JP2017123704A - 電力変換装置 - Google Patents

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公久 古川
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Abstract

【課題】スイッチング素子に温度測定用の信号を印加することなく、通常のスイッチング動作をしながら、スイッチング素子の劣化状態の診断を行うことができる電力変換装置を提供する。
【解決手段】本発明の電力変換装置は、複数のスイッチング素子を含むブリッジ回路からなり、複数のスイッチング素子のスイッチング動作によって負荷を駆動するインバータ回路と、アナログ回路からなり、複数のスイッチング素子のスイッチング波形の波形特徴量を分析する波形特徴量分析部と、ディジタル回路からなり、波形特徴量分析部の分析結果に基づいて複数のスイッチング素子の劣化状態を診断する診断処理部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、電力変換装置に関し、特に、デバイスの劣化状態の診断が可能な電力変換装置に関する。
電力変換装置は、複数のスイッチング素子を含むインバータ回路を備えており、例えば、バッテリなどの直流電圧源から入力される直流電圧を交流電圧に変換して負荷に供給する。この電力変換装置において、インバータ回路を構成するスイッチング素子は、高温環境や温度変化により劣化・破壊が起こる。スイッチング素子は、シリコンなどの半導体材料および他の金属や、絶縁物からなる複合デバイスであり、素子間の熱膨張係数が異なることから熱応力による劣化を引き起こす場合や、半導体材料そのものが加熱によって劣化する場合がある。
このように温度環境とスイッチング素子の劣化との間には密接な関係がある。このことから、スイッチング素子の劣化状態を判断(診断)するために、スイッチング素子(IGBT、電流制御型素子)の温度を検出する手法が種々提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
特許文献1には、「IGBTのゲート−エミッタ端子間に高周波の交流電圧を印加し、この交流電圧によってIGBTのゲート端子に流れる電流に基づいて動作中のIGBTの静電容量を計測することができる。この静電容量は温度に対して相関関係を持っているため、静電容量を検出することによってIGBTの素子温度を計測することができる。」と記載されている。
特許文献2には、「電流制御型素子がオフしているときに、電流制御型素子がオンしない程度の微少な一定電流をベースに流し、ベース−エミッタ端子間ダイオードの順方向電圧の温度特性を利用して素子温度を検出するように構成したオンチップ温度検出装置。」と記載されている。
特開平5−56553号公報 特開2002−289856号公報
上記特許文献1,2に記載の従来技術はいずれも、スイッチング素子がオフしている期間に、スイッチング信号以外に温度測定用の信号をスイッチング素子に印加することによって温度測定を行う構成となっている。そのため、オフ期間が短いと、温度測定を行うことができない。例えば、出力が大きいときは、一般的に、スイッチング素子のオン期間が長く、オフ期間が短いために、大出力時の温度測定を行いたいにも拘わらず、オフ期間の短さから温度測定が困難になる。このように、特許文献1,2に記載の従来技術では、オフ期間が短いと、温度測定を行うことができないために、通常のスイッチング動作をしながら、温度測定(温度検出)によってスイッチング素子の劣化状態を診断することができない。
また、電力変換装置のインバータ回路では、上アームと下アームとで相補スイッチング動作をするにあたって、上下短絡を起こさないようにするためにデッドタイムを設けているのが一般的である。ところが、デッドタイム期間によって出力電流ひずみを引き起こすことから、デッドタイム期間をできるだけ短く設定することが望ましい。しかしながら、特許文献1,2に記載の従来技術にあっては、出力電流ひずみを引き起こすデッドタイム期間を長く設定しないと、温度測定によってスイッチング素子の劣化状態の診断を行えないことになる。
本発明は、スイッチング素子に温度測定用の信号を印加することなく、通常のスイッチング動作をしながら、スイッチング素子の劣化状態の診断を行うことができる電力変換装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、
