JP2017141391A - 蓄光顔料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】残光輝度特性及び耐水性に優れた蓄光顔料の製造方法を提供する。
【解決手段】アルカリ土類金属酸化物に希土類元素をドープさせてなる蓄光顔料原料粉末を準備し(工程A)、この原料粉末を、無機酸とリン酸塩を含む水溶液に加えて撹拌し、酸/リン酸塩処理を行い(工程B)、当該処理により得られた蓄光顔料を水で洗浄、もしくは、アルカリ水溶液で中和処理した後、乾燥を行う(工程C)。アルカリ水溶液を用いて中和処理を行う際、蓄光顔料を含む水溶液のpHを6.8〜7.2の範囲に調整することが好ましい。無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸が好ましく、リン酸塩としては、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウムが好ましく、アルカリ土類金属酸化物としてはSrAl、SrAl1425が好ましく、希土類元素としてはランタノイド系希土類元素が好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、残光輝度特性及び耐水性に優れた蓄光顔料、特に、高い初期残光輝度を有した耐水性蓄光顔料を製造するための方法に関する。
蓄光顔料(夜光パウダー、残光性蛍光体、蓄光性蛍光体)はペンキ、塗料、インク、プラスチック等の業界や、夜光標識・区画線、夜光衣服、夜光工芸品、夜光家庭用品、夜光キッチン、水まわり建築資材等の分野に広く使われているが、現在の蓄光顔料には一般的に下記のような短所がある。
1)防湿性が悪く、防水できず、凝集しやすい。保存期間が短い。
2)必要とされる励起光エネルギーレベルが高く、低輝度及びLED省エネ照明のみで効果的に励起することができず、残光の発光効果(特に初期残光輝度)が良くない。
これまでに、太陽光等に含まれる紫外線等の光のエネルギーを吸収し、暗所において発光可能な残光性蛍光体として、例えば、ZnS:Cu、ZnCdS:Cu、CaS:Bi、CaSrS:Bi等が知られているが、これらの硫化物型の残光性蛍光体の場合であっても、化学的に不安定で、耐光性が低く、残光時間が短く、発光輝度が低いという問題点があった。
そこで、硫化物型残光性蛍光体の上記欠点を改良するために、例えば下記の特許文献1には、アルミン酸塩系の蓄光性蛍光体として、SrAlで表される化合物を母結晶にすると共に、賦活剤としてのユウロピウムEuを(SrとEuとDy)のモル数の合計に対して特定範囲のモル%で添加し、共賦活剤としてのジスプロシウムDyをEuに対して特定のモル比で添加し、更にAlの割合をSrとEuとDyのモル数の合計に対して特定範囲とした蓄光性蛍光体が開示されており、この蓄光性蛍光体は、従来のアルミン酸ストロンチウム系蓄光性蛍光体と比べて優れた残光輝度特性を示す点で優れている。
しかしながら、この特許文献1記載の蓄光性蛍光体の場合にも、耐水性が充分でないために、水との接触によって変性が生じるという問題点があり、又、LEDによる省エネ照明のみで効果的に夜光を励起することができない等の問題点もあった。
又、LEDによる省エネ照明が普及するに伴い、従来の青緑色蓄光顔料の場合には、LED照明の下で効果的に夜光が励起されない、残光の発光効果が悪いといった問題が指摘され、その適用範囲が制約されて、実際に顧客のニーズに応えることが出来なくなってきているのが現状である。
このように、今の市場においては、優れた耐水性を有し、かつ、残光輝度特性を備えた蓄光顔料が存在しておらず、かかる特性を有した蓄光顔料が要望されている。
WO2005/044944
