JP2017137403A - 芳香族ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】色相改善と耐熱変色の抑制のためにポリブチレングリコール化合物等を配合した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の射出成形時のガス発生とそれによる金型汚染を防止した工業的有利な成形品の製造。
【解決手段】芳香族ポリカーボネート樹脂(A)に、リン系安定剤(B)として、スピロ環骨格を有するホスファイト系安定剤(B−I)及び式(II)で表されるホスファイト系安定剤(B−II)と、数平均分子量200〜1000のポリブチレングリコール化合物(C)を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形時の金型温度を55℃以上で射出成形する成形品の製造。

(R21〜R25は各々独立にH、C6〜20のアリール基又はC1〜20のアルキル基)
【選択図】図1

Description

本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法に関する。詳しくは、本発明は、導光部材として好適な、色相及び耐熱変色抑制効果に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂成形品を、添加剤の分解に起因する発生ガスによる金型汚染を防止して工業的に有利に製造する方法に関する。
近年、欧州及び北米等においては、自動車のヘッドランプ及びリアランプに常時点灯するデイライトを設置することにより、昼間の歩行者や対向車からの視認性を高める、自動車のデイライト化が進んでいる。デイライトは一般に、導光部材と、導光部材に光を入射させる光源とを備えている。自動車のデイライトの近傍には、一般的に夜間用の通常の光源としてハロゲンランプ等の白熱灯が設けられているため、導光部材は、デイライトの光源から発生する熱に加え、白熱灯から発生する熱によっても加熱される。このため、導光部材には優れた耐熱耐久性が求められる。
従来、導光部材の構成材料として、例えば下記特許文献1に、芳香族ポリカーボネート樹脂にリン系安定剤及び脂肪酸エステルを配合した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が開示されているが、この芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を用いて自動車用照明装置の導光部材を成形した場合、成形過程で受ける熱で芳香族ポリカーボネート樹脂が劣化し、得られる成形品は僅かながら黄色味を帯びることがある。また、成形時に黄色味を帯びなくても、導光部材は、導光部材周辺の光源の熱に長時間晒されることで劣化して黄変する。
特許文献2には、耐黄変性を改善し、加熱条件下に長時間晒された場合であっても黄変の問題が小さい芳香族ポリカーボネート樹脂組成物として、芳香族ポリカーボネート樹脂に、2種類のホスファイト系安定剤と、脂肪酸エステルを配合した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。
本発出願人は、これらの従来の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物よりも更に良好な色相を有すると共に、更なる耐熱黄変抑制効果を奏する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物として、特定の2種類のホスファイト系安定剤と、ポリブチレングリコール化合物とエポキシ化合物を配合してなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を先に提案した(特許文献3)。
特開2007−204737号公報 特開2015−189879号公報 特願2015−231998
特許文献3の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、色相が良好で且つ良好な耐熱変色抑制効果を示すものであるが、射出成形時にガスが発生し、発生したガスにより金型が汚染される不具合(モールドデポジット)が見出された。射出成形時の金型汚染は、転写不良や光透過性等の品質低下を引き起こす上に、メンテナンス頻度を押し上げるものとなり、作業性、生産性を低下させる原因となる。
本発明は、このような芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の射出成形時のガス発生、それに起因する金型汚染を防止して、工業的有利に芳香族ポリカーボネート樹脂成形品を製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者は上記課題を解決するべく、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の射出成形時のガス発生の原因にについて鋭意研究を重ねた結果、色相改善及び耐熱黄変抑制のための添加剤であるポリブチレングリコール化合物等が射出成形時に金型内で分解することがガス発生の原因であること、このポリブチレングリコール化合物等の分解で発生するガスは、金型温度を上げることにより、金型外に放出させることができ、これにより金型汚染を防止することができることを見出した。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] 芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と、該芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、リン系安定剤(B)として、スピロ環骨格を有するホスファイト系安定剤(B−I)0.005〜0.1質量部、及び下記一般式(II)で表されるホスファイト系安定剤(B−II)0.01〜0.5質量部と、数平均分子量200〜1000のポリブチレングリコール化合物(C)0.05〜2質量部とを含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を射出成形して芳香族ポリカーボネート樹脂成形品を製造する方法であって、成形時の金型温度が55℃以上であることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法。
(式(II)中、R21〜R25は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
[2] [1]において、前記スピロ環骨格を有するホスファイト系安定剤(B−1)が下記一般式(I)で表されることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法。
