JP2017130495A - インプリントモールド用積層板の製造方法、およびインプリントモールドの製造方法 - Google Patents

インプリントモールド用積層板の製造方法、およびインプリントモールドの製造方法 Download PDF

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洋人 中村
誠吾 太田
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真治 植木
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Abstract

【課題】インプリント時の発塵を抑制した、インプリントモールド用積層板の製造方法の提供。
【解決手段】ガラス板の第2主表面の中央部に非貫通穴を形成する非貫通穴形成工程S11と、ガラス板の第1主表面の中央部に突出面を形成する突出面形成工程S12と、突出面における凹凸パターンの形成に用いられる保護膜を形成する保護膜形成工程S13と、ガラス板に対しレーザ光を照射することで、その照射面に凹状マークを形成するマーキング工程S14と、凹状マークの形成後に、照射面をウェットエッチングするエッチング工程S15とを有し、マーキング工程では、凹状マークの縁部に、照射面よりも高い盛上り部が形成され、エッチング工程では、盛上り部の少なくとも一部を除去すると共に、凹状マークをウェットエッチングする。
【選択図】図5

Description

本発明は、インプリントモールド用積層板の製造方法、およびインプリントモールドの製造方法に関する。
特許文献1に記載のマスクブランクスの製造方法によれば、ガラス基板の鏡面状の表面にレーザ光を照射し、マークとして用いられる凹部を形成する。マークは、マスクブランクスに固有の識別情報、識別記号、または管理記号を示す。凹部は、ガラス基板における転写パターンとなる薄膜が形成される主表面と直交する端面に形成される。
特許第5477875号公報
ガラス板に対しレーザ光を照射することで、その照射面に凹状マークが形成される。このとき、凹状マークの縁部に、レーザ光の照射面よりも高い盛上り部が形成される。
盛上り部は、レーザ光の照射時に融解または昇華したガラスが堆積したものである。このガラスは、融解または昇華された後、急冷されている。そのため、盛上り部は、脆く、且つ粗くなっている。
インプリントモールドは、凹状マーク付きのガラス板によって形成され、第1主表面と第2主表面とを有する。第1主表面の中央部には凹凸パターンが形成されており、第2主表面の中央部には非貫通穴が形成されている。
インプリントモールドは、例えば、第1主表面を下に向け、第2主表面を上に向けた状態で、上方のチャックに保持される。この状態で、インプリントモールドは、下方の基板との間に転写材を挟み、転写材に凹凸パターンを転写する。
インプリントモールドは、マスクブランクスとは異なり、凹凸パターンの矯正や泡の噛み込みの抑制を目的として、圧力を印加した状態で使用される。また、第2主表面はチャックに接触し、第1主表面は転写材に接触する。そのため、盛上り部が、インプリント時に発塵源となりやすかった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、インプリント時の発塵を抑制した、インプリントモールド用積層板の製造方法の提供を主な目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様によれば、
ガラス板における第1主表面とは反対側の第2主表面の中央部に、非貫通穴を形成する非貫通穴形成工程と、
前記ガラス板における前記第1主表面の中央部に、周囲を段差で取り囲まれ周囲よりも突出する突出面を形成する突出面形成工程と、
前記突出面における凹凸パターンの形成に用いられる保護膜を形成する保護膜形成工程と、
前記ガラス板に対しレーザ光を照射することで、前記ガラス板における前記レーザ光の照射面に凹状マークを形成するマーキング工程と、
前記凹状マークの形成後に、前記照射面をウェットエッチングするエッチング工程とを有し、
前記マーキング工程では、前記凹状マークの縁部に、前記照射面よりも高い盛上り部が形成され、
前記エッチング工程では、前記盛上り部の少なくとも一部を除去すると共に、前記凹状マークをウェットエッチングする、インプリントモールド用積層板の製造方法が提供される。
