JP2018089640A - 拡管性に優れる内面螺旋溝付管とその製造方法 - Google Patents

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祐典 中浦
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勇樹 波照間
拓弥 大川
Takuya Okawa
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Abstract

【課題】本発明は放熱フィンとともに熱交換器を組み立てる場合の拡管性に優れ、組み立て後の熱交換器に歪みを生じることのない内面螺旋溝付管の提供を目的とする。【解決手段】本発明は、管本体の内面に長手方向に螺旋状に連続した複数のフィンと螺旋溝を有するアルミニウム製の内面螺旋溝付管であって、円周方向の底肉厚の最大値と最小値の差(偏差)が0.12mm以下であることを特徴とする内面螺旋溝付管に関する。前記螺旋溝が前記管本体の長さ方向に所定のリード角で螺旋状に形成され、前記底肉厚の偏肉部が前記リード角に応じ螺旋状に配置されていることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、拡管性に優れる内面螺旋溝付管とその製造方法に関する。
家庭用や業務用エアコンに、また、給湯器やショーケースなどにフィンアンドチューブタイプの熱交換器が使用されている。この熱交換器は、積層したアルミニウム放熱フィンに設けた挿通孔にヘアピン曲げした銅製の伝熱管を挿入し、伝熱管の内部にその内径より大きな拡管プラグを押し込み、伝熱管の径を押し拡げて伝熱管の外周面と放熱フィンの挿通孔を密着して組み立てられている。
しかし、近年、銅地金価格の高騰やリサイクル性の改善に鑑み、より安価でリサイクル性、軽量化に優れるアルミニウム合金製の伝熱管が使用され始めている。
現状、使用されている銅合金製の伝熱管は熱特性を高めるために管の内面に螺旋溝を設けた伝熱管が一般的に使用されている。螺旋溝により、伝熱管内面側の面積が増加するとともに、表面張力による毛細管現象で冷媒の巻き上げ量が増加し、円周方向に熱伝達に寄与する領域が増加して伝熱特性が向上する。従って、アルミニウム合金を使用した伝熱管においても、同様に管内面に螺旋溝を形成し熱特性の向上が図られている。
アルミニウム合金の場合、直溝の伝熱管も使用されようとしているが、直溝は伝熱性を向上させるのにフィンの高さを高くする必要がある。
しかし、直溝の場合、拡管時にプラグとフィンの接触でフィン潰れやフィン倒れを生じやすい。また、直溝の伝熱管は螺旋溝の伝熱管に比べ、焼付きを生じやすい。すなわち、螺旋溝を設けた伝熱管では拡管時に管に挿入する拡管プラグの外周全周が管内面のフィン(溝)と均一に接するのに対し、直溝の伝熱管では一部の拡管プラグ表面との接触となるため焼き付きやすい。また、プラグの摩耗による消耗に偏りを生じプラグの寿命が短い。従って、直溝の伝熱管に比べ、螺旋溝の伝熱管の方が熱伝達性および拡管性の面で優れている。
前記、直溝を有した押出による伝熱管が特許文献1に示されている。
また、一般的に銅合金製の内面螺旋溝付管は以下の特許文献2などに示されている溝転造法と称される方法により製造されている。この溝転造法とは、丸管の内部に溝付プラグを挿入し、丸管の外側から転造ボールなどの成形具で管を溝付プラグに押当てフォーミング加工することで丸管の内面に螺旋溝を転写する方法である。アルミニウム合金製の内面螺旋溝付伝熱管にも同じ製法が使用されている。しかしながら、アルミニウム合金製の伝熱管は銅に比べて拡管時に焼き付きを生じやすく、拡管プラグを支持し、管内周に押し込むためのロッドが変形してしまうなど、銅管に比べ拡管性が悪い。
材料特性から、アルミニウム合金の強度は銅合金の強度の約半分程度ではあるものの、管の耐圧を維持するために底肉厚を約倍以上と厚くしているため、拡管時の変形抵抗は決して小さくない。
熱交換器として十分な伝熱性能を得るには、伝熱管と放熱フィンとの充分な接合を図ることが必要で、それに加え、生産性を高める上で、焼き付きやロッドの変形などを生じにくい良好な拡管性が求められている。
特開2016−28219号公報 特開平6−190476号公報
前述したロッドの変形を生じやすくさせる原因の一つに伝熱管底肉厚の偏肉に依存した拡管時の伝熱管の反り問題がある。
アルミニウム合金では伝熱管本体や伝熱管の製造に押出した中空の丸管などの素管が使用されるが、押出時のコアとプレートの位置ズレが原因で、素管円周方向底肉厚の特定位置に偏肉を生じる。その程度は、コアとプレートとのズレ量に依存し、底肉厚の厚い箇所と薄い箇所の発生位置は、管円周方向で反対側に位置する傾向にある。直溝を有した押出による伝熱管では、偏肉部が円周方向の同じ個所に長手方向に連続して存在する。
また、溝転造は、最終伝熱管よりも径の大きい素管を押出し、数回のプラグ引抜で縮径した後に、溝転造にて管の内面に溝を転写するが、素管の段階で生じた偏肉部はその後の加工の中で解消されづらく残存する。
偏肉を生じた伝熱管に拡管すると、底肉厚の厚い部分がより拡管されて拡管率は大きくなり、管長手方向の縮み量は大きくなる。そのため、偏肉を生じた管を拡管すると管は縮み量の大きい底肉厚の厚い側に反る傾向にある。反りの程度は偏肉の程度、底肉厚の差に影響されるが、その反り量が大きいと、拡管プラグのスムーズな挿入が阻害され、拡管荷重が増加し焼き付きを生じやすくなる。また、反り量が更にひどい場合には、組立途中の熱交換器自体が変形してしまう。
本願発明は、これらの背景に鑑み、エアコン用途などのフィンアンドチューブタイプの熱交換器に使用されるアルミニウム合金製の内面螺旋溝付管であって、その底肉厚の偏肉が少なく、且つ、多少その差が大きくなっても、拡管時に反りを生じ難い熱交換器組み立て時の拡管性に優れた内面螺旋溝付管とその製造方法の提供を目的とする。
本発明の内面螺旋溝付管は、管本体の内面に長手方向に螺旋状に連続した複数のフィンと螺旋溝を有するアルミニウム製の内面螺旋溝付管であって、円周方向の底肉厚の最大値と最小値の差(偏差)が0.12mm以下であることを特徴とする。
本発明の内面螺旋溝付管において、前記螺旋溝が前記管本体の長さ方向に所定のリード角で螺旋状に形成され、前記底肉厚の偏肉部が前記リード角に応じ螺旋状に配置されている構成を採用できる。
本発明の内面螺旋溝付管において、前記リード角が8〜45゜であり、前記底肉厚が 0.2〜0.8mmである構成を採用できる。
本発明の内面螺旋溝付管は、拡管によって放熱フィンと接合されることが好ましい。
本発明に係る内面螺旋溝付管の製造方法は、内面に直線状のフィンと溝を有するアルミニウム製の素管に捻り加工と引抜き加工を同時に付与する塑性加工を2回以上施し、前記素管から20%以上の縮径を行うことにより、管本体の内面に長手方向に螺旋状に連続した複数のフィンと螺旋溝を有し、円周方向の底肉厚の最大値と最小値の差(偏差)が0.12mm以下である内面螺旋溝付管を製造することを特徴とする。
本発明に係る内面螺旋溝付管の製造方法において、前記捻り加工と引抜き加工を同時に付与する塑性加工によって、前記管本体の長さ方向に所定のリード角で螺旋溝を形成するとともに前記底肉厚の偏肉部を前記リード角に応じ伝熱管の円周方向長手に螺旋状に形成することが好ましい。
本発明に係る内面螺旋溝付管の製造方法において、前記リード角が8〜45゜であり、前記底肉厚が0.2〜0.8mmである内面螺旋溝付管を得ることができる。
本発明に係る製造方法において、内面螺旋溝付管は、拡管によって放熱フィンと接合されるものであることが好ましい。
円周方向の底肉厚の最大値と最小値の差が0.12mm以下であるならば、内面螺旋溝付管を放熱フィンの挿通孔に通し、内面螺旋溝付管に拡管プラグを挿通して内面螺旋溝付管を押し拡げて熱交換器を組み立てる場合、内面螺旋溝付管の反りが少なく、熱交換器の変形を抑制できる。
管本体の長さ方向に螺旋溝が所定のリード角で形成されていることにより、内部を流れる媒体との熱交換効率を良好にすることができ、熱交換効率の良好な熱交換器を提供できる。更に、偏肉部を前記リード角に応じ管本体の長さ方向に螺旋状に設けておくと、拡管プラグによる拡管時に一定方向への反りを抑制しつつ拡管できるので、拡管プラグの変形ならびに熱交換器の変形を防止できる。
