JP2017124763A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】ドライ性能とウェット性能とを共に向上させることのできる空気入りタイヤを提供すること。【解決手段】タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面CLの両側に配設される一対の内側周方向溝21と、タイヤ幅方向において一対の内側周方向溝21のそれぞれの外側に配設される一対の外側周方向溝25と、両端が一対の内側周方向溝21に接続されると共に、タイヤ周方向に延びる周方向延在部33を有する複数のセンターラグ溝31と、センターラグ溝31と内側周方向溝21とにより画成されるセンターブロック11と、一端がセンターラグ溝31に接続され、他端がセンターブロック11内で終端すると共に、少なくとも1箇所で屈曲する切欠き部40と、を備え、タイヤ幅方向におけるセンターブロック11の中心を中心とし、センターブロック11のタイヤ幅方向における幅の10%の領域であるセンター領域CA内の接地面積比率が30%以上70%以下である。【選択図】図2

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤは、主に排水性を確保するためにトレッド面に溝が形成されているが、溝を多くし過ぎると陸部の剛性が低下して操縦安定性や耐摩耗性が低下するため、従来の空気入りタイヤの中には、溝の配設形態を工夫することにより、これらの相反する性能の向上を図っているものがある。例えば、特許文献1に記載された空気入りタイヤでは、タイヤ周方向に沿ってジグザグ状に延びる周方向溝をタイヤ幅方向に4本並べて配設し、4本の周方向溝のうち、タイヤ幅方向における内側の2本の周方向溝同士の間に、クランク状に形成されるラグ溝を配設することにより、ウェット路面でのトラクション性と耐摩耗性の向上を図っている。
特開2006−111122号公報
ここで、空気入りタイヤは、走行時における車両の重量によって接地特性が変化するが、特に、貨物を積載していない状態における重量と、貨物の満載時における重量との差が大きいトラックやバスでは、車両の重量の変化に伴う接地特性の変化が顕著になっている。例えば、トラックやバスにおいて、複数の車輪を重ねて装着する車両では、貨物を積載していない状態である空車時には、貨物が積載された状態である積車時と比較して、空気入りタイヤにおける路面への接地面積が小さくなり、センター領域付近のみが接地することになる。このように、接地面積が小さくなった場合、空気入りタイヤのトレッド面と路面との間でスリップが発生し易くなるため、スリップを防ぐにはセンター領域付近の溝面積比を小さくした方が良いが、溝面積比を小さくすると排水性が低下するため、ウェット性能が低下する。これらのように、トラックやバス等に装着される空気入りタイヤでは、貨物の積載状態に関わらず、即ち、空車や積車に関わらず、ドライ走行時における操縦安定性と、ウェット性能とを両立することは、大変困難なものとなっていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ドライ性能とウェット性能とを共に向上させることのできる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る空気入りタイヤは、タイヤ赤道面を挟んでタイヤ幅方向における前記タイヤ赤道面の両側に配設され、タイヤ周方向に延びる一対の内側周方向溝と、タイヤ幅方向において一対の前記内側周方向溝のそれぞれの外側に配設され、タイヤ周方向に延びる一対の外側周方向溝と、両端が一対の前記内側周方向溝に接続されると共に、複数の位置で屈曲することによりタイヤ周方向に延びる周方向延在部を有する複数のラグ溝と、前記ラグ溝と前記内側周方向溝とにより画成される陸部であるセンターブロックと、一端が前記ラグ溝に接続され、他端が前記センターブロック内で終端すると共に、少なくとも1箇所で屈曲する切欠き部と、を備え、タイヤ幅方向における前記センターブロックの中心を中心とし、前記センターブロックのタイヤ幅方向における幅の10%の領域であるセンター領域内の接地面積比率が30%以上70%以下であることを特徴とする。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記周方向延在部は、前記センター領域内に位置することが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記センターブロックの、前記センター領域内に位置する部分のタイヤ周方向における長さであるセンター領域長さは、タイヤ周方向における前記センターブロックの長さの25%以上40%以下であることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記周方向延在部は、タイヤ周方向における長さが前記センター領域長さの50%以上70%以下であることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、1つの前記ラグ溝には、2つの前記切欠き部が接続され、2つの前記切欠き部は、屈曲部から前記センターブロック内で終端している端部側に位置する部分が、タイヤ周方向において互いに反対方向に向かう方向に屈曲していることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記切欠き部は、タイヤ幅方向における前記センター領域の外側の位置で屈曲することが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記内側周方向溝は、タイヤ幅方向に振幅しつつタイヤ周方向に延びており、対向する溝壁同士の、タイヤ周方向に見た場合における重なり量が0mm以上5mm以下であることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記外側周方向溝は、タイヤ幅方向に振幅しつつタイヤ周方向に延びており、対向する溝壁同士の、タイヤ周方向に見た場合における重なり量が1mm以上5mm以下であることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記内側周方向溝と前記外側周方向溝とは、共にタイヤ幅方向に振幅しつつタイヤ周方向に延びており、前記内側周方向溝の対向する溝壁同士の、タイヤ周方向に見た場合における重なり量L1と、前記外側周方向溝の対向する溝壁同士の、タイヤ周方向に見た場合における重なり量L2とは、L1≦L2の関係を満たすことが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記内側周方向溝と前記外側周方向溝とは、前記内側周方向溝の溝幅W1と前記外側周方向溝の溝幅W2との関係が0.5≦(W2/W1)≦0.9であることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記センターブロックは、タイヤ幅方向における幅がトレッド展開幅の20%以上40%以下であることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記センターブロックは、タイヤ周方向における長さLとタイヤ幅方向における幅Wとの比率が、0.9≦(L/W)≦1.1であることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、タイヤ幅方向における前記外側周方向溝の外側には、タイヤ幅方向における内側部分が前記外側周方向溝によって区画される陸部であるショルダーブロックが設けられており、前記ショルダーブロックの面積は、前記センターブロックの面積の40%以上60%以下であることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤは、用途が重荷重用空気入りタイヤであることが好ましい。
本発明に係る空気入りタイヤは、ドライ性能とウェット性能とを共に向上させることができる、という効果を奏する。
図1は、実施形態に係る空気入りタイヤの要部を示す子午断面図である。 図2は、図1のA−A矢視図である。 図3は、図2のB部詳細図である。 図4は、図2のC部詳細図である。 図5は、図2に示すセンターブロックの詳細図である。 図6Aは、空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。 図6Bは、空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。 図6Cは、空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。 図6Dは、空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。 図6Eは、空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
以下に、本発明に係る空気入りタイヤの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
以下の説明において、タイヤ幅方向とは、空気入りタイヤの回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内方とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面に向かう方向、タイヤ幅方向外方とは、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面に向かう方向の反対方向をいう。また、タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸と直交する方向をいい、タイヤ径方向内方とはタイヤ径方向においてタイヤ回転軸に向かう方向、タイヤ径方向外方とは、タイヤ径方向においてタイヤ回転軸から離れる方向をいう。また、タイヤ周方向とは、タイヤ回転軸を中心として回転する方向をいう。
図1は、実施形態に係る空気入りタイヤの要部を示す子午断面図である。図1に示す空気入りタイヤ1は、子午断面図で見た場合、タイヤ径方向の最も外方側となる部分にトレッド部2が配設されており、トレッド部2の表面、即ち、当該空気入りタイヤ1を装着する車両(図示省略)の走行時に路面と接触する部分は、トレッド面3として形成されている。トレッド面3には、タイヤ周方向に延びる周方向溝20が複数形成されており、周方向溝20に交差するラグ溝30(図2参照)が複数形成されている。トレッド面3には、これらの複数の周方向溝20やラグ溝30によって複数の陸部10が画成されている。
タイヤ幅方向におけるトレッド部2の両端は、ショルダー部4として形成されており、ショルダー部4から、タイヤ径方向内方側の所定の位置までは、サイドウォール部5が配設されている。つまり、サイドウォール部5は、タイヤ幅方向における空気入りタイヤ1の両側2ヶ所に配設されている。
さらに、それぞれのサイドウォール部5のタイヤ径方向内方側には、ビード部50が位置しており、ビード部50は、サイドウォール部5と同様に、タイヤ赤道面CLの両側2ヶ所に配設されている。即ち、ビード部50は、タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面CLの両側に一対が配設されている。一対のビード部50のそれぞれにはビードコア51が設けられており、それぞれのビードコア51のタイヤ径方向外方にはビードフィラー55が設けられている。ビードコア51は、スチールワイヤであるビードワイヤをリング状に巻くことにより形成されている。ビードフィラー55は、後述するカーカス6のタイヤ幅方向端部がビードコア51の位置でタイヤ幅方向外方側に折り返されることにより形成された空間に配置されるゴム材である。
トレッド部2のタイヤ径方向内方には、ベルト層7が設けられている。ベルト層7は、例えば、4層のベルト71,72,73,74を積層した多層構造をなし、スチール、またはポリエステルやレーヨンやナイロン等の有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成される。また、ベルト71,72,73,74は、タイヤ周方向に対するベルトコードの繊維方向の傾斜角として定義されるベルトコードが互いに異なっており、ベルトコードの繊維方向を相互に交差させて積層される、いわゆるクロスプライ構造として構成される。
