JP2017126663A - 透明導電膜付き基板の性質改善方法、並びに、光電変換素子の製造方法 - Google Patents

透明導電膜付き基板の性質改善方法、並びに、光電変換素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長期間に亘って大気に晒されて性質が改変してしまった透明導電膜付き基板の性質を改善し、高品質な光電変換素子の製造において有効に活用する方法を提供する。
【解決手段】洗浄された後に一定期間以上に亘って大気中に晒された透明導電膜3付き基板2に対し、プラズマ処理を実施する。このとき、プラズマ処理では、原料ガスとして実質的に二酸化炭素からのみなるガスを用いる。さらにプラズマ処理の処理時間は、5秒以上1200秒未満とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、基板上に透明導電膜と光電変換層を順次積層させて光電変換素子を製造する際に使用される透明導電膜を積層させた基板に関するものであり、具体的には、このような透明導電膜付き基板の性質改善方法に関する。また、このような性質改善方法を実施した透明導電膜付き基板を用いる光電変換素子の製造方法に関する。
絶縁性の透明基板の上面に、透明導電膜と、pin接合を有する光電変換層と、裏面電極層とが積層されて構成された光電変換素子が知られている。
このような光電変換素子は、具体的には、基板上に透明導電膜を積層させて形成した板状体(透明導電膜付き基板)の上に、CVD法やプラズマCVD法等によってp型半導体層、i型半導体層、n型半導体層を順に積層し、さらにその上に裏面電極層を積層して形成されている。
基板上に透明導電膜を積層させた板状体(透明導電膜付き基板)を形成する際の方法としては、例えば、特許文献1に開示された透明導電膜の製造方法が知られている。
特許文献1に開示された透明導電膜の製造方法は、基板上に非単結晶シリコン系薄膜を形成し、水素を供給することのない処理ガスを用いたプラズマ処理を実施した後、非単結晶シリコン系薄膜の上に透明導電膜を形成している。
ここで、処理ガスは、希ガス、酸素、二酸化炭素及びそれらの混合ガスよりなる群から選択される水素を供給することのない処理ガスとなっている。すなわち、特許文献1に開示された方法では、少なくとも希ガス、酸素、二酸化炭素のいずれかを含む処理ガスを用いたプラズマ処理を透明導電膜の形成に先立って実施している。そして、透明導電膜の形成前にこの処理を実施することにより、水素密度の低い表面に対して透明導電膜を形成可能となっている。その結果、形成した透明導電膜のシート抵抗を低減させることが可能となり、この透明導電膜(透明導電膜付き基板)を用いた太陽電池の変換効率を向上させることが可能となる。
特開2006−83436号公報
ところで、実際に光電変換素子を製造する際には、上記したように、透明導電膜付き基板を形成した後、透明導電膜付き基板を洗浄後乾燥させ、CVD装置の製膜室内に透明導電膜付き基板を導入し、光電変換層を形成する工程を実施している。
ここで、例えばCVD装置に何らかの異常が発生した場合、CVD装置のメンテナンスが完了するまでの間、新たな透明導電膜付き基板を製膜室内に導入できなくなってしまう。そして、製膜室への導入待ちの透明導電膜付き基板は、製膜室に導入されないまま長期間に亘って大気中に放置されることとなる。このような場合、通常通りに製造工程が順次実施された場合に比べ、透明導電膜付き基板が規定よりも長期間に亘って大気中に晒されることとなる。つまり、実際に光電変換素子を製造する際には、予期しない長期間に亘り、透明導電膜付き基板が大気中に晒される場合があった。
そして、この長期間に亘って大気に晒された透明導電膜付き基板を使用して光電変換素子を製造した場合、通常通りに製造工程を順次実施して製造した光電変換素子に比べ、僅かながら発電効率が低下することが判明した。
すなわち、本発明者らが規定時間以上大気に晒された透明導電膜付き基板を使用して光電変換素子を製造し、通常通りに製造した光電変換素子と発電効率を比較した結果、規定時間以上大気に晒された透明導電膜付き基板を使用した光電変換素子は、発電効率が低下傾向にあることが判明した。
発電効率が低下する原因は、検証の結果、長期間に亘って大気に晒された透明導電膜付き基板の純水との接触角が大きくなっていることから、表面状態が汚染等によって変化してしまったことが考えられる。すなわち、長期間大気に晒されることで、透明導電膜の表面の性質が改変してしまったことが考えられる。
品質の高い光電変換素子を製造するという観点から、長期間に亘って大気中に晒されてしまった透明導電膜付き基板は、破棄することが好ましい。しかしながら、このような透明導電膜付き基板を破棄すると、透明導電膜付き基板を形成するための材料、基板の上に透明導電膜を形成する工程が無駄になってしまうことから、このような廃棄対象となる透明導電膜付き基板を有効活用したいという欲求が生じた。
つまり、本発明者らの検証により、長時間大気に晒された透明導電膜付き基板を使用した光電変換素子は光電変換効率が低い傾向にあるということが判明した結果、このような透明導電膜付き基板を有効利用したいという新たな課題が生じた。
そこで本発明は、大気に長期間に亘って晒された透明導電膜付き基板の性質を改善し、高品質な光電変換素子の製造において有効に活用することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、大気中に長時間放置してしまった透明導電膜付き基板に対し、以下の処理を実施することで、その性質を改善できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、基板上に透明導電膜が形成されてなる透明導電膜付き基板であり、洗浄された後、一定期間以上に亘って大気中に晒された前記透明導電膜付き基板の性質を改善する透明導電膜付き基板の性質改善方法であって、対象となる前記透明導電膜付き基板に対してプラズマ処理を実施する工程を備え、前記プラズマ処理では、原料ガスとして実質的に二酸化炭素からのみなるガスを用いるものであり、前記プラズマ処理の処理時間は、5秒以上1200秒未満とすることを特徴とする透明導電膜付き基板の性質改善方法である。
