JP2017130481A - 熱接続構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来、発熱源から熱を吸収し外部に排熱する熱接続構造体としてグラファイトシートを複数重ね合わせた構造体があるが、取付けが難しい、柔軟性が劣るなどの課題があった。【解決手段】この発明の熱接続構造体は、構造体の一方の端から他方の端に熱を輸送する熱接続構造体であって、金属薄板の上下面と側面を被覆材で覆った被覆付き金属薄板を複数備え、前記被覆付き金属薄板は両端にそれぞれ貫通穴を有して、前記被覆付き金属薄板の各々は前記貫通穴の位置が合うように積層された状態で、前記貫通穴内の熱伝導接着剤により接着固定され、接着固定された被覆付き金属薄板の各金属薄板は、前記熱伝導接着剤により熱的に接続されるようにした。【選択図】図1

Description

本発明は、吸熱部で吸熱した熱を高い熱伝導率で輸送して排熱部で外部に放熱する熱接続構造体に関するものである。特に、吸熱部から排熱部までの熱輸送部を3次元的に自在に配置でき、且つ、吸熱部と排熱部の間で力の伝達を抑制できる柔軟性を有した熱接続構造体に関するものである。
従来、発熱源から熱を効率よく吸収して外部に排熱し、且つ熱輸送部を3次元的に自在に配置できる熱接続構造体として、グラファイトシートを複数重ね合わせた構造体が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、グラファイトシートを重ね、外側を高分子化合物の可とう性シートで被覆し、その両端をそれぞれ吸熱部、排熱部とねじ締結とする熱接続構造体が開示されている。グラファイトシートを積層構造とし、外側を高分子化合物の可とう性シートで被覆することにより、強度を高めるとともに柔軟性のある熱接続構造体とすることができる。
特許第4085342号公報
ここで、従来の熱接続構造体(特許文献1)では、熱接続構造体の両端と、吸熱部、排熱部の各々をねじ締結で加圧することによって、グラファイトシート相互間、グラファイトシートと高分子化合物シート間、高分子化合物と熱伝導体間での密着性を良くし、接触熱抵抗を低減させ熱伝導効率を高めることとしている。
そのため、上記の部材間、すなわち、グラファイトシート相互間、グラファイトシートと高分子化合物シート間、高分子化合物と熱伝導体間の接触熱抵抗が大きいと、グラファイトシートのように熱伝導率の高い材料を用いても、熱伝導率は低下する。
そこで、接触面の熱抵抗を適切に管理することが重要となるが、従来の熱接続構造体は剛性が低いため、他の材料に熱を効率的に伝えるために必要な接触圧を得るのが難しく、必要な接触圧を得るために締め付けを行うとグラファイトシートが面内方向にずれて接触面に垂直な方向への必要な接触圧を得ることができない。このように熱接続構造体としてグラファイトシートを用いる場合には、取付け部のトルク管理が難しいという課題があった。
また、従来の熱接続構造体は、グラファイトシートを積層した後、可とう性シートで被覆されているため、取付け状態におけるグラファイトシート短手方向の振動や熱応力に対してはグラファイトシート積層体として荷重を受けるため、構造体としてみたときの柔軟性は、グラファイトシート単体に対して劣る、という課題があった。
グラファイトシート単体と同程度の柔軟性を確保するために、グラファイトシート単体を可とう性シートで被覆した後に積層し熱接続構造体とした場合、可とう性被覆シート間の接触部が従来の構造に比べ増加することにより、熱伝導率は低下するという課題があった。
本発明は上記のような問題を解決するためになされたものであり、吸熱部及び排熱部を柔軟に配置し、振動、熱応力を吸収でき、さらに高い熱伝導率を実現可能な熱接続構造体を提供することを目的とする。
