JP2017141133A - 電子デバイス用基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】割断面においてクラックの発生及び伝搬が抑制された電子デバイス用基板の製造方法の提供。
【解決手段】厚み10μm以上、200μm以下のガラスフィルムの第二主面側に、接着層を介して樹脂層Aを積層し、該ガラスフィルムの第一主面側に剥離可能な樹脂層Bを積層したガラス積層体を作製するガラス積層体作製工程と、前記工程で作製したガラス積層体のガラスフィルムを割断する割断工程と、前記割断工程後にガラスフィルムから剥離可能な樹脂層Bを剥離する剥離工程とを含み、前記接着層の引張弾性率が特定の範囲を満たすことを特徴とする電子デバイス用基板の製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子デバイス用基板の製造方法に関する。より詳細には、電子デバイス用基板としてロール・トゥ・ロールで処理することが可能な積層体の製造方法に関する。
近年、有機EL表示装置、太陽電池、薄膜二次電池等における電子デバイスの薄型化、軽量化が進行しており、これらの電子デバイスに用いられるガラスの薄膜化が進行している。薄膜のガラス層(以下、ガラスフィルムとも称する)は可撓性を有することからロール状に巻き取ることが可能であるが、薄膜化によりガラスの強度が低下し、搬送時や加工時のガラスのハンドリング性が悪化するという問題があった。
そこで、ガラスフィルムに樹脂フィルムを貼り付けてガラス積層体とし、ガラスフィルムの破損を防止する方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、溶融ガラスを成形してガラスリボンにした後、該ガラスリボンの少なくとも一面に樹脂層を形成することを特徴とするガラス・樹脂複合体の製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、ガラス基板と樹脂層とを有するガラス/樹脂積層体において、積層体の少なくとも一方の最外層が前記ガラス基板であるガラス/樹脂積層体が開示されている。
国際公開第2009/057460号パンフレット 国際公開第2011/030716号パンフレット
ところで、ガラス積層体のガラス側表面に電子デバイス部材を形成する際、洗浄工程や電極形成工程といった工程へ通す前に、ガラス積層体を所定のサイズに割断する必要がある。
しかしながら、特許文献1に記載されているガラス・樹脂複合体を割断する際は、ガラスリボンの割断面に多数のクラックが発生し、伝搬してしまうという懸念があった。
また、特許文献2には、ガラス/樹脂積層体をレーザーカッタ又はスクライブ−ブレイク法を用いて割断する旨の記載があるが、該方法であってもガラス基板の割断面に多数のクラックが発生し、伝搬してしまうという懸念があった。
さらに、一度ガラスの割断面にクラックが発生してしまうと、電子デバイス部材を形成する際や、電子デバイスとして使用する際に、少しの応力がかかるだけで、ガラス全体にクラックが伝搬してしまうおそれがあり、取扱い性すなわちハンドリング性に劣るため、電子デバイス用基板としての機能を果たせない懸念もあった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、割断面においてクラックの発生及び伝搬が抑制された電子デバイス用基板の製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、
厚み10μm以上、200μm以下のガラスフィルムの第二主面側に、接着層を介して樹脂層Aを積層し、該ガラスフィルムの第一主面側に剥離可能な樹脂層Bを積層したガラス積層体を作製するガラス積層体作製工程と、
前記の工程で作製したガラス積層体のガラスフィルムを割断する割断工程と、
前記割断工程後にガラスフィルムから剥離可能な樹脂層Bを剥離する剥離工程を含み、前記接着層の引張弾性率が特定の範囲を満たす製造方法であれば、ガラスフィルムの割断面におけるクラックの発生及び伝搬が抑制された電子デバイス用基板を得ることができることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は以下の通りである。
[1]樹脂層A及び厚み10μm以上、200μm以下のガラスフィルムを有する電子デバイス用基板の製造方法であって、
厚み10μm以上、200μm以下のガラスフィルムの第二主面側に、接着層を介して樹脂層Aを積層し、該ガラスフィルムの第一主面側に剥離可能な樹脂層Bを積層したガラス積層体を作製するガラス積層体作製工程と、
前記工程で作製したガラス積層体のガラスフィルムを割断する割断工程と、
前記割断工程後にガラスフィルムから剥離可能な樹脂層Bを剥離する剥離工程を含み、前記接着層の引張弾性率が100MPa以上であることを特徴とする電子デバイス用基板の製造方法。
[2]前記割断工程において、樹脂層A側から割断予定線に沿ってレーザーを照射する工程及びガラスフィルムを割断する工程を含むことを特徴とする[1]に記載の電子デバイス用基板の製造方法。
