JP2017141312A - 超高分子量ポリエチレン粒子およびその製造方法 - Google Patents

超高分子量ポリエチレン粒子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 成形加工性、機械的特性に優れ、着色もない圧縮成形体、紛体成形体を提供することが可能となる、分子量分布、粒径分布のせまい、超高分子量ポリエチレン粒子及びその製造に適した製造方法を提供する。【解決手段】 粘度平均分子量(Mv)が50万以上700万以下、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4以上7以下、平均粒径が50μm以上200μm以下、粒径の標準偏差が0.2以下である超高分子量ポリエチレン粒子。【選択図】 なし

Description

本発明は、粒度分布が狭く、粗大粒子や微細粒子を含まない粉体特性の優れた超高分子量ポリエチレン粒子に関するものであり、特に、粘度平均分子量が高く、成形加工に適した分子量分布を持ち、紛体特性に優れる平均粒径、粒径の標準偏差を有する超高分子量ポリエチレン粒子に関するものであり、触媒残渣が少なく圧縮成形や粉体成形において樹脂の着色がなく、圧縮成形・紛体成形等の成形加工性に優れる超高分子量ポリエチレン粒子を提供するものである。
エチレンを重合して得られるポリエチレンには、通常2〜30万程度の分子量で汎用樹脂として利用される一般的なポリエチレンと、分子量を100〜700万まで高めスーパーエンジニアリングプラスチックのひとつとみなされる超高分子量ポリエチレンがある。超高分子量ポリエチレンは、低温から高温までの幅広い温度領域において非常に高い耐衝撃性を持つことや、耐摩耗性、自己潤滑性、耐薬品性に優れること、比重0.92〜0.94と他のエンジニアリングプラスチックと比較して軽量であること、吸水率が低く寸法安定性に優れること、など多くの優れた特徴を持つ。一方、溶融時の流動性は極めて低く、汎用樹脂の成形加工に利用される射出成形には不向きで、圧縮成形と呼ばれるポリエチレン粒子を加熱下に加圧成形した後使用する形状に切削する特殊な成形方法や、ゲル紡糸と呼ばれる溶媒中に溶融後に延伸紡糸する方法、粒子同士を部分融着させることで粒子同士の重なり合いで形成される空間を持った多孔質の成形品与える焼結法などが用いられる。
このような超高分子量ポリエチレン粒子を得る方法として、粒径840μm以上の粉末が全体の10%以下であり、全体の90%以上が粒径44〜840μm未満の範囲にあり、かつ平均粒径が200〜700μmの範囲にある超高分子量ポリオレフィン粉末(例えば特許文献1参照。)が提案されている。
また、ポリエチレン粒子中に触媒起因の金属成分やハロゲン成分を多く含有する場合、圧縮成形に使用する金型腐食、ゲル紡糸において異物による糸切れ、樹脂自体が着色する等の課題が発生することがあり、これらの対策としての高活性型触媒として、例えば、金属マグネシウムとアルコール、チタンテトラアルコレートを加熱し複合熟成せしめた組成物を有機アルミニウムハロゲン化物を反応させて得られる触媒成分(A)と有機金属化合物の触媒成分(B)からなる触媒系(例えば特許文献2、3参照。)が提案されている。
特開昭60−158205号公報 特公昭52−15110号公報 特開昭50−98586号公報
しかし、特許文献1に提案の超高分子量ポリエチレン粉末を用い圧縮成形を行った場合、金型に均一かつ密に充填することが困難となる。また、ゲル紡糸において粒子が大きすぎると溶融するために余計な時間やエネルギーを要することとなる。焼結法において粒子の粒度分布が広いと焼結後の空孔径が不均一なものとなる、等の課題を発生しやすいものとなる。
また、特許文献2,3に提案の触媒系により得られるポリエチレン粒子は、粒径が粗大であったり粒度分布が広く重合体粒子中に含まれる微細粒子の割合が多いなど、粉体特性において劣るものであった。
そこで、本発明は、粒度分布が狭く粗大粒子や微細粒子を含まない粉体特性の優れた超高分子量ポリエチレン粒子、さらには、粒度分布が狭く粗大粒子や微細粒子を含まない粉体特性に優れ、高活性で触媒残渣が少なく圧縮成形や粉体成形において樹脂の着色がない超高分子量ポリエチレン及びその製造方法を提案することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の分子量、分子量分布、平均粒径、粒径分布を有する超高分子量ポリエチレン粒子が、触媒残差が少なく圧縮成形や粉体成形において樹脂の着色がなく、圧縮成形・紛体成形等の成形加工性に優れるものとなることを見出し、本発明を完成されるにいたった。
即ち、本発明は、粘度平均分子量(Mv)が50万以上700万以下、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4以上7以下、平均粒径が50μm以上200μm以下、粒径の標準偏差が0.2以下であることを特徴とする超高分子量ポリエチレン粒子及びその製造方法に関するものである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子は、粘度平均分子量(以下、Mvと記す。)が50万以上700万以下、重量平均分子量(以下、Mwと記す。)と数平均分子量(以下、Mnと記す)との比(以下、Mw/Mnと記す。)が4以上7以下、平均粒径が50μm以上200μm以下、粒径の標準偏差が0.2以下のものである。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子には、ポリエチレンと称される範疇のものが属し、例えばエチレン単独重合体;エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、エチレン−4−メチル−ペンテン−1共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体;等を挙げることができる。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子は、Mvが50万以上700万以下のものであり、特に成形加工性と力学特性とのバランスに優れるものとなることからMvが80万以上500万以下のものであることが好ましい。ここで、Mvが50万未満である場合、得られる粒子は力学特性に劣るものとなる。一方、Mvが700万を越える場合、得られる粒子は、成形加工性に劣るものとなる。なお、本発明におけるMvは、例えば溶媒デカリン、ウベロードを用い135℃で測定した溶液の極限粘度を測定し、次に示す粘度式によりMvを求めることができる。
