JP2017125173A - 硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物およびプリント配線板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)α線量が0.3cph/cm2以下の硫酸バリウムと、(B)硬化性樹脂とを含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物等である。
【選択図】なし
Description
本発明の第一の実施形態に係る硬化性樹脂組成物は、(A)α線量が0.3cph/cm2以下の硫酸バリウムを含有する。(A)α線量が0.3cph/cm2以下の硫酸バリウムは、α線量と不純物の硫黄含有量の条件を満たす市販のα線量が0.3cph/cm2以下の硫酸バリウムを用いてもよく、また、下記のような方法でα線量および不純物の硫黄含有量を低減して得ることができる。α線量が0.3cph/cm2以下であれば、HAST耐性に優れた硬化性樹脂組成物を得ることができる。
なお、本発明の(A)α線量が0.3cph/cm2以下の硫酸バリウムを含む組成物を使用すると、特開2003−330169号公報に記載のようなウラン含有量が0.1ppb以下の高純度合成シリカを含む組成物を使用する場合と比較して、めっき処理時に硬化膜が白化しないという効果を奏する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、(B)硬化性樹脂を含有する。本発明において用いられる(B)硬化性樹脂は、光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂であり、これらの混合物であってもよい。
カルボキシル基含有樹脂は、エチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂であることが好ましいが、エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂でもよい。
(1)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸などの2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(2)エポキシ樹脂の水酸基を、さらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に、(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(3)エポキシ化合物に、1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸などの不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸などの多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(4)ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ノボラック型フェノール樹脂、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ナフトールとアルデヒド類の縮合物、ジヒドロキシナフタレンとアルデヒド類との縮合物などの1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物と、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に、(メタ)アクリル酸などの不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(5)1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に、不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(6)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物と、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物などのジオール化合物の重付加反応によるウレタン樹脂の末端に、酸無水物を反応させてなる末端カルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(7)ジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸などのカルボキシル基含有ジアルコール化合物と、ジオール化合物との重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(8)ジイソシアネートと、カルボキシル基含有ジアルコール化合物と、ジオール化合物との重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(9)(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレンなどの不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。
(10)オキセタン樹脂に、アジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸などのジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に、2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂に、さらにグリシジル(メタ)アクリレート、α−メチルグリシジル(メタ)アクリレートなどの1分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(11)上述した(1)〜(10)のカルボキシル基含有樹脂に、1分子中に環状エーテル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(C)光重合開始剤としては、光重合開始剤や光ラジカル発生剤として公知の光重合開始剤であれば、いずれのものを用いることもできる。