[3]前記樹脂層Aの厚みが4μm以上、40μm以下であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の電子デバイス用基板の製造方法。
[4]前記ガラスフィルムと樹脂層Aとの剥離強度が1.00N/26mm以上であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の電子デバイス用基板の製造方法。
本発明の製造方法によれば、ガラスフィルムの割断時に、ガラスフィルム表面に樹脂層A、接着層及び剥離可能な樹脂層Bが存在するため、ガラスフィルムの割断面においてクラックの発生及び伝搬が抑制され、ハンドリング性に優れた電子デバイス用基板を得ることができる。
さらにガラスフィルムの割断時には、ガラスフィルム両表面が保護されているため、割断時に発生するガラスや樹脂の破片がガラスフィルム表面に付着したり、ガラスフィルム表面を傷つけたりすることを防ぐことができ、平滑で、且つクリーンな表面を有する電子デバイス用基板を得ることができる。
本発明の実施形態に係る電子デバイス用基板の製造方法におけるガラス積層体作製工程を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る電子デバイス用基板の製造方法における割断工程1を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る電子デバイス用基板の製造方法における割断工程2を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る電子デバイス用基板の製造方法における剥離工程を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態に係る電子デバイス用基板の製造方法について、添付の図面を参照して説明するが、以下の発明は、本発明の実施形態の一例(代表例)を説明するものであり、本発明はこれらの内容に特定されるものではない。
なお、本明細書においては、簡便のために、「本発明の実施形態に係る電子デバイス用基板の製造方法」を「本製造方法」と称することがある。
図1、図2、図3及び図4は、本発明の実施形態に係る電子デバイス用基板の製造方法に含まれる工程を示す図である。これらの図に示すように、本発明の実施形態に係る電子デバイス用基板の製造方法は、厚み10μm以上、200μm以下のガラスフィルムの第二主面側に接着層を介して樹脂層Aを積層し、第一主面側に剥離可能な樹脂層Bを積層したガラス積層体を作製するガラス積層体作製工程(図1)と、前記工程で作製したガラス積層体のガラスフィルムを割断する割断工程(図2又は図3)と、前記割断工程後にガラスフィルムから剥離可能な樹脂層Bを剥離する剥離工程(図4)とを含んでいる。
<ガラス積層体作製工程>
図1に示すガラス積層体作製工程においては、樹脂層A上に接着層を形成する接着層形成工程と、ガラスフィルムの第一主面に、剥離可能な樹脂層Bを貼合する貼り合せ工程と、前記樹脂層Aとガラスフィルムの第二主面とを前記接着層を介して貼合するラミネート工程等を含む。
以下、ガラス積層体作製工程に含まれる各工程について説明する。
(接着層形成工程)
接着層形成工程において、樹脂層A上に接着層を形成する方法としては、樹脂層A上に接着層を塗布して形成する方法、樹脂層A上に接着層をラミネートする方法、及び樹脂層Aと共に接着層を共押出しする方法等を挙げることができる。
樹脂層A上に接着層を塗布する方法としては例えば、リバースコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、ダイコート法、スピンコート法、エクストルージョンコート法等の塗布方法が挙げられる。
また、樹脂層A上に接着層をラミネートする方法としては、例えば、予め離型フィルム上に形成した接着層を樹脂層Aとラミネートした後、離型フィルムを剥離する方法等が挙げられ、ラミネート方法としては、ラミネーターロールを用いたロール・トゥ・ロール方式や、プレス機を用いたバッチ方式が挙げられ、適宜必要に応じた温度条件や真空条件が選択される。
樹脂層Aと共に接着層を共押出しする方法においては、樹脂層Aと接着層を共押出しして樹脂層Aと接着層を積層したフィルムを作製することもできる。また樹脂層Aと接着層をガラスフィルムの第二主面上に直接共押出ししてもよく、この場合は樹脂層Aとガラスフィルムの第二主面とを接着層を介して貼合するラミネート工程は省略できる。
樹脂層Aとしては、耐衝撃性や加工性の観点から、熱可塑性樹脂が好ましい。
上記熱可塑性樹脂の具体例としては、フッ素系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルシリコン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。