このベルト層7のタイヤ径方向内方、及びサイドウォール部5のタイヤ赤道面CL側には、ラジアルプライのコードを内包するカーカス6が連続して設けられている。このカーカス6は、1枚のカーカスプライから成る単層構造、或いは複数のカーカスプライを積層して成る多層構造を有し、タイヤ幅方向の両側に配設されるビードコア51間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。詳しくは、カーカス6は、タイヤ幅方向における両側に位置する一対のビード部50のうち、一方のビード部50から他方のビード部50にかけて配設されており、ビードコア51及びビードフィラー55を包み込むようにビード部50でビードコア51に沿ってタイヤ幅方向外方に巻き返されている。このように配設されるカーカス6のカーカスプライは、スチール材から成るカーカスコードであるスチールコードが用いられ、複数のスチールコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成されている。即ち、カーカス6は、スチールカーカス材を使用して構成されている。
また、カーカス6の内方側、或いは、当該カーカス6の、空気入りタイヤ1における内部側には、インナーライナ8がカーカス6に沿って形成されている。
図2は、図1のA−A矢視図である。トレッド面3に形成される周方向溝20としては、タイヤ赤道面CLを挟んでタイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面CLの両側に配設され、タイヤ周方向に延びる一対の内側周方向溝21と、タイヤ幅方向において一対の内側周方向溝21のそれぞれの外側に配設され、タイヤ周方向に延びる一対の外側周方向溝25とが設けられている。つまり、内側周方向溝21は、2本の内側周方向溝21がタイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面CLの両側に配設され、外側周方向溝25は、2本の外側周方向溝25がタイヤ幅方向において2本の内側周方向溝21を挟んで2本の内側周方向溝21のタイヤ幅方向における両側に配設されている。これらの内側周方向溝21と外側周方向溝25とは、それぞれタイヤ幅方向に振幅しつつタイヤ周方向に延びて形成されている。なお、内側周方向溝21は、溝幅が6mm以上11mm以下の範囲内になっており、溝深さが10mm以上18mm以下の範囲内になっている。また、外側周方向溝25は、溝幅が4mm以上9mm以下の範囲内になっており、溝深さが10mm以上18mm以下の範囲内になっている。
図3は、図2のB部詳細図である。タイヤ幅方向に振幅しつつタイヤ周方向に延びる内側周方向溝21は、内側周方向溝21の溝壁22におけるタイヤ幅方向外方側に位置する溝壁22のうち、最もタイヤ幅方向内方側に位置する部分が、タイヤ幅方向内方側に位置する溝壁22のうち最もタイヤ幅方向外方側に位置する部分よりも、タイヤ幅方向内方側に位置している。即ち、内側周方向溝21は、タイヤ周方向に見た場合に対向する溝壁22同士が重なっており、タイヤ周方向にシースルーにはなっていない。同様に、タイヤ幅方向に振幅しつつタイヤ周方向に延びる外側周方向溝25は、外側周方向溝25の溝壁26におけるタイヤ幅方向外方側に位置する溝壁26のうち、最もタイヤ幅方向内方側に位置する部分が、タイヤ幅方向内方側に位置する溝壁26のうち最もタイヤ幅方向外方側に位置する部分よりも、タイヤ幅方向内方側に位置している。即ち、外側周方向溝25は、タイヤ周方向に見た場合に対向する溝壁26同士が重なっており、タイヤ周方向にシースルーにはなっていない。
また、内側周方向溝21と外側周方向溝25とは、外側周方向溝25をタイヤ周方向に見た場合に外側周方向溝25の対向する溝壁26同士がタイヤ幅方向に重なる幅が、内側周方向溝21をタイヤ周方向に見た場合に内側周方向溝21の対向する溝壁22同士がタイヤ幅方向に重なる幅以上の幅になって形成されている。つまり、内側周方向溝21と外側周方向溝25とは、内側周方向溝21の対向する溝壁22同士の、タイヤ周方向に見た場合における重なり量L1と、外側周方向溝25の対向する溝壁26同士の、タイヤ周方向に見た場合における重なり量L2とが、L1≦L2の関係を満たしている。これらの内側周方向溝21と外側周方向溝25の溝壁22,26同士の重なり量L1,L2のうち、内側周方向溝21の溝壁22同士重なり量L1は、0mm以上5mm以下になっており、外側周方向溝25の溝壁26同士重なり量L2は、1mm以上5mm以下になっている。
また、内側周方向溝21と外側周方向溝25とは、外側周方向溝25の溝幅W2よりも、内側周方向溝21の溝幅W1の方が大きくなっている。詳しくは、内側周方向溝21と外側周方向溝25とは、内側周方向溝21の溝幅W1と外側周方向溝25の溝幅W2との関係が0.5≦(W2/W1)≦0.9になっており、即ち、(W2/W1)が0.5以上0.9以下となる関係になっている。また、内側周方向溝21の溝幅W1と外側周方向溝25の溝幅W2との関係は、好ましくは0.6≦(W2/W1)≦0.8の範囲内であるのが好ましい。
トレッド面3には、周方向溝20の他に、タイヤ幅方向に延びるラグ溝30が複数設けられている。ラグ溝30としては、センターラグ溝31と中間ラグ溝35とショルダーラグ溝36とが設けられている。このうち、センターラグ溝31は、タイヤ幅方向における一対の内側周方向溝21同士の間に配設されて、両端が一対の内側周方向溝21に接続されるラグ溝30になっている。また、中間ラグ溝35は、タイヤ幅方向において隣り合う内側周方向溝21と外側周方向溝25との間に配設され、両端が内側周方向溝21と外側周方向溝25とに接続されるラグ溝30になっている。また、ショルダーラグ溝36は、外側周方向溝25のタイヤ幅方向における外側に配設され、一端が外側周方向溝25に接続されるラグ溝30になっている。これらのセンターラグ溝31、中間ラグ溝35、ショルダーラグ溝36は、それぞれ複数がタイヤ周方向に並んで設けられている。
なお、センターラグ溝31は、溝幅が4mm以上9mm以下の範囲内になっており、溝深さが10mm以上18mm以下の範囲内になっている。また、中間ラグ溝35は、溝幅が4mm以上9mm以下の範囲内になっており、溝深さが2mm以上16mm以下の範囲内になっている。また、ショルダーラグ溝36は、溝幅が8mm以上16mm以下の範囲内になっており、溝深さが2mm以上16mm以下の範囲内になっている。