この発明に係る熱接続構造体は、構造体の一方の端から他方の端に熱を輸送する熱接続構造体であって、金属薄板の上下面と側面を被覆材で覆った被覆付き金属薄板を複数備え、前記被覆付き金属薄板は両端にそれぞれ貫通穴を有して、前記被覆付き金属薄板の各々は前記貫通穴の位置が合うように積層された状態で、前記貫通穴内の熱伝導接着剤により接着固定され、接着固定された被覆付き金属薄板の各金属薄板は、前記熱伝導接着剤により熱的に接続されるように構成される。
本発明の熱接続構造体によれば、吸熱部及び排熱部を3次元的に且つ柔軟に接続し、かつ、高い熱伝導率を実現した熱接続構造体を提供することが可能となる。
この発明の実施の形態1に係る熱接続構造体100の使用状態を示した図であり、端部を各々吸熱部と排熱部に固定した状態を示す図である。 この発明の実施の形態1に係る熱接続構造体100の構造を説明する図である。 この発明の実施の形態1に係る被覆グラファイトシート50の製造方法を説明する図である。 この発明の実施の形態1に係る被覆グラファイトシート50を積層した状態を説明する図である。 この発明の実施の形態1に係る熱接続構造体100を固定した状態の上面図である。 この発明の実施の形態1に係る熱接続構造体100の排熱部8付近における断面図である。 この発明の実施の形態1に係る熱接続構造体100が熱応力を吸収する状態を説明する図の一例である。 この発明の実施の形態1に係る熱接続構造体100の製造フローとワーク3への固定フローを説明する図である この発明の実施の形態2に係る熱接続構造体101の使用状態を示した図である。 この発明の実施の形態3に係る熱接続構造体102の使用状態を示した断面図である。 この発明の実施の形態3に係る熱接続構造体103の使用状態を示した断面図である。 この発明の実施の形態3に係る熱接続構造体103の使用状態を示した図の一例である。 この発明の実施の形態3に係る熱接続構造体103の使用状態を示した図の一例である。
実施の形態1.
以下、図を参照して本発明の実施の形態1に係る熱接続構造体について説明する。
図1は、実施の形態1に係る熱接続構造体100の使用状態を示した図である。熱接続構造体100の長手方向の両端はそれぞれ排熱部8、吸熱部9に設置され、熱接続構造体100と排熱部8や吸熱部9とは、熱伝導接着剤7により固定される。熱接続構造体100の両端に開けられた貫通穴6には熱伝導接着剤2が注入され、熱伝導接着剤2と排熱部8や吸熱部9とは、熱伝導接着剤7を介して熱的に接続されている。
吸熱部9は電子機器等の熱を発する吸排熱対象物3と熱的につながっており、本実施の形態に係る熱接続構造体100は、吸排熱対象物3が発する熱を吸熱部9で吸収する。同様に、排熱部8は外部環境と熱的につながっており、本実施の形態に係る熱接続構造体100は、吸熱部9側から輸送した熱を排熱部8に対して排熱する。
吸排熱対象物3は例えば人工衛星に搭載される観測機器であり、排熱部8は人工衛星の外部環境と熱的につながっている。熱接続構造体100は、人工衛星内の電子機器等で発生した熱を吸熱、輸送して、人工衛星の外部に効率的に排熱する機能を有する。
図2は、熱接続構造体100の構造の詳細を説明する図である。
図2のように熱接続構造体100は、短冊状に切り取った厚さ数十ミクロンの単層のグラファイトシート1の上下面と側面を被覆材4で覆って作製した被覆材付グラファイトシート50を複数(N層)積層した構造を有する。ここで、グラファイトシート1は、高い熱伝導特性を有する金属薄板の一例である。
グラファイトシートは面内方向における熱伝導率が高く、かつ、面内方向と直交する厚さ方向における熱伝導率は低いという異方性を有する。例えば面内方向の熱伝導率は300〜1,500W程度/mK、厚さ方向の熱伝導率は数10W程/mKである。
