JP2017128510A - 多価エステル化合物およびその製造方法 - Google Patents

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裕一朗 堀本
尚紀 坂田
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尚紀 坂田
武彦 森田
Takehiko Morita
武彦 森田
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Abstract

【課題】
アクリル樹脂とも高い親和性を有し、アクリル樹脂フィルムに使用した場合に耐折り曲げ性の改善が可能であり、取り扱い性に優れ、ブリードアウトの少ない、不揮発性もしくは低揮発性であることから環境にも優しい、可塑剤としても使用可能な多価エステル化合物を提供する。
【解決手段】
少なくとも2個のエステル基と少なくとも1個の連結部位とを有する原子団(A)と、連結部(B)とを有する多価エステル化合物であって、該多価エステル化合物は該原子団(A)を少なくとも2つ有し、該原子団(A)は、該連結部(B)を介して他の該原子団(A)と結合しており、それぞれの原子団(A)は同一であっても異なっても良く、該連結部(B)は、少なくとも1の炭素原子を有する2価以上の基である多価エステル化合物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、多価エステル化合物およびその製造方法に関する。より詳しくは、複数のエステル基を有する化合物およびその製造方法に関する。
例えばアクリル樹脂フィルムは、透明性、耐候性、熱性形成などに優れることから、建材用途、光学用途など幅広い用途に使用されている。しかし、アクリル樹脂フィルムは、用途によっては耐折り曲げ性が不十分であったため、改善の要望があった。
一方で、樹脂の各種性能を改善する目的で、可塑剤などの添加剤を用いることが広く行われている(例えば特許文献1、2)。
特開2003−171563号公報 特開2004−292650号公報
上記のとおり各種可塑剤が提案されているが、アクリル樹脂は従来の可塑剤との親和性が十分ではない場合も多く、アクリル樹脂フィルムの耐折り曲げ性の改善は、十分とは言い難かった。
よって、本発明は、アクリル樹脂とも高い親和性を有し、アクリル樹脂フィルムに使用した場合に耐折り曲げ性の改善が可能であり、取り扱い性に優れ、ブリードアウトの少ない、不揮発性もしくは低揮発性であることから環境にも優しい、可塑剤としても使用可能な化合物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成する為に種々検討を行ない、本発明に想到した。
すなわち本発明の多価エステル化合物は、少なくとも2個のエステル基と少なくとも1個の連結部位とを有する原子団(A)と、連結部(B)とを有する多価エステル化合物であって、該多価エステル化合物は該原子団(A)を少なくとも2つ有し、該原子団(A)は、該連結部(B)を介して他の該原子団(A)と結合しており、該原子団(A)は、下記一般式(1)で表され、それぞれの原子団(A)は同一であっても異なっても良く、該連結部(B)は、少なくとも1の炭素原子を有する2価以上の基である、多価エステル化合物である。
Figure 2017128510
上記一般式(1)において、R〜R、R〜R12は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキル基、−COOR基、−CHCOOR基、−CHCHCOOR基、又は、連結部位を表し、R、R、は、それぞれ独立に、−COOR基、−CN基、−COCH基、又は、連結部位を表し、該Rは置換または無置換のアルキル基を表し、該連結部位は、−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−O−、−CH−O−、−CH−NH−、−CHCH−C(=O)−O−、または−CHCH−O−であり、l、m、nはそれぞれ独立に、0〜20の数を表し(ただし、l+m+nは1以上の数を表す)、R〜R11、Rが原子団(A)中にそれぞれ2以上ある場合には、それらは同一であっても異なっても良い。
本発明の多価エステル化合物は、エステル基を複数有する化合物を含むこと等から、各種基材への密着性に優れ、各種樹脂との相溶性に優れ、樹脂との相溶後もブリードアウトが少なく、各種化合物の溶解性に優れる。また、適度の分子量を有すること等から、揮発性が少なく、液状であることから取り扱い性にも優れる。よって、本発明の多価エステル組成物は、各種基材の改質剤、樹脂の可塑剤、不揮発性溶剤等として好ましく使用することができる。
合成例1−2で得られた多価エステル化合物(2)のHNMRチャートである。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
[本発明の多価エステル化合物]
<少なくとも2個のエステル基を有する原子団(A)>
本発明の多価エステル化合物は、上記一般式(1)で表される原子団(A)を含む。
上記一般式(1)において、R〜R、R〜R12は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキル基、−COOR基、−CHCOOR基、−CHCHCOOR基、又は、連結部位を表し、R、R、は、それぞれ独立に、−COOR基、−CN基、−COCH基、又は、連結部位を表し、該Rは置換または無置換のアルキル基を表し、該連結部位は、−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−O−、−CH−O−、−CH−NH−、−CHCH−C(=O)−O−、または−CHCH−O−である。
