JP2017132413A - 樹脂製バックドアの補強構造 - Google Patents

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【課題】部品点数の増加や組立工数の増加を招くことなく、効果的にドアコーナ部の剛性を向上させた樹脂製バックドアの補強構造を提供する。【解決手段】車幅方向に延びるバックドア上部110と、当該バックドア上部110の両端からドアコーナ部300を経て下方に延びる左右のバックドア側部121,122と、当該左右のバックドア側部121,122の下端につながるバックドア裾部130とを有し、左右一対のヒンジ取付け部111,112と、左右一対のダンパステー連結部135とが設けられたバックドアインナパネル100を有する樹脂製バックドアの補強構造であって、ドアコーナ部300は、内側コーナ壁311と、外側コーナ壁312とを有するとともに、それらの底部が中間部313を介して連結された凹溝状をしており、一端が内側コーナ壁311に連結され、他端が外側コーナ壁312に連結され、かつ内側コーナ壁311から外側コーナ壁312にかけて放射状に配置された複数のリブ320を備える。【選択図】 図1

Description

本発明は、樹脂製バックドアの補強構造に関する。
近年、車両の軽量化を目的として、バックドアを樹脂製とする場合がある。樹脂製のバックドアは、板金製のバックドアと同様、車体後部開口の上縁に沿って車幅方向に延びるバックドア上部と、バックドア上部の両端から車体後部開口の左右側縁に沿って上下方向に延びる左右一対のバックドア側部と、これら左右一対のバックドア側部の下方につながり、車体後部開口の下方を閉じるバックドア裾部とを有する。バックドア上部と、左右一対のバックドア側部と、バックドア裾部の上縁で囲まれた部分には、ガラスが嵌め込まれ、リアウインドを形成する。
バックドアは、バックドア上部が左右一対のヒンジを介して車体に回動可能に連結され、バックドア裾部の下部中央がロック機構を介して車体に連携される。また、バックドアは、通常、左右一対のダンパステーにより、常時はね上げ回動するように付勢される。このことは、バックドアには、これが閉じた状態においても、ダンパステーにより常時下方に押し下げようとする力が作用することを意味する。ダンパステーは、その上端が車体の後部開口の両側に近い内側上方部位に連結される一方、その下端がバックドアの内面、具体的には左右一対のバックドア側部に近いバックドア裾部の内面適所に連結される。通常、ダンパステーの下端が連結される部位は、左右のヒンジよりも車幅方向外方に位置する。したがって、バックドア上部におけるヒンジが設けられる箇所から左右のバックドア側部にかけてのドアコーナ部には、常時曲げ力が作用することになる。
バックドアを樹脂製とする場合、特にドアコーナ部の剛性が不足すると、経時的にドアコーナ部が変形を起こしてバックドア側部ないしバックドア裾部の位置が設計位置よりも下がり、バックドアの建て付け品位が低下したり、ロック機構が作動不良を起こすという問題が生じることがある。
特許文献1には、樹脂製バックドアのバックドア上部におけるヒンジ取付け位置からドアコーナ部を経て左右のバックドア側部に至る領域の内部にL字状の補強部材を設けることにより、ドアコーナ部の剛性を高めて上記の問題を解消しようとした構成が開示されている。
しかしながら、かかる補強部材を設けて樹脂製バックドアのドアコーナ部の剛性向上を図るという手法には、バックドアの部品点数と組立工数の増加という問題が残存する。
特開2007−216870号公報
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、部品点数の増加や組立工数の増加を招くことなく、効果的にドアコーナ部の剛性を向上させた樹脂製バックドアの補強構造を提供することをその課題とする。
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を採用した。
本発明によって提供される樹脂製バックドアの補強構造は、車幅方向に延びるバックドア上部と、当該バックドア上部の両端からドアコーナ部を経て下方に延びる左右のバックドア側部と、当該左右のバックドア側部の下端につながるバックドア裾部とを有し、左右一対のヒンジ取付け部と、左右一対のダンパステー連結部とが設けられたバックドアインナパネルを有する樹脂製バックドアの補強構造であって、上記ドアコーナ部は、内側コーナ壁と、外側コーナ壁とを有するとともに、それらの底部が中間部を介して連結された凹溝状をしており、一端が上記内側コーナ壁に連結され、他端が上記外側コーナ壁に連結され、かつ上記内側コーナ壁から上記外側コーナ壁にかけて放射状に配置された複数のリブを備えることを特徴とする。
ダンパステーによってバックドアインナパネルに下向きの力が作用し続けると、ドアコーナ部が変形しようとし、この変形は、具体的には、凹溝状のドアコーナ部の内側コーナ壁に対して外側コーナ壁が拡開しようとする現象として現れる。上記構成のバックドアの補強構造によれば、内側コーナ壁と外側コーナ壁との間が複数のリブによって連結されるので、上記した内側コーナ壁と外側コーナ壁間の拡開が防止もしくは抑制され、このことは、ドアコーナ部に作用する下向きの曲げ力に対する剛性が高められたことを意味する。
