JP2017125467A - 内燃機関の冷却構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】コンパクト化及び組付性の向上等を有効に実現する内燃機関の冷却構造を提供する。【解決手段】ウォータポンプ29は、ウォータポンプケース32とウォータポンプカバー33を有し、ブリーザ室58とリードバルブ室64は、ウォータポンプケース32及びウォータポンプカバー33に形成され、ウォータポンプ29と一体に設けられる。【選択図】図4A

Description

本発明は、自動二輪車等の車両に搭載されるエンジンである内燃機関における冷却構造に関する。
自動二輪車等の車両において、従来例えば特許文献1に開示されるようにシリンダヘッドとシリンダヘッドカバーとの間にカムシャフトが支持される水冷式エンジンにおいて、ウォータポンプの駆動軸がシリンダヘッド及びシリンダヘッドカバーにより挟まれながら保持される。この場合、カムシャフトと同軸に保持されたウォータポンプの回転軸が、カムシャフトによって回転駆動される。
特開2014−70499号公報
しかしながら、特許文献1に開示されるエンジンではウォータポンプの回転数は、クランクシャフトの回転数(即ちエンジン回転数)の約1/2になってしまい、一般的な場合よりも回転数が低くなる。冷却水の流量を増すためにウォータポンプのインペラの径を大きくすると、ポンプケースが拡大し、ウォータポンプ自体が大型化する。一方、ウォータポンプの大型化を避けるためにフレームを拡大すると、車両幅方向が拡大してしまう。
また、ウォータポンプをシリンダヘッド及びシリンダヘッドカバーの合せ面で保持する場合、これらシリンダヘッド及びシリンダヘッドカバーに跨ったシール構造となるため、そのままではその構造が複雑化してコスト増大を招来する。
本発明はかかる実情に鑑み、コンパクト化及び組付性の向上等を有効に実現する内燃機関の冷却構造を提供することを目的とする。
本発明による内燃機関の冷却構造は、シリンダと、シリンダヘッドと、前記シリンダヘッド内の動弁機構用のカム軸と、前記カム軸により駆動され前記シリンダヘッドに設けられたウォータポンプと、ブローバイガスの気液分離を行うブリーザ室と、排気通路に供給される二次エアの量を制御するリードバルブを収容するリードバルブ室と、を備えた内燃機関において、前記ウォータポンプは、ウォータポンプケースとウォータポンプカバーを有し、前記ブリーザ室と前記リードバルブ室は、前記ウォータポンプケース及び前記ウォータポンプカバーに形成され、前記ウォータポンプと一体に設けられていることを特徴とする。
また、本発明の内燃機関の冷却構造において、前記ブリーザ室は前記シリンダヘッドと前記ウォータポンプケースとで形成され、前記ウォータポンプと隣接していることを特徴とする。
また、本発明の内燃機関の冷却構造において、前記リードバルブ室は前記ウォータポンプケースと前記ウォータポンプカバーとで形成され、車幅方向で前記ブリーザ室に隣接していることを特徴とする。
また、本発明の内燃機関の冷却構造において、前記ブリーザ室は前記シリンダのシリンダ軸線に沿った長さが、前記ウォータポンプと略同一であることを特徴とする。
また、本発明の内燃機関の冷却構造において、前記ウォータポンプのインレットパイプ部は車両側面視で、前記ブリーザ室と重なり、前記リードバルブ室のインレットパイプ部は前記ウォータポンプのインレットパイプ部と、車両幅方向で略同一高さであることを特徴とする。
また、本発明の内燃機関の冷却構造において、車両側面視で、前記ウォータポンプは吸気側に配置され、前記ブリーザ室及び前記リード室は排気側に配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、ブリーザ室及びリードバルブ室をウォータポンプと一体化して構成してユニット化することで、これらの補機類の機能を有効に実現しつつシリンダヘッドの幅やエンジン高さを有効に抑えることができる。また、ブリーザ室及びリードバルブ室をウォータポンプと一体でシリンダヘッドに組み付けることができるため、それらの組付性が大幅に向上する上、部品点数も削減することができる。
本発明の実施形態に係る自動二輪車の側面図である。 本発明の実施形態における内燃機関の例であるエンジンの左側面図である。 本発明の実施形態におけるエンジンの正面図である。 本発明の実施形態におけるウォータポンプユニットを搭載したエンジンの斜視図である。 本発明の実施形態におけるウォータポンプユニットを搭載したエンジンのウォータポンプカバーを取り外した状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態におけるウォータポンプユニットを搭載したエンジンの正面図である。 本発明の実施形態におけるウォータポンプユニットを搭載したエンジンの左側面図である。 本発明の実施形態におけるエンジンのシリンダヘッドの下方斜視図である。 本発明の実施形態におけるエンジンのシリンダブロックの上方斜視図である。 本発明の実施形態におけるウォータポンプまわりの構成例を示す分解斜視図である。 本発明の実施形態におけるエンジンのシリンダヘッドの左側面図である。 本発明の実施形態におけるウォータポンプユニットのシリンダヘッドとの接合面を示す側面図である。 本発明の実施形態におけるウォータポンプユニットとシリンダヘッドと接合面に介挿されるガスケットの例を示す図である。 本発明の実施形態におけるウォータポンプユニットのウォータポンプカバーの内側面の構成例を示す図である。 本発明の実施形態におけるエンジンにおける冷却水の循環経路を模式的に示す図である。
