JP2017132756A - 平衡感覚改善剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】平衡感覚の改善に有用な平衡感覚改善剤の提供。【解決手段】乳脂肪球皮膜を有効成分とする平衡感覚改善剤。【選択図】なし

Description

本発明は、平衡感覚を改善する平衡感覚改善剤に関する。
ヒトは、前庭器官や四肢の筋肉などが身体の状態(体勢、姿勢)を感知し、その刺激が脊髄や小脳、大脳皮質などに伝達されることで、身体の平衡性を保つために必要な動作調節を行う能力を有している(非特許文献1及び2)。このような体の動きや重力の方向の変化を感じる感覚は、一般に平衡感覚と称され、身体能力の1つとされている。
平衡感覚は、加齢により能力低下が起こり、その原因としては、三半規管や前庭の感度の低下、視覚など感覚器における識別能力の低下、筋肉・骨格など運動を制御する部位の能力低下、脊髄や小脳、大脳皮質の機能低下もしくは障害などが考えられている。
このような平衡感覚の機能低下は、転倒事故や転落事故をはじめとする多くの事故の要因ともなっており、捻挫・骨折などの障害に至る場合もある。また、立位を維持したり、そのまま動作を行ったりする際のふらつきや、座位からの立ち上がり時のふらつきなどが増加し、日常生活を送る上で支障をきたす場合もある。
一方で、平衡感覚の制御に関係する神経系は、成長期に顕著に発達することが知られている。成長期における平衡感覚の改善は、その後の運動パフォーマンスの向上につながるだけでなく、怪我の防止にもつながると考えられる。
従来、この平衡感覚を維持又は改善する方法として、主に薬物療法が適用される。平衡感覚を改善する薬剤としては、精神身体神経安定剤(精神安定剤、自律神経安定剤、精神神経用剤、催眠鎮静剤など)、循環改善剤(血管拡張剤、 血流改善剤、血管収縮剤、血管強固剤、循環器官用剤、動脈硬化用剤など)、代謝改善剤(脳、組織、細胞賦活剤、代謝賦活剤など)及びビタミン剤などが平衡感覚の改善に用いられる(非特許文献3)。また、その他にはリハビリテーションの観点から、運動療法も用いられる(非特許文献4)。しかしながら、薬物療法や運動療法を実施するには医師及びその他の医療関係者の指導が必要であり、加齢に伴い誰にでも起こり得る平衡感覚の障害をより簡便な方法で改善する方法が望まれている。
一方、乳脂肪球皮膜(Milk−fat Globule Membrane:MFGM)は、乳腺より分泌される乳脂肪球を被覆している膜成分で、バターミルクやバターセーラム等の乳複合脂質高含有画分に多く含まれることが知られている(非特許文献5)。乳脂肪球皮膜は、脂肪を乳汁中に分散させる機能を有するのみならず、マウスにおける筋量増加作用や運動機能向上作用、内臓脂肪蓄積抑制作用、血中アディポネクチン増加及び減少抑制作用等の生理機能を有することが報告されている(特許文献1〜3)。
しかしながら、乳脂肪球皮膜が平衡感覚へ与える影響については知られていない。
特開2010−59155号公報 特開2013−100275号公報 特開2007−320901号公報
杉 晴夫ら、「人体機能生理学 改訂第五版」 南山堂 2010年 加藤 元博、「平衡障害の機序と鑑別」耳鼻 32:1097-1102, 1986 松永喬、「めまいに対する薬物療法の撰択と効果」 耳鼻臨床 65(増1):653〜671, 1972 内山靖・徳増厚二、「前庭迷路性疾患に伴うめまい・平衡障害患者の運動療法」 Equilibrium Research. 50 (2):199-205, 1991 三浦晋、FOOD STYLE21、2009年
本発明は、平衡感覚の改善に有用な平衡感覚改善剤に関する。
本発明者等は、上記課題に鑑み鋭意検討したところ、平衡感覚の指標として知られている、マウスを用いたロータロッド試験(回転棒から落下するまでの時間を測定)において、乳脂肪球皮膜を摂取したマウスではロータロッド滞在時間が延長し、乳脂肪球皮膜が平衡感覚の改善に有用であることを見出した。
すなわち、本発明は、乳脂肪球皮膜を有効成分とする平衡感覚改善剤を提供するものである。
