以下に本発明の好適な実施形態について説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々の形態を採ることができ、各実施例に記載された内容を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
[実施例1]
弾球遊技機の一種であるパチンコ機50は、1種2種混合機と呼ばれるもので、図1に示すように、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて構成の各部を保持する構造である。外枠51の左側上下には、ヒンジ53が設けられており、該ヒンジ53の他方側には図4に記載する内枠70が取り付けられており、内枠70は外枠51に対して開閉可能な構成になっている。前枠52には、板ガラス61が取り外し自在に設けられており、板ガラス61の奥には図2に記載する遊技盤1が内枠70に取り付けられている。
前枠52の上側左右及び外枠51の下側左右には、スピーカ66が設けられており、パチンコ機50から発生する遊技音が出力され、遊技者の趣向性を向上させる。また、遊技者の趣向性を向上させるために前枠52に遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ65も複数設けられている。前枠52の下方には、上皿55と下皿63が一体に形成されている。下皿63の右側には発射ハンドル64が取り付けられており、該発射ハンドル64を時計回りに回動操作することによって発射装置(図示省略)が可動して、上皿55から供給された遊技球が遊技盤1に向けて発射される。
下皿63の左側には、遊技者が操作可能な演出ボタン67が備えられており、遊技者が所定期間中に、該演出ボタン67を操作することで後述する演出図柄表示装置6に表示される内容が変化したり、スピーカ66より出力される遊技音が変化したりする。また、このパチンコ機50はいわゆるCR機であって、プリペイドカードの読み書き等を行うためのプリペイドカードユニット(CRユニット)56が付属しており、パチンコ機50には、貸出ボタン57、精算ボタン58及び残高表示器59を有するCR精算表示装置が備わっている。
図2は、本実施例のパチンコ機の遊技盤1の正面図である。なお、このパチンコ機の全体的な構成は公知技術に従っているので図示及び説明は省略する。図2に示すように遊技盤1には、公知のガイドレール2a、2bによって囲まれた略円形の遊技領域3が設けられている。この遊技領域3には多数の遊技釘4が打ち付けられている。
遊技領域3のほぼ中央部には、センターケース5が配されている。センターケース5は、公知のものと同様に、ワープ入口、ワープ通路、ステージ、演出図柄表示装置6(液晶表示装置であり疑似図柄を表示する。)の画面を臨ませる窓等を備えている。
センターケース5の右方には、ゲート17と第2始動口12とがユニット化された複合入賞装置が配置されている。第2始動口12は開閉可能な翼片を供えた普通電動役物を備えており、この翼片が開放しないと遊技球は規制部材40に阻害され、第2始動口12に入球できない構成となっている。
複合入賞装置の下方にはアタッカー式の第1大入賞口14および第2大入賞口15(第2大入賞口15が上側)が配置されている。また、第1始動口11の左方には、第1左入賞口31、第2左入賞口32、及び第3左入賞口33が設けられ、第2大入賞口15の右側には右入賞口34が設けられている。なお、この第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、右入賞口34が、常時、入球率が変化しない普通入賞口である。
第1左入賞口31の左上には、複数個のLEDからなる普通図柄表示装置7と、普通図柄保留数表示装置8と、第1特別図柄表示装置9・第2特別図柄表示装置10、および第1特別図柄保留数表示装置18が配置されている。なお、第2特別図柄保留数表示装置は、備えていない。
また第1始動口11の下方には特定役物100が配置されている。特定役物100の拡大図を図3に示す。特定役物100の内側上部にはワープ出口101が設けられており、第2大入賞口15に入球した遊技球は全てワープ出口101から特定役物100内に流れ込む。そして、ワープ出口101から流出した遊技球は擂鉢状のクルーン102に到達し、何度かクルーン102上を周回して図示しない孔から落下し、振分け口103から流出する。振分け口103の下方には一対の振分け羽根105が設けられており、周期的に開閉している。振分け羽根105が開放されているときに振分け口103から流出した遊技球は、特定領域106に入球し、これが特定入球口スイッチ106a(図5も参照)に検出されると、大当り(特別遊技ともいう)が発生する。振分け羽根105が閉鎖されているときに振分け口103から流出した遊技球は、ハズレ口104に到達して大当りは発生しない。
パチンコ機50の裏面は図4に示すとおり、前述した遊技盤1を脱着可能に取り付ける内枠70が前述した外枠51に収納されている。この内枠70には、上方から、球タンク71、タンクレール72及び払出装置73が設けられている。この構成により、遊技盤1上の入賞口に遊技球の入賞があれば球タンク71からタンクレール72を介して所定個数の遊技球を払出装置73により前述した上皿55に排出することができる。また、パチンコ機50の裏側には(図5も参照のこと)、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83、発射制御装置84、電源基板85が設けられている。なお、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83がサブ制御装置に該当する。
主制御装置80、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83は遊技盤1に設けられており、払出制御装置81、発射制御装置84、電源基板85が内枠70に設けられている。なお、図4では、発射制御装置84が描かれていないが、発射制御装置84は払出制御装置81の下に設けられている。また、球タンク71の右側には、外部接続端子78が設けられており、この外部接続端子78より、遊技状態や遊技結果を示す信号がホールコンピュータ87(図5参照)に送られる。なお、従来はホールコンピュータ87へ信号を送信するための外部接続端子78には、盤用(遊技盤側から出力される信号をホールコンピュータ87へ出力するための端子)と枠用(枠側(前枠52、内枠70、外枠51)から出力される信号をホールコンピュータ87へ出力するための端子)の2種類を用いているが、本実施例では、一つの外部接続端子78を介してホールコンピュータ87へ遊技状態や遊技結果を示す信号を送信している。
