JP2017131928A - 内面螺旋溝付管の製造方法および内面螺旋溝付管の製造装置 - Google Patents
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Abstract
Description
従来、伝熱管には主に銅合金が使用されてきた。しかしながら、軽量化、低コスト化およびリサイクル性改善への要求からアルミニウム合金からなる伝熱管の開発の要求が高まっている。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴部分を強調する目的で、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、同様の目的で、特徴とならない部分を省略して図示している場合がある。
図1は内面螺旋溝付管の製造装置Dを示す正面図である。
製造装置Dは、第1構造部Aと第2構造部Bとを備える。第1構造部Aと第2構造部Bは、中継点Nにおいて管材5を受け渡す。
第1構造部Aは、巻き出しボビン11から巻き出した管材5を中継点Nまで搬送する。また、第1構造部Aは、搬送途中において第1の捻り引抜き工程および第2の捻り引抜き工程を行い管材5に2回の捻りを付与する。
第2構造部Bは、管材5を中継点Nから巻き取りボビン61まで搬送する。また、第2構造部Bは、搬送途中において第3の捻り引抜き工程および第4の捻り引抜き工程を行い管材5に2回の捻りを付与する。
また、第1構造部Aは第1の公転機構30を有し、第2構造部Bは第2の公転機構80を有する。第1の公転機構30および第2の公転機構80は、公転回転中心軸Cを中心として互いに逆方向に回転する。
直線溝付管5Bは、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる。また、直線溝付管5Bは、押出成形により製造された押出材であり、後述する巻き出しボビン11にコイル状に巻き付けられている。
また、本明細書において、第1の捻り引抜き工程を経た後の管材を第1の中間捻り管5M1と呼ぶ。第2の捻り引抜き工程を経た後の管材を第2の中間捻り管5M2と呼ぶ。第3の捻り引抜き工程を経た後の管材を第3の中間捻り管5M3と呼ぶ。完成品である内面螺旋溝付管5Rの捻り角度に対して、第1の中間捻り管5M1は1/4程度の捻りが付与されており、第2の中間捻り管5M2は半分程度の捻りが付与されており、第3の中間捻り管5M3は3/4程度の捻りが付与されている。
図2は、第1構造部Aの正面図である。
第1構造部Aは、第1の公転機構30と、第1の浮き枠34と、巻き出しボビン11と、第1のガイドキャプスタン18と、第1の引抜きダイス1と、第1の公転キャプスタン21と、第1の公転フライヤ23と、第2の公転キャプスタン22と、第2の引抜きダイス2と、第2のガイドキャプスタン41と、を有する。
第1の公転機構30は、第1の回転シャフト35と、駆動部39と、前方スタンド37Aと、後方スタンド37Bと、を有している。
第1の公転機構30は、第1の回転シャフト35において軸受34aを介して第1の浮き枠34を支持する。これにより、第1の回転シャフト35が回転しても、第1の浮き枠34の静止状態が維持される。したがって、第1の公転機構30は、第1の浮き枠34に支持された巻き出しボビン11、第1のガイドキャプスタン18および第1の引抜きダイス1の静止状態を維持できる。
駆動モータ39cは、直動シャフト39fを回転させる。直動シャフト39fは、前方スタンド37Aおよび後方スタンド37Bの下部において前後方向に延びている。
前方シャフト35Aの前方の端部35Abは、前方スタンド37Aを貫通した先端にプーリ39bが取り付けられている。プーリ39bは、ベルト39aを介し直動シャフト39fと連動する。同様に、後方シャフト35Bの後方の端部35Bbは、後方スタンド37Bを貫通した先端にプーリ39eが取り付けられ、ベルト39dを介し直動シャフト39fと連動する。これにより、前方シャフト35Aおよび後方シャフト35Bは、公転回転中心軸Cを中心に同期回転する。
