JP2017124426A - Cu系基材とZn−Al系合金はんだとのクラッド材によって接合された接合体 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い接合強度を有すると共に応力緩和性に優れ且つ熱伝導性等に優れたクラッド材によって半導体素子と基板とが接合された接合体を提供する。
【解決手段】半導体チップ1がクラッド材2によって基板3に接合されてなる接合体であって、半導体チップ1とクラッド材2とが互いに対向する両面においては半導体チップ1側の面の方がクラッド材2側の面よりも狭く、クラッド材2は板状のCu系基材21の少なくとも半導体チップ1に対向する面にPbフリーZn−Al系合金はんだ層22を有している。Zn−Al系合金はんだ層22はAlを0.9質量%以上9.0質量%以下含有するのが好ましく、Ag、Cu、Ge、Mg、Sn、及びPのうちの1種以上を所定量含有するのがより好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】半導体チップ1がクラッド材2によって基板3に接合されてなる接合体であって、半導体チップ1とクラッド材2とが互いに対向する両面においては半導体チップ1側の面の方がクラッド材2側の面よりも狭く、クラッド材2は板状のCu系基材21の少なくとも半導体チップ1に対向する面にPbフリーZn−Al系合金はんだ層22を有している。Zn−Al系合金はんだ層22はAlを0.9質量%以上9.0質量%以下含有するのが好ましく、Ag、Cu、Ge、Mg、Sn、及びPのうちの1種以上を所定量含有するのがより好ましい。
【選択図】 図1
Description
本発明は、Cu系基材とZn−Al系合金はんだとのクラッド材によって接合された接合体に関し、特に該クラッド材によってパワーデバイス用などの高信頼性が要求される半導体素子(チップ)が基板に接合されてなる接合体に関する。
近年、パワーデバイスなどの高信頼性が要求される半導体装置はますます高機能化が進んでおり、種々の機能を持たせたものや処理速度を高めたものが次々に提供されている。これに伴い、半導体装置に用いられている半導体素子の各々に求められる機能も増大する傾向にある。また、半導体装置には取扱いの容易さや省力化などが求められており、これらの観点から半導体素子は小型のものが求められている。一方、前述した高機能化を実現するため半導体素子は大型になる場合があり、半導体素子のサイズは二極化が進んでいる。
大型の半導体素子では内部を流れる電流が増大する傾向にあり、1個当たり数10アンペアの大電流が流れることが普通になってきている。このように各半導体素子に流れる電流が増大すると、半導体素子の発熱量が多くなるため、その放熱が問題になる。すなわち、半導体素子から発生する熱を良好に逃がすことができなければ半導体素子やその周辺部が過熱し、半導体素子が壊れたり周囲のモールド樹脂や電極部等が破損したりする恐れがある。そこで、半導体素子と基板との接合には放熱性の良いはんだ材料を用いることが必要になる。これにより、半導体素子で生ずる熱の大部分を当該はんだを通して基板に良好に放熱させることができる。換言すれば、はんだ材料の放熱性能が半導体素子に流せる最大電流を決める重要な要因になっている。
半導体素子と基板との接合用はんだに要求される特性には、上記の放熱性のほか応力緩和性が同様に重要視されている。その理由は、一般的に半導体素子には断続的に電流が流れるため、半導体素子及びその周辺部には熱膨張を伴う昇温と熱収縮を伴う降温とが個別に繰り返されるからである。すなわち、半導体素子は基板の材質として一般的に使用されるCuとは熱膨張係数が約5倍程度異なるため、はんだには上記の熱膨張や熱収縮による応力がかかりやすく、よって基板等が破損しないように該はんだはこの応力の吸収が可能な応力緩和性を有していることが必要になる。特に上記したように半導体素子に流れる電流が増大しつつある状況においては、かかる熱応力の緩和性に優れたはんだが求められている。
はんだ材料に求められるこれら放熱性及び応力緩和性のうち、放熱性に優れた材料としてはZnを主成分とするはんだ材料を挙げることができる。例えば、特許文献1には、Alを1〜9重量%含み、Ge及び/又はMgをGeの場合は0.05〜1重量%、Mgの場合は0.01〜0.5重量%含み、残部がZn及び不可避不純物からなる高温はんだ付け用Zn合金が開示されている。
また、特許文献2には、Geを2〜9重量%、Alを2〜9重量%、及びPを0.001〜0.5重量%それぞれ含み、残部がZn及び不可避不純物からなる第1の高温ろう材や、Geを2〜9重量%、Alを2〜9重量%、Mgを0.01〜0.5重量%、及びPを0.001〜0.5重量%それぞれ含み、残部がZn及び不可避不純物からなる第2の高温ろう材が開示されている。
また、特許文献3には、平均粒径1μm以上100μm以下のAl粉に対して被覆処理を施さないか、あるいはその少なくとも一部に対してAu、Ag、Ni、及びCuからなる群の1種以上を用いて厚み1μm以下の皮膜を形成する被覆処理を施すことによって得た金属粉と、Znを主成分としAlを第2元素とする2元合金からなるZn合金はんだ粉と、フラックスとを有する高温Pbフリーはんだペーストであって、金属粉とZn合金はんだ粉との合計を100質量%としたとき、金属粉が3質量%以上40質量%以下であることを特徴とする高温Pbフリーはんだペーストが開示されている。
