JP2017132493A - 多層容器 - Google Patents

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Kota Mori
宏太 森
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Takayuki Ishihara
隆幸 石原
裕樹 田代
Hiroki Tashiro
裕樹 田代
梓 大槻
Azusa Otsuki
梓 大槻
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Abstract

【課題】EVOH共重合体や遷移金属触媒等を含有する容器を成形する際に生じた回収物をリグラインド層として含有する多層容器において、レトルト殺菌に賦された場合でも、耐溶出性及びフレーバー性に優れた多層容器を提供する。【解決手段】多層容器の少なくとも一層に、水酸基を有する樹脂aと、酸化性有機成分及び遷移金属触媒とを含有する樹脂組成物Aに、α炭素が4級であるカルボキシル化合物であって、カルボキシル基が金属塩を形成していないカルボキシル化合物bを配合して成る樹脂組成物Bを含有する中間層を備えて成ることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の水酸基を有する樹脂と酸化性有機成分及び遷移金属触媒を含有する容器を成形する際に生じた回収物をリグラインド中間層として含有する多層容器に関し、より詳細には、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の樹脂のリグラインド層に特有の耐溶出性及びフレーバー性の低下が抑制された多層容器に関する。
ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂やポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル樹脂などは、成形性、透明性、機械的強度、耐薬品性などの特性に優れており、フィルム、シート、ボトル等の包装材料として種々の分野で使用されている。
このようなオレフィン系樹脂やポリエステル樹脂は、酸素バリア性が十分でないことから、内容物の保存性を向上させるために、ガスバリア性に優れた樹脂であるエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、「EVOH共重合体」ということがある)等のガスバリア性樹脂を中間層として、オレフィン系樹脂やポリエステル樹脂から成る内外層の間に設けた多層容器が広く実用に供されている。
ところで、上記のようなオレフィン系樹脂或いはポリエステル樹脂のような熱可塑性樹脂から容器を成形する際にはスクラップ樹脂、例えばシートをプレス成形して容器を成形する場合には多数の円板状シートを打ち抜いた後のシートのようなスクラップ樹脂が発生し、このようなスクラップ樹脂を回収し再利用すべく、このような回収物から成るリグラインド層を中間層として使用することが行われている。
しかしながら、上述したように、容器のガスバリア性を向上するためにEVOH共重合体等のガスバリア性樹脂から成る層を有する容器の成形により生じた回収物には、オレフィン系樹脂やポリエステル樹脂以外にEVOH共重合体が含有されており、このEVOH共重合体がシート成形等の溶融押出に際して劣化する傾向があり、バージンの樹脂から成る多層容器に比して黄色く変色したり、焦げやゲル化の発生、或いは流動異常による外観特性の低下や、劣化により生じた低分子量成分が溶出することによる全有機炭素溶出量ならびにアセトアルデヒド溶出量などの増加、フレーバー性の低下等が生じるという問題がある。
このようなEVOH共重合体を含有する回収物に特有の問題を解決するため、例えば下記特許文献1には、オレフィン系樹脂とEVOH共重合体から成る回収物を使用するに際してメルトインデックスの異なるバージンオレフィン系樹脂を混合することにより、焦げやゲル化の発生、或いは流動異常による外観特性の低下やフレーバー性の低下等が解消できることが記載されている。
また下記特許文献2には、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を含む積層体を再使用するときの該積層体の粉砕物に配合する樹脂組成物として、オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル共重合体(A)、脂肪酸金属塩(B)及び/又は金属酸化物等の金属化合物(C)を含有して成る樹脂組成物が提案されている。
しかしながら上記先行技術文献記載の多層構造体においても、レトルト殺菌のような高温高湿度条件下におかれた場合には、耐溶出性に劣り、フレーバー性の点で未だ十分満足するものではなかった。すなわち、EVOH共重合体は、熱分解されやすいことから、このEVOH共重合体を含有する回収物は多層容器の成形に際して、更に熱履歴を受けることにより分解して、低分子量成分が発生する。そのため、レトルト殺菌等に賦されると、かかる分解生成物が溶出して内容物に移行し、内容物のフレーバーが損なわれるという問題があった。