上記一般式(1)において、R〜R、R〜R12が置換または無置換のアルキル基である場合の、「置換のアルキル基」とは、アルキル基の水素原子の1または2以上が他の置換基で置換された基を意味する。上記他の置換基としては、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、アルケニル基、およびこれらの置換基の水素原子の1または2以上がさらに置換基で置換された置換基等が例示される。上記置換基に含まれる炭素数は、上記置換のアルキル基が全体として、炭素数1〜30であれば、特に制限されない。
上記一般式(1)において、R〜R、R〜R12が置換または無置換のアルキル基である場合、その炭素数は1〜30であるが、1〜20であることが好ましく、1〜8であることがより好ましい。無置換のアルキル基としては、メチル基、ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基等が例示され、置換のアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、エトキシメチル基等が例示される。より好ましくは無置換のアルキル基である。
上記一般式(1)において、R〜R、R〜R12が−COOR基、−CHCOOR基又は−CHCHCOOR基である場合、R、R、が−COOR基である場合のRは置換または無置換のアルキル基を表すが、該置換または無置換のアルキル基の形態、好ましい形態としては、R〜R、R〜R12が置換または無置換のアルキル基である場合の置換または無置換のアルキル基の形態、好ましい形態と同様である。
上記原子団(A)内に、R〜R11、Rがそれぞれ2以上ある場合には、それらは同一であっても異なっても良い。
上記一般式(1)において、R〜R、R〜R12が連結部位である場合、R、R、が連結部位である場合、の連結部位は、−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−O−、−CH−O−、−CH−NH−、−CHCH−C(=O)−O−、または−CHCH−O−である。多価エステル化合物を加熱した際の着色を抑えられる傾向にあることから、多価エステル化合物は極力窒素原子の含有量を低減することが好ましく、そのような観点から、上記連結部位は、−C(=O)−O−、−O−、−CH−O−、または−CHCH−O−から選択されることが好ましい。アクリル樹脂との親和性の観点から、上記連結部位は、−C(=O)−O−であることが特に好ましい。
上記一般式(1)において、l、m、nはそれぞれ独立に、0〜20の数を表す(ただし、l+m+nは1以上の数を表す)。l、nは0以上、15以下であることが好ましく、0以上、10以下であることがより好ましい。l+nは1以上、15以下であることが好ましく、2以上、10以下であることが好ましい。mは1以上、5以下であることが好ましく、1であることがより好ましい。l+m+nは1以上、15以下であることが好ましく、2以上、10以下であることがより好ましい。上記の範囲であれば、アクリル樹脂の耐折り曲げ性の改善効果が顕著になる傾向にある。
上記一般式(1)は、エステル基を少なくとも2つ含む。上記一般式(1)は、エステル基を3つ以上含むことが好ましく、4つ以上含むことがより好ましい。上記一般式(1)に含まれるエステル基は、15以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。上記範囲であれば、多価エステル化合物のアクリル樹脂との親和性が向上する傾向にある。
上記一般式(1)は、通常は連結部位を少なくとも1つ含む。上記一般式(1)は、取扱い性が向上することから、連結部位を10以下含むことが好ましく、5以下含むことがより好ましく、3以下含むことが特に好ましい。
上記一般式(1)は、nが1であり、mが1〜20であり、R12が−(C=O)O−で表される連結部位である形態であっても良い。その場合、より好ましくは、R〜R11は水素原子である。上記形態であることにより、同一の一般式(1)内の架橋を抑制することができるため、多価エステル化合物(組成物)に含まれる不純物としての、原子団(A)を1つだけ含む化合物の含有量を低く抑えることが可能となる。
<連結部(B)>
本発明の多価エステル化合物は、連結部(B)を含む。上記連結部(B)としては、2以上の原子団(A)の連結部位と結合できる構造を有する、炭素数1以上の2価以上の基であれば良い。具体的には、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のアリーレン基、ポリオキシアルキレン基の残基、アルキレンアミン基の残基、ポリアミド基の残基、ポリアミドポリアミン基の残基等が例示される。これらの中でも多価エステル化合物を加熱した際の着色を抑えられる傾向にあることから、多価エステル化合物は極力窒素原子の含有量を低減することが好ましく、そのような観点から、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のアリーレン基、ポリオキシアルキレン基の残基が好ましく、多価エステル化合物のアクリル樹脂との親和性が向上する傾向にあることから、置換または無置換のアルキレン基であることがより好ましい。
置換または無置換のアルキレン基における置換のアルキレン基とは、アルキレン基の水素原子の1または2以上が置換基で置換された基を意味する。置換または無置換のアリーレン基における置換のアリーレン基とは、アリーレン基の水素原子の1または2以上が置換基で置換された基を意味する。置換基としては、上記「置換のアルキル基」における置換基と同様のものが例示される。
ポリオキシアルキレン基の残基としては、(ポリ)オキシアルキレン基の末端の酸素原子を除いた基である。