グラファイトシート以外で高い熱伝導率を有する金属薄片の例としては、アルミニウム片(熱伝導率:250W程/mK)、銅板(熱伝導率:400W程/mK)などが挙げられる。しかしながら、アルミニウム片の密度が2.7g/cm3、銅板の密度が8.9g/cm3と大きいため十分な熱伝導を得ようとすると熱接続構造体の重量が重くなるという課題が生じる。
以後、本実施の形態では、高い熱伝導率を有しかつ軽量化が可能なグラファイトシート(グラファイトシートの密度:1.0g/cm3)を例に説明する。
次に、熱接続構造体100の詳細について説明する。
図8は、熱接続構造体100の製造工程と、熱接続構造体100を排熱部8と吸熱部9に固定する工程を説明するフロー図である。以下、図8のフロー図を参照しながら、熱接続構造体100の製造方法と、排熱部8と吸熱部9への固定方法を説明する。
先述の通り、グラファイトシート1は熱の拡散に優れ軽量である一方、構造自体が崩れやすいという機械的性質を有する。そこで本実施の形態では、単層のグラファイトシート1を被覆材4で覆うことで強度を高めるとともに柔軟性を持たせることとした(図8のS01工程)。
被覆材4は例えばポリエーテル系のテープである。以下、上下面と側面を被覆材4で覆われたグラファイトシート1を、被覆グラファイトシート50という。
次に、作製した被覆グラファイトシート50の長手方向の両端部に、貫通穴6a、6bをあける(S02工程)。それぞれ同じ位置に貫通穴6a、6bをあけた複数(N)の被覆グラファイトシート50を用意する。
用意した複数の被覆グラファイトシート50を、各々の貫通穴6a、6bの位置が合うように積層する(S03工程)。
次に、被覆グラファイトシート50を積層した状態で、貫通穴6a、6bに熱伝導接着剤2を注入し硬化させる。
このようにして、貫通穴6a、6b内の熱伝導接着剤2により、被覆グラファイトシート50同士を固定して熱接続構造体100を作製する(S04工程)。
熱伝導接着剤2は熱伝導性がよくかつ柔軟性を有する接着剤が望ましい。例えばシリコン系の接着剤である。また、貫通穴6a、6bは熱伝導性能を向上させるためにそれぞれ複数あけてもよい。
次に、熱接続構造体100の両端をそれぞれ、吸排熱対象3と熱的につながる排熱部8、吸熱部9に熱伝導接着剤7により接着する。
このとき、熱接続構造体100の端部にある貫通穴6aに充填した熱伝導接着剤2と吸熱部9とが低熱抵抗で接続されるように熱伝導接着剤7により接着し固定する。同様に、熱接続構造体100の端部の貫通穴6bに充填した熱伝導接着剤2と排熱部8とが低熱抵抗で熱的に接続されるように、熱伝導接着剤7により接着し固定する(S05工程)。
このように、本実施の形態の熱接続構造体100によれば、単層のグラファイトシート1を可とう性シートの被覆材4により被覆し保護することにより、グラファイトシート1の強度を高めることができる。
更に、グラファイトシート1を被覆材4で保護した被覆グラファイトシート50を積層することにより、長手方向の熱輸送方向へ高い熱伝導率を確保できる。
また、両端に設けた穴6a、6bに熱伝導接着剤7を注入して積層したグラファイトシート1の間を熱的に接続したので、熱輸送方向の熱伝導性を確保できる。
また、従来の熱接続構造体では、グラファイトシートを積層した後に可とう性シートで被覆されているため、排熱部8と吸熱部9に取り付けた状態におけるグラファイトシート短手方向の振動や熱応力に対しては、グラファイトシート積層体として荷重を受けるため、構造体としてみたときの柔軟性は、グラファイトシート単体に比較し劣っていたが、単体のグラファイトシート1を被覆した被覆グラファイトシートを積層する構造としたために、柔軟性においても、グラファイトシート単体と同程度の柔軟性を維持することができる。
