JP2017128665A - 活性光線硬化型インクジェットインクおよびインクジェット画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ゲル化剤を含む活性光線硬化型インクジェットインクにおいて顔料の分散安定性を維持し、インクの吐出安定性を高め、かつ、液滴の合一を抑制し、高精細な画像が得られる活性線硬化型インクジェットインク及びインクジェット画像形成方法を提供する。【解決手段】光重合性化合物、光開始剤、ゲル化剤、顔料及び顔料分散剤を含有する活性光線硬化型インクジェットインクであって、前記活性光線硬化型インクジェットインクは、シナジストを含有し、前記顔料は、ジスアゾ系顔料を含有することを特徴とする、活性光線硬化型インクジェットインク。【選択図】なし

Description

本発明は、活性光線硬化型インクジェットインクおよびインクジェット画像形成方法に
関する。
インクジェット画像形成方法は、簡易かつ安価に画像を形成できることから、各種印刷分野で用いられている。インクジェット画像形成方法の一つとして、活性光線硬化型インクジェットインクの液滴を記録媒体に着弾させた後、活性光線を照射して硬化させて画像を形成する紫外線硬化型インクジェット画像形成方法がある。活性光線硬化型インクジェット画像形成方法は、インク吸収性のない記録媒体においても、高い耐擦過性と密着性を有する画像を形成できることから、近年注目されつつある。
また、活性光線硬化型インクジェット画像形成方法において、高速記録を行うこと、例えば、シングルパス画像形成方法や少数パスの高速シリアル画像形成方法等により高速記録を行うことが検討されている。しかしながら、高速記録を行う場合、隣り合うインク液滴(ドット)同士の間隔が小さくなるため、隣り合うドットが合一しやすく、画質が低下しやすいという問題があった。そのような、隣り合うドットの合一を抑制するため、活性光線硬化型インクジェットインクのピニング性を高めることが検討されている。
活性光線硬化型インクジェットインクのピニング性を高める方法として、例えば、インクにゲル化剤を添加して、温度によりゾルゲル相転移させることが検討されている。即ち、高温で液体状態のインク液滴を吐出し、記録媒体に着弾させると同時に、インク液滴を冷却してゲル化させることで、液滴の合一を抑制することが検討されている(特許文献1)。
一方、活性光線硬化型インクジェットインクに含まれる顔料の分散性を高めるために、インクジェットインクに顔料分散剤に加えて、顔料誘導体や極性基を有する化合物を添加する技術が開示されている (例えば、特許文献2、3)。
米国特許出願公開第2007/0058020号明細書 特開2015−83647号公報 特開2014−58623号公報
しかしながら、特許文献2、特許文献3は顔料の分散安定性が、まだ不十分であり、分散安定化のためにシナジストの量を増やすと、ゲル化の阻害が生じ、液滴の合一を抑制する機能が低下してしまうことがあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ゲル化剤を含む活性光線硬化型インクジェットインクにおいて顔料の分散安定性を維持し、インクの吐出安定性を高め、かつ、液滴の合一を抑制し、高精細な画像が得られる活性線硬化型インクジェットインク及びインクジェット画像形成方法を提供することにある。
すなわち本発明は、以下に示す活性光線硬化型インクジェットインクに関する。
[1] 光重合性化合物、光開始剤、ゲル化剤、顔料及び顔料分散剤を含有する活性光線硬化型インクジェットインクであって、前記活性光線硬化型インクジェットインクは、シナジストを含有し、前記顔料は、ジスアゾ系顔料を含有することを特徴とする活性光線硬化型インクジェットインク。
[2] 前記シナジストがピラゾール系化合物またはキノリン系化合物を含有することを特徴とする[1]に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
[3] 前記ジスアゾ系顔料は、C.I.Pigment Yellow 155含有することを特徴とする[1]または[2]に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
[4] 前記ゲル化剤が、下記一般式(G1)及び(G2)で表される化合物のうち、少なくとも一種の化合物を含有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
一般式(G1):R1−CO−R2
一般式(G2):R3−COO−R4
(一般式(G1)及び(G2)中、R1〜R4は、それぞれ独立に、炭素数12以上26以下の直鎖部分または分岐鎖部分を含むアルキル基を表す)
また本発明は、以下に示す画像形成方法に関する。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載の活性光線硬化型インクジェットインクのインク液滴を、インクジェット記録ヘッドから吐出して記録媒体上に着弾させる工程と、前記記録媒体上に着弾した前記インク液滴に、活性光線を照射し、前記インク液滴を硬化させる工程と、を含むことを特徴とするインクジェット画像形成方法。
本発明のゲル化剤を含む活性光線硬化型インクジェットインクは、顔料の分散安定性を維持し、インクの吐出安定性を高め、かつ、液滴の合一を抑制し、高精細な画像を形成できる。
発明者が鋭意検討したところ、ジスアゾ顔料とゲル化剤を有する活性光線硬化型インクジェットインクにシナジストを組み合わせることにより、インクの吐出安定性、液滴合一の防止に優れる活性光線硬化型インクジェットインクを得られることを見出した。さらに、驚くべきことにピラゾール系化合物または、キノリン系化合物のシナジストを添加すると、液滴の合一抑制、吐出安定性、さらには、表面硬化性に優れる活性光線硬化型インクジェットインクを得られることがわかった。
詳細なメカニズムは明らかになっていないが、以下のように推定している。シナジストである顔料誘導体や水性染料が疎水的なジスアゾ顔料表面に吸着し、酸塩基相互作用で顔料分散剤を結びつけるため、長期間顔料分散剤の顔料表面に対する吸着を維持し、ジスアゾ顔料の分散安定性が向上した。
また、従来の活性光線硬化型インクジェットインクでは、シナジストである顔料誘導体や水性染料は全量が顔料表面に吸着できずインク中に一部遊離しており、十分な分散安定性を得るには添加量が必要である。一方で、疎水性が大きいシナジストとゲル化剤は強い疎水相互作用が生じる。そのため、遊離したシナジストがゲル化剤の結晶化を阻害して、液滴の合一を抑制できないことが考えられる。つまり、シナジストによる分散安定化とゲル化剤による液滴の合一とは、トレードオフの関係にある。
これに対し、誠意検討した結果、ジスアゾ系顔料を用いると、分散安定化に十分な量のシナジストが顔料表面に強固に吸着し遊離が抑制されるので、シナジストとゲル化剤による疎水相互作用を抑制し、分散安定性を向上しつつ、かつ液滴の合一抑制に優れた活性光線硬化型インクジェットインクを得られることが分かった。
1.活性光線硬化型インクジェットインク
本発明の活性光線硬化型インクジェットインクは、光重合性化合物、光開始剤、ゲル化剤、顔料、顔料分散剤及びシナジストを含む。本明細書において、「活性光線硬化型インクジェットインク」(以下、「インク」とも称する)とは、活性光線により硬化可能なインク組成物を意味し、「活性光線」とは、インク組成物中の光開始剤を活性化させて、インクを硬化させることが可能な光線を意味する。活性光線の例には、α線、γ線、X線、紫外線、電子線等が含まれる。本発明のインクを硬化させるための活性光線としては、光線照射装置の入手容易性や、インクの硬化性等の観点から、紫外線及び電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。
[光重合性化合物]
