本発明は、用紙の座屈に起因する用紙の整合不良、綴じ不良及び放出不良ひいては綴じ処理された用紙束の品質低下を防止しようとするものである。このため、本発明は、制御部がデータ取得部により取得された用紙のコシの強弱に関するデータに基づいてフェンス部材駆動部の駆動を制御するようにしたことを特徴としている。
以下、本発明に係る用紙処理装置及び画像形成装置の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、用紙処理装置PDと画像形成装置PRとからなるシステムのシステム構成を示している。画像形成装置PRとしては、電子写真方式、インクジェット方式、熱転写方式など、公知に属する全ての方式の画像形成装置を使用できる。なお、図1の例では、用紙処理装置PDを画像形成装置PRに付属させているが、用紙処理装置PDは、画像形成装置PR以外の他の機器に付属させることもできるし、他の機器に付属させずに単独で用いることもできる。
図1に示すように、本実施形態においては、用紙処理装置PDが、画像形成装置PRの側部に取り付けられており、画像形成装置PRから排出された用紙が用紙処理装置PDに導かれようになっている。用紙処理装置PDは、搬送路A、搬送路B、搬送路C、搬送路D及び搬送路Hを備え、画像形成装置PRから排出された用紙は、パンチユニット100を有する搬送路Aへまず搬送される。
搬送路Bは、搬送路Aを通過した用紙を上トレイ201へ導く搬送路であり、搬送路Cは、搬送路Aを通過した用紙をシフトトレイ202へ導く搬送路である。また、搬送路Dは、用紙を端面綴じ処理トレイFに導く搬送路である。搬送路Aから各搬送路B、C、Dへの用紙の振り分けは、分岐爪15及び分岐爪16を所定の方向に回動することにより行われる。
本例の用紙処理装置PDは、用紙に対して、パンチユニット100による穴明け、ジョガーフェンス53及び端面綴じステープラS1による用紙揃えと端部綴じ、中綴じ上ジョガーフェンス250a、中綴じ下ジョガーフェンス250b及び中綴じステープラS2による用紙揃えと中綴じ、シフトトレイ202による用紙の仕分け、折りプレート74及び折りローラ81による中折り等の各処理を行えるように構成されている。各処理は、搬送路Aに続く搬送路B、C、Dを選択することにより行うことができる。また、搬送路Dは、用紙収容部Eを含み、搬送路Dの下流側には、端面綴じ処理トレイF、中綴じ処理トレイG、排紙搬送路Hが設けられている。
搬送路Aの入口近傍には、画像形成装置PRから受け入れる用紙を検出する入口センサ301が配置され、その下流には、入口ローラ1、パンチユニット100、パンチかす収容部101、搬送ローラ2、第1及び第2の分岐爪15、16が順次配置されている。第1及び第2の分岐爪15、16は、ばねにより図1の状態(初期状態)に保持されており、第1及び第2のソレノイドをONすることにより、それぞれ駆動されようになっている。
入口センサ301としては、用紙の有無を検出するもののほか、用紙のサイズ及び厚さを検出するものを備えることもできる。なお、用紙のサイズや厚さを検出するセンサは、用紙処理装置PDから見て外部装置である画像形成装置PRに備えることもできる。これらのセンサは、用紙のコシの強弱に関するデータを取得するデータ取得部として機能する。また、用紙のコシの強弱に関するデータには、用紙のサイズ及び厚さだけでなく、用紙の材質も挙げることができる。用紙の材質は、用紙処理装置PD又は画像形成装置PRに備えられた操作パネルを用いて入力することができる。この場合、操作パネルもデータ取得部として機能する。
第1及び第2の分岐爪15、16は、上記のように構成されているので、第1及び第2のソレノイドのON/OFFを選択して、第1及び第2の分岐爪15、16の回動位置の組み合わせを変えることにより、搬送路Aから搬送路B、搬送路C、搬送路Dへの用紙の振り分けを行うことができる。
搬送路Aを通過した用紙を搬送路Bへ導く場合は、第1のソレノイドをOFF状態のままとして、第1の分岐爪15を図1の状態(初期状態)に維持する。これにより、用紙は搬送ローラ3から排紙ローラ4を経て上トレイ201に排出される。
搬送路Aを通過した用紙を搬送路Cへ導く場合は、図1の状態から第1及び第2のソレノイドをON状態に切り替え、第1の分岐爪15は上方に、第2の分岐爪16は下方(第2の分岐爪16は上向きが初期状態)にそれぞれ回動した状態とする。これにより、用紙は、搬送ローラ5及び排紙ローラ対6(6a、6b)を経てシフトトレイ202側に搬送される。用紙は、搬送路Aから搬送路Cへ搬送される過程で仕分けが行われる。
用紙の仕分けは、シフト排紙ローラ対6(6a、6b)と、戻しコロ13と、紙面検知センサ330と、シフトトレイ202と、シフトトレイ202を用紙搬送方向に直交する方向に往復動させるシフト機構と、シフトトレイ202を昇降させるシフトトレイ昇降機構とにより行われる。