(a−1)硫酸バリウムは、ウランやトリウムなどの放射性物質を取り除いた硫酸バリウムである。(a−1)硫酸バリウムの製造方法の例としては、まず、重晶石原料鉱石を破砕して塊状破砕鉱とし、前記塊状破砕鉱のα線量を測定してα線量の少ない塊状破砕鉱を選別し、この選別されたα線放出量の少ない塊状破砕鉱を粉砕して粉鉱とする。前記粉鉱を浮遊選鉱して母岩および脈石を除去して精鉱とし、この精鉱をカーボンで還元焙焼して得た硫化バリウムの浸出溶液に過マンガン酸カリウムで脱鉄精製したボウ硝(硫酸ナトリウム)溶液を反応させ、得られた沈殿を濾過、水洗、乾燥して、硫酸バリウムを製造する方法が挙げられる。また、硫酸塩水溶液のかわりに硫酸を加え、得られた白色沈殿を濾過水洗してもよい。前記粉鉱を湿式で微粉砕し、水簸として微粉を集め、硫酸を少量加えて鉄分を除き水洗乾燥して粉砕して、硫酸バリウムを製造してもよい。硫酸バリウムの製造工程として、pH調整、表面処理、中和、濾過、洗浄、乾燥、粉砕工程等をさらに設けてもよい。(a−1)硫酸バリウムとして、α線量の条件を満たす市販のα線量が0.3cph/cm2以下の硫酸バリウムを用いてもよい。
(a−2)α線量が0.3cph/cm2以下の硫酸バリウム以外の無機フィラーは、α線量が前記範囲内であれば特に限定されず、公知慣用の無機フィラー、例えばシリカ、ノイブルグ珪土、水酸化アルミニウム、ガラス粉末、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、天然マイカ、合成マイカ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化鉄、非繊維状ガラス、ハイドロタルサイト、ミネラルウール、アルミニウムシリケート、カルシウムシリケート、亜鉛華等を用いることができる。シリカ、タルクであることが好ましく、シリカであることがより好ましく、シリカは高純度合成シリカであることがさらに好ましい。
高純度合成シリカは、高純度化処理を行なってウランやトリウムなどの放射性物質を取り除いた高純度溶融シリカ粉である。これらの高純度合成シリカ粉の製造方法は、ケイ酸アルカリを中和、ゲル乾燥、粉砕後火炎溶融する方法、アルコキシシランを火炎分解する方法、四塩化ケイ素等の揮発性ケイ素化合物を気相加水分解する方法や、特開昭61−40811号に開示されているようなメタ珪酸ソーダを原料としてイオン交換処理して得られる湿式合成シリカを火炎溶融処理する方法などがある。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化触媒を含有してもよい。硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等の有機酸ヒドラジド類;トリフェニルホスフィン等のリン化合物など、また市販されているものとしては、例えば四国化成工業社製の2MZ−A、2MZ−OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ社製のU−CAT3503X、U−CAT3502X(いずれもジメチルアミンのブロックイソシアネート化合物の商品名)、DBU、DBN、U−CATSA102、U−CAT5002(いずれも二環式アミジン化合物及びその塩)などがある。特に、これらに限られるものではなく、エポキシ樹脂の硬化触媒、もしくはエポキシ基とカルボキシル基の反応を促進するものであればよく、単独で又は2種以上を混合して使用してもかまわない。また、密着性付与剤としても機能するグアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS−トリアジン誘導体を用いることもでき、好ましくはこれら密着性付与剤としても機能する化合物を前記硬化触媒と併用する。上記硬化触媒の配合量は通常の量的割合で充分であり、例えば、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜15質量部の割合である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、(B)硬化性樹脂等を溶解させ、また組成物を塗布方法に適した粘度に調整するために、有機溶剤を配合することができる。有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、有機溶剤の配合量は、塗布方法に応じた任意の量とすることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、さらに必要に応じてフタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラックなどの公知慣用の着色剤、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジンなどの公知慣用の熱重合禁止剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系などの消泡剤・レベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等のシランカップリング剤などのような公知慣用の添加剤類を配合することができる。
重晶石原料鉱石を破砕して最大粒径が0.05〜0.5mmの範囲内の大きさの塊状破砕鉱とし、前記塊状破砕鉱のα線量をガスフロータイプのα線測定器(低レベルα線測定装置LACS−4000;住友化学社製)を用いて測定し、α線量が1cph/cm2以下の塊状破砕鉱を選別し、この選別されたα線放出量1cph/cm2以下の塊状破砕鉱を粉砕して粉鉱とした。さらに、前記粉鉱を浮遊選鉱して母岩および脈石を除去して精鉱とし、この精鉱をコークス(α線の低いものを選択した)で還元焙焼して得た硫化バリウムの温水浸出溶液を得た。次いで、この硫酸バリウム水溶液と塩酸とを反応させ、塩化バリウムを作った後、過マンガン酸カリウムで脱鉄精製したボウ硝(硫酸ナトリウム)溶液を反応させ、得られた硫酸バリウムの沈殿を濾過、水洗、乾燥して、未反応の硫酸ナトリウム等の不純物を低減させた硫酸バリウムを製造した。得られた硫酸バリウムのα線量を前記ガスフロータイプのα線測定器を用いて測定し、その結果を表2に示した。