アルキレン基としては、メチレン基(−CH−)、エチレン基(−CHCH−)、ヘキサメチレン基(−CHCHCHCHCHCH−)、2,2−ジメチルー1,3−プロペン基(−CHCH(CHCH−)、トリメチロールプロパンの残基(CH(CH―)CHCH)、ペンタエリスリトールの残基(CH(CH―))シクロヘキシレン基、プロパン1,2,3−トリイル基(−CH(CH−)CH−)、およびこれらの水素原子の1または2以上が置換基で置換された基等;アリーレン基としては、フェニレン基、ナフタレン基、ベンゼン1,3,5−トリイル基、およびこれらの水素原子の1または2以上が置換基で置換された基等;ポリオキシアルキレン基の残基としては、オキシエチレン基の残基(−(CHCHO)CHCH−、nは例えば2以上、50以下)、オキシプロピレン基の残基(−(CH(CH)CHO)CH(CH)CH−、nは例えば2以上、30以下)、グリセリンエチレンオキシド付加物の残基、等が例示される。
上記連結部(B)は、炭素原子を1以上含めばよいが、炭素原子を2以上含むことが好ましく、3以上含むことがより好ましく、4以上含むことがさらに好ましい。上記連結部(B)は、炭素原子を100以下含むことが好ましく、50以下含むことが好ましく、20以下含むことがより好ましい。
上記連結部(B)は、10価以下の基であることが好ましく、5価以下の基であることがより好ましく、3価以下の基であることがさらに好ましく、2価の基であることが特に好ましい。
<多価エステル化合物の構造>
本発明の多価エステル化合物は、少なくとも2の原子団(A)と、少なくとも1の連結部(B)とを有する。本発明の多価エステル化合物において、該原子団(A)は、該連結部(B)を介して他の該原子団(A)と結合している。
本発明の多価エステル化合物が含む原子団(A)の上限は、20であることが好ましく、10であることがより好ましく、5であることがさらに好ましく、3であることがよりさらに好ましい。上記範囲であれば、多価エステル化合物の取扱い性が向上する傾向にある。
本発明の多価エステル化合物が含む連結部(B)の上限は、19であることが好ましく、9であることがより好ましく、4であることがさらに好ましく、2であることがよりさらに好ましい。上記範囲であれば、多価エステル化合物の取扱い性が向上する傾向にある。
本発明の多価エステル化合物は、原子団(A)と、連結部(B)に加え、その他の部分(C)を含んでいてもよい。本発明の多価エステル化合物は、原子団(A)を、多価エステル化合物100質量部に対して、30質量部以上、99.5質量部以下含むことが好ましく、50質量部以上、95質量部以下含むことがより好ましい。上記範囲で含むことにより、取扱い性を向上しつつ、アクリル樹脂への親和性が向上する傾向にある。本発明の多価エステル化合物は、連結部(B)を、多価エステル化合物100質量部に対して、0.5質量部以上、70質量部以下含むことが好ましく、5質量部以上、50質量部以下含むことがより好ましい。上記範囲で含むことにより、取扱い性を向上しつつ、アクリル樹脂への親和性が向上する傾向にある。
本発明の多価エステル化合物は、原子団(A)を1種だけ含んでも良く、2種以上含んでいても良い。本発明の多価エステル化合物は、連結部(B)を1種だけ含んでも良く、2種以上含んでいても良い。
[本発明の多価エステル組成物]
本発明の多価エステル組成物は、本発明の多価エステル化合物を必須に含む。本発明の多価エステル組成物は、本発明の多価エステル化合物を必須に含めばよく、本発明の多価エステル化合物の他に、反応原料や、溶媒や触媒の残渣、副反応生成物、酸化防止剤、重合禁止剤を含んでいても良い。本発明の多価エステル組成物は、本発明の多価エステル組成物100質量部に対し、本発明の多価エステル化合物を10質量部以上、100質量部以下含むことが好ましい。
[本発明の多価エステル化合物の製造方法]
本発明の多価エステルは、下記一般式(2)で表される化合物と架橋剤を反応する工程(工程I)を含み、製造することが好ましい。以下、本発明の多価エステル化合物の製造方法を、「本発明の製造方法」ともいう。
Figure 2017128510
上記一般式(2)において、R〜R、R〜R12は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキル基、−COOR基、−CHCOOR基、又は、−CHCHCOOR基を表し、R、R、は、それぞれ独立に、−COOR基、−CN基、−COCH基、を表し、該Rは置換または無置換のアルキル基を表し、l、m、nはそれぞれ独立に、0〜20の数を表し(ただし、l+m+nは1以上の数を表す)、R〜R11、Rが分子内にそれぞれ2以上ある場合には、それらは同一であっても異なっても良い。
一般式(2)における、R〜R、R〜R12が置換または無置換のアルキル基である場合の置換または無置換のアルキル基の態様、および好ましい態様等、R〜R、R〜R12が−COOR基、−CHCOOR基、又は、−CHCHCOOR基である場合のRの態様、および好ましい態様等、R、Rが−COOR基である場合のRの態様、および好ましい態様等、l、m、nの態様、および好ましい態様等(l+n、l+m+nの態様、および好ましい態様等を含む)は、それぞれ一般式(1)における対応する部分の態様、および好ましい態様等と同様である。
上記架橋剤としては、水酸基および/またはアミノ基を2以上含む化合物が例示される。水酸基および/またはアミノ基を2以上含む化合物としては、水酸基および/またはアミノ基を有し、水酸基とアミノ基を合計で2以上有する化合物であり、炭素原子を1以上含めばよいが、炭素原子を2以上含むことが好ましく、3以上含むことがより好ましく、4以上含むことがさらに好ましい。また、炭素原子を100以下含むことが好ましく、50以下含むことが好ましく、20以下含むことがより好ましい。また、多価エステル化合物を加熱した際の着色を抑えられる傾向にあることから、多価エステル化合物は極力窒素原子の含有量を低減することが好ましく、そのような観点から、水酸基を2以上含む化合物が好ましい。
水酸基および/またはアミノ基を2以上含む化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチルー1,3−プロパンジオール、ヘキサエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンのエチレンオキシド付加物、グリセリンのプロピレンオキシド付加物、ソルビトール、カテコール、ジヒドロキシナフタレン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、等が例示される。