搬送路Aを通過した用紙を搬送路Dへ導く場合は、第1の分岐爪15を駆動する第1のソレノイドをON、第2の分岐爪を駆動する第2のソレノイドをOFFとする。これにより、第1の分岐爪15は上方に回動し、第2の分岐爪16は上方に回動した状態となるので、用紙は搬送ローラ2から搬送ローラ7を経て搬送路D側に導かれる。搬送路Dに導かれた用紙は、端面綴じ処理トレイFへ導かれ、整合及び端面綴じ等が施される。端面綴じ処理トレイFで整合及び端面綴じ等を施された用紙は、ガイド部材44により、シフトトレイ202へ導く搬送路C、又は、折り等を施す中綴じ処理トレイGへ振り分けられる。
シフトトレイ202に導かれる場合、用紙束は、用紙ローラ対6からシフトトレイ202に排紙される。また、中綴じ処理トレイG側に導かれた用紙束は、中綴じ処理トレイGで折り処理及び綴じ処理を施され、排紙搬送路Hを通って排紙ローラ83から下トレイ203へ排紙される。
搬送路D内には、分岐爪17が配置され、搬送路Aを通過した用紙を用紙収容部Eへ導けるようになっている。分岐爪17は、低荷重ばねにより図1の状態に保持されており、搬送ローラ7によって搬送される用紙の後端が分岐爪17を通過した後に、搬送ローラ9、10、ステープル排紙ローラ11のうちの少なくとも1つ、例えば搬送ローラ9を逆転させることにより、用紙をターンガイド8に沿って逆行させることができる。これにより、用紙後端から用紙を用紙収容部Eへ導いて滞留(プレスタック)させ、次用紙と重ね合せて搬送することが可能になる。
また、この動作を繰り返すことによって2枚以上の用紙を重ね合せて搬送することも可能である。なお、符号304は用紙をプレスタックさせる際の逆送タイミングを設定するためのプレスタックセンサである。
搬送路Dを通過した用紙について用紙揃え及び端部綴じを行う場合には、搬送路Dを通過した用紙をステープル排紙ローラ11によってトレイ部材である端面綴じ処理トレイFへ導き、端面綴じ処理トレイF上に順次積載する。端面綴じ処理トレイF上に積載された用紙は、1枚毎に叩きコロ12で縦方向(用紙搬送方向)の整合が行われ、ジョガーフェンス53によって横方向(用紙搬送方向と直交する方向:用紙幅方向とも称す)の整合が行われる。また、ジョブの切れ目、即ち、用紙束の最終紙から次の用紙束先頭紙までの間で、後述するCPU_PD1からのステープル信号により綴じ手段としての端面綴じステープラS1が駆動され、綴じ処理が行われる。
綴じ処理が行われた用紙束は、直ちに放出爪52aが突設された放出ベルト52(図2参照)によりシフト排紙ローラ6へ送られ、受け取り位置にセットされているシフトトレイ202に排紙される。
なお、端面綴じステープラS1は、図1に示すように、ステープル針を打ち出すステッチャ(ドライバ)S1aと、ステープル針の先端を折り曲げるクリンチャS1bとからなる。また、ステッチャS1aとクリンチャS1bとの間に形成される空間部S1cは、第1及び第2の後端基準フェンス51a、51bが通り抜けることができる大きさになっていることから、端面綴じステープラS1と後端基準フェンス51とが干渉することなく、端面綴じステープラS1を移動できる。端面綴じステープラS1は、中綴じステープラS2とは異なり、ステッチャS1aとクリンチャS1bとが一体となっている。
ステッチャS1aは、用紙面に対して垂直方向には移動せずに固定側として機能し、クリンチャS1bが用紙面に対して垂直な方向に移動する移動側として機能している。これにより、用紙束SBに対して綴じ動作を行う場合には、第1及び第2の後端基準フェンス51a、51bのスタック面51a1、51b1に当接した用紙束SBの所定の被綴じ部分をクリンチャS1bがステッチャS1a側に移動し、その過程で綴じ動作が行われる。
放出ベルト52は、図2及び図4に示すように、用紙幅方向の整合中心に位置し、プーリ62間に張架され、放出ベルト駆動モータ157により駆動される。また、複数の放出ローラ56が前記放出ベルト52に関して対称に配置され、駆動軸に対して回転自在に設けられ、従動コロとして機能している。なお、図4は、図1における放出ベルト52の動作を示す側面図で、矢印J方向が用紙搬送方向である。
放出爪52aは、放出ベルトHPセンサ311によりホームポジションが検知されるようになっており、この放出ベルトHPセンサ311は、放出ベルト52に設けられた放出爪52aによりオン・オフする。放出ベルト52の外周上には、対向する位置に2つの放出爪52aが配置され、端面綴じ処理トレイFに収容された用紙束SBを交互に移動搬送する。また、必要に応じて放出ベルト52を逆回転させ、これから用紙束SBを移動するように待機している放出爪52aと対向側の放出爪52aの背面で端面綴じ処理トレイFに収容された用紙束の搬送方向先端を揃えるようにすることもできる。
