JP2017140836A - 補強紙製ボード - Google Patents

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Abstract

【課題】厚みを大きく増やすことなく、曲げ強度を高めた紙製ボードおよびその製造方法の提供。
【解決手段】ボード状構造体と、ボード状構造体に接着された板紙層3とからなる紙製ボード10であって、ボード状構造体は、コア4と、コア4をサンドイッチ様に挟むようにコア4に接着された第1のライナ紙層1と第2のライナ紙層2とを含み、板紙層3は第1のライナ紙層1に接着されており、ボード状構造体の厚みは約15mm〜約40mmであり、第1のライナ紙層1および該第2のライナ紙層2の厚みはそれぞれ独立して約0.5〜約1.2mmであり、板紙層3の厚みは約1〜約4mmである、紙製ボード10。
【選択図】図1A

Description

本発明は、補強された紙製ボードおよびその製造方法に関する。
紙製ボードは、軽量であり、かつ断熱性や防音性に優れているため、従来から包装材や家具の芯材などの幅広い用途に利用されている。このような紙製ボード構造体は、ハニカムコアなどの補強用コアを2つの紙層によって内部にサンドイッチ様に挟むことによって、ボードの厚さ方向への耐圧縮強度、引張強度、曲げ強度などの各種強度が高められている。
近年、環境問題への対策として、原料を再生産できる資源循環型の素材である紙の利用が高い注目を集めている。特に、現在使用されている発泡スチロールボード、プラスチックボード、木材ボードなどの非紙製ボードを、資源循環型の紙製のボードによって置き換えることができれば、環境問題に大きく貢献できる可能性がある。
しかしながら、非紙製ボードを紙製ボードで置き換えるためには、コストを大きく上げることなく、かつ紙製ボードの強度をさらに高めることが必要とされている。
慣習的に、当該分野では、紙製ボードにより大きな重量を積載するため、またはより大きな荷重に耐えられるようにするために、ボードの厚みを増やしている。しかしながら、これでは積載物に対してボード自体の占める体積が大きく、空間の使用効率が悪いため、本発明者は好ましくないと考えた。そこで、本発明者は、上記の課題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、紙製ボードのコアをサンドイッチ様に挟む2つのライナ紙層に、追加の板紙層を片面のみに接着して、コアの一方の面の紙層だけを厚くすることによって、ボード全体の厚みを大きく増加させることなく曲げ強度を木材ボードに匹敵する程度にまで効率的に大きく高めることができることを見出した。この追加の板紙層としては、古紙や再生紙など安価な紙を使用することができるので、強い曲げ強度を有する紙製ボードを安価に製造することができる。また、厚みが増すことなく高い強度が得られることから、本発明の紙製ボードは特に、厚みの増加が輸送費用の増加に直結する輸送用パレットへの使用に適している。
本発明者らはまた、紙製ボードのコアをサンドイッチ様に挟む2つのライナ紙層のうちの追加の板紙層が接着されるライナ紙層の曲げ強度を、他方のライナ紙層の曲げ強度よりもあえて弱いものとすることによって、ボード全体の曲げ強度を効率的に高めることができることを見出した。実際には、コアをサンドイッチ様に挟む2つのライナ紙層のうちの一方として仮留め程度の曲げ強度の紙を用いることができるため、安価に製造することができる。
また、この紙製ボードにおいては、ボードの強度の調整を、追加の板紙層の選択によって自由に行うことができる。したがって、コアと、それを挟む2つのライナ紙層との接着のための製造ラインの機器および設定を変更する必要なく、紙製ボードの強度を自由に調整することが可能になる。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
ボード状構造体と、該ボード状構造体に接着された板紙層とからなる紙製ボードであって、
該ボード状構造体は、コアと、該コアをサンドイッチ様に挟むように該コアに接着された第1のライナ紙層と第2のライナ紙層とを含み、
該板紙層は該第1のライナ紙層に接着されており、
該ボード状構造体の厚みは約15mm〜約40mmであり、
該第1のライナ紙層および該第2のライナ紙層の厚みはそれぞれ独立して約0.5mm〜約1.2mmであり、
該板紙層の厚みは約1mm〜約4mmである、
紙製ボード。
(項目2)
前記ボード状構造体の厚みは約15mm以上約20mm未満であり、前記紙製ボードの曲げ強度は約450kg/m以上である、項目1に記載の紙製ボード。
(項目3)
前記ボード状構造体の厚みは約20mm以上約30mm未満であり、前記紙製ボードの曲げ強度は約650kg/m以上である、項目1に記載の紙製ボード。
(項目4)
前記ボード状構造体の厚みは約30mm以上約40mm以下であり、前記紙製ボードの曲げ強度は約950kg/m以上である、項目1に記載の紙製ボード。
(項目5)
前記板紙層の厚みは約1mm〜約2mmである、項目1〜4のいずれか1項に記載の紙製ボード。
(項目6)
前記板紙層の厚みは、前記ボード状構造体の厚みの約20%以下である、項目1〜5のいずれか1項に記載の紙製ボード。
(項目7)
前記板紙層の厚みは、前記ボード状構造体の厚みの約15%以下である、項目6に記載の紙製ボード。
(項目8)
前記板紙層の厚みは、前記ボード状構造体の厚みの約10%以下である、項目7に記載の紙製ボード。
(項目9)
前記コアは、前記第1のライナ紙層または第2のライナ紙層との接着面においてショルダー部分を有する、項目1〜8のいずれか1項に記載の紙製ボード。
(項目10)
項目1〜9のいずれか1項に記載の紙製ボードを含む、パレット。
(項目11)
項目1〜9のいずれか1項に記載の紙製ボードを含む、型枠。
(項目12)
所定の曲げ強度を有する紙製ボードの製造方法であって、
コアと第1のライナ紙層および第2のライナ紙層とを、該コアを該第1のライナ紙層と該第2のライナ紙層とがサンドイッチ様に挟むように接着して、約15mm〜約40mmのボード状構造体を形成する工程と、
該所定の曲げ強度に応じて、約1mm〜約4mmの板紙層を選択する工程と、
該第1のライナ紙層の表面に該板紙層を接着する工程と
を包含し、該第1のライナ紙層および該第2のライナ紙層はそれぞれ独立して約0.5mm〜約1.2mmである、製造方法。
本発明によれば、紙製ボードの曲げ強度を木材ボードに匹敵する程度にまで大きく高めることができる。これによって、発泡スチロールボード、プラスチックボード、木材ボードなどの非紙製ボードを、資源循環型の紙製のボードによって置き換えることができ、環境問題に大きく貢献することができる。
特に、本発明によって提供される紙製ボードは上記のような木材ボードに匹敵する曲げ強度を安価に達成することができ、例えばパレットや輸送資材としての使用に適している。そして、本発明の紙製ボードは、その全てがリサイクル可能であるため、木材資源の使用量を削減することによって環境問題に大きく寄与することができる。
本発明の紙製ボードは、厚みを増やすことなく高い強度を達成することができる。したがって、本発明の紙製ボードは、高積載量が必要とされる輸送用パレットや、高耐荷重が必要とされる型枠としての使用に適している。輸送用パレットへの使用には、特に適している。一般的に、紙製品は重量に対し容積が大きく、製品単価に占める運搬費の比率が大きいため、紙製ボードの厚さ(容積)を低減することは運搬費の低下に直結するからである。
