JP6555813B2 - 内面螺旋溝付管の製造方法および内面螺旋溝付管の製造装置 - Google Patents
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Description
従来、伝熱管には主に銅合金が使用されてきた。しかしながら、軽量化、低コスト化およびリサイクル性改善への要求からアルミニウム合金からなる伝熱管の開発の要求が高まっている。
また、上述の内面螺旋溝付管の製造方法において、前記第2の引抜きダイス部が、前記管材の搬送方向に沿って縦列に配列されたダミーダイスおよび引抜きダイスを有し、
前記ダミーダイスは、前記中間捻り管の外径に沿ったダミーダイス孔を有し前記引抜きダイスのダイス孔に前記直線溝付管を誘導してもよい。
また、上述の内面螺旋溝付管の製造方法において、前記第2の捻り引抜き工程を経た前記内面螺旋溝付管を、前記第2の引抜きダイス部の後段に位置する仕上げ引抜きダイスで整形する仕上げ引抜き工程を有してもよい。
また、上述の内面螺旋溝付管の製造方法において、前記第1の引抜きダイス部および前記第2の引抜きダイス部における引抜きダイスによる縮径率をそれぞれ2%〜40%としてもよい。
また、上述の内面螺旋溝付管の製造方法において、前記公転フライヤの前段および後段にそれぞれ前記公転フライヤと同期回転する公転キャプスタンを設けて前記管材を巻き掛けてもよい。
また、上述の内面螺旋溝付管の製造方法において、前記第1の引抜きダイス部の前段および前記第2の引抜きダイス部の後段にガイドキャプスタンを設けて前記管材を巻き掛けてもよい。
また、上述の内面螺旋溝付管の製造方法において、前記第1の引抜きダイス部および前記第2の引抜きダイス部の後段に巻き掛け方向に駆動回転するキャプスタンを設け、前記管材に前方張力を付与してもよい。
また、上述の内面螺旋溝付管の製造方法において、前記第1の捻り引抜き工程の前工程として、巻き出しボビンから前記直線溝付管を巻き出す工程を有し、前記巻き出しボビンの巻き出し方向の回転を規制するブレーキ部により前記直線溝付管に後方張力を付加してもよい。
また、上述の内面螺旋溝付管の製造方法において、前記第2の捻り引抜き工程を経て形成された前記内面螺旋溝付管に熱処理を施した後に、再び前記第1の捻り引抜き工程および前記第2の捻り引抜き工程を行い、更に大きな捻り角を付与してもよい。
また、上述の内面螺旋溝付管の製造装置において、前記第2の引抜きダイス部が、前記管材の搬送方向に沿って縦列に配列されたダミーダイスおよび引抜きダイスを有し、
前記ダミーダイスは、前記中間捻り管の外径に沿ったダミーダイス孔を有し前記引抜きダイスのダイス孔に前記直線溝付管を誘導してもよい。
また、上述の内面螺旋溝付管の製造装置において、前記第2の引抜きダイス部の後段に位置し、前記管材を仕上げ整形する仕上げ引抜きダイスを有していてもよい。
また、上述の内面螺旋溝付管の製造装置において、前記第1の引抜きダイス部および前記第2の引抜きダイス部における引抜きダイスによる縮径率をそれぞれ2%〜40%としてもよい。
また、上述の内面螺旋溝付管の製造装置において、前記公転フライヤの前段および後段に前記回転シャフトに支持されて前記公転フライヤと同期回転する公転キャプスタンを備えていてもよい。
また、上述の内面螺旋溝付管の製造装置において、前記第1の引抜きダイス部の前段に前記浮き枠に支持され前記管材が巻き掛けられる第1のガイドキャプスタンを備え、前記第2の引抜きダイス部の後段に前記管材が巻き掛けられる第2のガイドキャプスタンを備えていてもよい。
また、上述の内面螺旋溝付管の製造装置において、前記第1の引抜きダイス部および前記第2の引抜きダイス部の後段に巻き掛け方向に駆動回転するキャプスタンを備え、前記キャプスタンが前記管材に前方張力を付与してもよい。
また、上述の内面螺旋溝付管の製造装置において、前記巻き出しボビンの巻き出し方向の回転を規制するブレーキ部を備え、前記ブレーキ部により前記直線溝付管に後方張力を付加してもよい。