極限溶液粘度=係数K×粘度平均分子量Mv×係数α
(係数K;6.20×10−4、係数α;0.70)
また、本発明の超高分子量ポリエチレン粒子は、Mw/Mnとして示される分子量分布が4以上7以下のものであり、特に機械的特性に優れるものとなることから4以上6.5以下のものであることが好ましい。ここで、Mw/Mnが4未満である場合、得られる粒子は成形加工性に劣るものとなる。一方、Mw/Mnが7を越えるものである場合、得られる粒子は機械的特性に劣るものとなる。なお、本発明におけるMw/Mnは、例えば、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィによる溶出曲線を標準ポリスチレン換算値として測定することができる。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子は、平均粒径が50μm以上200μm以下のものであり、特に圧縮成形性、溶媒への溶解性に優れるものとなることから50μm以上180μm以下のものであることが好ましい。ここで、粒子が平均粒径50μm未満のものである場合、取り扱い性に劣るものとなる。一方、粒子が平均粒径200μmを越えるものである場合、成形加工性に劣るものとなる。なお、本発明における平均粒径は、例えば篩により分級し、その結果を確立対数紙にプロットし算出する方法により得ることが可能である。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子は、粒径の標準偏差が0.2以下のものである。ここで、粒径の標準偏差が0.2を越えるものである場合、成形加工性に劣るものとなる。
また、本発明の超高分子量ポリエチレン粒子は、圧縮成形や粉体成形において樹脂の着色がなく、品質に優れる成形体が得られることから金属成分が少ないものであることが好ましい。なお、該金属成分は、金属残渣に基づくものである。そして、金属成分含有量の測定は、例えば超高分子量ポリエチレン粒子を圧縮成形によりプレートを作成し、蛍光X線分析装置を用い測定することができる。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子の製造方法としては、該超高分子量ポリエチレン粒子を製造することが可能であれば如何なる方法を用いることも可能であり、例えばチーグラーナッタ触媒を用いエチレンを重合する方法を挙げることができ、中でも触媒残差の少ない超高分子量ポリエチレン粒子を効率的に製造することが可能となることから、金属マグネシウムとアルコール、チタンテトラアルコレートを加熱・熟成した成分にハロゲン化アルミニウム化合物を撹拌レイノルズ数50000以上の撹拌下に反応させて得られるチタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A)と、有機アルミニウム触媒成分(B)とからなる触媒系の存在下に、重合温度50〜90℃、水素濃度0〜10%においてエチレンの重合を行う製造方法であることが好ましい。
該チタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A)は、金属マグネシウムとアルコール、チタンテトラアルコレートを加熱・熟成した成分にハロゲン化アルミニウム化合物を撹拌レイノルズ数50000以上の撹拌下に反応させて得られるものであり、その調製は、例えば特開昭50−98586号公報などに記載の方法を用いることができる。
そして、その際の金属マグネシウムとアルコールとしては以下のものがあげられる。金属マグネシウムとしては各種の形状、すなわち粉末、粒子、箔またはリボンなどのいずれの形状のものも使用できる。また、アルコールとしては、1〜18個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖脂肪族アルコール、脂環式アルコールまたは芳香族アルコールが使用できる。このアルコ−ルの例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−オクタノール、i−オクタノール、n−ステアリルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールなどがあげられる。これらのアルコールは、単独または2種類以上の混合物として使用される。
さらに、金属マグネシウムを使用して該チタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A)を得る場合、反応を促進する目的から、金属マグネシウムと反応したり、付加化合物を生成したりするような物質、例えばヨウ素、ハロゲン化アルキル、有機酸エステルおよび有機酸などのような極性物質を、単独または2種類以上添加することが好ましい。
該チタンテトラアルコレートの例としては、チタンテトラエトキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトラ−i−プロポキシド、チタンテトラ−n−ブトキシドなどがあげられる。またいくつかの異なる炭化水素基を有するアルコレートを使用してもよく、更にこれらのチタンテトラアルコレートは単独または2種類以上の混合物として使用される。