また、例えば追加の板紙層の代わりに同じ紙製の段ボールを用いた紙製ボードと比較して、本発明の紙製ボードにおいては、方向による曲げ強度のばらつきがなく、どの方向においても高い曲げ強度を達成することができ、かつ/または、湿度による曲げ強度の低下が小さい(段ボールは、その構造上、縦目と横目とで曲げに対する強度が大きく異なっている)。これらの特徴からもまた、本発明の紙製ボードは、特に輸送用パレットへの使用に適している。
図1Aは、本発明の紙製ボードの斜視図である。 図1Bは、本発明の紙製ボードの正面図である。 図2Aは、本発明の紙製ボードの第1の紙層および第3の紙層の一部を取り除いてコアの表面を露出させた状態の斜視図である。 図2Bは、本発明の紙製ボードの第1の紙層および第3の紙層の一部を取り除いて、代替的なコアの表面を露出させた状態の斜視図である。 図3Aは、本発明の紙製ボードの製造工程における、紙積層体の提供工程を示す。 図3Bは、本発明の紙製ボードの製造工程における、紙積層体の切断およびコア形成工程を示す。 図3Cは、本発明の紙製ボードの製造工程における、第1の紙層および第2の紙層でのコアのサンドイッチ様接着工程を示す。 図3Dは、本発明の紙製ボードの製造工程における、紙層3の紙層1への接着工程を示す。 図4は、実施例における曲げ試験を示す模式図である。 図5Aは、好ましい切断方法による、コア構成部材の外観を示す。 図5Bは、好ましい切断方法による、コア構成部材の切断の様子を示す。 図5Cは、好ましい切断方法による、コア構成部材の切断後の状態を示す。 図6Aは、好ましい切断方法による、コア構成部材の切断面とライナ層との接着状態を示す。 図6Bは、一般的な切断方法による、コア部材の切断面とライナ層との接着状態を示す。 図7Aは、好ましい切断方法において用いられ得る切断刃の一例を示す。 図7Bは、好ましい切断方法において用いられ得る切断刃の一例を示す。 図7Cは、一般的な切断刃の一例を示す側面図である。 図7Dは、一般的な切断刃の一例を示す斜視図である。 図8Aは、好ましい切断方法によるコア構成部材の切断を示す模式図である。 図8Bは、一般的な切断刃によるコア構成部材の切断を示す模式図である。 図9Aは、好ましい切断方法による、コア構成部材の切断面の様子を示す。 図9Bは、一般的な切断刃による被切断物であるコア構成部材の切断面の様子を示す。
以下に本発明を、必要に応じて、添付の図面を参照して例示の実施例により説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
本発明によれば、紙製ボードのコアをサンドイッチ様に挟む2つのライナ紙層に、追加の板紙層を片面のみに接着し、コアの一方の面の紙層だけを厚くすることによって、ボード全体の曲げ強度を木材ボードに匹敵する程度にまで効率的に大きく高めることができる。この追加の板紙層としては、古紙や再生紙など安価な紙を使用することができるので、強い曲げ強度を有する紙製ボードを安価に製造することができる。
また、本発明によれば、紙製ボードにおいて厚みを増やすことなく高い強度を達成することができる。具体的には、厚さが約15mm〜40mmの2つのライナ紙層に挟まれたコアに、約1mm〜4mmほどの板紙層を接着するだけで、従来達成できなかった曲げ強度が達成される。本発明者は、本発明によって、従来達成できなかった400kg以上の積載に耐え得る紙製ボードを、例えば15〜20mm程度のボード厚で予想外に実現した。
さらに本発明によれば、コストを大きく上げることなく、紙製ボード構造体の曲げ強度を効率的に大きく高めることができる。より具体的には、紙製ボード構造体のコアをサンドイッチ様に挟む2つの紙層のうち、追加の紙層が接着される紙層の坪量を、他方の紙層の坪量よりもあえて小さくすることによって、ボード構造体全体の曲げ強度を効率的に大きく高めることができる。実際には、コアをサンドイッチ様に挟む2つの紙層のうちの一方として仮留め程度の曲げ強度の紙を用いることができるため、安価に製造することができる。
(定義)
本明細書において、「紙」とはその一般的な意味で用いられ、植物の繊維を水中で分散させ、それを薄く、平面上にすきあげて脱水および乾燥させた任意の物質をいう。
本明細書において、「コア」とは、紙製ボード構造体に曲げ強度を提供する任意の構造をいう。
本明細書において、「段ボール」とは、波形に成形した中芯紙の片面または両面にライナーを貼り合せた紙製部材であって、中芯紙とライナーとで形成される空間がライナーの
平面方向に延びているものをいう。「段ボール」としては、ライナーを中芯紙の片面に貼り合わせた片面段ボール、片面段ボールの中芯原紙段頂にライナーを貼り合わせた両面段ボール、両面段ボールの片側に片面段ボールの中芯部分を貼り合わせた複両面段ボール、複両面段ボールの片側にさらに片面段ボールの中芯部分を貼り合わせた複々両面段ボールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において、段ボールの「横目」とは、段ボールの中芯紙とライナーとで形成される空間が延びる方向に略平行な方向をいい、段ボールの「縦目」とは、段ボールの中芯紙とライナーとで形成される空間が延びる方向に略垂直な方向をいう。
本明細書において、「ボード状構造体」とは、コアを2つのライナ紙層によって内部にサンドイッチ様に挟むことによって形成される構造体であって、そのコアと2つのライナ紙層とで形成される空間がその構造体の厚さ方向に延びている構造体をいう。したがって、本発明におけるボード状構造体は、中芯紙とライナーとで形成される空間がライナーの平面方向に延びる段ボールとは明確に異なることに留意すべきである。
本明細書において、「紙製ボード」とは、上記ボード状構造体に追加の板紙層を設けた紙製の構造体をいう。
本明細書において、「坪量」とは、紙の1m当たりの重量をいう。
本明細書において、「巻取可能」とは、紙巻取機において約110mmの直径の芯にロールされることが可能なことをいう。本発明における「巻取可能」な紙は、ロール状にまかれて製品として流通している一般的な巻取紙であり得る。より具体的には、本発明における「巻取可能」な紙は、厚さ約1.2mm以下のロール状に巻くことができる紙であり得る。
本明細書において、「巻取不可能」とは、紙巻取機においてロールされると巻癖がついてしまうため、紙巻取機においてロールされることができないことをいう。本発明における「巻取不可能」な紙とは、シート状で製品として流通している一般的な平版紙であり得る。より具体的には、本発明における「巻取不可能」な紙は、厚さ約1.0mm以上の、ロール状に巻くことができない紙であり得る。
本明細書において、「ライナ紙層」または「ライナ紙」とは、コアをサンドイッチ様に挟む紙層をいう。本明細書におけるライナ紙層は、その内部に実質的な空間を含まない。したがって、本明細書におけるライナ紙層は段ボールを含まない。ある実施形態において、ライナ紙層は、約0.5mm〜約1.2mmの紙をいう。好ましい実施形態において、ライナ紙層は、巻取可能な約0.5mm〜約1.2mmの紙をいう。