また、特許文献4には、半導体素子と、少なくとも表面の主元素をCuとする基板と、該半導体素子より小さな形状のZnAl共晶はんだチップとをそれぞれ準備する工程と、これら半導体素子と基板とをそれぞれの接合面が対向するように配置すると共に、これらの間に上記ZnAl共晶はんだチップを挟む工程と、上記の挟まれたZnAl共晶はんだチップに荷重をかけながら昇温することで該ZnAl共晶はんだチップを融解してZnAlはんだ層を形成する工程と、得られたZnAlはんだ層に荷重をかけながら降温する工程とを備える半導体装置の製造方法が開示されている。
一方、放熱性や応力緩和性に関する問題を解決する方法として、半導体素子とCu基板との間にセラミックスのDBC(Direct Bonded Copper)基板を用いる方法がある。この方法は特にモジュールなどの比較的大きな半導体素子を含む製品に数多く適用されており、様々に改良されたDBC基板の技術が提案されている。例えば特許文献5には、セラミックス基板の表面に金属銅の薄膜を形成した後、該金属銅の薄膜の上に酸化銅を介して銅板を載置して加熱することにより、銅板とセラミックス基板とを十分な結合強度で接合する技術が開示されている。
また、特許文献6には、セラミックス板と、このセラミックス板の一方の表面に貼られた銅板と、他方の表面に貼られた銅回路とにより構成されたDBC基板が、該セラミックス板の熱線膨張率に近い熱線膨張率を有する金属熱緩衝板を介して金属ベースの上に設けられた電力用半導体モジュールが開示されている。また、特許文献7には、半導体基板等に使用されるDBC回路基板用窒化アルミニウム焼結体の製造方法及びDBC回路基板の製造方法が開示されており、特に窒化アルミニウム特有の高熱伝導性を損うことなく強度及び破壊靭性値が共に大幅に改善され、放熱性にも優れたDBC回路基板用窒化アルミニウム焼結体の製造方法及びDBC回路基板の製造方法が開示されている。具体的には、特許文献7のAlN焼結体は、熱伝導率が130W/m・K以上であり、また3点曲げ強度が450MPaであり、破壊靭性値が3.0MPa・m1/2以上と記載されている。また、焼結体を酸化熱処理することにより焼結体表面に均一な酸化膜を形成することも記載されている。
また、上記のようなDBC基板を用いた技術がある一方で、クラッド技術とはんだ技術とを合わせた技術も提案されている。例えば特許文献8には、内層と表面層とを備える積層はんだ材であって、内層はZn単独又は50質量%以上のZnを含み、残部がSn及び不可避不純物からなるZn基合金により構成され、表面層はSn単独又は50質量%以上のSnを含み、残部がZn及び不可避不純物からなるSn基合金により構成されることを特徴とする積層はんだ材が開示されている。この積層はんだ材の表面層は、クラッド工法により形成される層であるとも述べられている。
上記したように、大電流が流れる半導体素子の接合用を目的とする様々な技術が提案されてはいるものの、いずれも下記に示す種々の問題をかかえていると考えられる。すなわち、特許文献1や特許文献2の高温はんだ付け用Zn合金は熱伝導性に優れたZnを主成分としているため、放熱性は非常に優れると考えられるものの(100℃におけるPbの熱伝導率は34W/(m・K)であるのに対してZnの熱伝導率は112W/(m・K)である)、Zn−Al系合金は共晶合金であっても硬い材料であり、引張強度は80〜100MPa程度である。従って、大型のSiチップの接合用に使用したり、高温用の接合体に使用したりすると熱応力を良好に緩和することができず、チップ割れや基板のクラックなどの不具合を生じる可能性が高くなる。
特許文献3の技術は、Znを主成分としAlを第2元素とする2元合金からなるZn合金はんだ粉を用いた高温Pbフリーはんだペーストに関するものであるが、このはんだ粉はZn−Al系合金であることから、やはり上記特許文献1や特許文献2と同様の厳しい条件で使用した場合は良好に熱応力を緩和することができなくなって不具合を生じる可能性が高い。更にペーストという形態をとっているため、ペーストに含まれるフラックスによってワイヤやシートなどの成形はんだに比べてボイドが発生し易く、これがクラック発生の原因になる。特許文献4の技術もZnAl共晶はんだを使用しているため、例えば150℃を超える用途では良好な応力緩和性を持っているとは言い難い。
特許文献5の技術は、基板表面の酸化物とCuOの共融相を介して接着する方法が有する、処理条件のコントロールが難しいという問題や接着強度の点でやや信頼性に欠けるという問題を解決することを目的とするものである。しかし、スパッタリング法、化学銅めっき法又は真空蒸着法によって形成された金属被膜層を介したセラミック基板と銅板との接合がどのようなメカニズムで高い結合強度を得ているのか説明されていない。金属皮膜層を介さずに銅基板とセラミックス基板とを直接接合した場合であっても同様に銅とセラミックとの接合であるので、銅側の厚さが厚くなるだけであって界面で生じる反応は同じであると考えられ、よって得られる接合強度(結合強度)もほぼ同じであると考えられる。更にセラミックス基板の上に金属銅の薄膜を形成してこの銅薄膜の表面に銅板を接合する場合、熱力学的な理由から銅被膜の表面に酸化銅が生成されるのを実質的に避けることができないため、直接セラミックス基板と銅板とを接合する場合に比べてこの銅酸化膜を介しての接合となり、その分だけ接合強度は悪影響を受けるおそれがある。また、銅薄膜形成のコストがかかるという問題も有している。