本発明の一態様によれば、インプリント時の発塵を抑制した、インプリントモールド用積層板の製造方法が提供される。
一実施形態によるモールドの平面図である。 図1のII−II線に沿ったモールドの断面図である。 図2に示すモールドの変形状態の断面図である。 図3に示すモールドの変形解除状態の断面図である。 一実施形態によるインプリントモールド用積層板の製造方法のフローチャートである。 一実施形態による非貫通穴形成工程の説明図である。 一実施形態による突出面形成工程の説明図である。 一実施形態による保護膜形成工程の説明図である。 一実施形態によるマーキング工程の説明図である。 一実施形態によるガラス板の第2主表面における凹状マークの形成位置を示す図である。 一実施形態によるガラス板の第1主表面における凹状マークの形成位置を示す図である。 一実施形態によるガラス板の端面における凹状マークの形成位置を示す図である。 図9に示す凹状マークの拡大図である。 一実施形態によるエッチング工程の説明図である。 一実施形態によるインプリントモールドの製造方法のフローチャートである。 凹凸パターン形成工程の説明図である。 図16に続く、凹凸パターン形成工程の説明図である。 図17に続く、凹凸パターン形成工程の説明図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図面において、同一の又は対応する構成には、同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。本明細書において、インプリントモールドを単にモールドとも呼ぶ。また、本明細書において、平面視とは、主表面に対し垂直な方向から見たことを意味する。
図1は、一実施形態によるモールドの平面図である。図2は、図1のII−II線に沿ったモールドの断面図である。図3は、図2に示すモールドの変形状態の断面図である。図4は、図3に示すモールドの変形解除状態の断面図である。
モールド10は、図4に示すように基板17との間に転写材19を挟み、モールド10の凹凸パターンを転写材19に転写する。転写材19の凹凸パターンは、モールド10の凹凸パターンが略反転したものとなる。
モールド10は、例えばガラスで形成される。ガラスは、SiOを90質量%以上含む石英ガラスが好ましい。石英ガラスに占めるSiO含有量の上限値は、100質量%である。
石英ガラスは、一般的なソーダライムガラスに比べて、紫外線の透過率が高い。また、石英ガラスは、一般的なソーダライムガラスに比べて、熱膨張率が小さく、温度変化による凹凸パターンの寸法変化が小さい。
石英ガラスは、SiOの他に、TiO含んでよい。TiO含有量が多いほど、ガラス表面のOH基の密度が大きく、ガラス表面と転写材19との親和性が高い。よって、モールド10と基板17との間に巻き込まれた気泡の消失時間が短縮できる。
石英ガラスは、SiOを90〜98質量%、TiOを2〜10質量%含んでよい。TiO含有量が2〜10質量%であると、室温付近での熱膨張率が略ゼロであり、室温付近での寸法変化がほとんど生じない。
石英ガラスは、SiOおよびTiO以外の微量成分を含んでもよいが、微量成分を含まないことが好ましい。
モールド10は、図2に示すように、第1主表面11と、第1主表面11とは反対側の第2主表面12とを有する。外力が作用していない自然状態で、第1主表面11と第2主表面12とは略平行とされる。
第1主表面11は、段差を有している。第1主表面11の中央部には、周囲を段差で取り囲まれ周囲よりも突出するメサ(mesa)と呼ばれる突出面13が形成されている。突出面13に対し平行なオフメサと呼ばれるオフセット面15と、突出面13とで第1主表面11が構成される。
平面視において、突出面13の形状は、例えば図1に示すように矩形である。突出面13には、転写材19に転写する凹凸パターンが形成されている。尚、平面視において、突出面13の形状は、円形、楕円形、五角形以上の多角形などでもよい。
一方、第2主表面12の中央部には、非貫通穴14が形成されている。非貫通穴14の形状は、例えば図1および図2に示すように円柱である。尚、非貫通穴14の形状は、円錐台、角柱、角錐台などでもよい。
図1に示すように、平面視において、非貫通穴14の開口縁14aの内側に、突出面13が配される。また、平面視において、突出面13の中心および非貫通穴14の中心は、モールド10の中心と一致している。
