まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。尚、以下の説明において、図1の手前側をパチンコ遊技機1の前方(前面、正面)側、奥側を背面(後方)側として説明する。尚、本実施例におけるパチンコ遊技機1の前面とは、遊技者側からパチンコ遊技機1を見たときに該遊技者と対向する対向面である。
図1は、本実施例におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機1(以下、遊技機と略記する場合がある)は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤2(ゲージ盤)と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠3(台枠)とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレールによって囲まれた、ほぼ円形状の遊技領域が形成されている。この遊技領域には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打ち込まれる。
遊技盤2の所定位置(図1に示す例では、遊技領域の右側方)には、第1特別図柄表示器4Aと、第2特別図柄表示器4Bとが設けられている。第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bはそれぞれ、例えば7セグメントやドットマトリクスのLED(発光ダイオード)等から構成され、変動表示ゲームの一例となる特図ゲームにおいて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(特別識別情報)である特別図柄(「特図」ともいう)が、変動可能に表示(変動表示または可変表示ともいう)される。例えば、第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bはそれぞれ、「0」〜「9」を示す数字や「−」を示す記号等から構成される複数種類の特別図柄を変動表示する。
以下では、第1特別図柄表示器4Aにおいて変動表示される特別図柄を「第1特図」ともいい、第2特別図柄表示器4Bにおいて変動表示される特別図柄を「第2特図」ともいう。
遊技盤2における遊技領域の中央付近には、演出表示装置5が設けられている。演出表示装置5は、例えばLCD(液晶表示装置)等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。演出表示装置5の表示領域では、特図ゲームにおける第1特別図柄表示器4Aによる第1特図の変動表示や第2特別図柄表示器4Bによる第2特図の変動表示のそれぞれに対応して、例えば3つといった複数の変動表示部となる演出図柄表示エリアにて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(装飾識別情報)である演出図柄が変動表示される。この演出図柄の変動表示も、変動表示ゲームに含まれる。
一例として、演出表示装置5の表示領域には、「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリア5L,5C,5Rが配置されている。そして、特図ゲームにおいて第1特別図柄表示器4Aにおける第1特図の変動と第2特別図柄表示器4Bにおける第2特図の変動のうち、いずれかが開始されることに対応して、「左」、「中」、「右」の各演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにおいて演出図柄(飾り図柄ともいう)の変動(例えば上下方向のスクロール表示)が開始される。その後、特図ゲームにおける変動表示結果として確定特別図柄が停止表示されるときに、演出表示装置5における「左」、「中」、「右」の各演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにて、演出図柄の変動表示結果となる確定演出図柄(最終停止図柄)が停止表示される。
このように、演出表示装置5の表示領域では、第1特別図柄表示器4Aにおける第1特図を用いた特図ゲーム、または、第2特別図柄表示器4Bにおける第2特図を用いた特図ゲームと同期して、各々が識別可能な複数種類の演出図柄の変動表示を行い、変動表示結果となる確定演出図柄を導出表示(あるいは単に「導出」ともいう)する。尚、例えば特別図柄や演出図柄といった、各種の表示図柄を導出表示するとは、演出図柄等の識別情報を停止表示(完全停止表示や最終停止表示ともいう)して変動表示を終了させることである。
「左」、「中」、「右」の各演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにて変動表示される演出図柄には、例えば8種類の図柄(英数字「1」〜「8」あるいは漢数字や、英文字、所定のモチーフに関連する8個のキャラクタ画像、数字や文字あるいは記号とキャラクタ画像との組合せなどであればよく、キャラクタ画像は、例えば人物や動物、これら以外の物体、もしくは、文字などの記号、あるいは、その他の任意の図形を示す飾り画像であればよい)で構成される。演出図柄のそれぞれには、対応する図柄番号が付されている。例えば、「1」〜「8」を示す英数字それぞれに対して、「1」〜「8」の図柄番号が付されている。尚、演出図柄は8種類に限定されず、「大当り」となる組合せや「はずれ」となる組合せなど適当な数の組合せを構成可能であれば、何種類であってもよい(例えば7種類や9種類など)。
演出表示装置5の表示領域の下部の左右2箇所には、第1保留記憶表示エリア5D、第2保留記憶表示エリア5Uが設定されている。第1保留記憶表示エリア5D、第2保留記憶表示エリア5Uでは、特図ゲームに対応した変動表示の保留記憶数(特図保留記憶数)を特定可能に表示する保留記憶表示が行われる。
ここで、特図ゲームに対応した変動表示の保留は、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口や、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口を、遊技球が通過(進入)することによる始動入賞に基づいて発生する。すなわち、特図ゲームや演出図柄の変動表示といった変動表示ゲームを実行するための始動条件(「実行条件」ともいう)は成立したが、先に成立した開始条件に基づく変動表示ゲームが実行中であることやパチンコ遊技機1が大当り遊技状態に制御されていることなどにより、変動表示ゲームの開始を許容する開始条件が成立していないときに、成立した始動条件に対応する変動表示の保留が行われる。本実施例では、第1始動入賞口を遊技球が通過(進入)することによる始動入賞に基づいて発生した保留記憶表示を丸型の白色表示とし、第2始動入賞口を遊技球が通過(進入)することによる始動入賞に基づいて発生した保留記憶表示を同様に丸型の白色表示とする。
図1に示す例では、保留記憶表示エリアとともに、第1特別図柄表示器4A及び第2特別図柄表示器4Bの上部に、特図保留記憶数を特定可能に表示するための第1保留表示器25Aと第2保留表示器25Bとが設けられている。第1保留表示器25Aは、第1特図保留記憶数を特定可能に表示する。第2保留表示器25Bは、第2特図保留記憶数を特定可能に表示する。