特許文献6の技術は緩衝材を用いるため製造コストがかかる上、緩衝材にTiを用いた場合は接合信頼性が得られないおそれがある。すなわち、Tiは融点が高く、どのようなはんだや接合材に対しても合金化しにくく、更に濡れ性が悪くてはんだ等の接合材をはじく性質がある。よってTiを用いた場合は良好に接合できなかったり、仮に接合できたとしても接合強度が低く、通常求められる信頼性を得られないおそれがある。
特許文献7には、前述したように熱伝導性、曲げ強度、及び破壊靭性に関して非常に良好なDBC基板が得られると記載されているが、DBC基板はこれらの特性だけ優れていればよいわけではない。すなわち、DBC基板は銅板やはんだ材料との良好な接合が必要であるが、特許文献7にはこの接合性に関して特に触れられていない。焼結体の原料に含まれるCaやBaなどは非常に酸化され易い元素であり、これらの元素の酸化物が1〜10重量%程度含まれると接合面に安定した酸化物が多く含まれていることになり、Cu、Ni、Ag、Auなどの接合面と合金化しにくくなり、良好な接合強度が得られないと考えられる。更に焼結体の原料は複雑な多元型材料によって構成されており、この場合は結晶粒制御は容易ではないはずであるが、これについても触れられていない。特許文献8にはクラッド技術が開示されているものの、特許文献8に示されているはんだ材は固相線温度が199℃であるZn−Sn系合金を基本としており、大電流が流れる半導体素子の接合用には適していない。
本発明は上記した従来の技術が抱えている各種の問題に鑑みてなされたものであり、パワーデバイスなどの高信頼性が要求される半導体素子と基板とを良好に接合する技術を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明による接合体は、半導体チップがクラッド材によって基板に接合されてなる接合体であって、該半導体チップと該クラッド材とが互いに対向する両面においては該半導体チップ側の面の方が該クラッド材側の面よりも狭く、該クラッド材はCu系基材の少なくとも該半導体チップに対向する面に層状のPbフリーZn−Al系合金はんだを有していることを特徴としている。
本発明によれば、厳しい使用環境にも耐え得る信頼性の高い半導体装置を提供することが可能となる。
以下、本発明の一具体例の接合体について説明する。図1に示すように、この接合体は半導体チップ1が板状のクラッド材2によって基板3に接合されており、クラッド材2は箔状又は板状のCu系基材21の両面にPbフリーのZn−Al系合金はんだ層22を有する構造になっている。なお、クラッド材は上記の半導体チップ1と対向する面にのみZn−Al系合金はんだ層22を有するものでもよい。この場合は、例えばクラッド材と基板との間に別途用意したはんだでろう接されることになる。
このようにクラッド材2はCu系基材21と少なくとも半導体チップ1との対向面に設けたPbフリーZn−Al系合金はんだ層22とによって構成されているので、比較的柔軟なCu系基材21が応力を緩和させる役割を担い、よって熱応力等が加わってもクラックが発生しにくくなる。また、Cu系基材21は接合時に溶融しないようにすることで、基板1に対して半導体チップ1が傾くのを極めて小さく抑えることができる。更にクラッド材2では合金はんだ層22及びCu系基材21がそれぞれ熱伝導性のよいZnやAl、及びCu等から構成されるため、熱伝導性に非常に優れている。加えて、クラッド材2は非常に強度の高いZn−Al系合金がクラッディングによってCu系基材に強固に接合されたものであるため、極めて高い接合強度を有している。
また、半導体チップ1とクラッド材2とが互いに対向する両面においては、半導体チップ1側の面の方がクラッド材2側の面よりも狭くなっている。このようにクラッド材2側の接合面積より半導体チップ1側の接合面積を小さくすることにより、半導体チップ1の周縁部にフィレットと称する山の裾野のように濡れ広がる部分が形成される。その結果、熱応力等が加わっても半導体チップやはんだ接合部の周縁部に加わる応力が緩和され、クラックが入りづらくなり、高い接合信頼性を得ることができる。
クラッド材2を構成するPbフリーZn−Al系合金はんだ層22とCu系基材2の原料は一般的に市場で入手できる原料を用いてもよいが、PbフリーZn−Al系合金はんだ層22は、Alを0.9質量%以上9.0質量%以下含有し、残部が製造上不可避に含まれる元素を除きZnから構成されるのが好ましい。更に、Ag、Cu、Ge、Mg、Sn、及びPのうちの1種以上を含有するのがより好ましい。この場合の含有量は、Ag、Cu、Mg、及びSnでは各々2.0質量%以下とし、Geでは6.0質量%以下とし、Pでは0.5質量%以下とする。これらの原料を用いて例えば箔状のPbフリーZn−Al系合金はんだと箔状Cu系基材とを準備し、必要に応じて表面粗さを調整してからクラッディングすることでクラッド材が得られる。得られたクラッド材は用途に応じて熱処理を行ってもよい。次に、上記したCu系基材、PbフリーZn−Al系合金はんだ、クラッディング方法及び熱処理について詳しく説明する。