第1の浮き枠34は、第1の回転シャフト35の前方シャフト35Aおよび後方シャフト35Bの互いに向かい合う端部35Aa、35Baに軸受34aを介し支持されている。また、第1の浮き枠34は、巻き出しボビン11、第1のガイドキャプスタン18および第1の引抜きダイス1を支持する。
巻き出しボビン11には、直線溝5aが形成された直線溝付管5B(図3参照)が巻き付けられている。巻き出しボビン11は、直線溝付管5Bを巻き出して後段に供給する。巻き出しボビン11は、ボビン支持シャフト12に着脱可能に取り付けられている。
第1のガイドキャプスタン18は、円盤形状を有している。第1のガイドキャプスタン18には、巻き出しボビン11から繰り出された管材5が1周巻き掛けられる。第1のガイドキャプスタン18の外周の接線方向は、公転回転中心軸Cと一致する。第1のガイドキャプスタン18は、管材5を第1の方向D1に沿って公転回転中心軸C上に誘導する。第1のガイドキャプスタン18は、自転回転自在に第1の浮き枠34に支持されている。また第1のガイドキャプスタン18の外周には、自転回転自在のガイドローラ18bが並んで配置されている。本実施形態の第1のガイドキャプスタン18は、自身が自転回転するとともにガイドローラ18bが転動するが、何れか一方が回転すれば、管材5をスムーズに搬送できる。なお、図2において、ガイドローラ18bの図示は省略されている。
第1の引抜きダイス1は、管材5(直線溝付管5B)を縮径する。第1の引抜きダイス1は、第1の浮き枠34に固定されている。第1の引抜きダイス1は、第1の方向D1を引抜き方向とする。第1の引抜きダイス1の中心は、第1の回転シャフト35の公転回転中心軸Cと一致する。また、第1の方向D1は、公転回転中心軸Cと平行である。
第1の引抜きダイス1には、第1の浮き枠34に固定された潤滑油供給装置9Aにより潤滑油が供給される。これにより第1の引抜きダイス1における引抜き力を軽減できる。
第1の引抜きダイス1を通過した管材5は、第1の浮き枠34の前方壁34bに設けられた貫通孔を介して、前方シャフト35Aの内部に導入される。
第1の公転キャプスタン21は、円盤形状を有している。第1の公転キャプスタン21は、中空の前方シャフト35Aの内外を径方向に貫通する横孔35Acに配置されている。第1の公転キャプスタン21は、円盤の中心を回転軸J21として、第1の回転シャフト35(前方シャフト35A)の外周部に固定された支持体21aに自転回転が自在な状態で支持されている。
第1の公転フライヤ23は、第1の引抜きダイス1と第2の引抜きダイス2との間で、管材5の管路を反転させる。第1の公転フライヤ23は、第1の引抜きダイス1の引抜き方向である第1の方向D1に搬送される管材5を反転させ、搬送方向を第2の引抜きダイス2の引抜き方向である第2の方向D2に向ける。より具体的には、第1の公転フライヤ23は、第1の公転キャプスタン21から第2の公転キャプスタン22に管材5を誘導する。
また、図1において、管材5がガイドローラ23aの外側を通過する場合を例示した。しかしながら、第1の公転フライヤ23(および第2の公転フライヤ73)の回転速度が速い場合には、管材5が遠心力により公転フライヤから脱線するおそれがある。このような場合は、管材5の外側に更にガイドローラ23aを設けることが好ましい。
第1の公転フライヤ23(および第2の公転フライヤ73)と同等の重量を有し前方シャフト35Aから後方シャフト35Bに延びて第1の公転フライヤ23と同期回転するダミーフライヤを複数設けてもよい。これにより、第1の回転シャフト35の回転を安定させることができる。
第2の公転キャプスタン22は、第1の公転キャプスタン21と同様に、円盤形状を有する。第2の公転キャプスタン22は、後方シャフト35Bの端部35Bbの先端に設けられた支持体22aに自転回転が自在な状態で支持されている。また、第2の公転キャプスタン22の外周には、自転回転自在のガイドローラ22cが並んで配置されている。本実施形態の第2の公転キャプスタン22は、自身が自転回転するとともにガイドローラ22cが転動するが、何れか一方が回転すれば、管材5をスムーズに搬送できる。