次に、図8のS01〜S05の各工程について、図を参照しながら詳述する。
図3は、被覆グラファイトシート50の製造方法を説明する図である(S01工程)。
まず、平面状のグラファイトシートから、所望の短冊状のグラファイトシート1を複数枚切り出す。
次に、この短冊状のグラファイトシート1よりも、短辺方向がわずかに長い被覆材4を2枚用意し、グラファイトシート1の上下両方から、グラファイトシート1を間に挟むようにして被覆する。
このようにしてグラファイトシート1は、その上面側、下面側および長手方向の両側面が全て被覆材4により被覆されて、被覆グラファイトシート50が作製される。
次に、被覆グラファイトシート50の両端の2か所に、プレス加工やレーザ加工により貫通穴6a、6bをあける(S02工程)。
この際、穴あけ後の貫通穴6a、6bの内側壁面にはグラファイトシート1の切断面が見えており、また、グラファイトシート1の上下には被覆材4が層状に表れている。
図4は、被覆グラファイトシート50を積層した熱接続構造体100の構造を示した図である。穴6a、6bがあけられた被覆グラファイトシート50を、穴6a、6bの位置が合うように複数枚(N)積層する(S03工程)。
図4では被覆グラファイトシート50が5層(N=5)積層される。
この状態で、熱伝導接着剤2を穴6a、6bに注入し、充填硬化させる(S04工程)。
熱伝導接着剤2としては、先述の通り、熱伝導性の優れたもの、流動性があるものがよく、例えばシリコン系の接着剤を使用する。
このようにして、被覆グラファイトシート50を5層積層し(50a、50b、50c、50d、50e)、各貫通穴6a、6b内に注入、充填した熱伝導接着剤2により各層が互いに接着固定された熱接続構造体100が作製される。
このように作製した熱接続構造体100においては、被覆グラファイトシート50の貫通穴6aに充填した熱伝導接着剤2の最下面であるA面(図4)と、貫通穴6bに充填した熱伝導接着剤2の最下面であるB面(図4)とは、貫通穴6a、6b内の熱伝導接着剤2と、5層に積層された単層のグラファイトシート1a、1b、1c、1d、1eによって熱の輸送経路が形成されることになる。
このように熱接続構造体100のA面からB面へは、5層のグラファイトシート1による熱輸送経路が確保されるため、1層のグラファイトシート1のときと比較し、吸熱部9で吸熱した熱を低熱抵抗で効率的に排熱部8に輸送することが可能である。
図5は熱接続構造体100の端部を、吸排熱対象物3に接続する吸熱部9と、衛星外部と熱的につながる排熱部8にそれぞれ固定した状態を上面からみた上面図である。また、図6は図5の排熱部8付近の側面図である。なお、吸熱部9付近の側面図は図6と同様の図であるため、ここでは省略する。
図5、図6に示すように、熱接続構造体100と吸熱部9を熱伝導接着剤7により接着固定する(図8のS05工程)。同様に、熱接続構造体100と排熱部8とを熱伝導接着剤7により接着固定する。
熱伝導接着剤7は、熱接続構造体100にあけた貫通穴6a、6bに充填され被覆グラファイトシート50同士を固定した熱伝導接着剤2と同じ接着剤であってもよい。
なお、熱伝導接着剤7を用いた接着固定の際は、熱接続構造体100の穴6bに充填された接着剤2と排熱部8とが熱伝導接着剤7を介して熱的に接着するように貫通穴6bの下面位置に熱伝導接着剤7を塗布する。同じく、穴6aに充填された熱伝導接着剤2と吸熱部9とが熱伝導接着剤7を介して熱的に接着するように貫通穴6aの下面位置に熱伝送接着剤を塗布する。