本発明は、上述の問題点を解決し、水と接触した際にも変性が生じず、優れた初期残光輝度特性を有した蓄光顔料を製造することが可能な方法を提供することを課題とする。
本発明者等は、種々検討を行った結果、アルカリ土類金属酸化物(SrAlやSrAl1425等のアルミン酸ストロンチウム化合物等)に、希土類元素(Eu、Dy等のランタノイド系希土類元素)をドープさせてなる蓄光顔料原料粉末を、無機酸とリン酸塩を含む水溶液に加えて撹拌した後、沈殿した蓄光顔料を取り出し、水で洗浄又はアルカリ水溶液で中和処理した後に乾燥を行うことにより得られた蓄光顔料が、上記の酸/リン酸塩処理を行っていない未処理の蓄光顔料に比べて、初期残光輝度特性が高く、しかも、耐水性が優れていることを見出して、本発明を完成した。
上記の課題を解決可能な本発明の蓄光顔料の製造方法は、以下の工程A〜C:
工程A:アルカリ土類金属酸化物に希土類元素をドープさせてなる蓄光顔料原料粉末を準備する工程、
工程B:前記蓄光顔料原料粉末を、無機酸とリン酸塩を含む水溶液に加えて撹拌し、酸/リン酸塩処理を行う工程、及び
工程C:前記酸/リン酸塩処理により得られた蓄光顔料を水で洗浄、もしくは、アルカリ水溶液で中和処理を行った後、乾燥を行う工程
を含むことを特徴とする。
又、本発明は、上記の特徴を有した製造方法において、前記工程Cにてアルカリ水溶液を用いて中和処理を行う際、前記蓄光顔料を含む水溶液のpHを6.8〜7.2の範囲に調整することを特徴とするものである。
又、本発明は、上記の特徴を有した製造方法において、前記無機酸が、塩酸、硝酸及び硫酸から選ばれた少なくとも1種であり、前記リン酸塩が、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム及びリン酸水素二アンモニウムから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とするものである。
更に、本発明は、上記の特徴を有した製造方法において、前記のアルカリ土類金属酸化物がアルミン酸ストロンチウム化合物であり、前記の希土類元素がランタノイド系希土類元素であることを特徴とするものでもある。
本発明の製造方法を用いることによって、水との混合や接触に対しても安定性が高い、耐水性(防湿性)に優れた蓄光顔料が製造でき、又、この蓄光顔料は優れた残光特性を有し、未処理の蓄光顔料よりも初期残光輝度が高く、低照度であっても充分に励起され、効果的に発光し、屋外用途にも適している。
以下、本発明の製造方法における各工程について説明する。
本発明における工程Aは、アルカリ土類金属酸化物に希土類元素をドープさせてなる蓄光顔料原料粉末を準備する工程であり、アルカリ土類金属酸化物としては、アルミン酸ストロンチウム化合物、特にSrAlやSrAl1425が好ましく、希土類元素としてはランタノイド系希土類元素が好ましく、希土類元素は酸化物の形態にて原料粉末に添加され、特にEu、Dyが好ましいが、これに限定されるものではない。
本発明で使用する蓄光顔料原料粉末は、市販のアルミン酸塩系蓄光顔料(蓄光性蛍光体)であっても、以下に例示する製造工程によって製造されたアルミン酸系ストロンチウム蓄光顔料であっても良く、蓄光顔料原料粉末を製造する際の工程としては、以下の工程が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明に適したアルミン酸系ストロンチウム蓄光顔料を製造する際には、原料粉末として、球形γ‐Al、SrCO、Eu、Dy及びHBOの粉末をそれぞれ準備し、Al/(Sr+Eu+Dy)のモル比率が1.90〜1.99(好ましくは1.97〜1.99)の範囲内で、しかも、HBOの配合量が0.5重量%〜2.5重量%(好ましくは2.0重量%〜2.5重量%)の範囲内となるように秤量した後、上記の粉末を混合し、得られた混合物をるつぼの中に入れて、還元雰囲気下にて1350〜1450℃で2〜4時間加熱し、塊状体とした後、得られた塊状物をボールミリング等により粉砕し、得られた粉砕物をスクリーニングして、均一粒度(好ましくは粒径約60μm〜100μm)の蓄光顔料原料粉末を得る。