本発明者等は、かかるEVOH共重合体等の水酸基を有する樹脂を含有する樹脂組成物に対し、α炭素が4級であるカルボキシル化合物を配合することにより、カルボキシル基と水酸基とのエステル化反応やカルボキシル基と樹脂中の金属塩化合物(樹脂の触媒残渣、滑剤などの添加剤)との相互作用により水酸基を有する樹脂の熱分解を抑制し、スクラップ樹脂中のEVOH共重合体の分解開始温度を、カルボキシル化合物を配合しなかった場合に比して20℃以上高くすることが可能になり、その結果、低分子量成分の発生を有効に防止することが可能になり、耐溶出性及びフレーバー性の低下を抑制できることを見出した(特願2015−76597号)。
特開平7−195635号公報 特開2002−234979号公報
しかしながら、EVOH共重合体等の水酸基を有する樹脂と共に、多層容器に酸素吸収性を持たせるために酸化性有機成分及び遷移金属触媒が使用されている場合には、遷移金属触媒に起因するラジカルの発生によりEVOH共重合体の分解が促進されるため、上述したα炭素が4級であるカルボキシル化合物を配合してもレトルト殺菌後のフレーバーが改善されていない場合があった。
本発明者等はこの原因について鋭意研究した結果、上記α炭素が4級であるカルボキシル化合物の中でも、カルボキシル基が金属塩を形成しているカルボキシル化合物では、先願発明で規定するCOOH/OHの比を満足する量で配合しても、酸化性有機成分及び遷移金属触媒から成る酸素吸収性成分が配合された場合には、レトルト殺菌後のフレーバー性が改善されていない場合があること、及びカルボキシル基が金属塩を形成していなければ先願発明で規定するCOOH/OHの比より少ない比のカルボキシル化合物の配合で耐溶出性及びフレーバー性の低下を抑制できること、を見出した。
従って本発明の目的は、EVOH共重合体等の水酸基を有する樹脂と酸素吸収性成分を含有する容器を成形する際に生じた回収物をリグラインド層として含有する多層容器において、レトルト殺菌に賦された場合でも、耐溶出性及びフレーバー性に優れた多層容器を提供することである。
本発明によれば、水酸基を有する樹脂aと、酸化性有機成分及び遷移金属触媒とを含有する樹脂組成物Aに、α炭素が4級であるカルボキシル化合物であって、カルボキシル基が金属塩を形成していないカルボキシル化合物bを配合して成る樹脂組成物Bを含有する中間層を備えて成ることを特徴とする多層容器が提供される。
本発明の多層容器においては、
1.前記カルボキシル化合物bが、エチレン−メタクリル酸共重合体であること、
2.前記樹脂組成物Aが、少なくともオレフィン系樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体を含有すること、
3.オレフィン系樹脂から成る内外層、及びバリア層/酸素吸収層/バリア層から成る多層構造を有するバリア性中間層を有すること、
4.前記樹脂組成物A中の樹脂aの水酸基量に対する前記カルボキシル化合物bのカルボキシル基量の比(COOH/OH)が0.04未満であること、
5.レトルト殺菌後の全有機炭素溶出量が1.0ppm未満であること、
6.レトルト殺菌後のアセトアルデヒド溶出量が40ppb未満であること、
7.前記酸素吸収層よりも内側に位置する何れかの層に消臭成分が含有されていること、
8.層構成が、内側から順に、ポリプロピレン内層/消臭成分含有層/必要により形成されるリグラインド層/接着層/バリア層/酸素吸収層/バリア層/接着層/リグラインド層/ポリプロピレン外層から成り、前記リグラインド層が、前記樹脂組成物Bを含有すること、
が好適である。
前述したとおり、容器成形時に生じたスクラップ樹脂(回収物)は、シート成形等の際に既に熱履歴を受けており、このスクラップ樹脂を再度容器成形に用いると、更に熱履歴を受けることになる。一方、EVOH共重合体等の水酸基を有する樹脂においては、水酸基に由来するC−O結合はC−H結合に比して結合エネルギーが小さく且つ水酸基が結合したα炭素に結合した水素は脱離しやすいことから、熱履歴を受けることにより、オレフィン系樹脂などに比して熱分解されやすいという特徴を有しており、特に酸素吸収性を持たせるために酸化性有機成分及び遷移金属触媒を配合する場合には、遷移金属触媒によって樹脂の分解を促進するラジカルが発生するため、その傾向が顕著になる。
本発明者等は、α炭素が4級であるカルボキシル化合物であって、カルボキシル基が金属塩を形成していないカルボキシル化合物bを配合することにより、このカルボキシル化合物bのカルボキシル基と上述したEVOH共重合体等の水酸基とを反応させてエステル化すること、及びカルボキシル化合物bを配合することによる遷移金属触媒との相互作用(配位等)が分解抑制に寄与することによって、上述した熱分解を抑制することができることを見出した。しかも本発明においてはカルボキシル基が金属塩を形成していないことから効率よく遷移金属触媒と相互作用またはEVOH共重合体等の水酸基と反応するため、カルボキシル基が金属塩を形成しているカルボキシル化合物に比して熱分解を顕著に効率よく抑制することが可能になる。