図2に示すように、モールド10の非貫通穴14が形成される部分は、その周辺部分に比べ薄いため、外力によって曲げ変形し易い。よって、図3に示すように、非貫通穴14の中心線を中心に、突出面13を基板17に向けて凸に曲げ変形させることが可能である。この曲げ変形は、例えば、モールド10の外周面や非貫通穴14の内底面を押圧することにより実施される。非貫通穴14の内底面は、非貫通穴14内に形成されるガス室の気圧で押圧されてよい。
次に、図3〜図4を再度参照して、上記構成のモールド10を用いたインプリント法について説明する。
図3に示すようにモールド10の突出面13を基板17に向けて凸に曲げ変形させた状態で、モールド10と基板17とを接近させ、基板17に予め塗布された液状の転写材19に対しモールド10の突出面13を接触させる。
その後、転写材19の固化前に、突出面13を図3に示す変形状態から図4に示す変形解除状態に戻す。これにより、突出面13は、その中央部から外周部に向けて徐々に転写材19と接触する。モールド10と基板17との間の気体が逃げやすく、気体の閉じ込めが抑制できる。
転写材19の固化後、転写材19とモールド10とが分離される。転写材19を固化してなる凹凸層と基板17とで構成される製品が得られる。製品の凹凸パターンは、モールド10の凹凸パターンが略反転したものである。
図5は、一実施形態によるインプリントモールド用積層板の製造方法のフローチャートである。インプリントモールド用積層板の製造方法は、図5に示すように、非貫通穴形成工程S11と、突出面形成工程S12と、保護膜形成工程S13と、マーキング工程S14と、エッチング工程S15とを有する。以下、各工程について説明するが、各工程の順序は図5に示す順序に限定されない。例えば、マーキング工程S14は、(1)非貫通穴形成工程S11の前、(2)非貫通穴形成工程S11と突出面形成工程S12との間、(3)突出面形成工程S12と保護膜形成工程S13との間に行われてもよい。また、非貫通穴形成工程S11と突出面形成工程S12との順序は逆でもよい。
図6は、一実施形態による非貫通穴形成工程の説明図である。非貫通穴形成工程S11では、図6に示すようにガラス板20における第1主表面21とは反対側の第2主表面22の中央部に非貫通穴24を形成する。非貫通穴24の形成には、マシニングセンターなどの工作機械が用いられる。工作機械は、工具50によって第2主表面22を研削し、その後、別の工具50によって研削面を研磨する。
図7は、一実施形態による突出面形成工程の説明図である。図7において、突出面形成工程S12前の第1主表面21の状態を2点鎖線で示す。
突出面形成工程S12では、図7に示すようにガラス板20の第1主表面21の外周部を掘り下げることで、第1主表面21の中央部に周囲を段差で取り囲まれ周囲よりも突出する突出面23を形成する。第1主表面21の外周部を掘り下げる方法としては、ウェットエッチングやドライエッチングなどが用いられる。突出面形成工程S12の後、第1主表面21は、突出面23と、突出面23に対し平行なオフセット面25とを含む。
図8は、一実施形態による保護膜形成工程の説明図である。保護膜形成工程S13では、突出面23における凹凸パターンの形成に用いられる保護膜30を形成する。保護膜30は、一般的なものであってよく、例えば金属または金属化合物で形成される。保護膜30は、単層構造、複層構造のいずれでもよい。ガラス板20と保護膜30とでインプリントモールド用積層板が構成される。
保護膜30は、例えばCr、Al、Zn、Fe、Mo、Ti、Wから選ばれる少なくとも1つの金属元素を含む、単金属、合金、窒化物、酸化物、炭化物、炭窒化物、酸窒化物、または酸炭窒化物で形成されてもよい。あるいは、保護膜30は、Ta、TaHf、TaZr、TaHfZrなどのタンタル化合物、もしくはタンタル化合物を主材料とし、Be,Ge、Nb、Si、C、N等の副材料を加えた複合材料で形成されてもよい。
保護膜30は、スパッタ法、真空蒸着等の物理気相成長法(PVD法)、化学気相成長法(CVD法)、原子層堆積法(ALD法)等により成膜される。保護膜30の厚さは、例えば2〜10nmである。保護膜30に微細なパターンを形成するため、保護膜30の厚さは薄いほど望ましく、望ましくは5nm以下、より望ましくは3nm以下である。
図9は、一実施形態によるマーキング工程の説明図である。マーキング工程S14では、図9に示すように、ガラス板20に対しレーザ光60を照射し、ガラス板20におけるレーザ光60の照射面(以下、「ガラス板20のレーザ照射面」とも呼ぶ)に凹状マーク28を形成する。ガラス板20のレーザ照射面は、例えば第2主表面22である。