金属マグネシウムとアルコール、チタンテトラアルコレートを加熱・熟成した成分の調製は、例えば金属マグネシウムの粉末、箔、リボンとアルコールとチタンテトラアルコレートとを、金属マグネシウムとアルコールのモル比は、触媒活性が高く、紛体性状、粒径のそろった重合触媒が得られ、成形加工性、着色抑制に優れる超高分子量ポリエチレン粒子を得ることが可能となることから、1:2〜1:4であることが好ましく、特に1:2〜1:2.5の割合であることが好ましい。また、金属マグネシウムとチタンテトラアルコレートとのモル比についても同様に、触媒活性が高く、紛体性状、粒径のそろった重合触媒が得られ、成形加工性、着色抑制に優れる超高分子量ポリエチレン粒子を得ることが可能となることから、1:0.1〜1:4.0であることが好ましく、特に1:0.25〜1:2.0の割合で反応させることが好ましい。また、加熱・熟成の反応は、例えば還流下あるいは加圧下50〜150℃の温度で、1〜10時間、好ましくは2〜6時間行い、金属マグネシウムを溶解させ均一液状物質とする。この反応はn−ヘキサンやデカンなどの不活性溶剤の存在下で行うこともできる。この反応を促進する物質として、例えばヨウ素を用いる場合、金属マグネシウムに対してヨウ素を重量比で1:0.01〜0.1程度用いることもできる。
次いで、該成分にハロゲン化アルミニウム化合物を撹拌レイノルズ数50000以上の撹拌下に反応させることにより該チタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A)を得ることができる。その際、該チタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A)は、沈殿成分として析出させてもよい。
該ハロゲン化アルミニウムとしては、例えば一般式RnAlX3−nで示されるものが使用される。その際のRとしては、炭素数1〜20個、好ましくは1〜8個を有する炭化水素基を挙げることができ、例えば直鎖または分岐鎖アルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基、アリール基、アルキルアリール基を挙げることができる。Xは塩素原子、臭素原子、沃素原子等のハロゲン原子を挙げることができ、nは0<n<3の数、好ましくは0<n≦2の数を表わす。またRは直鎖または分岐鎖アルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基、アリール基およびアルキルアリール基から選ばれることが好ましい。該ハロゲン化アルミニウム化合物の具体例としては、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジプロピルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、i−ブチルアルミニウムジクロライド、メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、i−ブチルアルミニウムセスキクロリド、トリエチルアルミニウムと三塩化アルミニウムの混合物などがあげられる。
そして、ハロゲン化アルミニウムの量としては、紛体性状、触媒活性に優れる触媒を得ることが可能となることから、マグネシウムとアルミニウムのモル比が1:2〜1:20となる量であることが好ましく、特に1:3〜1:10の割合となる量で反応させることが好ましい。そして、反応温度は、100℃以下が好ましく、特に40〜70℃の範囲で、1〜6時間かけてチタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A)を調製することが好ましい。
該チタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A)の調製は、液体媒体中で行うことが好ましく、その際の液体媒体としては、不活性有機溶媒の存在する溶媒であることが好ましく、該不活性有機溶媒としては、当該技術分野で通常用いられるものはすべて使用でき、脂肪族、脂環族もしくは芳香族炭化水素類またはそれらのハロゲン誘導体あるいはそれらの混合物があげられ、例えばイソブタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼンなどが好ましく用いられる。
金属マグネシウムとアルコール、チタンテトラアルコレートを加熱・熟成した成分にハロゲン化アルミニウム化合物を反応し、該チタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A)を得る際には、撹拌条件が重要であり、高撹拌である撹拌レイノルズ数50000以上となる条件を選ぶ必要がある。ここで、撹拌の程度を表す指標の一つとして撹拌レイノルズ数が一般に知られている。レイノルズ数は、撹拌によって周りとは別に動こうとする慣性力と周りの流体要素と同様に動こうとする粘性力との比で定義される無次元数であり、層流か乱流かを決定する目安となるものである。レイノルズ数が低い場合は層流であり、レイノルズ数が大きくなるにつれて層流から乱流に遷移し、十分に大きい場合は乱流となる。ここで、撹拌下における慣性力と粘性力に着目し、反応により生成する粒子を球体と考えると、球の周りの流れ場と球表面圧力分布から析出成分が剥離と再付着の現象により、撹拌レイノルズ数50000以上の条件下において所望する平均粒子径、粒度分布を持つチタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A)を生成することを見出した。さらに、該チタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A)を用いた触媒によるエチレン重合では、粒子のレプリカ現象を生じることにより、製造される超高分子量ポリエチレン粒子の平均粒子径、粒度分布を制御することが可能となる。すなわち、高撹拌となる撹拌レイノルズ数としては、乱流が始まる単なる臨界レイノルズ数ではなく、50000以上の完全乱流条件下、好ましくは50000〜1000000、特に好ましくは70000〜300000の範囲の条件下で反応を行うものである。50000未満の撹拌レイノルズ数が小さい撹拌条件下で反応を行うと沈殿成分が不定形で粗大粒子の多いものとなる。