第2の引抜きダイス2は、第2の公転キャプスタン22の後段に配置される。第2の引抜きダイス2は、反対の第2の方向D2を引抜き方向とする。第2の方向D2は、公転回転中心軸Cと平行な方向である。第2の方向D2は、第1の引抜きダイス1の引抜き方向である第1の方向D1と反対である。管材5は、第2の方向D2に沿って第2の引抜きダイス2を通過する。第2の引抜きダイス2は、第2の引抜きダイス2は、地面Gに対して静止している。第2の引抜きダイス2の中心は、第1の回転シャフト35の公転回転中心軸Cと一致する。
第2の引抜きダイス2における縮径および捻り付与により、管材5は、第1の中間捻り管5M1から第2の中間捻り管5M2となる。
第2のガイドキャプスタン41は、円盤形状を有している。第2のガイドキャプスタン41の外周の接線方向は、公転回転中心軸Cと一致する。第2のガイドキャプスタン41には、公転回転中心軸C上の第2の方向D2に搬送される管材5が一周以上、巻き掛けられる。
図4は、第2構造部Bの正面図である。
第2構造部Bは、第2の公転機構80と、第2の浮き枠84と、巻き取りボビン61と、第3の引抜きダイス3と、第3の公転キャプスタン72と、第2の公転フライヤ73と、第4の公転キャプスタン71と、第4の引抜きダイス4と、を有する。
第2構造部Bは、第1構造部Aと比較して、管材5の搬送方向が逆転させた構成を有する。また、第2構造部Bの構成について、第1構造部Aと共通する構成については、その詳細な説明を省略し、主に異なる箇所について説明する。
第2の公転機構80は、第1の公転機構30と同様の構成を有するが、第1の公転機構30と逆方向に回転する。第2の公転機構80は、前方シャフトおよび後方シャフトを含む第2の回転シャフト85と、駆動部89と、を有している。
駆動部89は、第2の回転シャフト85を回転させる。また、駆動部89は、第2の回転シャフト85を介して第3の公転キャプスタン72、第4の公転キャプスタン71および第2の公転フライヤ73を回転させる。
第3の引抜きダイス3は、中継点Nの後段に配置される。第3の引抜きダイス3は、第3の方向D3を引抜き方向とする。第3の方向D3は、公転回転中心軸Cと平行な方向であり、第2の方向D2と同方向である。管材5は、第3の方向D3に沿って第3の引抜きダイス3を通過する。第3の引抜きダイス3の中心は、公転回転中心軸Cと一致する。第3の引抜きダイス3は、例えば図示略のダイス支持体を介して架台42に支持されており地面Gに対して静止している。第3の引抜きダイス3には、架台42に取り付けられた潤滑油供給装置9Cにより潤滑油が供給される。第3の引抜きダイス3における縮径および捻り付与により、管材5は、第2の中間捻り管5M2から第3の中間捻り管5M3となる。
なお、第3の方向D3は、第2の方向と異なる方向であってもよい。すなわち、第2の引抜きダイス2と第3の引抜きダイス3との間に、管材5を巻き掛けるキャプスタンを設けて引抜き方向を反転させてもよい。
第3の公転キャプスタン72は、第2の公転キャプスタン22と同様の構成を有するが、駆動モータ75を有する点およびガイドローラを有さない点が異なる。第3の公転キャプスタン72は、駆動モータ75により、管材5の巻き掛け方向(搬送方向)に駆動回転する。第3の公転キャプスタン72が駆動することによって管材5には、前方張力が付与され、第3の引抜きダイス3における加工に必要な引抜き応力が付与され前方に搬送される。
第2の公転フライヤ73は、第1の公転フライヤ23と同様の構成を有するが、管材5の搬送方向が逆転している点が異なる。また、第2の公転フライヤ73の公転回転方向は、管材5の搬送方向に対し、第1の公転フライヤ23の公転回転方向と逆方向である。第2の公転フライヤ73は、第3の引抜きダイス3と第4の引抜きダイス4との間で、管材5の管路を反転させる。第2の公転フライヤ73は、第3の引抜きダイス3の引抜き方向である第3の方向D3に搬送される管材5を反転させ、搬送方向を第4の引抜きダイス4の引抜き方向である第4の方向D4に向ける。より具体的には、第2の公転フライヤ73は、第3の公転キャプスタン72から第4の公転キャプスタン71に管材5を誘導する。