以下、図面に基づき、本発明における内燃機関の冷却構造に好適な実施の形態を説明する。
図1は、本発明の適用例としての自動二輪車100の側面図である。先ず、図1を用いて、自動二輪車100の全体構成について説明する。なお、図1を含め、以下の説明で用いる図においては、必要に応じて車両の前方を矢印Frにより、車両の後方を矢印Rrにより示し、また、車両の側方右側を矢印Rにより、車両の側方左側を矢印Lにより示す。
図1の自動二輪車100は、例えば所謂オフロード用であってよく、その車体前方上部にはステアリングヘッドパイプ101が配置されており、該ステアリングヘッドパイプ101内には不図示のステアリング軸が回動可能に挿通している。そして、このステアリング軸の上端にはハンドル102が結着されており、同ステアリング軸の下端にはフロントフォーク103が取り付けられ、該フロントフォーク103の下端には操向輪である前輪104が回転可能に軸支されている。
また、ステアリングヘッドパイプ101からは左右一対構成でなるメインフレーム105が、車体後方に向かって斜め下方に傾斜して延出すると共に、ダウンチューブ106が略垂直下方に延びている。そして、ダウンチューブ106は下部付近でロアフレーム108として左右に分岐し、これら一対のロアフレーム108は下方に延びた後に、車体後方に向かって略直角に曲げられ、その後端部は左右一対のボディフレーム107を介してメインフレーム105の各後端部に連結されている。
左右一対のメインフレーム105とボディフレーム107とダウンチューブ106及びロアフレーム108とによって囲まれる空間には、動力駆動源である内燃機関としての水冷式のエンジン10が搭載されている。エンジン10の上方には燃料タンク109が配され、燃料タンク109の後方にはシート110が配されている。また、エンジン10の前方にはラジエータ111が配置されている。
車体の前後方向略中央の下部に設けられた左右一対のボディフレーム107には、スイングアーム112の前端部がピボット軸113によって上下に揺動可能に支持される。スイングアーム112の後端部には駆動輪である後輪114が回転可能に軸支されている。スイングアーム112は、リンク機構115とこれに連結されたショックアブソーバ116(後輪懸架装置)を介して車体に懸架されている。スイングアーム112の前方に配置したエンジン10の出力端にはドライブスプロケット117が取り付けられると共に、後輪114の車軸にはドリブンスプロケット118が軸着し、これらドライブスプロケット117及びドリブンスプロケット118にはチェーン119が巻回され、相互に接続される。
次に、エンジン10について概略説明する。図2はエンジン10の左側面図、図3はその正面図である。本実施形態において、エンジン10は例えば4サイクル単気筒、典型的にはDOHCエンジンであってよい。エンジン10は図2等に示されるように、クランクケース11の上部に順次シリンダブロック12、シリンダヘッド13及びシリンダヘッドカバー14が一体的に結合してなり、図2のようにシリンダ軸線は所定角度前傾する。また、エンジン10(主にクランクケース11)は複数のエンジンマウントを介して車体フレームに懸架されることで車体フレームに一体的に結合支持され、それ自体で車体フレームの剛性部材として機能する。
詳細図示等を適宜省略するが、クランクケース11のクランク室にはクランクシャフト15が回転自在に軸支され、一方、シリンダブロック12のシリンダボア内にはピストンがシリンダ軸線方向に移動可能に嵌装される。クランクシャフト15のクランクピンとピストンのピストンピンは、コネクティングロッドを介して相互に連結され、ピストンがシリンダブロック12のシリンダボア内でシリンダ軸線方向に沿って往復運動することで、クランクシャフト15が回転駆動される。
クランクケース11の後部には図2等に示すようにトランスミッションケース16が一体的に形成され、このトランスミッションケース16内にはクランクシャフト15の後方でこれと平行にカウンタシャフトやドライブシャフトが配置される。カウンタシャフト及びドライブシャフト上にはそれぞれ複数のトランスミッションギヤが列設される。これらのトランスミッションギヤはギヤシフト装置により噛合関係が選択的に設定され、これにより変速装置の所望の変速比が得られる。エンジン10の動力はクランクシャフト15からトランスミッションを経て最終的に、ドライブシャフトの軸端に取り付けられたドライブスプロケット117(図1)へ伝達され、このドライブスプロケット117が動力伝達用のチェーン119を介してドリブンスプロケット118、従って後輪114を回転駆動する。