本発明の活性光線硬化型インクジェットインクは、光重合性化合物が含まれる。光重合性化合物は、活性光線を照射されることにより重合する化合物である。光重合性化合物は、ラジカル重合性化合物又はカチオン重合性化合物であり得る。好ましくはラジカル重合性化合物である。
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物(モノマー、オリゴマー、ポリマーあるいはこれらの混合物)である。インク中にラジカル重合性化合物が一種のみが含まれていてもよく、二種以上が含まれていてもよい。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の例には、不飽和カルボン酸とその塩、不飽和カルボン酸エステル化合物、不飽和カルボン酸ウレタン化合物、不飽和カルボン酸アミド化合物及びその無水物、アクリロニトリル、スチレン、不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等が挙げられる。不飽和カルボン酸の例には、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸などが含まれる。
なかでも、ラジカル重合性化合物は、不飽和カルボン酸エステル化合物であることが好ましく、(メタ)アクリレートであることがより好ましい。(メタ)アクリレートは、後述するモノマーだけでなく、オリゴマー、モノマーとオリゴマーの混合物、変性物、光重合性官能基を有するオリゴマーなどであってよい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」には、アクリレートモノマー及び/またはアクリレートオリゴマー、メタアクリレートモノマー及び/またはメタアクリレートオリゴマーが含まれる。
(メタ)アクリレートの例には、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミルスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチル−フタル酸、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の単官能モノマー;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート等の二官能モノマー;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート等の三官能以上の多官能モノマー等が含まれる。
(メタ)アクリレートは、感光性などの観点から、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート等が好ましい。
(メタ)アクリレートは、変性物であってもよい。変性物の例には、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性(メタ)アクリレート;及びカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のカプロラクタム変性(メタ)アクリレート等が含まれる。
(メタ)アクリレートは、重合性オリゴマーであってもよい。重合性オリゴマーの例には、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、芳香族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、及び直鎖(メタ)アクリルオリゴマー等が含まれる。
カチオン重合性化合物は、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、及びオキセタン化合物等でありうる。カチオン重合性化合物は、活性光線硬化型インクジェットインク中に、一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
エポキシ化合物は、芳香族エポキシド、脂環式エポキシド、または脂肪族エポキシド等であり、硬化性を高めるためには、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが好ましい。
芳香族エポキシドは、多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体と、エピクロルヒドリンとを反応させて得られるジまたはポリグリシジルエーテルでありうる。反応させる多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体の例には、ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体等が含まれる。アルキレンオキサイド付加体におけるアルキレンオキサイドは、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等でありうる。
脂環式エポキシドは、シクロアルカン含有化合物を、過酸化水素や過酸等の酸化剤でエポキシ化して得られるシクロアルカンオキサイド含有化合物でありうる。シクロアルカンオキサイド含有化合物におけるシクロアルカンは、シクロヘキセンまたはシクロペンテンでありうる。
脂肪族エポキシドは、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体と、エピクロルヒドリンとを反応させて得られるジまたはポリグリシジルエーテルでありうる。脂肪族多価アルコールの例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール等のアルキレングリコール等が含まれる。アルキレンオキサイド付加体におけるアルキレンオキサイドは、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等でありうる。
ビニルエーテル化合物の例には、エチルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル-o-プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物;
エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジまたはトリビニルエーテル化合物等が含まれる。これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性や密着性などを考慮すると、ジまたはトリビニルエーテル化合物が好ましい。
オキセタン化合物は、オキセタン環を有する化合物であり、その例には、特開2001−220526号公報、特開2001−310937号公報、特開2005−255821号公報に記載のオキセタン化合物等が含まれる。なかでも、特開2005−255821号公報の段落番号0089に記載の一般式(1)で表される化合物、段落番号0092に記載の一般式(2)で表される化合物、段落番号0107の一般式(7)で表される化合物、段落番号0109の一般式(8)で表される化合物、段落番号0116の一般式(9)で表される化合物等が挙げられる。特開2005−255821号公報に記載された一般式(1)、(2)、(7)、(8)、(9)を以下に示す。
Figure 2017128665
活性光線硬化型インクジェットインクの光重合性化合物の含有量は、活性光線硬化型インクジェットインク全質量に対して1質量%以上97質量%以下であることが好ましく、30〜95質量%であることがより好ましい。
[光開始剤]
本発明の活性光線硬化型インクジェットインクには、光開始剤が含まれる。光開始剤には、分子内結合開裂型と分子内水素引き抜き型とがある。分子内結合開裂型の光開始剤の例には、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン系;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類;2,4,6-トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系;ベンジルおよびメチルフェニルグリオキシエステル等が含まれる。