(式(I)中、R10A及びR10Bはそれぞれ独立に、炭素原子数1〜30のアルキル基又は炭素原子数6〜30のアリール基を表す。)
[3] [2]において、前記スピロ環骨格を有するホスファイト系安定剤(B−1)が下記一般式(I−B)で表される化合物であることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法。
(式(I−B)中、R11〜R18は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を示し、R19〜R22は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、a〜dは、それぞれ独立に0〜3の整数を示す。)
[4] [3]において、前記スピロ環骨格を有するホスファイト系安定剤(B−1)が下記構造式(I−b)で表される化合物であることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法。
[5] [1]ないし[4]のいずれかにおいて、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が更に、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対してエポキシ化合物(D)を0.0005〜0.2質量部含有することを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法。
[6] [1]ないし[5]のいずれかにおいて、前記芳香族ポリカーボネート樹脂成形品が導光部材であることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法。
[7] [6]において、前記導光部材が自動車用照明装置に内蔵される導光部材であることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法。
本発明によれば、色相改善と耐熱変色の抑制のためにポリブチレングリコール化合物等を配合した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の射出成形時のガス発生、それに起因する金型汚染を防止して、工業的有利に芳香族ポリカーボネート樹脂成形品を製造することができる。
実施例及び比較例における金型汚染性の評価結果を示す金型の写真である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と、該芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、リン系安定剤(B)として、スピロ環骨格を有するホスファイト系安定剤(B−I)0.005〜0.1質量部、及び下記一般式(II)で表されるホスファイト系安定剤(B−II)0.01〜0.5質量部と、数平均分子量200〜1000のポリブチレングリコール化合物(C)0.05〜2質量部とを含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(以下、「本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物」と称す場合がある。)を射出成形して芳香族ポリカーボネート樹脂成形品を製造する方法であって、成形時の金型温度が55℃以上であることを特徴とする。
(式(II)中、R21〜R25は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
以下に、まず、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物について説明し、その後、この芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を射出成形する本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法について説明する。
[芳香族ポリカーボネート樹脂組成物]
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と、該芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、リン系安定剤(B)として、スピロ環骨格を有するホスファイト系安定剤(B−I)0.005〜0.1質量部、及び上記一般式(II)で表されるホスファイト系安定剤(B−II)0.01〜0.5質量部と、数平均分子量200〜1000のポリブチレングリコール化合物(C)0.05〜2質量部とを含有するものであり、好ましくは更にエポキシ化合物(D)を芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して0.0005〜0.2質量部含有する。
<芳香族ポリカーボネート樹脂(A)>
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)は、芳香族ヒドロキシ化合物と、ホスゲン又は炭酸のジエステルとを反応させることによって得られる芳香族ポリカーボネート重合体である。上記芳香族ポリカーボネート重合体は分岐を有していてもよい。芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、ホスゲン法(界面重合法)、溶融法(エステル交換法)等の従来法によることができる。
芳香族ジヒドロキシ化合物の代表的なものとしては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。
上記芳香族ジヒドロキシ化合物の中では、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)が特に好ましい。
上記芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種類を単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)を製造する際に、上記芳香族ジヒドロキシ化合物に加えてさらに分子中に3個以上のヒドロキシ基を有する多価フェノール等を少量添加してもよい。この場合、上記芳香族ポリカーボネート樹脂(A)は分岐を有するものになる。