このパチンコ機50の電気的構成は、図5のブロック図に示すとおり、主制御装置80を中心にして構成されている。なお、このブロック図には、単に信号を中継するだけのためのいわゆる中継基板及び電源回路等は記載していない。また、詳細の図示は省略するが、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えているが、本実施例では発射制御装置84にはCPU、ROM、RAMは設けられていない。しかし、これに限るわけではなく、発射制御装置84にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
主制御装置80には、第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ11a、第2始動口12に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ12a、普通図柄を作動させるゲート17に進入した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ17a、第1大入賞口14に入球した遊技球を計数するためのカウントスイッチ14a、第2大入賞口15に入球した遊技球を計数するためのカウントスイッチ15a、第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33に入球した遊技球を検出する左入賞口スイッチ31a、右入賞口34に入球した遊技球を検出する右入賞口スイッチ34a、特定領域106に入球した遊技球を検出する特定入球口スイッチ106aの検出信号が入力される。
主制御装置80は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して払出制御装置81及びサブ統合制御装置83に出力する。
また主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている第1特別図柄表示装置9、第2特別図柄表示装置10及び普通図柄表示装置7の表示、第1特別図柄保留数表示装置18、及び普通図柄保留数表示装置8の点灯を制御する。
更に、主制御装置80は、第1大入賞口ソレノイド14bを制御することで第1大入賞口14の開閉を制御し、第2大入賞口ソレノイド15bを制御することで第2大入賞口15の開閉を制御し、普通電動役物ソレノイド(図5では普電役物ソレノイドと表記)12bを制御することで第2始動口12の開閉を制御する。また、振分け羽根ソレノイド105aを制御することで振分け羽根105を周期的に開閉させる。
主制御装置80からの出力信号は試験信号端子にも出力される他、図柄変動や大当り等の管理用の信号が外部接続端子78に出力されてホールコンピュータ(ホールメインコンピュータともいう)87に送られる。主制御装置80と払出制御装置81とは双方向通信が可能である。
払出制御装置81は、主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて払出モータ20を稼働させて賞球を払い出させる。本実施例においては、賞球として払い出される遊技球を計数するための払出センサ21の検出信号は払出制御装置81に入力され、払出制御装置81で賞球の計数が行われる構成を用いる。この他にも主制御装置80と払出制御装置81に払出センサ21の検出信号が入力され、主制御装置80と払出制御装置81の双方で賞球の計数を行う構成を用いることも考えられる。
なお、払出制御装置81はガラス枠開放スイッチ16a、内枠開放スイッチ16b、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23からの信号が入力され、満杯スイッチ22により下皿63が満タンであることを示す信号が入力された場合及び球切れスイッチ23により球タンクに遊技球が少ないあるいは無いことを示す信号が入力されると払出モータ20を停止させ、賞球の払出動作を停止させる。なお、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23も、その状態が解消されるまで信号を出力し続ける構成になっており、払出制御装置81は、その信号が出力されなくなることに起因して払出モータ20の駆動を再開させる。
また、払出制御装置81はCRユニット端子板24を介してCRユニット56と交信することで払出モータ20を作動させ、貸し球を排出する。払い出された貸し球は払出スイッチ21に検出され、検出信号は払出制御装置81に入力される。なお、CRユニット端子板24は精算表示基板25とも双方向通信可能に接続されており、精算表示基板25には、遊技球の貸出しを要求するための球貸ボタン、精算を要求するための返却ボタン、残高表示器が接続されている。
また、払出制御装置81は、外部接続端子78を介して賞球に関する情報、枠(内枠、前枠)の開閉状態を示す情報などをホールコンピュータ87に送信するほか、発射制御装置84に対して発射停止信号を送信する。
発射制御装置84は発射モータ30を制御して、遊技球を遊技領域3に遊技球を発射させる。なお、発射制御装置84には払出制御装置81以外に発射ハンドルからの回動量信号、タッチスイッチ28からのタッチ信号、発射停止スイッチ29から発射停止信号が入力される。
回動量信号は、遊技者が発射ハンドルを操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドルを触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ29を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドルを触っていても遊技球は発射できないようになっている。
サブ統合制御装置83は、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカ66からの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LED、ランプ65を制御する。なお、サブ統合制御装置83には剣役物モータ45a、盾役物モータ47a、剣役物センサ45b、盾役物センサ47bが接続されており、これら各センサの検出結果や主制御装置80からのコマンドに応じ、これら各モータを駆動して演出動作を行なう。更に、サブ統合制御装置83には、演出ボタン67が接続されており、遊技者が演出ボタン67を操作した際には、その信号がサブ統合制御装置83に入力される。また、サブ統合制御装置83及び主制御装置80にはY軸加速度センサ41が接続されており、Y軸方向(ここでは上下方向)の加速度がサブ統合制御装置83及び主制御装置80に入力される。なお、Y軸加速度センサ41は遊技盤1に設けられている。主制御装置80にはZ軸加速度センサ43が接続されており、Z軸方向(ここでは奥行方向)の加速度が主制御装置80に入力される。なお、Z軸加速度センサ43は前枠52に設けられている。なお、本発明では、Y軸加速度センサ41を、上下方向に発生した衝撃力の大きさの測定に用い、Z軸加速度センサ43を、奥行方向に発生した衝撃力の大きさの測定に用いる。
サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とは双方向通信が可能である。演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して、疑似図柄等の演出画像を演出図柄表示装置6の画面6aに表示させる。
メインルーチンを図6に従って説明する。メインルーチンは、約2ms毎のハード割り込みにより定期的に実行される。本実施形態では、S10〜S70までの1回だけ実行される処理を「本処理」と称し、この本処理を実行して余った時間内に時間の許す限り繰り返し実行されるS75の処理を「残余処理」と称する。「本処理」は上記割り込みにより定期的に実行されることになる。
マイコンによるハード割り込みが実行されると、まず正常割り込みであるか否かが判断される(S10)。この判断処理は、メモリとしてのRAMの所定領域の値が所定値であるか否かを判断することにより行われ、マイコンにより実行される処理が本処理に移行したとき、通常の処理を実行して良いのか否かを判断するためのものである。正常割り込みでない場合としては、電源投入時又はノイズ等によるマイコンの暴走等が考えられるが、マイコンの暴走は近年の技術の向上によりほとんど無いものと考えて良いので、たいていが電源投入時である。電源投入時にはRAMの所定領域の値が所定値と異なる値となっている。
正常割り込みでないと判断されると(S10:no)、初期設定(例えば前記メモリの所定領域への所定値を書き込み、特別図柄及び普通図柄を初期図柄とする等のメモリの作業領域への各初期値の書き込み等)が為され(S15)、残余処理(S75)に移行する。
正常割り込みとの肯定判断がなされると(S10:yes)、初期値乱数更新処理が実行される(S20)。この処理は、初期値乱数の値についてこの処理を実行する毎に+1するインクリメント処理であり、この処理実行前の初期値乱数の値に+1するが、この処理を実行する前の乱数値が最大値である「299」のときには次回の処理で初めの値である「0」に戻り、「0」〜「299」までの300個の整数を繰り返し昇順に作成する。
S20に続く大当り決定用乱数更新処理(S25)は、初期値乱数更新処理と同様に処理を実行する毎に+1するインクリメント処理であり、最大値である「299」のときは次回の処理で初めの値である「0」に戻り、「0」〜「299」までの300個の整数を繰り返し昇順に作成する。なお、大当り決定用乱数の最初の値は、初期値乱数設定処理で設定された値となる。この値が250であったとすると、大当り決定用乱数は「250」「251」「252」・・・「299」「0」「1」・・・と更新されていく。
なお、大当り決定用乱数が一巡(300回、更新されること)すると、そのときの前記初期値乱数の値を大当り決定用乱数の初期値にし、大当り決定用乱数は、その初期値から+1するインクリメント処理を行う。そして、再び大当り決定用乱数が1巡すると、その時の初期値乱数の値を大当り決定用乱数の初期値にする動作を行なう。つまり、この一連の動作を繰り返し続けることになる。前述の例では大当り決定用乱数が「249」になると1巡であるから、「249」の次は前記初期値乱数の値となる。仮に初期値乱数の値が「87」だったとすると、「249」「87」「88」・・・「299」「0」「1」・・・「86」と変化していき、「86」の次は新たな前記初期値乱数の値となる。
大当り図柄決定用乱数更新処理(S30)は「0」〜「99」の99個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎に+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。
S30に続く当り決定用乱数更新処理(S40)は、「0」〜「299」の300個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。なお、当選することとなる値の数は通常確率状態時は1個、時短(後述)時は297個である。なお、この当り決定用乱数更新処理は普通図柄の抽選に使用し、その他の初期値乱数、大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数は特別図柄の抽選に使用する。
リーチ判定用乱数更新処理(S45)は、「0」〜「228」の229個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。なお、通常確率状態時で変動時間短縮機能未作動時に当選する値の数は21で、値は「0」〜「20」であり、通常確率状態時に当選する値の数は5で、値は「0」〜「4」であり、時短時に当選する値の数は6で、値は「0」〜「5」である。
変動パターン決定用乱数更新処理(S50)は、「0」〜「1020」の1021個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。
続く入賞確認処理(S55)では、第1始動口11、第2始動口12の入賞の確認及びパチンコ機50に設けられ主制御装置80に接続された各スイッチ類の入力処理が実行される。
本実施例では、遊技球が第1始動口11、第2始動口12に入賞すると大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、変動パターン決定用乱数、リーチ判定用乱数など複数の乱数を取得されるのだが、保留記憶できる数を第1始動口11については4個まで(第2始動口12は保留記憶不可)としており、保留記憶が満タンである4個のときに遊技球が第1始動口11に入賞しても賞球が払出されるだけで、前記複数の乱数は保留記憶されない構成になっている。
続いて、大当りか否かを判定する条件成立判定手段としての当否判定処理(S60)を行う。この当否判定処理(S60)が終了すると、続いて画像出力処理等の各出力処理(S65)が実行される。
各出力処理(S65)では、遊技の進行に応じて主制御装置80は演出図柄制御装置82、払出制御装置81、発射制御装置84、サブ統合制御装置83、第1大入賞口ソレノイド14b、第2大入賞口ソレノイド15b等に対して各々出力処理を実行する。即ち、入賞確認処理(S55)により遊技盤1上の各入賞口に遊技球の入賞があることが検知されたときには賞球としての遊技球を払い出すべく払出制御装置81に賞球データを出力する処理を、遊技状態に対応したサウンドデータをサブ統合制御装置83に出力する処理を、パチンコ機50に異常があるときにはエラー中であることを報知すべく演出図柄制御装置82にエラー信号を出力する処理を各々実行する。