なお、撹拌レイノルズ数は、次の式により求めることができる。
撹拌レイノルズ数=流体の密度×撹拌速度×撹拌径÷流体の粘度
撹拌に用いる撹拌機の羽根形状としては、例えばアンカー翼、タービン翼、プロペラ翼などを使用できる。パドル翼やリボン翼は十分な撹拌レイノルズ数を得るうえで不十分である場合がある。
該チタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A)は、残存する未反応物および副生成物を除去することなく、または濾過や傾斜法により除去してから、触媒系である有機アルミニウム触媒成分(B)との存在下で重合反応に用いることができる。また、該チタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A)は、そのまま懸濁状態で重合に供することができるが、場合によっては、溶媒から分離してもよく、さらには常圧あるいは減圧下で加熱して溶媒を除去し乾燥した状態で使用することもできる。
そして、触媒系である触媒成分の有機アルミニウム触媒成分(B)としては、有機アルミニウム化合物と称されるものでよく、例えば直鎖または分岐鎖の炭素数1〜20のアルキル基を持つアルミニウム化合物が挙げられ、具体的には、例えばトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−i−ブチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウムなどがあげられる。該有機アルミニウム触媒成分(B)としては、このほか炭素数1〜20のアルキル基を有するアルキル金属水素化物を使用することができる。このような化合物としては、具体的にはジイソブチルアルミニウム水素化物などをあげることができる。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子の製造の際には、いわゆるチーグラー法の一般的な反応設備を用いて行うことができる。すなわち、連続式またはバッチ式で20〜90℃の温度で重合を行う。重合圧としては特に限定はなく、中でも、加圧下、特に0.1〜5MPaの使用が適している。また、重合を不活性溶媒の存在下に行う場合には、不活性溶媒として通常使用されているいかなるものも使用しうる。特に4〜20個の炭素原子を有するアルカンまたはシクロアルカン、例えばイソブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンなどが適している。重合工程において使用する反応器としては、撹拌槽型撹拌器など当該技術分野で通常用いられるものであれば適宜使用することができる。撹拌槽型撹拌器を用いる場合、撹拌機としては、イカリ型撹拌機、スクリュー型撹拌機、リボン型撹拌機など種々の型の撹拌機を用いることができる。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子を製造する際の該チタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A)の使用量は、溶媒1リットル当たりまたは反応器1リットル当たり、通常チタン原子0.001〜2.5ミリモルに相当する量で使用することが好ましく、条件により一層高い濃度で使用することもできる。また、有機アルミニウム触媒成分(B)は、溶媒1リットル当たり、または反応器1リットル当たり、0.02〜50ミリモルが好ましく、特に0.2〜5ミリモルの濃度であることが好ましい。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子を製造する際には、水素を適当量反応系内に存在させる方法によりその分子量を調節することができる。そして、粘度平均分子量50万以上700万以下を有する超高分子量ポリエチレンを効率よく製造することが可能となることから、水素濃度をエチレンに対して0〜10%とすることが好ましい。
本発明は、Mvが50万以上700万以下と高く、Mw/Mnが4以上7以下で成形加工に適した分子量分布を持ち、平均粒径50μm以上200μm以下、粒径の標準偏差が0.2以下の粉体特性に優れた超高分子量ポリエチレン粒子及びその製造に適した製造方法を提供するものである。
以下に、本発明を実施例により示すが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
なお、実施例、比較例における評価は以下の方法により行った。
〜触媒活性〜
触媒活性は、チタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A)1g当たりの重合体生成量(g)で表わす。
〜極限粘度、粘度平均分子量〜
溶媒デカリン、ウベロードを用い135℃で測定した溶液の極限粘度を測定し、次に示す粘度式によりMvを求めた。
極限溶液粘度=係数K×粘度平均分子量Mv×係数α
(係数K;6.20×10−4、係数α;0.70)
〜重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)〜
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。GPC装置としては(商品名)150C ALC/GPC(Waters社製)を用い、カラムとしては(商品名)GMH−HR−H(S)(東ソー(株)製)を用い、カラム温度を145℃に設定し、溶離液として1−クロロナフタレンを用いて測定した。測定試料は0.08mg/ミリリットルの濃度で調製し、200マイクロリットル注入し測定した。分子量の検量線は、ユニバーサルキャリブレーション法により、分子量既知のポリスチレン試料(絶対分子量=2600〜8640000の範囲)を用いて校正されている。
〜平均粒子径及び標準偏差〜