上記3個以上のヒドロキシ基を有する多価フェノールとしては、例えばフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどのポリヒドロキシ化合物、あるいは3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチン、5,7−ジクロルイサチン、5−ブロムイサチン等が挙げられる。この中でも、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシルフェニル)エタン又は1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼンが好ましい。上記多価フェノールの使用量は、上記芳香族ジヒドロキシ化合物を基準(100モル%)として好ましくは0.01〜10モル%となる量であり、より好ましくは0.1〜2モル%となる量である。
エステル交換法による重合においては、ホスゲンの代わりに炭酸ジエステルがモノマーとして使用される。炭酸ジエステルの代表的な例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等に代表される置換ジアリールカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等に代表されるジアルキルカーボネートが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、1種類を単独で、又は2種類以上を混合して用いることができる。これらのなかでも、ジフェニルカーボネート、置換ジフェニルカーボネートが好ましい。
また上記の炭酸ジエステルは、好ましくはその50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下の量を、ジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換してもよい。代表的なジカルボン酸又はジカルボン酸エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル及びイソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。このようなジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで炭酸ジエステルの一部を置換した場合には、ポリエステルカーボネートが得られる。
エステル交換法により芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、触媒が使用される。触媒種に制限はないが、一般的にはアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物が使用される。中でもアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が特に好ましい。これらは、1種を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。エステル交換法では、上記触媒をp−トルエンスルホン酸エステル等で失活させることが一般的である。
上記芳香族ポリカーボネート樹脂(A)には、難燃性等を付与する目的で、シロキサン構造を有するポリマー又はオリゴマーを共重合させることができる。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は、10,000〜22,000であることが好ましい。芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量が10,000未満である場合、得られる成形品の機械的強度が不足し、十分な機械的強度を有するものを得ることができない場合がある。また、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量が22,000を超える場合、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の溶融粘度が大きくなるため、例えば芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を射出成形などの方法で成形して導光部材等の長尺状の成形品を製造する際に優れた流動性を得ることができず、また、樹脂の剪断による発熱量が大きくなり、熱分解により樹脂が劣化する結果、優れた色相を有する成形品を得ることができない場合がある。
上記芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量はより好ましくは12,000〜18,000であり、さらに好ましくは14,000〜17,000である。
ここで粘度平均分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、20℃の温度で測定した溶液粘度より換算して求めたものである。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)は、粘度平均分子量の異なる2種以上の芳香族ポリカーボネート樹脂を混合したものであってもよく、また粘度平均分子量が上記範囲外である芳香族ポリカーボネート樹脂を混合して上記粘度平均分子量の範囲内としたものであってもよい。
<リン系安定剤(B)>
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、リン系安定剤(B)として、スピロ環骨格を有するホスファイト系安定剤(B−I)(以下、単に「ホスファイト系安定剤(B−I)」と称す場合がある。)と、下記一般式(II)で表されるホスファイト系安定剤(B−II)(以下、単に「ホスファイト系安定剤(B−II)」と称す場合がある。)とを含有するものである。
(式(II)中、R21〜R25は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
<ホスファイト系安定剤(B−I)>
ホスファイト系安定剤(B−I)としては、スピロ環骨格を有するホスファイト系化合物であればよく、特に制限はないが、例えば、下記一般式(I)で表されるものが好ましい。
(式(I)中、R10A及びR10Bはそれぞれ独立に、炭素原子数1〜30のアルキル基又は炭素原子数6〜30のアリール基を表す。)
上記一般式(I)中、R10A,R10B表されるアルキル基は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましい。R10A,R10Bがアリール基である場合、以下の一般式(I−1)、(I−2)、又は(I−3)のいずれかで表されるアリール基が好ましい。
(式(I−1)中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を表す。式(I−2)中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を表す。)
ホスファイト系安定剤(B−I)としては、例えば、下記構造式(I−A)で表されるビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられる。