本明細書において、「板紙層」または「板紙」とは、コアを少なくとも2つのライナ紙層によって内部にサンドイッチ様に挟むことによって形成されたボードに追加される紙層をいう。本明細書における板紙層は、その内部に実質的な空間を含まない。したがって、本明細書における板紙層は段ボールを含まない。ある実施形態において、約1mm〜約4mmの紙をいう。好ましい実施形態において、板紙層は、巻取不可能な約1mm〜約4mmの紙をいう。
本明細書において、ボードの「曲げ強度」とは、10mm/分の速度での400mmスパンの一点集中荷重によって測定された測定値を1m巾換算の等分布荷重に換算した値(Kg/m)をいう。この400mmという間隔は、フォークリフトの2本のアームの間の一般的な間隔である。なお、一点集中荷重から等分布荷重への換算は、一点集中荷重の測定値を2倍することによって達成される。
本明細書において、「ショルダー部分」とは、楔形の刃先を有する切断刃によって切断された紙の切断面において形成される、切断によって切断前から繊維密度が変化した領域をいう。切断刃の楔形の刃先によって切断された紙の切断面においては繊維が拡がって繊維密度が小さくなり、かつ面積が大きくなる。
本明細書における「約」とは、後に続く数字の±10%の範囲内をいう。
(好ましい実施形態の説明)
以下に提供される実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に限定されるべきではない。本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行なうことができることは、当業者に明らかである。
図1A(本発明の紙製ボードの斜視図)および図1B(本発明の紙製ボードの正面図)に示すように、本発明の紙製ボード10は、3つの紙層(第1のライナ紙層1、第2のライナ紙層2および第3の板紙層3)とコア4とから構成されるボードである。ライナ紙層1およびライナ紙層2とコア4とが、ライナ紙層1およびライナ紙層2がコア4をサンドイッチ様に挟み込むようにそれぞれ接着される。第3の板紙層3は、ライナ紙層1の表面(コア4との接着面と逆の表面)に接着される。
代表的な好ましい実施形態では、本発明の紙製ボード10の製造においては、コア4へのライナ紙層1およびライナ紙層2のサンドイッチ様接着は、ライナ紙層1をロール状に巻き取ったロール体からライナ紙層1を送りだし、ライナ紙層2をロール状に巻き取ったもう1つのロール体からライナ紙層2を送りだしながら、コア4の一方の表面にライナ紙層1を接着し、かつコア4のもう一方の表面にライナ紙層2を接着することにより行われ得る。したがって、この実施形態においては、ライナ紙層1およびライナ紙層2はいずれも巻取可能な巻取紙製品でなければならない。
1つの実施形態において、本発明の特徴は、コア4をライナ紙層1およびライナ紙層2でサンドイッチ様に挟んだ構造体を、さらに板紙層3で補強することによって、木材ボードにも匹敵する程度にまでボードの曲げ強度を高めることができる点にある。より具体的には、例えばライナ紙層1に板紙層3を接着する場合、ライナ紙層1の坪量と板紙層3の坪量との和が、ライナ紙層2の坪量よりも大きくなるように、各紙層が選択される。この追加の板紙層3としては、古紙や再生紙など安価な紙を使用することができるので、コストが大きくかかることはない。
1つの実施形態において、本発明の特徴は、コア4をライナ紙層1および2でサンドイッチ様に挟んだ構造体を、さらに板紙層3で補強することによって、ボード全体の厚み大きくを増やすことなく効率的に曲げ強度を高めることができる点にある。したがって、本発明の紙製ボードは、ボード自体が大きな体積を有することなく、高積載量および/または高耐荷重を実現できる。また、本発明の紙製ボードにおいては、ライナ紙層および板紙層のいずれにも段ボールを用いないため、ボードの曲げ強度において方向のばらつきがなく、かつ/または、湿度による曲げ強度の低下が少ない。これらの特徴から、本発明の紙製ボードは、パレット、型枠などへの使用に適しており、特にボード自体の厚みの増加が輸送費用に直結するパレットへの使用に特に適している。なお、図1A、図1Bおよび他の図面においては、ライナ紙層1の方がライナ紙層2よりも薄い実施形態の図面を示したが、本発明はこれに限定されず、ライナ紙層1とライナ紙層2とは同じ厚さのものであってもよいし、ライナ紙層1の方がライナ紙層2よりも厚いものであってもよい。
1つの実施形態において、本発明のさらなる特徴は、ライナ紙層1として、ライナ紙層2の坪量よりも小さい坪量の紙(好ましくは巻取紙)を用いることにある。本発明者らは、上記のとおり、コアをサンドイッチ様に2つの紙層で挟んだ構造体を、追加の板紙層3で補強することによって、紙製ボード10の全体の曲げ強度を高めることを企図したが、その際に、ライナ紙層1の坪量を、ライナ紙層2の坪量と同じにするのではなくあえて小さくすることによって、板紙層3を接着することによる紙製ボード10の曲げ強度の強まり方が飛躍的に向上することを予想外に発見した(以下の実施例における表2を特に参照のこと)。また、ライナ紙層1として坪量の小さな紙を用いてもよいため、ライナ紙層2と同程度の坪量の紙を用いる場合と比較して、コストが削減できる。当該分野においては、一般的に坪量が小さいほど安価な紙である。実際には、ライナ紙層1として仮留め程度の坪量の紙を用いることができるため、安価に製造することができる。通常であれば、紙製ボード10の曲げ強度を高めるためには、ライナ紙層1とライナ紙層2とで坪量に強弱を付けようと考える理由はなく、当然に、当業者はライナ紙層1の坪量とライナ紙層2の坪量とを同程度にするはずである。したがって、本発明者らの発見は全く予想外であった。また、坪量の小さい紙かつ/または薄い紙をライナ紙層1として用いることにより、ボード構造体を製造する速度を速くすることができ、生産性の向上が達成できる。
ライナ紙層1の坪量と板紙層3の坪量との和が、ライナ紙層2の坪量よりも大きくなるという条件のもとで、ライナ紙層1としては用途に応じて任意の厚さおよび坪量のものを選択することができる。好ましい実施形態においては、ライナ紙層1の坪量は、ライナ紙層2の坪量よりも小さい。例えば、ライナ紙層1の坪量は、約210g/m〜約900g/mであり、好ましくは約500g/m〜約700g/mである。一般的には紙層が同じ材質の場合には、紙層の坪量は厚さに依存する。したがって、ライナ紙層1の厚さは、ライナ紙層2の厚さよりも薄いものであり得る。一般的に、紙製品は重量に対し容積が大きく、製品単価に占める運搬費の比率が大きいため、ライナ紙層1として薄い紙を用いることによって、紙製ボードの厚さ(容積)をさらに低減して運搬費をより安価にすることができる。ライナ紙層1の厚さは、例えば約0.3mm〜約1.2mmであり、より好ましくは約0.7mm〜約1.2mm、好ましくは約0.7mm〜約1.0mmである。ライナ紙層1の坪量がライナ紙層2の坪量よりも小さい好ましい実施形態においては、ライナ紙層1は、コア4の構造を固定するための仮留め程度の強度のものであってもよい。なお、一般的に、0.25mm=約180g/mの坪量である。
ライナ紙層1の坪量と板紙層3の坪量との和が、ライナ紙層2の坪量よりも大きくなるという条件のもとで、ライナ紙層2としては用途に応じて任意の厚さおよび坪量のものを選択することができる。好ましい実施形態においては、ライナ紙層2の坪量は、ライナ紙層1の坪量よりも大きい。例えば、ライナ紙層2の坪量は、約210g/m〜約900g/mであり、好ましくは約500g/m〜約700g/mである。また、ライナ紙層2の厚さは、例えば約0.3mm〜約1.2mmであり、好ましくは約0.5mm〜約1.0mmである。