複数のスイッチング素子を含むブリッジ回路からなり、複数のスイッチング素子のスイッチング動作によって負荷を駆動するインバータ回路と、
アナログ回路からなり、複数のスイッチング素子のスイッチング波形の波形特徴量を分析する波形特徴量分析部と、
ディジタル回路からなり、波形特徴量分析部の分析結果に基づいて複数のスイッチング素子の劣化状態を診断する診断処理部と、
を備えることを特徴とする。
本発明によれば、スイッチング素子に温度測定用の信号を印加することなく、通常のスイッチング動作をしながら、スイッチング素子の劣化状態を診断を行うことができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明によって明らかにされる。
本発明の一実施形態に係る電力変換装置、直流電圧源および負荷の全体構成の概略を示す回路構成図の例である。 診断装置の基本構成を示すブロック図の例である。 実施例1に係る診断装置の構成を示すブロック図の例である。の例である。 デバイス(スイッチング素子)のスイッチング波形の温度依存性を示す波形図の例である。 スイッチング素子のゲート−エミッタ間電圧Vgeの検出機能を有するゲート駆動装置の構成を示すブロック図の例である。 スイッチング素子のコレクタ−エミッタ間電圧Vceの検出機能を有するゲート駆動装置の構成を示すブロック図の例である。 スイッチング素子のコレクタ電流Icの検出機能を有するゲート駆動装置の構成を示すブロック図の例である。 実施例2に係る診断装置の構成を示すブロック図の例である。の例である。 実施例3に係る診断装置の構成を示すブロック図の例である。 電流検知部としてのロゴスキコイルを用いるセンサ(ロゴスキセンサ)を示す構成図の例である。 周波数分析器に代えてウォルシュ分析器を用いる場合の診断装置の構成を示すブロック図の例である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と記述する)について図面を用いて詳細に説明する。本発明は実施形態に限定されるものではなく、実施形態における種々の数値などは例示である。本明細書および図面において、同一の構成要素又は実質的に同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付することとし、重複する説明は省略する。
<電力変換装置、直流電圧源および負荷の全体構成>
電力変換装置は、直流電力を交流電力に変換するインバータ機能、あるいは、交流電力を直流電力に変換するコンバータ機能を有する。そして、インバータ機能を有する電力変換装置はインバータ装置と呼ばれ、コンバータ機能を有する電力変換装置はコンバータ装置と呼ばれている。
図1は、本発明の一実施形態に係る電力変換装置、直流電圧源および負荷の全体構成の概略を示す回路構成図の例である。図1に示すように、本実施形態に係る電力変換装置1は、インバータ回路10、制御装置20および診断装置30等を備えており、直流電圧源40の直流電力をインバータ回路10で交流電力に変換し、負荷の一例である三相交流電動機50に連続的に供給する。本実施形態に係る電力変換装置1は、産業機器向け電力変換装置、鉄道向け電力変換装置、エレベータ向け電力変換装置、あるいは、自動車向け電力変換装置、家庭用電気製品向け電力変換装置等、種々の用途に用いることができる。
インバータ回路10は、直流電圧源40の正極側端子と負極側端子との間に複数のスイッチング素子、本例では三相交流電動機50の負荷に対応した6個のスイッチング素子11〜スイッチング素子16がグレッツ結線されたブリッジ回路からなる。直流電圧源40には、平滑コンデンサ60が並列に接続されている。スイッチング素子11〜スイッチング素子16は、パワー半導体素子である。スイッチング素子11〜スイッチング素子16としては、電圧駆動型の素子の一例である、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Bipolar Transistor:IGBT)などを用いることができる。
スイッチング素子11〜スイッチング素子16は、高電位側電源(直流電圧源40の正極側端子)にコレクタ端子が接続されたスイッチング素子11,13,15と、低電位側電源(直流電圧源40の負極側端子)にエミッタ端子が接続されたスイッチング素子12,14,16とからなる。これらスイッチング素子11〜スイッチング素子16には、還流ダイオード21〜還流ダイオード26が逆並列接続されている。そして、高電位側のスイッチング素子11,13,15および還流ダイオード21,23,25からなるスイッチ群が上アームとなり、低電位側のスイッチング素子12,14,16および還流ダイオード22,24,26からなるスイッチ群が下アームとなる。インバータ回路10の上アームおよび下アームは、例えばモジュール化されている。