演出表示装置5の下方には、普通入賞球装置6Aと、普通可変入賞球装置6Bとが設けられている。普通入賞球装置6Aは、例えば所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれる始動領域(第1始動領域)としての第1始動入賞口を形成する。普通可変入賞球装置6Bは、図2に示す普通電動役物用となるソレノイド81によって、垂直位置となる通常開放状態と傾動位置となる拡大開放状態とに変化する一対の可動翼片を有する電動チューリップ型役物(普通電動役物)を備え、始動領域(第2始動領域)としての第2始動入賞口を形成する。
一例として、普通可変入賞球装置6Bでは、普通電動役物用のソレノイド81がオフ状態であるときに可動翼片が垂直位置となることにより、遊技球が第2始動入賞口を通過(進入)しがたい通常開放状態となる。その一方で、普通可変入賞球装置6Bでは、普通電動役物用のソレノイド81がオン状態であるときに可動翼片が傾動位置となる傾動制御により、遊技球が第2始動入賞口を通過(進入)しやすい拡大開放状態となる。
普通入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口を通過(進入)した遊技球は、例えば図2に示す第1始動口スイッチ22Aによって検出される。普通可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口を通過(進入)した遊技球は、例えば図2に示す第2始動口スイッチ22Bによって検出される。第1始動口スイッチ22Aによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第1特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)未満であれば、第1始動条件が成立する。第2始動口スイッチ22Bによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第2特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)未満であれば、第2始動条件が成立する。尚、第1始動口スイッチ22Aによって遊技球が検出されたことに基づいて払い出される賞球の個数と、第2始動口スイッチ22Bによって遊技球が検出されたことに基づいて払い出される賞球の個数は、互いに同一の個数であってもよいし、異なる個数であってもよい。
普通入賞球装置6Aと普通可変入賞球装置6Bの下方位置には、特別可変入賞球装置7が設けられている。特別可変入賞球装置7は、図2に示す大入賞口扉用となるソレノイド82によって開閉駆動される大入賞口扉を備え、その大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する特定領域としての大入賞口を形成する。
一例として、特別可変入賞球装置7では、大入賞口扉用のソレノイド82がオフ状態であるときに大入賞口扉が大入賞口を閉鎖状態として、遊技球が大入賞口を通過(進入)できなくする。その一方で、特別可変入賞球装置7では、大入賞口扉用のソレノイド82がオン状態であるときに大入賞口扉が大入賞口を開放状態として、遊技球が大入賞口を通過(進入)しやすくする。このように、特定領域としての大入賞口は、遊技球が通過(進入)しやすく遊技者にとって有利な開放状態と、遊技球が通過(進入)できず遊技者にとって不利な閉鎖状態とに変化する。尚、遊技球が大入賞口を通過(進入)できない閉鎖状態に代えて、あるいは閉鎖状態の他に、遊技球が大入賞口を通過(進入)しにくい一部開放状態を設けてもよい。
大入賞口を通過(進入)した遊技球は、例えば図2に示すカウントスイッチ23によって検出される。カウントスイッチ23によって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、特別可変入賞球装置7において開放状態となった大入賞口を遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口や第2始動入賞口といった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出される。したがって、特別可変入賞球装置7において大入賞口が開放状態となれば、その大入賞口に遊技球が進入可能となり、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置7において大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることが不可能または困難になり、遊技者にとって不利な第2状態となる。
遊技盤2の所定位置(図1に示す例では、遊技領域の左側方)には、普通図柄表示器20が設けられている。一例として、普通図柄表示器20は、第1特別図柄表示器4Aや第2特別図柄表示器4Bと同様に7セグメントやドットマトリクスのLED等から構成され、特別図柄とは異なる複数種類の識別情報である普通図柄(「普図」あるいは「普通図」ともいう)を変動可能に表示(変動表示)する。このような普通図柄の変動表示は、普図ゲーム(「普通図ゲーム」ともいう)と称される。
普通図柄表示器20の上方には、普図保留表示器25Cが設けられている。普図保留表示器25Cは、例えば4個のLEDを含んで構成され、通過ゲート41を通過した有効通過球数としての普図保留記憶数を表示する。
遊技盤2の表面には、上記の構成以外にも、遊技球の流下方向や速度を変化させる風車及び多数の障害釘が設けられている。また、第1始動入賞口、第2始動入賞口及び大入賞口とは異なる入賞口として、例えば所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれる単一または複数の一般入賞口が設けられてもよい。この場合には、一般入賞口のいずれかに進入した遊技球が所定の一般入賞球スイッチによって検出されたことに基づき、所定個数(例えば10個)の遊技球が賞球として払い出されればよい。遊技領域の最下方には、いずれの入賞口にも進入しなかった遊技球が取り込まれるアウト口が設けられている。
遊技機用枠3の左右上部位置には、効果音等を再生出力するためのスピーカ8L,8Rが設けられており、さらに遊技領域周辺部には、遊技効果ランプ9が設けられている。尚、本実施例では、2つのスピーカ8L,8Rを遊技機用枠3の左右上部位置に設けた形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、遊技機用枠3の下方位置に更に2つのスピーカを設けたり、低音出力用のウーハーを設けるようにしても良い。また、遊技機用枠3の下方位置にスピーカ8L,8Rに似せた装飾物を設けるようにしても良い。
また、パチンコ遊技機1の遊技領域における各構造物(例えば普通入賞球装置6A、普通可変入賞球装置6B、特別可変入賞球装置7等)の周囲には、装飾用LEDが配置されていてもよい。遊技機用枠3の右下部位置には、遊技媒体としての遊技球を遊技領域に向けて発射するために遊技者等によって操作される打球操作ハンドル(操作ノブ)が設けられている。例えば、打球操作ハンドルは、遊技者等による操作量(回転量)に応じて遊技球の弾発力を調整する。打球操作ハンドルには、打球発射装置が備える発射モータの駆動を停止させるための単発発射スイッチや、タッチリング(タッチセンサ)が設けられていればよい。