続く不正監視処理(S70)は、普通入賞口(第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、右入賞口34)等に対する不正が行われていないか監視する処理であり、所定時間内における入賞口への遊技球の入球が予め決定された規定数よりも多いか否かを判断して、多かった場合には不正と判断され、その旨を報知する処理である。つまり、不正判断手段は、主制御装置80に設けている。
本処理に続く前述の残余処理は、初期値乱数更新処理(S75)から構成されるが、前述したS20と全く同じ処理である。この処理は無限ループを形成し、次の割り込みが実行されるまで時間の許される限り繰り返し実行される。前述したS10〜S70までの本処理を実行するのに必要とされる時間は、大当り処理を実行するか否か、特別図柄の表示態様の相違等により割り込み毎に異なる。この結果、残余処理を実行する回数も割り込み毎に異なり、図5に示された割り込み処理が1回実行されることにより初期値乱数に更新される値も一律ではなくなる。これにより、初期値乱数が大当り決定用乱数と同期する可能性は極めて小さくなる。大当り決定用乱数が1巡したときの、初期値乱数の値(0〜299の300通り)が、同程度に発生するとすれば、同期する確率はわずか1/300である。また、前述した当り決定用乱数更新処理(S40)も残余処理内において実行するよう構成しても良い。
S55の入賞確認処理は図7に示すようなもので、主制御装置80は、第1始動口スイッチ11aの検出信号に基づいて、第1始動口11に遊技球が入球したか否かを判断する(S100)。肯定判断なら(S100:yes)、大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等を該当の各カウンタから読み込んで、第1保留記憶が満杯(本実施例では4個)か否かを判断する(S105)。
第1保留記憶が満杯でなければ(S105:no)、上記の各乱数を第1保留記憶として記憶し、第1特別図柄保留数表示装置18の点灯数を1増加させ(S110)、本処理を終了(リターン)する。既に4個の第1保留記憶があれば(S105:yes)保留記憶せず、第1特別図柄保留数表示装置18の点灯数を増やすこともなく本処理を終了する。また、第1始動口11に遊技球が入球していない場合(S100:no)も、本処理を終了する。なお、第2始動口12への入球については、通常状態では発生せず、また保留記憶も存在しないので別処理で対応する。
図8〜11に示す当否判定処理では、主制御装置80は、特別電動役物が作動中か否かを大当りフラグに基づいて判断する(S200)。S200の判定が否定判断で、特別図柄が変動中でなく(S205:no)、確定図柄の表示中でもなければ(S210:no)、図9のS215に移行し、第1保留記憶(上記S110による保留記憶)があるか否かを判断する。
この保留記憶があれば(S215:yes)、第1保留記憶数をデクリメントし(S230)、保留記憶された乱数の中で最も古い乱数を読み込み(その乱数は保留記憶から消去する)、S240に進む。第1保留記憶がなければ(S215:no)、第2始動口12(図9では第2特図始動口と表記)への入賞があったか否かを判定し、肯定判断(S225:yes)なら乱数抽出処理を行い(S235)、S240に進む。前述のように第2始動口12には、その翼片が開放されないと入賞せず、翼片が開放するのは、遊技球がゲート17を通過し、これを契機として普通図柄表示装置7において変動表示される普通図柄が当選した場合である。この当選確率は通常状態において1/300、時短状態において1/1.0101となっている。ここで時短とは、本実施例では特別図柄の平均変動時間が短縮され、普通図柄の平均変動時間が短縮され、第2始動口12の翼片の開放時間が延長された状態を意味する。なお時短状態を開放延長状態とも言う。時短状態においては普通図柄が1回当選するごとに第2始動口12の翼片が3回開放し、開放時間は最長各1秒間となっている。なお通常状態で普通図柄が当選した場合は翼片は0.2秒間、1回開放するのみである。また、乱数抽出処理(S235)の内容は、大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等を該当の各カウンタから読み込むものである。
S240ではS230で読み込まれた乱数またはS235で抽出された乱数を読み込んで、大当りか否かを判定する(S250)。肯定判断であれば(S250:yes)、大当り図柄決定用乱数によって当り図柄を決定する(S255)。この当り図柄は図23のように決定される。判定対象の乱数がS230で読み込まれたものであれば、図23(a)に示すように、大当り図柄決定用乱数が0〜9のときは図柄1、10〜19のときは図柄2、20〜29のときは図柄3、30〜39のときは図柄4、40〜49のときは図柄5、50〜57のときは図柄7、58〜65のときは図柄8、66〜82のときは図柄9、83〜99のときは図柄10となっている。これらの内、図柄1〜5が15ラウンド(図23ではRと記載)時短有図柄1であり、図柄7および8が15R時短有図柄2であり、図柄9および10が15R時短無図柄となっている。つまり第1始動口11へ入球したことを契機として抽出された乱数が当った場合、50%の確率で大当り終了後に時短が発生する。なお、時短作動時に15R時短有図柄2であたった場合は、時短が作動する。因みにハズレの場合は図柄22が表示される。
また、判定対象の乱数がS235で抽出されたもの(第2始動口12への入賞に係るもの)であれば、図23(b)に示すように、大当り図柄決定用乱数が0〜10のときは図柄1、11〜21のときは図柄2、22〜32のときは図柄3、33〜43のときは図柄4、44〜54のときは図柄5、55〜65のときは図柄6、66〜82のときは図柄9、83〜99のときは図柄10となっている。これらの内、図柄1〜6が15R時短有図柄1であり、図柄9および10が15R時短無図柄となっている。つまり66%の確率で大当り終了後に時短が発生する。なお、第2始動口12へ入球したことを契機として抽出された乱数にはハズレがない。
図9に戻る。大当り図柄が決定すると、変動パターン決定用乱数によって変動パターンを決定し(S260)、大当り情報設定処理を行う(S265)。大当り情報設定処理とは、大当り遊技にかかる情報(大当りのオープニング時間、開放パターン、大当りのエンディング時間、ラウンド数等)を設定する処理である。そして続くS270の遊技状態設定処理にて、大当り後の遊技状態を設定する。これはS255で決定した大当り図柄に応じて設定され、大当り図柄が時短有りの図柄であれば開放延長設定フラグを1にし、時短有りの図柄でなければ開放延長設定フラグを0にする。遊技状態設定処理(S270)が終了すると、S305に移行する。