本発明の平衡感覚改善によれば、平衡感覚が改善されることから、平衡感覚の機能低下によって生じる転倒事故や転落事故の発生、またそれによる捻挫・骨折などの障害の発生を未然に防止し、要支援、要介護に至ることを抑制できる。また、立位を維持したり、そのまま動作を行ったりする際のふらつきや、座位からの立ち上がり時のふらつきなどを防止し、日常生活をより円滑に送ることが可能となる。
平衡感覚機能改善効果(ロータロッド滞在時間)。 平衡感覚機能改善効果(ロータロッド総落下回数;成長期マウス)。 平衡感覚機能改善効果(ロータロッド高速度滞在時間;成長期マウス)。
本発明で用いられる乳脂肪球皮膜は、乳脂肪球を被覆している膜、及び膜を構成する成分の混合物と定義されている。乳脂肪球皮膜は、食経験が豊富で安全性が高い。
乳脂肪球皮膜は、一般的に、乾燥重量の約半分が脂質で構成され、当該脂質としては、トリグリセライドやリン脂質、スフィンゴ糖脂質が含まれることが知られている(三浦晋、FOOD STYLE21、2009及びKeenan TW、Applied Science Publishers、1983、pp89−pp130)。リン脂質としては、スフィンゴミエリン等のスフィンゴリン脂質、ホスファチジルコリンやホスファチジルエタノールアミン等のグリセロリン脂質が含まれることが知られている。
また、脂質以外の成分としては、ミルクムチンと呼ばれる糖タンパク質が含まれることが知られている(Mather、Biochim Biophys Acta、1978)。
本発明で用いられる乳脂肪球皮膜は、生理効果の点から、脂質の含有量が、10質量%以上、更に20質量%以上、更に30質量%以上であるのが好ましく、また、風味・ハンドリングの点から、100質量%以下、更に90質量%以下、更に60質量%以下であるのが好ましい。また、乳脂肪球皮膜中の脂質の含有量は、10〜100質量%、更に20〜90質量%、更に30〜60質量%が好ましい。
また、乳脂肪球皮膜は、生理効果の点から、リン脂質の含有量が5質量%以上、更に8質量%以上、更に10質量%以上、更に15質量%以上であるのが好ましく、また、風味・ハンドリングの点から、100質量%以下、更に85質量%以下、更に70質量%以下、更に60質量%以下であるのが好ましい。また、乳脂肪球皮膜中のリン脂質の含有量は、5〜100質量%、更に8〜90質量%、更に10〜70質量%、更に15〜60質量%が好ましい。
また、乳脂肪球皮膜は、生理効果の点から、リン脂質としてスフィンゴミエリンを含むのが好ましく、乳脂肪球皮膜中のスフィンゴミエリンの含有量が、1質量%以上、更に2質量%以上、更に3質量%以上であるのが好ましく、また、風味・ハンドリングの点から、50質量%以下、更に30質量%以下、更に25質量%以下、更に20質量%以下であるのが好ましい。また、乳脂肪球皮膜中のスフィンゴミエリンの含有量は、1〜50質量%、更に2〜30質量%、更に3〜25質量%、更に3〜20質量%が好ましい。
同様の点から、乳脂肪球皮膜の全リン脂質中のスフィンゴミエリン含有量が、3質量%以上、更に5質量%以上、更に10質量%以上、更に15質量%以上であるのが好ましく、また、50質量%以下、更に40質量%以下、更に35質量%以下、更に30質量%以下であるのが好ましい。また、乳脂肪球皮膜の全リン脂質中のスフィンゴミエリン含有量は、3〜50質量%、更に5〜40質量%、更に10〜35質量%、更に15〜30質量%が好ましい。
なお、本明細書において、乳脂肪球皮膜中の脂質、リン脂質及びスフィンゴミエリンの含有量、並びに乳脂肪球皮膜の全リン脂質中のスフィンゴミエリン含有量は、乳脂肪球皮膜の乾燥物に対する質量割合とする。
乳脂肪球皮膜は、原料乳から遠心分離法や有機溶剤抽出法等の公知の方法により得ることができる。例えば、特開平3−47192号公報に記載の調製方法を用いることができる。また、特許第3103218号公報、特開2007−89535号公報に記載の方法等を用いることができる。
さらに、透析、硫安分画、ゲルろ過、等電点沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、溶媒分画等の手法により精製することにより純度を高めたものを用いてもよい。
なお、乳脂肪球皮膜の形態は、特に限定されず、室温(15〜25℃)で液状、半固体状(ペースト等)、固体状(粉末、固形、顆粒等)等のいずれでもよく、これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