第4の公転キャプスタン71は、第1の公転キャプスタン21と同様の構成を有するが、ガイドローラ71bを有する点および駆動モータを有さない点が異なる。
第4の公転キャプスタン71は、外周の接線の1つが公転回転中心軸Cと略一致する。また、第4の公転キャプスタン71の外周には、自転回転自在のガイドローラ71bが並んで配置されており管材5をスムーズに搬送する。第4の公転キャプスタン71には、第2の公転フライヤ73から誘導された管材5を巻き掛けられる。第4の公転キャプスタン71は、巻き掛けられた管材5を公転回転中心軸C上の第4の方向D4に繰り出す。第4の公転キャプスタン71は、第2の回転シャフト85に支持されており、公転回転中心軸C周りを公転回転する。
第2の浮き枠84は、第1の浮き枠34と同様の構成を有する。第2の浮き枠84は、第2の回転シャフト85に軸受84aを介し支持されている。これにより、第2の浮き枠84には、第2の回転シャフト85の回転が伝達され難い。第2の浮き枠84は、第2の回転シャフト85が回転状態にあっても地面Gに対する静止状態を保つ。また、第2の浮き枠84は、巻き取りボビン61、第3のガイドキャプスタン68および第4の引抜きダイス4を支持する。
第4の引抜きダイス4は、第2の浮き枠84に固定されている。第4の引抜きダイス4は、第4の方向D4を引抜き方向とする。第4の引抜きダイス4の中心は、第2の回転シャフト85の公転回転中心軸Cと一致する。また、第4の方向D4は、公転回転中心軸Cと平行である。
第4の引抜きダイス4には、第2の浮き枠84に固定された潤滑油供給装置9Dにより潤滑油が供給される。
第4の引抜きダイス4における縮径および捻り付与により、管材5は、第3の中間捻り管5M3から内面螺旋溝付管5Rとなる。
第3のガイドキャプスタン68は、第1のガイドキャプスタン18と同様の構成を有するが、駆動モータ68cを有する点およびガイドローラを有さない点が異なる。第3のガイドキャプスタン68は、駆動モータ68cにより、管材5の巻き掛け方向(搬送方向)に駆動回転する。第3のガイドキャプスタン68が駆動することによって管材5には、前方張力が付与され、第4の引抜きダイス4における加工に必要な引抜き応力が付与され前方に搬送される。
巻き取りボビン61は、管材5の管路の終端に設けられ、管材5を回収する。巻き取りボビン61の前段には、誘導部68aが設けられている。誘導部68aは、トラバース機能を有し管材5を巻き取りボビン61に整列巻きさせる。
上述した内面螺旋溝付管の製造装置Dを用いて、内面螺旋溝付管5Rを製造する方法について説明する。
押出成形により、図5に示すように、内面に長さ方向に沿う複数の直線溝5aが周方向に間隔をおいて形成された直線溝付管5Bを作製(直線溝付管押出工程)する。更に、直線溝付管5Bを巻き出しボビン11にコイル状に巻き付ける。更に、巻き出しボビン11を製造装置Dの第1の浮き枠34にセットする。また、巻き出しボビン11から管材5(直線溝付管5B)を繰り出して、予め直線溝付管5Bの管路をセットする。具体的には、管材5を、第1のガイドキャプスタン18、第1の引抜きダイス1、第1の公転キャプスタン21、第1の公転フライヤ23、第2の公転キャプスタン22、第2の引抜きダイス2、第2のガイドキャプスタン41、第3の引抜きダイス3、第3の公転キャプスタン72、第2の公転フライヤ73、第4の公転キャプスタン71、第4の引抜きダイス4、第3のガイドキャプスタン68、巻き取りボビン61の順に、通過させて、セットする。
以上の予備工程が終わった後に、内面螺旋溝付管5Rの製造を開始する。
まず、巻き出しボビン11から管材5を順次繰り出していく。