<Cu系基材>
本発明の具体例のクラッド材2に用いられるCu系基材21はCuを主成分とするものであれば特に限定はなく、一般的に市場で入手できるものでよい。Cu系基材21には熱伝導性を大きく下げたり、加工性を著しく損なったりすることがない範囲で目的に合わせて各種元素を含有してもよい。このCu系基材21は例えば下記に示す製造方法によってCu箔の形態に作製される。
本発明の具体例のクラッド材2に用いられるCu系基材21はCuを主成分とするものであれば特に限定はなく、一般的に市場で入手できるものでよい。Cu系基材21には熱伝導性を大きく下げたり、加工性を著しく損なったりすることがない範囲で目的に合わせて各種元素を含有してもよい。このCu系基材21は例えば下記に示す製造方法によってCu箔の形態に作製される。
先ず、原料として純度99.99質量%以上のCuを準備する。これをグラファイト製の坩堝に入れ、横型連続鋳造機の槽内にセットする。この連続鋳造機の槽内に窒素を流しながら高周波でCuを溶解する。Cuが十分に溶融したのを確認した後、横孔からCu材を引き出す。その際の引出速度は0.1〜5m/分程度が好ましい。Cu材の形状はCu材が引き出される横孔の形状によって決まる。Cu材の引き出し方向に垂直な断面形状は円形や長方形などが一般的であり、横孔の形状を例えば5mm×60mmの長方形の形状にすることで、厚さ5mm、幅60mmの板状のCu板を得ることができる。このようにして連続鋳造によって得たCu材を十分に冷却した後、適当な長さに裁断する。
次に、得られたCu材を圧延機を用いて所定の厚さまで圧延してCu箔の形態のCu系基材を作製する。その際、冷間圧延、温間圧延、熱間圧延のいずれの方法で圧延してもよいが、冷間圧延ではCu材の表面酸化が進みにくく、後述するクラッディングの際に良好な接合性や高い接合強度が得られるので好ましい。Cu板は比較的柔らかいため冷間圧延で行うことができるが、製造速度を上げるために温間圧延や熱間圧延を行ってもよい。但し、その場合はCu材の表面酸化に十分考慮する必要がある。
Cu系基材21は表面にAu、Ag、Ni、及びCuのうち1種以上からなる金属層が形成されていてもよい。このように金属層でCu系基材を被膜することによりZn−Al系合金はんだのCu系基材への濡れ性が向上し、接合性を上げたり、その調整を行ったりすることが可能になる。また、CuとZnとは反応性が高いため、過剰な反応が起きる場合はNiなどの金属層でCu系基材を被覆することによって過剰反応を抑制できる。Cu系基材の表面への金属層の形成方法は特に限定はなく、例えば、蒸着法、電解メッキ法、無電解メッキ法などで行うことができる。
電解メッキ法で金属層を形成する場合は、先ずNaOHなどのアルカリ溶液でCu系基材の脱脂を行い、その後、HClなどで酸洗浄を行い、シアン、クエン酸等を用いてメッキする。長尺状のCu系基材にメッキをする際は、その搬送速度は狙いとするメッキ厚等を考慮して決めればよいが、概ね0.3〜3.0m/分程度が好ましい。その後、純水等でメッキされたCu系基材を洗浄し、乾燥する。乾燥方法には特に限定はないが、40℃程度の真空雰囲気で加熱乾燥すると溶剤を十分に除去でき、酸化も進行しにくいので好ましい。
<PbフリーZn−Al系合金はんだ>
本発明の一具体例のクラッド材2に用いられるPbフリーZn−Al系合金はんだ層22の組成は、Alを0.9質量%以上9.0質量%以下含有し、残部が製造上、不可避に含まれる元素を除きZnからなるのが好ましい。Alの含有量が0.9質量%未満では液相線温度と固相線温度の差が大きくなりすぎ、溶け別れ現象などを生じてしまい、逆に9.0質量%を超えるとAlの酸化膜が強固になって良好な接合強度を得にくくなってしまい好ましくない。
本発明の一具体例のクラッド材2に用いられるPbフリーZn−Al系合金はんだ層22の組成は、Alを0.9質量%以上9.0質量%以下含有し、残部が製造上、不可避に含まれる元素を除きZnからなるのが好ましい。Alの含有量が0.9質量%未満では液相線温度と固相線温度の差が大きくなりすぎ、溶け別れ現象などを生じてしまい、逆に9.0質量%を超えるとAlの酸化膜が強固になって良好な接合強度を得にくくなってしまい好ましくない。
また、PbフリーZn−Al系合金はんだ層22は、必要に応じてAg、Cu、Ge、Mg、Sn、及びPのうちの1種以上を添加してもよい。この場合、Ag、Cu、Mg、及びSnの各含有量は2.0質量%以下、Geの含有量は6.0質量%以下、Pの含有量は0.5質量%以下が好ましい。これらの元素を適切な量で含有させることにより、加工性や応力緩和性が向上したり、濡れ性が向上したり、接合強度が高くなったりするなどの効果が得られる。次に、このPbフリーZn−Al系合金はんだの製造方法の一例について説明する。
先ず原料として99.99質量%以上のZn、Al、及びGeを準備する。これらを所定量秤量し、グラファイト製の坩堝に入れ、横型連続鋳造機の槽内にセットする。この連続鋳造機の槽内に窒素を流しながら高周波で原料を溶解する。原料が十分に溶融した後、溶けた原料を撹拌棒で撹拌して混合しながら横孔から1.0m/分の速度で板状のZn−Al−Ge合金を引き出す。横孔のサイズを5mm×60mmの長方形の形状にすることで厚さ5mm、幅60mmのZn−Al−Ge合金板が得られる。このように連続鋳造によって得たZn−Al−Ge合金板を十分に冷却した後、適当な長さに裁断する。