スイッチング素子11〜スイッチング素子16のゲート端子には、これらスイッチング素子11〜スイッチング素子16をオン/オフ動作させる制御装置20が接続されている。制御装置20は、スイッチング素子11〜スイッチング素子16のゲート端子にオン/オフ動作のためのゲート駆動信号を与えることで、スイッチング素子11〜スイッチング素子16をオン/オフ動作させる。この制御装置20によるスイッチング素子11〜スイッチング素子16のオン/オフ制御の下に、インバータ回路10は、負荷である三相交流電動機50に供給する相電流(駆動電流)を制御する。三相交流電動機50に供給される相電流は、電流検出部71〜73で検出され、制御装置20にフィードバックされる。
インバータ回路10には、スイッチング素子11〜スイッチング素子16に対してそれぞれ直列に接続され、スイッチング素子11〜スイッチング素子16に流れる素子電流を検知する電流検知部81〜電流検知部86が設けられている。
診断装置30は、電力変換装置1を構成するデバイス、具体的にはインバータ回路10のスイッチング素子11〜スイッチング素子16の劣化状態を診断するための装置である。具体的には、診断装置30は、スイッチング素子11〜スイッチング素子16の端子間にかかる電圧(以下、「素子電圧」と記述する場合がある)や、スイッチング素子11〜スイッチング素子16に流れる電流(以下、「素子電流」と記述する場合がある)に基づいて、スイッチング素子11〜スイッチング素子16の劣化状態を診断する。
ここで、スイッチング素子11〜スイッチング素子16の素子電圧は、スイッチング素子16のゲート端子とエミッタ端子との間に印加されるゲート−エミッタ間電圧Vgeや、コレクタ端子とエミッタ端子との間に印加されるコレクタ−エミッタ間電圧Vceである。また、スイッチング素子11〜スイッチング素子16の素子電流は、スイッチング素子11〜スイッチング素子16に流れるコレクタ電流Icである。
<診断装置の構成>
図2は、診断装置30の基本構成を示すブロック図の例である。図2に示すように、本構成例に係る診断装置30は、電圧検知部31と、アナログ回路からなる波形特徴量分析部32,33と、ディジタル回路からなる診断処理部34とを有する構成となっている。なお、ここでは、図面の簡略化のために、スイッチング素子11〜スイッチング素子16のうち、スイッチング素子16の劣化状態を診断する回路部分の構成について図示している。他のスイッチング素子11〜15の劣化状態を診断する回路部分も同様の構成となっている。
図2のインバータ回路10については、制御装置20がその出力段に、スイッチング素子11〜スイッチング素子16の各々に対応して有するゲート駆動回路(ドライバ)のうち、スイッチング素子15,16に対応するゲート駆動回路205,206を含む形で図示している。ゲート駆動回路205,206は、スイッチング素子15,16のゲート端子にゲート駆動信号を与るえことで、スイッチング素子15,16をオン/オフ動作させる。
電圧検知部31は、スイッチング素子16の素子電圧、即ちスイッチング素子16のゲート−エミッタ間電圧Vgeや、コレクタ−エミッタ間電圧Vceを検知する。
波形特徴量分析部(電流)32は、電流検知部86が検知するスイッチング素子16の素子電流信号を入力とし、当該素子電流信号に基づいてスイッチング素子16の電流に関するスイッチング波形の波形特徴量を分析する。波形特徴量分析部(電圧)33は、電圧検知部31が検知するスイッチング素子16の素子電圧信号を入力とし、当該素子電圧信号に基づいてスイッチング素子16の電圧に関するスイッチング波形の波形特徴量を分析する。
診断処理部34は、入力段にA/D変換器(アナログ/ディジタル変換器)91,92を備えており、波形特徴量分析部(電流)32および波形特徴量分析部(電圧)33の各分析結果をA/D変換器91,92でディジタル化する。そして、診断処理部34は、A/D変換器91,92でディジタル化したディジタル値を基にスイッチング素子16の劣化状態を診断する。