図1、図7、図12、図13において、符号110a、110b、110cは、後端基準フェンス51に収容された用紙束SBの後端部分をジョガーフェンス53側に押圧する後端押さえレバーを示している。後端押さえレバー110a、110b、110cは、端面綴じ処理トレイFに積載された用紙後端の座屈を防止すると共に、後端基準フェンス51内への次の用紙の搬送を容易にするために備えられる。なお、個々の後端押さえレバー110a、110b、110cを区別しない場合には、「後端押さえレバー110」と包括的に記載する。後端押さえレバー110は、用紙の押圧部材として機能する。
即ち、端面綴じ処理トレイFに搬送された用紙は、用紙毎に叩きコロ12で縦方向(用紙搬送方向)の整合が行われるが、端面綴じ処理トレイFに積載された用紙後端がカールしていたり、腰が弱かったりすると用紙自身の重量によって後端が座屈し、外向きに膨らむ傾向になる。また、その積載枚数が増えることによって、後端基準フェンス51内へ次の用紙が入る隙間が小さくなるので、縦方向の揃えが悪くなる傾向になる。
そこで、後端押さえレバー110を後端基準フェンス51の下端部に配置して、端面綴じ処理トレイFに対してほぼ垂直な方向(図7の矢印Y1、Y2の方向)に往復動する。このようにすると、後端押さえレバー110を用紙に突き当てることにより、用紙の座屈を防止できる。また、この状態から後端押さえレバー110を後退させることにより、後端基準フェンス51内へ次の用紙が入る隙間を大きくできるので、縦方向の整合を良好なものにできる。
後端基準フェンス51a、51bは、ジョガーフェンス53の下方に配置されており、ジョガーフェンス53上に積載された用紙の後端を突き当てて整合するフェンス部材として機能する。即ち、後端基準フェンス51a、51bは、図6に示すように、断面形状がコの字形に形成されており、その底面が、用紙の後端を突き当てて整合するためのスタック面51a1、51b1になっている。従って、ジョガーフェンス53上に積載された用紙の後端をスタック面51a1、51b1に突き当てることにより、用紙の後端を整合することができる。
本実施形態に係る後端基準フェンス51a、51bは、ジョガーフェンス53の配設方向に沿って上下動できるようになっている。後端基準フェンス51a、51bをジョガーフェンス53の配設方向に沿って上向きに移動すると、押圧部材110を用紙の後端に近い部分に突き当てることができるので、コシが非常に弱い用紙についても座屈を確実に防止できる。反対に、後端基準フェンス51a、51bをジョガーフェンス53の配設方向に沿って下向きに移動すると、押圧部材110を用紙の後端よりも上方部分に突き当てることができるので、コシがやや弱い用紙の座屈を確実に防止できる。
即ち、用紙の座屈位置は、用紙の腰の弱さの程度によって変動する。例えば、用紙のサイズが小さく、用紙の厚みが大きく、用紙の材質がコシの強いものである場合、用紙の座屈位置は、用紙の後端に近い部分になる。これに対して、用紙のサイズが大きく、用紙の厚みが小さく、用紙の材質が腰の弱いものである場合には、用紙の座屈位置は、用紙の後端よりも上方になる。
従って、押圧部材110の設定位置に対する後端基準フェンス51a、51bの設定位置が固定されていると、用紙の座屈位置に押圧部材110を突き当てることができない場合を生じる。これに対して、本実施形態に係る用紙処理装置は、後端基準フェンス51a、51bを押圧部材110の配設位置に対して上下動可能に構成したので、用紙の座屈位置に押圧部材110を確実に突き当てることができる。
図15は、後端基準フェンス51a、51bを上下動するフェンス部材駆動部の第1例を示している。この図から明らかなように、本例のフェンス部材駆動部は、後端基準フェンス51a、51bがソレノイド50の駆動軸50aに連結されており、ソレノイド50への通電を制御することにより、押圧部材110の設定位置に対する後端基準フェンス51a、51bの設定位置を段階的に上下動できるようになっている。
図16は、後端基準フェンス51a、51bを上下動するフェンス部材駆動部の第2例を示している。この図から明らかなように、本例のフェンス部材駆動部は、後端基準フェンス51a、51bが、ラック・ピニオン機構60を介してモータ61に連結されており、モータへの通電を制御することにより、押圧部材110の設定位置に対する後端基準フェンス51a、51bの設定位置を段階的又は無段階的に上下動できるようになっている。
後端基準フェンス51a、51bを上下方向に駆動するフェンス部材駆動部の制御方法については、後に図17を用いて説明する。
また、図1において、符号302、303、304、305、310はそれぞれ用紙検知センサであり、設けられた位置における用紙の通過の有無、若しくは用紙の積載の有無を検知する。
図2は、端面綴じ処理トレイFをトレイの積載面側から見た概略構成図であり、図1の右側面側から見た場合に相当する。同図において、上流側の画像形成装置PRより受け入れた用紙の幅方向の整合はジョガーフェンス53a及び53bによって実施され、縦方向は第1及び第2の後端基準フェンス51a、51b(図1では符号51で示す)に突き当てて整合される。