分子内水素引き抜き型の光開始剤の例には、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル-4-フェニルベンゾフェノン、4,4'-ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4'-メチル-ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3',4,4'-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3'-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系;ミヒラーケトン、4,4'-ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系;10-ブチル-2-クロロアクリドン、2-エチルアンスラキノン、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が含まれる。
光開始剤が、アシルホスフィンオキシドやアシルホスフォナートであると、感度が良好となる。具体的には、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイド等が好ましい。
活性光線硬化型インクジェットインクにおける光開始剤の含有量は、インク硬化時に照射する活性光線や光重合性化合物の種類などにもよるが、活性光線硬化型インクジェットインク全質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、2質量%以上8質量%以下であることがより好ましい。
活性光線硬化型インクジェットインクにおける光開始剤に、光酸発生剤が含まれていてもよい。光酸発生剤の例には、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が含まれる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。
[ゲル化剤]
活性光線硬化型インクジェットインクは、ゲル化剤を含有する。本発明においてゲル化剤とは、「常温で固体、加熱すると液体となる有機物であり、活性光線硬化型インクジェットインクを温度により可逆的にゾルゲル相転移させる機能を有する化合物」と定義される。
ここで、ゲル化剤は、インクのゲル化温度以下で、結晶化する化合物であることが好ましい。インクのゲル化温度とは、加熱によりゾル化または液体化したインクを冷却していったときに、ゲル化剤がゾルからゲルに相転移し、インクの粘度が急変する温度をいう。具体的には、ゾル化または液体化したインクを、粘弾性測定装置(たとえば、MCR300、Physica社製)で粘度を測定しながら冷却していき、粘度が急激に上昇した温度を、インクのゲル化温度とすることができる。
ゲル化剤がインク中で結晶化すると、板状に結晶化したゲル化剤によって形成された三次元空間に光重合性化合物が内包される構造が形成されることがある(このような構造を、以下「カードハウス構造」とも称する)。そして、カードハウス構造が形成されると、光重合性化合物が前記空間内に保持されるため、インク液滴がより濡れ広がりにくくなり、インクのピニング性が高まる。インクのピニング性が高まると、記録媒体に着弾したインク液滴同士が合一しにくくなり、より高精細な画像を形成することができる。
カードハウス構造内に光重合性化合物が保持されるためには、インク内で光重合性化合物とゲル化剤とが相溶していることが好ましい。また、インクの液滴をインクジェット記録装置から安定に吐出するとの観点からも、光重合性化合物とゲル化剤との相溶性は良好であることが好ましい。
ここで、ゲル化剤の例には、脂肪族ケトン化合物;脂肪族エステル化合物;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス;キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、ホホバ固体ロウ、及びホホバエステル等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン及び鯨ロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、及び水素化ワックス等の鉱物系ワックス;硬化ヒマシ油又は硬化ヒマシ油誘導体;モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体又はポリエチレンワックス誘導体等の変性ワックス;ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、及びエルカ酸等の高級脂肪酸;ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;12−ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシステアリン酸;12−ヒドロキシステアリン酸誘導体;ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド(例えば日本化成社製 ニッカアマイドシリーズ、伊藤製油社製 ITOWAXシリーズ、花王社製 FATTYAMIDシリーズ等);N−ステアリルステアリン酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド等のN−置換脂肪酸アミド;N,N’−エチレンビスステアリルアミド、N,N’−エチレンビス−12−ヒドロキシステアリルアミド、及びN,N’−キシリレンビスステアリルアミド等の特殊脂肪酸アミド;ドデシルアミン、テトラデシルアミン又はオクタデシルアミン等の高級アミン;ステアリルステアリン酸、オレイルパルミチン酸、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル化合物(例えば日本エマルジョン社製 EMALLEXシリーズ、理研ビタミン社製 リケマールシリーズ、理研ビタミン社製 ポエムシリーズ等);ショ糖ステアリン酸、ショ糖パルミチン酸等のショ糖脂肪酸のエステル(例えばリョートーシュガーエステルシリーズ 三菱化学フーズ社製);ポリエチレンワックス、α−オレフィン無水マレイン酸共重合体ワックス等の合成ワックス(Baker−Petrolite社製 UNILINシリーズ等);ダイマー酸;ダイマージオール(CRODA社製 PRIPORシリーズ等);ステアリン酸イヌリン等の脂肪酸イヌリン;パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン等の脂肪酸デキストリン(千葉製粉社製 レオパールシリーズ等);ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル;ベヘン酸エイコサンポリグリセリル(日清オイリオ社製 ノムコートシリーズ等);N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド、N−(2−エチルヘキサノイル)−L−グルタミン酸ジブチルアミド等のアミド化合物(味の素ファインテクノより入手可能);1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−グルシトール(ゲルオールD 新日本理化より入手可能)等のジベンジリデンソルビトール類;特開2005−126507号公報、特開2005−255821号公報及び特開2010−111790号公報に記載の低分子オイルゲル化剤;等が含まれる。