上記の工程により得られた蓄光顔料原料粉末は、蛍光灯を用いて光照射を行った際に、暗所で黄緑色〜青色に発光する。
本発明における工程Bでは、無機酸とリン酸塩を含む水溶液を準備し、当該水溶液に前記工程Aで得られた蓄光顔料原料粉末を加え、撹拌を行う。この際に使用する無機酸は、塩酸、硝酸及び硫酸から選ばれた少なくとも1種であり、リン酸塩は、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム及びリン酸水素二アンモニウムから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。この工程Bにおける撹拌時間は、一般的は20〜30℃の室温にて10〜60分であり、30〜50分がより好ましい。
この工程Bにおいて使用される水溶液中には、上記の蓄光顔料原料粉末100重量部に対して4〜14重量部、好ましくは6〜11重量部のリン酸二水素ナトリウムが含有されていることが好ましく、当該水溶液中の無機酸の量については、当該水溶液のpHが酸性(好ましくは5.0以下)となる量が好ましい。
このような無機酸とリン酸塩を含む水溶液を用いる本発明の工程B(酸/リン酸塩処理工程)によって、蓄光顔料原料粉末の表面が水に対し不溶性又は難溶性となり、蓄光顔料の耐水性が改善される。又、この工程Bによって、蓄光顔料原料粉末の表面が削られ、表面凹凸が少なくなり、平滑な表面となる。
更に、工程Cでは、前記工程Bの酸/リン酸塩処理によって得られた蓄光顔料を水で洗浄するか、あるいは、アルカリ水溶液で中和処理を行った後に水分を除去(脱水)し、乾燥を行い、蓄光顔料を得る。この際、水での洗浄は、複数回(好ましくは4〜6回)行うことが好ましく、アルカリ水溶液で中和処理を行う場合には、蓄光顔料を含む水溶液のpHを6.8〜7.2の範囲に調整することが好ましい。本発明では、上記アルカリ水溶液の種類は特に限定されないが、水酸化ナトリウム水溶液が一般的である。
この工程Cにおける乾燥は室温で行っても、加温下(100℃以下)で行っても良い。
上記の工程Cにより、蓄光顔料の表面に付着している不純物が洗い流され、未処理の蓄光顔料(工程Aで準備した未処理の蓄光顔料原料粉末)に比べて、高い初期残光輝度特性及び耐水性を備えた蓄光顔料が得られる。
以下の実施例は、本発明を説明するためのものであって、本発明は、これらに限定されるものではない。
実施例1:本発明の製造方法によるグリーン系蓄光顔料原料粉末の製造工程例
工程A:市販の球形γ‐Al 1975g(19.36モル)と、高純度SrCO 2793g(18.92モル)と、Eu 49g(0.14モル)と、Dy 60g(0.16モル)と、HBO 123g(2.00モル)を秤量し、これらを湿式方法にて混合することにより固体混合物5kgを得た。そして、この固体混合物をるつぼに入れ、還元雰囲気下にて1400℃で3時間反応させて塊状体を得、冷却を行った後、この塊状体をボールミルにて粉砕し、スクリーニング(篩分け)を行うことによって、均一な粒度(粒子径約100μm)を有する未処理の蓄光顔料粉末(化学式:SrAl)を生成させた。この粉末に白色のLEDランプを用いて光照射したところ、暗所において黄緑色(イエローグリーン)に発光することが確認された。