このうち、汎用性、透明性及び高温下での熱収縮特性の観点から、ポリエステル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂が好ましい。中でも、樹脂層としては、ポリエステル系樹脂を主成分として含む2軸延伸ポリエステルフィルムがより好ましく、ポリエチレンナフタレートを主成分として含む2軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(以下、PENフィルムとも称する)がさらに好ましい。
なお主成分とは、通常樹脂層を形成する成分のうち最も多く含有する成分をいい、各層において50質量%以上占めるものを主成分としてもよく、80質量%以上占めるものを主成分としてもよく、90質量%以上占めるものを主成分としてもよい。
樹脂層Aの厚みは、4μm以上であることが好ましい。6μm以上がより好ましく、8μm以上がさらに好ましい。
一方、40μm以下であることが好ましい。30μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましい。
樹脂層の厚みが4μm以上であれば、ガラスフィルムに貼着した場合、強度の低いガラスフィルムを保護し、ハンドリング性を向上できる傾向がある。樹脂層の厚みが40μm以下であれば、樹脂層の熱寸法変化が電子デバイス用基板の反りに与える影響が少なくなる傾向がある。
本製造方法に用いる接着層の引張弾性率は、100MPa以上であることが重要である。300MPa以上がより好ましく、500MPa以上がさらに好ましい。上限は特に限定されないが、通常、10000MPa以下である。
接着層の引張弾性率が、100MPa以上であれば、ガラスフィルムの変形が接着層によって制限されるため、ガラスフィルムの破損や、クラックの発生を防ぐことができる傾向にある。
なお、接着層を構成する組成物が硬化性を有する場合には、硬化後の接着層の引張弾性率を、接着層の引張弾性率とする。
接着層の引張弾性率は、以下の方法で測定することができる。
接着層を構成する組成物を必要に応じて硬化させて、幅10mm、長さ30mmの短冊状サンプルを作製し、万能試験機(例えば、株式会社島津製作所製「オートグラフAGS−X」が挙げられる)を用いて、短冊状サンプルの引張弾性率を測定し、接着層の引張弾性率とする。試験条件は、チャック間距離を10mm、引っ張り速度を5mm/minとする。
接着層を構成する組成物としては、ガラスフィルムと樹脂層Aとを密着させるものであれば、粘着剤組成物、接着剤組成物を問わず用いることができるが、耐熱性の観点から硬化型接着剤組成物が好ましい。
硬化型接着剤組成物に含まれる硬化性樹脂としては、加熱処理、活性エネルギー線照射、及び空気中の水分により硬化する硬化性樹脂等が挙げられる。中でも、硬化処理工程が簡便であることから、熱硬化性樹脂又は紫外線硬化性樹脂であることが好ましい。硬化性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂などを挙げることができ、機械物性、透明性、反応性、密着性をバランスよく備えるアクリル樹脂、およびエポキシ樹脂が好ましく、中でも耐熱性に優れるエポキシ樹脂が特に好ましい。
樹脂層Aと接着層の組み合わせについて、ガラスフィルムの保護及び耐熱性の観点から、樹脂層Aはポリエステル系樹脂を主成分として含む2軸延伸ポリエステルフィルムであり、且つ、接着層はエポキシ樹脂を含む硬化型接着剤組成物であることが好ましい。
硬化型接着剤組成物は、必要に応じて硬化剤や重合開始剤を含む。例えば、硬化型接着剤組成物の主成分がエポキシ樹脂であれば、脂肪族アミンや芳香族アミン、メルカプト化合物、イミダゾール、酸無水物などの硬化剤を添加して熱硬化することができ、また、スルホニウム塩やヨードニウム塩を添加して紫外線硬化することもできる。主成分がアクリル樹脂であれば、有機過酸化物やイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、アミン化合物を添加して熱硬化することができ、ベンゾフェノン誘導体やヒドロキシケトン誘導体を添加して紫外線硬化することもできる。
接着層を構成する組成物には、上述した他にも溶剤、シランカップリング剤、増感剤、架橋剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、充填材、酸化防止剤、レベリング剤、スリップ剤、微粒子、分散剤、熱可塑性樹脂等を、硬化性や透明性、吸水性等の物性に支障とならない範囲で、任意で添加することもできる。
(貼り合せ工程)
ガラスフィルムの第一主面に、剥離可能な樹脂層Bを貼合する貼り合せ工程では、ガラスフィルムの第一主面に、剥離可能な樹脂層Bを貼合するが、貼り合せ方法としては、特に限定されず、例えば、ラミネーターロールを用いたロール・トゥ・ロール方式や、プレス機を用いたバッチ方式が挙げられ、適宜必要に応じた温度条件や真空条件が選択される。
本発明に用いられるガラスフィルムは、厚みが10μm以上、200μm以下のガラスであれば、任意の適切なものが採用されうる。
ガラスフィルムの厚みは、10μm以上であることが重要であり、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上である。一方で、200μm以下であることが重要であり、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下である。10μm以上とすることで、機械的強度の極度の低下を防ぎ、一方で200μm以下とすることで、ガラス単体での製造効率を悪化させず、ハンドリング性に優れたガラスフィルムを得ることができる。