図3は、端面綴じ処理トレイF及びその付属機構の概略構成を示している。同図に示すように、ステープル排紙ローラ11により端面綴じ処理トレイFへ導かれた用紙は、順次端面綴じ処理トレイF上に積載される。このとき、端面綴じ処理トレイFに排出される用紙の枚数が1枚の場合、用紙毎に叩きコロ12で縦方向(用紙搬送方向)の整合が行われ、ジョガーフェンス53a、53bによって幅方向(用紙搬送方向と直交する用紙幅方向)の整合が行われる。叩きコロ12は支点12aを中心に叩きSOL170によって振り子運動を与えられ、端面綴じ処理トレイFへ送り込まれた用紙に間欠的に作用して用紙後端STを後端基準フェンス51に突き当てる。
なお、叩きコロ12自身は、反時計回りに回転する。ジョガーフェンス53は、図2及び図3に示すように、前後一対(53aと53b:図では左右)設けられ、正逆転可能なジョガーモータ158によりタイミングベルトを介して駆動され、用紙幅方向に往復移動する。
図5は、ステープラの移動機構を示している。端面綴じステープラS1は、図5に示すように、支持板140の両側板間に支持されたスライド軸141と、支持板140に前記スライド溝141と平行に形成されたスライド溝142とによって用紙幅方向にスライド移動可能に支持されている。一方、スライド軸141と平行にタイミングベルト159bがプーリ159c、159d間に張設され、正逆転可能なステープラ移動モータ159によりタイミングベルト159aを介してタイミングベルト159bが駆動される。
端面綴じステープラS1は、タイミングベルト159bに取り付けられていることから、ステープラ移動モータ159の回転駆動力が端面綴じステープラS1に伝達され、端面綴じステープラS1は、用紙後端部の所定位置を綴じるためにスライド軸141及びスライド溝142に沿って用紙幅方向に移動する。
その移動範囲の一側端には、端面綴じステープラS1のホームポジションを検出するステープラ移動HPセンサ312が設けられており、用紙幅方向の綴じ位置は、前記ホームポジションからの端面綴じステープラS1の移動量により制御される。端面綴じステープラS1は、用紙後端部で1箇所若しくは複数個所(一般には2箇所)綴じることができるように構成され、少なくとも後端基準フェンス51a、51bによって支持される用紙後端STの全幅にわたって移動可能となっている。
また、ステープル針の交換のために装置前側には最大限移動できるようになっており、ユーザがステープル針を交換操作する際の便を図っている。なお、符号160a、160bは端面綴じステープラS1が傾く際のガイドとなるガイド溝で、ベース160に形成されている。
図6は、端面綴じ時の端面綴じ処理トレイFにスタックされた用紙束SBと、後端基準フェンス51と、端面綴じステープラS1との関係を示している。この図から分かるように、第1及び第2の後端基準フェンス51a、51bは、それぞれ内側に用紙後端STが当接するスタック面51a1、51b1を備え、用紙後端STを支持し、ひいては用紙束SB全体を支持するようになっている。用紙後端STの支持は、従来4点で行うものが一般的であるが、本実施形態では2点支持となっており、2点で用紙後端STの位置が規定される。
図6(a)に示すように、用紙束SBは、後端基準フェンス51のスタック面51a1、51b1の2箇所に接触してスタックされ、その後端が位置決めされて、用紙束SBが整合される。整合動作完了後は、端面綴じステープラS1により綴じ処理が施される。
なお、図6(a)は、端面1箇所綴じを行う場合のステープラS1の配置を示しているが、1箇所斜め綴じを施す場合には、図6(a)に図示された端面1箇所綴じの位置からステープル針S1dが図6(b)に示す位置となるように、用紙後端ST側の端部を中心として端面綴じステープラS1を回転し、予め設定された所要の角度位置で綴じ処理を行う。
綴じ処理の終了後は、放出ベルト52が放出ベルト駆動モータ157によって反時計方向に駆動される。これにより、綴じ処理後の用紙束は、放出ベルト52に取り付けられた放出爪52aによって掬われ、端面綴じ処理トレイFから放出される。なお、符号64a、64bは前側板及び後側板である。また、本動作は整合処理後に綴じ処理を実施しない未綴じ束においても同様の動作が可能である。
図7は、用紙束SBの押圧部材として、レバー状の部材である後端押さえレバー110を備えた例を示している。本例の後端押さえレバー110は、用紙の幅方向に複数(本実施例では3個)設けられている。各押圧部材110a、110b、110cは、後述する機構により用紙幅方向に端面綴じステープラS1に連動して移動すると共に、用紙束SBに対して近接離間動作できるように構成されており、用紙束SBの後端を所定圧で押圧動作し、綴じ処理を行う際に後端基準フェンス51との間で用紙束SBを保持する。
端面綴じ処理トレイFの用紙搬送方向に関して下流側には、用紙束偏向機構Iが設けられている。図1に示すように、端面綴じ処理トレイFから中綴じ処理トレイGへ、また端面綴じ処理トレイFからシフトトレイ202へ用紙束SBを送る搬送路、及び用紙束SBを搬送する搬送手段は、用紙束SBに搬送力を与える搬送機構35、用紙束SBをターンさせる放出ローラ56、用紙束SBをターンさせるためのガイドを行うガイド部材44とから構成されている。