エンジン10には更に、エアクリーナ及び燃料供給装置からそれぞれ供給される空気(吸気)及び燃料でなる混合気を供給する吸気系、シリンダ内での燃焼後の排気ガスをエンジン10から排出する排気系、吸気系及び排気系のそれぞれ吸気バルブ及び排気バルブを駆動制御する動弁系、エンジン10を冷却する冷却系及びエンジン10の可動部を潤滑する潤滑系、それらを作動制御する制御系(ECU;Engine Control Unit)が付属する。制御系の制御により複数の機能系が上述の補機類等と協働し、これによりエンジン10全体として円滑作動が遂行される。
具体的には吸気系において、シリンダヘッド13の後部に吸気ポート17(図2においてその概略位置が示される)が開口し、この吸気ポート17は、図6を参照して2つの吸気ポート17A,17Bとして燃焼室18に対して連通する。なお、これらの吸気ポート17A,17Bは、吸気バルブにより開閉される。吸気ポート17にスロットルボディが接続され、このスロットルボディには車体フレーム(主にボディフレーム107)の左右間に形成される内空間もしくはスペース内に収容配置されたエアクリーナから燃焼用空気が供給される。スロットルボディにはその内部に形成されている吸気通路を、アクセル開度に応じて開閉するスロットルバルブが装着され、このスロットルバルブによって、エアクリーナから送給されてくる空気の流量が制御される。スロットルボディのスロットルバルブの下流側に燃料噴射用のインジェクタが装着され、インジェクタに対して燃料ポンプから燃料タンク109内の燃料が供給されるようになっている。
エアクリーナにより清浄化された空気はスロットルボディに供給されるが、上述の制御系の制御により所定タイミングで、スロットルバルブを開閉すると共にインジェクタから吸気通路内に燃料を噴射させる。これにより所定空燃比の混合気がシリンダヘッド13の吸気ポート17に送給される。なお、スロットルバルブは、そのスロットルバルブ軸を制御系の制御により機械式又は電気もしくは電磁式に駆動するバルブ駆動機構により駆動される。
排気系において図3あるいは図6に示されるように、シリンダヘッド13の前部にて排気ポート19が開口し、この排気ポート19は、図6を参照して2つの排気ポート19A,19Bとして燃焼室18に対して連通する。なお、これらの排気ポート19A,19Bは、排気バルブにより開閉され、本例では2つの吸気バルブと2つの排気バルブを持つ所謂4バルブである。排気ポート19にエキゾーストパイプが接続されるが、このエキゾーストパイプは排気ポート19から一旦下方へ延出して、クランクケース11の側部を通って後方へ延出し、マフラ120(図1参照)に接続される。
エンジンの動弁系においてシリンダヘッド13には、吸気バルブ及び排気バルブをそれぞれ駆動するためのカムを持つカムシャフトを有する。本例では図4Aに略記するが、シリンダヘッド13及びシリンダヘッドカバー14に跨がって回転可能に軸支されて、左右方向に横架される吸気側及び排気側のカムシャフト20,21(カム軸)を備える。これらのカムシャフト20,21の右側軸端部にはそれぞれスプロケット22,23が取り付けられ(図4Aにおいて点線により略記する)、一方、クランクシャフト11の右側軸端部にはドライブスプロケット(図示せず)が取り付けられる。これらのスプロケット22,23及びドライブスプロケットには図5Aのように上下方向に走行するカムチェーン24が巻回装架され、即ちクランクシャフト11及びカムシャフト20,21がカムチェーン24を介して連結される。図6及び図7を参照してクランクケース11からシリンダブロック12、シリンダヘッド13及びシリンダヘッドカバー14にかけてエンジン10の右側部においてカムチェーン室25が設けられ、このカムチェーン室25内でカムチェーン24が走行する。
このようにカムチェーン24を介してクランクシャフト11とカムシャフト20,21とが連結され、これにより動弁系の動弁機構がクランクシャフト11の回転に同期して駆動される。そして、カムシャフト20,21の吸気用カム及び排気用カムがそれぞれ吸気バルブ及び排気バルブを所定のタイミングで開閉駆動する。
更に、エンジン10の可動部に潤滑油を供給して、それらを潤滑するための潤滑系が構成される。この潤滑系には、クランクシャフト11やシリンダヘッド13内に構成される動弁装置、そしてそれらを連結するカムチェーン24、更にトランスミッション等々が含まれる。本実施形態において潤滑系に対して、通常のオイルポンプを使用するが、このオイルポンプによりエンジン下部に設けたオイルパンから吸い上げた潤滑油を潤滑系に送給する構成のものでよい。