センターラグ溝31と中間ラグ溝35とは、共通の内側周方向溝21に接続されるが、内側周方向溝21に接続される部分のタイヤ周方向における位置が、センターラグ溝31と中間ラグ溝35とで異なっている。同様に、中間ラグ溝35とショルダーラグ溝36とは、共通の外側周方向溝25に接続されるが、外側周方向溝25に接続される部分のタイヤ周方向における位置が、中間ラグ溝35とショルダーラグ溝36とで異なっている。
トレッド面3に形成される陸部10は、これらの複数のラグ溝30と複数の周方向溝20とにより、センターブロック11と中間ブロック12とショルダーブロック13とが画成されている。このうち、センターブロック11は、隣り合うセンターラグ溝31と一対の内側周方向溝21とにより画成される陸部10になっており、これにより、センターブロック11は、タイヤ赤道面CL上に位置している。また、中間ブロック12は、隣り合う内側周方向溝21及び外側周方向溝25と、隣り合う中間ラグ溝35とより画成される陸部10になっている。また、ショルダーブロック13は、タイヤ幅方向における外側周方向溝25の外側に設けられ、隣り合うショルダーラグ溝36より区画されると共にタイヤ幅方向における内側部分が外側周方向溝25によって区画される陸部10になっている。これらのセンターブロック11、中間ブロック12、ショルダーブロック13は、それぞれ複数がタイヤ周方向に並んで設けられている。
図4は、図2のC部詳細図である。陸部10を区画するラグ溝30のうち、センターラグ溝31は、複数の位置で屈曲することにより、タイヤ周方向に延びる周方向延在部33を有している。具体的には、1つのセンターラグ溝31は、屈曲する部分である屈曲部32を2箇所有しており、2箇所の屈曲部32で屈曲することによりクランク状の形状で形成されている。センターラグ溝31は、この2箇所の屈曲部32に挟まれた位置が、周方向延在部33として形成されている。周方向延在部33は、タイヤ赤道面CL上に形成されている。なお、周方向延在部33は、タイヤ周方向に対してタイヤ幅方向に傾斜していてもよく、タイヤ周方向に対して±10°の範囲内でタイヤ幅方向に傾斜していてもよい。
また、センターラグ溝31において、周方向延在部33の端部と内側周方向溝21とを接続する部分、即ち、屈曲部32と内側周方向溝21とを接続する部分は、幅方向延在部34となっている。この幅方向延在部34は、各センターラグ溝31の2箇所に設けられており、2箇所の幅方向延在部34は、互いに異なる屈曲部32と、一対の内側周方向溝21における異なる内側周方向溝21とを接続している。2箇所の幅方向延在部34は、それぞれタイヤ幅方向に延びつつ、タイヤ周方向における同じ方向に傾斜している。2箇所の幅方向延在部34の、タイヤ幅方向に対する傾斜角度は、ほぼ同じ角度になっている。
また、センターラグ溝31には、屈曲部32付近に切欠き部40が接続されている。この切欠き部40は、一端がセンターラグ溝31に接続され、他端がセンターブロック11内で終端している。センターラグ溝31には、2箇所の屈曲部41のそれぞれに異なる切欠き部40が接続されており、これにより1つのセンターラグ溝31には、切欠き部40が2つ接続されている。詳しくは、切欠き部40は、幅方向延在部34が屈曲部41からタイヤ幅方向に延びる方向の反対方向のタイヤ幅方向に、屈曲部41から延びている。つまり、切欠き部40は、当該切欠き部40が接続される屈曲部41から延びる幅方向延在部34が接続される内側周方向溝21とは異なる内側周方向溝21の方向に、屈曲部41から延びている。その際に、切欠き部40は、幅方向延在部34が屈曲部41から内側周方向溝21に向かってタイヤ幅方向に延びつつタイヤ周方向に傾斜する方向と同じ方向のタイヤ周方向に、屈曲部41からタイヤ幅方向に延びつつ傾斜している。
また、切欠き部40は、センターラグ溝31の屈曲部32からタイヤ幅方向に延びた所定の位置で、タイヤ周方向に向かって屈曲している。詳しくは、1つのセンターラグ溝31に接続される2つの切欠き部40は、それぞれの切欠き部40の屈曲部分である屈曲部41から、タイヤ周方向における互いに反対方向に向かって延びる方向に屈曲している。つまり、2つの切欠き部40は、屈曲部41からセンターブロック11内で終端している端部42側に位置する部分が、タイヤ周方向において互いに反対方向に向かう方向に屈曲している。
この切欠き部40における、センターブロック11内で終端している端部42と屈曲部41との間の部分である周方向延在部43は、タイヤ周方向に対するタイヤ幅方向への傾斜角が、0°以上20°以下の範囲内となって形成されるのが好ましい。また、切欠き部40の周方向延在部43がタイヤ幅方向に傾斜する方向は、屈曲部41からタイヤ幅方向における外方に向かう方向に傾斜するのが好ましい。なお、切欠き40は、1つの切欠き40が2箇所以上の位置で屈曲していてもよく、少なくとも1箇所で屈曲していればよい。
本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、タイヤ周方向における両側がセンターラグ溝31によって区画されるセンターブロック11とセンターラグ溝31とが主に含まれる領域であるセンター領域CA内の接地面積比率が、30%以上70%以下の範囲内で形成されている。この場合におけるセンター領域CAは、タイヤ幅方向におけるセンターブロック11の中心であるセンターブロック中心BCを中心とし、センターブロック11のタイヤ幅方向における幅Wの10%の領域になっている。即ち、センター領域CAは、センターブロック中心BCからタイヤ幅方向における両側に、タイヤ幅方向におけるセンターブロック11の幅Wのそれぞれ5%となる範囲の領域になっている。
また、この場合におけるセンターブロック中心BCは、センターブロック11のタイヤ幅方向における両側で、タイヤ幅方向において最も外方側に位置する部分同士のタイヤ幅方向における中心となる位置をいう。本実施形態に係る空気入りタイヤでは、センターブロック中心BCは、タイヤ赤道面CL上に位置しており、センターブロック中心BCは、タイヤ幅方向における位置がタイヤ赤道面CLの位置と同じ位置になっている。また、センターブロック11の幅Wは、センターブロック11のタイヤ幅方向における両側で、タイヤ幅方向において最も外方側に位置する部分同士のタイヤ幅方向における距離になっている。