ゲル化剤は、炭素数が12以上26以下の直鎖アルキル基を分子構造中に含むことが好ましく、前述の「カードハウス構造」が形成されやすい。なお、ゲル化剤の分子構造中には、分岐鎖を有していてもよい。
炭素数が12以上26以下の直鎖アルキル基を含むゲル化剤の具体例には、炭素数が12以上26以下の直鎖アルキル基を有する、脂肪族ケトン化合物、脂肪族エステル化合物、高級脂肪酸、高級アルコール、脂肪酸アミド等が含まれる。
ゲル化剤は、脂肪族ケトン化合物又は脂肪族エステル化合物であることがさらに好ましく、下記一般式(G1)又は(G2)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(G1):R1−CO−R2
一般式(G2):R3−COO−R4
一般式(G1)及び(G2)中、R1〜R4は、それぞれ独立に、炭素数12以上26以下の直鎖部分を含むアルキル基を表す。R1〜R4は、分岐部分を含んでもよい。
一般式(G1)おいて、R1及びR2で表されるアルキル基は、特に制限されないが、炭素数12以上26以下の分岐鎖を含まないアルキル基であることが好ましい。
上記一般式(G1)で表される脂肪族ケトン化合物の例には、18−ペンタトリアコンタノン(C17−C17)、ジリグノセリルケトン(C24−C24)、ジベヘニルケトン(C22−C22)、ジステアリルケトン(C18−C18)、ジエイコシルケトン(C20−C20)、ジパルミチルケトン(C16−C16)、ジミリスチルケトン(C14−C14)、ジラウリルケトン(C12−C12)、ラウリルミリスチルケトン(C12−C14)、ラウリルパルミチルケトン(C12−C16)、ミリスチルパルミチルケトン(C14−C16)、ミリスチルステアリルケトン(C14−C18)、ミリスチルベヘニルケトン(C14−C22)、パルミチルステアリルケトン(C16−C18)、バルミチルベヘニルケトン(C16−C22)、ステアリルベヘニルケトン(C18−C22)等が含まれる。
一般式(G1)で表される化合物の市販品の例には、18−Pentatriacontanon(Alfa Aeser社製)、Hentriacontan−16−on(Alfa Aeser社製)、カオーワックスT1(花王株式会社製)等が含まれる。インクには、脂肪族ケトン化合物が一種のみ含まれてもよく、二種以上含まれてもよい。
一方、一般式(G2)おいて、R3及びR4で表されるアルキル基は、特に制限されないが、炭素数12以上26以下の分岐鎖を含まないアルキル基であることが好ましい。
一般式(G2)で表される脂肪族エステル化合物の例には、ベヘニン酸ベヘニル(C21−C22)、イコサン酸イコシル(C19−C20)、ステアリン酸ステアリル(C17−C18)、ステアリン酸パルミチル(C17−C16)、ステアリン酸ラウリル(C17−C12)、パルミチン酸セチル(C15−C16)、パルミチン酸ステアリル(C15−C18)、ミリスチン酸ミリスチル(C13−C14)、ミリスチン酸セチル(C13−C16)、ミリスチン酸オクチルドデシル(C13−C20)、オレイン酸ステアリル(C17−C18)、エルカ酸ステアリル(C21−C18)、リノール酸ステアリル(C17−C18)、オレイン酸ベヘニル(C18−C22)、セロチン酸ミリシル(C25−C16)、モンタン酸ステアリル(C27−C18)、モンタン酸ベヘニル(C27−C22)、リノール酸アラキジル(C17−C20)、トリアコンタン酸パルミチル(C29−C16)等が含まれる。
一般式(G2)で表される脂肪族エステル化合物の市販品の例には、ユニスターM−2222SL(日油株式会社製)、エキセパールSS(花王株式会社製)、EMALEX CC−18(日本エマルジョン株式会社製)、アムレプスPC(高級アルコール工業株式会社製)、エキセパール MY−M(花王株式会社製)、スパームアセチ(日油株式会社製)、EMALEX CC−10(日本エマルジョン株式会社製)等が含まれる。これらの市販品は、二種類以上の混合物であることが多いため、必要に応じて分離・精製してもよい。また、インクには、脂肪族エステル化合物が一種のみ含まれてもよく、二種以上含まれてもよい。
ゲル化剤は、活性光線硬化型インクジェットインク全質量に対して0.5質量%以上10質量%以下含まれることが好ましく、1質量%以上5質量%以下含まれることがより好ましい。
[顔料]
(ジスアゾ系顔料)
本発明の活性光線硬化型インクジェットインクには、顔料が含まれる。顔料は、ジスアゾ系顔料を含有する。ジスアゾ系顔料は、1分子構造中に2つのアゾ基を有する顔料である。後述するシナジストが水性染料である場合、以下の酸性ジスアゾ系顔料または塩基性ジスアゾ系顔料を用いることができるが、用いることができるジスアゾ系顔料はこれらに限定されない。後述するシナジストが顔料誘導体である場合、顔料誘導体の有する母核と顔料の有する母核とを類似または同一にすることで、顔料誘導体が顔料に吸着しやすくなる。
ジスアゾ系顔料は、例えばカラーインデックス(C.I.Pigment〜)に記載される下記番号の有機顔料または無機顔料でありうる。
Yellow 12、13、14、17、55、63、81、83、87、90、106、113、114、121、124、126、127、136、152、170、171、172、174、176、188
Orange 15、16、44
Red 37、38、41、111
Yellow 16、155、198
ジスアゾ系顔料は、吐出安定性の観点からC.I.Pigment Yellow 155を含有することが好ましい。C.I.Pigment Yellow 155は、後述するシナジストとの吸着性が高いため、吐出安定性が良好になると考えられる。
顔料の平均粒径は0.08μm以上0.5μm以下であることが好ましく、顔料の最大粒径は0.3μm以上10μm以下であることが好ましく、0.3μm以上3μm以下であることがより好ましい。顔料の粒径を調整することによって、インクジェット記録ヘッドのノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性及び硬化感度を維持することができる。
ジスアゾ系顔料の含有量は、活性光線硬化型インクジェットインク全質量に対して0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.4質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
顔料の分散は、例えばボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、およびペイントシェーカー等により行うことができる。顔料の分散は、顔料粒子の平均粒子径が、好ましくは0.08μm以上0.5μm以下、最大粒子径が好ましくは0.3μm以上10μm以下、より好ましくは0.3μm以上3μm以下となるように行われることが好ましい。顔料の分散は、顔料、顔料分散剤、および分散媒体の選定、分散条件、およびろ過条件等によって、調整される。
[顔料分散剤]
本発明のインクジェットインクには、顔料の分散性およびインクの吐出安定性を高めるために、顔料分散剤が含まれる。顔料分散剤は、後述のシナジストに結合可能な部位を有することが好ましい。
顔料分散剤の例には、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分
子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エ
ステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリ
アクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマ
リン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン
酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート
等が含まれる。
好ましい顔料分散剤は、後述するシナジストに応じて選択されうる。特に限定されないが、シナジストが水性染料である場合には、酸性基を有する水性染料に塩基性分散剤を用いることができ、塩基性基を有する染料に酸性分散剤を用いることができる。また、シナジストが顔料誘導体である場合に、顔料誘導体に親和性の高い顔料分散剤を用いることができる。
塩基性分散剤は、例えば1級アミンおよび2級アミンを1つ以上含む高分子分散剤である。塩基性分散剤の例には、ルーブリゾール社製のソルスパーズ11200、ソルスパーズ13240、ソルスパーズ13650、ソルスパーズ13940、ソルスパーズ16000、ソルスパーズ17000、ソルスパーズ18000、ソルスパーズ20000、ソルスパーズ24000SG、ソルスパーズ24000GR,ソルスパーズ28000、ソルスパーズ31845、ソルスパーズ32000、ソルスパーズ32500、ソルスパーズ32550、ソルスパーズ32600、ソルスパーズ33000、ソルスパーズ34750、ソルスパーズ35100、ソルスパーズ35200、ソルスパーズ37500、ソルスパーズ38500、ソルスパーズ39000、ソルスパーズ56000、ソルスパーズ71000、ソルスパーズ76500、ソルスパーズX300、ソルスパーズ9000;ビックケミー社製のDISPERBYK−108、DISPERBYK−109、DISPERBYK−112、DISPERBYK−116、DISPERBYK−130、DISPERBYK−161、DISPERBYK−162、DISPERBYK−163、DISPERBYK−164、DISPERBYK−166、DISPERBYK−167、DISPERBYK−168、DISPERBYK−182、DISPERBYK−183、DISPERBYK−184、DISPERBYK−185、DISPERBYK−2000、DISPERBYK−2008、DISPERBYK−2009、DISPERBYK−2022、DISPERBYK−2050、DISPERBYK−2150、DISPERBYK−2155、DISPERBYK−2163、DISPERBYK−2164、BYK−9077;味の素ファインテクノ社製のアジスパーPB821、PB822、PB823、PB824、PB827等が含まれる。
塩基性分散剤の中でも、ポリエステル系塩基性分散剤が、インクの吐出安定性の観点から特に好ましい。ポリエステル系塩基性分散剤の例には、ルーブリゾール社製のソルスパーズ13940、17000、24000、32000;味の素ファインテクノ社製のアジスパーPB821、PB822、PB823、PB824、PB827等が含まれる。
酸性分散剤は、例えばルーブリゾール社製のソルスパーズ3000、ソルスパーズ21000、ソルスパーズ26000、ソルスパーズ36600、ソルスパーズ41000、ソルスパーズ41090、ソルスパーズ43000、ソルスパーズ44000、ソルスパーズ46000、ソルスパーズ47000、ソルスパーズ55000;ビックケミー社製のDISPERBYK−102、DISPERBYK−111、DISPERBYK−170、DISPERBYK−171、DISPERBYK−174、DISPERBYK−2096、BYK−P104、BYK−P104S、BYK−P105、BYK−220Sが含まれる。
これらの顔料分散剤は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。顔
料分散剤は活性光線硬化型インクジェットインク全質量に対して0.1質量%以上10質量%以下含まれることが好ましい。
また、本発明のインクジェットインクには、必要に応じて顔料を分散させるための分散媒体がさらに含まれていてもよい。溶剤が分散媒体としてインクジェットインクに含まれてもよいが、形成された画像における溶剤の残留を抑制するためには、前述の光重合性化合物(特に粘度の低いモノマーであり、例えばトリプロピレングリコールジアクリレートなど)が分散媒体であることが好ましい。
[シナジスト]
本発明の活性光線硬化型インクジェットインクにはシナジストが含まれる。シナジストとは、顔料の表面に吸着する部位(例えば、芳香族環)と顔料分散剤と吸着する部位(例えば、酸性基や塩基性基)とを有する化合物をいう。活性光線硬化型インクジェットインク中でシナジストは、ジスアゾ系顔料と顔料分散剤との親和性を高めることができ、ジスアゾ系顔料と顔料分散剤とが解離することを抑制することができる。そのため、インク中でのジスアゾ系顔料の分散性が高まり、吐出安定性が向上する。そのメカニズムは特に限定されないが、シナジストを介してジスアゾ系顔料と顔料分散剤とを結合させると、シナジストが顔料分散助剤として働き、シナジストがジスアゾ系顔料に吸着し、かつ顔料分散剤がシナジストと結合してジスアゾ系顔料から解離しにくくなると考えられる。さらに、シナジストは、ジスアゾ系顔料への吸着性が高く、シナジストが顔料表面に吸着できず遊離してしまうことを抑えることができるため、遊離シナジストによるゲル化剤との疎水性相互作用によるゲル化剤の結晶化阻害を抑制し、分散安定性を向上しつつ、かつ液滴の合一の抑制を良好にすることができる。
シナジストの含有量は、インク全量に対して0.01質量%以上2質量%以下である事が好ましく、0.02質量%以上、1質量%以下であることがより好ましい。
シナジストは、極性基を有する化合物または、顔料誘導体を含有する。
シナジストである極性基を有する化合物は、より具体的には、酸性基を有する水性染料または塩基性基を有する水性染料である。直接染料、酸性染料、塩基性染料および反応性染料などの水溶性染料であってもよい。シナジストである水性染料は、活性光線硬化型インクジェットインクに含まれる顔料分散剤の構造に応じて使い分ければよい。例えば、活性光線硬化型インクジェットインクに含まれる顔料分散剤が酸性基を有する場合に、塩基性基を有する水性染料を用いればよく、顔料分散剤が塩基性基を有する場合、酸性基を有する水性染料を用いればよい。これにより、顔料分散剤が有する官能基と水性染料が有する官能基とが反応することができる。また、水性染料のジスアゾ系顔料への吸着は、二つの荷電粒子間(例えば、ジスアゾ系酸性顔料と塩基性基を有する水性染料、またはジスアゾ系塩基性顔料と酸性基を有する水性染料)に働くクーロン力や、ジスアゾ系顔料と水性染料とが有する芳香族環同士のπ―π相互作用などの分子間力の総合的な力が影響していると推測される。
酸性基を有する水性染料は、カルボキシル基、スルホニル基、およびリン酸基から選ばれる1以上の極性基を有し、塩基性基を有する水性染料は、アミノ基、およびイミノ基から選ばれる1以上の官能基を有する。特に、酸性基を有する水性染料は、強い酸性を示すスルホニル基を有することが好ましい。
酸性基を有する水性染料または塩基性基を有する水性染料をジスアゾ系顔料に吸着させることで、インク中において顔料分散剤とジスアゾ系顔料とが解離しにくくなり、ジスアゾ系顔料の分散性が高まる。
シナジストとしての水性染料の例には、C.I.アシッドイエロー3、C.I.アシッドイエロー11、ダイレクトレッド21などの染料が含まれるが、これらに限定されない。
シナジストとしての水性染料は、吐出安定性やインクの表面硬化性の観点からピラゾール系化合物またはキノリン系化合物を含有することが好ましい。ピラゾール部位、またはキノリン部位がπ―π相互作用などの分子間力によってジスアゾ系顔料と相互作用が強く、ゲル化剤直鎖部分または分岐鎖部分を含むアルキル基と相互作用が弱いためであると考えられる。
ピラゾール系化合物の具体例としては、例えば、C.I.アシッドイエロー11、アリザリンアストロール等を挙げることができる。