得られた超高分子量ポリエチレン粒子をJIS Z−8801の篩(目開き1000〜75μm)によって分級し、分級結果を確率対数紙の横軸に粒子径を縦軸に重量積算値をプロットし最小二乗法によって近似直線を算出し求めた。具体的には、重量積算値50%に対する粒径が平均粒径であり、重量積算値84%に対する粒径と平均粒径の比の対数値を標準偏差としたまた、粗大粒子の割合としては、粒径400μmより大きい重合体粒子の割合(重量%)で示した。
〜衝撃強度〜
得られた超高分子量ポリエチレン粒子を用いて圧縮成形により衝撃強度測定試験片を作成し、シャルピー衝撃試験機を用いてその衝撃強度を測定した。測定条件はJIS K6936−2に準じた。
実施例1
(チタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A1)の調製)
撹拌装置を備えた1000mlのガラスフラスコに、金属マグネシウム粉末8.0g(0.33モル)およびチタンテトラブトキシド45g(0.13モル)を入れ、ヨウ素0.4gを溶解したn−ブタノール52g(0.7モル)を90℃で2時間かけて加え、さらに発生する水素ガスを排除しながら窒素シール下で140℃で2時間撹拌し金属マグネシウムを溶解させた。次いで、ヘキサン560mlを加えて、均一溶液680mlを得た。この溶液の密度は0.695kg/m、粘性係数は0.60cPであり、これら値を撹拌レイノルズ数を算出する際に用いた。
この均一溶液100ml(マグネシウム成分として0.048モル含む)を別途用意した撹拌装置を備えた500mlガラスフラスコ(直径0.1m)に移し、撹拌速度を400rpm、撹拌レイノルズ数77000において、45℃でi−ブチルアルミニウムジクロライド0.29モルを含むヘキサン溶液107mlを加え、さらに60℃で1時間撹拌し粒子を生成させた。次いで、ヘキサンを用いて傾斜法により残存する未反応物および副生成物を除去し、チタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A1)を得た。組成を誘電結合プラズマ発光分光分析装置にて分析したところチタン含有量は8.6wt%であった。
(超高分子量ポリエチレン粒子の製造)
内容積2リットルのステンレススチ−ル製電磁撹拌式オートクレーブ内を十分窒素で置換し、ヘキサン1.2リットルを仕込み、内温を65℃に調節した。その後、有機アルミニウム触媒成分(B)としてトリ−i−ブチルアルミニウム0.23g(1.2ミリモル)および前記で得たチタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A1)10.3mgを含有するスラリーを順次添加した。オートクレーブ内圧を0.08MPaGに調節した後、オートクレーブ内圧が0.8MPaGになるように、連続的にエチレンを加えながら2時間重合を行った。重合終了後冷却し、未反応ガスをパージし超高分子量ポリエチレンを回収し、濾過により溶媒から分離して乾燥した。
その結果、嵩密度0.33g/cmの超高分子量ポリエチレン粒子310gを得た。チタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A1)1g当りの生成量(以下、活性という)は、30000g/gに相当し、蛍光X線分析装置にて測定した超高分子量ポリエチレン粒子中のチタン残量は2.8ppmであった。また、平均粒径は150μmであり、粒径が400μm以上の粗大粒子(以下、粗大粒子という)の割合は0.0重量%、σ は0.18であった。
また、得られた超高分子量ポリエチレン粒子のMvは380万、Mw/Mnは5.4であった。シャルピー衝撃強度は80KJ/mであった。
比較例1
(チタン・マグネシウム含有固体触媒成分(a1))
撹拌レイノルズ数を19000となるように撹拌を行った以外は、実施例1と同様の方法にてチタン・マグネシウム含有固体触媒成分(B1)を得た。すなわち、実施例1で得た均一溶液100mlgを別途用意した500mlガラスフラスコに入れ、撹拌速度を100rpm、撹拌レイノルズ数19000において、45℃でi−ブチルアルミニウムジクロライド0.29モルを含むヘキサン溶液107mlを加え、さらに60℃で1時間撹拌し粒子を生成させた。次いで、ヘキサンを用いて傾斜法により残存する未反応物および副生成物を除去し、チタン・マグネシウム含有固体触媒成分(a1)を得た。組成を誘電結合プラズマ発光分光分析装置にて分析したところチタン含有量は8.8wt%であった。
(ポリエチレンの製造)
実施例1と同様の方法によりエチレンの重合を行った。すなわち2lのオートクレーブ内を十分窒素で置換し、ヘキサン1.2リットルを仕込み、内温を65℃に調節した。その後、有機アルミニウム触媒成分(B)としてトリ−i−ブチルアルミニウム0.23g(1.2ミリモル)および前記で得たチタン・マグネシウム含有固体触媒成分(a1)11.2mgを含有するスラリーを順次添加した。オートクレーブ内圧を0.08MPaGに調節した後、オートクレーブ内圧が0.8MPaGになるように、連続的にエチレンを加えながら2時間重合を行った。重合終了後冷却し、未反応ガスをパージしポリエチレンを回収し、濾過により溶媒から分離して乾燥した。
その結果、嵩密度0.34g/cmのポリエチレン246gが得られた。活性は22000g/gに相当し、蛍光X線分析装置にて測定したポリエチレン中のチタン残量は4.0ppmであった。また平均粒径は280μmであり、粗大粒子の割合は33重量%、σは0.68で、粉体性状の悪いものであった。
比較例2
(チタン・マグネシウム含有固体触媒成分(a2)の調製)
撹拌レイノルズ数を39000とした以外は、実施例1と同様の方法でチタン・マグネシウム含有固体触媒成分(a2)を得た。すなわち、実施例1で得た均一溶液100mlgを別途用意した500mlガラスフラスコに入れ、撹拌速度を200rpm、撹拌レイノルズ数39000において、45℃でi−ブチルアルミニウムジクロライド0.29モルを含むヘキサン溶液106mlを加え、さらに60℃で1時間撹拌し粒子を生成させた。次いで、ヘキサンを用いて傾斜法により残存する未反応物および副生成物を除去し、チタン・マグネシウム含有固体触媒成分(a2)を得た。組成を誘電結合プラズマ発光分光分析装置にて分析したところチタン含有量は8.8wt%であった。