ライナ紙層1およびライナ紙層2はいずれも、好ましくは巻取可能な巻取紙製品である。このライナ紙層の紙としては、例えば、中芯用の紙(代表的な坪量120g/m〜160g/m)または紙管紙用の紙(代表的な坪量400g/m〜800g/m)を使用することができる。
板紙層3は、コア4へライナ紙層1およびライナ紙層2がそれぞれ接着されるのと同時に、またはその後に、ライナ紙層1の表面に接着される。好ましい実施形態では、板紙層3の接着は、巻取機を用いるコア4へのライナ紙層1およびライナ紙層2の接着の後に行われる。したがって、板紙層3は、巻取可能な紙である必要はなく、巻取不可能な紙、代表的には平版紙を用いることもできるし、当然巻取紙を切断したものを用いることもできる。このように、板紙層3は巻取可能であっても巻取不可能であってもよいため、多種多様な紙を用いることができる。したがって、既に使用済みの平版紙や古紙を用いることによって、紙製ボード10の製造コストを削減することが可能である。好ましい実施形態において、板紙層3の厚さは約1mm〜約4mmである。板紙層3としては、例えば、厚さ1mm程度の紙管紙用の紙(代表的な坪量700g/m)や、それを2〜4枚貼り合わせた紙である。坪量700g/mの紙を4枚貼り合わせたものは、貼り合わせるための糊の重量も含め、坪量約3,150g/mとなる。なお、紙層3は、一層の紙によって構成されてもよいし、複数層の紙によって構成されてもよい。
本発明のボード状構造体(ライナ紙層1、2およびコア4)の厚さは、約15mm〜約40mmであり、より好ましくは約15mm〜約30mmであり、より好ましくは約20mm〜約30mmである。本発明者は、この範囲のボード状構造体に、約1mm〜約4mmの板紙層を追加で設けることによって、ボード全体の厚さを大きく増加させることなく曲げ強度を大きく増加させることができることを予想外に発見した。
代表的な実施形態においては、ライナ紙層1と板紙層3とが接着された層の坪量は、ライナ紙層2の坪量よりも大きい。好ましい実施形態においては、ライナ紙層1とライナ紙層2とは同一の厚さおよび/または坪量の紙である。
本発明の紙製ボード10は、板紙層3を上にして用いられてもよいし、板紙層3を下にして用いられてもよい。紙製ボード10の板紙層3側に荷重される場合、板紙層3側に圧縮力が、反対側のライナ紙層2側には引張力がかかるが、ライナ紙層1および板紙層3が圧縮力に対抗することによって、紙製ボード10に強い曲げ強度を付与することになる。また、紙製ボード10のライナ紙層2側に荷重される場合、ライナ紙層2側に圧縮力が、反対側の板紙層3側には引張力がかかるが、ライナ紙層1および板紙層3が引張力に対抗することによって、やはり紙製ボード10に強い曲げ強度を付与することになる。
好ましい実施形態において、本発明の紙製ボードは輸送用パレットとして用いられる。輸送用パレットとして紙製ボードを用いる場合、輸送する対象物をライナ紙層2側で支持してもよいし、板紙層3側で支持してもよい。本発明を限定するものではないが、紙製ボードの一部分を集中的に荷重するような対象物を輸送する場合には、板紙層3側を上にして対象物を支持するのが好ましく、一般的に紙製ボードのほぼ全面を平均的に荷重するような対象物をフォークリフトで荷役する場合には、その曲げ荷重は下側に圧縮の力が加わるため、板紙層3側を下にしてライナ紙層2で対象物を支持するのが好ましい。
一般的に、輸送用パレットにおいては、パレットのボード下側(フォークリフトの爪によって保持される側)に大きな曲げ強度が要求される。したがって、本発明の紙製ボード構造体を輸送用パレットとして用いる場合、板紙層3を下側(フォークリフトの爪によって保持される側)にすることによって、効率的に所望の曲げ強度を有する輸送用パレットとすることが可能である。また、パレットのように、ボードの上側と下側とで要求される条件が異なる場合、本発明の紙製ボードのように片側を補強することによって、効率的に要求される条件を達成することができる。
図2Aおよび2Bは、本発明の紙製ボード10において用いられるコア4の具体的構造を示す。図2Aは、本発明の紙製ボードのライナ紙層および板紙層の一部を取り除いてコアの表面を露出させた状態の斜視図である。本発明の最も好ましいコア構造が図2Aに示される。図2Aにおいて、コア4は、多数の例えば正弦波の波形が並ぶように整形した紙製芯材21と、その片面でその湾曲凸部に接合された紙製ライナ22とから構成されるコアユニット23を複数段並べて偏平な形状とすることによって形成される。
芯材21の形状は、上記のような波形のほか、V字形、U字形または台形であってもよい。あるいは、図2Bに示すように、コア4は、六角柱の空間24が多数形成されるハニカム形状のコアであってもよい。
コア4の高さHを大きくするほど、紙製ボード10の曲げ強度は大きくなる。コア4の高さHは、紙製ボード10の用途に応じて当業者が適切に決定することができるが、代表的には、ボード状構造体の厚さが約15〜約40mmとなるように決定され、代表的には約20mm、約30mm、または約40mmである。
コア4を形成する紙の坪量は、当業者が用途に応じて適切に決定することができるが、例えば約160g/m〜約280g/mである。
図3において、紙製ボード10の代表的な製造方法を説明する。まず最終的なコア4の高さHよりも大きな高さを有する紙積層体40を作製する(図3A)。この積層体40を、高さHの厚さで切断してコア4を形成し(図3B)、そのコア4をサンドイッチ様にライナ紙層1および2で挟んで接着する(図3C)。次いで、ライナ紙層1の表面に板紙層3を接着して(図3D)、本発明の紙製ボード10を得る。
紙製ボード10は、用途に応じて任意のサイズとすることができ、例えば、1,100mm×1,100mm、800mm×1,000mm、1,000mm×1,200mmなどが挙げられるが、これらに限定されない。紙製ボード10の所望のサイズへの成形は、コア4をサンドイッチ様にライナ紙層1および2で挟んだ後かつ板紙層3の接着前(すなわち、図3Cの状態)に行ってもよいし、ライナ紙層1への板紙層3の接着後(すなわち、図3Dの状態)に行ってもよい。
本発明において、接着のための接着剤は、任意の紙用接着剤であり得る。当業者は、本発明の紙製ボード10の製造のために適切な接着剤を容易に選択することができる。代表的な段ボール用接着剤はでん粉接着剤であり、成分としてでん粉、アルカリ(例えば、苛性ソーダ)、ホウ素化合物(例えば、ホウ砂)、水などを含む。
本発明は、紙層3での補強により曲げ強度が強化され木材ボードに匹敵する曲げ強度を有する紙製のボード状構造体を提供する。板紙層3としては多種多様な紙(例えば、古紙)から選択することができるので、安価な紙を用いることができる。したがって、板紙層3での補強によってコストが大きく上がることはない。さらに、最終的に得られる紙製ボード構造体は木材ボードに匹敵する強度を有する一方で、紙製であるので使用後は完全にリサイクルが可能であり、環境問題への貢献も大きい。
