JP2016138059A - 歩行中のつまずき改善剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】歩行中のつまずきの改善に有用な医薬品、医薬部外品又は食品、或いはこれらに配合可能な素材又は製剤の提供。
【解決手段】脂肪球皮膜成分を有効成分とする歩行中のつまずき改善剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、歩行中のつまずき改善剤に関する。
歩行中の転倒は、年代問わず減少させたい事故の一つである。とくに高齢者にとっては転倒により日常生活動作や生活の質の低下を招きかねない。
転倒は、主に歩行中の「つまずき」から起こる(非特許文献1)。歩行中のつまずきは、一般的に、遊脚期に足部(主につま先)が不意に床面もしくは何らかの物体に接触することで、転倒のきっかけになり得る現象、と定義されている(非特許文献2)。歩行中のつまずき、それに引き続く転倒の内的要因としては、加齢に伴う骨格筋量や筋機能、感覚機能、瞬発力、視力等の変化や低下、変形性膝関節症、パーキンソン病等の病気、薬の副作用等がいわれ(非特許文献3及び4)、これらが、ときに外的要因とからみあう場合が多い。
一方、脂肪球皮膜成分(Milk−fat Globule Membrane)は、乳腺より分泌される乳脂肪球を被覆している膜成分で、バターミルクやバターセーラム等の乳複合脂質高含有画分に多く含まれることが知られている(非特許文献5)。脂肪球皮膜成分は、脂肪を乳汁中に分散させる機能を有するのみならず、マウスにおける筋量増加作用や運動機能向上作用、内臓脂肪蓄積抑制作用、血中アディポネクチン増加及び減少抑制作用等の生理機能を有することが報告されている(特許文献1〜3)。
しかしながら、脂肪球皮膜成分が歩行中のつまずきへ与える影響については知られていない。
特開2010−59155号公報 特開2013−100275号公報 特開2007−320901号公報
N Eng J Med、1988年、第319巻、p.1701−07 Gait & Posture、2010年、第32巻、p.429−435 Clin Nutr、2012年、第31巻、p.652−658 J Am Geriatr Soc、2001年、第49巻、p.508−515 三浦晋、FOOD STYLE21、2009年
本発明は、歩行中のつまずきの改善に有用な医薬品、医薬部外品又は食品、或いはこれらに配合可能な素材又は製剤を提供することに関する。
本発明者等は、脂肪球皮膜成分を含む固形製剤を調製し、鋭意検討したところ、脂肪球皮膜成分が歩行中のつまずきの改善に有用であることを見出した。
すなわち、本発明は、脂肪球皮膜成分を有効成分とする歩行中のつまずき改善剤を提供するものである。
本発明の歩行中のつまずき改善剤は、歩行中のつまずきを改善する作用を有し、また、安全性に優れることから、歩行中のつまずき改善効果を発揮し得る医薬品、医薬部外品又は食品として、或いはこれらに配合可能な素材又は製剤として有用である。
本発明で用いられる脂肪球皮膜成分は、乳脂肪球を被覆している膜、及び膜を構成する成分の混合物と定義されている。脂肪球皮膜成分は、食経験が豊富で安全性が高い。
脂肪球皮膜は、一般的に、乾燥重量の約半分が脂質で構成され、当該脂質としては、トリグリセライドやリン脂質、スフィンゴ糖脂質が含まれることが知られている(三浦晋、FOOD STYLE21、2009及びKeenan TW、Applied Science Publishers、1983、pp89−pp130)。リン脂質としては、スフィンゴミエリン等のスフィンゴリン脂質、ホスファチジルコリンやホスファチジルエタノールアミン等のグリセロリン脂質が含まれることが知られている。
また、脂質以外の成分としては、ミルクムチンと呼ばれる糖タンパク質が含まれることが知られている(Mather、Biochim Biophys Acta、1978)。
本発明で用いられる脂肪球皮膜成分は、生理効果の点から、脂質の含有量が、10質量%以上、更に20質量%以上、更に30質量%以上であるのが好ましく、また、風味・ハンドリングの点から、100質量%以下、更に90質量%以下、更に60質量%以下であるのが好ましい。また、脂肪球皮膜成分中の脂質の含有量は、10〜100質量%、更に20〜90質量%、更に30〜60質量%が好ましい。