またこのカルボキシル化合物bは樹脂中の金属塩化合物(樹脂の触媒残渣、滑剤等の添加剤)と相互作用することによっても、上述した熱分解を抑制することが可能になる。更に本発明で用いるカルボキシル化合物bはα炭素が4級であることから、それ自体分解されにくく、熱履歴を受けても分解されることが抑制されている。
すなわち、本発明の多層容器においては、エチレンビニルアルコール共重合体等の水酸基を有する樹脂aと、酸化性有機成分及び遷移金属触媒とを含有する樹脂組成物Aに、α炭素が4級であり、カルボキシル基が金属塩を形成してないカルボキシル化合物bを、後述する(COOH/OH)比で配合することによって、樹脂組成物B(樹脂組成物A+カルボキシル化合物b)中の樹脂aの分解開始温度を、カルボキシル化合物bを配合しなかった場合の樹脂aに比して20℃以上高くすることが可能になる。その結果、熱分解を抑制することにより低分子量成分の発生を有効に防止し、耐溶出性及びフレーバー性の低下が抑制されている。
本発明の多層容器の上述した作用効果は後述する実施例の結果からも明らかである。
すなわち、リグラインド層を構成する樹脂組成物に、カルボキシル化合物b(エチレン−メタクリル酸共重合体)が配合されていない多層容器においては、レトルト後のアセトアルデヒド溶出量が40ppb以上であり、耐溶出性に劣っており、官能評価においても強く味が感じられる結果であり、フレーバー性が低下している(比較例1)。
またカルボキシル化合物bとして、エチレン−メタクリル酸共重合体中のカルボキシル基が金属塩を形成しているカルボキシル化合物(アイオノマー樹脂)を、OHに対する(COOH+COOM)の比が0.04となるように配合して成る多層容器においては、リグラインド層を構成する樹脂組成物中に、遷移金属触媒(ステアリン酸コバルト)及び酸化性有機成分が配合されている場合には、レトルト後のアセトアルデヒド溶出量は40ppb以下に抑制されていたが、官能評価では味が感じられ、フレーバー性が低下していることがわかる(比較例2)。
これに対して、カルボキシル基が金属塩を形成していないエチレン−メタクリル酸共重合体を、EVOH共重合体の水酸基に対するカルボキシル基の比(COOH/OH)が0.02となるように配合して成る、遷移金属触媒(ステアリン酸コバルト)及び酸化性有機成分を含有するリグラインド層を有する多層容器は、分解開始温度の差が20℃以上であり、しかもレトルト後のアセトアルデヒド溶出量が40ppb以下であり、優れた耐溶出性を有していることがわかり、官能評価においてもわずかに味を感じる結果であり、フレーバー性も優れている(実施例1、4)。また本発明の多層容器においては、COOH/OHの比が0.01と、カルボキシル化合物bの配合量が少量でも優れた効果が得られていることがわかる(実施例3)。
(樹脂組成物A)
本発明において、樹脂組成物Aは、水酸基を含有する樹脂a、及び酸素吸収性を付与するために配合される酸化性有機成分及び遷移金属触媒を含有する限り、後述する他の樹脂等を含有してもよい。より具体的には、樹脂aとしてEVOH共重合体等のガスバリア性樹脂(樹脂a)と遷移金属触媒及び酸化性有機成分、更にオレフィン系樹脂、ポリエステル等の容器成形に用いられる基材樹脂等から成る。
本発明は、EVOH共重合体等の熱分解されやすい樹脂a及び熱分解を促進する遷移金属触媒を含有する樹脂組成物の熱分解を抑制し、耐溶出性及びフレーバー性を向上できるものであるから、樹脂a及び酸素吸収性を付与するために配合される遷移金属触媒及び酸化性有機成分を含有するバージンの樹脂に対しても効果があり、容器成形の際に生じるスクラップ樹脂に限定されるものではないが、樹脂a及び酸素吸収性を付与するために配合される遷移金属触媒及び酸化性有機成分を含有するスクラップ樹脂は更なる熱履歴により熱分解が生じやすいことから、樹脂aと遷移金属触媒及び酸化性有機成分を含有する容器を成形する際に生じるスクラップ樹脂を樹脂組成物Aとして用いた多層容器の成形に特に好適である。
[樹脂a]
本発明において、樹脂aは水酸基を有する熱可塑性樹脂であり、特に容器成形に際して中間層に用いられているバリア性樹脂を挙げることができ、これに限定されないが、EVOH共重合体等を挙げることができる。
EVOH共重合体としては、従来より包装材料の分野で酸素バリア性樹脂として使用されているものを挙げることができ、これに限定されないが、エチレン含有量が20乃至60モル%、特に25乃至50モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96モル%以上、特に99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物が好適に使用されている。このEVOH共重合体は、フィルムを形成し得るに足る分子量を有するべきであり、一般に、フェノール/水の重量比が85/15の混合溶媒中、30℃で測定して0.01dl/g以上、特に0.05dl/g以上の固有粘度を有する。
[基材樹脂]