ここで無機フィラーが硫酸バリウムである場合、例えば、重晶石をコークスで還元焙焼して温水浸出させ硫化バリウム水溶液を得てから、この硫化バリウム水溶液と塩酸とを反応させ、塩化バリウムを作った後、過マンガン酸カリウムで脱鉄精製したボウ硝(硫酸ナトリウム)溶液を反応させ、得られた硫酸バリウムの沈殿をろ過、水洗、乾燥する方法が挙げられる。また、硫酸バリウムのスラリーに水溶性の亜鉛塩を添加して硫酸バリウムの表面に亜鉛化合物を沈着させ、得られたスラリーをろ過、水洗、乾燥し、その後、必要に応じて粉砕機で粉砕して複合粒子を得る方法等も挙げられる。
無機フィラーのα線量は、面積4000cm2の2π型ガスフロー比例計数器に無機フィラーを静置し、PR−10ガス(Ar90%、CH410%)を流し、約2kVの直流電圧を印加した。この試料表面からのα線が検出器の測定領域に入射することにより、ガスがイオン化されパルス電流が流れ、電圧パルスに変換されり。この変換された電圧パルスがしきい値以上となった値をカウントすることによりα線を測定した。
下記表1中に示す各無機フィラーについて、下記の方法で硫酸イオン量を測定した。各無機フィラーをそれぞれ0.25g量り取り、これを測定試料として測定炉に静置した。その後、前処理として、(株)三菱アナリテック製試料燃焼装置:AQF−2100H型を用いて、下記条件に従い、石英管燃焼法で各測定試料に燃焼処理を行い、発生したガスを吸収液に吸収させた。
1.燃焼条件(燃焼部)
500℃×10minで酸素/アルゴン(混合比4:3)、流量70ml/minの条件下で加熱を行った。
2.吸収液:0.01%過酸化水素水5ml(燃焼処理後、10mlにメスアップ)
イオンクロマトグラフ:ICS−1100(Thermo Fisher Scientific(DIONEX)社製)
溶離液:2.7mM Na2CO3/0.3mM NaHCO3
カラム:Ion Pac AS12A(Thermo Fisher Scientific(DIONEX)社製)
流量:1.5 ml/min
サプレッサー:AERS−500
注入量:100μl
合成例1
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート600gにオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂〔大日本インキ化学工業株式会社製、EPICLON N−695、軟化点95℃、エポキシ当量214、平均官能基数7.6〕1070g(グリシジル基数(芳香環総数):5.0モル)、アクリル酸360g(5.0モル)、およびハイドロキノン1.5gを仕込み、100℃に加熱攪拌し、均一溶解した。
次いで、トリフェニルホスフィン4.3gを仕込み、110℃に加熱して2時間反応後、120℃に昇温してさらに12時間反応を行った。得られた反応液に、芳香族系炭化水素(ソルベッソ150)415g、テトラヒドロ無水フタル酸456.0g(3.0モル)を仕込み、110℃で4時間反応を行い、冷却し、感光性のカルボキシル基含有樹脂溶液(ワニスA−1と称する)を得た。
このようにして得られた樹脂溶液(ワニスA)の固形分は65%、固形分の酸価は89mgKOH/gであった。
温度計、窒素導入装置兼アルキレンオキシド導入装置および撹拌装置を備えたオートクレーブに、ノボラック型クレゾール樹脂(昭和高分子社製、商品名「ショーノールCRG951」、OH当量:119.4)119.4g、水酸化カリウム1.19gおよびトルエン119.4gを仕込み、撹拌しつつ系内を窒素置換し、加熱昇温した。
次に、プロピレンオキシド63.8gを徐々に滴下し、125〜132℃、0〜4.8kg/cm2で16時間反応させた。その後、室温まで冷却し、この反応溶液に89%リン酸1.56gを添加混合して水酸化カリウムを中和し、不揮発分62.1%、水酸基価が182.2g/eq.であるノボラック型クレゾール樹脂のプロピレンオキシド反応溶液を得た。これは、フェノール性水酸基1当量当りアルキレンオキシドが平均1.08モル付加しているものであった。
得られたノボラック型クレゾール樹脂のアルキレンオキシド反応溶液293.0g、アクリル酸43.2g、メタンスルホン酸11.53g、メチルハイドロキノン0.18gおよびトルエン252.9gを、撹拌機、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、110℃で12時間反応させた。反応により生成した水は、トルエンとの共沸混合物として、12.6gの水が留出した。
その後、室温まで冷却し、得られた反応溶液を15%水酸化ナトリウム水溶液35.35gで中和し、次いで水洗した。その後、エバポレーターにてトルエンをジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート118.1gで置換しつつ留去し、ノボラック型アクリレート樹脂溶液を得た。
次に、得られたノボラック型アクリレート樹脂溶液332.5gおよびトリフェニルホスフィン1.22gを、撹拌器、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、テトラヒドロフタル酸無水物60.8gを徐々に加え、95〜101℃で6時間反応させ、感光性のカルボキシル基含有樹脂溶液(ワニスBと称する)を得た。
このようにして得られた樹脂溶液(ワニスB)の固形分は71%、固形分の酸価は88mgKOH/gであった。
下記表1に示す種々の成分を表1に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで混練し、硬化性樹脂組成物を調製した。
上記各実施例及び比較例の組成物を、パターン形成された銅箔基板上にスクリーン印刷で全面塗布した。印刷された基板を目視で、印刷性の評価を行なった。
○:印刷に問題なし。