各々について詳細な構成を説明すると、搬送機構35のローラ36には、駆動軸37の駆動力がタイミングベルトによって伝達される構成となっており、ローラ36と駆動軸37はアームによって連結支持され、駆動軸37を回転支点として揺動可能となっている。搬送機構35のローラ36の揺動駆動は、カム40によって行われ、カム40は回転軸を中心に回転し、モータによって駆動される。搬送機構35では、ローラ36の対向する位置には従動ローラ42が配置され、従動ローラ42とローラ36によって用紙束を挟み、弾性材によって加圧し、搬送力を与えている。
端面綴じ処理トレイFから中綴じ処理トレイGへ用紙束をターンさせる搬送路は、放出ローラ56と放出ローラ56に対向する側のガイド部材44の内面との間に形成される。ガイド部材44は、支点を中心に回動し、その駆動は、束分岐駆動モータ161(図2参照)から伝達される。端面綴じ処理トレイFからシフトトレイ202へ用紙束を搬送する場合には、ガイド部材44が支点を中心に図示時計方向に回動し、ガイド部材44の外面(放出ローラ56と対向しない側の面)とその外側のガイド板間の空間が搬送路として機能する。
端面綴じ処理トレイFから中綴じ処理トレイGへ用紙束Pを送る場合、端面綴じ処理トレイFで整合された用紙束SBの後端を放出爪52aで押し上げ、搬送機構35のローラ36と、これに対向する対向する従動ローラ42との間で用紙束を挟み、搬送力を与える。このとき搬送機構35のローラ36は、用紙束SBの先端と衝突しない位置で待機している。次に、用紙束SB先端が通過してから用紙表面に搬送機構35のローラ36を接触させ、搬送力を与える。このときガイド部材44と放出ローラ56とでターン搬送路のガイドを形成し、用紙束SBを下流の中綴じ処理トレイGへと搬送する。
中綴じ処理トレイGは、図1に示すように、搬送機構35、ガイド部材44及び放出ローラ56からなる用紙束偏向機構の下流側に設けられている。中綴じ処理トレイGは、前記用紙束偏向機構の下流側にほぼ垂直に設けられており、中央部に中折り機構が、その上方に束搬送ガイド板上92が、また、下方に束搬送ガイド板下91が配置されている。
また、束搬送ガイド板上92の上部には、束搬送ローラ上71が、下部には束搬送ローラ下72がそれぞれ設けられていると共に、両ローラ71、72間を跨ぐように束搬送ガイド板上92の側面に沿って両側に中綴じ上ジョガーフェンス250aが配置されている。同様に束搬送ガイド板下91の側面に沿って両側に中綴じ下ジョガーフェンス250bが設けられ、この中綴じ下ジョガーフェンス250bが設置されている個所に中綴じステープラS2が配置されている。
中綴じ上ジョガーフェンス250a及び中綴じ下ジョガーフェンス250bは、駆動機構により駆動され、用紙搬送方向に直交する方向(用紙の幅方向)の整合動作を行う。中綴じステープラS2は、クリンチャ部とドライバ部とが対となったもので、用紙の幅方向に所定の間隔をおいて2対設けられている。
また、束搬送ガイド板下91を横切るように可動後端基準フェンス73が配置され、タイミングベルトとその駆動機構とを備えた移動機構により用紙搬送方向(図において上下方向)に移動可能となっている。駆動機構は、図1に示すように、前記タイミングベルトが掛け渡された駆動プーリと従動プーリと、駆動プーリを駆動するステッピングモータとにより構成されている。
同様に、束搬送ガイド板上92の上端側には、後端叩き爪251と、その駆動機構が設けられている。後端叩き爪251は、タイミングベルト252と駆動機構とによって前記用紙束偏向機構から離れる方向と用紙束の後端(用紙束導入時に後端に当たる側)を押す方向とに往復移動可能となっている。
中折り機構は、中綴じ処理トレイGのほぼ中央部に設けられ、折りプレート74と折りローラ81と、折られた用紙束を搬送する搬送路Hとからなっている。なお、図1において、符号326は後端叩き爪251のホームポジションを検出するためのホームポジションセンサ、符号323は中折りされた用紙を検出するための折り部通過センサ、符号321は用紙束が中折り位置に到達したことを検知する束検出センサ、符号322は可動後端基準フェンス73のホームポジションを検出する可動後端基準フェンスホームポジションセンサである。
また、この実施例では、下トレイ203に中折りされた用紙束SBの積層高さを検出する検出レバー501が支点501aによって揺動自在に設けられ、この検出レバー501の角度を紙面センサ505によって検出し、下トレイ203の昇降動作及びオーバーフロー検出を行っている。
図7に示した従来の押圧部材110は、次用紙が積載される瞬間は図7の位置に待機しており、次用紙が積載され終わると、図7の矢印Y1方向に移動し、用紙束SBを押圧動作する。