内面に直線状のフィンと溝を有するアルミニウム合金製の素管に捻り加工と引抜き加工を同時に付与する塑性加工を2回以上施すことでアルミニウム合金製管本体の内面に形の整った螺旋溝を形成することができる。捻り加工と引抜き加工を同時に付与する塑性加工であるならば、エアコン用などの細径のアルミニウム合金製素管であっても破断や座屈などの支障を引き起こすことなく加工することができ、螺旋溝の形状も整った内面螺旋溝付管を製造できる。
引抜と捻りの複合加工による塑性加工を2回行なう理由として、1回の加工時に引抜ダイス入側で曲げ加工が、そしてダイスアプローチ最後の部分で曲げ戻しによるせん断応力が付与される。2回行なうことで、曲げ・曲げ戻しが繰り返されることにより、管が加工硬化し、捻りを付与した際に座屈することなく安定して加工できるようになる。
本発明に係る第1実施形態の内面螺旋溝付管の横断面図。 同内面螺旋溝付管の縦断面図。 同内面螺旋溝付管の側面図。 同内面螺旋溝付管を製造するために用いる素管の一例を示す縦断面図。 同内面螺旋溝付管の製造装置の一例を示す側面図。 図5に示す製造装置の一部を矢印X方向から見た場合の浮き枠の平面図。 同内面螺旋溝付管を備えた熱交換器の一例を示す正面図。 同内面螺旋溝付管を備えた熱交換器の一例を示す部分斜視図。 熱交換器の製造工程の一部である内面螺旋溝付管の拡管工程を示す斜視図。 実施例において製造された内面螺旋溝付管の形状測定位置を示す説明図。 実施例と比較例の内面螺旋溝付管、空引管の肉厚測定結果を示すグラフ。 実施例と比較例の内面螺旋溝付管、空引管のフィン高さ測定結果を示すグラフ。 実施例と比較例の内面螺旋溝付管、空引管のフィン高さ変化率を示すグラフ。 実施例と比較例の内面螺旋溝付管、空引管の底肉厚変化率を示すグラフ。 実施例と比較例の内面螺旋溝付管、空引管の肉厚バラツキを示すグラフ。 実施例と比較例の内面螺旋溝付管、空引管のフィン高さバラツキを示すグラフ。 実施例において用いた拡管治具を示す側面図。 実施例において用いた保持治具と当該保持治具を用いた拡管試験の手順を示し、(a)は支持台とこれに固定された第1保持部材を示す斜視図、(b)は第1保持部材と第2保持部材を重ね合わせて固定した様子を示す斜視図、(c)は孔に内面螺旋溝付伝熱管を挿入した様子を示す斜視図、(d)は内面螺旋溝付伝熱管に拡管具を挿入した様子を示す斜視図である。 実施例において底肉厚を変量させた際の拡管率を示すグラフ。 実施例において底肉厚を変量させた際の管長さの縮小率を示すグラフ。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴部分を強調する目的で、便宜上特徴となる部分を拡大や誇張して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、同様の目的で、特徴とならない部分を省略して図示している場合がある。
図1は本発明に係る第一実施形態の伝熱管(内面螺旋溝付管)10の横断面を示し、図2は伝熱管10の縦断面を示し、図3は伝熱管10の側面を示す。
伝熱管10はアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。伝熱管10をアルミニウム合金から形成する場合は、適用するアルミニウム合金に特に制限はなく、JISで規定される1050、1100、1200等の純アルミニウム系、あるいは、これらにMnを添加した3003に代表される3000系のアルミニウム合金等を適用でき、JIS規定以外のアルミニウム合金も広く適用できるのは勿論である。また、前記JIS規定合金以外にJISに規定されている5000系〜7000系のアルミニウム合金のいずれかを用いて伝熱管10を構成しても良い。なお、本明細書において「アルミニウム」とは、アルミニウム合金および純アルミニウムからなるものを包含する概念とする。
伝熱管10は、横断面の概形が円形の管本体10Aの内面に螺旋状のフィン3と螺旋溝4を形成してなる。伝熱管10の外周面10aの直径は、例えば、3mm以上15mm以下である。伝熱管10の内周面10bには、管本体10Aの長さ方向(図1の紙面垂直方向:図2の左右方向)に沿って所定のピッチで螺旋状に形成された複数のフィン3が設けられている。これら複数のフィン3の間には、フィン3の先端と比較して内径が大きく形成された螺旋溝4が形成されている。
本実施形態において、フィン3は、例えば管本体10Aの周回りに30個〜60個設けられている。フィン3の高さ(すなわち半径方向の寸法)は、例えば0.1mm以上0.3mm以下である。また、伝熱管10の底肉厚d(すなわち、螺旋溝4の底部に対応する伝熱管10の管壁厚さ)は、例えば0.2mm以上0.8mm以下である。フィン3の頂角(フィン3の両側面同士のなす角)は、例えば10°〜30°である。螺旋状に形成されたフィン3(あるいは螺旋溝4)のリード角θ1(捻り角)は、例えば8°以上45°以下である。図2の縦断面においてリード角θ1は伝熱管10の内部中央側に直線状に描かれているフィン3(あるいは螺旋溝4)の延在方向を延長した線aと伝熱管10の長さ方向に平行な線bとの交わる角度として表記できる。
また、図1に示す伝熱管10において管壁が若干肉厚となっている偏肉部10dと管壁が若干肉薄となっている偏肉部10eが形成されている。一例として、図1に示す伝熱管10の横断面において、左上部側が若干肉厚となる偏肉部10dとされ、右下部側が若干肉薄となる偏肉部10eとされている。伝熱管10において偏肉部10dは伝熱管10の長手方向に沿ってフィン3が描く螺旋形状と同等のリード角を維持したまま所定のピッチで螺旋状に形成されている。また、伝熱管10において偏肉部10eも伝熱管10の長手方向に沿ってフィン3が描く螺旋形状と同等のリード角を維持したまま所定のピッチで螺旋状に形成されている。従って、偏肉部10dと偏肉部10eは伝熱管10の横断面において円周方向に対向する位置関係を保持したまま伝熱管10の長さ方向に沿ってそれぞれ螺旋状に形成されている。
伝熱管10に対し螺旋状に形成されている偏肉部10d、10eのそれぞれのリード角θ2は8゜以上45゜以下の範囲であるが、前述のフィン3のリード角と同等に形成されている。これは、後に説明するように、本実施形態の伝熱管10は、直線状に形成したフィン3Bと直線溝4Bを備える素管10B(図4参照)に対し捻り加工と引抜き加工を同時に施す捻り引抜き加工を2回以上施すことにより形成されている。したがって、偏肉部10d、10eのリード角θ2と螺旋状のフィン3のリード角θ1は一致されている。
伝熱管10に形成されている偏肉部10d、10eは素管10Bに形成されていた偏肉部を後述する捻り加工と引抜き加工を同時に施す捻り引抜き加工によって伝熱管10の長さ方向に沿って螺旋状に捻ることで形成されている。素管10Bはアルミニウム合金から押出加工で形成するが、押出ダイスのコアとプレートとの芯ズレにより押出加工の段階で多少の偏肉は必然的に有しているものである。本実施形態の伝熱管10では円周方向の底肉厚の最大値と最小値の差(偏差)が0.12mm以下であることが好ましい。
これらの偏肉部10d、10eは押出加工により素管10Bを製造する際に生成されていた偏肉部を素管10Bから内面螺旋溝付管10に加工する際に螺旋状に捻るとともに空引きによる引抜き加工により偏肉量を減少させることで形成されたものである。捻り加工と引抜き加工を同時に施す後述の捻り引抜き加工による塑性加工によれば、偏肉部を有する素管10Bに対し肉の薄い部分には他の部分から材料が集められて肉薄を部分的に解消するように塑性加工が進行し、逆に肉の厚い部分は部分的に肉を薄くするように塑性加工が進行する。偏肉の矯正は空引きによる引抜の縮径率によるため、その値がトータル20%未満では効果が小さく、20%以上の引抜リダクションとした。従って、上記の引抜と捻りを同時に行なう複合加工で素管の偏肉の程度は解消される方向に向かうが、それを完全に解消することは困難であるが、偏肉を低減するとともにそれ自体を螺旋状化することで拡管時の反りを抑制可能な内面螺旋溝付管10を提供できる。
「製造方法」
以下、本願発明に係る伝熱管10の製造方法の一実施形態について図面を参照しながら説明する。伝熱管10の製造方法は、以下の押出成形工程と捻り引抜き工程を含む。
<押出成形工程>
まず、押出成形工程について説明する。
図4は、押出成形工程により成形された素管(直線溝付管)10Bの縦断面図である。