本実施の形態に係る熱接続構造体100によれば、吸熱部9に蓄積された熱は、熱伝導接着剤7を介して貫通穴6a内に注入、充填された熱伝導接着剤2に伝達される。熱伝導接着剤2に伝達された熱は、熱接続構造体100を構成する被覆グラファイトシート50の各々の単層のグラファイトシート1に伝達される。
ここで、熱伝導接着剤2を注入する前の貫通穴6の内側端面には単層グラファイトシート1の端面が現れており、貫通穴6に注入された熱伝導接着剤2は単層グラファイトシート1の端面に直に接する。このため、熱伝導接着剤2に伝達された熱は低熱抵抗で各々のグラファイトシート1を伝達可能である。
各グラファイトシート1に伝達された熱は、グラファイトシート1の長手方向に輸送される。
各グラファイトシート1の長手方向に輸送された熱は、排熱部8側の貫通穴6b内の熱伝導接着剤2に伝達される。
ここで貫通穴6aと同様に、貫通穴6bに充填された熱伝導接着剤2と各単層グラファイトシート1とは熱的に接続されており、各単層グラファイトシート1で輸送された熱は、貫通穴6b内の熱伝導接着剤2と、熱伝導接着剤7を経由して排熱部8に伝達される。
排熱部8に伝達された熱は、最終的に、衛星外部に排熱される。
以上の通り説明した実施の形態1においては、初期状態で、吸熱部9と排熱部8の上面高さがほぼ一致している例について説明したが、衛星が晒される温度環境により与えらえる熱応力や振動により、吸熱部9と排熱部8の位置関係に歪みが生じる。
図7は、吸熱部9と排熱部8に対して各々働く応力によって、吸熱部9と排熱部8の上面高さに差が生じ、かつ、紙面垂直方向の軸を中心に回転方向に回転した場合の熱接続構造体100の形状を示した一例である。
図7のように、吸熱部9と排熱部8の位置関係が初期状態から変化した場合でも、本実施の形態に係る熱接続構造体100が備える柔軟性によって、積層した被覆グラファイトシートの例えば最上層の被覆グラファイトシート50aは平坦な形状から上向きに凸の形状に形を変えることで、また、最下層の被覆グラファイトシート50eは平坦な形状からわずかに下向きに凸の形状に形を変えることで、熱応力の影響を吸収できる。
従来のグラファイトシートを積層した後に層全体を可とう性シートで被覆した熱接続構造体では、本実施の形態に係る熱接続構造体100のように積層した各グラファイトシート50がそれぞれ形状を変えることができないため、柔軟性で劣って、接着固定部などの強度信頼性が劣化するという課題の解決が可能である。
このように本実施の形態に係る熱接続構造体100は、吸熱部9から排熱部8までの熱輸送経路において、被覆材4の熱伝導率や、グラファイトシート1と被覆材4間及び被覆材4と被覆材4間の接触熱抵抗の影響をなくすことができるため、従来構造と比較し高い熱伝導率を確保できる。
また従来技術で難点であった厳密なトルク管理が必要なく、安定して高い熱伝導率をもつ熱接続構造体を形成できる。
また、被覆グラファイトシート50を複数積層し、被覆グラファイトシート50間を両端の貫通穴に充填した熱伝導接着剤2で固定した構造であるので、従来のグラファイトシート1を積層した後に可とう性シートで被覆した場合と比較し、構造体として柔軟性を維持できる。例えば、吸熱部9と排熱部8の位置関係が熱応力により動いた場合であっても、各々の被覆グラファイトシート50の形状が変形することにより熱接続構造体として柔軟性を維持できる。
また、被覆グラファイトシート50を積層しているので、従来のグラファイトシート1を積層した後に可とう性シートで被覆した場合と比較しても、熱伝導率が低下することがない。
また、本実施の形態に係る熱接続構造体100によれば、ねじを使用せず、複数の被覆グラファイトシート50を熱伝導接着剤で固定しているので、取付け部のトルク管理を行う必要がない。
実施の形態2.