次に、得られたZn−Al−Ge合金板を圧延機を用いて所定の厚さまで圧延して合金箔の形態にする。その際、冷間圧延、温間圧延、熱間圧延のいずれの方法で圧延してもよいが、Zn−Al系合金はAl含有量が5質量%程度であれば共晶点付近の組成になるため延性に富んで加工しやすくなるので冷間圧延で行うことが好ましい。また、前述したCu箔の作製の場合と同様に、冷間圧延の場合は表面酸化が進みにくく、よってクラッディング際に良好な接合性や高い接合強度が得られるので好ましい。製造速度を上げるために温間圧延や熱間圧延を行ってもよいが、その場合は表面酸化に十分考慮する必要がある。
<クラッディング方法>
上記のクラッド材2を作製する際に採用するクラッド法には特に限定はなく、例えば上記のCu箔の片面又は両面にZn−Al系合金箔を重ね合わせた状態でロール圧延機を通して圧延することで得られる。その際、それぞれの箔の表面状態には十分注意を要する。具体的には、箔の表面に不純物や異物が付着していたり、酸化膜が厚く存在していたりすると良好な接合が困難になるおそれがあるので注意が必要である。
上記のクラッド材2を作製する際に採用するクラッド法には特に限定はなく、例えば上記のCu箔の片面又は両面にZn−Al系合金箔を重ね合わせた状態でロール圧延機を通して圧延することで得られる。その際、それぞれの箔の表面状態には十分注意を要する。具体的には、箔の表面に不純物や異物が付着していたり、酸化膜が厚く存在していたりすると良好な接合が困難になるおそれがあるので注意が必要である。
その理由は、両金属箔同士を力学的な力によって接合させようとしても、表面に不純物等が存在しているとCuとZn−Al系合金とが金属同士良好に接触できず、また、後述する熱処理を行っても両金属の拡散が阻害されて進まず、その結果良好に接合できなくなるからである。どのような金属でも酸化膜は存在するが、この酸化膜が薄ければ圧延時に金属箔同士が互いに押しつけ合う力によって酸化膜が破れ、金属同士が接することができるので良好に接合することができる。なお、金属表面を不純物等のない状態にするため、表面を研磨したり、酸洗浄したりしてもよい。
各金属箔の表面は表面粗さが算術平均粗さRaで0.1μm以上であるのが好ましい。このように表面に適度な凹凸があることによってアンカー効果が期待でき、より強固な結合が可能になる。すなわち、表面に凹凸があることによって、界面部において両金属は各々相手側の金属にアンカーように深く刺さり込み、よって高い接合強度を得ることができる。金属表面の表面粗さは研磨紙や研磨石、又は金属製ブラシや有機樹脂製ブラシなどによって調整することができる。一般的には、所望の接合強度や接合条件に合わせて表面粗さを適宜調整するのが好ましい。
Cu箔及びZn−Al系合金箔は、最終的なクラッド材の形態での箔厚(半導体チップと基板とを接合する際に用いる箔状のクラッド材の厚み)を考慮してクラッド前の各々の厚さを決める。すなわち、CuとZn−Al系合金では同じ応力で圧延しても圧下率が異なるため、事前に圧下率を考慮に入れて各箔の厚さを決めて準備するのが好ましい。一般的にはクラッド材の厚みは50〜700μm程度であるため、Cu箔の厚みは20〜300μm程度が好ましく、Zn−Al系合金箔の厚みは10〜300μm程度が好ましい。
このようにして準備したCu箔とZn−Al系合金箔とを重ね合わせてロールで圧延する。その際、あらかじめ圧下率を設定しておき、圧延時は圧延油をたらしながら行う。また、両金属箔の接合面には圧延油が入らないように、ロールに当たる面だけに圧延油をかけていく。クラックやバリが発生していないことを確認した後、圧下率を下げて目的の厚さより10%程度厚めの状態まで圧延していく。このようにして段階的に圧延した後、最終圧延として圧下率がほぼゼロに近いような状態で厚さを測りながら少しずつ圧延していく。これにより所望の厚みを有するクラッド材が得られる。
<クラッド材の熱処理>
圧延後はクラッド材に熱処理を行ってもよい。これにより硬さや伸び率などを調整することができる。また、熱処理によって界面近傍の金属原子が相手側の金属にまで拡散する相互拡散が生じるのでより強固な結合が可能になる。特に残留応力を軽減するためには200℃以下で熱処理を行うのが好ましく、接合面の接合強度を上げるためには200℃以上で熱処理を行うのが好ましい。ただし、熱処理する場合、表面の酸化には十分注意を要する。酸化が進行しすぎると接合強度を極端に低下させてしまうおそれがあるからである。例えば真空中、不活性ガス中、又は還元雰囲気中などで熱処理することで酸化の進行を抑制できるので好ましい。
圧延後はクラッド材に熱処理を行ってもよい。これにより硬さや伸び率などを調整することができる。また、熱処理によって界面近傍の金属原子が相手側の金属にまで拡散する相互拡散が生じるのでより強固な結合が可能になる。特に残留応力を軽減するためには200℃以下で熱処理を行うのが好ましく、接合面の接合強度を上げるためには200℃以上で熱処理を行うのが好ましい。ただし、熱処理する場合、表面の酸化には十分注意を要する。酸化が進行しすぎると接合強度を極端に低下させてしまうおそれがあるからである。例えば真空中、不活性ガス中、又は還元雰囲気中などで熱処理することで酸化の進行を抑制できるので好ましい。