遊技領域の下方における遊技機用枠3の所定位置には、賞球として払い出された遊技球や所定の球貸機により貸し出された遊技球を、打球発射装置へと供給可能に保持(貯留)する上皿90(打球供給皿)が設けられている。遊技機用枠3の下部には、上皿90から溢れた余剰球などを、パチンコ遊技機1の外部へと排出可能に保持(貯留)する下皿95が設けられている。
下皿95を形成する部材には、例えば下皿95本体の上面における手前側の所定位置(例えば下皿の中央部分)などに、遊技者が把持して傾倒操作が可能なスティックコントローラ31Aが取り付けられている。スティックコントローラ31Aは、遊技者が把持する操作桿を含み、操作桿の所定位置(例えば遊技者が操作桿を把持したときに操作手の人差し指が掛かる位置など)には、トリガボタンが設けられている。トリガボタンは、遊技者がスティックコントローラ31Aの操作桿を操作手(例えば左手など)で把持した状態において、所定の操作指(例えば人差し指など)で押引操作することなどにより所定の指示操作ができるように構成されていればよい。操作桿の内部には、トリガボタンに対する押引操作などによる所定の指示操作を検知するトリガセンサが内蔵されていればよい。
スティックコントローラ31Aの下部における下皿95の本体内部などには、操作桿に対する傾倒操作を検知する傾倒方向センサユニットを含むコントローラセンサユニットが設けられていればよい。例えば、傾倒方向センサユニットは、パチンコ遊技機1と正対する遊技者の側からみて操作桿の中心位置よりも左側で遊技盤2の盤面と平行に配置された2つの透過形フォトセンサ(平行センサ対)と、この遊技者の側からみて操作桿の中心位置よりも右側で遊技盤2の盤面と垂直に配置された2つの透過形フォトセンサ(垂直センサ対)とを組み合わせた4つの透過形フォトセンサを含んで構成されていればよい。
上皿90を形成する部材には、例えば上皿90本体の上面における手前側の所定位置(例えばスティックコントローラ31Aの上方)などに、遊技者が押下操作などにより所定の指示操作を可能なプッシュボタン31Bが設けられている。プッシュボタン31Bは、遊技者からの押下操作などによる所定の指示操作を、機械的、電気的、あるいは、電磁的に、検出できるように構成されていればよい。プッシュボタン31Bの設置位置における上皿90の本体内部などには、プッシュボタン31Bに対してなされた遊技者の操作行為を検知するプッシュセンサが設けられていればよい。
パチンコ遊技機1には、例えば図2に示すような主基板11、演出制御基板12、音声制御基板13、ランプ制御基板14といった、各種の制御基板が搭載されている。また、パチンコ遊技機1には、主基板11と演出制御基板12との間で伝送される各種の制御信号を中継するための中継基板15なども搭載されている。その他にも、パチンコ遊技機1における遊技盤2などの背面には、払出装置63による遊技球の払出を制御するための払出制御基板91や、情報端子基板、発射制御基板、インタフェース基板などといった、各種の基板が配置されている。
主基板11は、メイン側の制御基板であり、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための各種回路が搭載されている。主基板11は、主として、特図ゲームにおいて用いる乱数の設定機能、所定位置に配設されたスイッチ等からの信号の入力を行う機能、演出制御基板12などからなるサブ側の制御基板に宛てて、指令情報の一例となる制御コマンドを制御信号として出力して送信する機能、ホールの管理コンピュータに対して各種情報を出力する機能などを備えている。また、主基板11は、第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bを構成する各LED(例えばセグメントLED)などの点灯/消灯制御を行って第1特図や第2特図の変動表示を制御することや、普通図柄表示器20の点灯/消灯/発色制御などを行って普通図柄表示器20による普通図柄の変動表示を制御することといった、所定の表示図柄の変動表示を制御する機能も備えている。
主基板11には、例えば遊技制御用マイクロコンピュータ100や、遊技球検出用の各種スイッチからの検出信号を取り込んで遊技制御用マイクロコンピュータ100に伝送するスイッチ回路110、遊技制御用マイクロコンピュータ100からのソレノイド駆動信号をソレノイド81,82に伝送するソレノイド回路111などが搭載されている。
演出制御基板12は、主基板11とは独立したサブ側の制御基板であり、中継基板15を介して主基板11から伝送された制御信号を受信して、演出表示装置5、スピーカ8L,8R及び遊技効果ランプ9といった演出用の電気部品による演出動作を制御するための各種回路が搭載されている。すなわち、演出制御基板12は、演出表示装置5における表示動作や、スピーカ8L,8Rからの音声出力動作の全部または一部、遊技効果ランプ9などにおける点灯/消灯動作の全部または一部といった、演出用の電気部品に所定の演出動作を実行させるための制御内容を決定する機能を備えている。
音声制御基板13は、演出制御基板12とは別個に設けられた音声出力制御用の制御基板であり、演出制御基板12からの指令や制御データなどに基づき、スピーカ8L,8Rから音声を出力させるための音声信号処理を実行する処理回路などが搭載されている。ランプ制御基板14は、演出制御基板12とは別個に設けられたランプ出力制御用の制御基板であり、演出制御基板12からの指令や制御データなどに基づき、遊技効果ランプ9などにおける点灯/消灯駆動を行うランプドライバ回路などが搭載されている。
図2に示すように、主基板11には、ゲートスイッチ21、第1始動口スイッチ22A、第2始動口スイッチ22B、カウントスイッチ23からの検出信号を伝送する配線が接続されている。尚、ゲートスイッチ21、第1始動口スイッチ22A、第2始動口スイッチ22B、カウントスイッチ23は、例えばセンサと称されるものなどのように、遊技媒体としての遊技球を検出できる任意の構成を有するものであればよい。また、主基板11には、第1特別図柄表示器4A、第2特別図柄表示器4B、普通図柄表示器20、第1保留表示器25A、第2保留表示器25B、普図保留表示器25Cなどの表示制御を行うための指令信号を伝送する配線が接続されている。
主基板11から演出制御基板12に向けて伝送される制御信号は、中継基板15によって中継される。中継基板15を介して主基板11から演出制御基板12に対して伝送される制御コマンドは、例えば電気信号として送受信される演出制御コマンドである。演出制御コマンドには、例えば演出表示装置5における画像表示動作を制御するために用いられる表示制御コマンドや、スピーカ8L,8Rからの音声出力を制御するために用いられる音声制御コマンド、遊技効果ランプ9や装飾用LEDの点灯動作などを制御するために用いられるランプ制御コマンドが含まれている。
主基板11に搭載された遊技制御用マイクロコンピュータ100は、例えば1チップのマイクロコンピュータであり、遊技制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM(Read Only Memory)101と、遊技制御用のワークエリアを提供するRAM(Random Access Memory)102と、遊技制御用のプログラムを実行して制御動作を行うCPU(Central Processing Unit)103と、CPU103とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路104と、I/O(Input/Outputport)105とを備えて構成される。