図8は、本実施形態における端面綴じ処理トレイFの下部の概略構成とその動作を示す要部正面図で、押圧部材110は待機状態にある。本実施形態では、図7に示した従来の押圧部材110に空間部111を形成し、この空間部111に図8に示すように回転部材であるコロ114とハウジング113と圧縮ばね112とを装着している。ハウジング113は、回転部材であるコロ114を、回転軸115(図12、図13参照)を介して回転可能に支持する。
ハウジング113は、前記空間部111内を矢印Y1、Y2方向にスライド移動可能である。圧縮ばね112は、ハウジング113を前記空間部111の開口部方向(矢印Y1方向)に弾性的に常時押している。スライダ113は、空間部111の開口部で移動を規制され、この状態で図8に示すようにコロ114の転動面(接触面)114fが押圧部材110の用紙を押圧する用紙押圧面(端面)110fから突出している。これにより、コロ114表面の用紙束SBへの接触が可能となる。なお、図8の状態は押圧部材110が用紙束SBから離間した待機状態である。
ハウジング113には、図12に示すように、一体にモータ固定部材122が設けられ、モータ固定部材122には、コロ114の回転軸115を駆動するモータ120が固定されている。モータ120の駆動軸にはギア121が取り付けられており、コロ114の回転軸115に取り付けられたギア116と噛み合ってコロ114を正逆両方向に回転駆動する。
図9は図8の待機状態から用紙束SBを押圧する押圧動作時の状態、図10は次用紙積載時の状態、図11は用紙束SBを端面綴じ処理トレイFからの放出動作時の状態をそれぞれ示している。押圧部材110が図8の待機状態から図9に示すよう用紙束SBを押圧する押圧位置に移動(矢印Y1方向)すると、コロ114は用紙束SBに押され、空間部111内に用紙押圧面110fから突出した分だけ後退する。これにより用紙束SBは押圧部材110の端面(用紙押圧面110f)によって押圧され、端面綴じ処理トレイF上に保持される。この保持力の主体は押圧部材110である。
図10の状態で次用紙Snが搬送されてくると、次用紙Snはそれまでに端面綴じ処理トレイFに積載された用紙束SBの上に排紙され、前述のように重力と叩きコロ12の作用により後端基準フェンス51側に移動する。その際、コロ114は用紙を後端基準フェンス51側に搬送する方向(矢印R1方向)にモータ120によって回転駆動されている。そこで、次用紙Snが叩きコロ12によって後端基準フェンス51側に叩き落とされると、次用紙Sn先端はコロ114と用紙束SBの最上位の用紙との間に進入し、コロ114から後端基準フェンス51側への搬送力を得る。これによって次用紙Snは後端基準フェンス51側に確実に搬送される。
後端基準フェンス51側に搬送された次用紙Snの先端が後端基準フェンス51に突き当たると、コロ114は次用紙Snの表面との間で滑り、搬送力が伝達されなくなる。その後、直ぐにモータ120は停止し、さらに次の用紙の搬入を待つ。コロ114の用紙と接触する転動面114fは、次用紙Snが搬送不能となったとき次用紙Snの表面との間で滑って搬送力が付与されないようにするため、低摩擦係数に設定されている。
この場合に設定される摩擦係数は、用紙を搬送する場合には、搬送力を付与し、用紙が搬送不能となったとき当該用紙の表面で確実に滑り、用紙に搬送力を付与しないものであれば良い。なお、前記ギア121及びギア116の噛み合い部若しくはその近傍の部分に一方向クラッチを設けておき、次用紙先端が後端基準フェンス51に当接して用紙が搬送されなくなった時点でコロ114に対する動力の伝達が切れるように構成することもできる。
このようにして1部分の用紙が全て端綴じ処理トレイFに排紙されると、端綴じステープラS1によって端綴じが行われる。綴じ処理された用紙束SBは、放出ベルト52を駆動することにより放出爪52aを動作させ、放出爪52aによって上方に持ち上げられ端面綴じ処理トレイFから放出される。綴じ処理がされない場合も、同様にして1部の用紙束が放出される。その際、図11に示すようにコロ114は用紙束を放出する方向(矢印R2方向)にモータ120によって駆動され、用紙束SBに放出方向の搬送力を付与する。
図12は図9におけるa方向矢視、図13は図10及び図11におけるa方向矢視を示している。これらの図において、押圧部材110は、用紙束の搬送方向の両端部側を押さえる第1及び第2の押圧部材110a、110bと、用紙束の搬送方向のジョガーによる整合中心53cを押さえる第3の押圧部材110cである。
第1乃至第3の押圧部材100a、100b、100cは、第1の駆動機構150によって用紙束SBに対して垂直な方向に駆動され、第1及び第2の押圧部材100a、100bは第3の押圧部材100cを中心に用紙束SBと平行な方向に駆動される。第1ないし第3の押圧部材110a、110b、110cは、それぞれ第1乃至第3の支持軸151a、151b、151cによって支持され、前記垂直及び水平移動動作が可能となっている。