本発明によると、洗浄された後、一定期間以上に亘って大気中に晒され、性質が変化してしまった透明導電膜付き基板の性質を改善し、洗浄直後と略同様の状態とすることが可能となる。
請求項2に記載の発明は、前記一定期間以上とは、1日以上であることを特徴とする請求項1に記載の透明導電膜付き基板の性質改善方法である。
本発明によると、大気中に晒されて24時間以上が経過してしまい、それに伴って純水との接触角が急速に大きくなってしまった透明導電膜付き基板の性質の改善が可能である。
請求項3に記載の発明は、前記一定期間以上とは、7日以上であることを特徴とする請求項1に記載の透明導電膜付き基板の性質改善方法である。
本発明によると、一週間以上に亘って大気中に放置されることで、純水との接触角が洗浄直後と比べて極めて大きくなってしまった透明導電膜付き基板であっても、好適に性質を改善できる。すなわち、そのまま光電変換素子の製造に使用すると、製造した光電変換素子の出力が大きく低下してしまうような透明導電膜付き基板であっても、その性質を改善し、洗浄直後の透明導電膜付き基板を使用した場合と同等程度に出力の高い光電変換素子の製造が可能となる。
請求項4に記載の発明は、前記プラズマ処理では、高周波電極面と透明導電膜付き基板の距離は4mm以上30mm以下とし、高周波電極面の面積当たりにおける原料ガスの時間当りの流量は0.0595sccm/cm2以上0.774sccm/cm2以下とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の透明導電膜付き基板の性質改善方法である。
かかる構成によると、透明導電膜付き基板の性質の改善がより安定するため、好ましい。
請求項5に記載の発明は、前記透明導電膜は、酸化錫からなる又は酸化錫を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の透明導電膜付き基板の性質改善方法である。
本発明は、このような透明導電膜を有する透明導電膜付き基板の性質改善に特に好適である。
請求項6に記載の発明は、基板上に、酸化錫からなる又は酸化錫を含む透明導電膜が形成されてなる透明導電膜付き基板であり、洗浄された後、7日以上に亘って大気中に晒された前記透明導電膜付き基板の性質を改善する透明導電膜付き基板の性質改善方法であって、対象となる前記透明導電膜付き基板に対してプラズマ処理を実施する工程を備え、前記プラズマ処理では、原料ガスとして実質的に二酸化炭素からのみなるガスを用いるものであり、前記プラズマ処理の処理時間は5秒以上1200秒未満であり、前記プラズマ処理における高周波電極面と透明導電膜付き基板の距離は4mm以上30mm以下であり、前記プラズマ処理の高周波電極面の面積当たりにおける原料ガスの時間当りの流量は0.0595sccm/cm2以上0.774sccm/cm2以下とすることを特徴とする透明導電膜付き基板の性質改善方法である。
本発明は、このように実施されることが特に好ましい。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の透明導電膜付き基板の性質改善方法により、性質を改善された透明導電膜付き基板を用いて光電変換素子を製造する光電変換素子の製造方法であって、前記光電変換素子は、透光性基板の上に、光電変換ユニットと、裏面電極層を積層してなるものであり、太陽光発電装置に使用されるものであり、透明導電膜付き基板に光電変換ユニットを形成する工程と、裏面電極層を形成する工程とを備えていることを特徴とする光電変換素子の製造方法である。
本発明によると、洗浄された後、一定期間以上に亘って大気中に晒され、性質が変化してしまった透明導電膜付き基板の性質を改善し、出力の高い光電変換素子を製造できる。また、それにより、高品質な太陽光発電装置を製造できる。
請求項8に記載の発明は、前記プラズマ処理を実施した後、プラズマ放電を停止し、残存する原料ガスを真空排気する工程を有し、前記プラズマ処理を実施した空間から透明導電膜付き基板を取り出すことなく、続けて透明導電膜付き基板に光電変換ユニットを形成する工程を実施することを特徴とする請求項7に記載の光電変換素子の製造方法である。
かかる構成によると、より高品質な電変換素子を製造できる。
本発明によると、大気に長期間に亘って晒された透明導電膜付き基板の性質を改善することが可能であり、結果、このような透明導電膜付き基板を用いて高品質な光電変換素子を製造できる。
本発明の実施形態に係る光電変換素子を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態に係る光電変換素子であり、図1とは異なる光電変換素子を模式的に示す断面図である。 実験1の結果を示すグラフであり、透明導電膜付き基板の洗浄終了時からの日数の経過と、純水との接触角の変化についての関係を表すグラフである。 実験2の結果を示すグラフであり、透明導電膜付き基板の洗浄終了時からの日数の経過と、透明導電膜付き基板を用いて作成した光電変換装置の出力の変化についての関係を表すグラフである。 実験3の結果を示すグラフであり、透明導電膜付き基板に対して実施したプラズマ処理時間と、純水との接触角の変化についての関係を表すグラフである。 実験3の結果を示すグラフであり、透明導電膜付き基板に対して実施したプラズマ処理時間と、透明導電膜付き基板を用いて作成した光電変換装置の出力の変化についての関係を表すグラフである。