ホスファイト系安定剤(B−I)としてはまた、下記一般式(I−B)で表される化合物も好ましいものとして挙げられる。
(式(I−B)中、R11〜R18は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を示し、R19〜R22は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、a〜dは、それぞれ独立に0〜3の整数を示す。)
上記一般式(I−B)において、R11〜R18は、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることが好ましく、また、a〜dは、0であることが好ましい。
上記一般式(I−B)で表される化合物としては、下記構造式(I−b)で表されるビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましい。
上記のホスファイト系安定剤(B−I)は、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
<ホスファイト系安定剤(B−II)>
ホスファイト系安定剤(B−II)は、前記一般式(II)で表されるものである。
前記一般式(II)中、R21〜R25で表されるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基及びオクチル基などが挙げられる。
ホスファイト系安定剤(B−II)としては、特に、下記構造式(II−A)で表される(トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが好ましい。
上記のホスファイト系安定剤(B−II)は、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
<リン系安定剤(B)の含有量>
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物において、上記のホスファイト系安定剤(B−I)の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.005〜0.1質量部である。ホスファイト系安定剤(B−I)の含有量が0.005質量部未満であると、十分な耐熱黄変抑制効果を得ることができない。ホスファイト系安定剤(B−I)の含有量が0.1質量部を超えても耐熱黄変抑制効果が低下する傾向にあり、また成形時のガスが多くなったり、モールドデポジットによる転写不良が起こったりするため、得られる成形品の光透過率が低下するおそれがある。ホスファイト系安定剤(B−I)の含有量は、好ましくは芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して0.008〜0.08質量部であり、さらに好ましくは0.01〜0.05質量部である。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物において、上記のホスファイト系安定剤(B−II)の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜0.5質量部である。ホスファイト系安定剤(B−II)の含有量が0.01質量部未満であると、ホスファイト系安定剤(B−II)を配合することによる初期色相及び耐熱黄変抑制効果の更なる改善効果を十分に得ることができない。ホスファイト系安定剤(B−II)の含有量が0.5質量部を超えると、成形時のガスが多くなったり、モールドデポジットによる転写不良が起こったりするため、得られる成形品の光透過率が低下するおそれがある。ホスファイト系安定剤(B−II)の含有量は、好ましくは芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して0.03〜0.3質量部であり、より好ましくは0.05〜0.2質量部である。
ホスファイト系安定剤(B−I)とホスファイト系安定剤(B−II)とを併用することによる効果をより有効に得るために、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物中のホスファイト系安定剤(B−I)とホスファイト系安定剤(B−II)の含有質量比は1:1〜15、特に1:2〜10、とりわけ1:3〜7となるような量であることが好ましく、ホスファイト系安定剤(B−I)とホスファイト系安定剤(B−II)の合計の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して0.05〜0.2質量部であることが好ましく、0.1〜0.15質量部であることがより好ましい。
<ポリブチレングリコール化合物(C)>
本発明で用いるポリブチレングリコール化合物(C)は、下記一般式(III)で表される分岐型のグリコール化合物である。
(式(III)中、Rはエチル基を示し、X及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜23の脂肪族アシル基、又は炭素数1〜23のアルキル基を示し、nは重合度を示し、後述のポリブチレングリコール化合物(C)の数平均分子量を満たす整数である。)
分岐型ポリブチレングリコール化合物としては、一般式(III)中、X,Yが水素原子であるポリブチレングリコールが好ましい。
ポリブチレングリコール化合物(C)として、その片末端あるいは両末端が脂肪酸またはアルコールで封鎖されていてもその性能発現に影響はなく、脂肪酸エステル化物またはエーテル化物を同様に使用することができ、従って、一般式(III)中のX及び/又はYは炭素数1〜23の脂肪族アシル基又はアルキル基であってもよい。
脂肪酸エステル化物としては、直鎖状又は分岐状脂肪酸エステルのいずれも使用でき、脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよく不飽和脂肪酸であってもよい。また、一部の水素原子がヒドロキシル基などの置換基で置換されたものも使用できる。
脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、炭素数1〜23の1価又は2価の脂肪酸、例えば、1価の飽和脂肪酸、具体的には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ベヘン酸や、1価の不飽和脂肪酸、具体的には、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸、また炭素数10以上の二価の脂肪酸、具体的には、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、タプシア酸及びデセン二酸、ウンデセン二酸、ドデセン二酸が挙げられる。
