:4:3(体積比)]
支持電解質:LiPF6(1mоl/l)
下記表1に示されるように、第1層における各成分の構成比率が変更されることを除いては、試料No.1と同様に、電池が製造された。
下記表1に示されるように、第2層の各成分の構成比率が変更されることを除いては、試料No.1と同様に、電池が製造された。
下記表1に示されるように、第1層の厚さが変更されることを除いては、試料No.1と同様に、電池が製造された。
下記表1に示されるように、第2層の厚さが変更されることを除いては、試料No.1と同様に、電池が製造された。
アルミナに代えてベーマイトが電気絶縁性フィラーとして使用されることを除いては、試料No.1と同様に、電池が製造された。
ポリアミック酸に代えて、PVdFが使用されることを除いては、試料No.1と同様に電池が製造された。
第2層が形成されない(中間層が第2層を含まない)ことを除いては、試料No.1と同様に、電池が製造された。
1.釘刺し試験
定電流−定電圧充電(定電流充電時の電流=1A、定電圧充電時の電圧=4.2V、終止電流=50mA)により、電池が満充電にされた。電池に熱電対が取り付けられた。3mmの胴部径を有する釘が準備された。25℃環境において、電池の側面に120mm/秒の速度で釘が突き刺された。釘が刺さった後の最高到達温度が測定された。結果は下記表1に示されている。最高到達温度が低い程、釘刺し時の発熱が抑制されていることを示している。
電池に熱電対が取り付けられた。25℃環境において、1Cの一定電流により、電池が4.5Vまで充電された。電池の最高到達温度が測定された。結果は下記表1に示されている。最高到達温度が低い程、過充電時の発熱が抑制されていることを示している。
電池のSOC(State Of Charge)が50%に調整された。25℃環境において、10Aの一定電流により、電池が10秒間充電された。充電開始から10秒後の電圧上昇量が測定された。電圧上昇量が電流で除されることにより、直流抵抗が算出された。結果は下記表1に示されている。
1.試料No.1〜5
第1層の電気絶縁性フィラーの構成比率が87質量%以上である試料では、釘刺し時および過充電時の両方において、発熱が抑制されていた。ただし第1層の電気絶縁性フィラーの構成比率が97質量%を超える試料では、直流抵抗の増加が認められる。直流抵抗も考慮に入れると、第1層の電気絶縁性フィラーの構成比率は、87質量%以上97質量%以下であってもよい。
第2層のポリアミック酸の構成比率が60質量%以上である試料では、釘刺し時および過充電時の両方において、発熱が抑制されていた。ただし第2層のポリアミック酸の構成比率が80質量%を超える試料では、直流抵抗の増加が認められる。直流抵抗も考慮に入れると、第2層のポリアミック酸の構成比率は、60質量%以上80質量%以下であってもよい。
第1層の厚さが0.5μm以上である試料では、釘刺し時および過充電時の両方において、発熱が抑制されていた。ただし第1層の厚さが2μmを超える試料(第1層および第2層の合計厚さが3μmを超える試料)では、直流抵抗の増加が認められる。直流抵抗も考慮に入れると、第1層の厚さは、0.5μm以上2μm以下であってもよい。第1層および第2層の合計厚さは、3μm以下であってもよい。
第2層の厚さが0.5μm以上である試料では、釘刺し時および過充電時の両方において、発熱が抑制されていた。ただし第2層の厚さが2μmを超える試料(第1層および第2層の合計厚さが3μmを超える試料)では、直流抵抗の増加が認められる。直流抵抗も考慮に入れると、第2層の厚さは、0.5μm以上2μm以下であってもよい。第1層および第2層の合計厚さは、3μm以下であってもよい。
第1層の電気絶縁性フィラーがアルミナからベーマイトに変更されても、釘刺し時および過充電時の両方において、発熱が抑制されていた。したがって、電気絶縁性フィラーは、アルミナおよびベーマイトの少なくとも一方であってもよい。
第2層が無い場合、過充電時の発熱が抑制されなかった。またポリアミック酸がPVdFに置き換えられた場合も、過充電時の発熱が抑制されなかった。
Claims (2)
- 正極、負極、セパレータおよび非水電解質
を少なくとも含み、
前記正極は、正極集電体、中間層および正極合材層を含み、
前記中間層は、前記正極集電体と前記正極合材層との間に介在しており、
前記中間層は、第1層および第2層を含み、
前記第1層は、前記正極集電体の表面に配置されており、
前記第2層は、前記第1層と前記正極合材層との間に介在しており、
前記第1層および前記第2層は、それぞれ0.5μm以上の厚さを有し、
前記第1層は、87質量%以上100質量%未満の電気絶縁性フィラーと、その残部の第1導電性フィラーおよびバインダとを含み、
前記第2層は、60質量%以上100質量%未満のポリアミック酸と、その残部の第2導電性フィラーとを含む、
非水電解質二次電池。 - 前記電気絶縁性フィラーは、アルミナおよびベーマイトの少なくとも一方である、
請求項1に記載の非水電解質二次電池。
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