S250において外れと判定された場合は、小当りか否かを判定する(S275)。小当りとは、最大1秒の第2大入賞口15の開放を1回行なうものである。なお、小当りは第2始動口12への入球を契機とする場合のみ発生し、大当りでない場合が全て小当りとなる(第1始動口11への入球を契機として抽出・保留された乱数については、大当りでない乱数は全てハズレ)。つまり小当たり確率は299/300=約1/1.003であり、第2始動口12へ入球した場合にはハズレがない(図24も参照)。肯定判断(S275:yes)であれば、小当り図柄を決定し(S280)、変動パターン決定用乱数によって変動パターンを決定する(S285)。小当り図柄の決定は、第2始動口12に入球したときに取得される大当り図柄決定用乱数によって行なわれ、図23(b)に示すように、大当り図柄決定用乱数が0〜10のときは図柄11、11〜21のときは図柄12、22〜32のときは図柄13、33〜43のときは図柄14、44〜54のときは図柄15、55〜65のときは図柄16、66〜72のときは図柄17、73〜79のときは図柄18、80〜87のときは図柄19、88〜93のときは図柄20、94〜99のときは図柄21となっている。これらの内、図柄11〜16が小当り図柄1であり、図柄17〜19が小当り図柄2であり、図柄20および21が小当り図柄3となっている。小当り図柄の振分は、小当り図柄1が66%、小当り図柄2が22%、小当り図柄3が12%となる。時短が発生している状態において、小当り図柄1で小当りになった場合には、該小当りにより開放された第2大入賞口15に入球した遊技球が、特定領域106に入ると時短が発生する。時短が発生していない状態で小当り図柄1が第2特別図柄表示装置10に表示され、特定領域106に入球した場合や、時短状態で小当り図柄1が表示されたが特定領域106に入球しなかった場合には、時短は発生しない。また、小当り図柄2,3により小当りが発生した場合には、時短の有無・特定領域106への入球の有無に関わらず時短は発生しない。ただし、時短が発生している状態で小当り図柄2または小当り図柄3が表示されただけでは時短は終了せず、小当りにより開放された第2大入賞口15に遊技球が入り、特定領域106に入球することにより時短が終了する。
図9に戻る。小当りも外れのときは(S275:no)、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数に基づいて変動パターンを決定する(S290)。前述のように、小当りも外れとなるのは、第1始動口11への入球を契機として抽出・保留された乱数に限られる。こうしてS285またはS290により変動パターンが設定されると、開放延長フラグが1か否かを判定(S295)し、肯定判断なら開放延長回数を−1し、S305に移行する。否定判断(S295:no)ならそのままS305に移行する。開放延長フラグが1とは、時短状態が発生していることを示す。
S305では、上述の抽選結果を示すデータ、具体的には特別図柄、大当り、小当り、リーチ外れ(外れであるがリーチ表示有り)、リーチ表示無しの外れのいずれかを示すデータと変動時間を指定する変動パターンのデータが含まれる変動開始コマンド(表示制御コマンド)をサブ統合制御装置83に出力し、特別遊技処理を行なう。なお、S305の処理により演出図柄表示装置6では演出図柄の変動表示が開始されるが、ほぼ同時に特別図柄の変動も主制御装置80によって開始される。
図8のS205において特別図柄が変動中と判定された場合には、図10のS400に移行し、図柄変動時間(S260、S285、又はS290の変動パターンに基づく)が経過したか否かを判定する。否定判断(S400:no)であれば特別遊技処理を行い、肯定判断(S400:yes)の場合は、確定図柄の表示設定を行い(S405)、確定表示された特別図柄が大当りになる図柄か否かを判定する(S410)。肯定判断された場合(S410:yes)は、開放延長フラグが1か否かを判定する(S425)。肯定判断(S425:yes)であれば、S430にて開放延長フラグを0にし、S435に移行する。開放延長フラグが1でなければ(S425:no)、そのままS435に移行する。S435では、条件装置作動開始処理により、大当りフラグをセットする。続くS440にて役物連続作動装置を作動させ、S445にて大当り開始演出処理を行なう。役物連続作動装置が作動されると、特別電動役物を連続して作動させることが可能となり、特別電動役物が作動すると、第1大入賞口14が開放される。大当り開始演出処理では、大当り遊技を開始するコマンド及び大当り遊技に係る情報(大当りのオープニング時間、開放パターン、大当りのエンディング時間、ラウンド数等)をサブ統合制御装置83に送信する。なお、本実施例の遊技機では、大当りはすべて15ラウンドであるが、ラウンド数もサブ統合制御装置83に送信される。大当り開始演出処理が終了すると、特別遊技処理を行なう。
S410で、確定表示させた特別図柄が大当りになる表示でないと判定された場合は、S450で開放延長フラグが1か否かを判定し、1であれば(S450:yes)、開放延長回数が0か否かを判定する(S455)。開放延長回数が0であれば(S455:yes)、S460にて開放延長フラグを0にしてS465に進む。開放延長フラグが1でないとき(S450:no)又は開放延長回数が0ではないとき(S455:no)はそのままS465に移行する。
S465では、確定表示された特別図柄が小当りになる図柄か否かを判定し、肯定判断であれば(S465:yes)、S470にて特別電動役物作動開始処理を実行し、S475にて小当り開始演出処理を行ない、特別遊技処理を行なう。
図8のS210において確定図柄を表示中と判定された場合には、図11のS480に移行し、確定図柄の表示時間が終了したか否かを判定する。否定判断の場合(S480:no)は特別遊技処理を行う。肯定判断(S480:yes)の場合は、確定図柄の表示を終了し(S485)、特別遊技処理を行う。なお、S200において、特別電動役物が作動中と判定された場合(S200:yes)も、特別遊技処理を行う。
図12に示す特別遊技処理では、主制御装置80は、役物連続作動装置が作動中か否かを大当りフラグに基づいて判断する(S500)。役物連続作動装置が作動中なら(S500:yes)、第1大入賞口14が開放中か否かを判断する(S505)。第1大入賞口14が開放中でない場合は(S505:no)、ラウンド間のインターバル中により第1大入賞口14が閉鎖しているのか判断する(S510)。インターバル中でもない場合は(S510:no)、大当り終了演出中であるか判断する(S515)。これも否定判断の場合は(S515:no)、今から大当り遊技を開始する演出に要する時間が経過したか否かを判定する(S520)。大当り開始演出時間が経過した場合は(S520:yes)、第1大入賞口開放処理(S525)を行なって本処理を終了(リターン)する。