第1の駆動機構150は、第1乃至第3の支持軸151a、151b、151cを用紙束SBと垂直な方向に駆動するもので、端面綴じ処理トレイFの両側部の外側に配置された一対の移動機構153a、153bを含む。移動機構153a、153bは、それぞれ一対のプーリ154a、154b、プーリ間に張設された無端状のベルト155a、155b、及びプーリ154aの一方を駆動するモータ156を備えている。
また、端面綴じ処理トレイFの用紙積載面と平行にガイド軸152が配置され、当該ガイド軸152は、ベルト155a、155bにそれぞれ両端部が固定されている。これにより、モータ156が駆動されると、ベルト153a、153bが回転し、この回転状態に応じてガイド軸152が端面綴じ処理トレイFに対して接近し、あるいは離れるように移動する。なお、第1及び第2の支持軸151a、151bはガイド軸152に対してガイド軸152の軸線方向に沿ってスライド移動可能に取り付けられている。
第2の駆動機構160は、第1及び第2の支持軸151a、151bと整合中心53cに関し、対称に近接し、あるいは離れるように移動させるものである。この第2の駆動機構160は、一対のプーリ165a、165bと、一対のプーリ165a、165b間に張設された無端状のベルト162と、スライド軸に沿って移動可能に支持された第1及び第2のスライダ163a、163bと、第1及び第2のスライダ163a、163bと互いに近接する方向に弾性力が作用するように第3の支持軸151bに連結された第1及び第2の弾性部材164a、164bと、端面綴じステープラS1の移動に伴って第1の押圧部材110aを移動させるスライド部材171と、を含む。
第1のスライダ163aは、ベルト162の一方の側に連結され、第2のスライダ163bはベルト162の他方の側に連結されている。これによりベルト162の回転方向によって第1及び第2のスライダ163a、163bは互いに近接し、あるいは離れる方向に移動する。
スライド部材171は、ガイド軸によって用紙の幅方向にスライド移動自在に支持され、第1及び第2のスライダ163a、163bの間に位置している。スライド部材171は、端面綴じステープラS1に取り付けられた移動片180の突片180aと端面綴じステープラS1が用紙の幅方向に移動するときに当たって一体に移動する第1及び第2の突起部171a、171bを備えている。
図12は、前記突片180aが第2の突起部171bの内面に当たり、端面綴じステープラS1が最も用紙の幅方向外側(左側)に移動した状態を示している。この状態から端面綴じステープラS1が幅方向中央側に移動すると、第2のスライダ163bが第2の弾性部材164bの弾性力によって幅方向中央側に移動する。これに応じて、第1のスライダ163aは、ベルト162の回転により整合中心53cに関して第2のスライダ163bと対称な位置に移動する。その結果、第1及び第2の押圧部材110a、110bは整合中心53cに関して対称な位置で用紙束SBを押圧することができる。
また、端面綴じステープラS1が図12及び図13に示す状態から図示右方向に移動すると、前記突片180aは第1の突起部171aに突き当たり、スライド部材171を右方向に一体に移動させる。そして、スライド部材171の図示右側の側面が第1のスライダ163aに当たり、第1のスライダ163aを一体に右側に移動させる。端面綴じステープラS1が綴じ位置で停止すると、第1のスライダ163aも停止し、その位置で用紙束SBの押圧動作が可能となる。なお、移動の際は、図8に示すように、コロ114a、114及び押圧部材110a、110bの端面は用紙束SB表面から離れた位置にある。
このように構成すると、第1及び第2の押圧部材110a、110bを用紙束SBの幅方向のサイズに合わせて移動させることができる。また、第1乃至第3の押圧部材110a、110b、110cを用紙束SBに対して近接させて押圧状態(図9、図12参照)、あるいはコロ114のみを用紙束SBの最上位の用紙に対して接触状態(図10、図11、図13参照)とし、あるいはコロ114を含む押圧部材110を用紙束SB表面から離れた状態(図8)とすることができる。
即ち、図10及び図11に示すように用紙積載時及び用紙束放出時にはコロ114は、用紙に当接し、押圧部材110は用紙から離れた位置に位置し、用紙束SBへの綴じ処理時には、コロ114と押圧部材110が用紙束SBに押圧し、その他の場合にコロ114と押圧部材110は用紙束から離れた位置に位置している。これにより、押圧部材110が離れて用紙束を押さえる力がなくなることにより用紙束SBの撓み、コート紙等による先行紙の押出しによる綴じ精度不良の発生を防止することができる。また、前述のようにコロ114は、次用紙積載時は用紙を後端側に引き込む方向(矢印R1方向)、用紙束放出時は用紙束を放出する方向(矢印G2方向)に回転駆動される。