一般に、上述した樹脂aと共に、容器成形に用いられる基材樹脂としてはオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂等を挙げることができる。かかる基材樹脂は、例えば多層容器の内外層として使用されるほか、前述した樹脂aを構成するガスバリア性樹脂と共に中間層にも使用されている。
オレフィン系樹脂としては、従来より包装材料として使用されている、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、線状超低密度ポリエチレン(LVLDPE)等のポリエチレンや、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)等を挙げることができる。
またオレフィン系樹脂は、従来から包装材料の分野で使用されている押出グレード或いは射出グレードのものである。
ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の熱可塑性ポリエステルや、これらのポリエステルとポリカーボネートやアリレート樹脂等のブレンド物を挙げることができる。
一般に、エステル反復単位の大部分(一般に60モル%以上、特に80モル%以上)がエチレンテレフタレート単位であり、ガラス転移点(Tg)が50乃至90℃、特に55乃至80℃であり、且つ融点(Tm)が200乃至275℃、特に220乃至270℃のポリエチレンテレフタレート(PET)系ポリエステルが好適に容器成形に用いられている。
また、PET系ポリエステルとしては、ホモポリエチレンテレフタレートが最適であるが、エチレンテレフタレート単位の含有量が上記範囲内にある共重合ポリエステルも好適に使用される。
かかる共重合ポリエステルにおいて、テレフタル酸以外の二塩基酸としては、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;等の1種又は2種以上の組み合わせを例示することができ、エチレングリコール以外のジオール成分としては、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の1種又は2種以上が挙げられる。
ポリエステル樹脂においても、少なくともフィルムを形成し得るに足る分子量を有しているべきであり、一般に固有粘度(I.V)が、0.6乃至1.40dl/g、特に0.63乃至1.30dl/gの範囲にある。
[酸化性有機成分及び遷移金属触媒]
前述したとおり、酸素吸収性を付与するために酸化性有機成分と遷移金属触媒を共に使用した場合には、遷移金属触媒によって樹脂の分解を促進するラジカルが発生しやすいが、本発明においてはこのような遷移金属触媒の存在による樹脂aの分解も抑制することができる。
〈酸化性有機成分〉
樹脂組成物Aに含有される酸化性有機成分としては、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、天然ゴム、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等のポリエン系重合体を例示することができる。
これらのポリエン系重合体は、カルボン酸基、カルボン酸無水物基、水酸基が導入されていることが好ましい。これらの官能基を導入するのに用いられる単量体としては、上記官能基を有するエチレン系不飽和単量体が挙げられる。
これらの単量体としては、不飽和カルボン酸又はこれらの誘導体を用いるのが好ましく、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸等のα,β−不飽和カルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等のα,β−不飽和カルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物などの飽和カルボン酸の無水物が挙げられる。
〈遷移金属触媒〉
上述した酸化性有機成分と共に使用される遷移金属触媒において、遷移金属としては、鉄、コバルト、ニッケル等の周期律表第VIII族金属が好適であるが、他に銅、銀等の第I族金属、錫、チタン、ジルコニウム等の第IV族金属、バナジウム等の第V族金属、クロム等の第VI族金属、マンガン等の第VII族金属等であってもよい。これらの中でも特にコバルトは、酸素吸収性(酸化性有機成分の酸化)を著しく促進させることから、用いられることが多い。
遷移金属触媒は、一般に、上記遷移金属の低価数の無機塩、有機塩或いは錯塩の形で使用される。
無機塩としては、塩化物などのハライド、硫酸塩等のイオウのオキシ塩、硝酸塩などの窒素のオキシ酸塩、リン酸塩などのリンオキシ塩、ケイ酸塩等が挙げられる。
有機塩としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩などが挙げられるが、本発明の目的にはカルボン酸塩が好適である。その具体例としては、酢酸、プロピオン酸、イソプロピオン酸、ブタン酸、イソブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、イソヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ギ酸、シュウ酸、スルファミン酸、ナフテン酸等の遷移金属塩を挙げることができる。