キノリン系酸性染料の具体例としては、例えば、C.I.アシッドイエロー3、C.I.アシッドイエロー23、Additive White 3133等を挙げることができる。
シナジストである顔料誘導体とは、顔料を母核とし、この母核を変性して酸性基や塩基性基を付加した化合物でありうる。顔料誘導体の母核とは、インクジェットインクに含まれるジスアゾ系顔料と類似の母核であることが好ましい。顔料誘導体の有する母核とジスアゾ系顔料の有する母核とを類似にすることで顔料誘導体がジスアゾ系顔料に吸着しやすくなる。これは、ジスアゾ系顔料と顔料誘導体とに含まれる芳香族環同士が重なり合いやすいため(π−πスタッキングしやすいため)と推測される。
顔料誘導体が有する極性基には、塩素基、スルホニル基、スルホニルアミド基、カルボキシル基、カルボキシルアミド基、アミノ基、アミド基、アミノメチル基、イミド基、イミドメチル基、フタルイミド基、フタルイミドメチル基、ニトロ基、シアノ基、リン酸基などが含まれる。これらの中でも、カルボキシル基、スルホニル基、ニトロ基、リン酸基、アミノ基、およびアミド基から選ばれる1以上の極性基であることが好ましい。
シナジストである顔料誘導体の例には、アゾ誘導体、キノリン誘導体、ピラゾール誘導体などが含まれる。
シナジストである顔料誘導体の合成方法は特に限定されない。例えば、シナジストがスルホニル基を有する顔料誘導体は、発煙硫酸、濃硫酸、クロロ硫酸などでジスアゾ系顔料をスルホン化すればよい。スルホン化物(顔料誘導体)は、水に分散させて得られたスラリーをろ過及び洗浄し、硫酸などの残留酸を十分に除去し、ペーストの状態で回収する。このペーストをそのまま使用してもよく、必要に応じて乾燥及び粉砕を行ってもよい。乾燥及び粉砕を行う場合は、一度塩酸で洗浄することが一般的である。また、顔料を直接スルホン化することが困難な場合は、スルホニル基を含有する出発原料を用いて顔料誘導体を合成してもよい。
[その他の成分]
活性光線硬化型インクジェットインクには、必要に応じて光開始剤助剤や重合禁止剤などがさらに含まれていてもよい。光開始剤助剤は、第3級アミン化合物であってよく、芳香族第3級アミン化合物が好ましい。芳香族第3級アミン化合物の例には、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジメチルアミノ-p-安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルアミノ-p-安息香酸イソアミルエチルエステル、N,N-ジヒドロキシエチルアニリン、トリエチルアミンおよびN,N-ジメチルヘキシルアミン等が含まれる。なかでも、N,N-ジメチルアミノ-p-安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルアミノ-p-安息香酸イソアミルエチルエステルが好ましい。活性光線硬化型インクジェットインクに、これらの化合物が、一種のみ含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
重合禁止剤の例には、(アルキル)フェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、t-ブチルハイドロキノン、ピロガロール、1,1-ピクリルヒドラジル、フェノチアジン、p-ベンゾキノン、ニトロソベンゼン、2,5-ジ-t-ブチル-p-ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、トリ-p-ニトロフェニルメチル、N-(3-オキシアニリノ-1,3-ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ジブチルクレゾール、シクロヘキサノンオキシムクレゾール、グアヤコール、o-イソプロピルフェノール、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム等が含まれる。
活性光線硬化型インクジェットインクには、必要に応じてその他の成分がさらに含まれていてもよい。他の成分は、各種添加剤や他の樹脂等であってよい。添加剤の例には、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗菌剤、インクの保存安定性を高めるための塩基性化合物等も含まれる。塩基性化合物の例には、塩基性アルカリ金属化合物、塩基性アルカリ土類金属化合物、アミンなどの塩基性有機化合物などが含まれる。他の樹脂の例には、硬化膜の物性を調整するための樹脂などが含まれ、例えばポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂等が含まれる。
[インクジェットインクの物性]
本発明のインクジェットインクは、前述のようにゲル化剤を含むため、温度により可逆的にゾルゲル相転移する。ゾルゲル相転移する活性光線硬化型インクは、高温(例えば80℃程度)では液体(ゾル)であるため、インクジェット記録ヘッドからゾル状態で吐出することができる。高温下で活性光線硬化型インクジェットインクを吐出すると、インク液滴(ドット)が記録媒体に着弾した後、自然冷却されてゲル化する。これにより、隣り合うドット同士の合一を抑制し、画質を高めることができる。
本発明のインクジェットインクは、インク液滴の射出性を高めるために、高温下におけるインクの粘度が一定以下であることが好ましい。具体的には、活性光線硬化型インクジェットインクの、80℃における粘度が3mPa・s以上20mPa・s以下であることが好ましい。一方、本発明のインクジェットインクは、隣り合うドットの合一を抑制するために、着弾後の常温下におけるインクの粘度が一定以上であることが好ましい。具体的には、25℃におけるインクの粘度は1000mPa・s以上である。
インクのゲル化温度は、30℃以上100℃未満であることが好ましく、50℃以上65℃以下であることがより好ましい。インクのゲル化温度が高すぎると、射出時にゲル化が生じやすいため射出性が低くなりやすい。一方、インクのゲル化温度が低すぎると、記録媒体に着弾後、速やかにゲル化しないからである。なお、ゲル化温度とは、ゾル状態にあるインクを冷却する過程において、ゲル化して流動性が低下するときの温度である。
インクジェットインクの80℃における粘度、25℃における粘度、及びゲル化温度は、レオメータにより、インクの動的粘弾性の温度変化を測定することにより求めることができる。具体的には、インクを100℃に加熱し、剪断速度11.7(/s)、降温速度0.1℃/sの条件で20℃まで冷却したときの、粘度の温度変化曲線を得る。そして、80℃における粘度と25℃における粘度は、粘度の温度変化曲線において80℃、25℃における粘度をそれぞれ読み取ることにより求めることができる。ゲル化温度は、粘度の温度変化曲線において、粘度が200mPa・sとなる温度として求めることができる。
レオメータは、Anton Paar社製 ストレス制御型レオメータ PhysicaMCRシリーズを用いることができる。コーンプレートの直径は75mm、コーン角は1.0°とすることができる。
上記のゾルゲル相転移する活性光線硬化型インクジェットインクは高温で液体状態のインク液滴を吐出し、記録媒体に着弾させると同時に、インク液滴を冷却してゲル化させることで、液滴の合一を抑制できる。これにより、高速記録を行ったとしても、高精細な画像を形成できる。
[インクジェットインクの調製方法]
活性光線硬化型インクジェットインクは、前述の光重合性化合物、顔料、顔料分散剤、ゲル化剤、光開始剤、及びシナジストを、加熱下、混合して得られる。好ましくは、一部の光重合性化合物に顔料を分散させた顔料分散剤を用意し、顔料分散剤と、他のインク成分と混合する。得られたインクは、所定のフィルターで濾過することが好ましい。
2.画像形成方法
本発明の画像形成方法は、少なくとも以下の2工程を含む。
(1)活性光線硬化型インクジェットインクのインク液滴を、インクジェット記録ヘッドから吐出して記録媒体上に着弾させる工程