図14は、用紙処理装置PD及び画像形成装置PRからなる画像形成システムの制御構成を示している。用紙処理装置PDは、CPU_PD1、I/O(インタフェース)PD2等を有するマイクロコンピュータを搭載した制御回路(制御部)を備えている。CPU_PD1には、画像形成装置PRのCPUあるいは操作パネルPR1の各スイッチ等、及び各センサからの信号が通信インタフェースPD3を介して入力され、CPU_PD1は入力された信号に基づいて所定の制御を実行する。
また、CPU_PD1は、ドライバ、モータドライバを介してソレノイド及びモータを駆動制御し、インタフェースから装置内のセンサ情報を取得する。また、制御対象やセンサに応じてI/0インタフェースPD2を介してモータドライバによってモータの駆動制御を行い、センサからセンサ情報を取得する。なお、前記制御は、ROMに格納されたプログラムコードをCPU_PD1が読み込んでRAMに展開し、当該RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用しながら前記プログラムコードで定義されたプログラムに基づいて実行される。
また、図14における用紙処理装置PDの制御は、画像形成装置PRのCPUからの指示若しくは情報に基づいて実行される。ユーザの操作指示は、画像形成装置PRの操作パネルPR1から行われ、画像形成装置PRと操作パネルPR1は通信インターフェイスPR2を介して相互に接続されている。これにより、画像形成装置PRからは用紙処理装置PDへ操作パネルPR1からの操作信号が送信され、また、用紙処理装置PDの処理状態や機能が操作パネルPR1を介してユーザに通知される。
このように画像形成システムの制御系を構成すると、CPU_PD1は、画像形成装置PR側から送られてくる用紙の搬送情報に基づいてコロ114a、114b、114cの回転方向と回転開始タイミングを決定して駆動制御を行うと共に、第1乃至第3の押圧部材110a、110b、110cの後退位置を制御する。
また、CPU_PD1は、1部の最終枚の用紙の搬送が終了した時点で、第1乃至第3の押圧部材110a、110b、110cを前進させて用紙束SBを押さえる制御を実行する。さらに、CPU_PD1は、綴じ処理が終了すると、第1ないし第3の押圧部材110a、110b、110cの後退位置を設定し、コロ114a、114b、114cの回転方向の変更と、その回転開始タイミングを決定して駆動制御を行い、用紙束SBの放出の補助動作を実行する。
さらに、CPU_PD1は、データ記憶部であるROM及びRAM(データ記憶部)を含んで構成されており、フェンス部材駆動部であるソレノイド50又はモータ61の駆動制御を行う。ROMには、図17に例示するように、用紙のコシの強弱に関するデータに対応する後端基準フェンス51a、51bの設定位置に関するデータが記憶されている。
図17の例においては、用紙のコシの強さに関するデータとして、用紙サイズが大、用紙厚が小、材質が弱の組み合わせ(第1の組み合わせ)と、用紙サイズが中、用紙厚が中、材質が中の組み合わせ(第2の組み合わせ)と、用紙サイズが小、用紙厚が大、材質が強の組み合わせ(第3の組み合わせ)とが挙げられている。また、フェンス部材である後端基準フェンス51a、51bの設定位置に関するデータとして、用紙のコシの強さに関する第1の組み合わせに対しては下位置が設定され、第2の組み合わせに対しては中位置が設定され、第3の組み合わせに対しては上位置が設定されている。
用紙のサイズが小さく、用紙の厚みが大きく、用紙の材質がコシの強いものである場合には、用紙全体としてのコシが強く、大荷重に耐えられるので、用紙の座屈位置は、用紙の後端に近い部分になる。これに対して、用紙のサイズが大きく、用紙の厚みが小さく、用紙の材質が腰の弱いものである場合には、用紙全体としてのコシが弱く、小さな荷重を受けただけで座屈しやすいので、用紙の座屈位置は、用紙の後端よりも上方になる。
従って、用紙全体としてのコシが弱い第1の組み合わせについては、後端基準フェンス51a、51bの設定位置に関するデータとして下位置が設定しておくことによって、用紙の後端よりも上方部分を押圧部材110にて押圧できるので、用紙の座屈を防止することができる。また、用紙全体としてのコシが強い第3の組み合わせについては、後端基準フェンス51a、51bの設定位置に関するデータとして上位置が設定しておくことによって、用紙の後端部分を押圧部材110にて押圧できるので、やはり用紙の座屈を防止することができる。
CPU_PD1は、データ取得部であるセンサ及び操作パネルから取得された用紙のコシの強さに関するデータに応じた後端基準フェンス51a、51bの設定位置に関するデータをROMから読み出し、読み出された後端基準フェンス51a、51bの設定位置に関するデータに基づいてフェンス部材駆動部であるソレノイド50又はモータ61の駆動を制御する。これにより、用紙の座屈しやすい部分を押圧部材110にて押圧できるので、使用する用紙のコシの強さによらず、用紙の座屈を確実に防止することができる。
なお、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。