(ポリエチレンの製造)
実施例1と同様の方法によりポリエチレンの重合を行った。すなわち2リットルのオートクレーブ内を十分窒素で置換し、ヘキサン1.2リットルを仕込み、内温を65℃に調節した。その後、有機アルミニウム触媒成分(B)としてトリ−i−ブチルアルミニウム0.23g(1.2ミリモル)および前記で得たチタン・マグネシウム含有固体触媒成分(a2)10.8mgを含有するスラリーを順次添加した。オートクレーブ内圧を0.08MPaGに調節した後、オートクレーブ内圧が0.8MPaGになるように、連続的にエチレンを加えながら2時間重合を行った。重合終了後冷却し、未反応ガスをパージしポリエチレンを回収し、濾過により溶媒から分離して乾燥した。
その結果、嵩密度0.36g/cmのポリエチレン270gが得られた。活性は25000g/gに相当し、蛍光X線分析装置にて測定したポリエチレン中のチタン残量は3.5ppmであった。また平均粒径は210μmであり、粗大粒子の割合は25重量%、σは0.50で、粉体性状の悪いものであった。
実施例2
(チタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A2)
撹拌レイノルズ数を116000とした以外は、実施例1と同様の方法にてチタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A2)を得た。すなわち、実施例1で得た均一溶液100mlg(マグネシウム成分として0.048モル含む)を別途用意した500mlガラスフラスコに入れ、撹拌速度を600rpm、撹拌レイノルズ数116000において、45℃でi−ブチルアルミニウムジクロライド0.29モルを含むヘキサン溶液106mlを加え、さらに60℃で1時間撹拌し粒子を生成させた。次いで、ヘキサンを用いて傾斜法により残存する未反応物および副生成物を除去し、チタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A2)を得た。組成を誘電結合プラズマ発光分光分析装置にて分析したところチタン含有量は8.5wt%であった。
(超高分子量ポリエチレン粒子の製造)
実施例1と同様の方法により超高分子量ポリエチレン粒子の製造を行った。すなわち2リットルのオートクレーブ内を十分窒素で置換し、ヘキサン1.2リットルを仕込み、内温を65℃に調節した。その後、有機アルミニウム触媒成分(B)としてトリ−i−ブチルアルミニウム0.23g(1.2ミリモル)および前記で得たチタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A2)9.8mgを含有するスラリーを順次添加した。オートクレーブ内圧を0.08MPaGに調節した後、オートクレーブ内圧が0.8MPaGになるように、連続的にエチレンを加えながら2時間重合を行った。重合終了後冷却し、未反応ガスをパージし超高分子量ポリエチレン粒子を回収し、濾過により溶媒から分離して乾燥した。
その結果、嵩密度は0.34g/cmの超高分子量ポリエチレン粒子304gが得られた。活性は31000g/gに相当し、蛍光X線分析装置にて測定した超高分子量ポリエチレン粒子中のチタン残量は2.7ppmであった。また平均粒径は120μmであり、粗大粒子の割合は0重量%、σは0.16で、粉体性状の良好なものであった。
得られた超高分子量ポリエチレン粒子のMvは410万、Mw /Mnは5.6であった。また、シャルピー衝撃強度は80KJ/mであった。
実施例3
(チタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A3))
i−ブチルアルミニウムジクロライドに代えてエチルアルミニウムクロライドを用い、撹拌レイノルズ数を232000とした以外は、実施例1と同様の方法によりチタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A3)を得た。すなわち、実施例1で得た均一溶液100mlg(マグネシウム成分として0.048モル含む)を別途用意した500mlステンレス製容器(撹拌直径0.1m)に入れ、撹拌速度を1200rpm、撹拌レイノルズ数232000において、45℃でエチルアルミニウムクロライド0.19モルを含むヘキサン溶液40mlを加え、さらに60℃で1時間撹拌し粒子を生成させた。次いで、ヘキサンを用いて傾斜法により残存する未反応物および副生成物を除去し、チタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A3)を得た。組成を誘電結合プラズマ発光分光分析装置にて分析したところチタン含有量は9.5wt%であった。
(超高分子量ポリエチレン粒子の製造)
実施例1と同様の方法により超高分子量ポリエチレン粒子の製造を行った。すなわち2リットルのオートクレーブ内を十分窒素で置換し、ヘキサン1.2リットルを仕込み、内温を65℃に調節した。その後、有機アルミニウム触媒成分(B)としてトリ−i−ブチルアルミニウム0.23g(1.2ミリモル)および前記で得たチタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A3)10.5mgを含有するスラリーを順次添加した。オートクレーブ内圧を0.08MPaGに調節した後、オートクレーブ内圧が0.8MPaGになるように、連続的にエチレンを加えながら2時間重合を行った。重合終了後冷却し、未反応ガスをパージし超高分子量ポリエチレン粒子を回収し、濾過により溶媒から分離して乾燥した。