以下、種々の形態及び組成のはんだ合金を用いて半導体チップを基板にはんだ接合することで本発明の実施例及び比較例の接合体試料を作製し、それらの性能をボイド率、シェア強度及びヒートサイクル試験の点から評価した。
先ず、クラッド材の母材となるCu箔を作製すべく原料として99.99質量%以上の純度のCuを準備した。これをグラファイト製の坩堝に入れ、横型連続鋳造機の槽内にセットした。Cuの酸化を抑制するために連続鋳造機の槽内に窒素を5L/分の流量で流しながら高周波電源を入れ、約20℃/分の昇温速度でCuを昇温していった。Cuが1200℃に達した後、その温度を保持するように制御した。Cuが十分に溶融したことを確認した後、横孔から1.5m/分の速度で板状のCuを引き出した。横孔のサイズは5mm×60mmの長方形の形状とすることで、厚さ5mm、幅60mmのCu板を得た。この連続鋳造によって得たCu板を十分に冷却した後、5mの長さに裁断することでクラッド材を構成するCu系基材用のCu材を得た。
次に、得られたCu材をロール圧延機を用いて冷間圧延し、200μmの厚さに加工した。冷間圧延を選んだ理由は、Cu材の表面酸化が進みにくく、後段のクラッディングの際に良好な接合性と高い接合強度を得ることが期待できるからである。圧延の際、圧延油には鉱物油と植物油とを1:2(体積比)の割合で混合した混合油を用いた。この混合油をCu材の表面に供給しながら圧延していった。圧延回数は7回とし、そのうちの最後の2回は仕上げ圧延であって圧下率は2〜5%程度を狙って行った。なお、圧下率の定義を下記計算式1に示す。
[計算式1]
圧下率(%)=(圧延前の厚さ−圧延後の厚さ)÷圧延前の厚さ×100
圧下率(%)=(圧延前の厚さ−圧延後の厚さ)÷圧延前の厚さ×100
最終圧延の終了後、自動洗浄機でエタノールを用いて圧延油を除去し、その後、真空乾燥機を用いて、常温の真空雰囲気で5時間乾燥して複数の長尺のCu箔試料を得た。上記にて得た複数のCu箔試料のうち4枚のCu箔試料に対して、それぞれAu、Ag、Ni、及びNi−Cuのメッキを施した。具体的には30%NaOHのアルカリ溶液でCu箔表面の脱脂を行ってから25%HClを用いて酸洗浄を行った。その後、上記のメッキを行った。その際、Cu箔の搬送速度は1.5m/分とした。Ni−Cuメッキに関しては先ずNiメッキを行った後、Cuメッキを行った。これらNi及びCuのメッキ厚さはほぼ同じになるように諸条件を調整してメッキした。その後、純水中で洗浄し、真空雰囲気で乾燥を行って金属メッキを施したCu箔を得た。メッキ厚みはAu、Ag、Niは4.0±0.1μm、Ni−Cuは2.0±0.1μmとした。
クラッディングの際の接合面となるCu箔の両面を研磨装置を用いて自動研磨し、表面粗さを算術平均粗さRaで0.15±0.02μmとなるように調整した。この研磨時に発生した研磨カスや汚れを除去するため、自動洗浄機でエタノールを用いて洗浄した。その後、真空乾燥機を用いて常温の真空雰囲気で5時間乾燥して、表面粗さが調整されたCu箔を得た。
次に、PbフリーZn−Al系合金はんだ試料を作製すべく、原料として99.99質量%以上のZn、Al、Ag、Cu、Ge、Mg、Sn、P、Pb、及びAuを準備した。これらから組成の異なる複数のはんだ合金試料を作製すべくそれぞれ所定量を秤量してグラファイト製の坩堝に入れ、横型連続鋳造機の槽内にセットした。酸化を抑制するために連続鋳造機の槽内には窒素を5L/分の流量で流しながら高周波電源を入れ、約15℃/分の昇温速度で昇温させた。
各試料の液相線温度より80℃高い温度に達した後、その温度を保持するように制御した。金属が溶融しはじめたら混合棒でよく撹拌し、局所的な組成のばらつきが起きないように均一に混ぜた。試料が十分に溶融したことを確認した後、横孔から1.2m/分の速度で板状のはんだ合金試料を引き出した。横孔のサイズは5mm×60mmの長方形の形状とすることで、厚さ5mm、幅60mmの板状のはんだ合金試料を得た。このようにして連続鋳造により得た各はんだ合金試料の板材を十分に冷却してから5mの長さに裁断した。
このようにして得た板状のはんだ合金母材をロール圧延機を用いて冷間圧延を行い、100μmの厚さに加工した。圧延の際、圧延油には鉱物油と植物油とを1:2(体積比)の割合で混合した混合油を用いた。この混合油をはんだ合金母材の表面に供給しながら圧延していった。圧延回数は7回とし、そのうちの最後の2回は仕上げ圧延であって圧下率は1〜3%程度を狙って行った。最終圧延の終了後、自動洗浄機でエタノールを用いて圧延油を除去し、その後、真空乾燥機を用いて常温の真空雰囲気で5時間乾燥してはんだ合金箔を得た。
クラッディングの際の接合面となるはんだ合金箔の片面を研磨装置を用いて自動研磨し、表面粗さを算術平均粗さRaで0.15±0.02μmとなるように調整した。この研磨時に発生した研磨カスや汚れを除去するために自動洗浄機でエタノールを用いて洗浄した。その後、真空乾燥機を用いて常温の真空雰囲気で5時間乾燥して、表面粗さが調整された試料1A〜51Aのはんだ合金箔を得た。得られたはんだ合金試料をICP発光分光分析装置(SHIMAZU S−8100)を用いて組成分析した。その分析結果を下記表1〜2に示す。