以下に、本発明の実施形態に係る透明導電膜付き基板4の性質改善方法及び光電変換素子1の製造方法について添付図面を参照しつつ詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
[透明導電膜付き基板の製造工程]
本実施形態の光電変換素子1の製造方法では、まず、透光性基板2の上に透明導電膜3を形成する工程、すなわち、透明導電膜付き基板4の製造工程を実施する(図1参照)。この工程では、CVD法等の適宜な方法により、透明導電膜3を透光性基板2の裏面(受光面と対向する面)上に形成する。
なお、この工程に替わって、透明導電膜3が透光性基板2の上に予め形成された透明導電膜付き基板4を用意してもよい。
透光性基板2は、樹脂製基板やガラス基板を採用可能であり、ガラス基板としては、アルカリガラス製の基板や、無アルカリガラス製の基板がそれぞれ採用可能である。また、樹脂製基板としては、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート等のポリエステルや、ポリエーテルスルホン系樹脂、アモルファスポリオレフィン、ポリスチレン、アクリル樹脂等を原料とした基板(フィルム、シート、板を含む)を採用可能である。
特に限定されるものではないが、耐熱性、対抗性の観点からガラス基板を採用することがより好ましい。
透明導電膜3の原料としては、酸化錫や酸化亜鉛等の導電性金属酸化物を含む、又は、酸化錫や酸化亜鉛等の導電性金属酸化物からなる原料が好ましく、本実施形態の透明導電膜付き基板4の製造工程では、酸化錫からなる透明導電膜3を透光性基板2の裏面上に形成している。
より詳細に説明すると、本実施形態の透明導電膜付き基板4の製造工程では、四塩化錫や有機錫化合物を原料として、熱CVD法により透明導電膜3を形成している。この方法では、酸化性雰囲気中で、高温度(例えば400乃至600℃)に加熱した透光性基板2の表面に錫化合物の蒸気を接触させ、透光性基板2の表面での錫化合物の熱分解、酸化反応により表面に酸化錫の膜を形成させる。なお、透明導電膜3の導電性を高めるため、酸化錫中にアンチモンやフッ素をドーピングさせることがより好ましい。
[透明導電膜付き基板の洗浄工程]
続いて、透明導電膜付き基板4を大気圧下で洗浄する工程を実施する。
透明導電膜付き基板4を洗浄する工程では、純水洗浄、アルカリ洗浄、エアブロー洗浄、ブラシ洗浄、セリコ洗浄、大気圧プラズマ洗浄等を適宜実施することで、透明導電膜付き基板4を洗浄する。
より具体的には、透明導電膜付き基板4の表面のパーティクル、有機物汚れ、金属イオン等を洗浄すべく、アルカリ洗浄とブラシ洗浄を組合せて実施し、その後に、残留物を除去するための純水洗浄を実施している。また、さらにその後に、水分除去を目的としたエアブロー洗浄を含む乾燥工程を実施している。
ここで、通常であれば、この透明導電膜付き基板4の洗浄工程(透明導電膜付き基板4を洗浄及び乾燥する工程)の実施後、続いて「光電変換層の製造工程」(詳しくは後述する)を実施する。しかしながら、光電変換層の製造工程で使用するCVD装置に何らかの異常があった場合のように、光電変換層の製造工程を連続して実施できない状況が生じることがある。すなわち、透明導電膜付き基板4を洗浄及び乾燥する工程の実施後、光電変換層の製造工程を連続して実施できない状況が生じることがある。
この場合、洗浄及び乾燥が完了した透明導電膜付き基板4は、光電変換層の製造工程が実施されるまでの間、大気中に放置されることとなる。そして、透明導電膜付き基板4が長期間大気中に放置されると、透明導電膜付き基板4の表面状態が変化してしまう(詳しくは、後述の実験例1参照)。そして、このように表面状態が変化した透明導電膜付き基板4を用いて光電変換素子1を製造すると、その発電効率が低下してしまう。
そこで本実施形態では、透明導電膜付き基板4が、その表面状態が変化する程度に長時間に亘って大気中に放置されてしまった場合には、透明導電膜付き基板4の性質改善工程(以下、単に性質改善工程とも称す)を実施した後、「光電変換層の製造工程」を実施する。
なお、ここでいう長時間とは、例えば、洗浄直後から1日以上100日以下となる期間や、7日以上100日以下となる期間や、15日以上100日以下となる期間である。つまり、洗浄直後から1日以上が経過した期間であり、且つ、三カ月程度が経過するまでの期間が考えられる。
また、上記に限らず、洗浄直後から1日以下となる期間が経過した透明導電膜付き基板4を性質改善工程の対象とすることもできる。しかしながら、洗浄直後のように表面状態があまり変化していない状態の透明導電膜付き基板4は、そもそも性質を改善しなくても発電効率のよい光電変換素子の製造が可能であるので、当然のことながら、あえて対象としなくてもよい。
本実施形態の特徴的な工程であるところの、透明導電膜付き基板4の性質改善工程につき、以下で詳細に説明する。
[透明導電膜付き基板の性質改善工程]
この工程では、「透明導電膜付き基板4の製膜チャンバーへの搬送工程」と、「製膜チャンバーの減圧工程」と、「プラズマ処理の実施工程」と「プラズマ放電の停止及び真空排気の実施工程」を実施する。
また、この透明導電膜付き基板4の性質改善工程を実施した場合には、「プラズマ処理の実施工程」で使用したプラズマCVD装置(図示しない)の製膜チャンバーから透明導電膜付き基板4を取り出さず、同じ製膜チャンバー内で後述の光電変換層の製造工程を実施する。
なお、製膜チャンバーとは、公知のそれと同様であり、プラズマCVD装置において製膜室を構成する装置であって、内部に透明導電膜付き基板4を収納した状態でプラズマ処理を実施可能となっている。
「透明導電膜付き基板4の製膜チャンバーへの搬送工程」