また、冷却系において、シリンダブロック12及びシリンダヘッド13を含むシリンダの周囲には冷却水が循環するように形成された、後述するウォータジャケットが構成される。図6に示されるようにシリンダヘッド12において燃焼室18を囲繞するように形成されたウォータジャケット26と、図7に示されるようにシリンダブロック12においてシリンダボア27の周囲に形成されたウォータジャケット28を有し、これらのウォータジャケット26及びウォータジャケット28は相互に連通される。図2に概略示したように、かかるウォータジャケット26,28を含むエンジン10に送給される冷却水を冷却するためのラジエータ111を装備する。ラジエータ111は走行風を当てることで内部を流通する冷却水の熱を放散させるものであるが、例えば正面視で矩形状等を呈し(図3参照)、概ねシリンダヘッド13の前方に対応配置されるように車体フレームにより支持される。また、図2等に示すように冷却系に冷却水を循環させるためのウォータポンプ29を有し、ラジエータ111及びこのウォータポンプ29は冷却水ホース30,31により相互に接続されるが、その詳細については後述するものとする。
次に、本発明の内燃機関の冷却構造に説明する。ウォータポンプ29は図4Aに示されるようにシリンダヘッド13の側面(本例では左側)に配置され、図8に示されるようにウォータポンプケース32とウォータポンプカバー33を有して構成される。本実施形態においてウォータポンプ29に加えて、エンジン10は、ブローバイガスの気液分離を行うブリーザ室や、排気通路に供給される二次エアの量を制御するリードバルブを収容するリードバルブ室を備えるが、これらの具体的構成については後述するものとする。
ウォータポンプケース32は図8に示されるように、概して偏平な薄箱状を呈し、図4Bに示されるように後述のブリーザ室と共にシリンダヘッド13の左側面部の略全体を覆うように複数の締結部34にてシリンダヘッド13に対してボルト等の締結手段によって固定される。本例のウォータポンプ29は遠心式ポンプであり、その要部は図8に示したようにインペラ35、インペラ35が固定手段であるボルト36によりその軸端に軸着される回転軸37、回転軸37を回転自在に支持するオイルシール38及びインペラ35とは反対側の回転軸37の軸端に軸着されるギヤ39を含んで構成される。また、ウォータポンプケース32にはオイルシール38を収容するハウジング40を有する。
この実施形態ではウォータポンプ29本体は図4Bから分かるように、車両側面視でエンジン10の吸気側に偏倚して配置される。シリンダヘッド13の側面に取り付けられたウォータポンプ29の回転軸37は、シリンダヘッド13内部まで延出するようになっており、この場合、回転軸37は吸気側のカムシャフト20(図4A参照)と平行であるが、その軸心が下方へオフセットされている。ウォータポンプ29の駆動機構として図9を参照して、回転軸37はカムシャフト20の略下方に間隔をおいて配置され、その軸端のギヤ39がカムシャフト20に軸着されたギヤ41と噛合する。ギヤ39及びギヤ41のギヤ比は少なくとも1以上、好ましくは1よりも大きくなように設定される。なお、具体的なギヤ比についてはエンジン10の仕様等に応じて適宜選択することができる。いずれの場合もウォータポンプ29はカムシャフト20の回転数以上の回転数で回転する。
ここで、シリンダヘッド13の左側面部には図9に示されるように、ウォータポンプ29を取り付けるための取付面42が形成される。取付面42は後述のようにブリーザ室等を構成するために図9のように所定パターンを持つ平坦面として形成される。一方、ウォータポンプケース32には図10に示されるように、取付面42のパターンに対応するパターンを持つ平坦面として形成された接合面43を有する。これらの取付面42及び接合面43は図5Aに示されるように、シリンダ軸線Zと実質的に平行(上下方向)となるように相互に重合する。この場合、取付面42及び接合面43の間には、図11のようにそれらのパターンと略同様なパターンを持つように形成されたシール44が介装され、両者の液密性及び気密性が確保維持される。
図12に示されるようにウォータポンプカバー33の内面には、インペラ35を収容可能なケーシング45が凹設され、ウォータポンプカバー33がウォータポンプケース32と結合することで、ケーシング45内でインペラ35が回転するように構成される。ウォータポンプカバー33は図5B等も参照して、ラジエータ111により冷却された冷却水が供給される冷却水ホース30が接続されるインレットパイプ46と、ラジエータ111に対してエンジン10を冷却後の冷却水を送給する冷却水ホース31が接続されるアウトレットパイプ47とを備える。ウォータポンプカバー33には、インレットパイプ46が接続するインレット通路48が形成され、このインレット通路48は図5B等に示すようにケーシング45の中央部に連通して、車両前方へやや前下りに延設される。このように配置されるインレット通路48は、冷却水ホース30を短縮することができる。