上記にて作成した試料1A〜51Aのはんだ合金箔のうち試料1A〜47Aのはんだ合金箔を各々2枚用意し、それらでCu箔を挟んでロールで圧延することによりクラッディングを行った。その際、圧延油には鉱物油と植物油とを1:1(体積比)の割合で混合した混合油を用い、接合面に圧延油が入らないようにロールに当たる面だけに圧延油を供給していった。そして、クラックやバリが発生していないことを確認しながら圧下率10〜30%の割合で段階的に薄く圧延していき、約110μmの厚さまで圧延した。更に、厚さが100μmになるように厚さを測定しながら少しずつゆっくりと圧延して厚み100±1.5μmのクラッド材を作製した。得られたクラッド材の形態を有する試料に対して下記の方法でボイド率及び伸び率を測定した。
<クラッド材のボイド率>
クラッディングの接合性を確認するため、クラッド材の形態の各試料のボイド率をX線透過装置(株式会社東芝製 TOSMICRON−6125)を用いて測定した。ボイド率の測定ではクラッディング面に対して垂直な方向からX線を透過して100mm2当たりのボイド面積を測定した。この測定を各試料5点実施し、各々下記計算式2に示す計算を行ってボイド率を計算し、それらを算術平均してその試料のボイド率とした。
クラッディングの接合性を確認するため、クラッド材の形態の各試料のボイド率をX線透過装置(株式会社東芝製 TOSMICRON−6125)を用いて測定した。ボイド率の測定ではクラッディング面に対して垂直な方向からX線を透過して100mm2当たりのボイド面積を測定した。この測定を各試料5点実施し、各々下記計算式2に示す計算を行ってボイド率を計算し、それらを算術平均してその試料のボイド率とした。
[計算式2]
ボイド率(%)=ボイド面積(mm2)÷100(mm2)×100
ボイド率(%)=ボイド面積(mm2)÷100(mm2)×100
<伸び率>
クラッド材の形態の各試料を幅3mm×長さ100mmに裁断し、引張試験機(テンシロン万能試験機)を用いて応力緩和性の指標となる伸び率を測定した。この測定を各試料5回実施し、それらを算術平均してその試料の伸び率とした。これらボイド率及び伸び率の測定結果をCu系基材に施したメッキと共に下記表3〜4に示す。
クラッド材の形態の各試料を幅3mm×長さ100mmに裁断し、引張試験機(テンシロン万能試験機)を用いて応力緩和性の指標となる伸び率を測定した。この測定を各試料5回実施し、それらを算術平均してその試料の伸び率とした。これらボイド率及び伸び率の測定結果をCu系基材に施したメッキと共に下記表3〜4に示す。
上記表3〜4の結果から、試料1A〜41A及び試料44A〜47AのZn−Al系合金はんだを用いたクラッド材ではボイドが存在しておらず、また、伸び率も170%以上を有しているので極めて高い応力緩和性があると考えられる。一方、Zn−Al系合金はんだではなく従来の試料42A〜43AのPb系合金はんだを用いたクラッド材ではボイド率及び伸び率のいずれも上記のZn−Al系合金はんだを用いたクラッド材よりも劣っていた。
次に、上記の試料1A〜47Aを用いたクラッド材及び試料48A〜51Aのはんだ合金箔に対して、プレス機を用いて縦4.0mm×横4.0mm〜縦10.0mm×横10.0mmの大きさの正方形状に打抜いた。また、Si、SiC、及びGaNの3種類の半導体チップを合計51個準備した。これら半導体チップには縦1.0mm×横1.0mm〜縦7.0mm×横7.0mmの大きさの正方形状のものを用いた。
そして、これら51個の半導体チップに対してそれぞれ上記のクラッド材及びはんだ合金箔の試料を用いてCu基板にはんだ接合することで試料1〜51の接合体を作製し、それらの各々に対して上記と同様の方法でボイド率を測定し、下記の方法でシェア強度の測定とヒートサイクル試験とを行って接合体の接合強度と接合信頼性とを評価した。なお、接合体の接合には濡れ性試験機を用い、各はんだ合金の液相線温度より50℃高い温度にヒータを加熱した状態で窒素フロー雰囲気において25秒保持することで接合させた。
<シェア強度>
各接合体の試料をシェア試験機(XYZTEC社製、装置名:Condor Sigma)に固定し、半導体素子の側面に測定用冶具をあてて接合体の接合強度を測定した。
各接合体の試料をシェア試験機(XYZTEC社製、装置名:Condor Sigma)に固定し、半導体素子の側面に測定用冶具をあてて接合体の接合強度を測定した。
<ヒートサイクル試験>
各接合体の試料を2個ずつ作成し、そのうちの一方に対して−40℃の冷却と150℃の加熱とを1サイクルとするヒートサイクルを300サイクル繰り返し、もう一方はこのヒートサイクルを500サイクル繰り返した。その後、これら接合体を樹脂に埋め込んで断面研磨を行い、SEM(日立製作所製 S−4800)により接合面の観察を行った。接合面にはがれやはんだにクラックが入っていた場合を「×」、そのような不良がなく、初期状態と同様の接合面を保っていた場合を「○」と評価した。上記した各接合体のボイド率、シェア強度、及びヒートサイクル試験の結果を半導体チップの材質及びクラッド材又ははんだ合金箔のサイズと共に下記表5〜6に示す。