この工程は、透明導電膜付き基板4をプラズマCVD装置(図示しない)の製膜チャンバー内に搬送するための工程である。
透明導電膜付き基板4を製膜チャンバーの内部に搬送する際には、大気中からそのまま製膜チャンバーの内部空間に搬送してもよく、ロードロックチャンバーを介して真空状態にある空間から、予め減圧しておいた製膜チャンバー内部空間へ搬送してもよい。また、ロードロックチャンバーから、加熱用のヒートチャンバーに搬送し、加熱した透明導電膜付き基板4をヒートチャンバーから製膜チャンバー内へ搬送してもよい。
なお、本実施形態では、透明導電膜付き基板4をロードロックチャンバーへと搬送し、透明導電膜付き基板4を収納したロードロックチャンバーの空間内において、当該空間の真空排気と透明導電膜付き基板4の加熱とを実施し、ロードロックチャンバー内の空間から予め減圧した製膜チャンバー内の空間へ透明導電膜付き基板4を搬送している。
「製膜チャンバーの減圧工程」
製膜チャンバー内を減圧する際には、ロータリーポンプ、油拡散ポンプ、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ等の減圧手段を採用し、これらを用いて室内の減圧を実施することができる。すなわち、これらの減圧手段の1つを使用する、又は、複数を組み合わせて使用することで、製膜チャンバーの室内を減圧することが可能となる。
特に限定されるものではないが、CVD装置への油などの有機物の汚染が少なく、製膜時に発生する粉体による油の変質などが無いことから、ドライポンプを採用して減圧することが好ましい。また、このドライポンプを採用した場合には、メカニカルブースターポンプと併用して高速排気を実施したり、ターボ分子ポンプと併用して高真空排気を実施したりすることがより好ましい。
なお、この「製膜チャンバーの減圧工程」は、上記した「透明導電膜付き基板4の製膜チャンバーへの搬送工程」において、透明導電膜付き基板4を大気中から製膜チャンバー内に搬送する場合には、透明導電膜付き基板4の搬送後に実施する。対して、ロードロックチャンバー等を介して真空状態にある空間から製膜チャンバー内に搬送する場合には、透明導電膜付き基板4の搬入前に実施する。
すなわち、「製膜チャンバーの減圧工程」は、「透明導電膜付き基板4の製膜チャンバーへの搬送工程」における透明導電膜付き基板4の搬送方法に応じて、その実施時期が異なる。しかしながら、いずれの場合においても、最終的に減圧されたプラズマCVD装置内の空間(製膜チャンバー)に透明導電膜付き基板4が収納されることとなる。言い換えると、「透明導電膜付き基板4の製膜チャンバーへの搬送工程」と、「製膜チャンバーの減圧工程」からなる一連の工程は、「製膜チャンバー(製膜室)内の減圧された空間に透明導電膜付き基板4を収納」する工程であるともいえる。
「プラズマ処理の実施工程」
そして、製膜チャンバー内に収納した透明導電膜付き基板4に対し、実質的に二酸化炭素のみからなるガスを用いて、以下の条件下でプラズマ処理を実施する。
高周波電極面と透明導電膜付き基板の距離(E/S):4mm以上30mm以下
高周波電極面の面積当たりにおける原料ガスの時間当りの流量:0.0595sccm/cm2以上0.774sccm/cm2以下
製膜チャンバー内の圧力:200Pa以上1200Pa以下
高周波電源の供給電力:750W以上7300W以下
高周波電源の周波数:13.56MHz以上27.12MHz以下
処理時間:5秒以上1200秒未満
透明導電膜付き基板の温度:150℃以上250℃以下
ここで、プラズマ処理の原料ガスとして用いる「実質的に二酸化炭素のみからなるガス」とは、二酸化炭素のみからなるガスの他、プラズマ処理で使用するガス中に二酸化炭素以外のガスが微量に共存している(例えば、50ppm程度)ものも含むものとする。
なお、二酸化炭素以外のガスとしては、不用な膜の付着を確実に防止するという観点から、シラン系のガス(シラン、ジシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン等)、メタンガス、窒素原子を含有する窒素酸化物ガス等を含有しないものであることが好ましい。
また、上記の50ppm程度の「程度」とは、数パーセントの誤差を含むものとする。以下、明細書中の「程度」の表現についても同様であり、数パーセントの誤差を含むものとする。
すなわち、この「プラズマ処理の実施工程」で実施するプラズマ処理は、高周波電圧を印加することで、上記の実質的に二酸化炭素のみからなるガスをプラズマ化させ、透光性基板2の上に積層された透明導電膜3の表面に照射する処理である。言い換えると、透明導電膜付き基板4のうち、透明導電膜3が位置する側の表面であり、光入射側とは反対側に位置する表面にプラズマを照射する処理である。
したがって、上記条件の「高周波電極面と透明導電膜付き基板の距離」とは、CVD装置の高周波電極面と、透明導電膜付き基板4のうちで透明導電膜3が位置する側の表面との距離である。この「高周波電極面と透明導電膜付き基板の距離」は、上記のように4mm以上30mm以下とするものであり、より好ましくは、10mm程度とする。これらを4mmよりも接近させたり、30mmよりも遠ざけたりした場合、透明導電膜付き基板4の性質改善が安定しない。
また、上記条件の「高周波電極面の面積当たりにおける原料ガスの時間当りの流量」において、「原料ガスの時間当りの流量」とは、製膜チャンバー内に供給する原料ガスであるところの「実質的に二酸化炭素のみからなるガス」の時間当りの流量である。つまり、「高周波電極面の面積当たりにおける原料ガスの時間当りの流量」とは、「実質的に二酸化炭素のみからなるガス」の時間当りの流量を、高周波電極面の表面積で除算することで求められるものである。