一例として、遊技制御用マイクロコンピュータ100では、CPU103がROM101から読み出したプログラムを実行することにより、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための処理が実行される。このときには、CPU103がROM101から固定データを読み出す固定データ読出動作や、CPU103がRAM102に各種の変動データを書き込んで一時記憶させる変動データ書込動作、CPU103がRAM102に一時記憶されている各種の変動データを読み出す変動データ読出動作、CPU103がI/O105を介して遊技制御用マイクロコンピュータ100の外部から各種信号の入力を受け付ける受信動作、CPU103がI/O105を介して遊技制御用マイクロコンピュータ100の外部へと各種信号を出力する送信動作なども行われる。
これら遊技の進行の制御として遊技制御用マイクロコンピュータ100(CPU103)は、遊技球が第1始動入賞口や第2始動入賞口に入賞したことにもとづいて、乱数回路104から抽出した乱数(大当り判定用乱数)を用いて該始動入賞にもとづく変動表示において大当りとするか否かを決定する抽選を行う処理や、乱数回路104から抽出した乱数(変動パターン判定用乱数)を用いて変動パターン(変動表示時間)を複数の変動パターンのうちから決定して該決定した変動パターンを設定する処理を行う。また、大当り遊技状態における特別可変入賞球装置7の大入賞口扉を開閉する処理や、大当り遊技終了後の遊技状態を、遊技状態フラグ等を更新する等によって変動表示時間の短い変動パターンが決定されやすい時短状態や大当りの抽選確率が通常状態よりも高確率(例えば、通常状態(低確率状態)の10倍)となる確変状態とする処理や、時短状態や確変状態とする変動回数を設定(セット)するともに、該セットされた変動回数が実行されたときに時短状態や確変状態を終了する処理等を行う。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ100(より具体的にはCPU103)は、ROM101から読み出したプログラムを実行することにより、払出装置63を駆動することで遊技球を上皿90に払い出させるための払出信号を、払出制御基板91に対して出力可能となっている。
払出制御基板91は、払出信号を受信したことにもとづいて所定球数(例えば、3球、10球、15球)の遊技球を上皿90に払い出すために駆動する。尚、払出制御基板91には、後述する遊技球経路ユニット200内に設けられた検出センサ320が接続されており、該検出センサ320から受信する遊技球検出信号の態様に応じて払出装置63の駆動を停止することが可能となっている。
図2に示すように、演出制御基板12には、プログラムに従って制御動作を行う演出制御用CPU120と、演出制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM121と、演出制御用CPU120のワークエリアを提供するRAM122と、演出表示装置5における表示動作の制御内容を決定するための処理などを実行する表示制御部123と、演出制御用CPU120とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路124と、I/O125とが搭載されている。
一例として、演出制御基板12では、演出制御用CPU120がROM121から読み出した演出制御用のプログラムを実行することにより、演出用の電気部品による演出動作を制御するための処理が実行される。このときには、演出制御用CPU120がROM121から固定データを読み出す固定データ読出動作や、演出制御用CPU120がRAM122に各種の変動データを書き込んで一時記憶させる変動データ書込動作、演出制御用CPU120がRAM122に一時記憶されている各種の変動データを読み出す変動データ読出動作、演出制御用CPU120がI/O125を介して演出制御基板12の外部から各種信号の入力を受け付ける受信動作、演出制御用CPU120がI/O125を介して演出制御基板12の外部へと各種信号を出力する送信動作なども行われる。
尚、演出制御基板12の側においても、主基板11と同様に、例えば、予告演出等の各種の演出の種別を決定するための乱数値(演出用乱数ともいう)が設定されている。
図2に示す演出制御基板12に搭載されたROM121には、演出制御用のプログラムの他にも、演出動作を制御するために用いられる各種のデータテーブルなどが格納されている。例えば、ROM121には、演出制御用CPU120が各種の判定や決定、設定を行うために用意された複数の判定テーブルを構成するテーブルデータ、各種の演出制御パターンを構成するパターンデータなどが記憶されている。
一例として、ROM121には、演出制御用CPU120が各種の演出装置(例えば演出表示装置5やスピーカ8L,8R、遊技効果ランプ9及び装飾用LED、演出用模型など)による演出動作を制御するために使用する演出制御パターンを複数種類格納した演出制御パターンテーブルが記憶されている。演出制御パターンは、パチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて実行される各種の演出動作に対応して、その制御内容を示すデータなどから構成されている。演出制御パターンテーブルには、例えば特図変動時演出制御パターンと、予告演出制御パターンと、各種演出制御パターン等が、格納されていればよい。
特図変動時演出制御パターンは、複数種類の変動パターンに対応して、特図ゲームにおいて特別図柄の変動が開始されてから特図表示結果となる確定特別図柄が導出表示されるまでの期間における、演出図柄の変動表示動作やリーチ演出、再抽選演出などにおける演出表示動作、あるいは、演出図柄の変動表示を伴わない各種の演出表示動作といった、様々な演出動作の制御内容を示すデータなどから構成されている。予告演出制御パターンは、例えば、予め複数パターンが用意された予告パターンに対応して実行される予告演出となる演出動作の制御内容を示すデータなどから構成されている。各種演出制御パターンは、パチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて実行される各種の演出動作に対応して、その制御内容を示すデータなどから構成されている。
特図変動時演出制御パターンのうちには、例えばリーチ演出を実行する変動パターンごとに、それぞれのリーチ演出における演出態様を異ならせた複数種類のリーチ演出制御パターンが含まれてもよい。
次に、図3及び図4に基づいて、パチンコ遊技機1の背面構造について説明する。図3は、パチンコ遊技機を示す背面図である。図4は、パチンコ遊技機を示す左側面図である。
図3に示すように、パチンコ遊技機1の遊技機用枠3は、パチンコ遊技機1を設置する遊技島(図示略)に固定される四角枠状の外枠60の左側辺を中心として開閉可能に設けられている。遊技機用枠3の背面上辺部には、遊技島(図示略)から供給される遊技球を貯留可能な球タンク61が配設されており、球タンク61に貯留された遊技球は、球タンク61から左側に向けて延設された後に下方に屈曲する供給経路62を流下して払出装置63に誘導される。