次に、巻き出しボビン11から繰り出された管材5を、第1のガイドキャプスタン18に巻き掛ける。第1のガイドキャプスタン18は、管材5を公転回転中心軸C上に位置する第1の引抜きダイス1のダイス孔に誘導する(第1の誘導工程)。
加工域の長さと、限界捻り角(座屈を生じないで捻ることができる最大捻り角)の関係には、相関関係があり、加工域を短くすることで、大きな捻り角を付与しても座屈が生じにくい。第1のガイドキャプスタン18を設けることで、第1の引抜きダイス1の前段で捻りが付与されることがなく、加工域を短く設定できる。また、第1の引抜きダイス1と第1の公転キャプスタン21との距離を近づけることで加工域を短く設定し、座屈を生じさせずに管材5に大きな捻りを付与できる。
図7は、引抜き時の限界捻り角と縮径率の関係を調べた予備実験の結果を示すグラフである。図7に示すように、限界捻り角と縮径率の間には相関が認められ、引抜き時の縮径率を大きくするにつれて限界捻り角が大きくなる傾向が認められる。すなわち、縮径率が小さ過ぎる場合は引抜きによる効果が乏しく、大きな捻り角を得ることが難しいので、2%以上とするのが好ましい。なお、同様の理由から縮径率を5%以上とすることがより好ましい。
一方で、縮径率が大きくなり過ぎると加工限界で破断を生じ易くなるので、40%以下とするのが好ましい。
なお、第2の引抜きダイス2による管材5の縮径率は、第1の捻り引抜き工程と同様に、2%以上(より好ましくは5%以上)40%以下とすることが好ましい。
なお、第3の引抜きダイス3による管材5の縮径率は、第1および第2の捻り引抜き工程と同様に、2%以上(より好ましくは5%以上)40%以下とすることが好ましい。
なお、第1〜第4の捻り引抜き工程において、前段で行った縮径時の加工硬化の影響で後段の捻り引抜き工程が困難となる。したがって、第1〜第4の引抜きダイス1〜4の縮径率の合計には限度があり、50%以下とすることが好ましい。なお、第1〜第4の捻り引抜き工程の間に、インライン加熱によるひずみ除去のための中間焼鈍を行う場合(後段に説明する変形例)においては、この限りではない。
以上の工程を経て、製造装置Dを用いて、図6に示す内面螺旋溝付管5Rを製造することができる。
本実施形態の製造方法によれば、特許文献1に示す従来の製造方法と比較して、捻りと同時に縮径を行っているため、出発材と最終製品の外径および断面積が異なる。また、管材に捻りと縮径の複合応力を付与するために、捻り加工に必要なせん断応力を低減させることが可能となり、管材5の座屈応力に達する前に、管材5に大きな捻りを付与できる。なお、特許文献1に示す製造装置では、図7における縮径率0%の5°程度の捻りを2回行うため10°程度の捻り角の付与が限界であると考えられる。これに対して、本実施形態の製造方法によれば、直線溝付管5Bに対して捻りを付与するとともに、縮径を行うため、座屈発生を抑制しつつ大きな捻り角を付与できる。なお、本実施形態において、最終品である内面螺旋溝付管5Rの外径に対し、素材となる直線溝付管5Bの外径は1.1倍以上である。
更に、本実施形態において、巻き出しボビン11および巻き取りボビン61を回転させることがなく、巻き出しボビン11および巻き取りボビン61に長尺の管材5を巻き付けることができる。このため、本実施形態の製造方法によれば、一気通貫で長尺の管材5に捻りを付与することができる。すなわち、本実施形態によれば内面螺旋溝付管5Rの大量生産が容易となる。
また、本実施形態によれば、捻り引抜き工程において付与する捻り角を浅くすることができるため、管材5の搬送速度(すなわちライン速度)を早くすることができる。したがって、第1構造部Aのみからなる製造装置と比較して、約2倍のライン速度で同程度の捻り角を付与することができる。
上述した実施形態の変形例について、図8を基に説明する。なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
変形例の内面螺旋溝付管の製造装置Daは、上述の実施形態と比較して、中継点Nに加熱炉(熱処理部)6を備える点が異なる。