水酸基および/またはアミノ基を2以上含む化合物としては、水酸基および/またはアミノ基を10個以下含むことが好ましく、5個以下含むことがより好ましく、3個以下含むことがさらに好ましく、2個含むことが特に好ましい。
上記一般式(2)で表される化合物において、nが0であり、mが1以上であり、R12が水素原子である化合物である場合、すなわち、上記一般式(2)で表される化合物が、下記一般式(3)で表される化合物の場合、架橋剤として、下記一般式(4)で表される化合物を使用する形態も好ましい形態である。一般式(3)で表される化合物と一般式(4)で表される化合物とを反応させることにより、一般式(3)で表される化合物の分子内架橋を抑制することができることから、該分子内架橋物に起因する不純物を低減し、製品間のばらつきを抑えることに寄与する。
Figure 2017128510
上記一般式(3)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、−COOR基、−CHCOOR基、又は、−CHCHCOOR基を表し、R、R、は、それぞれ独立に、−COORa基、−CN基、−COCH基、を表し、該Rは置換または無置換のアルキル基を表し、R12は水素原子を表し、lは0〜20の数を表し、mは1〜20の数を表し、R〜R、Rが分子内にそれぞれ2以上ある場合には、それらは同一であっても異なっても良い。
上記一般式(3)におけるR〜R、R12、l、mの形態、好ましい形態は、特に言及する場合を除き、上記一般式(2)におけるR〜R、R12、l、mの形態、好ましい形態と同様である。
Figure 2017128510
上記一般式(4)において、Xは、同一若しくは異なって、−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−O−、−CH−O−、−CH−NH−、−CHCH−O−、であり、Rは1以上の炭素原子を含むn価の連結基であり、nは1〜10の数を表す。
多価エステル化合物を加熱した際の着色を抑えられる傾向にあることから、多価エステル化合物は極力窒素原子の含有量を低減することが好ましく、そのような観点から、一般式(4)におけるXは、同一若しくは異なって、−C(=O)−O−、−O−、−CH−O−、−CHCH−O−、であることが好ましい。一般式(4)におけるn価の連結基の態様、好ましい態様等は、上記連結部(B)の態様、好ましい態様等と同様である。
一般式(4)におけるnは、10以下の数であることが好ましく、5以下の数であることがより好ましく、3以下の数であることがさらに好ましく、2以下の数であることが特に好ましい。
上記一般式(4)で表される化合物としては、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチルー1,3−プロパンジオールジアクリレート、ヘキサエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、グリセリンのエチレンオキシド付加物のジ若しくはトリアクリレート、グリセリンのプロピレンオキシド付加物のジ若しくはトリアクリレート、ソルビトールの2〜6アクリレート、カテコールジアクリレート、トリメチロールプロパンの2〜3アクリレート、ペンタエリスリトールの2〜4アクリレート、ジペンタエリスリトールの2〜6アクリレート、等のアクリロイル基を複数有するアクリレート;エチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル等のビニル基を複数有するビニルエーテル;N,N’−メチレンビスアクリルアミド、等のアクリルアミド基を複数有するアクリルアミド類;トリアリルイソシアヌレート等のアリル基を複数有する化合物;等が例示される。
上記工程Iの反応における一般式(2)で表される化合物および/または一般式(3)で表される化合物(以下、「一般式(2)で表される化合物等」ともいう)の使用量に対する架橋剤の使用量は、所望により適宜選択すれば良いが、一般式(2)で表される化合物等のモル数:架橋剤に含まれる架橋部位(水酸基、アミノ基、一般式(4)におけるCH=CH−X1−基)のモル数が、1:0.1〜1:10に設定することが好ましく、1:0.2〜1:5に設定することがより好ましく、1:0.3〜1:3に設定することがさらに好ましい。
上記工程Iの反応は、無溶媒で行っても良いが、溶媒の存在下で行うことが好ましい。使用可能な溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;メタノール、エタノール等のアルコール類を挙げることができる。溶媒を使用する場合、一種のみを単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。溶媒を使用する場合、その使用量に特に制限はないが、一般式(2)で表される化合物等と架橋剤との合計の使用量に対し、通常は0.005〜20倍質量の範囲であり、好ましくは0.01〜10倍質量の範囲である。なお、溶媒を使用する場合、その一部または全部を、以前の反応で使用した溶媒とすることができる。その場合、以前の反応で使用した溶媒は、そのままで、あるいは精製後に、再使用される。
上記工程Iの反応は、無触媒で行っても良いが、触媒の存在下で行うことが好ましい。好ましい触媒としては、ナトリウムメトキシド等のアルカリ金属類のアルコキシド、チタンテトライソプロポキシド等のチタンテトラアルコキシド、ジブチルスズジラウレート等の錫化合物等が挙げられる。触媒の使用量としては、一般式(2)で表される化合物等100質量部に対し、0.05〜40質量部使用することが好ましく、0.1〜10質量部使用することがより好ましい。