その結果、嵩密度は0.35g/cmの超高分子量ポリエチレン粒子289gが得られた。活性は27500g/gに相当し、蛍光X線分析装置にて測定した超高分子量ポリエチレン粒子中のチタン残量は3.5ppmであった。また平均粒径は100μmであり、粗大粒子の割合は0重量%、σは0.12で、粉体性状の良好なものであった。
また、得られた超高分子量ポリエチレン粒子のMvは250万、Mw/Mnは5.2であった。また、シャルピー衝撃強度は90KJ/mで非常に高い結果であった。
実施例4
(チタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A4)
撹拌装置を備えた1000mlのガラスフラスコに、金属マグネシウム粉末8.0g(0.33モル)およびチタンテトラブトキシド224g(0.66モル)を入れ、ヨウ素0.4gを溶解したn−ブタノール52g(0.7モル)を90℃で2時間かけて加え、さらに発生する水素ガスを排除しながら窒素シール下で140℃で2時間撹拌し金属マグネシウムを溶解させた。次いで、ヘキサン560mlを加えて、均一溶液860mlを得た。この溶液の密度は0.76kg/m、粘性係数は0.68cPであり、これら値を撹拌レイノルズ数を算出する際に用いた。
この均一溶液100ml(マグネシウム成分として0.038モル含む)を別途用意した撹拌装置を備えた500mlガラスフラスコに移し、撹拌速度を400rpm、撹拌レイノルズ数75000において、45℃でエチルアルミニウムジクロライド0.19モルを含むヘキサン溶液40mlを加え、さらに60℃で1時間撹拌し粒子を生成させた。次いで、ヘキサンを用いて傾斜法により残存する未反応物および副生成物を除去し、チタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A4)を得た。組成を誘電結合プラズマ発光分光分析装置にて分析したところチタン含有量は14.8wt%であった。
(超高分子量ポリエチレン粒子の製造)
内容積2リットルのステンレススチール製電磁撹拌式オートクレーブ内を十分窒素で置換し、ヘキサン1.2リットルを仕込み、内温を65℃に調節した。その後、有機アルミニウム触媒成分(B)としてトリ−i−ブチルアルミニウム0.23g(1.2ミリモル)および前記で得たチタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A4)15.3mgを含有するスラリーを順次添加した。オートクレーブ内圧を0.08MPaGに調節した後、オートクレーブ内圧が0.8MPaGになるように、連続的にエチレンを加えながら2時間重合を行った。重合終了後冷却し、未反応ガスをパージし、超高分子量ポリエチレン粒子を回収し、濾過により溶媒から分離して乾燥した。
その結果、嵩密度は0.38g/cmの超高分子量ポリエチレン粒子260gが得られた。活性は17000g/gに相当し、蛍光X線分析装置にて測定した超高分子量ポリエチレン粒子中のチタン残量は9.0ppmであった。また平均粒径は190μmであり、粗大粒子の割合は0.0重量%、σは0.19であった。
得られた超高分子量ポリエチレン粒子のMvは210万、Mw/Mnは5.6であった。シャルピー衝撃強度は90KJ/mで非常に高い結果であった。
実施例5
(チタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A5))
撹拌装置を備えた1000mlのガラスフラスコに、金属マグネシウム粉末8.0g(0.33モル)およびチタンテトラブトキシド45g(0.13モル)を入れ、ヨウ素0.4gを溶解したn−ヘキサノール71g(0.7モル)を90℃で2時間かけて加え、さらに発生する水素ガスを排除しながら窒素シール下で140℃で2時間撹拌し金属マグネシウムを溶解させた。次いで、ヘキサン560mlを加えて、均一溶液690mlを得た。この溶液の密度は0.72kg/m3、粘性係数は0.64cPであり、これら値を撹拌レイノルズ数を算出する際に用いた。
この均一溶液100ml(マグネシウム成分として0.048モル含む)を別途用意した撹拌装置を備えた500mlガラスフラスコに移し、撹拌速度を400rpm、撹拌レイノルズ数75000において、45℃でi−ブチルアルミニウムジクロライド0.29モルを含むヘキサン溶液106mlを加え、さらに60℃で1時間撹拌し粒子を生成させた。次いで、ヘキサンを用いて傾斜法により残存する未反応物および副生成物を除去し、チタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A5)を得た。組成を誘電結合プラズマ発光分光分析装置にて分析したところチタン含有量は9.1wt%であった。
(超高分子量ポリエチレン粒子の製造)
内容積2リットルのステンレススチール製電磁撹拌式オートクレーブ内を十分窒素で置換し、ヘキサン1.2リットルを仕込み、内温を65℃に調節した。その後、有機アルミニウム触媒成分(B)としてトリ−i−ブチルアルミニウム0.23g(1.2ミリモル)および前記で得たチタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A5)10.3mgを含有するスラリーを順次添加した。オートクレーブ内圧を0.08MPaGに調節した後、オートクレーブ内圧が0.8MPaGになるように、連続的にエチレンを加えながら2時間重合を行った。重合終了後冷却し、未反応ガスをパージし、超高分子量ポリエチレン粒子を回収し、濾過により溶媒から分離して乾燥した。
その結果、嵩密度は0.35g/cmの超高分子量ポリエチレン粒子258gが得られた。活性は25000g/gに相当し、蛍光X線分析装置にて測定した超高分子量ポリエチレン粒子中のチタン残量は3.6ppmであった。また平均粒径は160μmであり、粗大粒子の割合は0.0重量%、σは0.17であった。
得られた超高分子量ポリエチレン粒子のMvは410万、Mw/Mnは5.6であった。また、シャルピー衝撃強度は80KJ/mであった。
実施例6