これらの脂肪酸は1種又は2種以上組み合せて使用できる。前記脂肪酸には、1つ又は複数のヒドロキシル基を分子内に有する脂肪酸も含まれる。
ポリブチレングリコールの脂肪酸エステルの好ましい具体例としては、一般式(III)において、X及びYが炭素数18の脂肪族アシル基であるポリブチレングリコールステアレート、X及びYが炭素数22の脂肪族アシル基であるポリブチレングリコールベヘネートが挙げられる。
ポリブチレングリコールのアルキルエーテルを構成するアルキル基としては、直鎖状又は分岐状のいずれでもよく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、ラウリル基、ステアリル基等の炭素数1〜23のアルキル基が挙げられ、このようなポリブチレングリコール化合物(C)としては、ポリブチレングリコールのアルキルメチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、ラウリルエーテル、ステアリルエーテル等が好ましく例示できる。
本発明においては、上記のポリブチレングリコール化合物(C)として、数平均分子量200〜1000のものを用いる。ポリブチレングリコール化合物(C)の数平均分子量は、好ましくは300以上、さらに好ましくは400以上であり、好ましくは900以下、さらに好ましくは800以下である。ポリブチレングリコール化合物(C)の数平均分子量が200未満であると、射出成形時に分解し易く、ガスが発生し易い。また、得られる成形品の初期色相改善が不十分になる可能性がある。ただし、本発明では、金型温度55℃以上と、比較的高い金型温度で射出成形することから、発生したガスを金型外へ放出し易いため、低分子量であることによる金型汚染の問題は改善される。ポリブチレングリコール化合物(C)の数平均分子量が1000を超えると、低分子量のポリブチレングリコール化合物(C)よりも射出成形時に分解し難い反面、分解ガスが金型から放出され難くなり、金型汚染性が大きくなる場合もある。なお、ここでいうポリブチレングリコール化合物(C)の数平均分子量はJIS K1577に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量である。
上記ポリブチレングリコール化合物(C)は、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物において、上記ポリブチレングリコール化合物(C)の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.05〜2質量部である。ポリブチレングリコール化合物(C)の含有量が0.05質量部未満の場合、得られる成形品の初期色相が劣る傾向がある。2質量部を超えた場合、得られる成形品の初期色相は良好だが、耐熱変色性が不十分になる傾向にある。ポリブチレングリコール化合物(C)の含有量は、好ましくは芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し0.1〜1.5質量部であり、より好ましくは0.2〜1.2質量部、さらに好ましくは0.5質量部を超え1.0質量部以下である。
[エポキシ化合物(D)]
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、更にエポキシ化合物(D)を含むことが好ましく、エポキシ化合物(D)を含むことにより、より一層色相、耐熱変色抑制効果を良好なものとすると共に、金型汚染性も改善することができる。
エポキシ化合物(D)としては、1分子中にエポキシ基を1個以上有する化合物が用いられる。具体的には、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、2,3−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4−(3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシル)ブチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチレンオキシド、シクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−6’−メチルシロヘキシルカルボキシレート、ビスフェノール−Aジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノール−Aグリシジルエーテル、フタル酸のジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステル、ビス−エポキシジシクロペンタジエニルエーテル、ビス−エポキシエチレングリコール、ビス−エポキシシクロヘキシルアジペート、ブタジエンジエポキシド、テトラフェニルエチレンエポキシド、オクチルエポキシタレート、エポキシ化ポリブタジエン、3,4−ジメチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、3,5−ジメチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、3−メチル−5−t−ブチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、オクタデシル−2,2−ジメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、N−ブチル−2,2−ジメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、シクロヘキシル−2−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、N−ブチル−2−イソプロピル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、オクタデシル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2−エチルヘキシル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,6−ジメチル−2,3−エポキシシクロヘキシル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,5−エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、3−t−ブチル−4,5−エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、ジエチル4,5−エポキシ−シス−1,2−シクロヘキシルジカルボキシレート、ジ−n−ブチル−3−t−ブチル−4,5−エポキシ−シス−1,2−シクロヘキシルジカルボキシレート、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などを好ましく例示することができる。これらのうち、特に、1分子中にエポキシ基を2個以上有する脂環式エポキシ化合物が好ましい。