上記工程Iにおいて、一般式(2)で表される化合物等、架橋剤等の反応系への添加方法は特に制限されず、反応前または反応中に一度に添加してもよく、反応前及び/または反応中に、連続的または断続的に添加しても良い。添加する際の形態として、溶剤に溶解した状態であっても良いし、そのままの状態であっても良い。架橋剤を2種以上使用する場合などには、反応を2段階で行っても良い。
上記工程Iの反応温度としては、架橋剤として水酸基および/またはアミノ基を2以上含む化合物を使用する場合には、50℃以上、200℃以下であることが好ましく、75℃以上、150℃以下であることがより好ましい。架橋剤として、上記一般式(4)で表される化合物を使用する場合には、−25℃以上、50℃以下であることが好ましく、−10℃以上、40℃以下であることがより好ましい。上記範囲で行うことにより、副反応を抑えつつ、効率よく製造することが可能となる傾向にある。
反応温度は一定にしても良いが、必要に応じて変動させても良い。
上記工程Iの反応時間としては、通常は0.1〜50時間であり、好ましくは0.5〜40時間であり、より好ましくは1〜30時間である。
上記工程Iは、加圧下、常圧下、減圧下のいずれで行っても良い。
上記工程Iは、特に制限されないが、ラジカル重合防止の観点から、分子状酸素の存在下で反応を行うことが好ましい。
上記工程Iは、加熱条件下および/または減圧条件下で、軽沸分を留去しながら行っても良い。
上記工程Iは、重合禁止剤の存在下で行っても良い。好ましい重合禁止剤としては、ヒドロキノン、p−メトキシフェノール(メトキノン)、2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン1−オキシル(TEMPO)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン1−オキシル(4H−TEMPO)等が例示される。上記反応工程における、重合禁止剤の使用量は、不飽和カルボン酸エステルの合計の使用量に対して、質量比で、0ppm以上、10000ppm以下であることが好ましく、5ppm以上、10000ppm以下であることがより好ましく、10ppm以上、9000ppm以下であることがさらに好ましく、20ppm以上、8000ppm以下であることが特に好ましい。
<一般式(2)で表される化合物等の製造工程>
上記一般式(2)で表される化合物等の製造方法は特に限定されない。しかし、不飽和カルボン酸エステルと、活性メチレン化合物とを反応させる工程(工程II)を含み、製造することが好ましい。
活性メチレン化合物としては、マロン酸ジエステル、アセト酢酸エステル、シアノ酢酸エステル、アセチルアセトン、マロノニトリルが挙げられる。中でも、マロン酸ジエステル、アセト酢酸エステル、アセチルアセトンが好ましく、中でもマロン酸ジエステルが最も好ましい。
不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル;イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジブチル等のイタコン酸エステル;メチレングルタル酸ジメチル、メチレングルタル酸ジブチル等のメチレングルタル酸エステル;等が例示される。
上記工程IIにおける、活性メチレン化合物と、不飽和カルボン酸エステルとの使用量の比は、所望に応じて適宜設定することが可能であるが、例えば、活性メチレン化合物:不飽和カルボン酸エステル=1:0.1〜1:50(モル比)であることが好ましく、1:0.5〜1:5(モル比)であることがより好ましい。上記範囲であることにより、得られる多価エステル組成物の上記性能が良好となる傾向にあり、また、生産効率が良好になる傾向にある。
上記工程IIは、無触媒で行っても良いが、触媒の存在下で行うことが好ましい。触媒としては、塩基触媒が好ましく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、等のアルカリ金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属類のアルコキシド;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;トリエチルアミン、トリエタノールアミン、1、4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等の三級アミンおよびそれらの四級化物;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ジエチルアミノ)ホスフィン、トリス(ジメチルアミノ)ホスフィン等の3級ホスフィン類等が例示される。この中でも、上記一般式(2)で表される化合物等の収率が高く、副反応も抑えられる傾向にあることから、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属のアルコキシドがより好ましく、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシドが特に好ましい。触媒を使用する場合、一種のみを単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。
上記工程IIにおいて、触媒を使用する場合における触媒の使用量は、活性メチレン化合物の使用量に対し、0.01モル%以上、50モル%以下であることが好ましく、0.1モル%以上、10モル%以下であることがより好ましく、0.5モル%以上、5モル%以下であることがさらに好ましい。