払出装置63の下方には、遊技球経路ユニット200が設けられている。図4に示すように、遊技球経路ユニット200には、払出装置63から払い出された遊技球を上皿90に誘導するための第1経路201と、払出装置63から払い出された遊技球を下皿95に誘導するための第2経路202と、球タンク61及び供給経路62にあり、払出装置63によって誘導される遊技球を、下皿95に誘導する球抜き経路203と、第1経路201及び第2経路202の上流に形成された共通経路204及び放出経路205と、が形成されている。
図3に示すように、払出装置63は、略直方体状に形成されるケース体からなる。この払出装置63の内部には、特に詳細な図示はしないが、遊技球を所定球数(例えば、1球)ずつ払い出すためのスプロケット、該スプロケットを回転させるための払出モータ、遊技球の流路を共通経路204または球抜き経路203に切り替え可能な切替弁、該切替弁の切り替え操作を行うための操作レバー等が設けられている。
次に、遊技球経路ユニット200の構造について、図5〜図11に基づいて説明する。図5は、遊技球経路ユニットの斜視図である。図6は、遊技球経路ユニットの分解斜視図である。図7は、カバー体の図示を省略した遊技球経路ユニットの分解斜視図である。図8は、図6中の切断線VIII−VIIIにおける端面図である。図9は、図8中の“IX”で示した部分拡大図であり、(a)は放出経路から第1経路へと流下する遊技球を示した図、(b)は遊技球で満たされた第1経路に向けて遊技球が流下する様子を示した図である。また、図10は、図6中の切断線における端面図であり、(a)は切断線Xa−Xaにおける端面図、(b)は切断線Xb−Xbにおける端面図である。
図5、6に示すように、遊技球経路ユニット200は、ベース体210とカバー体220とが組み合わされて、左方からみて略L字状の外観が概略構成されていている。カバー体220には2つのねじ挿通孔222が形成されている。それぞれのねじ挿通孔222に挿通されたねじ241が、ベース体210に形成されたねじ孔217に締め付けられる。また、カバー体220から下方に突出して形成された係止爪221が、ベース体210に形成された被係止部216に引っ掛けられている。これにより、ベース体210とカバー体220とが組み合わされる。
組み合わされたベース体210とカバー体220との間には、図6に示すように、経路分離体230が設けられている。これらベース体210、カバー体220、及び経路分離体230によって、遊技球経路ユニット200内に第1経路201、第2経路202、球抜き経路203、共通経路204、及び放出経路205が形成されている。なお、本明細書においては、第1経路201、第2経路202、球抜き経路203、共通経路204、及び放出経路205を総称する場合には、「遊技球経路」という用語を用いるものとする。遊技球経路は、遊技球を通過させて所定位置に導くための空間であり、周囲がベース体210等で区画されている。ただし、図4、6、7に示すように、遊技球経路を通過する遊技球の軌跡(この場合、遊技球経路が延びる方向と、遊技球の軌跡とが一致)を、遊技球経路として説明する場合があるものとする。
図5に示すように、遊技球経路ユニット200の上方には、払出装置63(図4)から払い出された遊技球が共通経路204に進入するための払出球入口251と、球抜き経路203に進入するための抜き玉入口252とが形成されている。一方、遊技球経路ユニット200の下部であり、L字状に折れ曲がった先端には、第1経路201を通過した遊技球の出口である第1経路出口253と、第2経路202を通過した遊技球の出口である第2経路出口254と、球抜き経路203を通過した遊技球の出口である球抜き経路出口255とが形成されている。これら払出球入口251等の遊技球の入口の形状、及び第1経路出口253等の遊技球の出口の形状からわかるように、遊技球経路のそれぞれを、遊技球が流下する方向(図6の遊技球の流れを示す矢印の方向)に直交する面で切断すると、概ね矩形の形状をなしている。すなわち、遊技球経路のぞれぞれは、遊技球経路の左側を区画する左壁と、左壁に対向し遊技球経路の右側を区画する右壁と、左壁と右壁とを接続する対面した2つの壁体である対壁とにより区画された空間である。なお、対壁が対面する方向は、遊技球経路の経路上で、上下方向を向いていたり前後方向を向いていたりと様々であり、このように対面方向が変化することで遊技球の流下方向が変化する。
遊技球経路ユニット200内における遊技球経路について、図6〜図10を用いて説明する。
払出球入口251から進入した遊技球は、まず共通経路204を流下する。図6に示すように、共通経路204は、ベース体210に形成された左壁290と、カバー体220に形成された右壁291と、ベース体210に立設された対壁292とにより区画されている。対壁292は、遊技球を下方へと流下させる第1前後壁部292aと、遊技球の流下方向を下方から前方へと変更させる漸変壁部292bと、遊技球を再度下方へと流下させる第2前後壁部292cとから構成されている。このように、対壁292の延設方向を変更することにより、上下方向及び前後方向に平行な第1平面206内において遊技球の流下方向を変更することができる。
一方、左壁290及び右壁291の延設方向を変更することにより、上下方向及び左右方向に平行な第2平面207内において、遊技球の流下方向を変更することできる。図8に示すように、第2平面207に直交する方向から見た場合、共通経路204は、下流に向けて左下方を向いた第1区間204aと、下方を向いた第2区間204bと、下流に向けて右下方を向いた第3区間204cとを有している。このような共通経路204を流下する遊技球は、左方に遠心力を受けて、左壁290に接触しながら流下する。やがて、遊技球は、第3区間204cの左壁290下端から右下方向に放出され、放出経路205に進入する。このように、左壁290の第3区間204cの部分は、遊技球を右下方向に放出して放出経路205に進入させる遊技球放出面290aである。
また、遊技球放出面290aに対向する部分を有するとともに放出経路205の一部を区画する右壁部220aは、遊技球放出面290aと同一の方向に傾斜している。すなわち、右壁部220aは、下流に向かうにつれて右方向に向けて傾斜している。これにより、遊技球放出面290aから右下方向に放出された遊技球が、右壁部220aに接触することを抑制することができ、遊技球をスムーズに第1経路201まで到達させることができる。
放出経路205は、遊技球が遊技球放出面290aから放出されてから第1経路201に到達するまでの、遊技球の移動経路である。遊技球放出面290aが遊技球を右下に放出することにより、第2経路202の右方に位置する放出経路205を流下させることができる。これにより、遊技球は、放出経路205の左方に位置する第2経路202を飛び越え、第1経路201に進入する。
第1経路201は、図6に示すように、下方に向けて延設された後、徐々に前方に方向を変えて前方やや下方に延設された遊技球の流下経路である。第1経路201を流下した遊技球は、第1経路出口253から排出されて上皿90(図4)へと導かれる。
第1経路201は、ベース体210に形成された左壁260及び経路分離体230に形成された左壁262と、カバー体220に形成された右壁261と、対壁とによって区画されている。