ガラスフィルムの材料は特段限定されず、例えばソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等ほぼすべてのガラス組成のものが適用でき、強化や、上述した接着層とは別に表面処理等の二次加工を施したものも適用可能であり、いずれも用途により使い分けられる。二次加工としては例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などによるカップリング剤処理、酸処理、アルカリ処理、オゾン処理、イオン処理などの化成処理、プラズマ処理、グロー放電処理、アーク放電処理、コロナ処理などの放電処理、紫外線処理、X線処理、ガンマ線処理、レーザー処理などの電磁波照射処理、その他火炎処理などの表面処理などの各種表面処理があげられる。特に、接着層との密着性を向上させる観点から、接着層とは別にシランカップリング剤で表面処理されていることが好ましい。
市販されているガラスフィルムの具体例としては、無アルカリガラスである日本電気硝子株式会社製の商品名「OA−10G」が挙げられる。
剥離可能な樹脂層Bとしては、ガラスフィルムと剥離可能に貼合できる樹脂層であれば特に限定されず、例えば可撓性フィルム上に粘着層を塗布したフィルムや、自己吸着性を有する可撓性フィルムが例示されるが、これに限るものではない。
ガラス積層体の反りを抑制する観点から、樹脂層Bは樹脂層Aと同種の樹脂やフィルムが好ましく、例えば、樹脂層Aがポリエステル系樹脂を主成分として含む2軸延伸ポリエステルフィルムの場合は、剥離可能な樹脂層Bとしてポリエステル系樹脂を主成分として含む2軸延伸ポリエステルフィルムを用いることが好ましい。
市販されている剥離可能な樹脂層Bの具体例としては、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムとも称する)上に粘着層が塗布されたフィルムであるサンエー化研株式会社製の商品名「サニテクトNSA33T」が挙げられる。
本発明において、剥離可能とはガラスフィルムから容易に剥離できることを示し、具体的数値で表すとすれば、ガラスフィルムと樹脂層Bとの剥離強度が1.00N/26mm未満であるとも表すことができる。下限は特に制限されないが、通常は0.01N/26mm以上である。剥離時のガラスフィルム破損や、電子デバイス用基板製造工程中での剥離を防止する観点から、0.80N/26mm以下が好ましく、0.50N/26mm以下がより好ましい。
(ラミネート工程)
樹脂層Aとガラスフィルムの第二主面とを接着層を介して貼合するラミネートするラミネート工程では、ラミネート方法としては、貼り合せ工程において記載した方法を適用できる。
ガラスフィルムと樹脂層Aとの剥離強度は、1.00N/26mm以上であることが好ましく、3.00N/26mm以上であることがより好ましい。上限は特に制限されないが、通常は20.00N/26mm以下である。
(ガラス積層体作製工程におけるその他工程)
接着層が硬化型接着剤組成物で構成されている場合には、ガラス積層体作製工程においては、必要に応じて硬化処理工程を含んでもよい。硬化処理としては、硬化型接着剤組成物により適宜選択できるが、例えば、加熱処理、紫外線照射を含む活性エネルギー線照射処理等を挙げることができる。該硬化処理工程は、接着層形成工程及びラミネート工程の後であれば、特に順序は制限されない。
(ガラス積層体作製工程における各工程の順序)
ガラス積層体作製工程における各工程の順序については、例えば下記の(1)〜(3)が考えられる。
(1)接着層形成工程 → 貼り合せ工程 → ラミネート工程
(2)接着層形成工程 → ラミネート工程 → 貼り合せ工程
(3)貼り合せ工程 → 接着層形成工程 → ラミネート工程
<割断工程>
本発明の割断工程においては、樹脂層A又は剥離可能な樹脂層B側から、割断予定線に沿ってレーザーを照射する工程、ガラスフィルムを割断する工程、必要に応じて樹脂層A及び接着層を切断する工程を含む。
なお、本発明において「割断予定線」とは、ガラス積層体を割断する際の境界線をいい、何らかの目印があってもよく、目印がない場合もある。
本発明では、機械的強度の低いガラスフィルムの第二主面側に特定の弾性率を有する接着層を介して樹脂層Aを、第一主面側に剥離可能な樹脂層Bを積層することにより、ガラスフィルムを両面から保護し、割断工程におけるガラスフィルム割断面でのクラック発生及び伝搬を抑制することを目的とし、その後、剥離可能な樹脂層Bを剥離することにより、ガラスフィルム表面に、割断時に発生するガラスや樹脂の破片がガラスフィルム表面に付着することなく、平滑で、且つクリーンな表面を有する電子デバイス用基板を得ることができる。