アルミニウム材料からなるビレットを押出成形することにより、図4に示すように、内面に長さ方向に沿う複数の直線溝4Bが周方向に間隔をおいて形成された素管10Bを製造する(直線溝付管押出工程)。素管10Bの内面において周方向に隣接する複数の直線溝4B、4Bの間には凸条型のフィン3Bが形成されているので、素管10Bの内周には直線溝4Bとフィン3Bとが交互に個々に直線状に形成されている。
<捻り引抜き工程>
次に、捻り引抜き工程について説明する。
本実施形態の捻り引抜き工程は、空引きによる引抜き加工(縮径加工)を行いながら上述の素管10Bに捻り加工を付与することで、フィン3Bおよび直線溝4Bを螺旋状とする工程である。この工程を実施することによって素管10Bに形成されていた偏肉部は素管10Bの長さ方向に沿って螺旋状に加工される。
なお、本明細書において、捻りを付与する前の管材(すなわち上述の素管10B)を「直線溝付管」と呼ぶことがある。また、捻りを付与した後の管材(すなわち上述の伝熱管10)を「内面螺旋溝付管」と呼ぶことがある。また、直線溝付管から内面螺旋溝付管に至る過程において、内面螺旋溝付管と比較して半分程度の捻りと縮径が付与された中間形成品を「中間捻り管」と呼ぶことがある。更に、本明細書の「管材」とは、直線溝付管、中間捻り管および内面螺旋溝付管の上位概念であり、製造工程の段階を問わず、加工対象となる管を意味する。
本明細書において、「前段」および「後段」とは、管材の加工順序に沿った前後関係(すなわち、上流および下流)を意味し、製造装置内の各部位の配置を意味するものではない。管材は内面螺旋溝付管の製造装置において、前段(上流)側から後段(下流)側に搬送される。前段に配置される部位は、必ずしも前方に配置されるとは限らず、後段に配置される部位は、必ずしも後方に配置されているとは限らない。
<内面螺旋溝付管の製造装置>
図5は、直線溝付管(素管)10Bに2回の縮径加工と捻り加工を付与して内面螺旋溝付管(伝熱管)10を製造する製造装置Aを示す側面図である。まず、製造装置Aについて説明した後に、製造装置Aを用いた捻り引抜き工程について説明する。
製造装置Aは、公転機構30と、浮き枠34と、巻き出しボビン(第1のボビン)11と、第1のガイドキャプスタン18と、第1の引抜きダイス1と、第1の公転キャプスタン21と、公転フライヤ23と、第2の公転キャプスタン22と、第2の引抜きダイス2と、第2のガイドキャプスタン61と、巻き取りボビン(第2のボビン)71と、を備える。以下、各部の詳細について詳細に説明する。
(公転機構)
公転機構30は、前方シャフト35Aおよび後方シャフト35Bを含む回転シャフト35と、駆動部39と、前方スタンド37Aと、後方スタンド37Bと、を有している。
公転機構30は、回転シャフト35並びに、回転シャフト35に固定された第1の公転キャプスタン21、第2の公転キャプスタン22および公転フライヤ23を回転させる。
また、公転機構30は、回転シャフト35と同軸上に位置し回転シャフト35に支持される浮き枠34の静止状態を維持する。この構成により、浮き枠34に支持された巻き出しボビン11、第1のガイドキャプスタン18および第1の引抜きダイス1の静止状態を維持する。
前方シャフト35Aおよび後方シャフト35Bは、ともに内部が中空の円筒形状を有する。前方シャフト35Aと後方シャフト35Bは、ともに公転回転中心軸C(第1引抜ダイスのパスライン)を中心軸とする同軸上に配置されている。前方シャフト35Aは、前方スタンド37Aに軸受36を介し回転自在に支持され、前方スタンド37Aから後方(後方スタンド37B側)に向かって延びている。同様に、後方シャフト35Bは、後方スタンド37Bに軸受を介し回転自在に支持され、後方スタンド37Bから前方(前方スタンド37A側)に向かって延びている。前方シャフト35Aと後方シャフト35Bとの間には、浮き枠34が架け渡されている。
駆動部39は、駆動モータ39cと直動シャフト39fとベルト39a、39d、プーリ39b、39eとを有している。駆動部39は、前方シャフト35Aおよび後方シャフト35Bを回転させる。
駆動モータ39cは、直動シャフト39fを回転させる。直動シャフト39fは、前方スタンド37Aおよび後方スタンド37Bの下部において前後方向に延びている。
前方シャフト35Aの前方の端部35Abは、前方スタンド37Aを貫通した先端にプーリ39bが取り付けられている。プーリ39bは、ベルト39aを介し直動シャフト39fと連動する。同様に、後方シャフト35Bの後方の端部35Bbは、後方スタンド37Bを貫通した先端にプーリ39eが取り付けられ、ベルト39dを介し直動シャフト39fと連動する。これにより、前方シャフト35Aおよび後方シャフト35Bは、公転回転中心軸Cを中心に同期回転する。
回転シャフト35(前方シャフト35Aおよび後方シャフト35B)には、第1の公転キャプスタン21、第2の公転キャプスタン22および公転フライヤ23が固定されている。回転シャフト35が回転することで、回転シャフト35に固定されたこれらの部材は、公転回転中心軸Cを中心に公転回転する。
「浮き枠」
浮き枠34は、回転シャフト35の前方シャフト35Aおよび後方シャフト35Bの互いに向かい合う端部35Aa、35Baに軸受34aを介し支持されている。また、浮き枠34は、巻き出しボビン11、第1のガイドキャプスタン18および第1の引抜きダイス1を支持する。
図6は、図5における矢印X方向から見た浮き枠34の平面図である。図5、図6に示すように、浮き枠34は、上下に開口する箱形状を有する。浮き枠34は、前後に対向する前方壁34bおよび後方壁34cと、左右に対向するとともに前後方向に延びる一対の支持壁34dと、を有する。
前方壁34bおよび後方壁34cには貫通孔が設けられ、それぞれ前方シャフト35Aおよび後方シャフト35Bの端部35Aa、35Baが挿入されている。端部35Aa、35Baと前方壁34bおよび後方壁34cの貫通孔との間には、軸受34aが介在する。これにより、浮き枠34には、回転シャフト35(前方シャフト35Aおよび後方シャフト35B)の回転が伝達され難い。浮き枠34は、回転シャフト35が回転状態にあっても地面Gに対する静止状態を保つ。なお、公転回転中心軸Cに対し浮き枠34の重心を偏らせる錘を設けて浮き枠34の静止状態を安定させてもよい。
図6に示すように、一対の支持壁34dは、巻き出しボビン11、第1のガイドキャプスタン18および第1の引抜きダイス1を左右方向(図10紙面中の上下方向)両側に配置されている。一対の支持壁34dは、巻き出しボビン11を保持するボビン支持シャフト12および第1のガイドキャプスタン18の回転軸J18を回転可能に支持する。また、支持壁34dは、図示略のダイス支持体を介し第1の引抜きダイス1を支持する。
「巻き出しボビン」
巻き出しボビン11には、直線溝4Bが形成された直線溝付管10B(図4参照)が巻き付けられている。巻き出しボビン11は、直線溝付管10Bを巻き出して後段に供給する。巻き出しボビン11は、ボビン支持シャフト12に着脱可能に取り付けられている。
図6に示すように、ボビン支持シャフト12は、回転シャフト35と直交する方向に延びている。また、ボビン支持シャフト12は、浮き枠34に自転回転可能に支持されている。なお、ここで自転回転とは、ボビン支持シャフト12自身の中心軸を中心として回転することを意味する。ボビン支持シャフト12は、巻き出しボビン11を保持し、巻き出しボビン11の供給方向に自転回転することで、巻き出しボビン11の管材5の繰り出しを補助する。
巻き出しボビン11は、巻き付けられた直線溝付管10Bを全て供給した際に取り外され、他の巻き出しボビンに交換される。取り外された空の巻き出しボビン11は、直線溝付管10Bを形成する押出装置に取り付けられ、再び直線溝付管10Bが巻き付けられる。巻き出しボビン11は、浮き枠34に支持され公転回転しない。したがって、巻き出しボビン11に直線溝付管10Bが乱巻されていても支障なく供給を行うことができ、巻き直しを行うことなく使用できる。また、巻き出しボビン11の重量により製造装置Aにおいて管材5に捻りを付与するための公転回転の回転数は制限されない。したがって、巻き出しボビン11に長尺の管材5が巻き付けることができる。これにより、長尺の管材5に対して、捻りを付与することができ、製造効率を高めることができる。