また、遷移金属の錯体としては、β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルとの錯体が挙げられる。β−ジケトンやβ−ケト酸エステルとしては、例えば、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、1,3−シクロヘキサジオン、メチレンビス−1,3−シクロヘキサジオン、2−ベンジル−1,3−シクロヘキサジオン、アセチルテトラロン、パルミトイルテトラロン、ステアロイルテトラロン、ベンゾイルテトラロン、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ベンゾイルシクロヘキサノン、2−アセチル−1,3−シクロヘキサジオン、ベンゾイル−p−クロルベンゾイルメタン、ビス(4−メチルベンゾイル)メタン、ビス(2−ヒドロキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセトン、トリベンゾイルメタン、ジアセチルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ラウロイルベンゾイルメタン、ジベンゾイルメタン、ビス(4−クロルベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセチルフェニルメタン、ステアロイル(4−メトキシベンゾイル)メタン、ブタノイルアセトン、ジステアロイルメタン、ステアロイルアセトン、ビス(シクロヘキサノイル)メタン及びジピバロイルメタン等を用いることができる。
[その他]
樹脂組成物Aには、容器成形の際に使用される滑剤、改質剤、顔料、紫外線吸収剤等が含有されていてもよく、また容器が接着層を有する場合もあり、接着樹脂を含有していてもよい。
(樹脂組成物B)
本発明において、樹脂組成物Bは、上述した樹脂組成物Aに、α炭素が4級であり、カルボキシル基が金属塩を形成していないカルボキシル化合物bを配合して成るものである。
前述したとおり、カルボキシル基が金属塩を形成し、カルボキシル基の一部が金属イオンにより架橋構造を形成しているような場合には、カルボキシル基が効率よく遷移金属触媒と相互作用すること、または樹脂aの水酸基と反応することができず、樹脂aの分解を抑制するためにカルボキシル化合物を多量に配合する必要が生じたりするが、本発明においては、カルボキシル化合物bのカルボキシル基が金属塩を形成していないことから、このような不利益を生じることがない。
本発明において、α炭素が4級であるカルボキシル化合物bとしては、メタクリル酸、エタクリル酸等のα炭素が4級であるエチレン性不飽和モノカルボン酸と、エチレン、プロピレン等のα−オレフィンの共重合体を挙げることができ、好適には、エチレン−メタクリル酸共重合体を例示することができる。
本発明においては、カルボキシル化合物bのカルボキシル基が遷移金属触媒と相互作用して遷移金属触媒による樹脂aの劣化促進作用を抑制すること、または樹脂組成物B中に含有される樹脂aの水酸基と反応してエステル化することにより樹脂aの分解を抑制するものであるが、カルボキシル基が金属塩を形成していないことから、樹脂組成物Bにおいて樹脂aの水酸基量に対する前記カルボキシル化合物bのカルボキシル基量の比(COOH/OH)が0.04未満であっても樹脂aの分解を充分に抑制することが可能になる。
具体的には、(COOH/OH)が0.04〜0.01、特に0.02〜0.01の範囲にあることが、樹脂aの分解を効率よく抑制し、優れた成形性及び経済性も得ることができる。
また樹脂組成物Bには、相溶化材を配合することもできる。このような相溶化材としては、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物、酸変性ポリオレフィン系樹脂を例示することができる。相溶化材は、樹脂組成物A100重量部に対して0.1〜10重量部、特に1〜5重量部の量で配合することが好ましい。
(多層容器)
本発明の多層容器は、上述した樹脂組成物Bを含有する中間層を有する限り、その層構成、成形方法は限定されない。
例えば、それ自体公知の射出成形或いは押出成形により、所定の層構造を有するプリフォームを成形し、次いで、得られたプリフォームを溶融成形及び固相成形(例えばブロー成形、真空成形、プラグアシスト成形等)することにより製造される。また、各樹脂を多層ダイ内で合流させ、中間層樹脂が封入するように溶融樹脂を押し出し、中間層樹脂が存在しない部分で切断し、金型内に投入後、コア型で圧縮成形することにより製造される。
ボトル形状の容器を製造する場合には、試験管形状のプリフォームを成形した後、ブロー成形を行えばよい。この場合、プリフォームの形状をチューブ状とし、その一端をピンチオフして閉じた後、ダイレクトブロー成形することによりボトル形状の容器を得ることもできる。また、カップ状の容器を製造する場合には、シート状のプリフォームを成形し、次いで、真空圧空成形や圧空成形等を行えばよい。