実施の形態1では、積層した被覆グラファイトシート50を、両端に設けた貫通穴6に充填した熱伝導接着剤2により固定したが、熱伝導接着剤2のみの場合、接着強度が十分でなく、積層した被覆グラファイトシート50が熱伝導接着剤2から剥がれてしまうことが考えられる。また、熱伝導接着剤で接着している熱接続構造体100と吸熱部9の接着部や、熱接続構造体100と排熱部8との接着部が剥がれることが考えられる。実施の形態2では、従来の熱伝導接着剤2や熱伝導接着剤7による固定のほか、ねじを用いてこれらの固定を行うことで、簡易に、固定の信頼性を向上させる。
図9は、本発明の実施の形態2に係る熱接続構造体101を排熱部8、吸熱部9に設置した状態を上面から見た図である。
図9において、熱接続構造体101は実施の形態1で説明した熱接続構造体100に、更に4個のねじ10を用いて熱接続構造体100の端部をねじ締結している。このようにねじ締結することで、本実施の形態に係る熱接続構造体101は、貫通穴6に充填した熱伝導接着剤2により固定した単層のグラファイトシート同士の結合強度を向上させることができる。
ねじ締結した熱接続構造体101を、実施の形態1のときと同様に、熱伝導接着剤7を用いて排熱部8や吸熱部9と固定する。
これにより、実施の形態1で説明した効果のほか、熱伝導接着剤2のみでの固定と比較して積層した単層のグラファイトシートの強度信頼性が向上する。また、本実施の形態の熱接続構造体101と排熱部8や吸熱部9との固定の強度信頼性が向上する。
実施の形態2の他の実施例として、実施の形態1で説明したように熱接続構造体100の端部を排熱部8や吸熱部9に接着固定した状態で、更にねじ10を用いて、熱接続構造体100の上方から排熱部8や吸熱部9まで差し込んで、熱接続構造体100と排熱部8、熱接続構造体100と吸熱部9をネジ締結するようにしてもよい。
本実施の形態では、ねじ10による締結部を設けることにより、熱伝導接着剤2や熱伝導接着剤7のみでの固定と比較し、取付け部の強度信頼性が向上する。
貫通穴6に充填した熱伝導接着剤2と複数積層したグラファイトシート1により既に熱伝導経路が確保されているため、従来の課題で述べたような接触抵抗を低減させるための厳密なトルク管理は不要となる。
実施の形態3.
実施の形態2では、両端をねじ10で締結した熱接続構造体101を排熱部8や吸熱部9に熱伝導接着剤7で固定する形態、実施の形態1の熱接続構造体100を熱部8や吸熱部9に熱伝導接着剤7で固定するとともにねじ10を用いてねじ締結する形態について説明した。実施の形態3では、積層した被覆グラファイトシートの上下を金属板で挟んでねじで締結する形態について説明する。
図10は、実施の形態3に係る熱接続構造体102を排熱部8に固定したときの断面図である。なお、吸熱部9への固定は排熱部8と同じであるため説明を省略する。
図10において、複数枚積層した被覆グラファイトシート50の上下面を金属板11で挟み込むことを行う。2枚の金属板11で被覆グラファイトシート50を挟んだ状態で、金属板11の厚み部分を利用してねじ10を金属板11と被覆グラファイトシート50に差し込んで固定する。なお、実施の形態1と同様に、予め貫通穴6に熱伝導接着剤2を充填し、熱伝導接着剤2と各層のグラファイトシートとの熱伝導は確保する。
次に、このようにして作製した熱接続構造体102を、熱伝導接着剤7を用いて排熱部8に接着固定する。
実施の形態3に係る熱接続構造体102によれば、熱伝導接着剤2のみでの固定と比較して積層した単層のグラファイトシートの強度信頼性が向上する。また、熱接続構造体102と排熱部8、熱接続構造体102と吸熱部9の固定強度の信頼性を向上させることができる。
図11は、複数枚積層した被覆グラファイトシート50の上下面を金属板11で挟んだ熱接続構造体102の他の実施にあたる熱接続構造体103の構造を説明する図である。
図11において、複数枚積層した被覆グラファイトシート50の上下を金属板11で挟み込んだ後、熱伝導接着剤7を用いて排熱部8に接着する。なお、実施の形態1と同様に、予め貫通穴6に熱伝導接着剤2を充填し、熱伝導接着剤2と各層のグラファイトシートとの熱伝導は確保する。この状態で、吸熱部8まで達する長さのねじ10を用いて、複数枚積層した被覆グラファイトシート50と、上下の金属板11と、吸熱部8をねじ締結する。