ガラスフィルムの第二主面を特定の引張弾性率を有する接着層を介して樹脂層Aで保護することで、割断工程におけるガラスフィルムの変形が接着層によって制限され、さらにガラスフィルムの第一主面を剥離可能な樹脂層Bで保護することで、割断工程におけるガラスフィルムの変形がより制限され、またガラスフィルムにかかる局所的な応力を緩和することが可能になる。これらにより、割断工程におけるガラスフィルム割断面でのクラック発生及び伝搬を抑制できると考えられる。
本発明におけるガラスフィルムの割断方法は、機械的な手法、熱的な手法、化学的な手法などを適宜選択することができるが、切断面の安定性や加工速度の点から、レーザーを用いたレーザー照射による熱切断が好ましい。
本発明におけるレーザー光としては、特に限定するものではなく、照射面の材質や作業効率等に応じて適宜選択される。本発明に用いられるレーザー光としては、例えば、発振波長が1064nmのYAGレーザー、532nmのYAGレーザーの第2高調波、355nmのYAGレーザーの第3高調波、266nmのYAGレーザーの第4高調波、1064nmのYVO4レーザー、532nmのYVO4レーザーの第2高調波、355nmのYVO4レーザーの第3高調波、266nmのYVO4レーザーの第4高調波、1064nmのYLFレーザー、523nmのYLFレーザーの第2高調波、351nmのYLFレーザーの第3高調波、263nmのYLFレーザーの第4高調波、1062nmの珪酸ガラスレーザー、1054nmのリン酸ガラスレーザー、1080nmの石英ガラスレーザー、ルビーレーザー、チタンサファイアレーザー、ファイバレーザー等の固体レーザー、発振波長が157nmのF2エキシマレーザー、193nmのArFエキシマレーザー、222nmのKClエキシマレーザー、248nmのKrFエキシマレーザー、308nmのXeClエキシマレーザー、351nmのXeFエキシマレーザー、337nmの窒素レーザー、9.4μm及び10.6μmの炭酸ガスレーザー、ヘリウムネオンレーザー、アルゴンイオンレーザー等の気体レーザー、色素レーザー等の液体レーザー、半導体レーザー、金属レーザーなどが挙げられる。
また、レーザー光は、割断対象である樹脂及びガラスフィルムが吸収する波長に応じて決定でき、例えば、樹脂及びガラスフィルムには波長1μm以上のレーザー、具体的には、発振波長が9.4μm及び10.6μmの炭酸ガスレーザーを好適に用いることができる。
以下、ガラス積層体のガラスフィルムを割断する具体的な手順について、樹脂層A側から割断予定線に沿ってレーザーを照射する工程を含む割断工程1(図2)と、剥離可能な樹脂層B側から割断予定線に沿ってレーザーを照射する工程を含む割断工程2(図3)に分けて説明する。
(割断工程1)
図2に示す割断工程1においては、樹脂層A側から割断予定線に沿ってレーザーを照射する工程(a)及びガラスフィルムを割断する工程(c)を含む。
割断工程1では、まず図2(a)に示すように、樹脂層A側から割断予定線に沿ってレーザーを照射する。このとき、ガラスフィルムが完全に割断しないように適宜レーザーの出力が調整される。ガラスフィルムが完全に割断しないようレーザーの出力を調整することによって、樹脂層A、接着層及びガラスフィルムが溶融することによるガラスフィルムの割断面が荒れや、クラックの発生を防ぐことができる。
図2(b)はレーザーを照射する工程後のガラス積層体の模式図である。
レーザーを照射する工程後、ガラスフィルムの厚みの1%以上が割断されずに残っていることが好ましく、厚みの10%以上が割断されずに残っていることがより好ましい。
その後、図2(c)に示すように、ガラス積層体に応力をかけて樹脂層A側を凸に湾曲させることによって、ガラスフィルムが完全に割断される。その後、必要に応じて剥離可能な樹脂層Bを剥離することによって、電子デバイス用基板を得ることが可能となる。
(割断工程2)
図3に示す割断工程2においては、剥離可能な樹脂層B側から割断予定線に沿ってレーザーを照射する工程(a)、ガラスフィルムを割断する工程(c)及びガラスフィルムの割断面に沿って樹脂層A及び接着層を切断する工程(d)を含む。
割断工程2では、まず図3(a)に示すように、剥離可能な樹脂層B側から割断予定線に沿ってレーザーを照射する。このとき、割断工程1と同様、ガラスフィルムが完全に切断しないように適宜レーザーの出力が調整される。図3(b)はレーザーを照射する工程後のガラス積層体の模式図である。その後、図3(c)に示すように、ガラス積層体に応力をかけて剥離可能な樹脂層B側を凸に湾曲させることによって、ガラスフィルムが完全に割断される。その後、図3(d)に示すようにガラスフィルムの割断面に沿って樹脂層A及び接着層をカッターナイフなどの刃物で切断することにより、ガラス積層体を分離することが可能となり、さらに剥離可能な樹脂層Bを剥離することによって、電子デバイス用基板を得ることが可能となる。
上述したように、割断工程1又は割断工程2どちらの工程を経てもガラスフィルムを割断することが可能であるが、割断工程2では、樹脂層A及び接着層を切断する工程が必要になり工程数が増えるため、ガラスフィルムを割断する工程としては、割断工程1の方が好ましい。
<剥離工程>