なお、本実施形態における遊技球経路ユニット200においては、右壁と左壁とを接続する対壁は、右壁から立設されていたり、左壁から立設されていたり、右壁及び左壁から立設されて両者が組み合わされていたりと、その形態は様々である。そのため、右壁と左壁とを接続する対壁については説明を省略する場合があるものとする。しかしながら、対壁に関する説明を省略した遊技球経路であっても、その断面が略矩形状となるように、右壁及び左壁を接続する対壁は設けられている。
図9(a)に示すように、遊技球放出面290aから放出された遊技球が到達する第1経路201を区画する左壁260には、上方から、第1傾斜部260a、第1鉛直部260b、第2傾斜部260c、第2鉛直部260dが形成されている。第1傾斜部260aは、下流に向かうにつれて右方向に向けて傾斜しており、この傾斜方向は遊技球放出面290aの傾斜方向と同じである。第1鉛直部260bは、第1傾斜部260aの下方に接続した鉛直面から構成されている。第2傾斜部260cは、下流に向かうにつれて右方向に向けて傾斜しており、この傾斜方向は第1傾斜部260a及び遊技球放出面290aの傾斜方向と同じである。第2鉛直部260dは、第2傾斜部260cの下方に接続した鉛直面から構成されている。
このように左壁260に第1傾斜部260a及び第2傾斜部260cを設けることにより、放出された遊技球P1を第1経路201にスムーズに進入させ流下させることができる。図9(a)には、第1傾斜部260a及び第2傾斜部260cが設けられていない状態として、第1鉛直部260bを延長した第3鉛直部260e、及び第2鉛直部260dを延長した第4鉛直部260fを二点鎖線で示している。
仮に、第3鉛直部260eが設けられていると、放出経路205を流下する遊技球P2は、第3鉛直部260eの端部に衝突しやすくなる。これにより、遊技球が上方に向けて跳ね返る等、遊技球の第1経路201へのスムーズな進入が阻害されることになる。一方、第1傾斜部260aを設け、第3鉛直部260eを設けないようにすることにより、遊技球P2の衝突が防がれ、遊技球P2を第1経路201へスムーズに進入させることができる。
また、仮に、第4鉛直部260fが設けられていると、第1経路201に進入した遊技球P3は、第4鉛直部260fの端部に衝突しやすくなる。これにより、遊技球が上方に跳ね返る等、遊技球P3の第1経路201へのスムーズな流下が阻害されることになる。一方、第2傾斜部260cを設け、第4鉛直部260fを設けないようにすることにより、遊技球P3の衝突が防がれ、遊技球P3をスムーズに第1経路201に流下させることができる。
また、左壁260には、図6に示すように、下方に向けて直線状に延びた溝部260gが形成されている。遊技球Pが流下する方向(下方)から見た溝部260gの断面は、図10(a)に示すように、円弧状に窪んだ形状をなしている。遊技球放出面290a(図9(a))により放出された遊技球は、空中を流下してきたため、第1経路201に進入した際、壁体との接触によって衝撃を受けぶれやすい。そこで、左壁260に溝部260gを設けることで、遊技球Pの動きを溝部260g内で安定させることができ、流下中のぶれを低減することができる。これにより、遊技球Pをスムーズに第1経路201に流下させることができる。
第1経路201を流下する遊技球Pは、第1経路出口253から排出され上皿90(図4)へと導かれる。遊技球Pが上皿90(図4)から排出されず、遊技球の上皿90(図4)への流入が継続すると、上皿90(図4)は遊技球Pで満たされ、やがて第1経路201には遊技球Pが充満される。これにより、放出経路205を流下した遊技球Pは、第1経路201に進入することができなくなり、第2経路202(図7)へ進入するようになる。
図7に示すように、第2経路202に進入した遊技球は、一端後方へと移動した後、下方に向けて蛇行しながら流下し、その後徐々に流下方向を変更して前方へと流下する。やがて遊技球は、第2経路出口254(図5)から排出されて下皿95(図4)へと導かれる。
第2経路202の左側は、ベース体210に形成された左壁270によって区画されている。また、第2経路202の右側は、カバー体220に形成された右壁271(図6)及び経路分離体230に形成された右壁272(図7)によって区画されている。
図9(b)に示すように、カバー体220は、上下方向に沿って鉛直に立設した鉛直壁220bと、鉛直壁220bの上端に接続した傾斜壁220cとを有している。傾斜壁220cは、上流に向かうにつれて左方向に向けて傾斜している。遊技球が、第1経路201に充満していくと、やがて遊技球P4〜P6に示すように、鉛直壁220bに沿って上下方向に配列される。遊技球P4〜P6が積み重なった状態から、さらに上流から遊技球P7が流下していくと、遊技球P8に示すように遊技球P6上に重なる。このように遊技球P6上に重なった遊技球P8は、傾斜壁220cに接触するため、傾斜壁220cの傾斜した分だけ、遊技球P6よりも左方に位置する。そのため、遊技球P8は、遊技球P6上から左下方へと転がり落ちやすい。転がり落ちた遊技球P8は、遊技球P9に示すように、第2経路202を区画する傾斜壁273に到達する。このように、第1経路201に遊技球が充満すると、放出経路205を流下してきた遊技球は第1経路201に進入することなく、第2経路202に進入する。
また、図9(b)に示すように、傾斜壁220cの上流には、段差220dが形成されている。この段差220dを境にして、上流側の壁体は左方に、下流側の壁体は右方に位置している。このような段差220dを形成することにより、積み重なった遊技球P6や、傾斜壁273等に遊技球が衝突して、上方に跳ね返ったとしても、段差220dで跳ね返すことができる。これにより、遊技球の逆流を抑制することができ、遊技球をスムーズに流下させることができる。
遊技球P9(図9(b))が到達する傾斜壁273は、図7に示すように、後方に向かうにつれ下方に傾斜した傾斜面を有している。そのため、傾斜壁273に到達した遊技球P9(図9(b))を、後下方へと流下させることができ、その後下方に向けて流下させることができる。これにより、第2経路202に進入した遊技球をスムーズに下流へと導くことができる。
また、図10(b)に示すように、ベース体210の前壁274と左壁270との交差部には、両壁を接続する断面が三角形状の傾斜部275が形成されている。この傾斜部275は、図7に示す上壁276と傾斜壁273との間の全区間にわたって形成されている。上述したように、上皿90(図4)が遊技球で満たされると、第1経路201の形成方向に沿って遊技球が並んでいく。やがて、第1経路201が遊技球で満たされると、流下する遊技球はやがて第2経路202に進入する。このとき、傾斜部275が形成されていないと、遊技球は前壁274に沿って積み重なっていきやすくなる。これに対し、前壁274と左壁270との交差部に傾斜部275を形成することにより、図10(b)に示すように、遊技球を後方へと移動させて下流へと導くことができる。これにより、第2経路202内での球詰まりを抑制することができるとともに、遊技球をスムーズに流下させることができる。
また、図7に示すように、第2経路202を区画する左壁270には、上下方向に間隔をあけて設けられた、前後方向に延びる二つの突出部270aが形成されている。また、図6に示すように、カバー体220に形成された右壁271には、前後方向に延びる突出部271aが形成されている。カバー体220に形成された突出部271aは、ベース体210に形成された二つの突出部270aの間に位置する。これにより、遊技球は、図7に示すように、蛇行しながら第2経路202を下方に向けて流下する。このように遊技球を蛇行させながら第2経路202を流下させることにより、遊技球が流下する勢いを抑制して、第2経路202における遊技球の流れを安定させることができる。