図9は、本発明に係る内面螺旋溝付管を備えた熱交換器90の一例を示す概略図であり、冷媒を通過させるチューブとして内面螺旋溝付管91(内面螺旋溝付管5R)を蛇行させて設け、この内面螺旋溝付管91の周囲に複数のアルミニウム合金製のフィン材92を平行に配設した構造である。内面螺旋溝付管91は、平行に配設したフィン材92を貫通するように設けた複数の透孔を通過するように設けられている。
図9に示す熱交換器90の構造において内面螺旋溝付管91は、フィン材92を直線状に貫通する複数のU字状の主管91Aと、隣接する主管91Aの隣り合う端部開口同士をU字形のエルボ管91Bで図9(b)に示すように接続してなる。また、フィン材92を貫通している内面螺旋溝付管91の一方の端部側に冷媒の入口部96が形成され、内面螺旋溝付管91の他方の端部側に冷媒の出口部97が形成されることで図9に示す熱交換器90が構成されている。
図9に示す熱交換器90に内面螺旋溝付管91を適用することで、熱交換効率の良好な熱交換器90を提供できる。
また、例えば、内面螺旋溝付管5Rの外径が10mm以下と小さく、アルミニウムあるいはアルミニウム合金からなる内面螺旋溝付管5Rを用いて熱交換器90を構成すると、小型高性能であり、リサイクル時にフィン材92と内面螺旋溝付管91の分離が不要であって、リサイクル性に優れた熱交換器を提供できる。
Claims (14)
- 巻き出しボビンと、
巻き取りボビンと、
第1の方向を引抜き方向とする第1の引抜きダイスと、
前記第1の方向と反対の第2の方向を引抜き方向とする第2の引抜きダイスと、
第3の方向を引抜き方向とする第3の引抜きダイスと、
前記第3の方向と反対の第4の方向を引抜き方向とする第4の引抜きダイスと、
前記第1の引抜きダイスと前記第2の引抜きダイスの間において管材の管路を前記第1の方向から前記第2の方向に反転させるとともに前記第1の引抜きダイスの周りを回転する第1の公転フライヤと、
前記第3の引抜きダイスと前記第4の引抜きダイスの間において管材の管路を前記第3の方向から前記第4の方向に反転させるとともに前記第3の引抜きダイスの周りを前記第1の公転フライヤの回転方向と逆方向に回転する第2の公転フライヤと、を用いて、
巻き出しボビンから内面に長さ方向に沿う複数の直線溝が形成された直線溝付管を巻き出す工程と、
前記直線溝付管を前記第1の引抜きダイスに通過させ更に前記第1の公転フライヤに巻き掛けて公転回転させることで縮径するとともに捻りを付与し第1の中間捻り管を形成する第1の捻り引抜き工程と、
前記第1の公転フライヤとともに回転する前記第1の中間捻り管を前記第2の引抜きダイスに通過させ縮径するとともに捻りを付与し第2の中間捻り管を形成する第2の捻り引抜き工程と、
前記第2の中間捻り管を前記第3の引抜きダイスに通過させ更に前記第2の公転フライヤに巻き掛けて公転回転させることで縮径するとともに捻りを付与し第3の中間捻り管を形成する第3の捻り引抜き工程と、
前記第2の公転フライヤとともに回転する前記第3の中間捻り管を前記第4の引抜きダイスに通過させ縮径するとともに捻りを付与し内面螺旋溝付管を形成する第4の捻り引抜き工程と、を有する、内面螺旋溝付管の製造方法。 - 前記第1〜第4の捻り引抜き工程における前記管材の縮径率を、それぞれ2%以上40%以下とする、
請求項1に記載の内面螺旋溝付管の製造方法。 - 前記第1の公転フライヤの前段および後段にそれぞれ前記第1の公転フライヤと同期回転する公転キャプスタンを設けて前記管材を巻き掛け、
前記第2の公転フライヤの前段および後段にそれぞれ前記第2の公転フライヤと同期回転する公転キャプスタンを設けて前記管材を巻き掛ける、
請求項1又は2に記載の内面螺旋溝付管の製造方法。 - 前記第1の引抜きダイスの前段、前記第2の引抜きダイスの後段かつ前記第3の引抜きダイスの前段、および前記第4の引抜きダイスの後段にガイドキャプスタンを設けて前記管材を巻き掛ける、請求項1〜3の何れか一項に記載の内面螺旋溝付管の製造方法。