また、本発明の製造方法においては、引抜き方向が互いに異なる第1の引抜きダイス部と第2の引抜きダイス部との間で管材を公転キャプスタンにより公転回転させる。これにより、第1の引抜きダイス部における第1の捻り引抜き工程と、第2の引抜きダイス部における第2の捻り引抜き工程との、捻り方向を一致させて、連続して2回の捻りを付与できる。また、管材の管路の始端および終端を回転させる必要がないため、管路の始端において管材を供給する巻き出しボビンと、管路の終端において管材を回収する巻き取りボビンと、を設けた場合において、ボビンを回転する必要がない。したがって、回転速度を高めることが容易であり、ラインの高速化が可能である。
加えて、本発明の製造方法によれば、第1の捻り引抜き工程を行う前に、直線溝付管を真円状に整形する予備引抜き工程を行う。これにより、コイル状に巻かれて偏平状に変形した直線溝付管を使用する場合であっても、第1の引抜きダイス部のダイス孔に直線溝付管の外周が均一に接触し、安定した捻り加工を行い、座屈の発生を抑制できると共に円周方向に均一な溝形状が得られる。
すなわち、本発明の製造方法によれば、大きな捻り角を付与した内面螺旋溝付管を大量生産できる。また、本発明の製造装置によれば、大きな捻り角を付与した内面螺旋溝付管を大量生産できる。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴部分を強調する目的で、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、同様の目的で、特徴とならない部分を省略して図示している場合がある。
本明細書において、「前段」および「後段」とは、管材の加工順序に沿った前後関係(すなわち、上流および下流)を意味し、装置内の各部位の配置を意味するものではない。管材は内面螺旋溝付管の製造装置において、前段(上流)側から後段(下流)側に搬送される。前段に配置される部位は、必ずしも前方に配置されるとは限らず、後段に配置される部位は、必ずしも後方に配置されるとは限らない。
図1は内面螺旋溝付管の製造装置Aを示す正面図である。
本実施形態の内面螺旋溝付管の製造装置Aは、図5(a)、(b)に示す直線溝付管5Bに2回の捻りを付与し、図6に示す内面螺旋溝付管5Rを製造する装置である。図5に示す様に直線溝付管5Bには、内面に長さ方向に沿う複数の直線溝5aが形成されている。また、図6に示す様に、直線溝付管5Bに捻りを付与した内面螺旋溝付管5Rには、直線溝5aに由来する螺旋溝5cが形成されている。
直線溝付管5Bは、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる。また、直線溝付管5Bは、押出成形により製造された押出材であり、後述する巻き出しボビン11にコイル状に巻き付けられている。
以下、各部の詳細について詳細に説明する。
公転機構30は、前方シャフト35Aおよび後方シャフト35Bを含む回転シャフト35と、駆動部39と、前方スタンド37Aと、後方スタンド37Bと、を有している。
公転機構30は、回転シャフト35並びに、回転シャフト35に固定された第1の公転キャプスタン21、第2の公転キャプスタン22および公転フライヤ23を回転させる。また、公転機構30は、回転シャフト35と同軸上に位置し回転シャフト35に支持される浮き枠34の静止状態を維持する。これにより、浮き枠34に支持された巻き出しボビン11、第1のガイドキャプスタン18および第1の引抜きダイス部1の静止状態を維持する。
駆動モータ39cは、直動シャフト39fを回転させる。直動シャフト39fは、前方スタンド37Aおよび後方スタンド37Bの下部において前後方向に延びている。