工程B:50mlの水をビーカーに入れ、この中にリン酸塩としてNaHPO・2HO 6.3g(0.04モル)を添加し(pH4.8)、更にHNO水溶液(12.9N)3.2mlを添加し、酸/リン酸塩処理溶液(pH1.2)を調製した。この処理溶液に、上記工程Aで製造した蓄光顔料原料粉末62.5gを加え、40分間攪拌を行った。この時の処理溶液のpHは2.5であった。
工程C:アルカリ水溶液として、NaOH水溶液(0.25N)を準備し、工程Bで得られた蓄光顔料を含む溶液に、このアルカリ水溶液60mlを加えて、溶液のpHが7.0になるように調整し、脱水した後、乾燥を行い、pH調整ありの酸/リン酸塩処理グリーン系蓄光顔料(本発明品1)を得た。又、上記のアルカリ処理を行う代わりに、工程Bで得られた蓄光顔料を溶液から取り出して水で5回洗浄し、蓄光顔料の表面に付着している不純物を洗い流した後、脱水・乾燥を行い、pH調整なしの酸/リン酸塩処理グリーン系蓄光顔料(本発明品2)を得た。
比較例:比較用のグリーン系蓄光顔料原料粉末の製造
比較品1:上記工程Bにおいてリン酸塩を含まない硝酸水溶液を用いて処理され、上記工程CにおいてpH調整を行うことにより得られた蓄光顔料(無機酸処理品)
比較品2:上記工程Bにおいて硝酸を含まないリン酸塩水溶液を用いて処理され、上記工程CにおいてpH調整を行うことにより得られた蓄光顔料(リン酸塩処理品)
比較品3:上記工程Aで製造された未処理の蓄光顔料粉末(未処理品)
実施例2:本発明の製造方法によるブルー系蓄光顔料原料粉末の製造工程例
工程A:市販の球形γ‐Al 2650g(25.99モル)と、高純度SrCO 2115g(14.33モル)と、Eu 55g(0.16モル)と、Dy 38g(0.10モル)と、HBO 142g(2.30モル)を秤量し、これらを湿式方法にて混合することにより固体混合物5kgを得た。そして、この固体混合物をるつぼに入れ、還元雰囲気下にて1400℃で3時間反応させて塊状体を得、冷却を行った後、この塊状体をボールミルにて粉砕し、スクリーニング(篩分け)を行うことによって、均一な粒度(粒子径約60μm)を有する未処理の蓄光顔料粉末(化学式:SrAl1425)を生成させた。この粉末に白色のLEDランプを用いて光照射したところ、暗所において青色に発光することが確認された。
工程B:実施例1と同じ
工程C:実施例1と同じ
上記の工程A〜Cにより、pH調整ありの酸/リン酸塩処理ブルー系蓄光顔料(本発明品3)と、pH調整なしの酸/リン酸塩処理ブルー系蓄光顔料(本発明品4)を得た。
比較例:比較用のブルー系蓄光顔料原料粉末の製造
比較品4:上記工程Bにおいてリン酸塩を含まない硝酸水溶液を用いて処理され、上記工程CにおいてpH調整を行うことにより得られた蓄光顔料(無機酸処理品)
比較品5:上記工程Bにおいて硝酸を含まないリン酸塩水溶液を用いて処理され、上記工程CにおいてpH調整を行うことにより得られた蓄光顔料(リン酸塩処理品)
比較品6:上記工程Aで製造された未処理の蓄光顔料粉末(未処理品)
〔耐水性の試験方法〕
上記の本発明品1〜4及び比較品1〜6の10種類の蓄光顔料について浸水前の残光輝度(20分後の残光輝度、単位:mcd/m)を測定した。この際、輝度測定はJIS Z 9107の6.3.2に準拠し、暗所に24時間以上外光を遮断した状態で保管し、その後、常用光源(東芝製D65蛍光灯)を用いて200ルックスの照度で20分間照射し、照射を止めた後、20分後の残光輝度を測定した。尚、照度の測定には、コニカミノルタ製の照度計T−12を使用し、輝度の測定には、コニカミノルタ製の輝度計LS−100を用いた。
又、上記の10種類の蓄光顔料をそれぞれ7日間水に浸けて、測定開始時(初期)のpH値)と7日後のpHを測定した。
更に、7日後のpHを測定した後、蓄光顔料を水から取り出し、ホットプレートを用いて乾燥を行い、再度、上記の条件にて浸水後の残光輝度を測定した。