レーザ光60の光源としては、例えば波長が300nm〜11000nmの光源が使用可能である。具体的には、Ybファイバーレーザ(波長1000nm〜1100nm)、Ybディスクレーザ(波長1000nm〜1100nm)、Nd:YLFレーザ(波長:1047〜1053nm)、Nd:YVO4レーザ(波長:1064nm)、Nd:YAGレーザ(波長:1064nm)、GaAlAsレーザ(波長:800〜830nm)、InGaAsPレーザ(波長:800〜820nm)、COレーザ(波長:10600nm)などが使用可能である。Nd:YAG(SHG)レーザ(波長:532nm)、Nd:YAG(THG)レーザ(波長:355nm)も利用可能である。なかでも、レーザ光60の波長が7000nm以上であれば、レーザ光60がガラスに吸収されやすく、凹状マーク28を早く形成できる。さらに、凹状マーク28を深く加工することができるため、後工程のエッチング工程S15を行った後でも、充分な深さを維持できる。これらの光源のうち、COレーザが最も好ましい。COレーザは、レーザ光60がガラスに吸収されやすく、製造コストや管理コストが安価である。
光源の出力は、例えば2W以上である。光源の出力が2W未満の場合、光源の出力安定性が低下し、凹状マーク28の形状がいびつになる。
光源と、ガラス板20の間には、光学系が設けられる。光学系は、光源から出射したレーザ光60を、ガラス板20のレーザ照射面に集光照射する。
光学系は、ガラス板20におけるレーザ光60の照射位置を二次元的に移動させる。例えば、光学系は、ガルバノミラーと、fθレンズとを含む。光学系は、ガルバノミラーの代わりに、ポリゴンミラーを有してもよい。ガルバノミラーまたはポリゴンミラーが、レーザ光60の照射位置を二次元的に移動させる。
尚、レーザ光60の照射位置の移動は、ガラス板20の移動、または/および、光源および光学系の移動によって行われてもよい。
ガラス板20のレーザ照射面において、レーザ光60の形状は、楕円形や複数の円を重ね合せた形などでもよいが、好ましくは円形である。また、ガラス板20のレーザ照射面において、レーザ光60のパワー密度分布は、凹状マーク28の形状に合わせ、ガウス分布やトップハット分布等を適宜選択することができる。レーザ光60のエネルギーが中心に集中しているガウス分布は、出力が安定して凹状マーク28の寸法精度が安定するため、より好ましい。
凹状マーク28は、文字や記号、図形などを表す。例えば、凹状マーク28は、ドット状に複数形成され、2次元コードを形成する。2次元コードは、マトリックス式、スタック式のいずれでもよい。マトリックス式の2次元コードとしては、QRコード(登録商標)、SPコード(登録商標)、ベリコード(VeriCode)(登録商標)、マキシコード(MaxiCode)、CPコード(登録商標)、DataMatrix、Code1などが挙げられる。スタック式の2次元コードとしては、PDF417(登録商標)、マイクロPDF417、Code49、SuperCode、Ultra Code、RSS Composite、AztecMesaなどが挙げられる。尚、凹状マーク28は、1次元コードなどでもよい。
凹状マーク28は、インプリントモールド用積層板の情報を示す。例えば、凹状マーク28は、(1)ガラス板20の識別情報、(2)ガラス板20の加工機に関する情報、(3)ガラス板20のガラス種に関する情報、(4)第1主表面21に関する情報、(5)第2主表面22に関する情報、(6)端面27に関する情報、(7)保護膜30に関する情報のうちの少なくとも1つを含む。
(1)ガラス板20の識別情報は、ガラス板20毎に固有のものであり、数字、文字、記号などで表される。
(2)ガラス板20の加工機に関する情報は、例えば、加工日、加工場所、加工機名、加工条件、加工時間、作業者名などを含む。
(3)ガラス板20のガラス種に関する情報は、ガラスの種類や組成、ヤング率、ポアソン比、比重、屈折率、透過率、熱膨張係数、複屈折、不純物の濃度分布、OH基量、エッチングレートなどを含む。屈折率や透過率は、波長ごとに記録される。エッチングレートは、エッチング液の種類やその温度ごとに記録される。
(4)第1主表面21に関する情報は、第1主表面21の寸法および外形、表面粗さ、平坦度、第2主表面22に対する平行度、端面27に対する垂直度、うねり、欠陥、面取、方位を示すマーク(例えばノッチマーク)の形状や位置などを含む。また、第1主表面21に関する情報は、第1主表面21に形成される突出面23に関する情報を含む。