上記工程IIは、必要に応じて相関移動触媒を用いて行うことが好ましい。相関移動触媒としては、特に制限されないが、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド等の塩化4級アンモニウム塩;トリメチルアンモニウムクロリド、トリエチルアンモニウムクロリド等の塩化3級アンモニウム塩;テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド等の臭化4級アンモニウム塩;トリメチルアンモニウムブロミド、トリエチルアンモニウムブロミド等の臭化3級アンモニウム塩;硫酸テトラメチルアンモニウム、硫酸テトラブチルアンモニウム、硫酸ベンジルトリメチルアンモニウム等の硫酸4級アンモニウム塩;硫酸トリメチルアンモニウム、硫酸トリエチルアンモニウム等の硫酸3級アンモニウム塩;15−クラウン−5、18−クラウン−6等のクラウンエーテル類;等が挙げられる。中でも、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、硫酸テトラメチルアンモニウム、硫酸テトラブチルアンモニウムが好ましい。これら相間移動触媒は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
上記工程IIにおいて、相間移動触媒を使用する場合における相間移動触媒の使用量は、活性メチレン化合物の使用量に対し、0.01モル%以上、50モル%以下であることが好ましく、0.05モル%以上、10モル%以下であることがより好ましく、0.1モル%以上、5モル%以下であることがさらに好ましい。
上記工程IIは、無溶媒で行っても良いが、溶媒の存在下で行うことが好ましい。使用可能な溶媒としては、上記工程Iで使用可能な溶媒と同様のものを例示することができる。溶媒を使用する場合、一種のみを単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。溶媒を使用する場合、その使用量に特に制限はないが、不飽和カルボン酸エステル、活性メチレン化合物の合計の使用量に対し、通常は0.005〜20倍質量の範囲であり、好ましくは0.01〜10倍質量の範囲である。
なお、溶媒を使用する場合、その一部または全部を、以前の反応で使用した溶媒とすることができる。その場合、以前の反応で使用した溶媒は、そのままで、あるいは精製後に、再使用される。
上記工程IIにおいて、不飽和カルボン酸エステル、活性メチレン化合物の反応系への添加方法は特に制限されず、反応前または反応中に一度に添加してもよく、反応前及び/または反応中に、連続的または断続的に添加しても良い。添加する際の形態として、溶剤に溶解した状態であっても良いし、そのままの状態であっても良い。不飽和カルボン酸エステルを2種以上使用する場合などには、反応を2段階で行っても良い。
上記工程IIにおける反応温度は、−25℃以上、200℃以下であることが好ましく、−15℃以上、160℃以下であることがより好ましく、−10℃以上、130℃以下であることがさらに好ましい。反応温度は一定にしても良いが、必要に応じて変動させても良い。
上記工程IIの反応時間としては、通常は0.1〜50時間であり、好ましくは0.5〜40時間であり、より好ましくは1〜30時間である。
上記工程IIは、加圧下、常圧下、減圧下のいずれで行っても良い。
上記工程IIは、特に制限されないが、ラジカル重合防止の観点から、分子状酸素の存在下で反応を行うことが好ましい。
上記工程IIは、重合禁止剤の存在下で行っても良い。好ましい重合禁止剤としては、ヒドロキノン、p−メトキシフェノール(メトキノン)、2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン1−オキシル(TEMPO)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン1−オキシル(4H−TEMPO)等が例示される。上記反応工程における、重合禁止剤の使用量は、不飽和カルボン酸エステルの合計の使用量に対して、質量比で、0ppm以上、10000ppm以下であることが好ましく、5ppm以上、10000ppm以下であることがより好ましく、10ppm以上、9000ppm以下であることがさらに好ましく、20ppm以上、8000ppm以下であることが特に好ましい。
一般式(2)で表される化合物等の製造工程は、反応工程(好ましくは工程II)を通常含むが、任意の他の工程を含むことができる。例えば、反応を溶媒の存在下で行った場合に溶媒を留去する工程(溶媒留去工程)、エステル交換工程、エステル化工程、反応触媒を使用した場合に触媒を失活させる工程、反応生成物を溶剤で希釈する工程、反応生成物を溶剤や水で洗浄する工程(洗浄工程)、不純物を溶剤で抽出する工程などである。
なお、反応工程を2段階若しくは3段階以上で行う場合には、いずれかの反応工程間に精製工程(例えば、溶媒留去工程や洗浄工程など)を設けても良い。
上記エステル交換反応は、上記一般式(2)で表される化合物と、アルコールとをエステル交換触媒存在下反応させることにより行われる。また、反応により生成するアルコールを反応系外へ除去することが好ましい。前記アルコールの除去方法としては、例えば、減圧で反応を行う方法、共沸溶媒を用いて反応を行う方法、吸着剤の存在下で反応を行う方法等が挙げられる。共沸溶媒については反応を阻害しないものでなければ特に制限はなく、トルエンやシクロヘキサン等が使用される。上記一般式(2)で表される化合物のエステル基に対するアルコールの使用量(モル比)は、目的とする多価エステルの構造に応じて適宜設定される。上記エステル交換触媒としては、ナトリウムメトキシド等のアルカリ金属類のアルコキシド、チタンテトライソプロポキシド等のチタンテトラアルコキシド、ジブチルスズジラウレート等の錫化合物等が挙げられる。エステル交換反応は、反応温度40〜160℃で行われることが好ましい。反応圧力は特に制限されるものではなく、常圧、加圧および減圧のいずれであってもよく、また反応時間は、上記反応が完結するように、適宜設定すればよい。
前記アルコールとしては、炭素数1〜30のアルコールであることが好ましく、炭素数1〜20のアルコールであることが好ましく、炭素数1〜8のアルコールであることがより好ましい。
<本発明の製造方法におけるその他の工程>
本発明の製造方法は、上記工程Iを含み、製造することが好ましい。ただし、本発明の製造方法が、上記工程Iと上記工程IIとを含む場合、工程IIの後に工程Iを行っても良く、工程Iと工程IIとを同時に行っても良い。