上記の測定結果を、以下の表1に示す。
Figure 2017141391
上記表1の結果から、工程CにてpH調整を行った酸/リン酸塩処理蓄光顔料(本発明品1及び3)の場合にも、pH調整を行わなかった酸/リン酸塩処理蓄光顔料(本発明品2及び4)の場合にも、未処理の蓄光顔料に比べて、浸水前の残光輝度が上昇し、7日間の浸水後においても残光輝度が大きく変化しないことが確認された。又、pH調整を行った蓄光顔料(本発明品1及び3)と、pH調整を行っていない蓄光顔料(本発明品2及び4)との比較において、浸水前の残光輝度に関してはほとんど同じであったが、浸水後の残光輝度に関しては、pH調整を行っていない蓄光顔料に若干の残光輝度の低下が見られたのに対し、pH調整を行った蓄光顔料の、浸水による残光輝度の低下は全く見られなかった。
更に、水の影響によるpH値の変化に関しても、本発明による酸/リン酸塩処理を行った蓄光顔料はいずれもpH値が大きく変化せず、耐水性に優れていることが確認された。上記表1に示されるように、防水性及び残光輝度特性の点で最も優れているものは、本発明による酸/リン酸塩処理を行った後に、pHを中性に調整した蓄光顔料であった。
これに対して、無機酸処理品とリン酸塩処理品の場合には、浸水後の残光輝度に低下が見られ、特にグリーン系蓄光顔料(化学式:SrAl)においては、7日間浸水した後の残光輝度が著しく小さくなり、水の影響によって発光性能が失われていた。又、水の影響によるpH値の変化に関しては、グリーン系蓄光顔料の場合に少し酸性側に変動し、ブルー系蓄光顔料の場合には少しアルカリ性側に変動することが確認された。
〔残光輝度の経時変化測定方法〕
上記の酸/リン酸塩処理グリーン系蓄光顔料(本発明品1及び2)、無機酸処理品、リン酸塩処理品及び未処理品(比較品1〜3)の5種類の蓄光顔料について、残光輝度(単位:mcd/m)の経時変化を測定した。この際、輝度測定はJIS Z 9107の6.3.2に準拠し、暗所に24時間以上外光を遮断した状態で保管し、その後、常用光源(東芝製D65蛍光灯)を用いて200ルックスの照度で20分間照射し、照射を止めた後、10分後、20分後、30分後、40分後、50分後、60分後の残光輝度を測定した。
尚、照度の測定には、コニカミノルタ製の照度計T−12を使用し、輝度の測定には、コニカミノルタ製の輝度計LS−100を用いた。
上記の測定結果を、以下の表2に示す。
Figure 2017141391
上記表2の結果から、本発明の酸/リン酸塩処理を行って製造されたグリーン系蓄光顔料(本発明品1及び2)は、浸水前の未処理品と比べて10〜60分後の残光輝度が高くなることが確認された。一方、リン酸塩処理品については、浸水前は、未処理品よりも高い残光輝度を示したが、浸水後において残光輝度が著しく低下することがわかった。又、無機酸処理品については、浸水前においても浸水後においても、未処理品よりも残光輝度が低くなることがわかった。
pH調整を行った蓄光顔料(本発明品1)と、pH調整を行っていない蓄光顔料(本発明品2)については、浸水前と浸水後の残光輝度に大きな違いはなく、耐水性に優れたものであることが確認されたが、浸水前においても浸水後においても最も大きな残光輝度の値を示したのは、本発明による酸/リン酸塩処理を行った後に、pHを中性に調整した蓄光顔料であった。
上記と同様にして、前記の酸/リン酸塩処理ブルー系蓄光顔料(本発明品3及び4)、無機酸処理品、リン酸塩処理品及び未処理品(比較品4〜6)の5種類の蓄光顔料について、残光輝度(単位:mcd/m)の経時変化を測定した。
上記の測定結果を、以下の表3に示す。
Figure 2017141391