ボビン支持シャフト12には、ブレーキ部15が設けられている。ブレーキ部15は、浮き枠34に対するボビン支持シャフト12の自転回転に制動力を与える。すなわち、ブレーキ部15は、巻き出しボビン11の巻き出し方向の回転を規制する。ブレーキ部15による制動力により、巻き出し方向に搬送される管材5には、後方張力が付加される。ブレーキ部15としては、例えば、制動力としてのトルク調節が可能なパウダーブレーキ又はバンドブレーキを採用できる。
「第1のガイドキャプスタン」
第1のガイドキャプスタン18は、円盤形状を有している。第1のガイドキャプスタン18には、巻き出しボビン11から繰り出された管材5が1周巻き掛けられる。第1のガイドキャプスタン18の外周の接線方向は、公転回転中心軸Cと一致する。第1のガイドキャプスタン18は、管材5を第1の方向D1に沿って公転回転中心軸C上に誘導する。
第1のガイドキャプスタン18は、自転回転自在に浮き枠34に支持されている。また第1のガイドキャプスタン18の外周には、自転回転自在のガイドローラ18bが並んで配置されている。本実施形態の第1のガイドキャプスタン18は、自身が自転回転するとともにガイドローラ18bが転動するが、何れか一方が回転すれば、管材5をスムーズに搬送できる。なお、図6において、ガイドローラ18bの図示は省略されている。
図6に示すように、第1のガイドキャプスタン18と巻き出しボビン11との間には、管路誘導部18aが設けられている。管路誘導部18aは、例えば管材5を囲むように配置された複数のガイドローラである。管路誘導部18aは、巻き出しボビン11から供給される管材5を第1のガイドキャプスタン18に誘導する。
なお、第1のガイドキャプスタン18に代えて、巻き出しボビン11と第1の引抜きダイス1との間にトラバース機能を有する誘導管を設けてもよい。誘導管を設ける場合には、巻き出しボビン11と第1の引抜きダイス1との距離を短くすることができ、工場内のスペースを有効活用できる。
「第1の引抜きダイス」
第1の引抜きダイス1は、管材5(直線溝付管10B)を縮径する。第1の引抜きダイス1は、浮き枠34に固定されている。第1の引抜きダイス1は、第1の方向D1を引抜き方向とする。第1の引抜きダイス1の中心は、回転シャフト35の公転回転中心軸Cと一致する。また、第1の方向D1は、公転回転中心軸Cと平行である。
第1の引抜きダイス1には、浮き枠34に固定された潤滑油供給装置9Aにより潤滑油が供給される。これにより第1の引抜きダイス1における引抜力を軽減できる。
第1の引抜きダイス1を通過した管材5は、浮き枠34の前方壁34bに設けられた貫通孔を介して、前方シャフト35Aの内部に導入される。
「第1の公転キャプスタン」
第1の公転キャプスタン21は、円盤形状を有している。第1の公転キャプスタン21は、中空の前方シャフト35Aの内外を径方向に貫通する横孔35Acに配置されている。第1の公転キャプスタン21は、円盤の中心を回転軸J21として、回転シャフト35(前方シャフト35A)の外周部に固定された支持体21aに自転回転が自在な状態で支持されている。
第1の公転キャプスタン21は、外周の接線の1つが公転回転中心軸Cと略一致する。
第1の公転キャプスタン21には、公転回転中心軸C上の第1の方向D1に搬送される管材5が一周以上、巻き掛けられる。第1の公転キャプスタン21は、管材5を巻き掛けて前方シャフト35Aの内部から外部に引き出して公転フライヤ23に誘導する。
第1の公転キャプスタン21は、公転回転中心軸Cの周りを前方シャフト35Aとともに公転回転する。公転回転中心軸Cは、第1の公転キャプスタン21の自転回転の回転軸J21と直交する方向に延びている。管材5は、第1の公転キャプスタン21と第1の引抜きダイス1との間で捻りが付与される。これにより、管材5は、直線溝付管10Bから中間捻り管10Cとなる。
第1の公転キャプスタン21とともに、前方シャフト35Aには駆動モータ20が設けられている。駆動モータ20は、第1の公転キャプスタン21を管材5の巻き掛け方向(搬送方向)に駆動回転する。これにより、第1の公転キャプスタン21は、管材5に第1の引抜きダイス1を通過するための前方張力を付与する。
第1の公転キャプスタン21および駆動モータ20は、前方シャフト35Aの公転回転中心軸Cに重心が位置するように公転回転中心軸Cに対して互いに対称の位置に配置されることが好ましい。これにより、前方シャフト35Aの回転のバランスを安定させることができる。なお、第1の公転キャプスタン21と駆動モータ20の重量差が大きい場合は、錘を設けて重心を安定させてもよい。
「公転フライヤ」
公転フライヤ23は、第1の引抜きダイス1と第2の引抜きダイス2との間で、管材5の管路を反転させる。公転フライヤ23は、第1の引抜きダイス1の引抜き方向である第1の方向D1に搬送される管材5を反転させ、搬送方向を第2の引抜きダイス2の引抜き方向である第2の方向D2に向ける。より具体的には、公転フライヤ23は、第1の公転キャプスタン21から第2の公転キャプスタン22に管材5を誘導する。
公転フライヤ23は、複数のガイドローラ23aとガイドローラ23aを支持するガイドローラ支持体(図示略)とを有する。ここでは、煩雑さを解消するためガイドローラ支持体の図示を省略するが、ガイドローラ支持体は、回転シャフト35に支持されている。
ただし、フライヤの構造についてガイドローラは必須ではなく、単に管が通過するための板状の構造で、それに通過させるためのリングを取り付けた形状のものでも良い。このリングは板形状の部材に設けられても良い。このリングの一部はこの板形状の部材の一部で構成されてもよい。板形状の部材はガイドローラ支持体と同様に回転シャフト35に支持されてもよい。
ガイドローラ23aは、公転回転中心軸Cに対し外側に湾曲する弓形状を形成して並んでいる。ガイドローラ23a自身が転動して管材5をスムーズに搬送する。公転フライヤ23は、公転回転中心軸Cを中心として、浮き枠34並びに浮き枠34内に支持された第1の引抜きダイス1および巻き出しボビン11の周りを回転する。
公転フライヤ23の一端は、公転回転中心軸Cに対し第1の公転キャプスタン21の外側に位置している。また、公転フライヤ23の他端は、中空の後方シャフト35Bの内外を径方向に貫通する横孔35Bcを通過して後方シャフト35Bの内部に延びている。公転フライヤ23は、第1の公転キャプスタン21に巻き掛けられて外側に繰り出された管材5を後方シャフト35B側に誘導する。また、公転フライヤ23は、管材5を後方シャフト35Bの内部において、第2の方向D2に沿って公転回転中心軸C上に繰り出す。
なお、本実施形態の公転フライヤ23は、ガイドローラ23aにより管材5を搬送する構成であるとして説明した。しかしながら公転フライヤ23を、弓状に形成した帯板から形成して、管材5を帯板の一面を滑動させて搬送する構成としてもよい。
また、図5において、管材5がガイドローラ23aの外側を通過する場合を例示した。
しかしながら、公転フライヤ23の回転速度が速い場合には、管材5が遠心力により公転フライヤから脱線するおそれがある。このような場合は、管材5の外側に更にガイドローラ23aを設けることが好ましい。
公転フライヤ23と同等の重量を有し前方シャフト35Aから後方シャフト35Bに延びて公転フライヤ23と同期回転するダミーフライヤを複数設けてもよい。これにより、回転シャフト35の回転を安定させることができる。
「第2の公転キャプスタン」
第2の公転キャプスタン22は、第1の公転キャプスタン21と同様に、円盤形状を有する。第2の公転キャプスタン22は、後方シャフト35Bの端部35Bbの先端に設けられた支持体22aに自転回転が自在な状態で支持されている。また、第2の公転キャプスタン22の外周には、自転回転自在のガイドローラ22cが並んで配置されている。本実施形態の第2の公転キャプスタン22は、自身が自転回転するとともにガイドローラ22cが転動するが、何れか一方が回転すれば、管材5をスムーズに搬送できる。
第2の公転キャプスタン22は、外周の接線の1つが公転回転中心軸Cと略一致する。
第2の公転キャプスタン22には、公転回転中心軸C上の第2の方向D2に搬送される管材5が一周以上、巻き掛けられる。第2の公転キャプスタン22は、巻き掛けられた管材を公転回転中心軸C上の第2の方向D2に繰り出す。
第2の公転キャプスタン22は、公転回転中心軸Cの周りを後方シャフト35Bとともに公転回転する。公転回転中心軸Cは、第2の公転キャプスタン22の自転回転の回転軸J22と直交する方向に延びている。第2の公転キャプスタン22から繰り出された管材5は、第2の引抜きダイス2において縮径される。第2の引抜きダイス2は、地面Gに対し静止しているため、第2の公転キャプスタン22と第2の引抜きダイス2との間で、管材5に捻りを付与できる。これにより、管材5は、中間捻り管10Cから内面螺旋溝付管10となる。