また、接地面積比率は、センター領域CAの面積に対する、実際に接地するトレッド面3の面積をいう。センターラグ溝31が有する周方向延在部33は、センター領域CA内に位置しており、切欠き部40は、屈曲部41がタイヤ幅方向におけるセンター領域CAの外側に位置しており、タイヤ幅方向におけるセンター領域CAの外側の位置で屈曲している。実際に空気入りタイヤ1が接地する際には、空気入りタイヤ1はタイヤ周方向上におけるいずれかの位置が接地し、接地面積比率は接地する部分ごとに異なるが、いずれの位置が接地した場合においても、センター領域CA内の接地面比率は、30%以上70%以下の範囲内になっている。また、センター領域CA内の接地面比率は、好ましくは40%以上60%以下の範囲内であるのが好ましい。
図5は、図2に示すセンターブロックの詳細図である。センターブロック11は、当該センターブロック11の、センター領域CA内に位置する部分のタイヤ周方向における長さであるセンター領域長さALが、タイヤ周方向におけるセンターブロック11の長さLの25%以上40%以下の範囲内で形成されている。この場合におけるセンター領域長さALは、センターブロック11におけるセンター領域CA内に位置する部分の、タイヤ周方向において最も離間している部分同士のタイヤ周方向における距離になっている。また、センターブロック11の長さLは、センターブロック11における、タイヤ周方向において最も離間している部分同士のタイヤ周方向における距離になっている。
センターラグ溝31が有する周方向延在部33は、タイヤ周方向における長さGLが、センター領域長さALの50%以上70%以下の範囲内で形成されている。この周方向延在部33の長さGLは、タイヤ周方向に対する周方向延在部33の傾斜角度に関わらず、タイヤ周方向における周方向延在部33の両端部同士のタイヤ周方向における距離になっている。
また、センターブロック11は、タイヤ幅方向における幅Wが、トレッド展開幅TWの20%以上40%以下の範囲内で形成されている。この場合におけるトレッド展開幅TWは、空気入りタイヤ1を規定リムにリム組みして規定内圧で空気入りタイヤ1内に空気を充填し、荷重を加えない無負荷状態のときの、トレッド部2の展開図におけるタイヤ幅方向の両端の直線距離をいう。
なお、規定リムとは、JATMAに規定される「適用リム」、TRAに規定される「Design Rim」、或いはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。また、規定内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、或いはETRTOで規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。また、センターブロック11のタイヤ幅方向における幅Wは、好ましくはトレッド展開幅TWの25%以上35%以下の範囲内であるのが好ましい。
また、センターブロック11は、タイヤ周方向における長さLとタイヤ幅方向における幅Wとの比率が、0.9≦(L/W)≦1.1の範囲内となって形成されている。つまり、センターブロック11は、タイヤ周方向における長さLが、タイヤ幅方向における幅Wに対して0.9倍以上1.1倍以下となる形状で形成されている。
また、センターブロック11は、面積が中間ブロック12やショルダーブロック13の面積よりも大きくなっている。換言すると、中間ブロック12やショルダーブロック13は、センターブロック11よりも面積が小さくなっており、例えば、ショルダーブロック13は、面積が、センターブロック11の面積の40%以上60%以下の範囲内となって形成されている。なお、センターブロック11の面積に対するショルダーブロック13の面積は、45%以上55%以下であるのが好ましい。
センターブロック11は、タイヤ幅方向における幅Wが、ベルト層7のタイヤ幅方向における最大幅である最大ベルト幅BWの25%以上45%以下の範囲内となって形成されている。ここでいう最大ベルト幅BWは、ベルト層7を構成する複数のベルト71,72,73,74のタイヤ幅方向両側のそれぞれの端部において、タイヤ幅方向における位置が最も外方側に位置する端部同士のタイヤ幅方向における距離になっている。また、最大ベルト幅BWに対するセンターブロック11のタイヤ幅方向における幅Wは、好ましくは30%以上40%以下の範囲内であるのが好ましい。
これらのように構成される本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、用途が重荷重用空気入りタイヤになっている。この空気入りタイヤ1を車両に装着する際には、リムホイールにリム組みしてインフレートした状態で車両に装着する。リムホイールにリム組みした状態の空気入りタイヤ1は、例えばトラックやバス等の大型の車両に装着して使用される。
空気入りタイヤ1を装着した車両が走行すると、トレッド面3のうち下方に位置するトレッド面3が路面に接触しながら当該空気入りタイヤ1は回転する。車両は、トレッド面3と路面との間の摩擦力により、駆動力や制動力を路面に伝達したり、旋回力を発生させたりすることにより走行する。このため、空気入りタイヤ1の接地領域における接地面積は、車両の走行時における操縦安定性に対して重要な要素となる。一方で、雨天時等で濡れた路面を走行する際には、トレッド面3と路面との間の水を周方向溝20やラグ溝30で排水し、トレッド面3の接地性を確保する必要があるため、接地領域における溝面積も重要な要素になる。
また、トラックやバス等の大型の車両では、貨物の積載状態によって車両の総重量が大きく変化し、これに伴い、空気入りタイヤ1に作用する荷重も大きく変化する。空気入りタイヤ1に作用する荷重が大きく変化した場合、空気入りタイヤ1の接地領域の形状が変化し、荷重が大きくなるに従って接地領域が大きくなる。つまり、空気入りタイヤ1に作用する荷重が大きくなるに従って、空気入りタイヤ1の接地領域は、タイヤ幅方向とタイヤ周方向とのいずれの方向にも大きくなる。