(2)前記記録媒体上に着弾したインク液滴に活性光線を照射し、前記インク液滴を硬化させる工程
[(1)工程]
活性光線硬化型インクジェットインクは、上述したインクジェットインクであればよく、このインクジェットインクのインク液滴をインクジェット記録ヘッドから吐出して、記録媒体の、形成すべき画像に応じた位置に着弾させる。
インクジェット記録ヘッドからの吐出方式は、オンデマンド方式とコンティニュアス方式のいずれでもよい。オンデマンド方式のインクジェットヘッドは、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型及びシェアードウォール型等の電気−機械変換方式、並びにサーマルインクジェット型及びバブルジェット(バブルジェットはキヤノン社の登録商標)型等の電気−熱変換方式等のいずれでもよい。
インク液滴は、加熱した状態でインクジェットヘッドから吐出することで、吐出安定性を高めることができる。吐出される際のインクの温度は、35℃以上100℃以下であることが好ましく、吐出安定性をより高めるためには、35℃以上80℃以下であることがより好ましい。特には、インクの粘度が7mPa・s以上15mPa・s以下、より好ましくは8mPa・s以上13mPa・s以下となるようなインク温度において出射を行うことが好ましい。
活性光線硬化型インクジェットインクは、インクジェット記録装置のインクジェット記録ヘッド、インクジェット記録ヘッドに接続したインク流路、またはインク流路に接続したインクタンク等で加熱されうる。
インクジェット記録ヘッドの各ノズルから吐出される1滴あたりの液滴量は、画像の解像度にもよるが、0.5pl以上10pl以下であることが好ましく、高精細の画像を形成するためには、0.5pl以上2.5pl以下であることがより好ましい。
記録媒体に着弾したインク液滴は冷却されてゾルゲル相転移により速やかにゲル化することが好ましい。これにより、インク液滴は拡散せずに、ピニングできる。さらには、インク液滴中に酸素が入り込みにくいため、光重合性化合物の硬化が酸素によって阻害されにくい。
記録媒体は、紙であってもよく、樹脂フィルムであってもよい。紙の例には、印刷用コート紙、印刷用コート紙Bなどが含まれる。また、樹脂フィルムの例には、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリプロピレンフィルム、塩化ビニルフィルムなどが含まれる。
記録媒体の搬送速度は、30〜120m/minであることが好ましい。
[(2)工程について]
記録媒体に着弾したインク液滴に活性光線を照射することで、インク液滴に含まれる光重合性化合物を重合させてインク液滴を硬化させる。
活性光線は、例えば電子線、紫外線、α線、γ線、及びエックス線等から選択することができるが、好ましくは紫外線であり、360nm以上410nm以下にピーク波長を有する光をLED光源から照射することが好ましい。LED光源の例として、Phoseon Technology社製の水冷LED(ピーク波長395nm)が挙げられる。LEDは従来の光源(例えばメタルハライドランプ等)と比較して、輻射熱が少ない。したがって、活性光線照射時に、インクが溶け難く、光沢ムラ等を生じさせ難い。
ここで、360nm以上410nm以下にピーク波長を有する光を照射する場合、記録媒体表面もしくはインク液滴表面におけるピーク照度を、0.5W/cm以上10.0W/cm以下とすることが好ましく、1.0W/cm以上5.0W/cm以下とすることが好ましい。
活性光線の照射は、インクが記録媒体に着弾してから0.001秒から1.0秒までの間に行うことが好ましく、高精細な画像を形成するためには、0.001秒から0.5秒までの間に行うことがより好ましい。
一方、活性光線の照射は、2段階に分けて行ってもよい。この場合、インクが記録媒体に着弾してから0.001秒から2.0秒までの間に活性光線を照射してインクを仮硬化させ、全印字終了後、さらに活性光線を照射してインクを本硬化させることができる。活性光線の照射を2段階に分けることで、インクの硬化収縮が生じ難くなる。
以下に本発明を、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらの例
に限定されるものではない。
[顔料分散液の調製]
以下の成分を用いて、顔料分散液1〜9を調製した。
[光重合性化合物]
トリプロピレングリコールジアクリレート(M220、東亜合成社製)
[顔料]
C.I.Pigment Yellow 128(PY128)(CROMOPHTAL JET Yellow 8GT、BASF社製、ジスアゾ系顔料)
C.I.Pigment Yellow 155(PY155)(4GC、Clariant社製、ジスアゾ系顔料)
C.I.Pigment Yellow 65(PY65)(YT−800−D、Clariant社製、モノアゾ系顔料)
C.I.Pigment Yellow 180(PY180)(HG01、Clariant社製、ベンゾイミダゾロン系顔料)
C.I.Pigment Yellow 185(PY185)(D1155、BASF社製、イソインドリン系顔料)
[顔料分散剤]
アクリルブロックコポリマー(efka7701、BASF社製)
[シナジスト]
不溶性アゾ系顔料誘導体(S2200、Lubrizol社製、顔料誘導体、アゾ系化合物)
アシッドイエロー11(AY11、和光純薬工業、水性染料、ピラゾール系化合物)
アシッドイエロー3(AY3 、東京化成工業、水性染料、キノリン系化合物)
8−(4,5,6,7−テトラクロロ−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)−2−(4,5,6,7−テトラクロロ−3−ヒドロキシ−1−オキソ−1H−インデン−2−イル)キノリン−6−スルホン酸 (Additive White 3133、分散剤料研究所社製、水性染料、キノリン系化合物)
顔料分散液1の調製
顔料分散剤として、アクリルブロックコポリマー(efka7701、BASF社製)
を4.8質量部と、光重合性化合物として、M220を33.9質量部と、シナジストとして、S2200を0.3質量部とをステンレスビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間加熱攪拌した。得られた溶液を室温まで冷却後、顔料としてPY128を6.0質量部加えて、直径0.5mmのジルコニアビーズ200gとともにガラス瓶に入れて密栓し、ペイントシェーカーにて8時間分散処理した。その後、ジルコニアビーズを除去して、顔料分散液1を調製した。
顔料分散液2〜9の調製
顔料分散剤と光重合性化合物とシナジストと顔料との種類および添加量を表1に示されるように変更したこと以外は、顔料分散液1と同様にして顔料分散液2〜9を調製した。表1の数値は質量部を示す。
Figure 2017128665
[インクの調製]
下記の表に記載された活性光線硬化型インクジェットインク成分にしたがって、下記に示す各成分と上記の顔料分散液とを混合して、80℃に加熱して撹拌した。加熱下において、ADVANTEC社製テフロン(登録商標)3μmメンブランフィルターで得られた溶液の濾過を行い、インク1〜15を得た。なお、表の成分の単位は質量%である。
[光重合性化合物]
トリプロピレングリコールジアクリレート(M220、東亜合成社製)
ポリエチレングリコール#600ジアクリレート(EBECRYL11、ダイセル・サイテック社製)
3PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(M360、Miwon社製)
6EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(M3160、SARTOMER社製)
ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(SR355、SARTOMER社製)
アミン変性アクリレート(CN371、SARTOMER社製)
[光開始剤]
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(IRGACURE819、BASF社製)
1,3−ジ({α−[1−クロロ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イル)オキシ]アセチルポリ[オキシ(1−メチルエチレン)]}オキシ)−2,2−ビス({α−[1−クロロ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イル)オキシ]アセチルポリ[オキシ(1−メチルエチレン)]}オキシメチル)プロパン (Speedcure7010、LAMBSON社製)
[ゲル化剤]
N−オレイルステアリン酸アミド(ニッカアマイドOS、日本化成社製、脂肪酸アミド)
ヘントリアコンタン−16−オン(ジパルミチルケトン、Arfa Aeser社製、一般式(G1)に示すゲル化剤)
ステアリン酸ベヘニル(WE11、日油社製、一般式(G2)に示すゲル化剤)
[界面活性剤]
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(BYK−307、BASF社製)
[重合禁止剤]
4,4′−[(1,10−ジオキソ−1,10−デカンジイル)ビス(オキシ)]ビス[2,2,6,6−テトラメチル]−1−ピペリジジニルオキシ(UV−10、BASF社製)
[画像形成方法]
ライン記録方式のインクジェット記録装置を用いて、単色画像を形成した。インクジェット記録装置のインク供給系は、インクタンク、供給パイプ、ヘッド直前のサブインクタンク、フィルター付き配管、およびピエゾヘッド(インクジェット記録ヘッド)がこの順に連通して構成されている。そして、得られたインクを、インクジェット記録装置のインク供給系に供給し、インクタンクからインクジェット記録ヘッド部分までのインク供給系の全体を80℃に加温した。
用いたインクジェット記録ヘッドは、1776個のノズルを有し、解像度が600dpiであるコニカミノルタ社製インクジェット2ヘッドを1セットで1200dpiとなるようにモジュール化した。1滴の液滴量が3.5plとなるように印加電圧を調整し、画像を記録した。dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。画像の形成は、23℃、55%RHの環境下で行った。
記録媒体として、紙器用マイクロフルート(F段 厚み0.7mm クラウンパッケージ)、コートボール紙(マリコート、550g/m、北越製紙)を準備した。温度制御部により記録媒体を30℃に調温した。記録媒体の搬送速度は、1000mm/sとした。そして、インクジェット記録ヘッドから記録媒体上にインク滴を吐出して、下記画像を形成した。
画像形成後、インクジェット記録装置の下流部に配置したLEDランプ(京セラ社製、8W/cm、波長395nm、照射幅68mm、LEDランプから記録媒体表面までの距離50mm、記録媒体上での照度2.0W/cm)により、記録媒体に活性光線を照射した。そして、記録媒体に着弾したインクを硬化させた。
[画質評価]
(吐出安定性)
ガラス試薬ビンに10ccのインクを満たし、100℃の恒温槽に10日間保存して評価インクを準備した。
DIC社製中空糸膜モジュールEF―G5を通して脱気したインクを1776ノズルからなるコニカミノルタ社製インクジェットヘッドを用いて、液滴量3.5pl、液滴速度7m/sec、射出周波数40kHz、印字率100%となる駆動条件で連続駆動させ、駆動開始から5分後に射出していないノズル数を液滴観測装置で目視確認した。
◎:欠ノズル数が5個未満
○:欠ノズル数が5個以上10個未満
△:欠ノズル数が10個以上50個未満
×:欠ノズル数が50個以上
(文字品質)
紙器用マイクロフルート(F段 厚み0.7mm クラウンパッケージ)、コートボール紙(マリコート、550g/m、北越製紙)に対して9g/mの付き量になるように、解像度が600dpiであるコニカミノルタ社製インクジェット2ヘッドを1セットで1200dpiとしたヘッドモジュールでMS明朝体の3ポイント、5ポイントの「籍」という文字印刷した。得られた文字を目視で観察し、下記の基準で評価を行った。
◎:3ポイント文字が細部の潰れなく再現出来ている
○:マイクロフルートで3ポイント文字の細部がわずかにつぶれているが、コートボール紙では細部の潰れなく再現出来ている
△:どちらの基材でも3ポイント文字では細部が潰れているが、5ポイント文字では潰れなく再現出来ている
×:どちらの基材でも5ポイント文字でも細部が潰れている
(表面硬化性)
紙器用マイクロフルート(F段 厚み0.7mm クラウンパッケージ)、9g/mの付き量になるように、解像度が600dpiであるコニカミノルタ社製インクジェット2ヘッドを1セットで1200dpiとしたヘッドモジュールでイエローのベタ画像(16cm×4cm)を形成した。印刷物の表面ベタつきは、得られたベタ画像(16cm×4cm)に対して試験片を一定速度で動かし、フォースゲージ(イマダ社製)の値の変化から各色における動摩擦係数を算出した。試験片は紙器用マイクロフルート(F段 厚み0.7mm クラウンパッケージ)、25mm×25mm、500gの荷重をかけた。
◎:動摩擦係数が0.1未満である
○:動摩擦係数が0.1以上0.2未満である
△:動摩擦係数が0.2以上0.3未満である
×:動摩擦係数が0.3以上である
評価結果を表2〜表4に示す。なお、表の成分の単位は質量%である。
Figure 2017128665
Figure 2017128665
Figure 2017128665
本発明の活性光線硬化型インクジェットインク、およびインクジェット画像形成方法によれば、顔料の分散安定性を維持し、インクの吐出安定性を高め、かつ、液滴の合一を抑制し、高精細な画像を形成できる。

Claims (5)

  1. 光重合性化合物、光開始剤、ゲル化剤、顔料及び顔料分散剤を含有する活性光線硬化型インクジェットインクであって、
    前記活性光線硬化型インクジェットインクは、シナジストを含有し、
    前記顔料は、ジスアゾ系顔料を含有することを特徴とする、活性光線硬化型インクジェットインク。
  2. 前記シナジストがピラゾール系化合物またはキノリン系化合物を含有することを特徴とする、請求項1に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
  3. 前記ジスアゾ系顔料は、C.I.Pigment Yellow 155を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
  4. 前記ゲル化剤が、下記一般式(G1)及び(G2)で表される化合物のうち、少なくとも一種の化合物を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
    一般式(G1):R1−CO−R2
    一般式(G2):R3−COO−R4
    (一般式(G1)及び(G2)中、R1〜R4は、それぞれ独立に、炭素数12以上26以下の直鎖部分または分岐鎖部分を含むアルキル基を表す)
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットインクのインク液
    滴を、インクジェット記録ヘッドから吐出して記録媒体上に着弾させる工程と、
    前記記録媒体上に着弾した前記インク液滴に、活性光線を照射し、前記インク液滴を硬化させる工程と、を含むことを特徴とする、インクジェット画像形成方法。

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