S505で第1大入賞口14が開放中であると判定された場合は、図13のS530に進み、第1大入賞口14に10個入賞したか否かを判定する。なお、本実施例では10個だが、9個、8個でもよく、特に限定するものではない。第1大入賞口14に10個入賞した場合(S530:yes)にはS540に進み、第1大入賞口14を閉鎖する。そして大当りインターバル処理(S545)を行なって、特別遊技処理を終了する。第1大入賞口14に10個入賞していない場合(S530:no)にはS535に進み、第1大入賞口14の開放時間が終了したか否かを判定する。本実施例では、15ラウンドでの大当りの場合は各ラウンドの最大開放時間は29秒に設定している。無論、この秒数に限定するものではない。開放時間が終了した場合(S535:yes)には、S540に合流し、終了していない場合(S535:no)は特別遊技処理を終了する。
図12のS510でインターバル中であると判定された場合は、図14のS550に進み、大当りインターバル時間が経過したか否かを判定する。インターバル時間が経過している場合(S550:yes)は、直前に第1大入賞口14が開いていたのが最終ラウンドか否かを判定する(S555)。最終ラウンドであれば(S555:yes)、大当り終了演出処理(S560)を行い、特別遊技処理を終了する。最終ラウンドでなければ(S555:no)、再び第1大入賞口14を開放する処理(S565)を行い、特別遊技処理を終了する。なお、大当りインターバル時間が経過していないと判定された場合(S550:no)には、そのまま特別遊技処理を終了する。なお、第1大入賞口14を開放・閉鎖する処理においては、サブ統合制御装置83にも信号を送信する。サブ統合制御装置83は、その信号に基づいて、現在のラウンドを把握し、該ラウンドに応じた演出を行なう。
図12のS515で大当りの終了演出中であると判定された場合は、図15のS570に進み、大当り終了演出時間が経過したか否かを判定する。大当り終了演出時間が経過した場合には(S570:yes)、役物連続作動装置の作動を停止し(S575)、条件装置の作動を停止する(S580)。そして、開放延長設定フラグが1か否かを判定する(S585)。肯定判断の場合(S585:yes)は、時短回数(本実施例では100)を設定し(S590)、開放延長フラグを1に設定し(S595)、S600に移行する。開放延長設定フラグが1ではない場合(S585:no)はS600に直行する。S600では、大当り終了コマンドをサブ統合制御装置83に送信する処理(S600)を行ない、特別遊技処理を終了する。S570で大当り終了演出時間が経過していないと判定された場合(S570:no)も特別遊技処理を終了する。
図12で役物連続作動装置が作動していないと判定された場合(S500:no)には、図16に示す小当り遊技処理を実行する。本処理が起動すると、S605にて特別電動役物が作動中であるか判断し、作動中であれば(S605:yes)、小当り開始演出中か否かを判定する(S610)。肯定判断の場合(S610:yes)、小当り開始演出の時間が経過したか否かを判定し(S615)、肯定判断(S615:yes)なら第2大入賞口開放処理を行なって当処理を終了(リターン)する。なお、特別電動役物が作動中ではないと判定された場合(S605:no)、または小当り開始演出の時間が経過していないと判定された場合(S615:no)にも当処理を終了する。
S610で小当り開始演出中ではないと判定された場合には、第2大入賞口15が開放中か判断する(S625)。肯定判断の場合(S625:yes)は、第2大入賞口15に10個入賞したか否かを判定する。否定判断(S630:no)なら、第2大入賞口15の開放時間(1秒)が経過したか否かを判定する。第2大入賞口15の開放時間が経過していなければ(S635:no)、当処理を終了する。第2大入賞口15の開放時間が経過していた場合(S635:yes)または第2大入賞口15に10個入賞していた場合(S630:yes)は、S640に移行し、第2大入賞口15を閉鎖(S640)してから当処理を終了する。
S625で、第2大入賞口15が開放中ではないと判定された場合には、S645に進み、特定領域106に入球したか否かを判定する。否定判断の場合(S645:no)は、小当り終了時間が経過したか否かを判定する(S650)。肯定判断(S650:yes)なら、特別電動役物の作動を停止させ(S655)、小当り終了コマンドをサブ統合制御装置83に送信して当処理を終了する。小当り終了時間が経過していない場合(S650:no)も当処理を終了する。
特定領域106に入球したと判定された場合(S645:yes)は、S665にて大当り情報を設定し、遊技状態を設定する(S670)。S665,S670はそれぞれS265,S270と同じ処理である。そして開放延長フラグが1か否かを判定(S675)し、肯定判断なら開放延長フラグをゼロにし、S685に移行する。否定判断(S675:no)ならそのままS685に移行する。S685では、条件装置作動開始処理を行い、続くS690にて役物連続作動装置を作動させ、S695にて大当り開始演出処理を行なって当処理を終了する。これらS685〜S695の一連の処理は、前述した当否判定処理のS435〜S445の処理と同じである。役物連続作動装置が作動(S690)されることにより、特別電動役物が作動するので、図8の当否判定処理においてS200が肯定判断され、特別遊技処理が開始される。つまり、小当り遊技処理によれば、第2大入賞口15を開放し、この開放された第2大入賞口15に遊技球が入賞し、更に特定領域106に入球すると、大当りが発生する。
図17に、剣役物45および盾役物47が稼働された様子を示す。剣役物45は普段はセンターケース5の左部に格納されており、図2に示したように遊技者からは見ることができない。サブ統合制御装置83からの指令に基づいて所定の演出にて稼働されて、図17に示したように出現する。一方、盾役物47は普段はセンターケース5の右上部に位置し、その一部は図2に示したように遊技者からは見ることができる。サブ統合制御装置83からの指令に基づいて所定の演出にて稼働されて、図17に示したように出現する。
前記役物およびその駆動機構について図18〜19を用いて説明する。まず図18に盾役物47およびその駆動機構を示す。盾役物47は盾役物モータ47aを動力源として歯車47cが回転駆動されることにより、アーム47d、47eにて構成されたリンク機構により位置47fを軸として揺動される。なお、盾役物センサ47bは、アーム47dが初期位置(盾役物47が図2のように収納された状態)にあることを検出する。図19に剣役物45およびその駆動機構を示す。剣役物45は剣役物モータ45aを動力源として歯車45cが回転駆動されることにより、剣役物45を揺動させる。なお、剣役物センサ45bは、剣役物45が初期位置(剣役物45がセンターケース内に収納された状態)にあることを検出する。