しかし、トレッド面3のタイヤ幅方向における中心付近、即ち、トレッド面3におけるタイヤ赤道面CL付近は、空気入りタイヤ1に作用する荷重の大きさに関わらず、車両の走行時に接地する。本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、タイヤ赤道面CLの両側に内側周方向溝21が配設されてタイヤ赤道面CL上にセンターブロック11が位置することにより、タイヤ赤道面CL付近の接地面積が確保されている。これにより、空気入りタイヤ1に作用する荷重の大きさに関わらず、乾燥した路面を走行する際における操縦安定性を確保することができる。
また、センターラグ溝31は、複数の位置で屈曲することにより、タイヤ赤道面CL上に周方向延在部33を有しているため、タイヤ赤道面CL付近の排水性が確保されている。これにより、空気入りタイヤ1に作用する荷重の大きさに関わらず、濡れた路面を走行する際における排水性を確保することができる。また、センターラグ溝31には周方向延在部33が形成され、センターラグ溝31に接続される切欠き部40にも周方向延在部43が形成されているため、タイヤ赤道面CL付近における、タイヤ幅方向に対するエッジ成分を増加させることができる。これにより、加速時のスリップに対する空気入りタイヤ1の横滑りを低減することができ、また、濡れた路面を走行する際における操縦安定性を向上させることができる。
さらに、トレッド面3は、センター領域CA内の接地面積比率が30%以上70%以下であるため、空気入りタイヤ1に作用する荷重の大きさに関わらず、乾燥した路面を走行する際における接地面積を確保することができ、且つ、排水性を確保することができる。つまり、センター領域CA内の接地面積比率が30%未満の場合は、荷重が小さい場合における接地面積が小さくなるため、操縦安定性の確保が困難になり、センター領域CA内の接地面積比率が70%を超える場合は、荷重が小さい場合における溝面積が小さくなるため、排水性の確保が困難になる。これに対し、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、センター領域CA内の接地面積比率が30%以上70%以下の範囲内で形成されているため、空気入りタイヤ1に作用する荷重が小さい場合における接地面積を確保しつつ、排水性を確保することができる。これらの結果、貨物の積載状態に関わらず、即ち、空車や積車に関わらず、ドライ性能とウェット性能とを共に向上させることができ、特に、空車時のドライ性能とウェット性能とを向上させることができる。
また、センターラグ溝31の周方向延在部33は、センター領域CA内に位置するため、タイヤ赤道面CL上に位置するセンターブロック11を設けた場合における、センター領域CA内の溝面積を確保することができる。これにより、タイヤ赤道面CL上にセンターブロック11を配設することによって空車時のドライ性能を確保した場合における、空車時の排水性を確保することができる。この結果、より確実にドライ性能とウェット性能とを共に向上させることができる。
また、センターブロック11のセンター領域長さALは、タイヤ周方向におけるセンターブロックの長さLの25%以上40%以下であるため、センター領域CA内における接地面積を所望の大きさで確保することができ、センター領域CA内の接地面積比率を、より確実に30%以上70%以下の範囲内にすることができる。この結果、より確実にドライ性能とウェット性能とを共に向上させることができる。
また、センターブロック11の周方向延在部33は、タイヤ周方向における長さGLがセンターブロック11のセンター領域長さALの50%以上70%以下であるため、センター領域CA内における溝面積を所望の大きさで確保することができ、センター領域CA内の接地面積比率を、より確実に30%以上70%以下の範囲内にすることができる。この結果、より確実にドライ性能とウェット性能とを共に向上させることができる。
また、1つのセンターラグ溝31に接続される2つの切欠き部40は、屈曲部41からセンターブロック11内で終端している端部42側に位置する部分が、タイヤ周方向において互いに反対方向に向かう方向に屈曲しているため、空気入りタイヤ1の回転方向に関わらず、切欠き部40による排水性を確保することができる。この結果、空車時のウェット性能を、空気入りタイヤ1の回転方向に関わらず向上させることができる。
また、切欠き部40は、タイヤ幅方向におけるセンター領域CAの外側の位置で屈曲するため、センター領域CAの接地面積が小さくなることを抑制しつつ、排水性を確保することができる。この結果、より確実にドライ性能とウェット性能とを共に向上させることができる。
また、内側周方向溝21は、タイヤ幅方向に振幅しつつタイヤ周方向に延びているため、空車条件時における接地領域のタイヤ幅方向の端部近傍の溝面積を確保しつつ、タイヤ幅方向とタイヤ周方向との双方に対するエッジ成分と接地面積とを向上させることができる。さらに、内側周方向溝21は、対向する溝壁22同士の、タイヤ周方向に見た場合における重なり量L1が0mm以上5mm以下となって形成されているため、タイヤ幅方向とタイヤ周方向との双方に対するエッジ成分を、より確実に向上させることができる。この結果、空車時のドライ性能とウェット性能とを、より確実に向上させることができる。
また、外側周方向溝25は、タイヤ幅方向に振幅しつつタイヤ周方向に延びているため、積車条件時や空気入りタイヤ1を車両の前輪側に装着した場合における、接地領域のタイヤ幅方向の端部近傍の溝面積を確保しつつ、タイヤ幅方向とタイヤ周方向との双方に対するエッジ成分と接地面積とを向上させることができる。さらに、外側周方向溝25は、対向する溝壁26同士の、タイヤ周方向に見た場合における重なり量L2が1mm以上5mm以下となって形成されているため、タイヤ幅方向とタイヤ周方向との双方に対するエッジ成分を、より確実に向上させることができる。この結果、積車時のドライ性能とウェット性能とを、より確実に向上させることができる。
また、内側周方向溝21と外側周方向溝25とは、内側周方向溝21の対向する溝壁22同士の重なり量L1と、外側周方向溝25の対向する溝壁26同士の重なり量L2とが、L1≦L2の関係を満たして形成されるため、センター領域CA寄りの位置の排水性を確保することができる。この結果、ドライ性能を向上させつつ、空車時のウェット性能を、より確実に向上させることができる。