スイッチング素子11〜スイッチング素子16のスイッチング波形は温度依存性を有する。具体的には、スイッチング素子11〜スイッチング素子16の接合温度が上昇すると、スイッチング素子11〜スイッチング素子16のスイッチング波形が遅延する(その詳細については後述する)。したがって、スイッチング素子11〜スイッチング素子16のスイッチング波形の波形特徴量、具体的にはスイッチング波形の遅延時間からスイッチング素子11〜スイッチング素子16の接合温度を推定することができる。
先述したように、環境温度とスイッチング素子11〜スイッチング素子16の劣化との間には密接な関係がある。具体的には、スイッチング素子11〜スイッチング素子16は、シリコンなどの半導体材料および他の金属や、絶縁物からなる複合デバイスであり、素子間の熱膨張係数が異なることから熱応力による劣化を引き起こす場合や、半導体材料そのものが加熱によって劣化する場合がある。
したがって、本実施形態に係る診断装置30においては、スイッチング素子11〜スイッチング素子16のスイッチング波形の波形特徴量を分析することにより、スイッチング素子11〜スイッチング素子16の接合温度を推定することができる。そして、その推定した接合温度を基に劣化診断を行うことで、スイッチング素子11〜スイッチング素子16に温度測定用の信号を印加することなく、通常のスイッチング動作をしながら、スイッチング素子11〜スイッチング素子16の劣化状態の診断を行うことができる。
また、本実施形態に係る診断装置30は、上アームと下アームとで相補スイッチング動作をするにあたって、上下短絡を起こさないようにするためにデッドタイムを設ける場合にも対応できる。すなわち、本実施形態に係る診断装置30によれば、出力電流ひずみを引き起こすデッドタイム期間が短くても(換言すれば、デッドタイム期間を長く設定しなくても)、スイッチング素子11〜スイッチング素子16の劣化状態の診断を行うことができる。
以下に、診断装置30の具体的な実施例について説明する。
[実施例1]
図3は、実施例1に係る診断装置30の構成を示すブロック図の例である。図3に示すように、実施例1に係る診断装置30は、波形特徴量分析部(電流)32および波形特徴量分析部(電圧)33が、周波数分析器(電流)35および周波数分析器(電圧)36からなる構成となっている。
(波形特徴量分析部の構成)
周波数分析器(電流)35は、発振器351と、N個の乗算器352_1〜352_Nと、N+1個のスイッチ353_0〜353_Nと、N+1個の積分器354_0〜354_Nと、マルチプレクサ355とによって構成されるアナログ回路である。N個の乗算器352_1〜352_Nは縦続接続されている。N+1個のスイッチ353_0〜353_NおよびN+1個の積分器354_0〜354_Nは共に、並列に配置されている。
周波数分析器(電流)35において、発振器351は余弦波信号(COS信号)を生成する。初段の乗算器352_1およびスイッチ353_0には、電流検知部86が検知するスイッチング素子16の素子電流信号が入力される。発振器351で生成された余弦波信号は、縦続接続されたN個の乗算器352_1〜352_Nにおいて、1〜N回乗算される。この乗算回数Nは、入力信号、即ちスイッチング素子16の素子電流信号の分析次数Nに対応している。したがって、スイッチング素子16の素子電流信号に関して、より高い周波数分析を行う場合は乗算回数Nを増やせばよい。乗算回数Nは乗算器352_1〜352_Nの個数Nに一対一で対応している。
入力信号(スイッチング素子16の素子電流信号)および乗算器352_1〜352_Nで1回からN回まで乗算されたN個の信号は、それぞれの信号に対応するスイッチ353_0〜353_Nを介して、それぞれの信号に対応する積分器354_0〜354_Nに入力される。
積分器354_0〜354_Nの積分結果は、積分器354_0〜354_Nの出力段にホールドされる形となる。したがって、後述する診断処理部34でのA/D変換器91によるA/D変換を、積分器354_0〜354_Nのホールド期間中に実行すればよいことになる。このホールド期間は、周波数分析の対象となる時間の長さと周波数分析の周期によって決められる。
積分器354_0〜354_Nの出力端にはマルチプレクサ355が接続されている。マルチプレクサ355を接続する目的は、N個の乗算器352_1〜352_N一つ一つに対応してA/D変換器を設置することなく、一つのA/D変換器で周波数分析を実現するためである。周波数分析器(電流)35(以下、「周波数分析器35」と記述する場合がある)は、以上のような構成となっている。周波数分析器(電圧)36(以下、「周波数分析器36」と記述する場合がある)も周波数分析器35と同じ構成のアナログ回路である。