- 前記第1〜第4の引抜きダイスの後段に駆動回転するキャプスタンを設け、前記管材に前方張力を付与する、請求項1〜4の何れか一項に記載の内面螺旋溝付管の製造方法。
- 前記巻き出しボビンの巻き出し方向の回転を規制するブレーキ部により前記直線溝付管に後方張力を付加する、請求項1〜5の何れか一項に記載の内面螺旋溝付管の製造方法。
- 前記第2の捻り引抜き工程を経て形成された前記第2の中間捻り管にインラインで熱処理を施す熱処理工程を有する、請求項1〜6の何れか一項に記載の内面螺旋溝付管の製造方法。
- 巻き出しボビンから巻き出した管材を中継点まで搬送しながら捻りを付与する第1構造部と、
前記管材を前記中継点から巻き取りボビンまで搬送しながら捻りを付与する第2構造部と、を備え、
前記第1構造部は、
前記管材を巻き出す前記巻き出しボビンと、
前記巻き出しボビンの軸を支持する第1の浮き枠と、
前記第1の浮き枠を軸受を介して支持し前記第1の浮き枠内のボビンの軸と直交する方向に回転する第1の回転シャフトと、
前記巻き出しボビンと前記中継点の間で前記管材の管路を反転させるとともに前記第1の回転シャフトとともに前記第1の浮き枠の周りを回転する第1の公転フライヤと、
前記管材の管路において前記第1の公転フライヤの前段および後段にそれぞれ位置し互いに引抜き方向が反対である第1の引抜きダイスおよび第2の引抜きダイスと、を有し、
前記第2構造部は、
前記管材を巻き取る前記巻き取りボビンと、
前記巻き取りボビンの軸を支持する第2の浮き枠と、
前記第2の浮き枠を軸受を介して支持し前記第2の浮き枠内のボビンの軸と直交する方向に回転する第2の回転シャフトと、
前記中継点と前記巻き取りボビンの間で前記管材の管路を反転させるとともに前記第2の回転シャフトとともに前記第2の浮き枠の周りを回転する第2の公転フライヤと、
前記管材の管路において前記第2の公転フライヤの前段および後段にそれぞれ位置し互いに引抜き方向が反対である第3の引抜きダイスおよび第4の引抜きダイスと、を有し、
前記第1の公転フライヤと前記第2の公転フライヤとは、互いに逆回転し、
前記巻き出しボビンから巻き出される前記管材が内面に長さ方向に沿う直線溝が形成された直線溝付管であり、前記第1〜第4の引抜きダイスにおいて前記管材を縮径するとともに前記第1又は第2の公転フライヤの回転に伴う捻りを付与し内面螺旋溝付管を形成する、内面螺旋溝付管の製造装置。 - 前記第1〜第4の引抜きダイスにおける前記管材の縮径率をそれぞれ2%以上40%以下とする、請求項8に記載の内面螺旋溝付管の製造装置。
- 前記第1構造部は、前記第1の公転フライヤの前段および後段に位置し前記第1の回転シャフトに支持されて前記第1の公転フライヤと同期回転する公転キャプスタンを有し、
前記第2構造部は、前記第2の公転フライヤの前段および後段に位置し前記第2の回転シャフトに支持されて前記第2の公転フライヤと同期回転する公転キャプスタンを有する、請求項8又は9に記載の内面螺旋溝付管の製造装置。 - 前記第1の引抜きダイスの前段、前記第2の引抜きダイスの後段かつ前記第3の引抜きダイスの前段、および前記第4の引抜きダイスの後段に前記管材を巻き掛けるガイドキャプスタンが設けられた、
請求項8〜10の何れか一項に記載の内面螺旋溝付管の製造装置。 - 前記第1〜第4の引抜きダイスの後段に駆動回転するキャプスタンを備え、前記キャプスタンが前記管材に前方張力を付与する、請求項8〜11の何れか一項に記載の内面螺旋溝付管の製造装置。
- 前記第1構造部は、前記巻き出しボビンの巻き出し方向の回転を規制するブレーキ部を有し、前記ブレーキ部により前記直線溝付管に後方張力を付加する、請求項8〜12の何れか一項に記載の内面螺旋溝付管の製造装置。
- 前記中継点において前記管材に熱処理を施す熱処理部を備えた、請求項8〜13の何れか一項に記載の内面螺旋溝付管の製造装置。
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