この高周波電極面の面積当たりにおける原料ガスの時間当りの流量は、0.0595sccm/cm2以上0.774sccm/cm2以下とすることが好ましく、より好ましくは、0.0774sccm/cm2程度とすることがより好ましい。この値が0.0595sccm/cm2を下回ったり、0.774sccm/cm2を上回ったりした場合、透明導電膜付き基板4の性質改善が安定しない。
同様に上記条件である「製膜チャンバー内の圧力」は、上記したように200Pa以上1200Pa以下に調圧することが好ましく、500Pa程度に調圧することがより好ましい。
同様に上記条件である「高周波電源の供給電力」は、750W以上7300W以下とすることが好ましく、2500Wとすることがより好ましい。
同様に上記条件である「高周波電源の周波数」は、13.56MHz以上27.12MHz以下とすることが好ましく、13.56MHz程度とすることがより好ましい。
同様に上記条件であるプラズマ処理の「処理時間」は、5秒以上1200秒未満とすることが好ましく、5秒以上600秒以下とすることがより好ましく、60秒程度とすることがさらに好ましい。
「透明導電膜付き基板の温度」は、予め加熱した透明導電膜付き基板4の温度であり、プラズマ処理時の透光性基板2の温度であって、150℃以上250℃以下とすることが好ましく、170℃以上190℃以下であることがさらに好ましい。
以上のことから、この「プラズマ処理の実施工程」では、例えば、「高周波電極面と透明導電膜付き基板の距離」を4mm以上30mm以下とし、「透明導電膜付き基板の温度」を170℃とし、高周波電極面の面積当たりにおける原料ガスの時間当りの流量は、0.062sccm/cm2とし、「製膜チャンバー内の圧力」を500Pa(3.76Torr)とした状態で、「処理時間」を5秒以上20分以下とする処理を実施できる。
「プラズマ放電の停止及び真空排気の実施工程」
この工程は、上記した「プラズマ処理の実施工程」に続いて実施される工程であり、プラズマ放電を停止し、原料ガス(実質的に炭酸ガスのみからなるガス)が製膜チャンバー内に残留しないように真空排気を実施する。なお、真空排気を実施する際には、特に限定されるものではないが、ターボ分子ポンプ等を使用して高真空排気を実施することが好ましい。
[光電変換層の製造工程]
続いて、透明導電膜付き基板4の上に、光電変換ユニット5(光電変換層)を形成する。具体的には、透明導電膜3の上に、CVD法やプラズマCVD法により、p型半導体層6、i型半導体層7、n型半導体層8を順に積層していく。
ここで、光電変換ユニット5は、p型半導体層6とn型半導体層8の導電型層が非晶質か結晶質かにかかわらず、その主要部を占めるi型半導体層7が非晶質のものは非晶質(非晶質光電変換ユニット)とし、i型半導体層7が結晶質のものは結晶質(結晶質光電変換ユニット)とする。
本実施形態で形成する光電変換ユニット5は、非晶質光電変換ユニットでもよく、結晶質光電変換ユニットでもよい。なお、ここでいう「結晶質」は、部分的に非晶質を含んでいるものも含むものとする。
光電変換ユニット5の形成に用いる原料ガスとしては、SiH4、CH4、H2、PH3(またはB26)を好適に採用することができる。
光電変換ユニット5として、非晶質光電変換ユニットを形成する場合は、p型半導体層6の原料としてSiH4、CH4、B26、H2を使用し、原料比率は例えば400/1000/1/5000程度とすることが好ましい。また、i型半導体層7の原料は、SiH4のみでもよく、SiH4をH2で希釈しても良い。さらに、n型半導体層8の原料としてSiH4、PH3、H2を使用し、原料比率は例えば30/1/8000程度とすることが好ましい。
一方、光電変換ユニット5として、結晶質光電変換ユニットを形成する場合はp型半導体層6の原料としてSiH4、B26、H2を使用し、原料比率350/1/8000程度とすることが好ましい。また、i型半導体層7の原料は、SiH4、H2を使用し、原料比率1/110程度とすることが好ましい。さらに、n型半導体層8の原料としてSiH4、PH3、H2を使用し、原料比率は例えば30/1/8000程度とすることが好ましい。なお、上記した原料ガス比率は、上記の割合が好適ではあるものの、上記とは異なる比率に適宜設定してもよい。
[裏面電極層の製造工程]
続いて、光電変換ユニット5の上に、スパッタ法や蒸着法等の適宜な方法により、裏面電極層9を形成する。本実施形態の裏面電極層9は、酸化亜鉛、酸化錫、インジウム酸化錫などの金属酸化物によって形成される層である第1の層9aと、銀、アルミニウム、銅等の反射率の高い金属によって形成される導電膜である第2の層9bとを、光入射側(透光性基板2が位置する側)から順に積層して形成している。
なお、本実施形態の裏面電極層9は、このように導電性酸化物からなる第1の層9aと、金属電極を形成する第2の層9bを積層させたものに限るものではなく、第2の層9bのみを形成して裏面電極層としてもよい。
以上の工程により製造された本実施形態の光電変換素子1は、太陽光エネルギーを電力に変換する太陽光発電装置において、特に好適に用いることができる。
上記した実施形態では、基板上への積層順がp型層、i型層、n型層となる光電変換ユニット5を製造する場合について説明したが、光電変換ユニット5は、基板上への積層順がn型層、i型層、p型層であってもよい。すなわち、i型層を基準として光入射側にp型層が位置するものであってもよく、n型層が位置するものであってもよい。
上記した実施形態では、1つの光電変換ユニット5を備えた光電変換素子1を製造する場合について説明したが、本発明によって製造される光電変換素子は、例えば、図2で示されるように、2つの光電変換ユニット5を備えたものであってもよい。言い換えると、本発明によって製造される光電変換素子は、2以上(複数)の光電変換ユニットを備えていても良い。