図12も参照してウォータポンプカバー33の内面にはウォータポンプケース32との間で、インペラ35の回転によりウォータポンプ29から吐出される冷却水をシリンダヘッド13のウォータジャケット26A(図13参照)へ導出するための給送路49が形成される。給送路49はケーシング45の後部から前寄りに下方へ渦巻き状に延設され、給送路49の下端位置に対応してウォータジャケット26Aに冷却水を送出するための送出口50(図10をも参照)がシリンダヘッド13側へ開口する。シリンダヘッド13の取付面42には図9に示されるように、送出口50と連通して冷却水が流入される冷却水流入口51が形成され、ウォータポンプ29から給送路49を経て冷却水流入口51から流入した冷却水が、シリンダヘッド13のウォータジャケット26Aに供給される。図9等から分かるように冷却水流入口51は吸気側に偏倚して、シリンダヘッド13の下端部付近に位置して配置される。なお、シリンダヘッド13及びシリンダブロック12内を流通した冷却水はその後、ウォータポンプ29へ還流される。
シリンダヘッド13の取付面42にはまた図9に示されるように、エンジン10を冷却後の冷却水がウォータジャケット26からウォータポンプ29側へ還流するための冷却水流出口52(図9参照)が形成される。図9等から分かるように冷却水流出口52は冷却水流入口51とシリンダヘッド13の同一側面(本例では左側)に設けられ、冷却水流入口51よりも適度に前寄りに、その略上方に位置して配置される。ウォータポンプケース32にはまた図8及び図10等に示されるように、冷却水流出口52と連通して冷却後の冷却水がウォータポンプ29へ還流される還流口53が開口する。図8及び図12を参照してウォータポンプカバー33の内面にはウォータポンプケース32との間で、還流口53を介してウォータポンプ29に還流された冷却水をアウトレットパイプ47へ導出するためのアウトレット通路54が形成される。アウトレット通路54は、送出口50の略上方に位置して配置される還流口53を起点として、ケーシング45の周囲で前上りに傾斜する経路を辿り、ウォータポンプ29の上部に配置されたアウトレットパイプ47まで延設される。
上記のように形成された冷却水流入口51及び冷却水流出口52とウォータポンプ29の回転軸37は、図9に示されるようにシリンダヘッド13の上下方向で略一直線上に配置される。このようにウォータポンプ29とこのウォータポンプ29及びシリンダヘッド13間で冷却水の授受を行うための冷却水流入口51及び冷却水流出口52とがシリンダヘッド13の吸気側に集約的に配置構成される。
上記の場合、ウォータポンプカバー33において、図8に示すようにインレットパイプ46とインレット通路48はそれらのフランジ部を介して結合する。インレットパイプ46及びインレット通路48の結合部にはサーモスタット55が装着される。サーモスタット55により、ラジエータ111からウォータポンプ29への冷却水の供給及び停止が制御される。
ここで、ウォータポンプカバー33に設けられたインレット通路48とアウトレット通路54とは、図5Bあるいは図12に示されるように車両側面視で相互に交差する。インレット通路48はウォータポンプカバー33の外側にて概略前後方向に延設され、アウトレット通路54はウォータポンプカバー33の内側にて概略上下方向に延設され、両者の交差部でウォータポンプカバー33の一部により仕切られる。この場合、図12のようにウォータポンプカバー33にはその交差部に穿孔してなり、インレット通路48及びアウトレット通路54を連通するバイパス通路56が設けられている。インレット通路48及びアウトレット通路54を適度に連通することで、それらを流通する冷却水の水温のハンチングが生じないようにしている。
また、図12に示すようにウォータポンプカバー33の上部において、インレット通路48及びアウトレット通路54にそれぞれ接続されたエア抜き用溝57が設けられる。エア抜き用溝57は、ウォータポンプカバー33の内面にてインレット通路48に連通するケーシング45の周囲上部付近からアウトレット通路54の上部まで延設される。ウォータポンプ29に冷却水を注入後にはウォータポンプケース32の上部に僅かに空気が残留するが、インペラ35が回転することでその水圧によりかかる空気を、エア抜き用溝57を介してウォータポンプ29から排出することができる。
本発明の内燃機関の冷却構造において、ブリーザ機構と二次エア供給機構を付帯して備える。ブリーザ機構のブリーザ室と二次エア供給機構のリードバルブ室は、ウォータポンプケース32及びウォータポンプカバー33に形成され、ウォータポンプ29と一体に設けられ、ウォータポンプユニットとして構成される。先ず、ブリーザ機構において図4Aのようにウォータポンプ29の前側に隣接して、即ち車両側面視(図5B参照)でエンジン10の排気側に偏倚してブリーザ室58が配置される。