一方、抜き玉入口252(図5)から進入した遊技球は、図6に示すように、遊技球経路ユニット200に形成された球抜き経路203を流下し、球抜き経路出口255(図5)から排出される。球抜き経路255から排出された遊技球は、下皿95(図4)へと導かられる。
球抜き経路203は、図6に示すように、上流側は下方に向けて延設され、やがて徐々に方向を変え、下流側は前方に向けて延設されている。球抜き経路203は、ベース体210に形成された左壁280及び左壁281と、経路分離体230に形成された左壁282と、カバー体220に形成された右壁283とにより区画されている。
ベース体210に形成に形成された左壁280には、上下方向に間隔をあけて設けられた、前後方向に延びる複数の突出部280aが形成されている。また、カバー体220に形成された右壁283には、前後方向に延びる複数の突出部283aが形成されている。突出部280aと突出部283aとは、球抜き経路203内で上流から下流に向けて交互に出現するように設けられている。これにより、遊技球は、図6に示すように、球抜き経路203内を蛇行しながら下方へ流下していく。このように遊技球を蛇行させることにより、遊技球が流下する勢いを抑制して、球抜き経路203における遊技球の流れを安定させることができる。
次に、第1経路201、第2経路202、及び球抜き経路203の位置と、遊技球経路ユニット200の外形寸法との関係について説明する。図5に示すように、遊技球経路ユニット200は、鉛直方向(上下方向)に延び全長に亘って一定の幅W1を有する鉛直部200aと、上端の幅W1から下端の幅W2まで下方に向けて徐々に幅が増大する増幅部200bと、水平方向(前後方向)に延び全長に亘って一定の幅W2を有する水平部200cとを有している。
上述したように、第1経路201に進入することがなかった遊技球は、第2経路202に進入し、図6に示す傾斜壁273により後方に転がった後に、下方に向けて蛇行しながら第2経路202を流下する。すなわち、第2経路202は、第1経路201の後方に形成されている。一方、球抜き経路203は、遊技球経路ユニット200の最後方に形成された経路である。これにより、鉛直部200aにおいて、遊技球経路は前後方向に並列するように形成されており、前から第1経路201、第2経路202、球抜き経路203の順に設けられている。これにより、鉛直部200aの幅は全長に亘って変化することがない。また、横方向に遊技球経路を並列した球技球経路ユニットと比べて、左右方向における幅W1はより小さな大きさとなる。
増幅部200bにおいて、第1経路201は、図8に示すように、右下方に延びる傾斜区間201aを有している。このように、第1経路201が傾斜区間201aを有していることにより、遊技球経路ユニット200の幅は徐々に増大し、上端の幅W1から下端の幅W2に増幅する。
水平部200cにおいて、第1経路201、第2経路202、及び球抜き経路203は、延設方向を、左右に変化させることなく下方から前方へと徐々に変化させる。やがて、第1経路201と第2経路202とは、左右に並列した状態で水平方向に延設されている。一方、球抜き経路203は、第1経路201及び第2経路202の下方に延設されている。このように水平部200cにおいては、延接方向を左右に変化させることがないため、遊技球経路ユニット200の左右方向の幅W2は、全長に亘って一定となる。
次に、遊技球経路ユニット200に設けられた、第2経路202に充満した遊技球を検出するための構成を、図7及び図11を参照しながら説明する。図11は、第2経路の下流側に着目した説明図であり、(a)は遊技球が第2経路をスムーズに流下している状態、(b)は遊技球が第2経路に充満している状態を示した図である。
図7に示すように、ベース体210には、第2経路202を区画する対壁のうちの一方の壁体として、後壁277、湾曲壁278、及び下壁279が形成されている。後壁277は上下方向に延設された壁体であり、第2経路202を流下する遊技球を下方へと導く。湾曲壁278は、後壁277よりも下流側に位置し、下流に向けて徐々に前方を向くように湾曲して形成されている。これにより、下方に向けて流下してきた遊技球の流下方向を徐々に前方に向けることができる。下壁279は、湾曲壁278よりも下流側に位置し、下流に向けて前方やや下方に延設されている。これにより、下壁279は、遊技球を前方やや下方に向けて流下させ、球抜き経路出口255(図5)から遊技球を排出させる。なお、後壁277の下方には切欠き部277aが形成されており、これにより、後壁277の下端と、湾曲壁278の上端との間には開口が形成されている。また、切欠き部277aの近傍には、右方にむけて突出した回動軸218が形成されている。回動軸218には、検出スイッチ310が回動可能に取り付けられている。
検出スイッチ310は、後述するように充満した遊技球によって押圧される押圧部313と、検出センサ320によって検出される検出片312と、を有し、押圧部313と検出片312との間には、回動軸挿通孔311が形成されている。回動軸挿通孔311に回動軸218が挿通されることで、検出スイッチ310は回動軸218に回動可能に取り付けられている。また、検出スイッチ310の後方には、ばね挿着部219に挿着された圧縮ばね315が、圧縮された状態で介在している。これにより、検出スイッチ310は、圧縮ばね315によって回動軸218を中心に左回りに付勢された状態にある。
また、ベース体210の検出スイッチ310の下方には、検出センサ320が取り付けられている。検出センサ310は、例えば、フォトセンサである。検出センサ310は、発光部から出射された光を検出片312が遮るのを受光部が検出することによって、検出片312の有無を判定する。
図11(a)に示すように、遊技球が第2経路202をスムーズに流下している状態、あるいは第2経路202に遊技球がない状態の場合、検出スイッチ310は、圧縮ばね315により左回りの方向に付勢され、後壁277を前方に押圧した状態で係止されている。この時、検出片312は検出センサ320の発光部から出射された光を遮ることはない。なお、検出スイッチ310の押圧部313は、後壁277からの連続した壁体を構成するかのように上下方向を向いた状態にある。そのため、下方に流下する遊技球によって、押圧部313が押圧されるということを抑制することができる。そのため、押圧部313の上下方向を向いた姿勢を維持することができ、遊技球が押圧部313に衝突することに起因する誤検知を抑制することができる。
一方、図11(b)に示すように、遊技球が第2経路202を充満した状態にあると、検出スイッチ310の押圧部313は、遊技球によって後方に向けて押圧される。この押圧力により、圧縮ばね315は縮められて、検出スイッチ310は回動軸218を中心に右回りに回動する。このように、検出スイッチ310が回動することにより、検出片312は検出センサ320の発光部から出射された光を遮ることになる。これにより、第2経路202が遊技球によって充満されていると判定することができる。