突出面23に関する情報は、第1主表面21における突出面23の位置、突出面23のデザイン名、寸法および外形、表面粗さ、平坦度、うねり、欠陥などを含む。また、突出面23に関する情報は、突出面23に形成される凹凸パターンに関する情報を含む。
凹凸パターンに関する情報は、突出面23における凹凸パターンの位置、凹凸パターンのデザイン名、寸法および外形、表面粗さ、うねり、欠陥などを含む。また、凹凸パターンに関する情報は、当該凹凸パターンを用いて作製される回路パターン名や製品名を含む。
(5)第2主表面22に関する情報は、第2主表面22の寸法および外形、表面粗さ、平坦度、第1主表面21に対する平行度、端面27に対する垂直度、うねり、欠陥、面取、方位を示すマークの形状や位置などを含む。また、第2主表面22に関する情報は、第2主表面22に形成される非貫通穴24に関する情報を含む。
非貫通穴24に関する情報は、第2主表面22における非貫通穴24の位置、非貫通穴24のデザイン名、寸法および外形、表面粗さ、うねり、欠陥などを含む。
(6)端面27に関する情報は、端面27の寸法および外形、表面粗さ、平坦度、第1主表面11や第2主表面22に対する垂直度、端面27同士の平行度や直角度、うねり、欠陥、面取などを含む。
(7)保護膜30に関する情報は、第1主表面21における保護膜30の位置、保護膜30の種類、エッチングレート、透過率、反射率、寸法および外形、表面粗さ、平坦度、うねり、欠陥などを含む。
尚、凹状マーク28はガラス板20の基準位置を示す基準マークであってもよく、凹状マーク28の種類は限定されない。凹状マーク28の種類に応じて凹状マーク28の形状が選択される。例えば、基準マークは十字状などに形成される。
凹状マーク28は、第1主表面21、第2主表面22、端面27のいずれに形成されていてもよく、これらのうちの複数に形成されていてもよい。
図10は、一実施形態によるガラス板の第2主表面における凹状マークの形成位置を示す図である。凹状マーク28は、第2主表面22に形成される場合、第2主表面22のうちの図10にドット模様で示す領域A2(以下、「第2領域A2」と呼ぶ)に形成されることが好ましい。第2領域A2は、第2主表面22の中心から73.1mm以上外側の領域である。図3に示すようにモールド10の端面などを押圧したとき、つまり、ガラス板20の端面27などを押圧したとき、第2領域A2は第2領域A2よりも内側の領域に比べてほとんど変形しない。そのため、凹状マーク28にかかる負荷が小さく、凹状マーク28の損傷が抑制できる。また、凹状マーク28の位置がモールド10の中心から離れているため、インプリント装置によるモールド10のチャック時に凹状マーク28の縁部が押され、その縁部が盛上っていたとしても、その盛上がりによる突出面23の歪みを抑制できる。
図11は、一実施形態によるガラス板の第1主表面における凹状マークの形成位置を示す図である。凹状マーク28は、第1主表面21に形成される場合、第1主表面21のうちの図11にドット模様で示す領域A1(以下、「第1領域A1」と呼ぶ)に形成されることが好ましい。第1領域A1は、平面視で非貫通穴24と重なる領域の外側の領域である。図3に示すようにモールド10の端面などを押圧したとき、つまり、ガラス板20の端面27などを押圧したとき、第1領域A1は第1領域A1よりも内側の領域に比べてほとんど変形しない。そのため、凹状マーク28にかかる負荷が小さく、凹状マーク28の損傷が抑制できる。図5に示すように保護膜形成工程S13の後にマーキング工程S14を行う場合には、凹状マーク28を形成する部位には保護膜30がない状態とする。例えば、突出面23のみに保護膜30を形成する。
図12は、一実施形態によるガラス板の端面における凹状マークの形成位置を示す図である。凹状マーク28は、端面27に形成される場合、端面27のうちの図12にドット模様で示す領域A3(以下、「第3領域A3」と呼ぶ)に形成されることが好ましい。第3領域A3は、端面27の長手方向中心から長手方向両側に55mm以上外側の領域である。図3に示すようにモールド10の端面などを押圧したとき、つまり、ガラス板20の端面27などを押圧するとき、第3領域A3は第3領域A3よりも内側の領域に比べてほとんど押圧されることがない。そのため、凹状マーク28にかかる負荷が小さく、凹状マーク28の損傷が抑制できる。また、凹状マーク28の位置がモールド10の中心から離れているため、モールド10の端面の押圧時に凹状マーク28の縁部が押され、その縁部が盛上っていたとしても、その盛上がりによる突出面23の歪みを抑制できる。