この場合、ブリーザ室58はシリンダヘッド13とウォータポンプケース29とで形成され、ウォータポンプ29と隣接する。具体的には図9のようにシリンダヘッド13の側面においてウォータポンプ29の前側に位置して、取付面42のパターンの一部に含まれ、その端面が取付面42と面一とされた周状リブ59によりブリーザ室58の外郭が形成される。この外郭の内側にシリンダヘッド13側のブリーザ室半体58Aが構成される。同様に図10のようにウォータポンプケース32の前部が前方、即ち排気側へ一体に延出して、その端面が接合面43と面一とされた周状リブ60によりブリーザ室58の外郭が形成される。この外郭の内側にウォータポンプケース29側のブリーザ室半体58Bが構成される。ブリーザ室半体58A及びブリーザ室半体58Bが相互に重合することで、ブリーザ室58が画成され、両者の間には前述の取付面42及び接合面43のパターンと略同様なパターンを持つシール44が介装される。
このようにシリンダヘッド13とウォータポンプケース29の間で形成されるブリーザ室58は、ウォータポンプ29の前側に隣接して配置される。この場合、ウォータポンプケース29とブリーザ室58は車両側面視で実質的に重ならないが、ウォータポンプ29のインレットパイプ46は車両側面視で、図5Bのようにブリーザ室58と重なる。
ブリーザ室58内部にはブリーザ室半体58A及びブリーザ室半体58Bの相互間で突合せ式に構成され、ラビリンス構造を形成するように配された複数の隔壁もしくは仕切り壁61が付設される。シリンダヘッド13の側面には図9に示されるようにラビリンス構造の外側に位置して、動弁室側からブリーザ室58に開口するブローバイガスの通気孔62が形成される。また、ブリーザ室58の底部(この例では前側の角部)には動弁室側に開口するオイル戻し孔63が形成される。また、ブリーザ室半体58Bにおいてブリーザ室58内のラビリンス構造の上部には、図10等のようにアウトレットパイプ64が取り付けられる。このアウトレットパイプ64には、気液分離されたブローバイガスをエアクリーナへ送給するためのホースが接続される。
ブリーザ機構において、クランクケース11内のブローバイガスはカムチェーン室25を通って動弁室に入り、通気孔62を介してブリーザ室58に流入する。ブリーザ室58でブローバイガスは図9の点線矢印のように流れ、ラビリンス構造の隔壁61に当たりながら気液分離される。ブローバイガスから分離された潤滑油成分は図9の実線矢印のように隔壁61を伝って滴下し、ブリーザ室58の底部のオイル戻し孔63からクランクケース11側へ戻される。
次に二次エア供給機構において、図8のようにリードバルブ室65は実質的にウォータポンプケース32とウォータポンプカバー33とで形成され、車幅方向でブリーザ室58に隣接している。
図8に示されるようにウォータポンプケース32と一体形成されているブリーザ室58の下部において、この例では左側外側面にリードバルブ室65が形成される。リードバルブ室65は図8のように例えば矩形状を呈するようにブリーザ室58の外側面に凹設される。一方、ウォータポンプカバー33において図12に示されるように給送路49の下部付近に位置して二次エア室67が前方に延出し、つまり二次エア室67はウォータポンプカバー33と一体形成され、リードバルブ室65の矩形と整合する開口67aを有する。ウォータポンプカバー33がウォータポンプケース32に閉合した際、開口67aがリードバルブ室65に重なり、即ちリードバルブ室65及び二次エア室67が結合する。
このようにブリーザ室58の下部に構成されるリードバルブ室65は、ウォータポンプ29とは反対の排気側に配置される。ウォータポンプ29がシリンダヘッド13の側面で吸気側に配置されるのに対して、リードバルブ室65は実質的に排気側に配置される。
リードバルブ室65及び二次エア室67の結合部には、図8のようにリテーナ66aを介してリードバルブ66が装着される。なお、このリードバルブ室65及び二次エア室67の結合部には例えばゴム製のシールが介装される。リードバルブ66は、二次エア室67からリードバルブ室65へ二次エアを流通させるように開成作動する。また、リードバルブ室65には前述したシリンダヘッド13の排気ポート19に連通する連通孔68が形成される。このためシリンダヘッド13には図9に示されるように排気ポート19に連通し、且つ連通孔68と連通する連通孔68Aが形成される。二次エア室67の後上部には図8のように後上方へ延出するインレットパイプ69が取り付けられる。このインレットパイプ69にはエアクリーナから二次エアを供給するためのホースが接続される。
二次エア供給機構において、所定のタイミングで排気ポート19の負圧が連通孔68,68Aを介してリードバルブ66に作用する。これによりリードバルブ66が開成し、二次エア室67からリードバルブ室65へ二次エアを流通され、更にその二次エアは排気ポート19に供給される。このようにエアクリーナからの清浄な空気を取り込んで、排気系に供給し、排気ガスの浄化を促すことができる。