上記構成の周波数分析器35(周波数分析器36も同じ)では、アナログ回路により、スイッチング素子16の電流に関するスイッチング波形や電圧に関するスイッチング波形の波形特徴量を分析する処理、具体的にはフーリエ分析する処理が行われる。そして、フーリエ分析によって各次数成分の値が得られ、この各次数成分の値は、マルチプレクサ355を介して次段の診断処理部34に対して出力される。
ここで、周波数分析器35(周波数分析器36も同じ)の原理について、図4に示すスイッチング波形を例に挙げて説明する。図4は、デバイス(スイッチング素子)のスイッチング波形の温度依存性を示す波形図の例である。図4Aは、スイッチング素子のゲート−エミッタ間電圧Vgeの時刻暦波形を示し、図4Bは、スイッチング素子のコレクタ−エミッタ間電圧Vceの時刻暦波形を示し、図4Cは、スイッチング素子のコレクタ電流Icの時刻暦波形を示している。図4A〜図4Cの各時刻暦波形はいずれも、スイッチング素子がターンオフする際の過渡応答波形である。
図4A〜図4Cにおいて、各波形の実線はデバイスの接合温度がT1[deg]の状態の特性、破線はT2[deg]の状態の特性であり、T1<T2の関係がある。このことから、デバイスの接合温度が上昇すると、デバイスの過渡応答波形が遅延することがわかる。一例として、デバイスの半導体材料がシリコンの場合、接合温度が1[℃]上昇すると、1[nsec]前後の遅延が生じる。
周波数分析器35で用いる周波数分析の手法は、スイッチング波形を時刻t=0からt=t0までの区間で切り出してフーリエ級数による分析を行うものである。図4に示すように、スイッチング波形は、おおむねステップ上に変化する非周期的な波形であるが、精度よく周波数分析するために、無限に続く周期的な関数f(t)のうち時刻t=0からt=t0までの波形が測定できると仮定する。関数f(t)は時刻t=0からt=t0までの区間で図4の波形と一致する。周期は2t0とする。
また、nは任意の整数で、f(t+2nt0)=f(−t+2nt0)を満たす(即ち、t=0を中心とする偶関数である)。このとき、関数f(t)は、余弦フーリエ級数展開できる。そして、周波数1/(2t0)を基本周波数としたときのk次の係数akは、式(1)のように表される。
Figure 2017123704
このとき、積分区間はt=0からt=t0のため、関数f(t)は実スイッチング波形の計測によって実現できる。上記の式(1)では、関数f(t)とk次の余弦関数cos(kπt/t0)を乗算することでフーリエ係数akを求める、フーリエ余弦係数の原理式だが、これをアナログ回路で実装する場合、複数の周波数次数の余弦信号を発生させる必要がある。
図3に例示した周波数分析器35では、式(1)を変形することで、回路構成の簡単化を図っている。より具体的には、式(1)の右辺をcos(πt/t0)の累乗の和で表せることを利用することで、単一周波数の発振器でフーリエ級数展開を実現している。一例として、k=2〜5までの場合について、式(1)の右辺を展開してみると、式(2)〜式(5)のようになる。k=6以上についても同様に余弦の累乗和で表せるが、ここでは省略する。
Figure 2017123704
Figure 2017123704
Figure 2017123704
Figure 2017123704
ここで、f(t)と余弦成分のm乗の積を定積分したときの係数Amは、次式(6)となる。
Figure 2017123704
すなわち、フーリエ係数akは、係数Amを用いて、式(7)〜式(12)のように表される。
Figure 2017123704
Figure 2017123704
Figure 2017123704
Figure 2017123704
Figure 2017123704
Figure 2017123704
フーリエ係数akをアナログ回路で直接演算させる場合には、必要な次数成分の周波数発振器信号が一つ一つ必要となり、発振器の個数が増える問題がある。これに対し、係数Amを求めるアナログ回路は、単一周波数の発振器を用いて構成できるため、回路構成を簡素化できる利点がある。
係数Amを求めるアナログ回路を具現化すると、図3の回路例では、発振器351で生成された余弦波信号は入力信号と1〜N回、例えば1〜5回乗算される。乗算される回数は6回以上でもよく、フーリエ級数展開で分析する次数に対応する。N次の周波数分析を行う場合は乗算回数をNとすればよい。先述したように、乗算回数Nは乗算器352_1〜352_Nの個数Nに一対一で対応している。