また、板紙層3の種類を選択することによって、紙製ボード構造体の強度を、用途や所定される強度に応じて自由に調整することができる。従来は、コア4の構造やライナ紙層1および2の強度を変更することによって、特に主としてコアの原寸を変更することによって、紙製ボードの強度調整を行っていた。しかしながら、コア4の構造やライナ紙層1および2の強度を変更することは、自動製造ラインにおける各機器およびその設定をその都度変更することを必要とする。これは手間がかかり、また変更のたびにロスも発生し、製造業者にとっては大きな負担となっていた。他方、本発明においては、ライナ紙層1に接着する板紙層3の種類を変更するだけで強度を自由に調整することができるので、強度に応じて製造ラインにおける各機器およびその設定をさほど変更する必要がない。このことによって、製造業者は、紙製ボードの強度ごとに製造ラインの機器および設定を変更する手間なく、多様な強度の紙製ボードを製造することができるようになった。例えば、板紙層3として古紙を複数種類用意しておき、用途に応じて所望の曲げ強度を達成できる坪量または厚さの適切な古紙をその中から選択し、ライナ紙層1および2でサンドイッチさ
れたコアのライナ紙層1側に選択された板紙層3を接着することによって、極めて簡便に所望の曲げ強度を有する紙製ボードを提供することができる。
加えて、本発明の紙製ボードにおいては、ライナ紙層1としてあえて坪量の小さな紙を用いることによってライナ紙層1としても安価な紙を用いることができる。また、坪量の小さい紙かつ/または薄い紙をライナ紙層1として用いることにより、ボード構造体を製造する速度を速くすることができ、生産性の向上が達成できる。
(ボードの厚さと曲げ強度)
本発明は、代表的に、ボードの厚さを大きく増加させずに曲げ強度を大きく増加させることを特徴とするものである。後述する表4のデータを参照すると明らかなように、例えば1000kg/mの曲げ強度が必要であると、現在では、60mmのボード状構造体(表4のボード状構造体60mmかつ板紙なしの場合の曲げ強度1144kg/mを参照のこと)を用意するか、ボード状構造体を2つ重ねて貼り合わせる(例えば、30mmのボード状構造体を2つ貼り合わせる、または20mmのボード状構造体と30mmのボード状構造体とを貼り合わせる)ことによって、そのような重量荷重に耐え得る強度の紙製ボードを提供している。しかしながら、ボード状構造体の厚みが厚くなればなるほど、製造時のコアへのライナ紙層の加熱接着のための熱効率が悪くなる。また、ボード状構造体を2つ以上重ねる構造体は製造工程が煩雑となるし、2つを貼り合わせる面の2つのライナ紙層の分だけ使用する紙に無駄が生じ、非効率的である。しかしながら、本発明によれば、30mmのボード状構造体に1mmの板紙を接着することによって1298kg/mという曲げ強度を達成(表4のボード状構造体30mmかつ板紙1mmの場合を参照のこと)しており、31mmの厚さのボードでありながら1000kgの曲げ強度を達成することができる。現在では60mmの厚さが必要であるのに対して、本発明ではその半分程度の厚さで同程度以上の強度を達成している点に留意すべきである。例えば、従来では厚さ40mm〜60mmのボード状構造体、または30mmのボード状構造体2つを貼り合わせて達成していた曲げ強度を、30mmの厚さのボード状構造体1つに1〜4mm程度の板紙を組み合わせるだけで達成することができる。
本発明の1つの実施形態において、ボード状構造体の厚さは約15〜40mmであり、追加の板紙層の厚さは約1mm〜約4mmである。好ましい実施形態においては、板紙層の厚さは約1mm〜約3mmであり、より好ましい実施形態においては、板紙層の厚さは約1mm〜約2mmである。
1つの実施形態において、本発明は、従来と比較して小さな厚さで、450kg/mの曲げ強度を達成する。具体的には、本発明は、約15mm以上20mm未満のボード状構造体に約1mm〜4mmの板紙が接着された紙製ボードであって、曲げ強度が約450kg/m以上である紙製ボードを提供する。より好ましい実施形態においては、本発明は、約15mm以上20mm未満のボード状構造体に約1mm〜約4mmの板紙が接着された紙製ボードであって、曲げ強度が約500kg/m以上である紙製ボードを提供する。より好ましい実施形態においては、本発明は、約15mm以上20mm未満のボード状構造体に約1mm〜約4mmの板紙が接着された紙製ボードであって、曲げ強度が約550kg/m以上である紙製ボードを提供する。例えば、発明者のこれまでの研究開発によれば、550kg/mの曲げ強度を有するボードであれば、400kgの積載荷重に十分に耐え得る。
別の実施形態において、本発明は、従来と比較して小さな厚さで、650kg/mの曲げ強度を達成する。具体的には、本発明は、約20mm以上30mm未満のボード状構造体に約1mm〜4mmの板紙が接着された紙製ボードであって、曲げ強度が約650kg/m以上である紙製ボードを提供する。より好ましい実施形態においては、本発明は、約20mm以上30mm未満のボード状構造体に約1mm〜約4mmの板紙が接着された紙製ボードであって、曲げ強度が約700kg/m以上である紙製ボードを提供する。より好ましい実施形態においては、本発明は、約20mm以上30mm未満のボード状構造体に約1mm〜約4mmの板紙が接着された紙製ボードであって、曲げ強度が約750kg/m以上である紙製ボードを提供する。例えば、発明者のこれまでの研究開発によれば、700kg/mの曲げ強度を有するボードであれば、500kgの積載荷重に十分に耐え得る。
別の実施形態において、本発明は、従来と比較して小さな厚さで、950kg/mの曲げ強度を達成する。具体的には、本発明は、約30mm以上40mm以下のボード状構造体に約1mm〜4mmの板紙が接着された紙製ボードであって、曲げ強度が約950kg/m以上である紙製ボードを提供する。より好ましい実施形態においては、本発明は、約30mm以上40mm以下のボード状構造体に約1mm〜約4mmの板紙が接着された紙製ボードであって、曲げ強度が約1000kg/m以上である紙製ボードを提供する。より好ましい実施形態においては、本発明は、約30mm以上40mm以下のボード状構造体に約1mm〜約4mmの板紙が接着された紙製ボードであって、曲げ強度が約1100kg/m以上である紙製ボードを提供する。例えば、本発明者のこれまでの研究開発によれば、950kg/mの曲げ強度を有するボードであれば、700kgの積載荷重に十分に耐え得る。
別の実施形態において、本発明は、従来と比較して小さな厚さで、950kg/mの曲げ強度を達成する。具体的には、本発明は、約30mm以上40mm未満のボード状構造体に約1mm〜4mmの板紙が接着された紙製ボードであって、曲げ強度が約950kg/m以上である紙製ボードを提供する。より好ましい実施形態においては、本発明は、約30mm以上40mm未満のボード状構造体に約1mm〜約4mmの板紙が接着された紙製ボードであって、曲げ強度が約1000kg/m以上である紙製ボードを提供する。より好ましい実施形態においては、本発明は、約30mm以上40mm未満のボード状構造体に約1mm〜約4mmの板紙が接着された紙製ボードであって、曲げ強度が約1100kg/m以上である紙製ボードを提供する。
好ましい実施形態において、追加の板紙層の厚さは、ボード状構造体の厚さの約20%以下である。より好ましい実施形態において、追加の板紙層の厚さは、ボード状構造体の厚さの約15%以下である。さらに好ましい実施形態において、追加の板紙層の厚さは、ボード状構造体の厚さの約10%以下である。さらに好ましい実施形態において、追加の板紙層の厚さは、ボード状構造体の厚さの約5%以下である。
(用途)