前方シャフト35Aの前方の端部35Abは、前方スタンド37Aを貫通した先端にプーリ39bが取り付けられている。プーリ39bは、ベルト39aを介し直動シャフト39fと連動する。同様に、後方シャフト35Bの後方の端部35Bbは、後方スタンド37Bを貫通した先端にプーリ39eが取り付けられ、ベルト39dを介し直動シャフト39fと連動する。これにより、前方シャフト35Aおよび後方シャフト35Bは、公転回転中心軸Cを中心に同期回転する。
浮き枠34は、回転シャフト35の前方シャフト35Aおよび後方シャフト35Bの互いに向かい合う端部35Aa、35Baに軸受34aを介し支持されている。また、浮き枠34は、巻き出しボビン11、第1のガイドキャプスタン18および第1の引抜きダイス部1を支持する。
巻き出しボビン11には、直線溝5aが形成された直線溝付管5B(図5参照)が巻き付けられている。巻き出しボビン11は、直線溝付管5Bを巻き出して後段に供給する。巻き出しボビン11は、ボビン支持シャフト12に着脱可能に取り付けられている。
予備引抜きダイス3は、巻き出しボビン11と第1のガイドキャプスタン18との間に位置する。予備引抜きダイス3は、浮き枠34に固定されている。予備引抜きダイス3は、管材5(直線溝付管5B)を通過させ真円状に整形する。管材5は、巻き出しボビン11にコイル状に巻き付けられることで管材同士の接触により偏平状に変形する場合がある。管材5が変形した状態で第1の引抜きダイス部1を通過すると、第1の引抜きダイス部1のダイス孔に偏平な素管が均一に接触しないために捻りの付与により座屈を生じやすい。したがって、予備引抜きダイス3により、真円度を長径/短径の比が1.2以内になるように、縮径率0.5〜3%の引抜きを行なう。これにより、第1の引抜きダイス部1のダイス孔に管材の外周が均一に接触して第1の引抜きダイス部1において安定した捻り加工を行い座屈の発生を抑制できる。
なお、予備引抜きダイス3は、第1の引抜きダイス部1の前段かつ巻き出しボビン11の後段であれば、何れの位置に設けられていてもよい。
第1のガイドキャプスタン18は、円盤形状を有している。第1のガイドキャプスタン18には、巻き出しボビン11から繰り出された管材5が1周巻き掛けられる。第1のガイドキャプスタン18の外周の接線方向は、公転回転中心軸Cと一致する。第1のガイドキャプスタン18は、管材5を第1の方向D1に沿って公転回転中心軸C上に誘導する。第1のガイドキャプスタン18は、自転回転自在に浮き枠34に支持されている。また第1のガイドキャプスタン18の外周には、自転回転自在のガイドローラ18bが並んで配置されている。本実施形態の第1のガイドキャプスタン18は、自身が自転回転するとともにガイドローラ18bが転動するが、何れか一方が回転すれば、管材5をスムーズに搬送できる。なお、図2において、ガイドローラ18bの図示は省略されている。
図3は、第1の引抜きダイス部1の断面模式図である。図3に示すように、第1の引抜きダイス部1は、ダミーダイス1Dと、引抜きダイス1Aと、ダミーダイス1Dおよび引抜きダイス1Aを収容して保持するダイスボックス1Xと、を有している。
一方で、引抜きダイス1Aは、それぞれ管材5の外形を減少させる空引きを行う。引抜きダイス1Aによる管材5の縮径率は、2%以上40%以下とすることが好ましい。なお縮径率は、(引抜き前の管材の外径−引抜き後の管材の外径)/引抜き前の管材の外径の百分率により求められる。
第1の引抜きダイス部1には、浮き枠34に固定された潤滑油供給装置9Aにより潤滑油が供給される。これにより第1の引抜きダイス部1における引抜力を軽減できる。
第1の引抜きダイス部1を通過した管材5は、浮き枠34の前方壁34bに設けられた貫通孔を介して、前方シャフト35Aの内部に導入される。
第1の公転キャプスタン21は、円盤形状を有している。第1の公転キャプスタン21は、中空の前方シャフト35Aの内外を径方向に貫通する横孔35Acに配置されている。第1の公転キャプスタン21は、円盤の中心を回転軸J21として、回転シャフト35(前方シャフト35A)の外周部に固定された支持体21aに自転回転が自在な状態で支持されている。