尚、凹状マーク28は、方位を示すマークや面取面に形成されてもよい。
図13は、図9に示す凹状マークの拡大図である。図13に示すように、マーキング工程S14では、凹状マーク28の縁部に、ガラス板20のレーザ照射面よりも高い盛上り部29が形成される。この盛上り部29は、レーザ光60の照射時に融解または昇華したガラスが堆積したものである。このガラスは、融解または昇華された後、急冷されている。そのため、盛上り部29は、脆く、且つ粗くなっている。
マーキング工程S14では、盛上り部29の最大高さHをできるだけ低くするため、ガラス板20におけるレーザ光60の照射位置付近にガスを流してもよい。融解または昇華したガラスの付着を抑制できる。ガスとしては、空気、窒素、または不活性ガスが用いられる。不活性ガスとしては、アルゴンやヘリウムなどが挙げられる。
ガラス板20におけるレーザ光60の照射位置付近において、ガラス板20のレーザ照射面と平行な方向における風速の大きさは、例えば0.1m/秒〜17m/秒である。風速の大きさが小さすぎると、ガスを吹き付ける効果が得られない。一方、風速の大きさが大きすぎると、ガラス板20が急冷されるため、ガラス板20にマイクロクラックが生じることがある。風速の大きさはファンや集塵機によって調整でき、風向きはファンの位置や集塵機の位置によって調整できる。
図14は、一実施形態によるエッチング工程の説明図である。図14において、実線はエッチング工程S15の後のガラス板の状態を示し、二点鎖線はエッチング工程S15の前のガラス板の状態を示す。エッチング工程S15では、凹状マーク28の形成後に、ガラス板20のレーザ照射面をウェットエッチングする。
尚、ガラス板20の表面のうち、レーザ照射面以外の面は、ウェットエッチングされても、されなくてもよい。ウェットエッチングからガラス板20を保護する保護膜が形成されてもよい。保護膜としては、例えばクロム膜などが用いられる。
エッチング工程S15では、盛上り部29の少なくとも一部(図14では全て)を除去する。よって、盛上り部29は脆く且つ粗くなっているため、盛上り部29の少なくとも一部が除去されることで、盛上り部29がインプリント時に発塵源となることを抑制できる。
エッチング工程S15におけるガラス板20のレーザ照射面のエッチング量Eは、盛上り部29の最大高さHよりも大きくてよい。ここで、エッチング量Eは、レーザ光60の照射位置から離れた平坦な位置で測定する。盛上り部29は脆くエッチングされやすいため、エッチング量Eが最大高さHよりも大きければ、盛上り部29の略全てが除去できる。
エッチング工程S15におけるガラス板20のレーザ照射面のエッチング量Eは、例えば5nm〜60μmである。
エッチング工程S15の後、盛上り部29を掘り下げた部分29Aは、その外側の平坦な部分よりも高くてもよく、その高さHAは0.05μm未満であることが好ましい。尚、エッチング工程S15の後、盛上り部29を掘り下げた部分29Aは、その外側の平坦な部分と面一でもよいし、その外側の平坦な部分よりも低くてもよい。
また、エッチング工程S15では、盛上り部29だけではなく、凹状マーク28も同時にウェットエッチングする。そのため、ウェットエッチングの代わりに、表面研磨のみを行う場合とは異なり、凹状マーク28の内底面が掘り下げられるため、凹状マーク28の深さが維持でき、凹状マーク28の読取性が向上できる。尚、ウェットエッチングと研磨とを組み合わせてもよい。研磨のみを行う場合に比べて、凹状マーク28の深さが深く、凹状マーク28の読取性が向上できる。
凹状マーク28がドット状に複数形成される場合、インプリントモールド用積層板の製造後に、各凹状マーク28において、開口縁の円相当径DIAと、最大深さDPとの比DIA/DPが例えば2未満である。比DIA/DPが2未満であれば、凹状マーク28の読取性が良い。
ウェットエッチングの方法としては、例えば浸漬法、スピンエッチング法、ローカルウェットエッチング法などが用いられる。浸漬法では、ガラス板20の全体をエッチング液に浸漬する。浸漬法は、生産性やコストに優れている。スピンエッチング法では、吐出口を下に向けたノズルからガラス板20の上面に対しエッチング液を滴下しながら、ガラス板20を回転させる。スピンエッチング法は、ガラス板20の下面や端面のエッチングを抑制できる。ローカルウェットエッチング法では、吐出口を上に向けたノズルとガラス板20の下面との間にエッチング液の膜を形成しながら、ガラス板20とノズルとを相対的に移動させる。ローカルエッチング法は、局所的にエッチングできる。