かくして、N個の信号は、それぞれの信号に対応するスイッチ353_0〜353_Nを介して、それぞれの信号に対応する積分器354_0〜354_Nに入力される。ここで、スイッチ353_0〜353_Nは、周波数分析の対象とする時間を定める機能を有し、また積分器の過大な積算値によるオーバーフローを防ぐ役割も担う。このように積分された結果は係数Amとして積分器354_0〜354_Nの出力段にホールドされる。そして、このホールド期間中に、後述する診断処理部34でのA/D変換が行われる。
上述したように、本実施例に係る周波数分析器35(周波数分析器36)にあっては、フーリエ分析によって得られる各次数成分の値を、マルチプレクサ355を介して出力する構成となっている。この構成により、次段の診断処理部34では、一つのA/D変換器91(92)で各次数成分の値をディジタル化できることになるため、A/D変換器の数を、各次数に対応する個数設ける場合に比べて大幅に削減でき、それに伴って低コスト化を図ることができる。
また、A/D変換器91(92)として、動作周波数の低い低速のA/D変換器を用いることができる。一例として、周波数分析対象の信号(スイッチング素子16の素子電流信号や素子電圧信号)の周波数が1[GHz]程度であると仮定すると、マルチプレクサ355を用いない場合には、A/D変換器91(92)として、高速のA/D変換器を用いる必要がある。これに対し、マルチプレクサ355を用いることで、A/D変換器91(92)として、1[MHz]程度の低速で、低価格のA/D変換器を用いることができる。
(診断処理部の構成)
周波数分析器(電流)35および周波数分析器(電圧)36の後段に配される回路は、ディジタル回路で構成される診断処理部34である。この診断処理部34は、周波数分析器(電流)35および周波数分析器(電圧)36による分析結果を基にスイッチング素子11〜スイッチング素子16の劣化状態の診断を行う。診断処理部34は、A/D変換器91,92を介して入力される電流・電圧の周波数分析値から原波形を復元するための電圧・電流波形復元部341を初段に有する。この電圧・電流波形復元部341は、周波数成分を時間成分に逆変換する機能を有する。
すなわち、A/D変換器91,92を介して入力された係数Amを式(7)〜式(12)で示したような計算でフーリエ係数akを算出したあと、フーリエ係数akから時間領域波形を演算することはディジタル的に容易に可能である。ここでのフーリエ係数akから時間領域波形の算出は極めて一般的な内容であるので、その詳細については省略する。
診断処理部34は、電圧・電流波形復元部341の他に、損失演算部342、温度演算部343、熱抵抗・熱容量計算部344および劣化診断部345を備えている。損失演算部342は、電圧・電流波形復元部341でディジタル的に復元された電圧・電流波形に基づいて損失演算を行う。損失演算の処理は、電圧波形と電流波形とを乗算し、ディジタル的な区間積分によって平均化する処理となる。
温度演算部343は、電圧・電流波形復元部341でディジタル的に復元された電圧・電流波形に基づいて温度演算を行う。温度演算の処理は、図4に示す波形図に基づいて温度を求める処理となる。
診断装置30では、デバイスのスイッチング波形の波形特徴量、具体的にはデバイスの過渡応答波形の遅延時間からデバイスの接合温度を推定する技術を用いている。図4に示したように、デバイスのスイッチング波形の遅延は、ゲート−エミッタ間電圧Vge(図4A)、コレクタ−エミッタ間電圧Vce(図4B)、コレクタ電流Ic(図4C)に現れる。図4A〜図4Cでは、スイッチング波形の波形特徴量である過渡応答波形の遅延時間に関して、スイッチング素子がターンオフする際の過渡応答波形を例示しているが、ターンオンする際の過渡応答波形についても同様である。
熱抵抗・熱容量計算部344は、損失演算部342の演算結果と、温度演算部343の演算結果とに基づいて、熱抵抗および熱容量を求める。先述したように、インバータ回路10の上アームおよび下アームは、モジュール化されており、パワーモジュールと呼ばれている。そして、パワーモジュールには、冷却フィンが取り付けられている。この冷却フィン付きのパワーモジュールにおいて、「熱抵抗」は、パワーモジュールから冷却フィンまでの間の熱の伝わり易さを数値化したものである。また、「熱容量」は、デバイスの温度を一定の温度だけ上昇させるのに必要な熱量のことである。