各接合体の試料を2個ずつ作成し、そのうちの一方に対して−40℃の冷却と150℃の加熱とを1サイクルとするヒートサイクルを300サイクル繰り返し、もう一方はこのヒートサイクルを500サイクル繰り返した。その後、これら接合体を樹脂に埋め込んで断面研磨を行い、SEM(日立製作所製 S−4800)により接合面の観察を行った。接合面にはがれやはんだにクラックが入っていた場合を「×」、そのような不良がなく、初期状態と同様の接合面を保っていた場合を「○」と評価した。上記した各接合体のボイド率、シェア強度、及びヒートサイクル試験の結果を半導体チップの材質及びクラッド材又ははんだ合金箔のサイズと共に下記表5〜6に示す。
上記表5〜6の結果から、試料1〜41及び試料44〜47の接合体においても上記した表3〜4の場合と同様にボイドが存在しないことが分かる。特に、本発明の要件を満たす試料1〜41の接合体はシェア強度が全て100MPa以上であり非常に強固に接合されていることが分かる。また、ヒートサイクル試験においても−40℃及び+150℃の繰り返しという非常に厳しい条件を500サイクル繰り返してもクラック等の不良の発生が見られなかった。
一方、Pbを主成分とするはんだを用いた本発明の比較例の試料42及び43の接合体はいずれの評価項目においても上記した試料1〜41の接合体に比べて劣っていた。この理由として、Pbを主成分とするはんだは柔らかい反面、強度が低く、比較的高い温度でのヒートサイクル試験などでは熱応力による発生するクラックの進展を止めることができないためと考えられる。
また、比較例44〜47の接合体は上記した試料1〜41の接合体に比べてシェア強度が低く、ヒートサイクル試験では500回までにクラック等の不良の発生が確認された。この理由として、半導体チップとクラッド材とが互いに対向する両面において半導体チップ側の面の面積がクラッド材側の面の面積以上であったため、半導体チップの周縁部にフィレットが良好に形成されなかったことによるものと考えられる。また、比較例48〜51の接合体は上記した試料1〜41の接合体に比べていずれの評価項目においても劣っていた。その理由は比較例48〜51の接合体ではクラッド材を用いていなかったため、クラッド材を構成するCu系基材による高い熱伝導性などのクラッド材の効果が奏されなかったためと考えられる。
[参考例]
PbフリーZn−Al系はんだに含有させるAg、Cu、Ge、Mg、Sn、及びPの含有量を様々に変えた以外は上記実施例と同様にして試料52A〜57Aのはんだ合金を作製し、その組成を上記実施例と同様に測定した。その測定結果を下記表7に示す。
PbフリーZn−Al系はんだに含有させるAg、Cu、Ge、Mg、Sn、及びPの含有量を様々に変えた以外は上記実施例と同様にして試料52A〜57Aのはんだ合金を作製し、その組成を上記実施例と同様に測定した。その測定結果を下記表7に示す。
次に、これら試料52A〜57Aのはんだ合金を用いて上記実施例と同様にクラッド材を作製し、得られたクラッド材のボイド率及び伸び率を上記実施例と同様に測定した。その測定結果を下記表8に示す。
次に、これらクラッド材を用いて上記実施例と同様に接合体を作製し、得られた接合体のボイド率の評価、シェア強度の評価及びヒートサイクル試験を上記実施例と同様に行った。その評価結果を下記の表9に示す。
上記表7〜8の結果から、Zn−Al系はんだに含有させるAg、Cu、Ge、Mg、Sn、及びPの含有量が多すぎるとボイド率、シェア強度、及びヒートサイクル試験のいずれにおいても好ましくない結果になることが分かる。
1 半導体チップ
2 クラッド材
3 基板
21 Cu系基材
22 Zn−Al系合金はんだ層
2 クラッド材
3 基板
21 Cu系基材
22 Zn−Al系合金はんだ層
Claims (5)
- 半導体チップがクラッド材によって基板に接合されてなる接合体であって、該半導体チップと該クラッド材とが互いに対向する両面においては該半導体チップ側の面の方が該クラッド材側の面よりも狭く、該クラッド材はCu系基材の少なくとも該半導体チップに対向する面に層状のPbフリーZn−Al系合金はんだを有していることを特徴とする接合体。
- 前記PbフリーZn−Al系合金はんだは、Alを0.9質量%以上9.0質量%以下含有し、残部が製造上不可避に含まれる元素を除きZnから構成されることを特徴とする、請求項1に記載の接合体。
- 前記PbフリーZn−Al系合金はんだは、更にAg、Cu、Ge、Mg、Sn、及びPのうちの1種以上を含有しており、その含有量はAg、Cu、Mg、及びSnでは各々2.0質量%以下であり、Geでは6.0質量%以下であり、Pでは0.5質量%以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の接合体。
- 前記Cu系基材がAu、Ag、Ni、及びCuののうち1種以上からなる金属層を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の接合体。
- 前記半導体チップがSi、SiC、及びGaNのうちのいずれかであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の接合体。
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