公転フライヤ23は、第1の引抜きダイス部1と第2の引抜きダイス部2との間で、管材5の管路を反転させる。公転フライヤ23は、第1の引抜きダイス部1の引抜き方向である第1の方向D1に搬送される管材5を反転させ、搬送方向を第2の引抜きダイス部2の引抜き方向である第2の方向D2に向ける。より具体的には、公転フライヤ23は、第1の公転キャプスタン21から第2の公転キャプスタン22に管材5を誘導する。
また、図1において、管材5がガイドローラ23aの外側を通過する場合を例示した。しかしながら、公転フライヤ23の回転速度が速い場合には、管材5が遠心力により公転フライヤから脱線するおそれがある。このような場合は、管材5の外側に更にガイドローラ23aを設けることが好ましい。
公転フライヤ23と同等の重量を有し前方シャフト35Aから後方シャフト35Bに延びて公転フライヤ23と同期回転するダミーフライヤを複数設けてもよい。これにより、回転シャフト35の回転を安定させることができる。
第2の公転キャプスタン22は、第1の公転キャプスタン21と同様に、円盤形状を有する。第2の公転キャプスタン22は、後方シャフト35Bの端部35Bbの先端に設けられた支持体22aに自転回転が自在な状態で支持されている。また、第2の公転キャプスタン22の外周には、自転回転自在のガイドローラ22cが並んで配置されている。本実施形態の第2の公転キャプスタン22は、自身が自転回転するとともにガイドローラ22cが転動するが、何れか一方が回転すれば、管材5をスムーズに搬送できる。
図1に示すように第2の引抜きダイス部2は、第2の公転キャプスタン22の後段に配置される。第2の引抜きダイス部2は、反対の第2の方向D2を引抜き方向とする。第2の方向D2は、公転回転中心軸Cと平行な方向である。第2の方向D2は、第1の引抜きダイス部1の引抜き方向である第1の方向D1と反対である。管材5は、第2の方向D2に沿って第2の引抜きダイス部2を通過する。第2の引抜きダイス部2は、第2の引抜きダイス部2は、地面Gに対して静止している。第2の引抜きダイス部2の中心は、回転シャフト35の公転回転中心軸Cと一致する。
一方で、引抜きダイス2Aは、それぞれ管材5の外形を減少させる空引きを行う。引抜きダイス2Aによる管材5の縮径率は、2%以上40%以下とすることが好ましい。
第2の引抜きダイス部2において、ダミーダイス2Dは、縮径をほとんど行わないために、管材5に捻りをほとんど付与されない。一方で、引抜きダイス2Aは、縮径とともに捻りを付与する。
なお、ダミーダイス2Dを構成する材料としては、金属材料のみならず第1の引抜きダイス部1のダミーダイス1Dと同様に樹脂材料を採用できる。
第2の引抜きダイス部2における縮径および捻り付与により、管材5は、中間捻り管5Cから内面螺旋溝付管5Rとなる。
第2のガイドキャプスタン61は、円盤形状を有している。第2のガイドキャプスタン61の外周の接線方向は、公転回転中心軸Cと一致する。第2のガイドキャプスタン61には、公転回転中心軸C上の第2の方向D2に搬送される管材5が一周以上、巻き掛けられる。
仕上げ引抜きダイス4は、第2のガイドキャプスタン61と巻き取りボビン71との間に位置する。仕上げ引抜きダイス4は、管材5を仕上げ整形する。仕上げ引抜きダイス4は、第1および第2の引抜きダイス部1、2を通過することにより形成された内面螺旋溝付管5Rのスキンパス用に設けられる。仕上げ引抜きダイス4による仕上げ引抜き工程では、引抜きによる断面の変化は少なく、表面および寸法が仕上げ整形されるとともに内面螺旋溝付管5Rの真円度を回復する。
なお、仕上げ引抜きダイス4は、第2の引抜きダイス部2と巻き取りボビン71との間であれば、何れの位置に設けられていてもよい。