この場合、前方側(光入射側を前方とする、以下同じ)に最も大きなバンドギャップを有する光電変換ユニット5aを配し、後方側に比較的に小さなバンドギャップを有する光電変換ユニット5bを配してもよい。言い換えると、後方側に向かうにつれてバンドギャップが段階的に小さくなるように、各光電変換ユニット5のバンドキャップの大きさを調整してもよい。また、一方の光電変換ユニット5を非晶質光電変換ユニットとし、他方の光電変換ユニット5を結晶質光電変換ユニットとしてもよい。光電変換ユニット5を非晶質光電変換ユニット又は結晶質光電変換ユニットに統一しなくてもよい。
また、前方側に位置する光電変換ユニット5aの後方に、他の光電変換ユニット5bを積層する際には、前方側の光電変換ユニット5aの上に後方側の光電変換ユニット5bを直接積層させる(図2参照)他、前方側の光電変換ユニット5aと後方側の光電変換ユニット5bに中間反射層を介在させてもよい。すなわち、前方側の光電変換ユニット5aの上に中間反射層を積層し、中間反射層の上に後方側の光電変換ユニット5bを積層させてもよい。なお、中間反射層とは、光透過性と光反射性の双方を有し、且つ、導電性を有する層となっている。
なお、特に限定されるものではないが、各光電変換ユニット5で発生する電流値は異なっていてもよい。しかしながら、この各光電変換ユニット5で発生する電流値は、最も小さな値で律速されるため、均等であることが好ましく、最も小さな値の絶対値は大きい程好ましい。
上記した実施形態では、透光性基板2の上に透明導電膜3を積層した透明導電膜付き基板4に対し、透明導電膜付き基板4の性質改善工程を実施した後、光電変換層の製造工程、裏面電極層の製造工程を実施する例について説明した。しかしながら、性質改善工程の実施対象となる透明導電膜付き基板4はこれに限るものでない。
例えば、不透明基板の上に裏面電極層、透明導電膜層を順に積層させた透明導電膜付き基板を作成し、これに対して上記した「プラズマ処理の実施工程」を実施して性質の改善を行ってもよい。この場合、この透明導電膜付き基板の上に、光電変換ユニット、透明電極層を順次積層することで、1つの光電変換ユニットを備えた光電変換素子が形成できる。また、2つの光電変換ユニットを備えた光電変換素子を形成する場合には、例えば、この透明導電膜付き基板の上に、後方側の光電変換ユニット、シリコン複合層、前方側の光電変換ユニット、透明電極層を順次積層することで形成できる。
なお、これら場合は、光電変換ユニットはn型半導体層8、i型半導体層7、p型半導体層6の順で積層することが好ましい。
以下、本発明の実施形態に係る「透明導電膜付き基板の性質改善工程」を着想するに至るまでの過程で行った実験と、本発明の実施形態に係る「透明導電膜付き基板の性質改善工程」の実施例、比較例について、以下で詳細に説明する。
(実験1)
上記した[透明導電膜付き基板の製造工程]に準じた工程を実施し、複数の透明導電膜付き基板を製造した。また、それぞれの透明導電膜付き基板に対し、上記した[透明導電膜付き基板の洗浄工程]に順じた工程を実施して洗浄を施した。それぞれの透明導電膜付き基板は、いずれも透明導電膜の原料として酸化錫を使用しており、いずれもシート抵抗が概ね13Ω/□、透過率80%、ヘイズ率13%程度のものとなった。
そして、それぞれの透明導電膜付き基板を、洗浄の実施後、1日から最大20日に亘って大気中に放置した。このとき、1日が経過する毎に、それぞれ異なる透明導電膜付き基板と純水との接触角を測定した。その結果、図3のような結果が得られた。
結果、洗浄直後は接触角が低いが、大気に晒された期間が長いと接触角が大きくなり、透明導電膜付き基板の最表面状態が変化していることが示された。特に洗浄直後において時間の経過に伴う接触角の上昇率が大きいことが示された。すなわち、一日経過毎に接触角の上昇率をみたとき、洗浄直後から一日が経過するまでの間の上昇率が最も大きく、その後、一日が経過してから二日が経過するまで間、二日が経過してから三日が経過するまで間・・・といった具合に、時間が経過するにつれて上昇率が小さくなっていくことが示された。
このことから、透明導電膜付き基板の最表面状態は、洗浄直後から一日が経過するまでの間で急速に変化しているといえる。つまり、透明導電膜付き基板の最表面状態は、一日が経過した時点ですでに大きく変化しているものであり、言い換えると、洗浄直後から一日以上が経過した透明導電膜付き基板は、洗浄直後と比べて表面状態が大きく変化したものであるといえる。
(実験2)
実験1と同様に、透明導電膜付き基板を製造し、洗浄を実施した。そして、洗浄直後から日数が経過する毎に、その時点における透明導電膜付き基板を用いて光電変換素子を製造した。すなわち、洗浄直後から大気中に一日放置した透明導電膜付き基板を用いた光電変換素子、洗浄直後から大気中に二日放置した透明導電膜付き基板を用いた光電変換素子、・・・といった具合に、大気中に晒された期間の異なる透明導電膜付き基板をそれぞれ使用して複数の光電変換素子を製造した。
なお、当然のことながら、それぞれの透明導電膜付き基板は、同一の条件で製造、洗浄、大気中への放置を行った。同じく、それぞれの透明導電膜付き基板を使用した光電変換素子の製造も同一条件で同様に実施した。
そして、それぞれの光電変換素子を用いた光電変換装置の出力(eff)を測定した。その結果、図4のような結果が得られた。なお、図中の「eff比」とは、洗浄直後の透明導電膜付き基板を使用した光電変換装置の出力(eff)を1としたときの、各光電変換装置の出力の値を示す。
結果、洗浄直後は出力が高いが、大気に晒された期間が長いと出力が低下していることが示された。特に洗浄直後において時間の経過に伴う出力の低下率が大きいことが示された。