また、脂肪球皮膜成分は、生理効果の点から、リン脂質の含有量が5質量%以上、更に8質量%以上、更に10質量%以上、更に15質量%以上であるのが好ましく、また、風味・ハンドリングの点から、100質量%以下、更に85質量%以下、更に70質量%以下、更に60質量%以下であるのが好ましい。また、脂肪球皮膜成分中のリン脂質の含有量は、5〜100質量%、更に8〜90質量%、更に10〜70質量%、更に15〜60質量%が好ましい。
また、脂肪球皮膜成分は、生理効果の点から、リン脂質としてスフィンゴミエリンを含むのが好ましく、脂肪球皮膜成分中のスフィンゴミエリンの含有量が、1質量%以上、更に2質量%以上、更に3質量%以上であるのが好ましく、また、風味・ハンドリングの点から、50質量%以下、更に30質量%以下、更に25質量%以下、更に20質量%以下であるのが好ましい。また、脂肪球皮膜成分中のスフィンゴミエリンの含有量は、1〜50質量%、更に2〜30質量%、更に3〜25質量%、更に3〜20質量%が好ましい。
同様の点から、脂肪球皮膜成分の全リン脂質中のスフィンゴミエリン含有量が、3質量%以上、更に5質量%以上、更に10質量%以上、更に15質量%以上であるのが好ましく、また、50質量%以下、更に40質量%以下、更に35質量%以下、更に30質量%以下であるのが好ましい。また、脂肪球皮膜成分の全リン脂質中のスフィンゴミエリン含有量は、3〜50質量%、更に5〜40質量%、更に10〜35質量%、更に15〜30質量%が好ましい。
なお、本明細書において、脂肪球皮膜成分中の脂質、リン脂質及びスフィンゴミエリンの含有量、並びに脂肪球皮膜成分の全リン脂質中のスフィンゴミエリン含有量は、脂肪球皮膜成分の乾燥物に対する質量割合とする。
脂肪球皮膜成分は、原料乳から遠心分離法や有機溶剤抽出法等の公知の方法により得ることができる。例えば、特開平3−47192号公報に記載の脂肪球皮膜成分の調製方法を用いることができる。また、特許第3103218号公報、特開2007−89535号公報に記載の方法等を用いることができる。
さらに、透析、硫安分画、ゲルろ過、等電点沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、溶媒分画等の手法により精製することにより純度を高めたものを用いてもよい。
なお、脂肪球皮膜成分の形態は、特に限定されず、室温(15〜25℃)で液状、半固体状(ペースト等)、固体状(粉末、固形、顆粒等)等のいずれでもよく、これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
脂肪球皮膜成分の原料乳としては、牛乳やヤギ乳等が挙げられる。なかでも、食経験が豊富であり、安価な点から、牛乳が好ましい。また、原料乳には、生乳、全粉乳や加工乳等の乳の他、乳製品も含まれ、乳製品としては、バターミルク、バターオイル、バターセーラム、ホエータンパク質濃縮物(WPC)等が挙げられる。
バターミルクは、牛乳等を遠心分離して得られるクリームからバター粒を製造する際に得られ、当該バターミルク中に脂肪球皮膜成分が多く含まれているので、脂肪球皮膜成分としてバターミルクをそのまま使用してもよい。同様に、バターオイルを製造する際に生じるバターセーラム中にも脂肪球皮膜成分が多く含まれているので、脂肪球皮膜成分としてバターセーラムをそのまま使用してもよい。
脂肪球皮膜成分は、市販品を用いることもできる。斯かる市販品としては、メグレジャパン(株)「BSCP」、雪印乳業(株)「ミルクセラミドMC−5」、(株)ニュージーランドミルクプロダクツ「Phospholipid Concentrate シリーズ(500,700)」等が挙げられる。
後記実施例に示すように、脂肪球皮膜成分は、ヒトにおいて、歩行中のつまずきを有意に改善する作用を有する。
従って、脂肪球皮膜成分は、歩行中のつまずきの改善に有用なつまずき改善剤となり得、また、歩行中のつまずき改善剤を製造するために使用することができる。すなわち、脂肪球皮膜成分は、歩行中のつまずきが気になるヒトに適用して、つまずきの改善のために使用することができる。