△:一部にカスレ、はじきを発生している。
上記の評価基板をJIS D 0202の試験法に従い碁盤目状にクロスカットを入れ、粘着テープによるピールテストを行ない、レジスト層の剥がれについて評価した。判定基準は以下のとおりである。
○:全く剥がれが認められないもの
×:レジスト層に剥がれがあるもの
上記の評価基板を市販品の無電解ニッケルめっき浴及び無電解金めっき浴を用いて、ニッケル0.5μm、金0.03μmの条件でめっきを行ない、テープピーリングにより、レジスト層の剥がれの有無やめっきのしみ込みの有無を評価した後、前記密着性の試験法に従い碁盤目状にクロスカットを入れ、テープピーリングによりレジスト層の剥がれの有無を評価した。また、レジスト層の外観を観察し、レジスト層の表面が白化するかどうかを評価した。判定基準は以下のとおりである。
(密着性)
○:全く剥がれが認められないもの
×:レジスト層に剥がれがあるもの
(耐白化性)
○:レジスト層の表面が白化しなかった
×:レジスト層の表面が白化した
上記の評価基板を、PCT装置(TABAI ESPEC HAST SYSTEM TPC−412MD)を用いて121℃、2気圧の条件で168時間処理し、硬化被膜の状態を評価した。
○:剥がれ、変色そして溶出なし。
×:剥がれ、変色そして溶出が見られる。
各実施例および比較例の硬化性組成物を、ライン/スペース=20/15μmのクシ型電極パターンが形成された基板上に乾燥膜厚が20μmになるようにスクリーン印刷で全面塗布し、80℃で30分間乾燥し、室温まで放冷した。この基板に高圧水銀灯を搭載した露光装置を用いて最適露光量で露光した後、30℃の1wt%炭酸ナトリウム水溶液により、スプレー圧0.2MPaの条件で、60秒間現像を行い、パターンを得た。この基板を、150℃、60分でポストキュアを行い、硬化物パターンの形成された評価基板を得た後、絶縁信頼性(電極腐食性)の評価を行った。
評価方法は、このクシ型電極を130℃、85%R.H.の加温加湿条件下でDC5Vのバイアス電圧を印加し、絶縁劣化に至るまでの時間を測定した。ここで、電気抵抗値が1×106Ωを下回った時点で絶縁劣化と判定した。評価基準は以下のとおりである。結果を下記表3、4に示す。
○:絶縁劣化に至るまでの時間が100時間以上、100時間経過時にイオンマイグレーションの発生なし。
△:絶縁劣化に至るまでの時間が100時間以上、100時間経過時にイオンマイグレーションの発生した。
×:絶縁劣化に至るまでの時間が100時間未満。
PETフィルム上に上記条件で硬化被膜を作成し、PETフィルムから硬化被膜を剥離し、以下の条件でα線量を測定した。
測定条件
装置:低レベルα線測定装置LACS−4000(住友化学社製)
印加電圧:1.9kV
計数ガス:PR−10ガス(Ar90%、CH410%)、100ml/min
試料面積:4000cm2
全計数時間:99時間
計数効率:80%
下記表2に、それぞれのα線測定結果を載せた。
*2:B−30(堺化学社製)(α線量0.38cph/cm2、不純物の硫黄含有量14.32ppm、平均粒径0.3μm)
*3:SO−E5(龍森社製)(ウラン含有量0.3ppb以下、α線量0.01cph/cm2以下、不純物の硫黄含有量10ppm以下、平均粒径1.6μm)
*4:上記で合成したカルボキシル基含有樹脂のワニスA
*5:上記で合成したカルボキシル基含有樹脂のワニスB
*6:イルガキュア907(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、BASFジャパン社製)
*7:イルガキュアOXE−2(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム、BASFジャパン社製)
*8:EPPN−501H(サルチルアルデヒド型エポキシ樹脂、日本化薬社製)
*9:YX−4000(ビキシレノール型エポキシ樹脂、三菱化学社製)
*10:DPHA(ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、日本化薬社製)
*11:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート
Claims (10)
- (A)α線量が0.3cph/cm2以下の硫酸バリウムと、(B)硬化性樹脂を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
- さらに、高純度合成シリカを含むことを特徴とする請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
- α線量が0.03cph/cm2以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記(B)硬化性樹脂が、カルボキシル基を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
- 前記(B)硬化性樹脂として、光硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
- さらに、(C)光重合開始剤を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記(B)硬化性樹脂として、さらに、熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項5または6に記載の硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を、フィルムに塗布、乾燥して得られる樹脂層を有することを特徴とするドライフィルム。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物、または、請求項8に記載のドライフィルムの樹脂層を、光照射および加熱の少なくとも何れか一方により硬化して得られることを特徴とする硬化物。
- 請求項9記載の硬化物を有することを特徴とするプリント配線板。
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