すなわち、洗浄直後から一日が経過するまでの間で出力が急速に低下していき、その後、7日が経過するまでの間、一定以上となる低下率で出力が下がり続ける。そして、7日を超えると、数日間をかけて出力が微量に低下することが示された。言い換えると、洗浄直後か7日が経過するまでの間で出力が低下していき、7日以上が経過すると、時間の経過に伴って極めて微量に出力が低下していくことが示された。さらに言うと、7日が経過した時点のものと、7日が経過してからさらに数日が経過したものは、同等程度の出力であることが表された。
このことから、大気中に7日以上に亘って晒された透明導電膜付き基板を使用した光電変換装置は、洗浄直後の透明導電膜付き基板を使用した光電変換装置と比べて、極めて出力が低くなってしまうことが示された。
上記した実験1と実験2の結果から、透明導電膜付き基板の純水との接触角と、その透明導電膜付き基板を用いて製造する光電変換素子の出力には、相関関係があるものと推察できた。すなわち、光電変換素子の出力の低下には、使用する透明導電膜付き基板の最表面の状態変化、詳しくは、大気中に放置(曝露)されることで生じる表面の状態変化が起因することが伺えた。
(実験3)
洗浄後大気中に長期間放置した透明導電膜付き基板を複数準備し、それぞれの透明導電膜付き基板に対し、上記した「プラズマ処理の実施工程」に準じたプラズマ処理を実施した。
透明導電膜の原料として、酸化錫を使用した。
処理前の透明導電膜付き基板は、いずれもシート抵抗が概ね13Ω/□、透過率80%、ヘイズ率13%、純水との接触角が70°程度のものを使用した。
プラズマ処理は、以下の条件下で実施した。
原料ガス:炭酸ガス
高周波電極面と透明導電膜付き基板の距離(E/S):10mm
高周波電極面の面積当たりにおける原料ガスの時間当りの流量:0.062sccm/cm2
製膜チャンバー内の圧力:500Pa
透明導電膜付き基板の温度:170℃
また、それぞれの透明導電膜付き基板に対するプラズマ処理の実施時間は、いずれも異なる時間とした。そして、それぞれの透明導電膜付き基板を用いて光電変換素子を製造し、この光電変換素子を採用した光電変換装置を製造した。
このとき、それぞれの透明導電膜付き基板を用いた光電変換素子の製造と、製造されたそれぞれの光電変換素子を用いた光電変換装置の製造は、同一の手順、同一条件で同様に実施した。
つまり、製造された光電変換装置は、透明導電膜付き基板のみが異なるものとした。
このとき、プラズマ処理時間の異なるそれぞれの透明導電膜付き基板につき、プラズマ処理の実施後から1時間以内に純水との接触角を測定した。さらに、プラズマ処理時間の異なる透明導電膜付き基板をそれぞれ備えた各光電変換装置につき、その出力特性(Jsc、Voc、FF、ff)を測定した。
その結果、表1、図5、図6で示される結果が得られた。
Figure 2017126663
表1、図5の結果から、プラズマ処理時間が60秒程度で、透明導電膜付き基板の純水との接触角は洗浄直後と同等程度(0°程度であり、実際には3°)となることが判明した。また、60秒程度からさらにプラズマ処理時間を延ばしても、純水との接触角は大きく変化しないことが判明した。
なお、いずれの処理時間後の透明導電膜付き基板においても、透明導電膜のシート抵抗、透過率、ヘイズ率および表面形状に変化は見られなかった。このとき、表面形状は原子間力顕微鏡(AFM)により観察した。
表1、図6の結果から、プラズマ処理時間を5秒以上1200秒未満としたものは、5秒未満(1秒)としたものや、1200秒以上(1200秒、2400秒、3600秒)としたものに比べ、その出力が高いことが判明した。
また、プラズマ処理時間を60秒程度(30秒乃至60秒)とした際に最も出力が高く、600秒程度を超えると急激に出力が低下し始め、1200秒を上回るとプラズマ未処理状態よりも出力が低下していることが判明した。なお、「プラズマ処理時間を60秒程度とした際」とは、上記した図5の結果から示されるように、透明導電膜付き基板の純水との接触角が0°程度となる処理時間である。
ここで、図5と図6比較すると、プラズマ処理時間が一定時間を上回ったとき、透明導電膜付き基板の純水との接触角が0°程度を維持しているにも関わらず、出力が低下し始めることが解る。これはシリーズ抵抗が増大した結果、曲線因子(FF)が低下したためで、過剰な炭酸ガスプラズマ処理により酸化錫の最表面と光電変換ユニットとのオーミック性が損なわれたためであると考えられる。
大気中に長時間放置した2つの透明導電膜付き基板に対し、上記した「プラズマ処理の実施工程」に準じたプラズマ処理を実施した。
処理前の透明導電膜付き基板は、いずれも透明導電膜の原料が酸化錫であり、シート抵抗が概ね13Ω/□、透過率80%、ヘイズ率13%、純水との接触角が70°程度ものを使用した。
プラズマ処理は、以下の条件下で実施した。
原料ガス:炭酸ガス
高周波電極面と透明導電膜付き基板の距離(E/S):10mm
高周波電極面の面積当たりにおける原料ガスの時間当りの流量:0.062sccm/cm2
製膜チャンバー内の圧力:500Pa
透明導電膜付き基板の温度:170℃
プラズマ処理時間:60秒
そして、プラズマ処理の実施後、処理を実施した一方の透明導電膜付き基板の純水との接触角を測定すると3°であった。また、もう一方の透明導電膜付き基板は、プラズマ処理を実施後、これを用いて光電変換素子を製造し、光電変換装置を製造した。さらにこの光電変換装置の出力特性を測定した。
測定した光電変換装置の出力特性は、Jsc:12.70mA/cm2、Voc:1.387V、FF:0.728、Eff:12.82%であった。
比較例1
上記実施例1と同様の大気中に長時間放置した2つの透明導電膜付き基板を準備し、一方は、「プラズマ処理の実施工程」に準じたプラズマ処理を実施せず、純水との接触角を測定した。当然のことながら、純水との接触角は70°程度のままであり、具体的には、72°であった。