乳脂肪球皮膜の原料乳としては、牛乳やヤギ乳等が挙げられる。なかでも、食経験が豊富であり、安価な点から、牛乳が好ましい。また、原料乳には、生乳、全粉乳や加工乳等の乳の他、乳製品も含まれ、乳製品としては、バターミルク、バターオイル、バターセーラム、ホエータンパク質濃縮物(WPC)等が挙げられる。
バターミルクは、牛乳等を遠心分離して得られるクリームからバター粒を製造する際に得られ、当該バターミルク中に乳脂肪球皮膜が多く含まれているので、乳脂肪球皮膜としてバターミルクをそのまま使用してもよい。同様に、バターオイルを製造する際に生じるバターセーラム中にも乳脂肪球皮膜が多く含まれているので、乳脂肪球皮膜としてバターセーラムをそのまま使用してもよい。
乳脂肪球皮膜は、市販品を用いることもできる。斯かる市販品としては、メグレジャパン(株)「BSCP」、雪印乳業(株)「ミルクセラミドMC−5」、(株)ニュージーランドミルクプロダクツ「Phospholipid Concentrate シリーズ(500,700)」等が挙げられる。
後記実施例に示すように、乳脂肪球皮膜は、マウスを用いたロータロッド試験において、乳脂肪球皮膜を摂取したマウスではロータロッド滞在時間が延長し、その効果は運動を併用した場合にさらに延長する。
ロータロッド試験(Rota-rod test)は、げっ歯類のもつ平衡感覚を測定する試験であり、一定の加速ができる回転棒をもつ装置にマウスを乗せ、徐々に速度を上げ,マウスが落下するまでの時間が測定される(Marino et al. Autophagy is essential for mouse sense of balance. J Clin Invest. 120(7):2331-44, 2010)。
したがって、乳脂肪球皮膜は、平衡感覚改善剤となり得、平衡感覚改善剤を製造するために使用することができる。すなわち、乳脂肪球皮膜は、平衡感覚が低下したヒトに適用して、平衡感覚を改善するために使用することができる。
本発明において、「平衡感覚」とは、体の動きや重力の方向の変化を感じる感覚をいい、身体の平衡性を保つために必要な動作調節を行う能力を包含する。尚、ロータロッド試験の成績は筋量や筋力と相関するとは云えず、本発明でいう平衡感覚の改善には、当該筋量や筋力を増加させることを包含するものではない。
「平衡感覚改善」とは、平衡感覚の好転又は強化、平衡感覚の低下の防止又は遅延をいう。
「使用」は、ヒトへの投与又は摂取であり得、また治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。「非治療的」とは、医療行為を含まない概念、すなわち人間を手術、治療又は診断する方法を含まない概念、より具体的には医師又は医師の指示を受けた者が人間に対して手術、治療又は診断を実施する方法を含まない概念である。
本発明の平衡感覚改善剤は、ヒトを含む動物に摂取又は投与した場合に平衡感覚改善効果を発揮する医薬品、医薬部外品又は食品となり、また当該平衡感覚改善剤は、当該医薬品、医薬部外品又は食品に配合して使用される素材又は製剤となり得る。
当該食品には、平衡感覚の改善をコンセプトとし、必要に応じてその旨を表示した食品、機能性食品、病者用食品、特定保健用食品、機能性表示食品、サプリメントが包含される。これらの食品は機能表示が許可された食品であるため、一般の食品と区別することができる。
上記医薬品(医薬部外品も含む、以下同じ)の投与形態としては、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、トローチ剤、シロップ剤等による経口投与が挙げられる。
このような種々の剤型の製剤は、本発明の乳脂肪球皮膜を単独で、又は他の薬学的に許容される担体、例えば、賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、嬌味剤、香料、被膜剤、担体、希釈剤等や、本発明の乳脂肪球皮膜以外の薬効成分を適宜組み合わせて調製することができる。
なかでも、好ましい剤型は経口投与用の固形製剤であり、錠剤が好ましく、チュアブル錠がより好ましい。