上記多層パリソン、多層シート或いは多層プリフォームにおける多層構造としては、上記樹脂組成物Bから成る中間層を有する限り特に限定されず、その用途に応じて適宜の層構造を有していてよい。このような層構造の例としては、これに限定されないが、以下の層構造を例示することができる。
尚、以下の例において、樹脂組成物Bから成る中間層はRG層、EVOH共重合体等のバリア性樹脂から成る酸素バリア層はGB層として示し、酸素吸収性層はSc層、消臭成分含有層はOE層、接着層はAD層として示した。また消臭成分を含有させた場合には、RG(OE)層のように示した。
内層/RG層/外層
内層/AD層/RG層/AD層/外層
内層/RG層/AD層/GB層/AD層/外層
内層/RG層/AD層/Sc層/AD層/外層
内層/RG(OE)層/AD層/Sc層/AD層/外層
内層/OE層/RG層/AD層/Sc層/AD層/外層
内層/RG層/AD層/GB層/AD層/RG層/外層
内層/RG層/AD層/Sc層/AD層/RG層/外層
内層/RG(OE)層/AD層/Sc層/AD層/RG層/外層
内層/OE層/RG層/AD層/Sc層/AD層/RG層/外層
内層/AD層/GB層/AD層/RG層/外層
内層/AD層/Sc層/AD層/RG層/外層
内層/OE層/AD層/Sc層/AD層/RG層/外層
内層/OE層/AD層/GB層/Sc層/GB層/AD層/RG層/外層
内層/RG(OE)層/AD層/GB層/Sc層/GB層/AD層/RG層/外層
内層/OE層/RG層/AD層/GB層/Sc層/GB層/AD層/RG層/外層
内層/AD層/GB層/AD層/RG層/Sc層/AD層/GB層/AD層/外層
内層/OE層/AD層/GB層/AD層/RG層/Sc層/AD層/GB層/AD層/外層
上記層構成の中でも、内層/OE層/RG層/AD層/GB層/Sc層/GB層/AD層/RG層/外層、または内層/AD層/GB層/AD層/RG(OE)層/Sc層/AD層/GB層/AD層/外層が好適である。
内外層を構成する樹脂としては、特に制限されず、各種の熱可塑性樹脂により形成することができ、上述したオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂を使用することができるが、樹脂組成物Aに含有された基材樹脂を用いることが、層間接着性等の点から好ましい。
尚、内層と外層は同種の樹脂で形成されている必要は必ずしもなく、例えば外層を前述したポリエステル樹脂で形成し、内層をオレフィン系樹脂で形成することも勿論可能である。更に内外層中には、必要により、滑剤、改質剤、顔料、紫外線吸収剤等が配合されていてよい。
また上述したように、中間層として、EVOH共重合体等のバリア性樹脂から成る酸素バリア層(GB層)や、EVOH共重合体等のバリア性樹脂やオレフィン系樹脂をマトリックスとしてポリエン系重合体等の酸化性有機成分及び遷移金属触媒から成る公知の酸素吸収成分を分散させた酸素吸収性層(Sc層)等を設けることもできる。
更に、酸素吸収性層(Sc層)よりも内側に消臭成分含有層(OE層)を設けることにより、酸素吸収反応に伴って発生する臭気を消臭成分含有層が捕捉することによって良好なフレーバー性が確保される。
用いる消臭成分としては、それ自体公知のもの、例えば活性炭、シリカゲル、天然乃至合成のゼオライト、活性白土、活性酸化アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ハイドロタルサイト、あるいはアミノ基含有化合物等を、単独或いは2種以上の組み合わせを用いることができる。またこの消臭成分のマトリックスとなる樹脂としては、内層を構成する熱可塑性樹脂と同種の樹脂で使用することが好ましい。
また上述したように酸素吸収性層よりも内側に位置するリグラインド層(RG層)や酸素バリア層(GB層)等に消臭成分を配合することもできる。
更に、接着層(AD層)は必ずしも必要ではないが、従来から接着層形成用の接着剤樹脂として使用されている、例えば、無水マレイン酸によりグラフト変性されたグラフト変性オレフィン系樹脂を用いることもできる。この場合、グラフト変性すべきオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン共重合体が好適である。
本発明を次の実施例ならびに比較例によりさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
尚、実施例ならびに比較例における各種の測定は以下の方法で行った。
(1)分解開始温度;
分解開始温度の測定は熱分析装置((株)日立ハイテクノロジーズ製TG/DTA7220)を用いて行った。測定は窒素気流下、2〜10mg程度の測定試料をアルミパンに載せ、20℃毎分の昇温速度で40〜550℃に昇温させることにより行った。分解開始温度は、加熱減量曲線(TG曲線)で200〜400℃付近に観測される最初の重量減少において微分加熱減量(DTG)が最大になる温度の外挿線と、分解開始前の定常状態におけるTG曲線の外挿線との交点から求め、これを分解開始温度と定義した。