剥離工程(図4)では、剥離可能な樹脂層Bを剥離する。剥離方法については特に限定されず、剥離可能な樹脂層Bを人手で把持して剥離するほか、回転ロールなどの巻取り装置、真空パッドや粘着ロールなどの吸着・貼着治具や、クランプなどの把持治具など、各種装置又は治具を用いて剥離する方法が挙げられる。
剥離可能な樹脂層Bは、上述したように容易に剥離でき、剥離の際にガラスフィルムにかかる応力が小さいため、ガラスフィルム割断面にクラックが発生したり、クラックが伝搬したりするのを防ぐことができる。
<電子デバイス用基板の用途>
本製造方法で得られた電子デバイス用基板は、ガラスフィルムの第二主面側に接着層を介して樹脂層Aが積層され、ガラスフィルムの第一主面側は、平滑で、且つクリーンな表面を有するため、例えば、有機EL素子などの電子デバイスの基板として好適に用いることができる。有機EL素子などの電子デバイスの基板として用いた場合、ガラスフィルム表面に電子デバイス部材を形成し、フレキシブルな電子デバイスを得ることができるため、フレキシブルディスプレイやフレキシブル照明に用いることができる。
通常はガラスフィルムの第一主面側に電子デバイス部材を形成するが、特に限定されない。
電子デバイスとしては、有機EL素子以外にも、太陽電池素子、薄膜二次電池素子、液晶表示素子、等が挙げられる。
なお、電子デバイス部材とは、ガラスフィルム上に形成され、電子デバイスの少なくとも一部を構成する部材であり、具体的には、有機EL素子、太陽電池素子、薄膜二次電池素子、液晶表示素子、または、各種電子部品などに用いられる部材が挙げられる。
有機EL素子に用いられる部材としては、透明電極や、金属電極、絶縁層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層等が挙げられる。
また、太陽電池素子に用いられる部材としては、有機太陽電池素子の場合は、有機電子供与体及び有機電子受容体からなる有機半導体層、透明電極層、金属電極層等が挙げられ、その他に化合物型、色素増感型、量子ドット型太陽電池素子などに対応する各種部材等が挙げられる。
また、液晶表示素子に用いられる部材としては、透明電極層、液晶層等が挙げられる。
また、薄膜二次電池用部材としては、リチウムイオン型では、透明電極層、リチウム化合物を含む電解質層、金属を含む集電層が挙げられる。その他に、ニッケル水素型、ポリマー型、セラミックス電解質型などに対応する各種部材等が挙げられる。
また、電子部品用部材としては、CCDやCMOSでは、導電部や、絶縁部等が挙げられ、その他に、圧力センサ、加速度センサなどの各種センサに対応する各種部材等が挙げられる。
(用語の説明)
一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚みが極めて小さく、最大厚みが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいい(日本工業規格JISK6900)、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚みが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に記載の態様に限定されるものではない。
なお、実施例における測定・評価は以下の方法・基準で行った。
<測定・評価>
(1)接着層の引張弾性率
接着層を構成する組成物を必要に応じて硬化させて、幅10mm、長さ30mmの短冊状サンプルを作製し、万能試験機(株式会社島津製作所製「オートグラフAGS−X」)を用いて、短冊状サンプルの長手方向の伸びと応力から引張弾性率を測定し、接着層の引張弾性率とした。試験条件は、チャック間距離を10mm、引っ張り速度を5mm/minとした。
(2)樹脂層A及び樹脂層Bの剥離強度
幅26mmのスライドガラス上に、樹脂層Aの場合は、接着層を介して、樹脂層Bの場合は粘着面や吸着面をスライドガラス面に向けて貼合することにより、剥離強度測定用の試験片を作製した。
引張試験機(株式会社オリエンテック製「STA−1150」)を用いて、剥離速度を300mm/分に設定し、180度剥離方法で樹脂層A、又は樹脂層Bをスライドガラスから剥離した際の引っ張り強度をガラスフィルムと樹脂層A、又はガラスフィルムと樹脂層Bとの剥離強度とした。なお、樹脂層Aや樹脂層Bが剥離せず、破断してしまった場合は、破断時の引っ張り強度をガラスフィルムと樹脂層A、又はガラスフィルムと樹脂層Bとの剥離強度とした。
(3)ガラスフィルム割断面の観察
ガラスフィルムの割断工程後、樹脂層Bを剥離し、ガラスフィルム割断面のクラックの発生及び伝搬状況を評価した。
○:割断面からのクラックの伝搬が直線距離で0.5mm未満
△:割断面からのクラックの伝搬が直線距離で0.5mm以上2mm未満
×:割断面からのクラックの伝搬が直線距離で2mm以上
[配合例1]
硬化性樹脂としてエポキシ樹脂(株式会社DIC製 商品名「エピクロン850S」)60質量部、フェノキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製 商品名「フェノトートYP−40ASM40」)40質量部、さらに硬化剤(四国化成工業株式会社製 商品名「キュアゾール2E4MZ」)1質量部を配合し、酢酸エチルで均一に希釈して硬化型接着剤組成物1を得た。