エッチング液としては、ガラスのエッチングに用いられる一般的なものが用いられる。例えば、フッ化水素酸、フッ化水素酸とフッ化アンモニウムの混合溶液、フッ化水素酸と硝酸または塩酸との混合溶液、アルカリ系洗剤、水酸化ナトリウム水溶液と水酸化アルカリ金属を含む水酸化アルカリ金属水溶液、APM(水酸化アンモニウムと過酸化水素水と水の混合水溶液)などが用いられる。アルカリ系洗剤の具体例としては、例えば、ライオン株式会社製のサンウォッシュ(登録商標)が挙げられる。
エッチング液としては、管理や制御、エッチングレートの速さ、コストの観点から、好ましくは、フッ化水素酸、フッ化水素酸とフッ化アンモニウムの混合溶液、フッ化水素酸と硝酸または塩酸との混合溶液が好ましい。いずれの場合も、フッ化水素酸の濃度は例えば0.01質量%〜25質量%である。
エッチング液の液温は、例えば10℃〜70℃、好ましくは15℃〜25℃である。エッチング液の液温が低すぎると、エッチングレートの速さが遅く、生産性が悪い。一方、エッチング液の液温が高過ぎると、水分が揮発するため、濃度管理が難しい。
浸漬法の場合、ガラス板20とエッチング液との界面付近において、界面と平行な方向におけるガラス板20に対するエッチング液の流速の大きさは、例えば3mm/秒〜6000mm/秒である。流速の大きさが大きすぎる場合、ガラス板20に対するエッチング液の濡れ状態が不安定になり、ガラス板20の表面粗さやうねりが悪化する。一方、流速の大きさが小さすぎる場合、ガラス板20との反応によってエッチング液の濃度が界面付近において局所的に低下し、エッチングレートの速さが遅くなる。
浸漬法の場合、ガラス板20の全体が、エッチング槽に収容されたエッチング液に浸漬される。この場合、ノズルや撹拌翼、循環器などによって、エッチング槽内の流速を調整できる。ノズルは、エッチング槽内にエッチング液を噴射する。撹拌翼は、エッチング槽内のエッチング液を撹拌する。循環器は、エッチング槽からオーバーフローしたエッチング液をエッチング槽に戻す。
図15は、一実施形態によるインプリントモールドの製造方法のフローチャートである。インプリントモールドの製造方法は、図15に示すように、非貫通穴形成工程S11と、突出面形成工程S12と、保護膜形成工程S13と、マーキング工程S14と、エッチング工程S15と、凹凸パターン形成工程S16を有する。各工程の順序は、図15に示す順序に限定されない。例えば、マーキング工程S14は、(1)非貫通穴形成工程S11の前、(2)非貫通穴形成工程S11と突出面形成工程S12との間、(3)突出面形成工程S12と保護膜形成工程S13との間、または(4)凹凸パターン形成工程S16の後に行われてもよい。また、非貫通穴形成工程S11と突出面形成工程S12との順序は逆でもよい。以下、凹凸パターン形成工程S16について説明する。
凹凸パターン形成工程S16では、図16〜図18に示すように保護膜30を用いて突出面23に凹凸パターンを形成し、その後、保護膜30を除去する。
先ず、図16に示すように、保護膜30上に、開口パターンを有するレジスト膜40を形成する。その形成方法は、電子線リソグラフィ法、フォトリソグラフィ法、インプリント法のいずれでもよい。尚、図16に示すレジスト膜40は、保護膜30の全面に形成されているが、保護膜30のうち少なくとも平面視で突出面23と重なる領域に形成されていればよい。
次いで、図17に示すように、レジスト膜40によって部分的に保護した保護膜30をエッチングする。これにより、保護膜30に開口パターンが形成される。その開口パターンは、図16に示すレジスト膜40の開口パターンと略同じものである。不要となったレジスト膜40は図18に示すように除去されてもよい。
次いで、図18に示すように、保護膜30によって部分的に保護した突出面23をエッチングする。これにより、突出面23に凹凸パターンが形成される。その後、不要になった保護膜30が除去され、図2に示すモールド10が得られる。
以上、インプリントモールド用積層板の製造方法の実施形態などについて説明したが、本発明は上記実施形態などに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
10 モールド
11 第1主表面
12 第2主表面