本発明の紙製ボードは、木材ボードが用いられている種々の用途において、木材ボードの代わりに用いることができる。本発明の紙製ボードの当該用途としては、パレット、型枠などが挙げられるが、これらに限定されない。
・パレット
本発明の紙製ボードは、輸送用パレットへの使用には、特に適している。一般的に、紙製品は重量に対し容積が大きく、製品単価に占める運搬費の比率が大きいため、紙製ボードの厚さ(容積)を低減することは運搬費の低下に直結するからである。
また、例えば追加の板紙層の代わりに段ボールを用いた紙製ボードと比較して、本発明の紙製ボードにおいては、段ボールを用いた場合には構造的に不可避な方向による曲げ強度のばらつきがなく、どの方向においても高い曲げ強度を達成することができ、かつ/または、湿度による曲げ強度の低下が小さい。これらの特徴からもまた、本発明の紙製ボードは、輸送用パレットへの使用に適している。
実際に、本発明の紙製ボードを輸送用パレットに用いて製品を輸送した場合には、製品の受取者は、輸送用パレットとしての紙製ボードを簡単に廃棄することもできるし、リサイクルすることもできる。木材の処理は紙の処理に比べて手間がかかり、困難であるため、木材ボードを輸送用パレットに用いる場合には、製品の受取者はパレットを容易に処理することはできず、場合によっては返却することすらあった。したがって、本発明の紙製ボードを用いることによって、木材ボードを用いた輸送では達成されなかったOne−Wayの効率的な輸送が達成される。
・型枠
本発明の紙製ボードを型枠、例えばコンクリート用型枠に適用した実施形態について説明する。
紙製ボードの表面全体に防水処理を施すことが好ましい。防水処理の方法として、袋状の樹脂フィルム(たとえば、ビニール)中にボードを挿入した状態で袋内の空気を脱気することでボード表面に樹脂フィルムをコーティングする方法が好ましい。しかし、防水処理の方法は上記方法に限定されず、例えば、紙製ボードをパラフィンワックス、フェノール樹脂等の耐水剤や撥水剤の液中に浸漬させて表面をコーティングする方法でも良い。
紙製ボードの表面全体を防水処理することで、雨水やコンクリート打設時に含まれる水分に対して優れた耐水性を得ることができる。
特に、袋状の樹脂フィルムを脱気により紙製ボード表面をコーティングして型枠とする方法は、樹脂フィルムが強固に型枠表面に密着した状態でコーティングされるため、紙製ボードの強度および剛性を向上させることが可能となる。さらに、硬化後のコンクリート製品からほとんど力を要することなく極めて容易に型枠を剥離することが可能となる。
(接着)
コア4と、ライナ紙層1および2との接着のためには、例えば特願2015−43646号(参照によりその内容が本明細書に援用される)に記載の接着技術を用いることができる。
上述のとおり、図3Bにおいて、積層体40を高さHの厚さで切断してコア4を形成する。好ましい実施形態におけるコア4の切断の様子を、図5〜9をさらに参照しながら説明する。コア構成部材400は、コア4の波形を形成する1枚の紙である。コア構成部材400を一点鎖線Cに沿って、切断刃80によって切断し、その切断面に沿ってライナ紙層1および2とほぼ直角に接着する。切断刃80の楔形の刃先が、被切断物であるコア構成部材400に差し込まれ、切断刃80を前進するにつれて、コア構成部材400が刃先の両側に押し広げられながら、切断面410を形成する(図5Bおよび図5Cを参照のこと。「ショルダー部」という)。切断面410付近のコア構成部材400は、切断刃によって切断される際に紙粉となりにくく、切断後もなおコア構成部材400に残存する。これによって、切断面410においてはコア構成部材400を構成する繊維が拡がって繊維密度が小さくなり、かつ面積が大きくなる(「ショルダー部分」が形成される)。なお、切断面410は、切断によってコア構成部材400に生じた面のみを指すのではなく、切断によって切断前から繊維密度が変化した領域を指すことに留意すべきである。
図5Aにおいて、一点鎖線Cできれいに切断したと仮定した場合のコア構成部材400の断面(つまり、一点鎖線Cを含む縦断面)が、本発明における「切断前の仮想の対応面」である。接着面410の面積は、この切断前の仮想の対応面よりも大きいことが明確に理解される。
図6Aに、図5A〜5Cのように切断刃80で切断して得られたコア構成部材400の切断面410に、別の紙製部材420(具体的には、ライナ紙層1または2)を接着する様子を示す。上記のとおり、コア構成部材400の切断面410は、切断刃80による切断によって、切断前の仮想の対応面よりも広く大きな接着面を確保できることが明らかである。また、切断面410の繊維密度は切断前のコア構成部材400の繊維密度よりも小さいため、接着剤が浸透しやすく、かつ絡まりやすい。これにより、コア構成部材400の切断面410の面積が、切断前の仮想の対応面よりも広がっていることと相俟って、高い接着強度が実現される。
図6Bは、一般的な切断刃によって切断されたコア構成部材400と、その切断面への別の紙製部材420の接着の様子を示す。図6Aと比較して、一般的な切断刃によって切断されたコア構成部材400の切断面では、接着面が小さく、また切断面およびその近傍のコア構成部材400において繊維密度に変化がないため、接着剤が切断面で浸透しやすくなっていない。従って、好ましい実施形態の楔形の切断刃によって切断されたコア構成部材400の切断面に比べると、別の紙製部材420との接着力が弱い。
図7Aおよび7Bは、上記の好ましい接着方法のための切断刃を示し、図7Cおよび7Dは一般的な接着方法のための切断刃を示す。図7Aおよび7Bに示す切断刃(クリーンカットソー)は刃の先端が楔形にとがっており、刃先が被切断物に差し込まれ、切断刃が前進するにつれて、被切断物が刃先の両側に押し広げられてゆく。他方、図7Cおよび7Dに示す一般的な切断刃(チップソー)は、刃先が左右外側向きに傾斜したチップとフラットなチップが並んだものであり、このチップ巾分を削り取って紙粉に変えながら被切断物を切断してゆく。したがって、図7Aおよび7Bの切断刃による切断では、被切断物の切断部分を除去するのではなく、切断部分を解しながら分離することで紙を紙粉に変えることなく切断するのに対して、図7Cおよび7Dの切断刃による切断では被切断物の切断部分を削り取って紙粉に変えて除去する。
図8Aおよび図8Bに、好ましい切断方法による切断と一般的な切断方法による切断との模式図を示す。図8Aは、コア構成部材400を、Cに沿って本発明による切断刃80で切断する様子を示す。楔形の切断刃80が、Cに沿ってコア構成部材400の斜線部分を左右に押し拡げながら切断してゆく。切断刃80の刃先が被切断物に差し込まれ、切断刃が前進するにつれて、被切断物が刃先の両側に押し広げられてゆくことが理解される。図8Bは、コア構成部材400を、Cに沿って一般的な切断刃80’で切断する様子を示す。切断刃80’は、左右外側向きに傾斜したチップとフラットなチップが並んだものであり、このチップ巾分(図8Bの斜線部分)を削り取って紙粉に変えながら被切断物を切断してゆくことが理解される。切断の巾(それぞれ図8Aおよび図8Bの斜線部分)が、図8Bのほうが大きいことに留意されたい。
図9Aは、上記の好ましい切断方法による、被切断物である部材の切断面の様子を示し、図9Bは、一般的な切断方法による、被切断物である部材の切断面の様子を示す。図9Aおよび図9Bに示す写真は、同じ部材を異なる切断刃でそれぞれ切断した結果である。図9Aおよび図9Bを対比すれば明らかなように、図7Aおよび7Bに示す切断刃(クリーンカットソー)による切断によって、図7Cおよび7Dに示す一般的な切断刃(チップソー)による切断よりも、切断面において繊維が拡がって繊維密度が小さくなり、かつ面積が大きくなっていることが分かる。