ここで、本明細書において、「つまずき」とは、遊脚期に足部(主につま先)が不意に床面もしくは何らかの物体に接触することで、転倒のきっかけになり得る現象をいう(Gait & Posture、2010年、第32巻、p.429−435)。
「歩行」とは、ヒトが直立して、移動する動作をいい、移動速度は問わない。
「改善」とは、症状又は状態の好転、症状又は状態の悪化の防止又は遅延、あるいは症状の進行の逆転、防止又は遅延をいう。
「使用」は、ヒトへの投与又は摂取であり得、また治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。「非治療的」とは、医療行為を含まない概念、すなわち人間を手術、治療又は診断する方法を含まない概念、より具体的には医師又は医師の指示を受けた者が人間に対して手術、治療又は診断を実施する方法を含まない概念である。
本発明の歩行中のつまずき改善剤は、それ自体、歩行中のつまずきの改善に有用な医薬品、医薬部外品又は食品であってもよい。或いは、本発明の歩行中のつまずき改善剤を含む組成物は、歩行中のつまずきの改善に有用な医薬品、医薬部外品又は食品となり、当該歩行中のつまずき改善剤は、当該医薬品、医薬部外品又は食品に配合して使用される素材又は製剤であってもよい。
当該食品には、歩行中のつまずきの改善をコンセプトとし、必要に応じてその旨を表示した食品、機能性食品、病者用食品、特定保健用食品、サプリメントが包含される。これらの食品は機能表示が許可された食品であるため、一般の食品と区別することができる。
上記医薬品(医薬部外品も含む、以下同じ)の投与形態としては、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、トローチ剤、シロップ剤等による経口投与が挙げられる。
このような種々の剤型の製剤は、本発明の脂肪球皮膜成分を単独で、又は他の薬学的に許容される担体、例えば、賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、嬌味剤、香料、被膜剤、担体、希釈剤等や、本発明の脂肪球皮膜成分以外の薬効成分を適宜組み合わせて調製することができる。
なかでも、好ましい剤型は経口投与用の固形製剤であり、錠剤が好ましく、チュアブル錠がより好ましい。
医薬品中の本発明の脂肪球皮膜成分の含有量(乾燥物換算)は、一般的に0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、また、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。医薬品中の脂肪球皮膜成分の含有量(乾燥物換算)は、好ましくは0.001〜70質量%、より好ましくは0.01〜50質量%、更に好ましくは0.1〜10質量%、更に好ましくは0.1〜5質量%である。
上記食品の形態としては、清涼飲料水、茶系飲料、コーヒー飲料、果汁飲料、炭酸飲料、ゼリー、ウエハース、ビスケット、パン、麺、ソーセージ等の飲食品や栄養食等の各種食品の他、さらには、上述した経口投与製剤と同様の形態(錠剤、カプセル剤、トローチ剤等の固形製剤)の栄養補給用組成物が挙げられる。なかでも、錠剤が好ましく、チュアブル錠がより好ましい。
種々の形態の食品は、本発明の脂肪球皮膜成分を単独で、又は他の食品材料や、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、酸味料、甘味料、苦味料、香科、安定剤、着色剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤、脂肪球皮膜成分以外の有効成分等を適宜組み合わせて調製することができる。
食品中の本発明の脂肪球皮膜成分の含有量(乾燥物換算)は、その使用形態により異なるが、飲料の形態では、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、また、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。また、食品中の脂肪球皮膜成分の含有量(乾燥物換算)は、飲料の形態では、好ましくは0.001〜30質量%、より好ましくは0.01〜2質量%、更に好ましくは0.1〜1質量%である。