分解開始温度が高いほど樹脂aの分解が抑制されており、分解により生じる低分子成分の溶出が抑制されるため、耐溶出性に優れ、フレーバー性に優れる傾向がある。
(耐溶出性の評価)
作製したカップに常温の超純水85mLを充填し、アルミ箔積層フィルムで密封した後、121℃30分の殺菌条件でシャワー式等圧レトルト処理を行った。レトルト処理後の容器内の水について以下のとおり各種溶出評価を行った。
(2)全有機炭素溶出量(TOC);
全有機炭素溶出量の測定は全有機炭素量測定装置((株)島津製作所製、TOC−5000A)を用いて行った。なお、TOCが1ppm以上のときに溶出物に由来する味を強く感じる傾向にある。
(3)アセトアルデヒド(AA)溶出量;
容器内のサンプル水1.0mLを採取し、濃度0.1%の2,4−ジニトロフェニルヒドラジン・リン酸溶液を0.2ml加えた。30分後に液を0.45μmのメンブレンフィルターで濾過し、濾液を高速液体クロマトグラフィー(アジレント・テクノロジー(株)製Agilent 1200 Infinity)で測定した。なお、水中のアセトアルデヒドの風味閾値は40ppb未満である。
(4)フレーバー性の評価(官能評価);
レトルト後の容器内のサンプル水のフレーバー性の評価として、パネリスト3人による官能評価を実施した。評価は、ほとんど味を感じないものを◎、わずかに味を感じるものを○、味を感じるものを△、強く味を感じるものを×とした。
(実施例1)
共押出多層シート成形機を用いてポリプロピレン(PP)内層/樹脂組成物B層/接着(AD)層/エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)層/酸素吸収性(Sc)層/EVOH層/AD層/PP外層の構成の多層シートを作製した。なお、上記層構成を層構成Aとする。各層に用いた樹脂は、PP:MFR0.5g/10min(230℃、荷重2160g)、EVOH:エチレン含有率27モル%、MFR4.0g/10min(210℃、荷重2160g)、AD:MFR5.7g/10min(230℃、荷重2160g)、Sc:EVOH(エチレン含有率32モル%、MFR3.6g/10min(210℃、荷重2160g))を主成分として酸化性有機成分及び遷移金属触媒から成るもの、である。ここで樹脂組成物Bは、PP/EVOH/Sc/AD=78/12/6/4の重量比で混合したペレットを二軸押出機により混練してペレットを作製し、前記混練ペレットとPPとを30/70の重量比で混合し、この混合物100重量部に対してエチレン−メタクリル酸共重合体(以下、EMAAという。カルボン酸含有率3.1モル%、MFR8.0g/10min(190℃、荷重2160g))3重量部を添加して混合したものを用いた(COOH/OH=0.02)。得られたシートの厚みは1.2mmで、各層の厚みはPP内層/樹脂組成物B層/AD層/EVOH層/Sc層/EVOH層/AD層/PP外層=150/360/20/65/60/75/30/440(μm)であった。
続いて、作製したシートを用いて圧空真空成形機によるプラグアシスト圧空真空成形によりカップを成形した。得られたカップは口径76mm、内容量110mLであった。
分解開始温度、全有機炭素溶出量、アセトアルデヒド溶出量の測定、及び、官能評価の結果を表1に示す。
(実施例2)
樹脂組成物B中のEMAAの量を5重量部とした以外は実施例1と同様にして多層シートならびにカップ成形を行い、溶出評価を行った(COOH/OH=0.04)。各種評価結果を表1に示す。
(実施例3)
共押出多層シート成形機を用いてPP内層/消臭成分含有(OE)層/AD層/EVOH層/Sc層/EVOH層/AD層/PP外層の構成の多層シートを作製した。各層に用いた樹脂は、実施例1と同様であり、OE層はポリプロピレンを主成分として合成ゼオライトを含有するものである。また、各層の厚みはPP内層/OE層/AD層/EVOH層/Sc層/EVOH層/AD層/PP外層=360/140/20/70/65/60/25/460(μm)であった。続いて、この多層シートを粉砕した回収物とPPとを50/50の重量比で混合し、この混合物100重量部に対してEMAA(カルボン酸含有率3.1モル%、MFR8.0g/10min(190℃、荷重2160g))3重量部を添加して混合したものを樹脂組成物Bとして用い、さらにシート成形を行った(COOH/OH=0.01)。作製したシートはPP内層/OE層/AD層/EVOH層/Sc層/EVOH層/AD層/樹脂組成物B層/PP外層の構成の多層シートであり、各層の厚みは内層から360/140/20/70/65/60/25/350/110(μm)であった。なお、上記層構成を層構成Bとする。続いて圧空真空成形機によるプラグアシスト圧空真空成形によりカップを成形した。得られたカップは口径76mm、内容量110mLであった。各種評価結果を表1に示す。
(実施例4)