13 突出面
14 非貫通穴
15 オフセット面
17 基板
19 転写材
20 ガラス板
21 第1主表面
22 第2主表面
23 突出面
24 非貫通穴
25 オフセット面
27 端面
28 凹状マーク
29 盛上り部
60 レーザ光

Claims (11)

  1. ガラス板における第1主表面とは反対側の第2主表面の中央部に、非貫通穴を形成する非貫通穴形成工程と、
    前記ガラス板における前記第1主表面の中央部に、周囲を段差で取り囲まれ周囲よりも突出する突出面を形成する突出面形成工程と、
    前記突出面における凹凸パターンの形成に用いられる保護膜を形成する保護膜形成工程と、
    前記ガラス板に対しレーザ光を照射することで、前記ガラス板における前記レーザ光の照射面に凹状マークを形成するマーキング工程と、
    前記凹状マークの形成後に、前記照射面をウェットエッチングするエッチング工程とを有し、
    前記マーキング工程では、前記凹状マークの縁部に、前記照射面よりも高い盛上り部が形成され、
    前記エッチング工程では、前記盛上り部の少なくとも一部を除去すると共に、前記凹状マークをウェットエッチングする、インプリントモールド用積層板の製造方法。
  2. 前記エッチング工程では、前記盛上り部が全て除去される、請求項1に記載のインプリントモールド用積層板の製造方法。
  3. 前記エッチング工程における前記照射面のエッチング量が、前記盛上り部の最大高さよりも大きい、請求項1または2に記載のインプリントモールド用積層板の製造方法。
  4. 前記凹状マークは、ドット状に複数形成され、インプリントモールド用積層板に関する情報を示す、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインプリントモールド用積層板の製造方法。
  5. インプリントモールド用積層板の製造後に、各前記凹状マークにおいて、開口縁の円相当径DIAと、最大深さDPとの比DIA/DPが2未満である、請求項4に記載のインプリントモールド用積層板の製造方法。
  6. 前記凹状マークは、前記突出面に関する情報を示す、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインプリントモールド用積層板の製造方法。
  7. 前記突出面に関する情報は、前記突出面に形成される前記凹凸パターンに関する情報を含む、請求項6に記載のインプリントモールド用積層板の製造方法。
  8. 前記凹状マークは、前記第2主表面のうち、前記第2主表面の中心から73.1mm以上外側に形成される、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインプリントモールド用積層板の製造方法。
  9. 前記凹状マークは、前記ガラス板の端面のうち、当該端面の長手方向中心から55mm以上外側に形成される、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインプリントモールド用積層板の製造方法。
  10. 前記凹状マークは、前記第1主表面のうち、平面視で前記非貫通穴と重なる領域の外側に形成される、請求項1〜9のいずれか1項に記載のインプリントモールド用積層板の製造方法。
  11. ガラス板における第1主表面とは反対側の第2主表面の中央部に、非貫通穴を形成する非貫通穴形成工程と、
    前記ガラス板における第1主表面の中央部に、周囲を段差で取り囲まれ周囲よりも突出する突出面を形成する突出面形成工程と、
    前記突出面における凹凸パターンの形成に用いられる保護膜を形成する保護膜形成工程と、
    前記ガラス板に対しレーザ光を照射することで、前記ガラス板における前記レーザ光の照射面に凹状マークを形成するマーキング工程と、
    前記凹状マークの形成後に、前記照射面をウェットエッチングするエッチング工程と、
    前記保護膜を用いて前記突出面に前記凹凸パターンを形成し、その後、前記保護膜を除去する凹凸パターン形成工程とを有し、
    前記マーキング工程では、前記凹状マークの縁部に、前記照射面よりも高い盛上り部が形成され、
    前記エッチング工程では、前記盛上り部の少なくとも一部を除去すると共に、前記凹状マークをウェットエッチングする、インプリントモールドの製造方法。
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