錠剤や加工食品等の固形食品の形態では、上記脂肪球皮膜の含有量(乾燥物換算)は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上であり、また、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。また、食品中の脂肪球皮膜成分の含有量(乾燥物換算)は、固形食品の形態では、好ましくは0.05〜70質量%、より好ましくは0.1〜50質量%、更に好ましくは0.2〜30質量%、更に好ましくは0.2〜10質量%である。
本発明の歩行中のつまずき改善剤の投与量又は摂取量は、投与又は摂取対象者の体重、性別、年齢、状態又はその他の要因に従って変動し得る。投与の用量、経路、間隔、及び摂取の量や間隔は、当業者によって適宜決定され得るが、通常、成人1人(60kg)に対して1日あたり、本発明の脂肪球皮膜成分(乾燥物換算)として、好ましくは0.1g以上、より好ましくは0.3g以上、更に好ましくは1g以上であり、また、好ましくは30g以下、より好ましくは20g以下、更に好ましくは10g以下である。また、本発明の歩行中のつまずき改善剤の投与量又は摂取量は、成人1人(60kg)に対して1日あたり、脂肪球皮膜成分(乾燥物換算)として、好ましくは0.1〜30g、より好ましくは0.3〜20g、更に好ましくは1〜10gである。本発明では斯かる量を1日に1回〜複数回で投与又は摂取するのが好ましい。
また、本発明の歩行中のつまずき改善剤の投与量又は摂取量は、成人1人(60kg)に対して1日あたり、スフィンゴミエリンとして、好ましくは10mg以上、より好ましくは20mg以上、更に好ましくは50mg以上、更に好ましくは100mg以上であり、また、好ましくは1500mg以下、より好ましくは1000mg以下、更に好ましくは500mg以下、更に好ましくは250mg以下である。また、本発明の歩行中のつまずき改善剤の投与量又は摂取量は、成人1人(60kg)に対して1日あたり、スフィンゴミエリンとして、好ましくは10〜1500mg、より好ましくは20〜1000mg、更に好ましくは50〜500mg、更に好ましくは100〜250mgである。
上記製剤は、任意の計画に従って投与又は摂取され得る。
投与又は摂取期間は特に限定されないが、反復・連続して投与又は摂取することが好ましく、5日間以上連続して投与又は摂取することがより好ましく、15日間以上連続して投与又は摂取することが更に好ましい。
投与又は摂取対象者としては、歩行中のつまずきの改善を必要とする若しくは希望するヒトであれば特に限定されないが、歩行中のつまずき易さを自覚しているヒトにおける投与又は摂取が有効である。
脂肪球皮膜成分は牛乳から調製したものを使用した。また、脂肪球皮膜成分の含水量は3.6質量%であった。
脂肪球皮膜成分の組成は、乾燥物換算で、炭水化物:11.6%、脂質:25.6%、タンパク質:54.1%であった。また、脂肪球皮膜成分中、リン脂質の含有量は乾燥物換算で18.9%であり、スフィンゴミエリンの含有量は3.70%であった。
上記の脂肪球皮膜成分の分析は次のとおり行った。
(1)タンパク質の分析
タンパク質量はケルダール法を用いて、窒素・タンパク質換算係数6.38として求めた。
(2)脂質の分析
脂質量は酸分解法で求めた。試料を1g量りとり、塩酸を加え分解した後、ジエチルエーテル及び石油エーテルを加え、攪拌混和した。エーテル混合液層を取り出し、水洗した。溶媒を留去させ、乾燥させた後、重量を秤量することで脂質量を求めた、
(3)炭水化物の分析
炭水化物量は試料の質量から試料中のタンパク質量、脂質質量、灰分量、及び水分量を除くことにより求めた。なお、灰分量は直接灰化法 (550℃で試料を灰化させ重量測定)、水分量は常圧加熱乾燥法 (105℃4時間乾燥させ重量測定)により求めた。
(4)リン脂質の分析
試料1gを量りとり、クロロホルム及びメタノールの2:1(V/V)混液150mL、100mL、及び20mL中でホモジナイズ後、0.88質量%(W/V)塩化カリウム水溶液93mLを添加し、一晩室温で放置した。脱水ろ過、溶媒留去後、クロロホルムを添加し総量を50mLとした。そのうち2mLを分取し、溶媒留去後、550℃16時間加熱処理により灰化した。灰分を6M塩酸水溶液5mLに溶解後、蒸留水を添加し、総量を50mLとした。3mLを分取し、モリブデンブルー発色試薬5mL、5質量%(W/V)アスコルビン酸水溶液1mL及び蒸留水を添加し総量を50mLとし、710nmの吸光度を測定した。リン酸2水素カリウムを用いた検量線からリン量を求め、リン量に25.4をかけた値をリン脂質量とした。