上記表3の結果から、本発明の酸/リン酸塩処理を行って製造されたブルー系蓄光顔料(本発明品3及び4)は、浸水前の未処理品と比べて10〜60分後の残光輝度が高くなることが確認された。一方、リン酸塩処理品と無機酸処理品についても、浸水前は、未処理品よりも高い残光輝度を示したが、いずれも浸水後においては、未処理品と同様、残光輝度が低くなることがわかった。
pH調整を行った蓄光顔料(本発明品3)と、pH調整を行っていない蓄光顔料(本発明品4)については、浸水前の残光輝度に大きな違いは見られなかったが、pH調整を行っていない蓄光顔料は、浸水後において若干の残光輝度の低下が観察され、浸水後の残光輝度の大きさにおいて最も大きな値を示したのは、本発明による酸/リン酸塩処理を行った後に、pHを中性に調整した蓄光顔料であった。
本発明の製造方法を用いて製造された蓄光顔料は、優れた防水性と残光輝度特性を有しているので、屋内で使用される製品だけでなく、屋外で使用される各種製品(例えば表示板、標識、蓄光シート等)にも好適である。
上記の課題を解決可能な本発明の蓄光顔料の製造方法は、以下の工程A〜C:
工程A:アルミン酸ストロンチウム化合物ランタノイド系希土類元素をドープさせてなる蓄光顔料原料粉末を準備する工程、
工程B:前記蓄光顔料原料粉末を、塩酸、硝酸及び硫酸から選ばれた少なくとも1種の無機酸と、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム及びリン酸水素二アンモニウムから選ばれた少なくとも1種のリン酸塩を含む水溶液に加えて20〜30℃の温度にて撹拌し、酸/リン酸塩処理を行う工程で、前記水溶液中の前記蓄光顔料原料粉末:前記リン酸塩の重量比率を100:4〜14とし、しかも、前記水溶液中の前記無機酸の量を、当該水溶液のpHが5.0以下となる量とすること、及び
工程C:前記酸/リン酸塩処理により得られた蓄光顔料を水で洗浄、もしくは、アルカリ水溶液で中和処理を行った後、乾燥を行う工程
を含むことを特徴とする。
又、本発明は、上記の特徴を有した製造方法において、前記工程Bにおける酸/リン酸塩処理に使用される水溶液に含まれる前記無機酸が硝酸であり、前記リン酸塩がリン酸二水素ナトリウムであることを特徴とするものである。

Claims (4)

  1. 残光輝度特性及び耐水性に優れた蓄光顔料を製造するための方法であって、当該方法が、
    工程A:アルカリ土類金属酸化物に希土類元素をドープさせてなる蓄光顔料原料粉末を準備する工程、
    工程B:前記蓄光顔料原料粉末を、無機酸とリン酸塩を含む水溶液に加えて撹拌し、酸/リン酸塩処理を行う工程、及び
    工程C:前記酸/リン酸塩処理により得られた蓄光顔料を水で洗浄、もしくは、アルカリ水溶液で中和処理を行った後、乾燥を行う工程
    を含むことを特徴とする蓄光顔料の製造方法。
  2. 前記工程Cにおいてアルカリ水溶液を用いて中和処理を行う際、前記蓄光顔料を含む水溶液のpHを6.8〜7.2の範囲に調整することを特徴とする請求項1に記載の蓄光顔料の製造方法。
  3. 前記無機酸が、塩酸、硝酸及び硫酸から選ばれた少なくとも1種であり、前記リン酸塩が、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム及びリン酸水素二アンモニウムから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄光顔料の製造方法。
  4. 前記のアルカリ土類金属酸化物がアルミン酸ストロンチウム化合物であり、前記の希土類元素がランタノイド系希土類元素であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄光顔料の製造方法。
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