第2の公転キャプスタン22を支持する支持体22aは、公転回転中心軸Cに対し第2の公転キャプスタン22と対称の位置に錘22bを支持する。錘22bは、後方シャフト35Bの回転のバランスを安定させる。
「第2の引抜きダイス」
第2の引抜きダイス2は、第2の公転キャプスタン22の後段に配置される。第2の引抜きダイス2は、反対の第2の方向D2を引抜き方向とする。第2の方向D2は、公転回転中心軸Cと平行な方向である。第2の方向D2は、第1の引抜きダイス1の引抜き方向である第1の方向D1と反対である。管材5は、第2の方向D2に沿って第2の引抜きダイス2を通過する。第2の引抜きダイス2は、第2の引抜きダイス2は、地面Gに対して静止している。第2の引抜きダイス2の中心は、回転シャフト35の公転回転中心軸Cと一致する。
第2の引抜きダイス2は、例えば図示略のダイス支持体を介して架台62に支持されている。また、第2の引抜きダイス2には、架台62に取り付けられた潤滑油供給装置9Bにより潤滑油が供給される。これにより第2の引抜きダイス2における引抜力を軽減できる。
第2の引抜きダイス2における縮径および捻り付与により、管材5は、中間捻り管10Cから内面螺旋溝付管10となる。
「第2のガイドキャプスタン」
第2のガイドキャプスタン61は、円盤形状を有している。第2のガイドキャプスタン61の外周の接線方向は、公転回転中心軸Cと一致する。第2のガイドキャプスタン61には、公転回転中心軸C上の第2の方向D2に搬送される管材5が一周以上、巻き掛けられる。
第2のガイドキャプスタン61は、回転軸J61を中心に架台62に回転可能に支持されている。また、第2のガイドキャプスタン61の回転軸J61は、駆動モータ63と駆動ベルト等を介し接続されている。第2のガイドキャプスタン61は、駆動モータ63により、管材5の巻き掛け方向(搬送方向)に駆動回転する。なお、駆動モータ63は、トルク制御可能なトルクモータを用いることが好ましい。
第2のガイドキャプスタン61が駆動することによって管材5には、前方張力が付与される。これにより管材5は、第2の引抜きダイス2における加工に必要な引抜き応力が付与され前方に搬送される。
「巻き取りボビン」
巻き取りボビン71は、管材5の管路の終端に設けられ、管材5を回収する。巻き取りボビン71の前段には、誘導部72が設けられている。誘導部72は、トラバース機能を有し管材5を巻き取りボビン71に整列巻きさせる。
巻き取りボビン71は、ボビン支持シャフト73に着脱可能に取り付けられている。ボビン支持シャフト73は、架台75に支持され、駆動モータ74に駆動ベルト等を介し接続されている。巻き取りボビン71は、駆動モータ74により駆動回転され、管材5を弛ませることなく巻き取る。巻き取りボビン71は、管材5が十分に巻き付けられた場合に取り外され、他の巻き取りボビン71に付け替えられる。
<捻り引抜き工程>
上述した内面螺旋溝付管の製造装置Aを用いて、内面螺旋溝付管10を製造する方法について説明する。
まず、予備工程として、直線溝付管10Bを巻き出しボビン11にコイル状に巻き付ける。更に、巻き出しボビン11を製造装置Aの浮き枠34にセットする。また、巻き出しボビン11から管材5(直線溝付管10B)を繰り出して、予め直線溝付管10Bの管路をセットする。具体的には、管材5を、第1のガイドキャプスタン18、第1の引抜きダイス1、第1の公転キャプスタン21、公転フライヤ23、第2の公転キャプスタン22、第2の引抜きダイス2、第2のガイドキャプスタン61、巻き取りボビン71の順に、通過させて、セットする。
内面螺旋溝付管10の製造工程において、管材の搬送経路に沿って説明する。
まず、巻き出しボビン11から管材5を順次繰り出していく。
次に、巻き出しボビン11から繰り出された管材5を、第1のガイドキャプスタン18に巻き掛ける。第1のガイドキャプスタン18は、管材5を公転回転中心軸C上に位置する第1の引抜きダイス1のダイス孔に誘導する(第1の誘導工程)。
次に、管材5を第1の引抜きダイス1に通過させる。更に、第1の引抜きダイス1の後段で管材5を第1の公転キャプスタン21に巻き掛けて前記回転軸の周りを回転させる。
これにより、管材5を縮径するとともに捻りを付与する(第1の捻り引抜き工程)。
第1の捻り引抜き工程において、管材5には第1の公転キャプスタン21を駆動する駆動モータ20により、前方張力が付与される。また、同時に管材5には巻き出しボビン11のブレーキ部15により後方張力が付与される。このため、管材5に適度な張力を付与することが可能となり、管材5に座屈・破断を生じさせることなく安定した捻り角を付与できる。
管材5は、第1の引抜きダイス1に通された後に、公転回転する第1の公転キャプスタン21に巻き掛けられる。管材5は、第1の引抜きダイス1により縮径されるとともに、第1の公転キャプスタン21により捻りを付与される。これにより、管材5(直線溝付管10B)の内面の直線溝4B(図7参照)に捻りが付与され内面に螺旋溝4が形成される。第1の捻り引抜き工程により直線溝付管10Bは、中間捻り管10Cとなる。中間捻り管10Cは、内面螺旋溝付管10の製造工程における中間段階の管材であり、内面螺旋溝付管10の螺旋溝4より浅い捻り角の螺旋溝が形成された状態である。
第1の捻り引抜き工程において、管材5には、捻りが付与されると同時に引抜きダイスによる縮径が行われる。すなわち、管材5は、捻りと縮径との同時加工による複合応力が付与させる。複合応力下においては、捻り加工のみを行う場合と比較して管材5の降伏応力が小さくなり、管材5の座屈応力に達する前に、管材5に大きな捻りを付与できる。これにより、管材5の座屈の発生を抑制しつつ大きな捻りを付与できる。
次に、公転フライヤ23に管材5を巻き掛けて、管材5の搬送方向を公転回転中心軸C上の第2の方向D2に向ける。更に、第2の公転キャプスタン22に管材5を巻き掛けて、管材5を第2の引抜きダイス2に導入する(第2の誘導工程)。これにより、管材5の搬送方向は、第1の方向D1から第2の方向D2に反転し、第2の引抜きダイス2の中心に合わせられる。公転フライヤ23は、浮き枠34の周りを公転回転中心軸Cを中心として回転する。なお、第1の公転キャプスタン21、公転フライヤ23および第2の公転キャプスタン22は、公転回転中心軸Cを中心として同期回転する。したがって、第1の公転キャプスタン21から第2の公転キャプスタン22の間で、管材5は相対的に回転せず捻りが付与されない。
次に、第2の公転キャプスタン22とともに回転する管材5を第2の引抜きダイス2に通過させる。これにより、管材5を縮径するとともに捻りを付与し、螺旋溝4の捻り角を更に大きくする(第2の捻り引抜き工程)。第2の捻り引抜き工程により中間捻り管10Cは、内面螺旋溝付管10となる。
第2の捻り引抜き工程において、管材5には第2のガイドキャプスタン61を駆動する駆動モータ63により、前方張力が付与される。駆動モータ63としては、トルク制御可能なトルクモータを用いた場合、第2のガイドキャプスタン61は、管材5に付与する前方張力を調整できる。第2のガイドキャプスタン61により前方張力を調整することで、第2の捻り引抜き工程において管材5に適度な張力を付与することが可能となる。これにより、管材5に座屈・破断を生じさせることなく安定した捻り角を付与できる。
管材5は、公転回転する第2の公転キャプスタン22に巻き掛けられた後に第2の引抜きダイス2を通過する。管材5は、第2の引抜きダイス2により縮径されるとともに、第2の公転キャプスタン22により管材5に捻りを付与される。これにより、管材5の内面の螺旋溝4に更に大きな捻りが付与され、螺旋溝4の捻り角が大きくなる。第2の捻り引抜き工程により中間捻り管10Cは、内面螺旋溝付管10となる。
第2の引抜きダイス2の前段では、第2の公転キャプスタン22に管材5が巻き掛けられている。第2の引抜きダイス2の後段では、第2のガイドキャプスタン61が設けられ管材5の回転が規制されている。すなわち、管材5は第2の引抜きダイス2の前後で、捻り方向の変形が拘束されており、第2の公転キャプスタン22と第2のガイドキャプスタン61との間で、管材5に捻りが付与される。すなわち、第2の捻り引抜き工程において、管材5に捻りが付与される領域(加工域)は、第2の公転キャプスタン22と第2の引抜きダイス2との間に制限される。上述したように、加工域を短くすることで、大きな捻り角を付与しても座屈が生じにくい。第2のガイドキャプスタン61を設けることで、第2の引抜きダイス2の後段で捻りが付与されることがなく、加工域を短く設定できる。