本実施の形態によれば、熱伝導接着剤2のみでの固定と比較して積層した単層のグラファイトシートの強度信頼性が向上する。また、熱接続構造体102と排熱部8、熱接続構造体102と吸熱部9の固定強度の信頼性を向上させることができる。
また、貫通穴6に充填した熱伝導接着剤2と複数枚積層したグラファイトシート1により既に熱伝導経路が確保されているため、従来の課題で述べたような接触抵抗を低減させるための厳密なトルク管理は不要となる。また、簡易に、本実施の形態の熱接続構造体102と排熱部8や吸熱部9との固定の強度信頼性が向上する。
図12は、実施の形態3に係る熱接続構造体103を、高低差のある排熱部8と吸熱部9に固定した状態を示した図である。排熱部8と吸熱部9の高低差に応じて、予め、各被覆グラファイトシート50の長手方向の長さを変えた熱接続構造体103を作製しておくことで、熱輸送が可能となる。
本実施の形態に係る熱接続構造体103によれば、被覆グラファイトシート50を複数積層し、被覆グラファイトシート50間を両端の貫通穴に充填した熱伝導接着剤2で固定した構造であるので、従来のグラファイトシート1を積層した後に可とう性シートで被覆した場合と比較し、構造体として柔軟性を維持できる。例えば、吸熱部9と排熱部8の位置関係が熱応力により動いた場合であっても、各々の被覆グラファイトシート50の形状が変形することにより熱接続構造体として柔軟性を維持できる。
また、被覆グラファイトシート50を積層しているので、従来のグラファイトシート1を積層した後に可とう性シートで被覆した場合と比較しても、熱伝導率が低下することがない。
さらに、排熱部8と吸熱部9との固定をねじ締結としているので、排熱部8と吸熱部9の固定位置に段差がある場合であっても、固定の信頼性を向上させることができる。
図13は、実施の形態3に係る熱接続構造体103を、高低差があり、かつ、固定面が90°回転したねじれた位置関係にある排熱部8と吸熱部9に固定した状態を示した図である。
本実施の形態に係る熱接続構造体103によれば、被覆グラファイトシート50を複数積層し、被覆グラファイトシート50間を両端の貫通穴に充填した熱伝導接着剤2で固定した構造であるので、従来のグラファイトシート1を積層した後に可とう性シートで被覆した場合と比較し、構造体として柔軟性を維持できる。例えば、吸熱部9と排熱部8の位置関係が熱応力により動いた場合であっても、各々の被覆グラファイトシート50の形状が変形することにより熱接続構造体として3次元的に柔軟性を維持できる。
また、被覆グラファイトシート50を積層しているので、従来のグラファイトシート1を積層した後に可とう性シートで被覆した場合と比較しても、熱伝導率が低下することがない。
さらに、排熱部8と吸熱部9との固定をねじ締結としているので、排熱部8と吸熱部9の固定位置に段差があり、かつ、90°回転している場合であっても、固定の信頼性を向上させることができる。
1 (単層の)グラファイトシート、2 熱伝導接着剤、3 吸排熱対象物(ワーク)、4 被覆材、6a、6b 貫通穴、7 熱伝導接着剤、8 排熱部、9 吸熱部、10 ねじ、11 金属板、50 被覆グラファイトシート、100、101、102 熱接続構造体。

Claims (3)

  1. 構造体の一方の端から他方の端に熱を輸送する熱接続構造体であって、
    金属薄板の上下面と側面を被覆材で覆った被覆付き金属薄板を複数備え、
    前記被覆付き金属薄板は両端にそれぞれ貫通穴を有して、前記被覆付き金属薄板の各々は前記貫通穴の位置が合うように積層された状態で、前記貫通穴内の熱伝導接着剤により接着固定され、
    接着固定された被覆付き金属薄の各金属薄板は、前記熱伝導接着剤により熱的に接続されていることを特徴とする熱接続構造体。
  2. 前記金属薄板は、グラファイトシートであることを特徴とする請求項1記載の熱接続構造体。
  3. 前記貫通穴の位置が合うように複数層積層された状態で、さらに、ねじにより締結されることを特徴とする請求項2記載の熱接続構造体。
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