図20に、主制御装置80にて実行される不正検出処理を示す。当処理は、図6に示したメインルーチンの不正監視処理(S70)の中で実行されるサブルーチンの一つである。当処理が起動されると、まずY軸加速度センサ41(図20ではY軸センサと表記。図22でも同様)による検出結果、すなわち上下方向の衝撃力を主制御装置80に取り込む(S700)。続いて、Z軸加速度センサ43(図20ではZ軸センサと表記)による検出結果、すなわち奥行方向の衝撃力を主制御装置80に取り込む(S710)。そしてS715にて、Z軸方向の衝撃力が基準値より大きいか否かを判定する。ここで基準値は2m/s2 とする。なお、この2m/s2 という値は、パチンコ機50における値であり、他の弾球遊技機では前枠の構造や形状、強度などに応じて異なる値となる。否定判断(S715:no)の場合はそのまま当処理を終了(リターン)する。肯定判断の場合(S715:yes)はS720にて、Z軸方向の衝撃力の方がY軸方向の衝撃力より大きいか否かを判定する。肯定判断の場合はS730にて不正報知処理を行ない、当処理を終了する。否定判断(S720:no)の場合はそのまま当処理を終了する。不正報知処理ではサブ統合制御装置83に対して、コマンドを送信してランプ65を点滅させ、スピーカ66から警報音を発生させるとともに、ホールコンピュータ87に対して不正が発生した旨を示す信号を出力する。
不正検出処理では、Z軸方向の衝撃力の方がY軸方向の衝撃力より大きい場合に不正と判定していることになる。これについて図21を用いて説明する。図21(a)は、盾役物47が稼働した場合における、Y軸方向の加速度とZ軸方向の加速度の各変化を示す模式図である。なお、横軸が「時間」となっているが、本図の左に示されている「Y軸方向」と付されたグラフと、左に示されている「Z軸方向」と付されたグラフとは、互いに同じ時刻に検出された加速度の波形となっており、Y軸方向の加速度が検出されたことに続いてZ軸方向の加速度が検出されたことを示しているのではない(図21(b)も同様)。図21(b)は、遊技機に奥行方向への衝撃が加えられた場合における、Y軸方向の加速度とZ軸方向の加速度の各変化を示す模式図である。奥行方向への衝撃として、ここでは、遊技者が上皿55を手前から拳で叩いたことによる衝撃を想定している。
盾役物47が稼働すると、センターケース右上部に格納された位置(図2参照)から演出図柄表示装置6の画面6aの略中央(図17参照)まで移動するので、Y軸方向加速度センサ41は図21(a)に示すように、Y軸方向(上下方向)の加速度を検出する。一方、Z軸方向加速度センサ43は同図に示すように、殆ど加速度を検出しない。これは、盾役物47は右上から画面中央(ほぼ左下方向)へ移動するものの、奥行方向(Z軸方向)には殆ど移動しないからである。
遊技機に衝撃が加えられると、図21(b)に示すように、Y軸方向の加速度は図21(a)と大差ないが、Z軸方向の加速度はY軸方向の加速度よりもはるかに大きな値を呈する。上皿55を手前から拳で叩いた場合、全ての衝撃力が奥行方向に働くわけではなく、上下方向(Y軸方向)の成分もあるため、Y軸方向加速度センサ41はわずかに加速度を検出する。とはいえ、遊技者が上皿55を手前から拳で叩いた場合には、Y軸方向の加速度よりもZ軸方向の加速度の方が大きな値となるので、これを利用して、不正検出処理では不正を検出している。
図22に、サブ統合制御装置83にて実行される異常検出処理を示す。当処理は、盾役物47を稼働させる演出が行なわれる際(S800:yes)に起動される。当処理が起動されると、Y軸加速度センサ41による検出結果、すなわち上下方向の加速度をサブ統合制御装置83に取り込む(S810)。そしてS820にて、Y軸方向の衝撃力(加速度)が小さいか否かを判定する。ここではY軸方向の加速度が5m/s2 よりも小さい場合に、「小さい」と判定するものとする。なお、この5m/s2 という値は、パチンコ機50における値であり、他の弾球遊技機では役物の質量や形状、速度、移動方向などに応じて異なる値となる。肯定判断(S820:yes)の場合はS830にて可動物の異常報知処理を行ない、当処理を終了(リターン)する。否定判断(S820:no)の場合はそのまま当処理を終了する。異常報知処理ではランプ65を点滅させ、盾役物47に異常が発生したことを報知する。なお、異常報知処理により行われるランプ65の点滅は、不正報知処理(S730)で行われるランプ65の点滅とは異なる態様で行われるのが望ましい。異なる態様とは例えば、点滅の間隔が異なる、ランプ65の発光色が異なる、点滅されるランプ65自体が異なる(例えば異常報知処理では前枠52の上部のランプ65(図1参照)のみを点滅させ、不正報知処理では前枠52の右部のランプ65のみを点滅させる)、これらの組み合わせ等を挙げることができる。
異常検出処理では盾役物47を稼働させる演出が行なわれた際に発生したY軸方向の加速度が小さい場合に異常と判定していることになる。これについて図21(c)を用いて説明する。図21(c)は、盾役物47が稼働する演出が発生した場合における、Y軸方向の加速度の変化を示す模式図である。左側は盾役物47が正常に稼働した場合、右側は盾役物47の稼働が正常でなかった場合の各波形を示している。なお、図21(c)では両波形の違いを際立たせるために、図21(a)に比べ、縦方向に拡大している。図21(c)に示すように、盾役物47に異常がない場合は、Y軸方向の加速度が発生するが、盾役物47に異常がある場合はY軸方向の加速度が殆ど発生していない。これは、盾役物47に発生した異常により盾役物47が稼働しなかったことが原因である。
以上、説明した遊技機によれば、Y軸方向に発生した加速度よりもZ軸方向に発生した加速度の方が大きい場合に、不正が発生したと判定するので、盾役物47の可動をダイナミックに行いつつも適格な不正判断が可能となる。また、盾役物47が設けられた遊技盤1に、Y軸加速度センサ41を設け、外部から衝撃が直接加わる前枠52に、Z軸加速度センサ43を備えている。従って、盾役物47の稼働による衝撃力なのか、不正による衝撃力なのかを正確に判断できる。更に、Z軸方向に発生した加速度が基準値を下回っている場合は、不正の判定を行わないので、誤って前枠52に軽い衝撃を与えてしまった場合などを、不正と誤判断することも防止できる。
しかも、不正判断だけでなく、盾役物47に異常が発生しているか否かの判断も行うことができる。この判定はサブ統合制御装置83が行なうので、不正判断を行なう主制御装置80の処理負担の増加を抑えることができる。そのうえ、異常が発生しているか否かの判断は、盾役物47が稼働する演出のみとなっているので、サブ統合制御装置83の処理負担の増加をも抑えることができる。
ここで本実施例の構成と、本発明の構成要件との対応関係を示す。盾役物47が本発明の「可動式の役物」に相当し、前枠52が本発明の「遊技枠」に相当し、特定領域106が本発明の「特定の領域」に相当し、S645からS665を経てS695に至る処理が本発明の「特典判定手段」に相当し、Y軸加速度センサ41及びZ軸加速度センサ43が本発明の「衝撃検知手段」に相当する。