なお、本実施形態において、第2の公転キャプスタン22は、後方スタンド37Bの後方(第2の引抜きダイス2側)に設けられているが、第2の公転キャプスタン22は、前方スタンド37Aと後方スタンド37Bとの間に位置していてもよい。しかしながら、第2の公転キャプスタン22を、後方スタンド37Bに対し後方に配置して第2の引抜きダイス2に近づけることで、第2の捻り引抜き工程における加工域を短くすることができる。これにより、座屈の発生をより効果的に抑制できる。
第2の捻り引抜き工程において、第1の捻り引抜き工程と同様に、捻りと縮径とが行われて、管材5には複合応力が付与させる。これにより、管材5の座屈応力に達する前に、管材に座屈の発生を抑制しつつ大きな捻りを付与できる。
次に、管材5は、巻き取りボビン71に巻き付けられ回収される。巻き取りボビン71は、駆動モータ74により、管材5の搬送速度と同期して回転することで、管材5を弛みなく巻き取ることができる。
以上の工程を経ることにより、製造装置Aを用いて内面螺旋溝付管10を製造することができる。
本実施形態の製造方法によれば、直線溝付管10Bに直接的に捻りを付与することで、フィン3と螺旋溝4と偏肉部を同時に螺旋状にすることが可能となる。これにより、螺旋状の偏肉部の存在による拡管時の反り抑制の効果と、螺旋状のフィン3と螺旋溝4による熱交換率の向上の効果を同時に達成する内面螺旋溝付管10を製造できる。
本実施形態の捻り引抜き工程は、上述の工程を経て形成された内面螺旋溝付管10に対し、再び第1の捻り引抜き工程および第2の捻り引抜き工程を行い、更に大きな捻り角を付与してもよい。この場合には、上述の工程を経た内面螺旋溝付管10に対して熱処理(焼きなまし)を行い、O材化する。更に巻き出しボビン11に巻き付けて、この巻き出しボビン11を適当な縮径率を有する第1の引抜きダイスおよび第2の引抜きダイスを有する製造装置Aに取り付ける。更に、製造装置Aにより上述の工程と同様の工程(第1の捻り引抜き工程および第2の捻り引抜き工程)を経ることで、更に大きな捻り角を付与した内面螺旋溝付管を製造できる。
本実施形態の捻り引抜き工程によれば、捻りと同時に引抜きを行っているため、出発材と最終製品の外径および断面積が異なる。また、管材に捻りと縮径の複合応力を付与する為に、捻り加工に必要なせん断応力を低減させることが可能となり、管材5の座屈応力に達する前に、管材5に大きな捻りを付与できる。したがって、リード角θ1の大きなフィン3を有するとともに、底肉厚が薄い伝熱管であって偏肉部の厚さ変動の少ない伝熱管を、座屈やクラックを生じさせることなく製造することができる。内面螺旋溝付管10は、リード角θ1を大きくすることで熱交換効率を高めることができる。また、内面螺旋溝付管10は、底肉厚を薄くすることで、軽量化するとともに材料費を低減して安価にできる。すなわち、本実施形態によれば、軽量、安価かつ熱交換効率の高い内面螺旋溝付管10を製造できる。
なお、本実施形態によれば、外径3mm以上15mm以下であって、0.2mm以上0.8mm以下の底肉厚を有する内面螺旋溝付管10を製造できる。また、本実施形態によれば、リード角θ1が8°以上45°以下のフィン3を30〜60個程度有する内面螺旋溝付管10を製造できる。
また、内面螺旋溝付管10の長さ方向にフィン3と螺旋溝4が所定のリード角で形成されていることにより、内部を流れる媒体との熱交換効率を良好にすることができ、熱交換効率の良好な熱交換器を提供できる。
内面に直線状のフィンと溝を有するアルミニウム合金製の素管に捻り加工と引抜き加工を同時に付与する捻り引抜き加工(塑性加工)を2回以上施すことでアルミニウム合金製管本体の内面に形の整った螺旋溝を形成することができる。捻り加工と引抜き加工を同時に付与する塑性加工であるならば、エアコン用などの細径のアルミニウム合金製素管であっても破断や座屈などの支障を引き起こすことなく加工することができ、螺旋溝の形状も整った内面螺旋溝付管を製造できる。
本実施形態の捻り引抜き工程によれば、直線溝付管10Bに対して捻りを付与するとともに、縮径を行うため、座屈発生を抑制しつつ大きな捻り角を付与できる。
本実施形態の捻り引抜き工程によれば、第1の引抜きダイス1と第2の引抜きダイス2との間で第1の公転キャプスタン21により、管材5に捻りを付与している。更に、第1の引抜きダイス1と第2の引抜きダイス2との引抜き方向が反転している。これにより、第1の捻り引抜き工程と、第2の捻り引抜き工程における、捻り方向を一致させて、管材5に捻りを付与できる。また、管材5の管路の始端である巻き出しボビン11と管路の終端である巻き取りボビン71を公転回転させる必要がない。ラインの速度は、回転速度に依存するため、重量物である巻き出しボビン11又は巻き取りボビン71を回転させない本実施形態の捻り引抜き工程では、回転速度を容易に高めることができる。すなわち、本実施形態によれば容易にライン速度を高速化できる。
更に、本実施形態において、巻き出しボビン11を公転回転させることがないため、巻き出しボビン11に長尺の直線溝付管10B(管材5)を巻き付けることができる。このため、本実施形態の捻り引抜き工程によれば、巻き出しボビン11を付け替えることがなく、一気通貫で長尺の管材5に捻りを付与することができる。すなわち、本実施形態によれば内面螺旋溝付管10の大量生産が容易となる。
本実施形態の捻り引抜き工程は、少なくとも2回の捻り引抜き工程を経て管材5に捻りと縮径を付与するものである。このため、各段階の捻り引抜き工程で付与する捻り角を積み上げて大きな捻り角を付与することができる。
本実施形態の捻り引抜き工程によれば、第1の捻り引抜き工程および前記第2の捻り引抜き工程において、管材5に前方張力と後方張力が付与される。前方張力は、第2のガイドキャプスタン61により管材5に付与され、後方張力は、巻き出しボビン11を制動するブレーキ部15によって管材5に付与される。これにより、加工対象の管材5に適切な張力を安定して付与することができる。管材5の管路に弛みが無く、直線溝付管10Bが芯ずれせずに引抜きダイスに入るため、管材5に座屈・破断を生じさせることなく安定した捻り角を付与できる。
本実施形態において、第1の引抜きダイス1および第2の引抜きダイス2ダイス孔の中心は、公転回転中心軸C上に位置している。これにより、ダイス孔を通過する管材5をダイス孔に対して直線的に配置できるため、管材5を均一に縮径して、捻り付与時の座屈を抑制できる。なお、第1の引抜きダイス1および第2の引抜きダイス2において、管材5を正常に縮径できる範囲であれば、公転回転中心軸Cに対するダイス孔の位置ズレは許容される。
なお、本実施形態において、巻き出しボビン11が浮き枠34に支持され、巻き取りボビン71が地面Gに設置されているものとして説明した。しかしながら、巻き出しボビン11と巻き取りボビン71のうち何れが浮き枠34に支持されていてもよい。すなわち、図5において、巻き出しボビン11と巻き取りボビン71とを入れ替えて配置してもよい。この場合には、管材5の搬送経路が反転する。また、第1の引抜きダイス1および第2の引抜きダイス2が入れ替えて配置されるとともに、搬送方向に沿ってそれぞれの引抜きダイス1、2の引抜き方向を反転させて配置する。更に、引抜きダイス1、2の前後に位置するキャプスタンにおいて、引抜きダイスの後段に位置するキャプスタンを管材の巻き掛け方向(搬送方向)に駆動させ、引抜きダイスにおける引抜力に抗する前方張力を与えることができる。
[熱交換器]
図7および図8は、本発明に係る捻り引抜き工程により製造された伝熱管81を備えた熱交換器80の概略図である。
熱交換器80は、冷媒を通過させるチューブとして伝熱管81を蛇行させて設け、この伝熱管81の周囲に複数のアルミニウム製の放熱板82を平行に配設した構造である。伝熱管81は、平行に配設したアルミニウム合金製の放熱板82を貫通するように設けた複数の挿通孔を通過するように設けられている。この例の伝熱管81は先に説明した伝熱管10と同等構造である。