医薬品中の本発明の乳脂肪球皮膜の含有量(乾燥物換算)は、一般的に0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、更に好ましくは1質量%以上であり、また、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。医薬品中の乳脂肪球皮膜の含有量(乾燥物換算)は、好ましくは0.001〜70質量%、より好ましくは0.01〜50質量%、更に好ましくは0.1〜10質量%、更に好ましくは1〜5質量%である。
上記食品の形態としては、清涼飲料水、茶系飲料、コーヒー飲料、果汁飲料、炭酸飲料、ゼリー、ウエハース、ビスケット、パン、麺、ソーセージ等の飲食品や栄養食等の各種食品の他、さらには、上述した経口投与製剤と同様の形態(錠剤、カプセル剤、トローチ剤等の固形製剤)の栄養補給用組成物が挙げられる。なかでも、錠剤が好ましく、チュアブル錠がより好ましい。
種々の形態の食品は、本発明の乳脂肪球皮膜を単独で、又は他の食品材料や、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、酸味料、甘味料、苦味料、香科、安定剤、着色剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤、乳脂肪球皮膜以外の有効成分等を適宜組み合わせて調製することができる。
食品中の本発明の乳脂肪球皮膜の含有量(乾燥物換算)は、その使用形態により異なるが、飲料の形態では、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、また、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。また、食品中の乳脂肪球皮膜の含有量(乾燥物換算)は、飲料の形態では、好ましくは0.001〜30質量%、より好ましくは0.01〜2質量%、更に好ましくは0.1〜1質量%である。
錠剤や加工食品等の固形食品の形態では、上記脂肪球皮膜の含有量(乾燥物換算)は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上であり、また、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。また、食品中の乳脂肪球皮膜の含有量(乾燥物換算)は、固形食品の形態では、好ましくは0.05〜70質量%、より好ましくは0.1〜50質量%、更に好ましくは0.2〜30質量%、更に好ましくは0.2〜10質量%である。
本発明の平衡感覚改善剤の投与量又は摂取量は、投与又は摂取対象者の体重、性別、年齢、状態又はその他の要因に従って変動し得る。投与の用量、経路、間隔、及び摂取の量や間隔は、当業者によって適宜決定され得るが、通常、成人1人(60kg)に対して1日あたり、本発明の乳脂肪球皮膜(乾燥物換算)として、好ましくは0.1g以上、より好ましくは0.3g以上、更に好ましくは1g以上であり、また、好ましくは30g以下、より好ましくは20g以下、更に好ましくは10g以下である。また、本発明の平衡感覚改善剤の投与量又は摂取量は、成人1人(60kg)に対して1日あたり、乳脂肪球皮膜(乾燥物換算)として、好ましくは0.1〜30g、より好ましくは0.3〜20g、更に好ましくは1〜10gである。本発明では斯かる量を1日に1回〜複数回で投与又は摂取するのが好ましい。
また、本発明の平衡感覚改善剤の投与量又は摂取量は、成人1人(60kg)に対して1日あたり、スフィンゴミエリンとして、好ましくは10mg以上、より好ましくは20mg以上、更に好ましくは50mg以上、更に好ましくは100mg以上であり、また、好ましくは1500mg以下、より好ましくは1000mg以下、更に好ましくは500mg以下、更に好ましくは250mg以下である。また、本発明の平衡感覚改善剤の投与量又は摂取量は、成人1人(60kg)に対して1日あたり、スフィンゴミエリンとして、好ましくは10〜1500mg、より好ましくは20〜1000mg、更に好ましくは50〜500mg、更に好ましくは100〜250mgである。
上記製剤は、任意の計画に従って投与又は摂取され得る。
投与又は摂取期間は特に限定されないが、反復・連続して投与又は摂取することが好ましく、5日間以上連続して投与又は摂取することがより好ましく、15日間以上連続して投与又は摂取することが更に好ましい。また、本発明の製剤の投与又は摂取と共に適度な運動、例えば日常生活における歩行や階段の昇降、軽いウォーキング等を行うことが効果増強の点で好ましい。