樹脂組成物B中のEMAAの量を5重量部とした以外は実施例3と同様にして多層シートならびにカップ成形を行い、溶出評価を行った(COOH/OH=0.02)。各種評価結果を表1に示す。
(比較例1)
EMAAを用いなかった以外は実施例1と同様にして、多層シートならびにカップ成形を行った。各種評価結果を表1に示す。
(比較例2)
EMAAの代わりにエチレン−メタクリル酸共重合体金属中和物(カルボン酸含有率5.4モル%、Naによる中和率50%、MFR0.9g/10min(190℃、荷重2160g))を用いた以外は実施例1と同様にして多層シートならびにカップ成形を行い、溶出評価を行った(COOH+COOM/OH=0.04)。各種評価結果を表1に示す。
(比較例3)
用いたエチレン−メタクリル酸共重合体金属中和物の量を1.5重量部とした以外は比較例2と同様にして多層シートならびにカップ成形を行い、溶出評価を行った(COOH+COOM/OH=0.02)。各種評価結果を表1に示す。
(比較例4)
EMAAの代わりに相溶化材((株)クラレ製、GF31)3重量部を用いた以外は実施例1と同様にして、多層シートならびにカップ成形を行い、溶出評価を行った。各種評価結果を表1に示す。
(考察)
耐溶出性はフレーバー性に影響を与える因子である。すなわち耐溶出性に劣る場合は溶出物が多くフレーバー性も劣り、耐溶出性に優れる場合は溶出物が少なくフレーバー性に優れている傾向であるが、内容品のフレーバー性と完全に相関するものではなく、内容品のフレーバー性の評価には、実際に味を評価する官能評価が適している。
樹脂組成物A層にEMAAを含まない比較例1においては、低分子成分が多く発生し、耐溶出性に劣る。比較例4は、分解開始温度が低く、成形温度領域(250℃付近)と近いことから分解しやすく、低分子成分が多く発生し溶出したと考えられる。また、エチレン−メタクリル酸共重合体金属中和物を添加した比較例2、3においては溶出が抑えられているが、用いたエチレン−メタクリル酸共重合体の一部が金属塩を形成しているため、金属塩を形成していないエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)に比べて遷移金属触媒との相互作用が弱く、遷移金属触媒による劣化促進作用を抑制できておらず、結果として官能評価に劣ると考えられる。
本発明の多層容器は、EVOH共重合体等の水酸基を有する樹脂aと、酸化性有機成分及び遷移金属触媒とを含有するスクラップ樹脂から成る層を含有している場合にも、EVOH共重合体の熱分解が有効に抑制され、レトルト殺菌に賦された場合にも、耐溶出性及びフレーバー性の低下が防止されている。従って、経済性及び風味保持性の要求される用途に好適に使用できる。このような特性を利用して、ビール、ワイン、フルーツジュース、炭酸ソフトドリンク等の飲料や、果物、ナッツ、野菜、肉製品、幼児食品、コーヒー、ジャム、マヨネーズ、ケチャップ、食用油、ドレッシング、ソース類、佃煮類、乳製品、魚類加工品、ペットフード等の保存に有効に利用できる。更に、酸素バリア層を設けることにより、その他医薬品、化粧品、ガソリン等、酸素の存在で劣化を生じる種々の内容物を充填するため容器としても好適に使用できる。

Claims (9)

  1. 水酸基を有する樹脂aと、酸化性有機成分及び遷移金属触媒とを含有する樹脂組成物Aに、α炭素が4級であるカルボキシル化合物であって、カルボキシル基が金属塩を形成していないカルボキシル化合物bを配合して成る樹脂組成物Bを含有する中間層を備えて成ることを特徴とする多層容器。
  2. 前記カルボキシル化合物bが、エチレン−メタクリル酸共重合体である請求項1記載の多層容器。
  3. 前記樹脂組成物Aが、少なくともオレフィン系樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体を含有する請求項1又は2記載の多層容器。
  4. オレフィン系樹脂から成る内外層、及びバリア層/酸素吸収層/バリア層から成る多層構造を有するバリア性中間層を有する請求項1〜3の何れかに記載の多層容器。
  5. 前記樹脂組成物A中の樹脂aの水酸基量に対する前記カルボキシル化合物bのカルボキシル基量の比(COOH/OH)が0.04未満である請求項1〜4の何れかに記載の多層容器。
  6. レトルト殺菌後の全有機炭素溶出量が1.0ppm未満である請求項1〜5の何れかに記載の多層容器。
  7. レトルト殺菌後のアセトアルデヒド溶出量が40ppb未満である請求項1〜6の何れかに記載の多層容器。
  8. 前記酸素吸収層よりも内側に位置する何れかの層に消臭成分が含有されている請求項4〜7の何れかに記載の多層容器。
  9. 層構成が、内側から順に、ポリプロピレン内層/消臭成分含有層/必要により形成されるリグラインド層/接着層/バリア層/酸素吸収層/バリア層/接着層/リグラインド層/ポリプロピレン外層から成り、前記リグラインド層が、前記樹脂組成物Bを含有する請求項1〜8の何れかに記載の多層容器。
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