また、内側周方向溝21と外側周方向溝25とは、内側周方向溝21の溝幅W1と外側周方向溝25の溝幅W2との関係が0.5≦(W2/W1)≦0.9の関係を満たして形成されるため、センター領域CA寄りの位置の溝面積を確保することができ、排水性を充分に発揮することができる。この結果、ドライ性能を向上させつつ、空車時のウェット性能を、より確実に向上させることができる。
また、センターブロック11は、タイヤ幅方向における幅Wが、トレッド展開幅TWの20%以上40%以下となって形成されるため、センター領域CAの溝面積を確保しつつ、センターブロック11の面積を大きく取ることができる。この結果、ウェット性能を確保しつつ、ドライ性能をより確実に向上させることができる。
また、センターブロック11は、タイヤ周方向における長さLとタイヤ幅方向における幅Wとの比率が、0.9≦(L/W)≦1.1の範囲内で形成されているため、センターブロック11の剛性を確保することができ、操縦安定性を確保することができる。つまり、(L/W)が0.9未満であったり、1.1よりも大きかったりすると、センターブロック11のタイヤ周方向における剛性やタイヤ幅方向における剛性が低くなり過ぎる虞があり、センターブロック11が倒れ易くなるため、センターブロック11の有効接地面積が低下する虞がある。これに対し、センターブロック11のタイヤ周方向における長さLとタイヤ幅方向における幅Wとの比率を、0.9≦(L/W)≦1.1の範囲内にすることにより、センターブロック11の剛性を確保することができるため、センターブロック11の有効接地面積が低下することを抑制することができる。この結果、より確実にドライ性能とウェット性能とを共に向上させることができる。
また、ショルダーブロック13の面積が、センターブロック11の面積の40%以上60%以下の範囲内となって形成されているため、空車時にはセンター領域CAと比較して接地する頻度が少ないショルダー領域の溝面積を確保することができ、排水性を確保することができる。また、ショルダーブロック13の面積に対してセンターブロック11の面積を大きくすることにより、センターブロック11の剛性を確保することができる。これにより、センターブロック11の剛性が低いことに起因してセンターブロック11の有効接地面積が低下することを抑制することができる。この結果、より確実にドライ性能とウェット性能とを共に向上させることができる。
また、センターブロック11は、タイヤ幅方向における幅Wが、最大ベルト幅BWの25%以上45%以下の範囲内となって形成されているため、タイヤ幅方向において、センター領域CAを中心とする接地圧が高い領域でのベルト層7の幅の最適化を図ることができる。これにより、タイヤ幅方向におけるトレッド部2の剛性の均一化を図ることができる。この結果、車両の走行状態に関わらず、操縦安定性を向上させることができる。
また、カーカス6にスチールカーカス材を使用するため、空気入りタイヤ1全体の剛性を確保することができる。この結果、車両の走行状態に関わらず、操縦安定性を向上させることができる。
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1を重荷重用空気入りタイヤとして用いることにより、貨物の積載状態により空気入りタイヤ1に作用する荷重が大きく変化する場合でも、荷重の大きさに関わらず、ドライ性能とウェット性能とを共に向上させることができる。この結果、本実施形態に係る空気入りタイヤ1をトラックやバス等の大型の車両に装着した場合における車両の走行性能を向上させることができる。
〔実施例〕
図6A〜図6Eは、空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。以下、上記の空気入りタイヤ1について、従来例の空気入りタイヤ1と、本発明に係る空気入りタイヤ1とについて行なった性能の評価試験について説明する。性能評価試験は、乾燥した路面での加速性能であるドライ加速性能についての試験と、濡れた路面での加速性能であるウェット加速性能についての試験とについて行った。
これらの性能評価試験は、JATMAで規定されるタイヤの呼びが275/80R22.5サイズでロードインデックスが151Jの空気入りタイヤ1をJATMAで規定される規定リムのリムホイールにリム組みし、空気圧をJATMAで規定される最大空気圧に調整し、2−Dの試験車両(トラクターヘッド)に装着してテスト走行をすることにより行った。
各試験項目の評価方法は、ドライ加速性能については、ドライ路面での5〜40km/hの速度区間の加速度を測定し、平均加速度を指数化することによって評価した。数値が大きいほどドライ加速性能が優れていることを示している。ウェット加速性能については、水深2mmのウェット路面での5〜40km/hの速度区間の加速度を測定し、平均加速度を指数化することによって評価した。数値が大きいほどウェット加速性能が優れていることを示している。また、ドライ加速性能とウェット加速性能は、それぞれ指数が105以上である場合、有効な性能を有しているものとする。
評価試験は、従来の空気入りタイヤ1の一例である従来例1〜5の空気入りタイヤ1と、本発明に係る空気入りタイヤ1である実施例1〜21の26種類の空気入りタイヤ1について行った。これらの空気入りタイヤ1は、センターラグ溝31が屈曲しているか否か、周方向溝20がタイヤ幅方向に振幅しているか否か、センター領域CA内の接地面積比、センターブロック11に設けられる切欠き部40の形状がそれぞれ異なって形成されている。このうち、従来例1〜5の空気入りタイヤ1は、センターラグ溝31が屈曲していない、または周方向溝20が振幅していない、またはセンター領域CA内の接地面積比が30%以上70%以下の範囲内に無い、または切欠き部40が屈曲せずに形成されたものになっている。
これに対し、本発明に係る空気入りタイヤ1の一例である実施例1〜21は、センターラグ溝31が屈曲し、周方向溝20が振幅しており、センター領域CA内の接地面積比が30%以上70%以下の範囲内になっており、切欠き部40が屈曲して形成されている。さらに、実施例1〜21に係る空気入りタイヤ1は、センター領域長さALに対するセンターラグ溝31の周方向延在部33の長さGLの割合や、切欠き部40の屈曲位置、内側周方向溝21と外側周方向溝25のタイヤ周方向に見た場合におけるそれぞれの溝壁22,26の重なり量L1,L2、内側周方向溝21と外側周方向溝25の溝幅W1,W2の相対関係、トレッド展開幅TWに対するセンターブロック11の幅Wの割合、センターブロック11の縦横比、センターブロック11の面積に対するショルダーブロック13の面積の割合、最大ベルト幅BWに対するセンターブロックの幅Wの割合が、それぞれ異なっている。