ここで、ブリーザ室58は図5A及び図5Bに示されるように、シリンダ軸線Zに沿った長さが、ウォータポンプ29と略同一である。ウォータポンプ29及びブリーザ室58はシリンダヘッド13の側面において吸気側と排気側に振り分けて配置され、高さ方向即ち上下方向の位置及び長さが両者間で実質的に同一となるように設定される。
また、リードバルブ室65に通じるインレットパイプ69は図5Aに示されるように、ウォータポンプ29のインレットパイプ46と車両幅方向で略同一位置である。ウォータポンプ29のインレットパイプ46は車両側面視で、図5Bのようにブリーザ室58と重なるが、二次エア室67はその下部に配置され、これに接続されるインレットパイプ69はウォータポンプ29のインレットパイプ46と車両側面視で重ならない。
本実施形態に係る内燃機関の冷却構造における動作において、エンジン10が始動することで、カムシャフト20のギヤ41と噛合するギヤ39を介して回転軸37が回転し、ウォータポンプ29が所定の回転数で回転する。なお、ウォータポンプ29は少なくともカムシャフト20以上の高い回転数で回転し、このように回転数の上昇により流量確保することでウォータポンプ29の小型化を図ることができる。
ラジエータ111で冷却された冷却水は、冷却水ホース30を介してインレット通路48を通ってウォータポンプ29に供給され、給送路49を経て送出口50から冷却水流入口51を介して、シリンダヘッド13へ供給される。この場合、冷却水流入口51からシリンダヘッド13へ供給された冷却水は先ず、図13に概略示したようにシリンダヘッド13のウォータジャケット26Aを流通し、シリンダブロック12に流入する。この冷却水はシリンダブロック12のウォータジャケット28を流通し、その後シリンダヘッド13のウォータジャケット26へ戻り、冷却水流出口52を介して還流口53からウォータポンプ29へ還流される。ウォータポンプ29に還流した冷却水は、アウトレット通路54を通ってウォータポンプ29の上部のアウトレットパイプ47から、冷却水ホース31を介してラジエータ111へ送給される。このように冷却水をウォータジャケット26及びウォータジャケット28に流通させることで、エンジン10を効率よく冷却することができる。
次に、本発明による内燃機関の冷却構造における主要な作用効果について説明する。先ず、ウォータポンプ29はウォータポンプケース32とウォータポンプカバー33を有して構成される。そして、ブリーザ室58とリードバルブ室65はウォータポンプ29と一体に、それぞれウォータポンプケース32及びウォータポンプカバー33に形成される。
このようにブリーザ室58及びリードバルブ室65をウォータポンプ29と一体化して構成し、ユニット化することで、これらの補機類の機能を有効に実現しつつシリンダヘッド13の幅やエンジン10高さを抑えることができる。また、ブリーザ室58及びリードバルブ室65をウォータポンプ29と一体でシリンダヘッド13に組み付けることができるため、それらの組付性が大幅に向上する上、部品点数も削減することができる。
この場合、ブリーザ室58は、シリンダヘッド13とウォータポンプケース32とで形成され、ウォータポンプ29と隣接する。
ウォータポンプケース32を有して、その所定部位を延出させてブリーザ室58を形成することで、シリンダヘッド13とのシール面が同一高さになり、即ちウォータポンプケース32及びブリーザ室58の接合面43を面一化することができる。この接合面43がシリンダヘッド13の取付面42と整合し、シール44を一体成型することができるためその組付性及び気密性が向上して、コストダウンも可能になる。
ブリーザ室58がウォータポンプ29と隣接するため取付面42及び接合面43、従ってシール44を小型化して全体としてコンパクト化を図ることができる。
また、ウォータポンプ29に隣接するブリーザ室58内を流れるブローバイガスに対する冷却効果が向上することで、ブリーザ室58における気液分離能力も向上する。更に、リードバルブ66はゴム製シールでシールされているが、そのシールが冷やされることで耐久性が向上する。
また、リードバルブ室65は図4B等に示されるように、ブリーザ室58の外側壁即ちウォータポンプケース32と、これに閉合する二次エア室67即ちウォータポンプカバー33とで形成され、車幅方向でブリーザ室58の外側に隣接している。
このようにリードバルブ室65をブリーザ室58に対して幅を詰めて隣接することで、特に車幅方向をコンパクトにすることができる。
更に、ブリーザ室58は図5B等のように、シリンダ線Zに沿った長さが、ウォータポンプ29と略同じである。
このようにブリーザ室58をウォータポンプ29よりも突出させることなく、即ちコンパクト化を図りながらブリーザ室58の必要な容量を確保することができる。