巻き取りボビン71は、管材5の管路の終端に設けられ、管材5を回収する。巻き取りボビン71の前段には、誘導部72が設けられている。誘導部72は、トラバース機能を有し管材5を巻き取りボビン71に整列巻きさせる。
上述した内面螺旋溝付管の製造装置Aを用いて、内面螺旋溝付管5Rを製造する方法について説明する。
押出成形により、図5に示すように、内面に長さ方向に沿う複数の直線溝5aが周方向に間隔をおいて形成された直線溝付管5Bを作製し(直線溝付管押出工程)する。更に、直線溝付管5Bを巻き出しボビン11にコイル状に巻き付ける。更に、巻き出しボビン11を製造装置Aの浮き枠34にセットする。また、巻き出しボビン11から管材5(直線溝付管5B)を繰り出して、予め直線溝付管5Bの管路をセットする。具体的には、管材5を、第1のガイドキャプスタン18、第1の引抜きダイス部1、第1の公転キャプスタン21、公転フライヤ23、第2の公転キャプスタン22、第2の引抜きダイス部2、第2のガイドキャプスタン61、巻き取りボビン71の順に、通過させて、セットする。
以上の予備工程が終わった後に、内面螺旋溝付管5Rの製造を開始する。
まず、巻き出しボビン11から管材5を順次繰り出していく。
次に、巻き出しボビン11から繰り出された管材5を予備引抜きダイス3に通過させる(予備引抜き工程)。管材5は、予備引抜きダイス3を通過することで、真円状に整形される。
次に、巻き出しボビン11から繰り出された管材5を、第1のガイドキャプスタン18に巻き掛ける。第1のガイドキャプスタン18は、管材5を公転回転中心軸C上に位置する第1の引抜きダイス部1のダイス孔に誘導する(第1の誘導工程)。
加工域の長さと、限界捻り角(座屈を生じないで捻ることができる最大捻り角)の関係には、相関関係があり、加工域を短くすることで、大きな捻り角を付与しても座屈が生じにくい。第1のガイドキャプスタン18を設けることで、第1の引抜きダイス部1の前段で捻りが付与されることがなく、加工域を短く設定できる。また、第1の引抜きダイス部1と第1の公転キャプスタン21との距離を近づけることで加工域を短く設定し、座屈を生じさせずに管材5に大きな捻りを付与できる。
図7は、引抜き時の限界捻り角と縮径率の関係を調べた予備実験の結果を示すグラフである。図7に示すように、限界捻り角と縮径率の間には相関が認められ、引抜き時の縮径率を大きくするにつれて限界捻り角が大きくなる傾向が認められる。すなわち、縮径率が小さ過ぎる場合は引抜きによる効果が乏しく、大きな捻り角を得ることが難しいので、2%以上とするのが好ましい。なお、同様の理由から縮径率を5%以上とすることがより好ましい。
一方で、縮径率が大きくなり過ぎると加工限界で破断を生じ易くなるので、40%以下とするのが好ましい。
なお、第1の引抜きダイス部1において、大きな縮径(例えば縮径率30%以上の縮径)を行うと管材5が加工硬化するために、第2の引抜きダイス部2での大きな縮径を行うことが困難になる。したがって、第1の引抜きダイス部1の縮径率と第2の引抜きダイス部2の縮径率との合計は、4%以上50%以下とすることが好ましい。
以上の工程を経て、製造装置Aを用いて、図6に示す内面螺旋溝付管5Rを製造することができる。
更に、本実施形態において、巻き出しボビン11を回転させることがないため、巻き出しボビン11に長尺の直線溝付管5B(管材5)を巻き付けることができる。このため、本実施形態の製造方法によれば、巻き出しボビン11を付け替えることがなく、一気通貫で長尺の管材5に捻りを付与することができる。すなわち、本実施形態によれば内面螺旋溝付管5Rの大量生産が容易となる。
図8は、本発明に係る内面螺旋溝付管を備えた熱交換器80の一例を示す概略図であり、冷媒を通過させるチューブとして内面螺旋溝付管81(内面螺旋溝付管5R)を蛇行させて設け、この内面螺旋溝付管81の周囲に複数のアルミニウム合金製のフィン材82を平行に配設した構造である。内面螺旋溝付管81は、平行に配設したフィン材82を貫通するように設けた複数の透孔を通過するように設けられている。