熱交換器80において伝熱管81は、放熱板82を直線状に貫通する複数のU字状の主管81Aと、隣接する主管81Aの隣り合う端部開口同士をU字形のエルボ管81Bで接続してなる。また、放熱板82を貫通している伝熱管81の一方の端部側に冷媒の入口部87aが形成され、伝熱管81の他方の端部側に冷媒の出口部87bが形成されることで熱交換器80が構成されている。
図9は、伝熱管81の拡管工程を示す図である。
以下、本明細書において、拡管前の伝熱管を単に伝熱管10と呼び拡管後の伝熱管を拡張管81と呼び、その用語を使い分けるものとする。
図9に示す拡管工程は、所定間隔に平行に並設する複数の放熱板82に形成された挿通孔82aに伝熱管10を通した状態で、伝熱管10に拡管プラグ90を挿入して拡管し伝熱管10の外周を放熱板82の挿通孔82aの内径部に密着させて熱交換器を製造する方法である。
拡管プラグ90は、軸部92とその先端側に一体形成されたヘッド部93とからなる。ヘッド部93は、砲弾形状をなして軸部92より径が大きくなるように膨出形成されている。ヘッド部93の最大直径は伝熱管10の内径(フィン3の頂点を結ぶ円の直径)より若干大きく形成されている。
拡管プラグ90を用いた拡管工程は、以下の手順で行われる。
まず、アルミニウム製の放熱板82を複数重ねて放熱板集合体86を構成する。それぞれの放熱板82には、互いに重ねられた時に一直線上に並ぶように挿通孔82aが形成されている。
また、予め伝熱管10をU字状に曲げてヘアピンパイプを構成しておく。これにより伝熱管10の開口部10fは、一側にそろえられ他側にU字部10gが形成される。このペアピンパイプ(伝熱管10)を必要本数だけ放熱板集合体16の挿通孔82aに挿通する。各伝熱管10の開口部10fは放熱板集合体86の一側に揃えておく。
この状態において各伝熱管10の開口部10fから拡管プラグ90を強制的に押し込む。これによって、開口部10fから順にヘッド部93の外周面に沿って伝熱管10の拡管が行われる。拡管プラグ90のヘッド部93は、伝熱管10のU字部10g近傍に到達するまでヘッド部93を強制的に押込まれる。これにより、拡管プラグ90のヘッド部93が伝熱管10を径方向外側に押し広げ塑性変形させ拡張管81が形成される。拡張管81は、放熱板82の挿通孔82aを押し広げて放熱板82に結合する。最後に、拡管プラグ90を拡張管81から引き抜くことで拡管工程が完了する。
拡管プラグ90により伝熱管10を拡管する場合、伝熱管10に形成されている偏肉部10d、10eの肉厚バラツキが小さく、偏肉部10d、10eが伝熱管10の長さ方向に螺旋状に形成されているので、拡管後に得られる拡張管81が弓状に反ることがなくなる。そのため組み立て拡管後に熱交換器の形状が歪むことがない。
特に、円周方向の底肉厚の偏肉の偏差が0.12mm以下の内面螺旋溝付管10であるならば、内面螺旋溝付管10を放熱板82の挿通孔82aに通し、内面螺旋溝付管10に拡管プラグ90を挿通して内面螺旋溝付管10を押し拡げて熱交換器80を組み立てる場合、内面螺旋溝付管10の反りが少なく、熱交換器80の変形を抑制できる。
JIS3003合金からなる外径9.0mm、底肉厚0.44、0.49、0.54mmと変量し、フィン高さ0.22mm、フィン頂幅0.14mm、フィン頂角 20.0゜、フィン条数58本の直線溝付管(素管)を押出成形により製造した。それら、底肉厚を変量した素管を用い、図5、図6に示す製造装置を用いて、第1の引抜きダイス1では外径8.0mmにし、第2の引抜きダイス2では外径6.6mmに引抜き、仕上げ外径は6.0mmとして、リード角15.0°の内面螺旋溝付管になるよう、捻り加工と縮径加工を同時に施す塑性加工を2回施し製造した。管材を移動させる際のライン速度を1m/minに設定し、フライヤの回転数は、底肉厚0.44mmでは7.4rpm、底肉厚0.49mmでは7.6rpm、底肉厚0.54mmでは7.7rpmに設定した。なお、各引抜ダイスに供給する潤滑油として粘度270mm2/sのものを用いた。底肉厚の偏差はいずれも0.02mm以下である。これらの内面螺旋溝付管に対して460℃×4hの熱処理を行ったあとに拡管試験を実施した。
拡管試験で使用した拡管プラグ13Aおよびロッド13を備えた拡管具14を図17に、拡管試験において用いた管保持具30を図18に示す。拡管具14はハンドルHの先端側にロッド13を有し、その先端に拡管プラグ13Aが形成されている。管保持具30は、上面側にスライド溝34aを有した円盤状の支持台34と、この支持台34のスライド溝34aに装着されるブロック状の第1保持部31と第2保持部32を有する。第1保持部31と第2保持部32はこれらの側面に形成されたねじ孔に螺合される固定ボルト32aによって互いを沿わせた状態で一体化できるように構成されている。また、第1保持部31と第2保持部32の側面中央側にはそれぞれ丸溝31A、32Aが形成されている。
まず、図18(a)、(b)に示すように、第1保持部31と第2保持部32を起立させて重ね合わせてスライド溝34aの上に固定する。これにより、第1保持部31と第2保持部32の境界部に丸溝31A、32Aを重ねることによって孔33が形成される。
次に図18(c)に示すように、孔33に内面螺旋溝付管10を挿入する。なお、孔33の内径は、内面螺旋溝付管10の外径よりも十分に大きく形成されており、上方から容易に挿入することができる。
次に図18(d)に示すように、図17の拡管プラグ13Aを取り付けたロッド13を挿入することで、内面螺旋溝付管10を拡管する。最後に、固定ボルト32aを取り外し、第1保持部31と第2保持部32を開くことで、拡管された内面螺旋溝付管10を取り出し、これを観察する。
なお、今回の拡管試験において用いる拡管プラグ13Aの最外径部の直径は、5.4mmであり、超硬合金からなるものを用いた。また、拡管プラグ13Aの挿入速度は、285mm/minとした。
上記の試験で得られた、底肉厚を変量させた際の拡管率を図19に示す。図19の結果から、拡管率は底肉厚0.44mmでは6.1%、底肉厚0.49mmでは7.3%、底肉厚0.54mmでは8.8%であり、底肉厚が増加するにつれ、拡管率が増加することから、底肉厚に応じて管長さが縮小することが容易に想像できる。
底肉厚を変量させた際の管長さの縮小率を図20に示す。管長さの縮小率については、拡管前の管長さから、拡管後の管長さの変化量を求めたものである。図20の結果から、底肉厚0.44mmでは管長さの縮小率は3.4%、底肉厚0.49mmでは4.2%、底肉厚0.54mmでは5.2%であり、底肉厚が増加することにより、管長さの縮小率は増加することが確認された。
次に、JIS3003合金からなる外径9.0mm、底肉厚0.44、0.49、0.54mmで、フィン高さ0.22mm、フィン頂幅0.14mm、フィン頂角20.0゜、フィン条数58本の直線溝付管(素管)を押出成形により製造した。この際、コアとプレートの位置を変化させ、各底肉厚中央値のもと偏差が、0.04〜0.16mmの素管を作製し、上記と同じ加工条件で外径6.0mm、リード角15.0°の内面螺旋溝付管になるよう、捻り加工と縮径加工を同時に施す塑性加工を2回施し製造した。
また、比較のために、単純に図5、図6に示す製造装置に、内面螺旋溝付管と同等の引抜き条件で、フライヤの回転を停止したまま管材を引抜き加工した直線溝と直線状のフィンを有する比較用の内面直線溝付管を製造した。
拡管後のロッドの変形を確認する試験について、京進工業株式会社製の油圧式竪型拡管機を用いて試験した。それぞれの管材を800mm長さに3本切断し、580枚積層させた孔径6.35mmを設けた放熱フィンの挿通孔に通し、実際に拡管を実施した。その後、拡管プラグを支持しているロッドの変形の有無を確認した。
なお、拡管機で使用した拡管プラグの直径は5.4mmのものを用いた。また、拡管プラグは、超硬合金からなるものを用いる。また、拡管プラグの挿入速度は、6.0mm/minとした。
上記の試験で得られた拡管によるロッドの変形結果を以下の表1に示す。
評価結果で変形が確認されなかったものを○とし、変形が確認されたものは×とした。
Figure 2018089640
表1に示すように内面螺旋溝付管の底肉厚偏差が0.02〜0.12mmであれば、拡管後のロッドの変形は確認されず、引抜きのみを行った内面直溝管では底肉厚偏差が0.06mmからロッドの変形が確認された。