また、他方は、「プラズマ処理の実施工程」に準じたプラズマ処理を実施せず、これを用いて光電変換素子を製造し、光電変換装置を製造した。さらにこの光電変換装置の出力特性を測定した。測定した光電変換装置の出力特性は、Jsc:12.48mA/cm2、Voc:1.379V、FF:0.720、Eff:12.39%であった。
比較例2
上記実施例1と同様の大気中に長時間放置した2つの透明導電膜付き基板を準備し、それぞれに対して、プラズマ処理を実施した。このプラズマ処理は、プラズマ処理時間が異なる点を除いて、実施例1と同様の条件で実施した。なお、プラズマ処理時間は、2400秒とした。
処理を実施した一方の透明導電膜付き基板の純水との接触角を測定すると5°であった。また、もう一方の透明導電膜付き基板は、プラズマ処理を実施後、これを用いて光電変換素子を製造し、光電変換装置を製造した。この光電変換素子の製造と、光電変換装置の製造もまた、同一の手順、同一条件で実施例1と同様に実施した。
そして、製造した光電変換装置の出力特性を測定した。
測定した光電変換装置の出力特性は、Jsc:12.68mA/cm2、Voc:1.381V、FF:0.691、Eff:12.10%であった。
実施例1と比較例1とを比較することで、上記した[透明導電膜付き基板の性質改善工程]の「プラズマ処理の実施工程」に準ずる工程を実施することにより、大気中に長時間放置した透明導電膜付き基板の純水との接触角が0度程度まで回復していることが判明した。
また、比較例1の光電変換装置の出力(eff)を1とした場合の実施例1の光電変換装置の出力(eff)は、比較例1に比べて3.5%程度高くなっている。このことから、処理を実施した透明導電膜付き基板を使用した光電変換装置の出力が向上していることが示された。
比較例1、比較例2と比較すると、比較例1の光電変換装置の出力(eff)を1とした場合の比較例2の光電変換装置の出力(eff)は、比較例1に比べて2.3%程度低くなっている。すなわち、プラズマ処理をあまりに長時間実施してしまった場合には、[透明導電膜付き基板の性質改善工程]の「プラズマ処理の実施工程」を実施しない場合よりも、出力が低下してしまうことが示された。
1 光電変換素子
2 透光性基板
3 透明導電膜
4 透明導電膜付き基板
5 光電変換ユニット
9 裏面電極層

Claims (8)

  1. 基板上に透明導電膜が形成されてなる透明導電膜付き基板であり、洗浄された後、一定期間以上に亘って大気中に晒された前記透明導電膜付き基板の性質を改善する透明導電膜付き基板の性質改善方法であって、
    対象となる前記透明導電膜付き基板に対してプラズマ処理を実施する工程を備え、
    前記プラズマ処理では、原料ガスとして実質的に二酸化炭素からのみなるガスを用いるものであり、前記プラズマ処理の処理時間は、5秒以上1200秒未満とすることを特徴とする透明導電膜付き基板の性質改善方法。
  2. 前記一定期間以上とは、1日以上であることを特徴とする請求項1に記載の透明導電膜付き基板の性質改善方法。
  3. 前記一定期間以上とは、7日以上であることを特徴とする請求項1に記載の透明導電膜付き基板の性質改善方法。
  4. 前記プラズマ処理では、高周波電極面と透明導電膜付き基板の距離は4mm以上30mm以下とし、高周波電極面の面積当たりにおける原料ガスの時間当りの流量は0.0595sccm/cm2以上0.774sccm/cm2以下とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の透明導電膜付き基板の性質改善方法。
  5. 前記透明導電膜は、酸化錫からなる又は酸化錫を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の透明導電膜付き基板の性質改善方法。
  6. 基板上に、酸化錫からなる又は酸化錫を含む透明導電膜が形成されてなる透明導電膜付き基板であり、洗浄された後、7日以上に亘って大気中に晒された前記透明導電膜付き基板の性質を改善する透明導電膜付き基板の性質改善方法であって、
    対象となる前記透明導電膜付き基板に対してプラズマ処理を実施する工程を備え、
    前記プラズマ処理では、原料ガスとして実質的に二酸化炭素からのみなるガスを用いるものであり、前記プラズマ処理の処理時間は5秒以上1200秒未満であり、前記プラズマ処理における高周波電極面と透明導電膜付き基板の距離は4mm以上30mm以下であり、前記プラズマ処理の高周波電極面の面積当たりにおける原料ガスの時間当りの流量は0.0595sccm/cm2以上0.774sccm/cm2以下とすることを特徴とする透明導電膜付き基板の性質改善方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の透明導電膜付き基板の性質改善方法により、性質を改善された透明導電膜付き基板を用いて光電変換素子を製造する光電変換素子の製造方法であって、
    前記光電変換素子は、透光性基板の上に、光電変換ユニットと、裏面電極層を積層してなるものであり、太陽光発電装置に使用されるものであり、
    透明導電膜付き基板に光電変換ユニットを形成する工程と、裏面電極層を形成する工程とを備えていることを特徴とする光電変換素子の製造方法。
  8. 前記プラズマ処理を実施した後、プラズマ放電を停止し、残存する原料ガスを真空排気する工程を有し、前記プラズマ処理を実施した空間から透明導電膜付き基板を取り出すことなく、続けて透明導電膜付き基板に光電変換ユニットを形成する工程を実施することを特徴とする請求項7に記載の光電変換素子の製造方法。
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