[配合例2]
硬化性樹脂としてエポキシ樹脂(DIC株式会社製 商品名「エピクロン850S」)60質量部、フェノキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製 商品名「フェノトートYP−40ASM40」)40質量部、脂環式エポキシ樹脂(株式会社ダイセル製、商品名「セロキサイド2021P」)10質量部、さらに硬化剤(サンアプロ株式会社製 商品名「CPI−210S」)1質量部を配合し、酢酸ブチルで均一に希釈して硬化型接着剤組成物2を得た。
[配合例3]
アクリル系粘着剤(綜研化学株式会社製 商品名「SKダイン2975」)100質量部、硬化剤(綜研化学株式会社製 商品名「D−94」)0.36質量部を配合し、酢酸ブチルで均一に希釈して粘着剤組成物1を得た。
[実施例1]
(剥離可能な樹脂層Bとガラスフィルムの貼り合せ工程)
厚み50μmのガラスフィルム(日本電気硝子株式会社製 商品名「OA−10G」)を準備し、剥離可能な樹脂層B(サンエー化研株式会社製 商品名「サニテクトNSA33T」)の粘着面をガラスフィルム側に向けて貼り合せて、剥離可能な樹脂層Bとガラスフィルムの積層体を得た。
(樹脂層A表面への接着層形成工程)
樹脂層Aとして厚み12μmのPENフィルム(帝人株式会社製 商品名「テオネックスQ51」)を用い、樹脂層Aの片面に前記硬化型接着剤組成物1を乾燥後の厚みが5μmになるように塗布し、溶剤を除去して接着層1を形成した。
(ガラス積層体作製工程)
前記剥離可能な樹脂層Bとガラスフィルムを貼り合せた積層体のガラス面に、前記樹脂層Aを接着層1を介して貼り合せた後、80℃で1時間熱処理を行うことによって接着層1の硬化処理を行い、ガラス積層体1を得た。
(ガラスフィルムの割断工程及び剥離工程)
作製したガラス積層体1の樹脂層A側に下記の条件でレーザーを照射した。

レーザーの照射条件:
レーザー加工機(GCC社製「LaserPro Gaia GA−5106」)
speed:50%、power:20%
図2(a)に示すように、ガラス積層体の一方の面に対して、炭酸ガスレーザーを鉛直上から割断予定線に沿って8回照射することで、ガラスフィルムを完全に割断することなく、樹脂層やガラスフィルムの一部を割断した。

さらに、図2(c)に示すように樹脂層A側を凸に湾曲させることによってガラスフィルムを割断した後、剥離可能な樹脂層Bを剥がし、電子デバイス用基板1を得た。ガラスフィルムの割断面においてクラックの発生は確認されなかった。
接着層の引張弾性率測定結果、ガラスフィルムに対する樹脂層A並びに樹脂層Bの剥離強度測定結果、及びガラスフィルム割断面の観察結果を表1に示す。
[実施例2]
(剥離可能な樹脂層Bとガラスフィルムの貼り合せ工程)
実施例1と同様にして、剥離可能な樹脂層Bとガラスフィルムの積層体を得た。
(樹脂層A表面への接着層形成工程)
樹脂層Aとして厚み12μmのPENフィルム(帝人株式会社製 商品名「テオネックスQ51」)を用い、樹脂層Aの片面に前記硬化型接着剤組成物2を乾燥後の厚みが5μmになるように塗布し、溶剤を除去して接着層2を形成した。
(ガラス積層体作製工程)
前記剥離可能な樹脂層Bとガラスフィルムの積層体のガラス面に、前記樹脂層Aを接着層2を介して貼り合せた後、剥離可能な樹脂層B側から高圧水銀ランプ(ランプ出力:160W/cm)を照射し、さらに150℃で30分熱処理を行うことによって、接着層2の硬化処理を行い、ガラス積層体2を得た。
(ガラスフィルムの割断工程及び剥離工程)
実施例1と同様にして、ガラスフィルムを割断した後、剥離可能な樹脂層Bを剥がし、電子デバイス用基板2を得た。ガラスフィルムの割断面においてクラックの発生は確認されなかった。
接着層の引張弾性率測定結果、ガラスフィルムに対する樹脂層A並びに樹脂層Bの剥離強度測定結果、及びガラスフィルム割断面の観察結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1で作製したガラス積層体1に対して、図3(a)に示すように剥離可能な樹脂層B側から実施例1と同様の条件でレーザーを照射した。
その後、図3(c)に示すように剥離可能な樹脂層B側を凸に湾曲させることによってガラスフィルムを割断した後、図3(d)に示すように樹脂層A及び接着層をガラスフィルム割断面に沿ってカッターナイフで切断し、さらに剥離可能な樹脂層Bを剥がし、電子デバイス用基板3を得た。ガラスフィルムの割断面においてクラックの発生は確認されなかった。
接着層の引張弾性率測定結果、ガラスフィルムに対する樹脂層A並びに樹脂層Bの剥離強度測定結果、及びガラスフィルム割断面の観察結果を表1に示す。
[比較例1]
(剥離可能な樹脂層Bとガラスフィルムの貼り合せ工程)
実施例1と同様にして、剥離可能な樹脂層Bとガラスフィルムの積層体を得た。
(樹脂層A表面への接着層形成工程)
樹脂層Aとして厚み12μmのPENフィルム(帝人株式会社製 商品名「テオネックスQ51」)を用い、樹脂層Aの片面に前記粘着剤組成物1を乾燥後の厚みが7μmになるように塗布し、溶剤を除去して接着層3を形成した。