すなわち、図7Aおよび7Bに示す切断刃(クリーンカットソー)による切断によって、コア構成部材400の切断面410の繊維密度が切断前のコア構成部材400の繊維密度より小さいため、切断面410に接着剤が浸透しやすく、かつ接着剤が繊維に絡みやすくなり、高い接着強度が実現できる。さらに、切断によってコア構成部材400の切断面410が、コア構成部材400の切断前の仮想の対応面よりも大きくなるため、広い接着面を確保することができ、高い接着強度が実現できる。
好ましい楔形の切断刃を用いた接着は、コア4とライナ層1および/または2との垂直方向の高い接着強度での接着を達成することができる。例えば紙製パレットのように、ボードに大きな荷重がかかる場合には、コアとライナ紙層との接続部にも大きな荷重がかかる。しかしながら、上記のような好ましい接着方法によってコアとライナ紙層とを接着すると、接続部が安定し、それによってボード全体の高い曲げ強度を達成することができる(実施例7を参照のこと)。
(他の実施形態)
以上、本発明を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供するものではない。従って、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
(実施例1)
本発明の紙製ボードとして、図3A〜Dに示す製造方法に従って、ライナ紙層1の坪量210g/m(厚さ約0.3mm)、ライナ紙層2の坪量700g/m(厚さ約1.0mm)、コア4に用いた紙の坪量220g/m、ボード状構造体(コア4、ライナ紙層1および2)の厚さ30mmで、板紙層3を厚さ(坪量)1mm(約700g/m)(実施例1−1)、2mm(約1,400g/m)(実施例1−2)、および4mm(約2,800g/m)(実施例1−3)の3つのボードを製造した。具体的には、ロールから巻外したコア4のライナ紙層1およびライナ紙層2それぞれとの接着面にでん粉を主成分とする接着剤を塗布した後、ライナ紙層1およびライナ紙層2を接着面にサンドイッチ様に重ねて加圧し、両紙層をコアに接着させた。その後、ライナ紙層1に水性酢酸ビニル系樹脂(例えば、CN−135、コニシ株式会社、大阪、日本)接着剤を用いて板紙層3を接着した。また、基準として板紙層3を設けないボード(基準実施例1)を製造した。
(実施例2)
実施例1と同様に、実施例2として、ライナ紙層1の坪量700g/m(厚さ約1.0mm)、ライナ紙層2の坪量700g/m(厚さ約1.0mm)、コア4に用いた紙の坪量280g/m、ボード状構造体の厚さ30mmで、板紙層3を厚さ(坪量)1mm(約700g/m)(実施例2−1)、2mm(約1,400g/m)(実施例2−2)、および4mm(約2,800g/m)(実施例2−3)の3つのボードを製造した。また、基準として板紙層3を設けないボード(基準実施例2)を製造した。
(実施例3)
実施例1および2と同様に、実施例3として、ライナ紙層1の坪量700g/m(厚さ約1.0mm)、ライナ紙層2の坪量700g/m(厚さ約1.0mm)、コア4に用いた紙の坪量280g/m、ボード状構造体の厚さ40mmで、板紙層3を厚さ(坪量)1mm(約700g/m)(実施例3−1)、2mm(約1,400g/m)(実施例3−2)、および4mm(約2,800g/m)(実施例3−3)の3つのボードを製造した。また、基準として板紙層3を設けないボード(基準実施例3)を製造した。
(実施例4)
実施例4として、ライナ紙層1の坪量700g/m(厚さ約1.0mm)、ライナ紙層2の坪量700g/m(厚さ約1.0mm)、コア4に用いた紙の坪量280g/m、ボード状構造体の厚さ50mmで、板紙層3を厚さ(坪量)1mm(約700g/m)(実施例4−1)、2mm(約1,400g/m)(実施例4−2)、および4mm(約2,800g/m)(実施例4−3)の3つのボードを製造した。また、基準として板紙層3を設けないボード(基準実施例4)を製造した。
なお、上記のいずれのボードも、サイズは横500mm×縦333mmとした。また、ライナ紙層1およびライナ紙層2としては巻取紙を用い、板紙層3としては平版紙を用いた。
以下に、実施例1〜実施例4の各ボードの条件を表にまとめる。

(曲げ強度試験)
表1の各構造体について、一点集中荷重時の曲げ強度を岡山県工業技術センターにおいて試験した。試験前に、各ボードを23℃、湿度50%条件に24時間静置した。その後、平成26年12月3日に、10mm/分の速度での一点集中荷重(図4の力点30による荷重)によって各構造体の400mmスパンでの曲げ強度(Kg)を計測した。試験開始時(AM10:05)の温度は12℃、湿度は38%であり、試験終了時(AM11:45)の温度は17℃、湿度は33パーセントであった。図4における支点31と支点32との間の距離は400mmであった。
以下に、各ボードの曲げ強度実測値(Kg)を表にまとめる。
なお、表2における「倍数」とは、それぞれ対応する基準実施例の曲げ強度実測値からの変化倍数を示す。実施例1−1〜1−3は基準実施例1からの、実施例2−1〜2−3は基準実施例2からの、実施例3−1〜3−3は基準実施例3からの、実施例4−1〜4−3は基準実施例4からの、曲げ強度実測値の変化倍数である。
表2から分かるように、全ての実施例において、板紙層3をライナ紙層1に接着することによって、紙製ボード10の曲げ強度実測値が顕著に強化された。特に、上記の結果から、1mm程度の追加の板紙層3を設けるだけで、ボード状構造体の厚さを10mm増加させるのに匹敵する、もしくはそれを上回る曲げ強度の増加が達成できることを見出した(具体的には、実施例2−1と基準実施例3、実施例3−1と基準実施例4の曲げ強度を比較されたい)。このことから、本発明者は、追加の板紙層3の貼付により、ボードの厚さを大きく増加させることなく効率的にボードの曲げ強度を高めることができることを見出した。
さらに、実施例1−1〜1−3において、板紙層3の坪量を高めたときにボードの曲げ強度実測値が基準実施例1に対して増加する倍率は、基準実施例2に対して実施例2−1〜2−3において、基準実施例3に対して実施例3−1〜3−3において、そして基準実施例4に対して実施例4−1〜4−3においてそれぞれ増加する倍率と比較して、顕著に高かった。これは、ライナ紙層1の坪量をライナ紙層2の坪量よりも小さくすることによって、板紙層3で補強したときに、その補強の効果が極めて効率的にボード全体の曲げ強度を強化させることを実証している。
特に、実施例1−3と実施例2−3とを比較すると、実施例2−3においてはライナ紙層1の坪量が210g/mから700g/mに高くなり、コアの紙の坪量が220g/mから280g/mに高くなっている(ライナ紙層2、板紙層3、およびコア高さは条件同一)にも拘わらず、ボード全体の曲げ強度実測値は実施例1−3の方が優れている点に留意すべきである。実施例1−3では、紙層1およびコアとして坪量が実施例2−3よりも弱いものを使用することによって実施例2−3よりもコストが大幅に削減されているにも拘わらず、ボード全体としては高い曲げ強度を有した。これは、本発明の優れた顕著な効果を実証する結果である。