この結果から、内面螺旋溝付管の円周方向の底肉厚の偏肉の偏差が0.12mm以下であれば、内面螺旋溝付管を放熱フィンの挿通孔に通し、内面螺旋溝付管に拡管プラグを挿通して内面螺旋溝付管を押し拡げて熱交換器を組み立てる場合、内面螺旋溝付管の反りが少なく、熱交換器の変形を抑制できることが確認された。
図5、図6に示す製造装置を用いて第1の引抜きダイス1の前段側に設けられる管路誘導部18aにダイス径9.0mmの真円回復用の予備ダイスを設け、ダイス径:8.5mmの第1の引抜きダイス1と、ダイス径:6.6mmの第2の引抜きダイス2を設置した。第1の引抜きダイス1による縮径率(red.:%)は5.6%、第2の引抜きダイス2による縮径率(red.:%)は22.4%であり、合計の縮径率(red.:%)は26.7%である。
図5、図6に示す製造装置において第2の引抜きダイス2の後段に設けられる誘導部72にダイス径6.1mmの仕上げダイスを設置した。この仕上げダイスによる縮径率(red.:%)は7.6%であり、最終的に捻り角14.5゜、外径6.04mmの内面螺旋溝付管を製造した。管材を移動させる際のライン速度を1m/分に設定し、後方張力10kg、引張り張力48kg、巻き取り張力15kg、巻き枠の回転数(6.5)rpmに設定した条件にて管材を2回捻り引抜き加工して目的の内面螺旋溝付管を製造した。なお、各ダイスに供給する潤滑油として共英油化株式会社製合成油KEX−5546(粘度270mm/s)を用いた。
また、比較のために、図5、図6に示す製造装置に前記と同等の予備ダイス、第1の引抜きダイス、第2の引抜きダイス、仕上げダイスを設置し、浮き枠の回転を停止したまま管材を引抜き加工する空引き条件にて引抜き加工のみを行い、直線溝と直線状のフィンを有する比較用の内面直線溝付管を製造した。ライン速度、後方張力、引張り張力、巻き取り張力、巻き枠の回転数などの他の加工条件は先の内面螺旋溝付管の場合と同等である。
得られた10mの内面螺旋溝付管の先端から(1mごと)の位置の横断面と、同等長さの空引き管の先端から(1mごと)の位置の横断面に対し、図10に示すように周方向に等間隔で8箇所の測定位置を規定し、8箇所の測定位置における底肉厚値(肉厚)とフィン高さを測定し、フィン高さ変化率と肉厚変化率を求めた。
また、10m長さの素管の先端から1mごとの位置の横断面において前記と同様に周方向に等間隔で8箇所の測定位置を規定し、8カ所の測定位置における底肉厚値(肉厚)とフィン高さを測定し、フィン高さ変化率と肉厚変化率を求めた。
図11に肉厚測定結果を示し、図12にフィン高さ測定結果を示し、図13にフィン高さ変化率を示し、図14に肉厚変化率を示す。
図11に製造に用いた素管断面の周方向測定位置毎の肉厚測定結果と内面螺旋溝付管の周方向測定位置毎の底肉厚測定結果を示す。用いた素管断面の底肉厚の平均値は0.336mmであり、底肉厚測定値の最大値と最小値の差は0.067mmであり、素管には偏肉部が存在していることを確認できた。図11には素管断面の周方向測定位置毎の肉厚測定結果も併記した。図11に示す結果から、素管に存在していた肉厚部と肉薄部の肉厚を捻り引抜き加工により均すように加工できたことが判る。
図12に示すフィン高さの測定値から、フィン高さの平均値は0.176mmであり、フィン高さの最大値と最小値の差は0.028mmあることを確認できた。
また、捻り加工を略して単純に引抜き加工を施した空引きのみの空引き管の断面形状を測定した結果、肉厚の平均値は0.34mmであり、素管の状態より若干増肉したことを確認できた。空引き管の底肉厚の最大値と最小値の差(偏差)は0.059mmであり、素管の状態より減少していることを確認できた。空引き管のフィン高さの平均値は0.155mmであり、空引き管のフィン高さの最大値と最小値の差は0.026mmであり、素管のフィン高さの状態と殆ど変化していないことを確認できた。
内面螺旋溝付管の断面形状を測定した結果、底肉厚の平均値は0.341mmであり、空引き管の場合と同様に素管の状態より若干の増肉を示し、底肉厚の最大値と最小値の差は0.052mmであった。内面螺旋溝付管の底肉厚の最大値と最小値の差(偏差)は、素管の底肉厚の最大値と最小値の差よりも減少し、空引き管の最大値と最小値の差よりも小さくなっていることを確認できた。即ち、肉厚部の肉厚の最大値を若干減少させるように、薄肉部の肉厚の最低値を若干向上させるように加工できたことがわかる。
図13に示すフィン高さの変化率を見ると、空引き管と内面螺旋溝付管の対比から、全ての測定位置において内面螺旋溝付管の方が減少方向に変化していることを確認することができた。この理由について、フィンは円周方向で繋がっていないために、引抜き加工(縮径加工)による円周方向からの圧縮による増肉の影響を受けずに、長手方向に延ばされた結果、フィン高さが低くなったと考えられる。
図14に示す底肉厚の変化率をみると、空引き管、内面螺旋溝付管のいずれにおいても肉厚が厚い箇所では同等か若干の増肉を示し、肉厚が薄い部分では増肉変化が大きいことを確認できた。これは、肉厚の薄い部分に加工時の応力が集中し、肉厚の薄い部分が増肉したためであると考えられる。
図15に内面螺旋溝付管の肉厚バラツキ(周方向測定位置8カ所の標準偏差σ)と空引き管の肉厚バラツキ(周方向測定位置8カ所の標準偏差σ)について素管の段階と空引き後あるいは捻り加工後の段階を示し、図16に内面螺旋溝付管のフィン高さバラツキと空引き管のフィン高さバラツキを素管の状態に対比させて示した。
肉厚のバラツキとフィン高さのバラツキをみると、引抜き加工を行うことでバラツキを小さくできることを確認でき、引抜き加工に捻り加工を加えることでバラツキを更に小さくできることを確認できた。また、空引きを行うことで偏肉の矯正効果は得られるが、捻り加工を加えることでその効果を更に大きくできることを確認できた。
本発明によれば、放熱フィンとともに熱交換器を組み立てる場合の拡管性に優れ、組み立て後の熱交換器に歪みを生じることのない内面螺旋溝付管を提供することができる。
1…第1の引抜きダイス、2…第2の引抜きダイス、3…フィン、4…螺旋溝、5…管材、10…伝熱管(内面螺旋溝付管)、10B…素管、80…熱交換器、81…伝熱管、82…放熱板、d…底肉厚、θ1、θ2…捻り角(リード角)。

Claims (8)

  1. 管本体の内面に長手方向に螺旋状に連続した複数のフィンと螺旋溝を有するアルミニウム製の内面螺旋溝付管であって、円周方向の底肉厚の最大値と最小値の差(偏差)が0.12mm以下であることを特徴とする内面螺旋溝付管。
  2. 前記螺旋溝が前記管本体の長さ方向に所定のリード角で螺旋状に形成され、前記底肉厚の偏肉部が前記リード角に応じ螺旋状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の内面螺旋溝付管。
  3. 前記リード角が8〜45゜であり、前記底肉厚が0.2〜0.8mmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内面螺旋溝付管。
  4. 拡管によって放熱フィンと接合されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の内面螺旋溝付管。
  5. 内面に直線状のフィンと溝を有するアルミニウム製の素管に捻り加工と引抜き加工を同時に付与する塑性加工を2回以上施し、前記素管から20%以上の縮径を行うことにより、管本体の内面に長手方向に螺旋状に連続した複数のフィンと螺旋溝を有し、円周方向の底肉厚の最大値と最小値の差(偏差)が0.12mm以下である内面螺旋溝付管を製造することを特徴とする内面螺旋溝付管の製造方法。
  6. 前記捻り加工と引抜き加工を同時に付与する塑性加工によって、前記管本体の長さ方向に所定のリード角で螺旋溝を形成するとともに前記底肉厚の偏肉部を前記リード角に応じ螺旋状に形成することを特徴とする請求項5に記載の内面螺旋溝付管の製造方法。
  7. 前記リード角が8〜45゜であり、前記底肉厚が0.2〜0.8mmである内面螺旋溝付管を得ることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の内面螺旋溝付管の製造方法。
  8. 拡管によって放熱フィンと接合される内面螺旋溝付管であることを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれか一項に記載の内面螺旋溝付管の製造方法。
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