これらの空気入りタイヤ1を用いて評価試験を行った結果、図6A〜図6Eに示すように、実施例1〜21の空気入りタイヤ1は、従来例1〜5に対して、ドライ加速性能とウェット加速性能とが共に向上することが分かった。つまり、実施例1〜21に係る空気入りタイヤ1は、ドライ性能とウェット性能とを共に向上させることができる。
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 トレッド面
4 ショルダー部
5 サイドウォール部
6 カーカス
7 ベルト層
8 インナーライナ
10 陸部
11 センターブロック
12 中間ブロック
13 ショルダーブロック
20 周方向溝
21 内側周方向溝
22,26 溝壁
25 外側周方向溝
30 ラグ溝
31 センターラグ溝
32 屈曲部
33 周方向延在部
34 幅方向延在部
35 中間ラグ溝
36 ショルダーラグ溝
40 切欠き部
41 屈曲部
42 端部
43 周方向延在部
50 ビード部
CL タイヤ赤道面
CA センター領域

Claims (14)

  1. タイヤ赤道面を挟んでタイヤ幅方向における前記タイヤ赤道面の両側に配設され、タイヤ周方向に延びる一対の内側周方向溝と、
    タイヤ幅方向において一対の前記内側周方向溝のそれぞれの外側に配設され、タイヤ周方向に延びる一対の外側周方向溝と、
    両端が一対の前記内側周方向溝に接続されると共に、複数の位置で屈曲することによりタイヤ周方向に延びる周方向延在部を有する複数のラグ溝と、
    前記ラグ溝と前記内側周方向溝とにより画成される陸部であるセンターブロックと、
    一端が前記ラグ溝に接続され、他端が前記センターブロック内で終端すると共に、少なくとも1箇所で屈曲する切欠き部と、
    を備え、
    タイヤ幅方向における前記センターブロックの中心を中心とし、前記センターブロックのタイヤ幅方向における幅の10%の領域であるセンター領域内の接地面積比率が30%以上70%以下であることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記周方向延在部は、前記センター領域内に位置する請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記センターブロックの、前記センター領域内に位置する部分のタイヤ周方向における長さであるセンター領域長さは、タイヤ周方向における前記センターブロックの長さの25%以上40%以下である請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記周方向延在部は、タイヤ周方向における長さが前記センター領域長さの50%以上70%以下である請求項3に記載の空気入りタイヤ。
  5. 1つの前記ラグ溝には、2つの前記切欠き部が接続され、
    2つの前記切欠き部は、屈曲部から前記センターブロック内で終端している端部側に位置する部分が、タイヤ周方向において互いに反対方向に向かう方向に屈曲している請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記切欠き部は、タイヤ幅方向における前記センター領域の外側の位置で屈曲する請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記内側周方向溝は、タイヤ幅方向に振幅しつつタイヤ周方向に延びており、対向する溝壁同士の、タイヤ周方向に見た場合における重なり量が0mm以上5mm以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記外側周方向溝は、タイヤ幅方向に振幅しつつタイヤ周方向に延びており、対向する溝壁同士の、タイヤ周方向に見た場合における重なり量が1mm以上5mm以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記内側周方向溝と前記外側周方向溝とは、共にタイヤ幅方向に振幅しつつタイヤ周方向に延びており、
    前記内側周方向溝の対向する溝壁同士の、タイヤ周方向に見た場合における重なり量L1と、
    前記外側周方向溝の対向する溝壁同士の、タイヤ周方向に見た場合における重なり量L2とは、
    L1≦L2の関係を満たす請求項1〜8のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記内側周方向溝と前記外側周方向溝とは、前記内側周方向溝の溝幅W1と前記外側周方向溝の溝幅W2との関係が0.5≦(W2/W1)≦0.9である請求項1〜9のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  11. 前記センターブロックは、タイヤ幅方向における幅がトレッド展開幅の20%以上40%以下である請求項1〜10のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  12. 前記センターブロックは、タイヤ周方向における長さLとタイヤ幅方向における幅Wとの比率が、0.9≦(L/W)≦1.1である請求項1〜11のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  13. タイヤ幅方向における前記外側周方向溝の外側には、タイヤ幅方向における内側部分が前記外側周方向溝によって区画される陸部であるショルダーブロックが設けられており、
    前記ショルダーブロックの面積は、前記センターブロックの面積の40%以上60%以下である請求項1〜12のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  14. 前記空気入りタイヤは、用途が重荷重用空気入りタイヤである請求項1〜13のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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