本発明の製造方法は、反応工程(好ましくは工程I)を含むが、任意の他の工程を含むことができる。例えば、反応を溶媒の存在下で行った場合に溶媒を留去する工程(溶媒留去工程)、エステル交換工程、エステル化工程、反応触媒を使用した場合に触媒を失活させる工程、反応生成物を溶剤で希釈する工程、反応生成物を溶剤や水で洗浄する工程(洗浄工程)、反応生成物を活性炭や無機吸着剤等の固体吸着剤で処理する工程、不純物を溶剤で抽出する工程、反応生成物や反応原料をろ過する工程、反応後に後加熱する工程などである。
[本発明の多価エステル化合物の用途]
本発明の多価エステル化合物は、上記のとおり、可塑剤として使用することができるが、本発明の多価エステル化合物の溶剤効果、低温安定性、ゴム膨潤抑制効果などを利用して、オフセット印刷を目的とした印刷インキ溶剤、印刷インキ組成物及び印刷機用インキ洗浄剤、プラスチック添加剤、帯電防止剤、バイオディーゼル、燃料又はその添加剤、電気絶縁油、潤滑油、流出油回収剤、工業用洗浄剤、塗料用溶剤、ウレタン減粘剤、接着剤用溶剤、反応、分離精製及び抽出用溶剤、繊維工業用溶剤、などに利用することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<生成比率>
多価エステル組成物中の一般式(1)に示す化合物の生成比率は、ガスクロマトグラフ(GC−2014(商品名)、SHIMADZU社製、キャピラリーカラム InertCap1(商品名)、ジーエルサイエンス社製、長さ30m×内径0.25mm、膜厚0.25μm)を使用して測定した。
<耐折り曲げ試験>
得られた試験片を180度折り曲げて、折り曲げ部の変化を目視で評価を行った。
○:折り曲げ部に白化は見られない。
×:折り曲げ部に白化が見られる、もしくは、割れが生じる。
<耐ブリードアウト性試験>
得られた試験片を室内に保管し、1週間後に耐ブリードアウト性を評価した。
○:ブリードアウトなし
×:ブリードアウトあり。
<合成例1−1>
ガス導入管、還流冷却管、温度計、滴下漏斗および撹拌器を付けた500mL四つ口フラスコにマロン酸ジエチル128.2g、トルエン100g、触媒としてナトリウムエトキシド(20質量%エタノール溶液)2.7gを加え、7%酸素ガス(93%窒素ガス)を吹きこみながら、アクリル酸エチル80.2gを0℃〜10℃で2時間かけて滴下し、さらに1時間撹拌することで反応を行った。反応終了後、トルエン100gを加え、水200gで3回洗浄を行った。洗浄後、エバポレーターによってトルエンを留去し、さらに0.5kPaまで減圧下、液温137℃まで加熱し、残存するトルエンを留去することで多価エステル組成物(1)189.5gを得た。ガスクロマトグラフによる分析の結果、1,1,3−プロパントリカルボン酸トリエチルエステルおよび1,3,3,5−ペンタンテトラカルボン酸テトラエチルエステルが得られ、合計した純度は97.8%であり面積比は82:18であった。
なお、多価エステル組成物(1)は室温で液状であり、トルエンは検出限界以下であった。
<合成例1−2>
ガス導入管、還流冷却管、温度計、滴下漏斗および撹拌器を付けた300mL四つ口フラスコに、合成例1−1で合成した多価エステル組成物(1)48.8g、トルエン460g、ナトリウムエトキシド (20質量%エタノール溶液)1.0gを加え、7%酸素ガス(93%窒素ガス)を吹きこみながら、1,4−ブタンジオールジアクリレート16.6gを20℃〜30℃で1時間かけて滴下し、さらに0℃で1時間撹拌することで反応を行った。反応終了後、トルエン150g を加え、水200gで3回洗浄を行った。洗浄後、エバポレーターによってトルエンを留去し、さらに0.2kPaまで減圧下、液温227℃まで加熱し、残存するトルエンを留去することで、本発明の多価エステル組成物(2)54.0gを得た。ガスクロマトグラフによる分析の結果、ビス(ペンタン−1,3,3,6−テトラカルボン酸)−O’1,O1−(1,4−ブタンジイル)−3,3,3’,3’,5,5’−ヘキサエチルエステルが主成分であり、純度は79.6%であった。
なお、多価エステル組成物(2)は室温で液状であり、トルエンは検出限界以下であった。
得られたビス(ペンタン−1,3,3,6−テトラカルボン酸)−O’1,O1−(1,4−ブタンジイル)−3,3,3’,3’,5,5’−ヘキサエチルエステルのHNMRを図1に記す。
HNMR(600MHz,CDCl3,δ in ppm):
1.21−1.32(m,18H),1.37(br,4H),2.05−2.26(m,8H),2.26−2.41(m,8H)4.06(t,4H),4.13(q,4H),4.19(q,8H)
<合成例2−1>
ガス導入管、還流冷却管、温度計、滴下漏斗および撹拌器を付けた1L四つ口フラスコにマロン酸ジエチル256.3g、トルエン200g、触媒としてナトリウムエトキシド(20質量%エタノール溶液)5.5gを加え、7%酸素ガス(93%窒素ガス)を吹きこみながら、アクリル酸エチル339.3gを0℃〜10℃で2.5時間かけて滴下し、さらに30分撹拌することで反応を行った。反応終了後、トルエン200gを加え、水400gで3回洗浄を行った。洗浄後、エバポレーターによってトルエンを留去し、さらに0.6kPaまで減圧下、液温130℃まで加熱し、残存するトルエンを留去することで多価エステル組成物(1)566.8gを得た。ガスクロマトグラフによる分析の結果、1,3,3,5−ペンタンテトラカルボン酸テトラエチルエステルが主成分であり、純度は99.8%であった。
なお、多価エステル組成物(3)は室温で液状であり、トルエンは検出限界以下であった。
<合成例2−2>