(5)スフィンゴミエリンの分析
試料1gを量りとり、クロロホルム及びメタノールの2:1(V/V)混液150mL、100mL、及び20mL中でホモジナイズ後、0.88質量%(W/V)塩化カリウム水溶液93mLを添加し、一晩室温で放置した。脱水ろ過、溶媒留去後、クロロホルムを添加し総量を50mLとした。そのうち10mLを分取し、シリカカートリッジカラムに添加した。カラムをクロロホルム20mLで洗浄後、メタノール30mLでリン脂質を溶出し、溶媒留去後クロロホルム1.88mLに溶解した。シリカゲル薄層プレートに20μLを負荷し、1次元展開溶媒としてテトラヒドロフラン:アセトン:メタノール:水=50:20:40:8(V/V)、2次元展開溶媒としてクロロホルム:アセトン:メタノール:酢酸:水=50:20:10:15:5(V/V)を用いて2次元展開を行った。展開後の薄層プレートにディトマー試薬を噴霧し、スフィンゴミエリンのスポットをかきとり、3質量%(V/V)硝酸含有過塩素酸溶液2mL添加後、170℃3時間の加熱処理を行った。蒸留水5mL添加後モリブデンブルー発色試薬5mL、5質量%(W/V)アスコルビン酸水溶液1mL及び蒸留水を添加し総量を50mLとし、710nmの吸光度を測定した。リン酸2水素カリウムを用いた検量線からリン量を求め、リン量に25.4をかけた値をスフィンゴミエリン量とした。
試験例1
日本薬局方(製剤総則「錠剤」)に準じて、下記表1に示す組成の錠剤(450mg/錠)を調製した。
Figure 2016138059
歩行中につまずき易い20歳以上65歳未満の健常男女14名を二つの群に分け、一方の群には上記で調製した実施例1の錠剤を、もう一方の群には比較例1の錠剤をそれぞれ1日に30錠ずつ、毎日1〜2回に分けて4週間摂取させた。
試験終了後、最終被験者5名又は9名に対し、歩行中の「つまずき」の状態について問診を行った。評価基準は、「改善」、「やや改善」、「変化なし」、「やや悪化」、「悪化」の5段階とした。群間比較はMann−Whitney U testで実施した。結果を表2に示す。
また、試験開始前(0週目)と試験終了後(4週目)に各群の被験者の採血を行い、クレアチニン測定試薬((株)SRL)にて血清中のクレアチニン値の測定を行った。
結果を表3に示す。数値は平均±標準誤差で示した。
Figure 2016138059
Figure 2016138059
表2より、実施例1群と比較例1群の間で有意傾向が認められ(p<0.08)、実施例1の錠剤の摂取により歩行時のつまずきが改善することが確認された。
一方、表3より明らかなように、上記試験では、脂肪球皮膜成分の摂取によって血清クレアチニン値の有意な変化は見られなかった。
ヒト体内におけるクレアチニンは95質量%が筋肉中に存在し(Eur Heart J、1998年、第19巻、p.617−22)、血清クレアチニン値は筋肉量に比例して増減することが知られている(Endocrinol Metab、2013年、第28巻、p.207−213)。つまり、上記試験では、脂肪球皮膜成分の摂取によって筋肉量は変化しなかったといえる。
このことから、筋肉量増加や筋機能の改善はないにもかかわらず、脂肪球皮膜成分の摂取によって歩行中のつまずきが改善されたと推察される。

Claims (6)

  1. 脂肪球皮膜成分を有効成分とする歩行中のつまずき改善剤。
  2. 脂肪球皮膜成分中、リン脂質を5〜100質量%含有する請求項1記載の歩行中のつまずき改善剤。
  3. 脂肪球皮膜成分中、スフィンゴミエリンを1〜50質量%含有する請求項1記載の歩行中のつまずき改善剤。
  4. 剤型が経口投与用の固形製剤である請求項1〜3のいずれか1項記載の歩行中のつまずき改善剤。
  5. 固形製剤が錠剤である請求項4記載の歩行中のつまずき改善剤。
  6. 成人1人あたり1日にスフィンゴミエリンを10〜1500mg投与又は摂取するものである請求項1〜5のいずれか1項記載の歩行中のつまずき改善剤。
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