また、車両側面視で図5Bのようにウォータポンプ29のインレットパイプ46はブリーザ室58と重なっており、この場合更に、図5Aのようにリードバルブ室65のインレットパイプ69が該ウォータポンプ29のインレットパイプ46と、車両幅方向で略同一高さである。
このようにインレットパイプ46をリードバルブ室65に隣接させつつ、インレットパイプ69と車両幅方向の位置を同一にすることにより、二次エア室67の容量を確保し、即ち二次エアの流量を確保しながら、シリンダヘッド13の左右方向幅を抑えることができる。
また、車両側面視でウォータポンプ29は吸気側に配置され、ブリーザ室58とリードバルブ室65は共に排気側に配置される。
それぞれシリンダヘッド13の排気ポート19に連通される、リードバルブ室65の連通孔68とシリンダヘッド13の連通孔68Aとで形成される二次エア通路が直線状に配置される。このため連通孔68及び連通孔68Aの加工性が向上すると共に、二次エアを流れ易くして流通効率を向上できる。
以上、本発明を種々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。
上記実施形態において、エンジン10として4サイクル単気筒DOHCエンジンの例を説明したが、4サイクル単気筒SOHCエンジンであってもよく、いずれの場合も単気筒以外の2気筒以上のエンジンであっても同様に適用可能である。
10 エンジン、11 クランクケース、12 シリンダブロック、13 シリンダヘッド、14 シリンダヘッドカバー、15 クランクシャフト、16 トランスミッションケース、17 吸気ポート、18 燃焼室、19 排気ポート、20,21 カムシャフト、22,23 スプロケット、24 カムチェーン、25 カムチェーン室、26,26A ウォータジャケット、27 シリンダボア、28 ウォータジャケット、29 ウォータポンプ、30,31 冷却水ホース、32 ウォータポンプケース、33 ウォータポンプカバー、35 インペラ、37 回転軸、38 オイルシール、39,41 ギヤ、42 取付面、43 接合面、44 シール、46 インレットパイプ、47 アウトレットパイプ、48 インレット通路、49 給送路、50 送出口、51 冷却水流入口、52 冷却水流出口、53 還流口、54 アウトレット通路、55 サーモスタット、56 バイパス通路、57 エア抜き用溝、58 ブリーザ室、59,60 周状リブ、62 通気孔、63 オイル戻し孔、65 リードバルブ室、66 リードバルブ、67 二次エア室、68 連通孔、69 インレットパイプ、100 自動二輪車。

Claims (6)

  1. シリンダと、シリンダヘッドと、前記シリンダヘッド内の動弁機構用のカム軸と、前記カム軸により駆動され前記シリンダヘッドに設けられたウォータポンプと、ブローバイガスの気液分離を行うブリーザ室と、排気通路に供給される二次エアの量を制御するリードバルブを収容するリードバルブ室と、を備えた内燃機関において、
    前記ウォータポンプは、ウォータポンプケースとウォータポンプカバーを有し、
    前記ブリーザ室と前記リードバルブ室は、前記ウォータポンプケース及び前記ウォータポンプカバーに形成され、前記ウォータポンプと一体に設けられていることを特徴とする内燃機関の冷却構造。
  2. 前記ブリーザ室は前記シリンダヘッドと前記ウォータポンプケースとで形成され、前記ウォータポンプと隣接していることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の冷却構造。
  3. 前記リードバルブ室は前記ウォータポンプケースと前記ウォータポンプカバーとで形成され、車幅方向で前記ブリーザ室に隣接していることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の冷却構造。
  4. 前記ブリーザ室は前記シリンダのシリンダ軸線に沿った長さが、前記ウォータポンプと略同一であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関の冷却構造。
  5. 前記ウォータポンプのインレットパイプ部は車両側面視で、前記ブリーザ室と重なり、前記リードバルブ室のインレットパイプ部は前記ウォータポンプのインレットパイプ部と、車両幅方向で略同一高さであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の内燃機関の冷却構造。
  6. 車両側面視で、前記ウォータポンプは吸気側に配置され、前記ブリーザ室及び前記リード室は排気側に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の内燃機関の冷却構造。
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