これにより、別途の補強部材を要せずして、樹脂製バックドアのドアコーナ部の剛性を効果的に高めることができ、ダンパステーにより常時下向きの力が作用することによるバックドアの変形を防止もしくは抑制することができる。
本発明のその他の特徴および利点は、図面を参照して以下に行う詳細な説明から、より明らかとなろう。
本発明の一実施形態に係るバックドアインナパネルを後方側から見た斜視図である。 図1のII-II線に沿う拡大断面図である。 図1に示したバックドアインナパネルを前方側(車室側)から見た斜視図である。 図1に示したバックドアインナパネルの右側ドアコーナ部の拡大図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
図1〜図4は、本発明の一実施形態に係る樹脂製バックドアAを示し、図1は、バックドアインナパネル100を後方側から見た斜視図、図2は、図1のII-II線に沿う拡大断面図、図3は、バックドアインナパネルを車室側(前方側)から見た斜視図、図4は、図1に示したバックドアインナパネルの右側ドアコーナ部の拡大図である。
バックドアインナパネル100とバックドアアウタパネル(図示略)とにより、これらを合わせるようにして、バックドアAが形成される。図1および図3に示されるバックドアインナパネル100は、全体が樹脂成形によって形成されている。
バックドアインナパネル100は、車体の後部開口の上縁に沿って車幅方向に延びるバックドア上部110と、バックドア上部110の左右両端からドアコーナ部300を経て車体後部開口の左右側縁に沿って上下方向に延びるバックドア左側部121およびバックドア右側部122と、これらバックドア左側部121およびバックドア右側部122の下方につながり、車体後部開口の下方を閉じるバックドア裾部130と、を有する。バックドア上部110と、バックドア左側部121と、バックドア右側部122と、バックドア裾部130の上縁とで囲まれる領域は、ウインド部140を形成し、バックドアAが構成されたときにこの領域には、ウインドガラス(図示略)が嵌め込まれる。
バックドア上部110には、左右一対のヒンジ取付け部111,112が設けられている。バックドアAは、このヒンジ取付け部111,112に取付けられたヒンジ(図示略)を介して車体の後部開口の上部に対してはね上げ開閉回動可能に連結される。
バックドア裾部130の左右上部、すなわち、バックドア左側部121とバックドア右側部122との連結部付近には、ダンパステー連結部135が設けられている。このダンパステー取付け部135には、一端が車体側に連結された左右のダンパステー(図示略)の他端が連結され、バックドアAは、このダンパステー(図示略)により、常時はね上げ方向に付勢される。このことは、バックドアAには、ダンパステー取付け部135おいて、ダンパステー(図示略)による下向きの力が常時作用することを意味する。
バックドア裾部130の下部中央には、ロック機構取付け部131が設けられている。バックドアAは、このロック機構取付け部131に取付けられたロック機構(図示略)が車体後部開口の下縁に設けられるストライカ(図示略)に係合して車体に連携され、車体後部開口を閉じた状態が保持される。
バックドアインナパネル100はまた、その外周に外向きフランジ部101が形成され、また、ウインド部140の内周にも、内向きフランジ部102が形成されている。これら外向きフランジ部101と内向きフランジ部102は、バックドアアウタパネル(図示略)に設けた対応する外向きフランジ部(図示略)と内向きフランジ部(図示略)に合わされて、最中状に接合されたバックドアAを形成する。
バックドアインナパネル100における外向きフランジ部101と内向きフランジ部102以外の領域は、全体として、外向きフランジ部101と内向きフランジ部102に対して車室側(前方側)に膨出させられている。したがって、バックドア上部110からドアコーナ部300を経てバックドア左側部121およびバックドア右側部122にかけては、図2に示すように、コ字状断面ないしハット状断面部210となっている。
左右のドアコーナ部300は、詳細には、図1および図4に表れているように、次のように構成されている。すなわち、ドアコーナ部300は、内向きフランジ部102につながって前方側(車室側)に折れ込む内側コーナ壁311と、外向きフランジ部101につながって前方側(車室側)に折れ込む外側コーナ壁312と、これら内側コーナ壁311と外側コーナ壁312の前方側底部どうしをつなげる中間部313とからなる凹溝状をしている。左右のドアコーナ部300にはまた、一端が内側コーナ壁311に連結され、他端が外側コーナ壁312に連結され、かつ内側コーナ311壁から外側コーナ壁312にかけて放射状に配置された複数のリブ320が形成されている。これらのリブ320は、凹溝状の底部を形成する中間部313にも連結されている。また、左右のドアコーナ部300には、放射状に延びる複数のリブ320をつなぐようにしてドアコーナ部300の変曲に沿って延び、かつ、中間部313から起立する複数の補助リブ330が形成されている。