図8に示す熱交換器80の構造において内面螺旋溝付管81は、フィン材82を直線状に貫通する複数のU字状の主管81Aと、隣接する主管81Aの隣り合う端部開口同士をU字形のエルボ管81Bで図8(b)に示すように接続してなる。また、フィン材82を貫通している内面螺旋溝付管81の一方の端部側に冷媒の入口部86が形成され、内面螺旋溝付管81の他方の端部側に冷媒の出口部87が形成されることで図8に示す熱交換器80が構成されている。
図8に示す熱交換器80に内面螺旋溝付管81を適用することで、熱交換効率の良好な熱交換器80を提供できる。
また、例えば、内面螺旋溝付管5Rの外径が10mm以下と小さく、アルミニウムあるいはアルミニウム合金からなる内面螺旋溝付管5Rを用いて熱交換器80を構成すると、小型高性能であり、リサイクル時にフィン材82と内面螺旋溝付管81の分離が不要であって、リサイクル性に優れた熱交換器を提供できる。
Claims (19)
- 第1の方向を引抜き方向とする第1の引抜きダイス部と、
前記第1の方向と反対の第2の方向を引抜き方向とする第2の引抜きダイス部と、
前記第1の引抜きダイス部の前段に位置する予備引抜きダイスと、
前記第1の引抜きダイス部と前記第2の引抜きダイス部の間において管材の管路を前記第1の方向から前記第2の方向に反転させるとともに前記第1の引抜きダイス部および前記第2の引抜きダイス部のうち何れか一方の周りを回転する公転フライヤと、を用いて、 内面に長さ方向に沿う複数の直線溝が形成された直線溝付管を前記予備引抜きダイスに通過させ真円状に整形する予備引抜き工程と、
前記予備引抜き工程を経た前記直線溝付管を前記第1の引抜きダイス部に通過させ更に前記公転フライヤに巻き掛け公転回転させることで縮径するとともに捻りを付与し内面螺旋溝付きの中間捻り管を形成する第1の捻り引抜き工程と、
前記公転フライヤとともに回転する前記中間捻り管を前記第2の引抜きダイス部に通過させ縮径するとともに捻りを付与し前記中間捻り管の内面螺旋溝より捻り角の大きい内面螺旋溝を備えた内面螺旋溝付管を形成する第2の捻り引抜き工程と、を有する、内面螺旋溝付管の製造方法。 - 前記第1の引抜きダイス部が、前記管材の搬送方向に沿って縦列に配列されたダミーダイスおよび引抜きダイスを有し、
前記ダミーダイスは、前記予備引抜きダイスにより真円状に整形された前記直線溝付管の外径に沿ったダミーダイス孔を有し前記引抜きダイスのダイス孔に前記直線溝付管を誘導する、請求項1に記載の内面螺旋溝付管の製造方法。 - 前記第2の引抜きダイス部が、前記管材の搬送方向に沿って縦列に配列されたダミーダイスおよび引抜きダイスを有し、
前記ダミーダイスは、前記中間捻り管の外径に沿ったダミーダイス孔を有し前記引抜きダイスのダイス孔に前記直線溝付管を誘導する、請求項1又は2に記載の内面螺旋溝付管の製造方法。 - 前記第2の捻り引抜き工程を経た前記内面螺旋溝付管を、前記第2の引抜きダイス部の後段に位置する仕上げ引抜きダイスで整形する仕上げ引抜き工程を有する、請求項1〜3の何れか一項に記載の内面螺旋溝付管の製造方法。
- 前記第1の引抜きダイス部および前記第2の引抜きダイス部における引抜きダイスによる縮径率をそれぞれ2%〜40%とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の内面螺旋溝付管の製造方法。
- 前記公転フライヤの前段および後段にそれぞれ前記公転フライヤと同期回転する公転キャプスタンを設けて前記管材を巻き掛ける、請求項1〜5の何れか一項に記載の内面螺旋溝付管の製造方法。
- 前記第1の引抜きダイス部の前段および前記第2の引抜きダイス部の後段にガイドキャプスタンを設けて前記管材を巻き掛ける、請求項1〜6の何れか一項に記載の内面螺旋溝付管の製造方法。
- 前記第1の引抜きダイス部および前記第2の引抜きダイス部の後段に巻き掛け方向に駆動回転するキャプスタンを設け、前記管材に前方張力を付与する、請求項1〜7の何れか一項に記載の内面螺旋溝付管の製造方法。