投与又は摂取対象者としては、平衡感覚の改善を必要とする若しくは希望するヒトであれば特に限定されないが、平衡能力が低下した高齢者における投与又は摂取が有効である。
上述した実施形態に関し、本発明においては以下の態様が開示される。
<1>乳脂肪球皮膜を有効成分とする平衡感覚改善剤。
<2>平衡感覚改善剤を製造するための乳脂肪球皮膜の使用。
<3>平衡感覚改善に使用するための乳脂肪球皮膜。
<4>乳脂肪球皮膜の有効量を投与又は摂取することによる平衡感覚改善方法。
<5>運動と共に用いられる、上記<1>の平衡感覚改善剤、<2>の使用、<3>乳脂肪球皮膜、又は<4>の方法。
<6>上記<5>において、運動は日常生活における歩行や階段の昇降、又は軽いウォーキングである。
<7>上記<3>、<5>又は<6>において、使用は非治療的使用である。
<8>上記<4>〜<6>において、方法は非治療的方法である。
<9>上記<4>〜<6>において、投与又は摂取の対象は、平衡感覚の改善を必要とする若しくは希望するヒト、好ましくは平衡能力が低下した高齢者である。
<10>上記<1>〜<9>において、乳脂肪球皮膜は、リン脂質を5〜100質量%含有するものである。
<11>上記<1>〜<9>において、乳脂肪球皮膜は、スフィンゴミエリンを1〜50質量%含有するものである。
<12>上記<1>、<5>又は<6>の平衡感覚改善剤を含有する食品又は医薬品であって、剤型が経口投与用の固形製剤である。
<13>上記<1>、<5>又は<6>の平衡感覚改善剤を含有する食品又は医薬品であって、剤型が錠剤である。
<12>上記<1>〜<7>において、乳脂肪球皮膜は、成人1人あたり1日にスフィンゴミエリンとして10〜1500mgを投与又は摂取するものである。
試験例1
(1)マウスの飼育及び処置
実験には8週齢の雄性C57BL/6Jマウス(チャールズリバー)を用い、飼育環境は室温を23±2℃、湿度を55±10%とし、照明時間を7時から19時とした。マウスを一週間の環境馴化の後、個別飼育に馴化させた。その後、体重を基準に32匹を選抜した。試験食自由摂食下にて、以下の群構成で81週間(90週齢まで、老齢群)飼育した。
対照群: 非運動条件飼育、対照食摂取(n=8)
MFGM(乳脂肪球皮膜)群: 非運動条件飼育、MFGM食摂取(n=8)
運動群: 自発運動条件飼育、対照食摂取(n=8)
MFGM+運動群: 自発運動条件飼育、MFGM食摂取(n=8)
自発運動条件飼育群は回転カゴ付きケージで個別飼育し、非運動条件飼育群は同じサイズの個別ケージで個別飼育した。また、10週齢の雄性C57BL6Jマウスを購入し、1週間の環境馴化の後、対照食を8週間(19週齢まで)給餌したものを若齢群(n=8)とした。対照食とMFGM食の餌組成は以下の通り(試験食中の含有量を百分率(質量%)で示した)。
尚、MFGMには、乾燥物換算で、蛋白質49質量%及び脂質39質量%が含まれ、スフィンゴリン脂質としてスフィンゴミエリン3.7質量%が含まれ、スフィンゴ糖脂質としてグルコシルセラミド2.4質量%,およびガングリオシド0.4質量%が含まれていた。
乳脂肪球皮膜中の蛋白質及び脂質の分析方法としては、ケルダール法(神立誠著、最新食品分析法、同文書院)及びレーゼゴットリーブ法(日本食品工業学会編、食品分析法、光琳)で行なった。
また、乳脂肪球皮膜中のリン脂質の分析は、LC−MS法にて行なった。すなわち、乳脂肪球皮膜よりクロロホルム/メタノール(=2:1)を用いて脂質画分を抽出し、窒素気流下で乾固した後、ヘキサン/イソプロパノール(=95:5)に溶解した。この試料を、下記LC−MS分析に供し、リン脂質の定量を行った。
<LC−MS分析>
カラム:Inertsil SIL 100A−3 (GLサイエンス社、1.5mm×150mm)
カラム温度:40℃
流速:0.1 mL/min
検出器:アジレント、1100 LC/MSD
移動相:A液(ヘキサン:イソプロパノール:ギ酸=95:5:0.1)およびB液(ヘキサン:イソプロパノール:50mMギ酸アンモニウム=25:65:10)のグラジエント分離
(2)ロータロッド試験