また、実施例1−3と実施例4−1とを比較すると、実施例1−3においては板紙層3として坪量2,800g/mの平版紙を用いたのに対して、実施例4−1では板紙層3を設けず、代わりにコアの紙の坪量が220g/mから280g/mに増加し、かつボードの厚さが30mmから50mmへと増加している。このコアの条件変更に伴うコスト増加は、板紙層3として坪量2,800g/mの平版紙を用いることによるコスト増加を大きく上回るものである点にも留意すべきである。板紙層3の平版紙としては使用済みの古紙など多種多様の安価な紙を用いることができるからである。このように、実施例1−3と実施例4−1とを比較すると、実施例1−3の方が安価であるにも拘わらず、実施例1−3の方が高い曲げ強度を有した。これも、本発明の優れた顕著な効果を実証する結果である。
以下に、各実施例において用いたボードの曲げ強度(Kg/m)を示す。なお、各ボードの重量は1m巾と想定した数値であるので、それに合わせて曲げ強度実測値についても1m巾換算を行っている。具体的には、各ボードのサイズは横500mm×縦333mmであるので、それを1m巾換算の曲げ強度にするために、各ボードの曲げ強度実測値に3を乗算した。さらに、一点集中荷重によって測定された数値を等分布荷重の数値に変換するために、2倍した。
上記のとおり、各実施例ともに、基準実施例に対してボード重量当たりの曲げ強度が顕著に大きい。このことは、本発明の効率的に紙製ボード構造体の強度を増強することができるという顕著な効果を実証している。
また、例示的な木製ボードについて上記実施例と同様の試験を行ったところ、その曲げ強度は811.0Kgであった。この数値と、上記実施例1−1の曲げ強度932.7Kgとを比較すると、本発明の紙製ボード構造体の強度が木製ボードに匹敵するか、むしろそれよりも優れたものであることが明らかとなる。
(実施例5)
実施例4の結果から、本発明者は、追加の板紙層3の貼付により、ボードの厚さを大きく増加させることなく効率的にボードの曲げ強度を高めることができる可能性を見出し、これを本実施例においてさらに詳細に検討した。
以下において、ライナ紙層1および2として500g/m(厚さ約0.7mm)の巻取紙を用い、板紙として以下の1mm〜4mmのものを用いた場合の、ボード状構造体の厚さと曲げ強度とを示す。各ボードは、23℃、湿度50%条件に24時間静置した。その後、10mm/分の速度での一点集中荷重(図4の力点30による荷重)での測定値を換算することによって各構造体の曲げ強度(Kg/m)を計測した。

表4の結果から分かるように、ボード状構造体の厚さ(ひいては、ボード全体の厚さ)を厚くするよりも、1mm〜4mmの板紙を貼ることによって、曲げ強度が顕著に増加した。このことから、本発明者は、1mm〜4mmの板紙をボード状構造体と組み合わせることによって、ボード状構造体の厚さの増加を押さえつつ、ボードの高い曲げ強度を実現できることを発見した。表4の結果から、15mm〜40mmのボード状構造体の片側に1mm〜4mmの板紙を接着することによって、曲げ強度の顕著な増加が達成されることが示された。例えば、厚さ30mmのボード状構造体にその約3%ほどの厚さである1mmの板紙を接着することによって、60mmの厚さのボード状構造体をも上回る曲げ強度が達成されている。
(実施例6:板紙と段ボールとの比較)
産業用の紙としては、板紙だけでなく段ボールを用いる選択肢も考えられるため、ボード状構造体に追加する紙層として板紙を用いる場合と段ボールを用いる場合とで、最終的なボードの曲げ強度を比較した。
なお、本実施例のボード構造体においては、ライナ紙層1および2として700g/m(厚さ約1mm)の巻取紙を用いた。ボード状構造体の厚さは30mmとした。各ボードは、温度23℃、湿度50%条件に24時間静置した。その後、10mm/分の速度での一点集中荷重(図4の力点30による荷重)での測定値を換算することによって各構造体の曲げ強度(Kg/m)を計測した。

表5と表6との比較から明らかなように、1mm(坪量0.7kg/m)の板紙を接着したことによる曲げ強度1,340.8kg/mは、5mm(坪量0.626kg/m)の段ボールを接着した場合の横目の曲げ強度1,087.8kg/m、および縦目の曲げ強度900.0kg/mを顕著に上回った。それどころか、厚さ8mm(坪量1.034kg/m)の段ボールを接着した場合の曲げ強度すら上回ったことは驚くべきことであった。板紙を用いた場合は、段ボールを用いた場合に比べて、厚さを増やすことなく曲げ強度を増加させることができるため、厚み当たりの曲げ強度や、坪量当たりの曲げ強度が顕著に大きい。
追加の紙層として段ボールを用いた場合には、横目と縦目とで曲げ強度に大きな相違が生じている点に留意すべきである。この曲げ強度の相違は、ボードをパレット上板として使用する場合には重要になり得る。特に、「四方差し」と呼ばれるX・Y両方向からリフト爪が差し込めるタイプのパレットにおいては、強度の弱い縦目の曲げ強度を基準とせざるを得なくなるからである。これを補うために段ボールを2枚クロス貼りしたものも存在するが、その厚さがさらに大きくなることは避けられない。この点、板紙を接着したボードでは方向による強度差がないため、有利である。
さらに、湿度による影響を試験した。「23℃・50%」のボードについては温度23℃、湿度50%条件に24時間、「40℃・90%」のボードについては温度40℃、湿度90%条件に静置した。その後、10mm/分の速度での一点集中荷重(図4の力点30による荷重)での測定値を換算することによって各構造体の曲げ強度(Kg/m)を計測した。

上記表7および表8から明らかなように、追加の紙層として段ボールを接着した場合には湿度の影響によって曲げ強度の低下が顕著に大きい。これは、高温・高湿度条件で長時間の運搬に用いられるパレット用途においては特に致命的となり得る。
(実施例7)
図7Aおよび7Bに示す切断刃での切断によって製造されたコアにライナ紙層を接着し、さらに追加の板紙層を貼付した場合と、図7Cおよび7Dに示す一般的な切断刃での切断によって製造されたコアにライナ紙層を接着し、さらに追加の板紙層を貼付した場合とを比較した。
図7Cおよび7Dに示す一般的な切断刃を用いて製造したボードと比較して、図7Aおよび7Bに示す好ましい切断刃を用いて製造されたボードは、より安定して高い曲げ強度を達成した。すなわち、一般的な切断刃を用いて製造したボードにおいては、接着部が高い曲げ強度に耐えることができないことがあるが、好ましい切断刃を用いて製造したボードにおいてはそのようなことがなかった。
本発明は、安価で高い曲げ強度を有する紙製ボード構造体の提供において有用である。本発明によって提供される紙製ボード構造体は木材ボードに匹敵する強度を安価に達成することができ、例えばパレットや型枠としての使用に適している。そして、本発明の紙製ボード構造体は、その全てがリサイクル可能であるため、木材資源の使用量を削減することによって環境問題に大きく寄与することができる。
1 紙層1
2 紙層2
3 紙層3
4 コア
10 紙製ボード構造体
21 芯材
22 ライナ
23 コアユニット

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  1. 本明細書に記載の発明。
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