バックドア裾部130については、その外周部が車室側(前方側)に膨出させられた環状膨出部132とされ、この環状膨出部132の内側は、後方側に凹入させられた凹入部133とされている。なお、環状膨出部132は、バックドア左側部121およびバックドア右側部122のコ字状断面ないしハット状断面部210につなげられている。
バックドア裾部130の上記凹入部133には、ロック機構取付け部131と、バックドア左側部121およびバックドア右側部122とバックドア裾部130との左右の連結部151,152とをそれぞれつなぐ斜め方向に沿って延びる左ビード221および右ビード222が形成されている。この左ビード221および右ビード222は、凹入部133から再び車室側に断面コ字状に膨出する形態とされている。
そして、バックドア裾部130における環状膨出部132と上記コ字状断面ないしハット状断面部210とがつながる部分には、リブ231,232が形成されている。このリブ231,232は、本実施形態では、上記左ビード221および右ビード222に実質的につながる上下方向の縦リブ231と、水平方向の横リ232とによって構成され、この縦リブ231と横リブ232は、いずれも、上記コ字状断面ないしハット状断面部の内面に連結されている。
次に、上記構成を有する樹脂製バックドアの補強構造の作用について、説明する。
ダンパステー(図示略)によってバックドアインナパネル100のダンパステー連結部135に下向きの力が作用し続けると、ドアコーナ部300に曲げ応力が集中し、このドアコーナ部300が変形しようとする。この変形は、ドアコーナ部300の内側コーナ壁311に対して外側コーナ壁312が拡開しようとする現象として現れる。本実施形態に係るドアインナパネル100のドアコーナ部300においては、内側コーナ壁311と外側コーナ壁312との間が複数のリブ320によって互いに連結されているので、上記した内側コーナ壁311に対する外側コーナ壁312の拡開現象が防止もしくは抑制される。このことは、ドアコーナ部300に作用する下向きの曲げ力に対する剛性が高められることを意味する。
また、複数のリブ320の一端は、本来的に剛性が高い内側コーナ壁311から放射状に延びるように配置されているので、ドアコーナ部の変形を防止する際に各リブ320に作用する引っ張り力を効果的に内側コーナ壁311に受け止めさせることができる。本実施形態では、複数のリブ320に加え、これら複数のリブ320をつなぐ補助リブ330が形成されているので、各リブ320に引っ張り力が作用した際にこれらのリブ320の倒れを防止することができる。これにより、本実施形態では、ドアコーナ部300に作用する曲げ力に対する剛性をさらに高めることができる。
これにより、別途の補強部材を要せずして、樹脂製バックドアのドアコーナ部300の剛性を効果的に高めることができ、ダンパステー(図示略)により常時下向きの力が作用することによるバックドアAの変形を防止もしくは抑制することができ、経時的なバックドアAの建て付け品位の低下や、ロック機構の作動不良の発生を防止もしくは軽減することができる。
もちろん、この発明の範囲は上記した実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのあらゆる設計変更は、すべて本発明の範囲に含まれる。
なお、本発明は、上記の構成に加えて、別途のリインホースメントを設けて、バックドアのドアコーナ部の剛性をより高くすることを除外するものではない。
A バックドア
100 バックドアインナパネル
101 外向きフランジ部
102 内向きフランジ部
110 バックドア上部
111 ヒンジ取付け部
112 ヒンジ取付け部
121 バックドア左側部
122 バックドア右側部
130 バックドア裾部
131 ロック機構取付け部
132 環状膨出部
133 凹入部
135 ダンパステー連結部
140 ウインド部
151 連結部(左)
152 連結部(右)
210 コ字状断面部
211 対向内面
212 対向内面
221 左ビード
222 右ビード
231 リブ(縦)
232 リブ(横)
300 ドアコーナ部
311 内側コーナ壁
312 外側コーナ壁
313 中間部
320 リブ
330 補助リブ

Claims (1)

  1. 車幅方向に延びるバックドア上部と、当該バックドア上部の両端からドアコーナ部を経て下方に延びる左右のバックドア側部と、当該左右のバックドア側部の下端につながるバックドア裾部とを有し、左右一対のヒンジ取付け部と、左右一対のダンパステー連結部とが設けられたバックドアインナパネルを有する樹脂製バックドアの補強構造であって、
    上記ドアコーナ部は、内側コーナ壁と、外側コーナ壁とを有するとともに、それらの底部が中間部を介して連結された凹溝状をしており、一端が上記内側コーナ壁に連結され、他端が上記外側コーナ壁に連結され、かつ上記内側コーナ壁から上記外側コーナ壁にかけて放射状に配置された複数のリブを備えることを特徴とする、樹脂製パックドアの補強構造。
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