エポキシ化合物(D)は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が、上記のエポキシ化合物(D)を含有する場合、その含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、0.0005〜0.2質量部であり、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.003質量部以上、さらに好ましくは0.005質量部以上、特に好ましくは0.01質量部以上、とりわけ好ましくは0.03質量部以上であり、また、好ましくは0.15質量以下、より好ましくは0.1質量部以下、さらに好ましくは0.05質量部以下である。エポキシ化合物(D)の含有量が0.0005質量部未満の場合は、色相、耐熱変色抑制効果が不十分となり、0.2質量部を超える場合は、耐熱変色抑制効果がかえって悪化するだけでなく、色相や湿熱安定性も低下する。
<その他の成分>
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、任意成分としてさらに酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、染顔料、難燃剤、耐衝撃改良剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、相溶化剤、充填剤等が配合されてもよい。
<芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法>
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、例えば最終成形品を成形するまでの任意の段階で、各成分を一括又は分割して配合し、溶融混練する方法が挙げられる。各成分の配合方法としては、例えばタンブラー、ヘンシェルミキサー等を使用する方法、フィーダーにより定量的に押出機ホッパーに供給して混合する方法などが挙げられる。溶融混練の方法としては、例えば単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等を使用する方法などが挙げられる。
[芳香族ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法]
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法は、上述の本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を射出成形するに当たり、金型温度を55℃以上として射出成形するものである。
射出成形時の金型温度が55℃よりも低いと、ポリブチレングリコール化合物(C)の分解で発生したガスを金型外に放出することができず、金型汚染が問題となる。発生ガスの放出の観点からは、金型温度は高い程好ましく、60℃以上、特に70℃以上であることが好ましい。一方、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の熱劣化の抑制の観点からは、金型温度は130℃以下、120℃以下、特に100℃以下であることが好ましい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法は、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の射出成形時の金型温度を上記下限以上とすること以外は、常法に従って行うことができ、射出成形時のその他の条件には特に制限はない。例えば、射出成型時の成形機シリンダー温度は260℃から320℃である。
なお、成形時の樹脂の熱劣化を抑制し、初期色相に優れたものを得るために、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形する際には、窒素等の不活性ガス雰囲気下で成形を行うことが好ましい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法により製造された芳香族ポリカーボネート樹脂成形品は、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に含まれる特定のリン系安定剤(B)とポリブチレングリコール化合物(C)、更にはエポキシ化合物(D)により、従来品に比べて、加熱条件下に長時間晒された場合の黄変の程度が少ない上に、初期色相が著しく良好であり、また、モールドデポジットによる転写不良、光透過率の低下の問題も改善されているため、照明装置の導光部材、特に、デイライトの光源のみならず白熱灯から発生する熱によっても加熱条件下に晒される自動車用照明装置の導光部材として好適に用いることができ、その優れた初期色相と耐熱変色抑制効果により、導光部材の光伝達効率を長期に亘り高く維持して、導光部材の交換頻度を大幅に低減することができる。
本発明によれば、このような高品質の芳香族ポリカーボネート樹脂成形品を、金型汚染を防止して、安定かつ効率的に製造することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例において用いた材料は次のとおりである。
<芳香族ポリカーボネート樹脂(A)>
三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユーピロン(登録商標)H−4000N」:界面重合法で製造されたビスフェノールA型芳香族ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量16,000)
<リン系安定剤(B)>
<ホスファイト系安定剤(B−I)>
Properties&Characteristics社製「Doverphos S−9228」:前記構造式(I−b)で表されるビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(表1中、「S−9228」と記載する。)
ADEKA社製「アデカスタブPEP−36」:前記構造式(I−A)で表されるビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(表1中、「PEP−36」と記載する。)
<ホスファイト系安定剤(B−II)>