冷却管、温度計、ディーンスターク、撹拌器を付けた300mL4つ口フラスコに合成例2−1で合成した多価エステル(3)72.1g、1,4−ブタンジオール6.0g、トルエン100gを加え、触媒としてチタンテトライソプロポキシド1.1gを加え、オイルバス温度145℃で加熱下4時間反応を実施した。反応中はディーンスタークからエタノールとトルエンの混合液を抜出し、同時に反応液温が130〜140℃に保たれるようにトルエンを添加した。反応後、水100g、トルエン100gを加え、40℃にて30分撹拌を行い、発生した固体をろ過により除いた。その後、水100gで3回洗浄し、さらに0.5kPaまで減圧下、液温125℃まで加熱し、残存するトルエンを留去することで本発明の多価エステル組成物(4)68.8gを得た。ガスクロマトグラフによる分析の結果、生じたビス(ペンタン−1,3,3,6−テトラカルボン酸)−O’1,O1−(1,4−ブタンジイル)−3,3,3’,3’,5,5’−ヘキサエチルエステルの純度は26.2%であった。
なお、多価エステル組成物(4)は室温で液状であり、トルエンは検出限界以下であった。
<実施例1>
ポリメタクリル酸メチル(アルドリッチ社製、質量平均分子量35万)100質量部に対し、合成例1−2で得られた多価エステル組成物(2)を10質量部添加後、溶融混練し、得られた樹脂を、押し出し機を用いて0.5mmのフィルム試験片を得た。この試験片について耐折り曲げ性試験及び耐ブリードアウト性試験を行った。結果を表1に示す。
<実施例2>
実施例1において、多価エステル組成物(2)の代わりに多価エステル組成物(4)を用いる他は実施例1と同様にして、フィルム試験片を得た。この試験片について耐折り曲げ性試験及び耐ブリードアウト性試験を行った。結果を表1に示す。
<比較例1>
実施例1において、多価エステル組成物(2)を使用しない他は実施例1と同様にして、フィルム試験片を得た。この試験片について耐折り曲げ性試験及び耐ブリードアウト性試験を行った。結果を表1に示す。
表1の結果から、本発明の多価エステル組成物は、アクリル樹脂フィルムの耐折り曲げ性の改善効果が良好であり、耐ブリードアウト性にも優れることが明らかとなった。
また、室温で液状であることから取り扱いに優れ、低分子量の化合物の含有量を低く設定可能であることから、不揮発性もしくは低揮発性の組成物とすることができることが明らかとなった。
Figure 2017128510

Claims (5)

  1. 少なくとも2個のエステル基と少なくとも1個の連結部位とを有する原子団(A)と、連結部(B)とを有する多価エステル化合物であって、
    該多価エステル化合物は該原子団(A)を少なくとも2つ有し、
    該原子団(A)は、該連結部(B)を介して他の該原子団(A)と結合しており、
    該原子団(A)は、下記一般式(1)で表され、それぞれの原子団(A)は同一であっても異なっても良く、
    該連結部(B)は、少なくとも1の炭素原子を有する2価以上の基である、
    多価エステル化合物。
    Figure 2017128510
    上記一般式(1)において、R〜R、R〜R12は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、−COOR基、−CHCOOR基、−CHCHCOOR基、又は、連結部位を表し、R、R、は、それぞれ独立に、−COOR基、−CN基、−COCH基、又は、連結部位を表し、該Rは置換または無置換のアルキル基を表し、該連結部位は、−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−O−、−CH−O−、−CH−NH−、−CHCH−C(=O)−O−または−CHCH−O−であり、l、m、nはそれぞれ独立に、0〜20の数を表し(ただし、l+m+nは1以上の数を表す)、R〜R11、Rが原子団(A)内にそれぞれ2以上ある場合には、それらは同一であっても異なっても良い。
  2. 上記連結部位が−C(=O)−O−である、請求項1に記載の多価エステル化合物。
  3. 上記一般式(1)におけるnが1であり、mが1〜20であり、R12が−COO−で表される連結部位である、請求項1に記載の多価エステル化合物。
  4. 下記一般式(2)で表される化合物と、水酸基および/またはアミノ基を2以上含む化合物とを反応させる、請求項1に記載の多価エステル化合物の製造方法。
    Figure 2017128510
    上記一般式(2)において、R〜R、R〜R12は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキル基、−COOR基、−CHCOOR基、又は、−CHCHCOOR基を表し、R、R、は、それぞれ独立に、−COOR基、−CN基、−COCH基、を表し、該Rは置換または無置換のアルキル基を表し、l、m、nはそれぞれ独立に、0〜20の数を表し(ただし、l+m+nは1以上の数を表す)、R〜R11、Rが分子内にそれぞれ2以上ある場合には、それらは同一であっても異なっても良い。
  5. 下記一般式(3)で表される化合物と、下記一般式(4)で表される化合物とを反応させる、請求項1に記載の多価エステル化合物の製造方法。
    Figure 2017128510
    上記一般式(3)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、−COOR基、−CH2COOR基、又は、−CH2CH2COOR基を表し、R、R、は、それぞれ独立に、−COORa基、−CN基、−COCH基、を表し、該Rは置換または無置換のアルキル基を表し、R12は水素原子を表し、nは0〜20の数を表し、mは1〜20の数を表し、R〜R、Rが分子内にそれぞれ2以上ある場合には、それらは同一であっても異なっても良い。
    Figure 2017128510
    上記一般式(4)において、Xは、同一若しくは異なって、−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−O−、−CH−O−、−CH−NH−、−CHCH−O−、であり、Rは1以上の炭素原子を含むn価の連結基であり、nは1〜10の数を表す。
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