実施例1で調整したチタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A1)を用いて、分子量調節剤として水素を用いて超高分子量ポリエチレン粒子の製造をおこなった。
すなわち、内容積2リットルのステンレススチール製電磁撹拌式オートクレーブ内を十分窒素で置換し、ヘキサン1.2リットルを仕込み、内温を65℃に調節した。その後、有機アルミニウム触媒成分(B)としてトリ−i−ブチルアルミニウム0.23g(1.2ミリモル)およびチタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A1)9.8mgを含有するスラリーを順次添加した。オートクレーブ内圧を0.08MPaGに調節した後、水素を0.04MPa加え、オートクレーブ内圧が0.9MPaGになるように、連続的にエチレンを加えながら2時間重合を行った。水素濃度は4.9%に相当した。重合終了後冷却し、未反応ガスをパージし超高分子量ポリエチレン粒子を回収し、濾過により溶媒から分離して乾燥した。
その結果、嵩密度は0.33g/cmの超高分子量ポリエチレン粒子274gが得られた。活性は28000g/gに相当し、蛍光X線分析装置にて測定した超高分子量ポリエチレン粒子中のチタン残量は3.0ppmであった。また平均粒径は150μmであり、粗大粒子の割合は0.0重量%、σは0.18であった。
得られた超高分子量ポリエチレン粒子のMvは120万、Mw/Mnは5.6であった。また、シャルピー衝撃強度は70KJ/mであった。
実施例7
実施例1で調整したチタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A1)を用いて、分子量調節剤として水素を実施例6より多く用いて超高分子量ポリエチレン粒子の製造をおこなった。
すなわち、内容積2リットルのステンレススチール製電磁撹拌式オートクレーブ内を十分窒素で置換し、ヘキサン1.2リットルを仕込み、内温を70℃に調節した。その後、有機アルミニウム触媒成分(B)としてトリ−i−ブチルアルミニウム0.23g(1.2ミリモル)およびチタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A1)10.1mgを含有するスラリーを順次添加した。オートクレーブ内圧を0.08MPaGに調節した後、水素を0.08MPa加え、オートクレーブ内圧が0.98MPaGになるように、連続的にエチレンを加えながら2時間重合を行った。水素濃度は8.7%に相当した。重合終了後冷却し、未反応ガスをパージして超高分子量ポリエチレン粒子を回収し、濾過により溶媒から分離して乾燥した。
その結果、嵩密度は0.33g/cmの超高分子量ポリエチレン粒子273gが得られた。活性は27000g/gに相当し、蛍光X線分析装置にて測定した超高分子量ポリエチレン粒子中のチタン残量は3.2ppmであった。また平均粒径は150μmであり、粗大粒子の割合は0.0重量%、σは0.18であった。
得られた超高分子量ポリエチレン粒子のMvは55万、Mw/Mnは5.6であった。また、シャルピー衝撃強度は65KJ/mであった。
比較例3
実施例1で調整したチタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A1)を用いて、分子量調節剤として水素を実施例7より多く用いてポリエチレン粒子の製造をおこなった。
すなわち、内容積2リットルのステンレススチール製電磁撹拌式オートクレーブ内を十分窒素で置換し、ヘキサン1.2リットルを仕込み、内温を80℃に調節した。その後、有機アルミニウム触媒成分(B)としてトリ−i−ブチルアルミニウム0.23g(1.2ミリモル)およびチタン・マグネシウム含有固体触媒成分(A1)8.8mgを含有するスラリーを順次添加した。オートクレーブ内圧を0.08MPaGに調節した後、水素を0.4MPa加え、オートクレーブ内圧が1.1MPaGになるように、連続的にエチレンを加えながら90分間重合を行った。重合終了後冷却し、未反応ガスをパージしてポリエチレン粒子を取り出し、濾過により溶媒から分離して乾燥した。
その結果、嵩密度は0.33g/cmのポリエチレン粒子229gが得られた。活性は26000g/gに相当し、蛍光X線分析装置にて測定したポリエチレン粒子中のチタン残量は3.3ppmであった。また平均粒径は140μmであり、粗大粒子の割合は0.0重量%、σは0.18であった。
得られたポリエチレン粒子のMvは5.2万、Mw/Mnは5.8であった。シャルピー衝撃強度は6KJ/mと非常に低いものであった。
本発明は、Mvが50万以上700万以下と高く、Mw/Mnが4以上7以下で成形加工に適した分子量分布を持ち、平均粒径50μm以上200μm以下、粒径の標準偏差が0.2以下の粉体特性に優れた超高分子量ポリエチレン粒子及びその製造に適した製造方法を提供するものであり、本発明の超高分子量ポリエチレン粒子は、成形加工性、機械的特性に優れ、着色もない圧縮成形体、紛体成形体を提供することが可能となり、産業上の利用可能性も高いものである。

Claims (2)

  1. 粘度平均分子量(Mv)が50万以上700万以下、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4以上7以下、平均粒径が50μm以上200μm以下、粒径の標準偏差が0.2以下であることを特徴とする超高分子量ポリエチレン粒子。
  2. (A)金属マグネシウムとアルコール、チタンテトラアルコレートを加熱・熟成した成分にハロゲン化アルミニウム化合物を撹拌レイノルズ数50000以上の撹拌下に反応させて得られるチタン・マグネシウム含有固体触媒成分と、(B)有機アルミニウム触媒成分とからなる触媒系の存在下に、重合温度50〜90℃、水素濃度0〜10%にてエチレンの重合を行うことを特徴とする超高分子量ポリエチレン粒子の製造方法。
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