ADEKA社製「アデカスタブAS2112」:前記構造式(II−A)で表されるトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(表1中、「AS2112」と記載する。)
<ポリブチレングリコール化合物(C)>
日油社製「ユニオールPB−500」:ポリブチレングリコール(数平均分子量500)(表1中、「PB−500」と記載する。)
日油社製「ユニオールPB−700」:ポリブチレングリコール(数平均分子量700)(表1中、「PB−700」と記載する。)
<エポキシ化合物(D)>
ダイセル社製「セロキサイド2021P」:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(表1中、「2021P」と記載する。)
[実施例1〜4及び比較例1,2]
<芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造>
表1に示す成分を表1に示す割合となるように配合し、タンブラーミキサーで均一に混合して混合物を得た。この混合物を、フルフライトスクリューとベントとを備えた単軸押出機(いすず化工機社製「VS−40」)に供給し、スクリュー回転数80rpm、吐出量20kg/時間、バレル温度250℃の条件で混練し、押出ノズル先端からストランド状に押出した。押出物を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてカットしてペレット化し、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
<射出成形時の金型汚染性の評価>
得られた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを、それぞれ、120℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(住友重機械工業社製「MINIMAT M8/7A」)で、しずく型金型を用いて、シリンダー温度280℃、成形サイクル10秒、金型温度80℃又は40℃の条件にて、200ショット射出成形し、終了後の金型固定側の金属鏡面に発生する白い付着物による汚れの状態を、目視にて観察して評価、判定した。
結果を表1に示す。
また、金型表面の写真を図1に示す。
表1及び図1より明らかなように、射出成形時の金型温度を80℃とした実施例1〜4は、いずれも、金型温度を40℃とした比較例1,2よりも金型汚染が少ない。
これは、金型温度を高めることにより、ポリブチレングリコール化合物(C)等の分解で発生したガスがモールドデポジットとはならずに外部へ放出されることによると考えられる。
なお、比較例1,2において、発生したガスを分析したところ、PB−500を用いた場合の方が、PB−700を用いた場合よりもポリブチレングリコール化合物(C)自体の分解ガスが検出されており、低分子量で分解し易いPB−500がPB−700よりも多量に分解ガスを発生させ、金型汚染が激しくなっていることが推定された。
金型温度80℃とした実施例1,2では、PB−500を用いた場合の方が、PB−700を用いた場合よりも金型汚染は抑制されていた。
また、実施例3,4は、ホスファイト系安定剤(B−I)としてPEP−36を使用し、エポキシ化合物(D)を配合しなかったものであるが、これらは、実施例1,2よりもモールドデポジットが多い傾向があることが確認された。

Claims (7)

  1. 芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と、該芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、
    リン系安定剤(B)として、スピロ環骨格を有するホスファイト系安定剤(B−I)0.005〜0.1質量部、及び下記一般式(II)で表されるホスファイト系安定剤(B−II)0.01〜0.5質量部と、
    数平均分子量200〜1000のポリブチレングリコール化合物(C)0.05〜2質量部とを含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を射出成形して芳香族ポリカーボネート樹脂成形品を製造する方法であって、
    成形時の金型温度が55℃以上であることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法。
    (式(II)中、R21〜R25は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
  2. 請求項1において、前記スピロ環骨格を有するホスファイト系安定剤(B−1)が下記一般式(I)で表されることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法。
    (式(I)中、R10A及びR10Bはそれぞれ独立に、炭素原子数1〜30のアルキル基又は炭素原子数6〜30のアリール基を表す。)
  3. 請求項2において、前記スピロ環骨格を有するホスファイト系安定剤(B−1)が下記一般式(I−B)で表される化合物であることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法。
    (式(I−B)中、R11〜R18は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を示し、R19〜R22は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、a〜dは、それぞれ独立に0〜3の整数を示す。)
  4. 請求項3において、前記スピロ環骨格を有するホスファイト系安定剤(B−1)が下記構造式(I−b)で表される化合物であることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が更に、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対してエポキシ化合物(D)を0.0005〜0.2質量部含有することを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、前記芳香族ポリカーボネート樹脂成形品が導光部材であることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法。
  7. 請求項6において、前記導光部材が自動車用照明装置に内蔵される導光部材であることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法。
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