以上説明したように、本発明の実施形態に係る遊技機においては、遊技球経路ユニット200の鉛直部200a(図5)おいて、第1経路201、第2経路202、及び球抜き経路203を前後方向に並列させた構成としている。そのため、鉛直部200aの左右方向の幅を、従来の遊技球経路ユニットよりも小さな幅W1とすることができ、省スペース化を実現することができる。特に、遊技盤の後方に鉛直部200aが配される場合には、遊技盤後方のスペースを広く確保することができ、より大きな表示装置や演出可動体の設置が可能となる。
また、共通経路204に遊技球放出面290aを形成し、流下する遊技球を、第2経路202を飛び越えさせて第1経路201へと到達させている。これにより、遊技球を第1経路201と第2経路202とに振り分けるための特別な構成を必要としないため、より、コンパクトな遊技球経路ユニットを実現することができる。
また、放出された遊技球が到達する第1経路201に、遊技球放出面290aと同じ方向に傾斜した第1傾斜部260aを設けている。これにより、放出された遊技球が第1経路201に進入する際に縁部に衝突することを抑制することができ、第1経路201への遊技球のスムーズな進入を実現することができる。
また、第1傾斜部260aの下流に、遊技球放出面290a及び第1傾斜部260aと同じ方向に傾斜した第2傾斜部260cを形成することにより、第1経路201に進入した遊技球をスムーズに流下させることができる。
また、第1経路201を区画する左壁260に、円弧状に窪んだ溝部260gを、球技球の流下方向に沿って形成している。これにより、遊技球放出面290a(図9(a))から放出されて、第1経路201に到達した遊技球の動きを溝部260g内で安定させることができ、遊技球の流下中のぶれを抑制することができる。これにより、遊技球をスムーズに第1経路201に流下させることができる。
また、遊技球放出面290aに対向する右壁部220aを、遊技球放出面290aと同一の方向に傾斜させている。これにより、遊技球放出面290aから右下方向に放出された遊技球が、右壁部220aに接触することを抑制することができ、遊技球をスムーズに第1経路201まで到達させることができる。
また、カバー体220には、上下方向に沿って鉛直に立設した鉛直壁220bと、鉛直壁220bの上端に接続し、上流に向かうにつれて左方向に向けて傾斜した傾斜壁220cとが形成されている。このように傾斜壁220cを設けることにより、積み重ねられた遊技球にずれを生じさせ、遊技球の配列を崩しやすくすることができる。そして、崩れ落ちた先に第2経路を形成しておくことで、遊技球の第2経路202への進入を容易なものとすることができる。
また、傾斜壁220cの上流に、段差220dを形成している。これにより、流下する遊技球が、上方に跳ね返ったとしても、段差220dで跳ね返すことができる。これにより、遊技球の逆流を抑制することができ、遊技球をスムーズに流下させることができる。
また、図10(b)に示すように、ベース体210の前壁274と左壁270との交差部には、両壁を接続する断面が三角形状の傾斜部275を形成している。これにより、図10(b)に示すように、第2経路202に進入した遊技球を、後方(下流)へ流下させることができる。これにより、第2経路202内での球詰まりを抑制することができるとともに、遊技球をスムーズに第2経路202に流下させることができる。
また、遊技球経路ユニット200には、第2経路202に充満した遊技球を検出するための検出スイッチ310及び検出センサ320が設けられている。これにより、第2経路202に充満した遊技球を適切に検出することができる。
また、充満した遊技球に押圧される検出スイッチ310の押圧部313は、後壁277からの連続した壁体を構成するかのように上下方向に沿って設置されている。これにより、下方に流下する遊技球が押圧部313に接触することを防止することができるとともに、充満した遊技球によって容易に押圧される。これにより、第2経路202に充満した遊技球を適切に検出することができる。
本発明は、上記実施形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。上記実施形態においては、遊技球経路ユニット200の水平部200cで、第1経路201と第2経路202とを左右に並列させ、その下方に球抜き経路203を形成する構成としたが、第1経路201、第2経路202、及び球抜き経路203を、水平部200cで上下方向に並列させる構成としていもよい。この場合、増幅部200bにおいて、第1経路201を右下方に延設させる必要がなくなる。これにより、増幅部200bにおいてその幅を増大させる必要がなくなり、遊技球経路ユニット200の幅を全体にわたって一定(W1)とすることができる。
また、検出スイッチ310は、押圧部313が、上下方向に延設された後壁277の下端に、後壁277からの連続した壁体を構成するかのように設置されていると説明した。しかしながら、検出スイッチ310の設置箇所についてはこれに限定されるものではなく、より上方に設置するようにしてもよい。ただし、第2経路202が流下する遊技球が接触しにくい位置に押圧部313を設けることが、誤検知を抑制するという点から好ましい。
また、ベース体210と経路分離体230とが、別体である遊技球経路ユニット200について説明したが、ベース体210と経路分離体230とを一体形成した遊技球経路ユニットであってもよい。
また、本実施例では、払出経路と球抜き経路を有する遊技球経路ユニット200を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、パチンコ遊技機1における払出経路と球抜き経路以外の経路(例えば、遊技領域に設けられた各種入賞口に入賞した遊技球やいずれの入賞口に入賞することなくアウト口に進入した遊技球等を遊技機外へ誘導する経路や、上皿90の遊技球を発射装置まで誘導する経路や、発射装置により発射されたものの遊技領域に到達せずに戻ってきた遊技球を誘導するファール球経路等)に上記構成を適用してもよい。
また、前記実施例では、遊技球を誘導する経路の一例として、パチンコ遊技機1に設けられる払出経路や球抜き経路を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、パチンコ遊技機1が設置される遊技島や、パチンコ遊技機1に隣接して設置される各台計数機や遊技媒体の貸出装置(例えば、カードユニット)等の遊技用装置に設けられる遊技球の誘導経路であっても良い。
具体的には、遊技島であれば、各遊技機へ遊技球を供給する補給経路や遊技機から排出された遊技球を回収する回収経路、揚送経路や、各遊技島間で遊技球を送受する送受経路等を含む。また、各台計数機であれば、遊技機から排出された遊技球を計数して遊技島内へ誘導する経路、遊技媒体の貸出装置であれば、補給された遊技球を遊技機へ払い出す経路等を含む。さらに、遊技機や遊技用装置以外の装置(例えば、遊技球の研磨装置など)に設けられる経路等を含む。
また、上記実施の形態では、遊技機の一例としてパチンコ遊技機1を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、予め定められた球数の遊技球が遊技機内部に循環可能に内封され、遊技者による貸出要求に応じて貸し出された貸出球や、入賞に応じて付与された賞球数が加算される一方、遊技に使用された遊技球数が減算されて記憶される、所謂、封入式遊技機にも本発明を適用可能である。