- 前記第1の捻り引抜き工程の前工程として、巻き出しボビンから前記直線溝付管を巻き出す工程を有し、前記巻き出しボビンの巻き出し方向の回転を規制するブレーキ部により前記直線溝付管に後方張力を付加する、請求項1〜8の何れか一項に記載の内面螺旋溝付管の製造方法。
- 前記第2の捻り引抜き工程を経て形成された前記内面螺旋溝付管に熱処理を施した後に、再び前記第1の捻り引抜き工程および前記第2の捻り引抜き工程を行い、更に大きな捻り角を付与する、請求項1〜9の何れか一項に記載の内面螺旋溝付管の製造方法。
- 一方が巻き出しボビンであり他方が巻き取りボビンであり一方から他方に管材を搬送する第1のボビンおよび第2のボビンと、
前記第1のボビンの軸を支持する浮き枠と、
前記浮き枠を軸受を介して支持し前記浮き枠内のボビンの軸と直交する方向に回転する回転シャフトと、
前記第1のボビンと前記第2のボビンの間で前記管材の管路を反転させとともに前記回転シャフトに支持されて前記浮き枠の周りを回転する公転フライヤと、
前記管材の管路において前記公転フライヤの前段および後段にそれぞれ位置し互いに引抜き方向が反対である第1の引抜きダイス部および第2の引抜きダイス部と、
前記第1の引抜きダイス部の前段に位置し、前記管材を真円状に整形する予備引抜きダイスと、を備え、
前記巻き出しボビンから巻き出される前記管材が内面に長さ方向に沿う直線溝が形成された直線溝付管であり、前記第1の引抜きダイス部および前記第2の引抜きダイス部において前記管材を縮径するとともに前記公転フライヤの回転に伴う捻りを付与し内面螺旋溝付管を形成する、内面螺旋溝付管の製造装置。 - 前記第1の引抜きダイス部が、前記管材の搬送方向に沿って縦列に配列されたダミーダイスおよび引抜きダイスを有し、
前記ダミーダイスは、前記予備引抜きダイスにより真円状に整形された前記直線溝付管の外径に沿ったダミーダイス孔を有し前記引抜きダイスのダイス孔に前記直線溝付管を誘導する、請求項11に記載の内面螺旋溝付管の製造装置。 - 前記第2の引抜きダイス部が、前記管材の搬送方向に沿って縦列に配列されたダミーダイスおよび引抜きダイスを有し、
前記ダミーダイスは、前記管材の外径に沿ったダミーダイス孔を有し前記引抜きダイスのダイス孔に前記直線溝付管を誘導する、請求項11又は12に記載の内面螺旋溝付管の製造装置。 - 前記第2の引抜きダイス部の後段に位置し、前記管材を仕上げ整形する仕上げ引抜きダイスを有する、請求項11〜13の何れか一項に記載の内面螺旋溝付管の製造装置。
- 前記第1の引抜きダイス部および前記第2の引抜きダイス部における引抜きダイスによる縮径率をそれぞれ2%〜40%とする、請求項11〜14の何れか一項に記載の内面螺旋溝付管の製造装置。
- 前記公転フライヤの前段および後段に前記回転シャフトに支持されて前記公転フライヤと同期回転する公転キャプスタンを備える、請求項11〜15の何れか一項に記載の内面螺旋溝付管の製造装置。
- 前記第1の引抜きダイス部の前段に前記浮き枠に支持され前記管材が巻き掛けられる第1のガイドキャプスタンを備え、
前記第2の引抜きダイス部の後段に前記管材が巻き掛けられる第2のガイドキャプスタンを備える、請求項11〜16の何れか一項に記載の内面螺旋溝付管の製造装置。 - 前記第1の引抜きダイス部および前記第2の引抜きダイス部の後段に巻き掛け方向に駆動回転するキャプスタンを備え、前記キャプスタンが前記管材に前方張力を付与する、請求項11〜17の何れか一項に記載の内面螺旋溝付管の製造装置。
- 前記巻き出しボビンの巻き出し方向の回転を規制するブレーキ部を備え、前記ブレーキ部により前記直線溝付管に後方張力を付加する、請求項11〜18の何れか一項に記載の内面螺旋溝付管の製造装置。
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