(ガラス積層体作製工程)
前記剥離可能な樹脂層Bとガラスフィルムの積層体のガラス面に、前記樹脂層Aを接着層3を介して貼り合せた後、40℃で24時間養生を行うことによって、ガラス積層体3を得た。
(ガラスフィルムの割断工程及び剥離工程)
実施例1と同様にしてガラス積層体3のガラスフィルムを割断した後、剥離可能な樹脂層Bを剥がし、ガラスフィルムの割断面を観察したところ、クラックが発生していた。
接着層の引張弾性率測定結果、ガラスフィルムに対する樹脂層A並びに樹脂層Bの剥離強度測定結果、及びガラスフィルム割断面の観察結果を表1に示す。
[比較例2]
剥離可能な樹脂層Bとガラスフィルムとの貼り合せ工程を除いた以外は実施例1と同様にして、ガラス積層体4を得た。実施例1と同様にしてガラス積層体4のガラスフィルムを割断した後、ガラスフィルムの割断面を観察したところ、クラックが発生していた。
接着層の引張弾性率測定結果、ガラスフィルムと樹脂層Aとの剥離強度測定結果、及びガラスフィルム割断面の観察結果を表1に示す。
[比較例3]
比較例2で作製したガラス積層体4の、樹脂層A側と反対側のガラス面に、樹脂層Bとしてセロハンテープ(ニチバン株式会社製 商品名「セロテープ(登録商標)CT−12」)を貼り、ガラス積層体5を得た。ガラス積層体5の樹脂層Bを貼った箇所に対して、実施例1と同様にして樹脂層A側よりレーザーを照射しガラスフィルムを割断した。ガラスフィルムの割断工程ではガラスフィルムの割断面にクラックの発生が無かったものの、樹脂層Bを剥がす際にクラックが発生した。
接着層の引張弾性率測定結果、ガラスフィルムに対する樹脂層A並びに樹脂層Bの剥離強度測定結果、及びガラスフィルム割断面の観察結果を表1に示す。
[比較例4]
(剥離可能な樹脂層Bとガラスフィルムの貼り合せ工程)
実施例1と同様にして、剥離可能な樹脂層Bとガラスフィルムの積層体を得た。
(ガラスフィルムの割断工程及び剥離工程)
実施例1と同様の条件で作製した積層体のガラスフィルム側よりレーザーを照射しガラスフィルムを割断した後、剥離可能な樹脂層Bを剥がしたところ、ガラスフィルム割断面にクラックが発生していた。
ガラスフィルムと樹脂層Bとの剥離強度測定結果、ガラスフィルム割断面の観察結果を表1に示す。
Figure 2017141133
以上の実施例及び比較例の結果から、積層構成を最適化することによって、ガラスフィルムの割断加工性を著しく向上できることがわかった。比較例1のように接着層の引張弾性率が低いと、ガラスフィルムを割断する際にクラックが伝搬してしまい、割断加工性が著しく悪くなってしまう。また比較例2、4のように片面のみに樹脂層Aや樹脂層Bを有する場合も、ガラスフィルムにおけるクラックの伝搬を抑制することができないことがわかった。
また電子デバイス用基板としてガラスフィルムの表面硬度、ガスバリア性を最大限に活かすためには、樹脂層Bが剥離可能であることが好ましいが、比較例3のように、樹脂層Bの剥離強度が高いと、ガラスフィルムの割断加工後に剥離する際に、ガラスフィルム割断面にクラックが発生してしまうことがわかった。
本発明の製造方法によれば、割断面にクラックの発生及び伝搬が抑制され、ハンドリング性や加工性に優れた電子デバイス用基板を得ることができるため、例えばロール・トゥ・ロールで処理可能な電子デバイス用基板を提供できる。
10:ガラス積層体
11:ガラスフィルム
12:接着層
13:樹脂層A
14:剥離可能な樹脂層B
15:レーザー光
16:割断予定線
17:応力
18:刃物

Claims (4)

  1. 樹脂層A及び厚み10μm以上、200μm以下のガラスフィルムを有する電子デバイス用基板の製造方法であって、
    厚み10μm以上、200μm以下のガラスフィルムの第二主面側に、接着層を介して樹脂層Aを積層し、該ガラスフィルムの第一主面側に剥離可能な樹脂層Bを積層したガラス積層体を作製するガラス積層体作製工程と、
    前記工程で作製したガラス積層体のガラスフィルムを割断する割断工程と、
    前記割断工程後にガラスフィルムから剥離可能な樹脂層Bを剥離する剥離工程と含み、前記接着層の引張弾性率が100MPa以上であることを特徴とする電子デバイス用基板の製造方法。
  2. 前記割断工程において、樹脂層A側から割断予定線に沿ってレーザーを照射する工程及びガラスフィルムを割断する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子デバイス用基板の製造方法。
  3. 前記樹脂層Aの厚みが4μm以上、40μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子デバイス用基板の製造方法。
  4. 前記ガラスフィルムと樹脂層Aとの剥離強度が1.00N/26mm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子デバイス用基板の製造方法。
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