[他の実施例]
前記実施例では、可動物としては盾役物47の加速度のみを検出の対象としていたが、剣役物45の加速度も検出の対象としてもよい。剣役物45はその下端を軸として揺動するものであるため、Y軸方向の加速度も発生する。これにより、剣役物45の異常などを検出可能に構成しても良い。この態様について図25〜27に示す。図25はサブ統合制御装置83にて実行される異常検出処理である。図22に示した異常検出処理と異なり、当処理では、盾役物47だけでなく、剣役物45も含めた可動物を稼働させる演出が行なわれる際(S800:yes)にも起動される。そして、行われる演出の演出パターンに応じた加速度の閾値を設定する(S805)。演出パターンと加速度の閾値の関係を図26に示す。パチンコ機50においては、特別図柄の変動時に行なわれる演出が複数存在し、各演出に応じてスピーカ66から発生する音、演出図柄表示装置6に表示する画像、稼働される可動物などが異なっている。これらを演出パターンと呼び、演出パターン1、演出パターン2、・・・と数字を付して区別している。図26では可動物に係る演出パターンを示している。なお、演出パターン1では可動物が稼働しないが、比較のために示した。このため、演出パターン1では加速度の閾値が記載されていない。演出パターン2では盾役物47のみが稼働し、加速度の閾値として5m/s2 がS805で設定される。演出パターン3では剣役物45のみが稼働し、S805で加速度の閾値として3m/s2 が設定される。演出パターン4では剣役物45および盾役物47が同時に稼働し、S805で加速度の閾値として8m/s2 が設定される。演出パターン5では剣役物45のみが稼働されるが、演出パターン3とは異なり、加速度の閾値は設定されない(正確には、可動物を稼働させる演出として扱われない)。これは、演出パターン3では剣役物45が素早く揺動されるのに対し、演出パターン5では剣役物45が比較的低速で揺動されることによる。
図25に戻る。こうして加速度の閾値が設定されると、Y軸加速度センサ41による検出結果をサブ統合制御装置83に取り込み(S810)、Y軸方向の衝撃力(加速度)が小さいか否かを判定する(S820)。この判定では、S805で設定した加速度の閾値よりも小さい場合に、衝撃力が「小さい」と判定する。演出パターンごとに加速度の閾値が異なることについて図27に示す。図27(a)は演出パターン2におけるY軸方向の加速度、図27(b)は演出パターン3におけるY軸方向の加速度、図27(c)は演出パターン4におけるY軸方向の加速度をそれぞれ示す模式図であり、3図とも図21(c)と同様、正常時の波形と、異常時の波形の各1例を並べて示している。演出パターン2は、盾役物47のみが稼働するので、前記実施例と同様、5m/s2 よりも小さい場合に、異常と判定する。演出パターン3は、剣役物45のみが稼働し、しかも盾役物47とは異なり剣役物45は揺動するだけであるため、5m/s2 よりも小さい3m/s2を閾値としている。演出パターン4は、剣役物45及び盾役物47が同時に稼働するので、大きな加速度が検出され、該加速度が8m/s2 よりも小さい場合に異常と判定する。異常として例えば、剣役物45は稼働したが盾役物47が稼働しなかった場合には、図27(c)の右側のような波形となるので、盾役物47の異常を検出することができる。図示はしないが、盾役物47は稼働したが剣役物45が稼働しなかった場合にも、検出される加速度は、剣役物45が稼働しない分だけ8m/s2よりも小さい値となり、剣役物45の異常を検出することができる。
なお、図26に示した演出パターン以外の態様で可動物が稼働する演出パターンにも異常がないか否かを判定可能に構成しても良い。例えば、剣役物45及び盾役物47の双方が稼働するものの、同時ではなく時間差で稼働する演出パターンにおいても可動物の異常を検出可能に構成し直しても良い。この場合は、加速度の閾値は演出パターン4ほど大きくはならず、それぞれの可動物が稼働するタイミングで、該可動物が単独で稼働した場合の閾値で判定することが考えられる。つまり、この場合、1回の演出パターンで2度判定をすることになる。
また、前記実施例では、Y軸加速度センサ41とZ軸加速度センサ43を備えて不正の検出を行なうものであったが、これらに加えてX軸加速度センサ(左右方向の加速度を検出するもの)を備えてもよい。逆に、Y軸方向、Z軸方向の加速度を検出可能な1個の加速度センサで、不正や可動物の異常を検出する構成としてもよい。こうした加速度センサは、盤側に設けると良い。もちろん、Y軸方向、Z軸方向に加え、X軸方向の加速度も検出可能な加速度センサであっても構わない。また、剣役物45、盾役物47以外の可動物を備えた遊技機に本発明を適用してもよい。例えば、パチンコ機50が備えるタイトル役物(図2の符号77)を上下可動に構成してもよい。また、パチンコ機50では、Y軸加速度センサ41を遊技盤1に、Z軸加速度センサ43を前枠52に設けていたが、衝撃力を検出することが可能な位置であれば、これら以外の箇所に設けても良い。
また、パチンコ機50では盾役物47が稼働する演出では必ず異常検出処理を実行していたが、盾役物47が稼働するにも拘らず異常検出処理が実行されない演出が存在しても構わない。例えば、盾役物47がゆっくりと移動する演出では異常検出処理が実行されないとか、盾役物47の移動距離が短い演出では異常検出処理が実行されない構成としても良い。また、不正検出処理のS715において、Z軸方向の加速度(衝撃力)が基準値を超えていると判定された場合に限り、その衝撃力が不正によるものか否かの判定(S720)を行なっていたが、S715の処理は省略してもよい。
前記実施の態様では、加速度センサを用いて衝撃力を測定していたが、加速度センサ以外の検出手段で衝撃力を検出しても良い。また、パチンコ機50は特定領域106に入球したことを契機に大当たりが発生する構成であったが、このような特定領域106とは異なる特定の領域を有する遊技機に本発明を適用しても良い。こうした特定の領域としては、例えば入球すると、大当り等の特典を付与するか否かの判定を行なう遊技機が挙げられる。なお、大当り以外の特典としては、賞球や確変(大当りとなる確率が高くなること)を例示できる。
また、弾球遊技機を1種2種混合機ではなく、1種、或いは2種遊技機として構成しても良い。前記実施の態様では、サブ統合制御装置83は、スピーカ66、各種LED,ランプ65、演出図柄表示装置6を統合して制御可能なものであったが、これらのいくつかを分担して制御する複数のサブ制御装置にて構成しても良い。
また、パチンコ機50は払出制御装置81を備え、払出モータ20により遊技球を払い出すものであったが、このような実体のある遊技球を払い出さずに、賞球数に対応する数値データを遊技者に付与する遊技機に本発明を適用しても良い。なお、こうした遊技機は、発射に用いる遊技球を遊技機内で循環して繰り返し用いるように構成されるのが一般的である。