若齢群は12−13週齢、老齢群は84−85週齢時点で測定を実施した。本試験には室町機械社製のロータロッド(MK−600;回転軸径=30 mm)を使用した。マウスを20 rpmの回転速度で1週間馴化させた後、ロータロッド上から10回落下するまでの時間を測定した。ロータロッドの回転スピードは以下のように設定した。
20 rpm 30分間
24 rpm 90分間
28 rpm 測定終了まで
(3)統計
得られた数値は平均値±標準偏差で示した。平均値の比較はunpaired Student’s t−testを用い、有意水準はP<0.05とした。
(4)結果
結果を図1に示す。
老齢対照群では若齢群と比較してロータロッド成績が低下するが、MFGM群ではロータロッド成績の改善が認められ、MFGM+運動群では顕著な改善が確認された。
このことから、乳脂肪球皮膜の摂取によって平衡感覚機能が改善されると考えられる。
試験例2 成長期マウスにおける平衡感覚改善
(1)マウスの飼育及び処置
離乳直後の3週齢の雄性Balb/cマウス (チャールスリバー) を用い、飼育環境は室温を23±2℃、湿度を55±10%とし、照明時間を7時から19時とした。1週間の予備飼育後、体重及び初期身体機能(ロータロッド試験成績)が同程度となるように下記3群(各8匹)に群分けを行い、試験食自由摂取下で4週間飼育を行った。マウスの成長期は一般的に3〜10週齢程度とされており、本試験はその範囲内で実施した。
対照群: 対照食摂取(n=8)
0.5%MFGM群: 0.5%MFGM食摂取(n=8)
1%MFGM群: 1%MFGM食摂取(n=8)
対照食とMFGM食の餌組成を以下の通り示した(試験食中の含有量の百分率(質量%))。
MFGMには、乾燥物換算で、蛋白質53.4質量%及び脂質25.2質量%が含まれ、スフィンゴリン脂質としてスフィンゴミエリン3.72質量%が含まれていた。
(2)ロータロッド試験
群分け時(0週)、試験食摂取2週、4週の時点で測定を実施した。本試験には室町機械社製のロータロッド(MK−600;回転軸径=30 mm)を使用した。静止したロッド上にマウスを置き、6rpm(1分)→12rpm(1分)→16rpm(1分)→20rpm(1分)→24rpm(1分)→28rpm(1分及び28rpmで3回落下するまで)のプログラムで落下回数を測定した。評価項目は、6分間の総落下回数と28rpm3回落下時間(高速度滞在時間)とした。
(3)統計
得られた数値は平均値±標準偏差で示した。平均値の比較は対照群に対するDunnett検定を用い、有意水準はP<0.05とした。
(4)結果
結果を図2及び図3に示す。総落下回数(図2)は、試験食摂取2週目では全ての群で増加(成績の悪化)が見られたが、0.5%、1%MFGM群では対照食群と比較して有意に落下回数が少なかった。4週目においては、0.5%、1%MFGM群ともに対照食群よりも総落下回数は有意に少なく、特に1%MFGM群では初期値よりも改善が見られた。なお、この成績の悪化は、成長期における急激な体格の成長に伴う身のこなしの低下によるものと考えられたが、群間で体重には全く差がなかった。同様に、高速度滞在時間(図3)においては、2週目で対照食、0.5%MFGM群で滞在時間の減少が見られ、高速度への対応力の低下が確認されたが、1%MFGM群ではこの低下が抑制され、対照食群よりも有意に延長していた。4週目では、0.5%MFGM群も改善がみられ、対照食群よりも有意に延長し、1%MFGM群ではさらに顕著であった。
このことから、成長期においても乳脂肪球皮膜の摂取によって平衡感覚機能が改善されると考えられる。

Claims (6)

  1. 乳脂肪球皮膜を有効成分とする平衡感覚改善剤。
  2. 乳脂肪球皮膜が、リン脂質を5〜100質量%含有する請求項1記載の平衡感覚改善剤。
  3. 乳脂肪球皮膜が、スフィンゴミエリンを1〜50質量%含有する請求項1記載の平衡感覚改善剤。
  4. 剤型が経口投与用の固形製剤である請求項1〜3のいずれか1項記載の平衡感覚改善剤。
  5. 固形製剤が錠剤である請求項4記載の平衡感覚改善剤。
  6. 成人1人あたり1日にスフィンゴミエリンを10〜1500mg投与又は摂取するものである請求項1〜5のいずれか1項記載の平衡感覚改善剤。
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