先述したように、環境温度とスイッチング素子の劣化との間には密接な関係がある。また、スイッチング素子のスイッチング波形は温度依存性を有し、スイッチング素子の接合温度が上昇すると、スイッチング素子のスイッチング波形が遅延する。そこで、診断装置30では、診断装置30における周波数分析器(電流)35および周波数分析器(電圧)36の解析結果を基に、スイッチング波形の遅延時間の計測が行われる。具体的には、図4A〜図4Cの接合温度T1[deg]と接合温度T2[deg]との関係からスイッチング波形の遅延時間を計測することができる。
このように、スイッチング波形の波形特徴量を分析することで、スイッチング素子の接合温度を推定できるため、その推定した接合温度を基に劣化診断を行うことができる。そして、劣化診断部345は、周波数分析器(電流)35および周波数分析器(電圧)36の解析結果に基づくスイッチング波形の遅延時間や、熱抵抗・熱容量計算部344が求めた熱抵抗および熱容量に基づいて、スイッチング素子11〜スイッチング素子16の劣化状態の診断(判断)を行う。
上述したように、診断処理部34では、ディジタル回路によるディジタル処理により、周波数分析器(電流)35および周波数分析器(電圧)36による分析結果を基に、パワーモジュールにおける熱抵抗および熱容量を求めることで、スイッチング素子11〜スイッチング素子16の劣化状態の診断が行われる。
なお、診断処理部34の各機能部(341〜345)については、マイクロコンピュータがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することにより、ソフトウェアで実現することができる。また、上記の各機能部(341〜345)については、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計することにより、ハードウェアで実現することもできる。
(ゲート駆動回路の構成)
ここで、スイッチング素子のゲート−エミッタ間電圧Vge、コレクタ−エミッタ間電圧Vce、コレクタ電流Icを検出する機能を有するゲート駆動回路の構成について説明する。このゲート駆動回路は、図3のゲート駆動回路(ドライバ)205,206に相当し、制御装置20(図1参照)の出力段に設けられている。ゲート駆動回路は、スイッチング素子11〜スイッチング素子16に共通である。したがって、以下では、図3に対応して1つのスイッチング素子16のゲート駆動回路について代表して説明する。
・ゲート−エミッタ間電圧検出機能を有するゲート駆動装置
図5は、スイッチング素子のゲート−エミッタ間電圧Vgeの検出機能を有するゲート駆動装置の構成を示すブロック図の例である。なお、ゲート駆動装置が有する、スイッチング素子のゲート−エミッタ間電圧Vgeの検出機能は、図3に示す電圧検知部31の機能である。
図5に示すように、ゲート−エミッタ間電圧検出機能を有するゲート駆動装置100Aは、ゲートドライバ101、ゲート抵抗102および差動電圧検出器103を有する構成となっている。ゲートドライバ101は、パルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)制御のためのゲート指令信号を、スイッチング素子16を駆動するゲート駆動信号(ゲート駆動用電圧)として出力する。ゲート指令信号は、通常、電力変換装置1の目標となる出力を実現するものである。
ゲートドライバ101から出力されたゲート駆動信号は、ゲート抵抗102を介してスイッチング素子16のゲート端子に印加される。差動電圧検出器103は、2つの入力端がスイッチング素子16のゲート端子とエミッタ端子との間に接続されており、スイッチング素子16の接合温度を検出するためのゲート−エミッタ間電圧Vgeを検出する。この検出されたゲート−エミッタ間電圧Vgeは、図3の周波数分析器(電圧)36に供給される。周波数分析器(電圧)36は、ゲート−エミッタ間電圧Vgeを用いてスイッチング波形の波形特徴量の分析を行う。このゲート−エミッタ間電圧Vgeに基づく解析結果は、診断装置30におけるスイッチング波形の遅延時間の計測に用いられる。
・コレクタ−エミッタ間電圧検出機能を有するゲート駆動装置
図6は、スイッチング素子のコレクタ−エミッタ間電圧Vceの検出機能を有するゲート駆動装置の構成を示すブロック図の例である。なお、ゲート駆動装置が有する、スイッチング素子のコレクタ−エミッタ間電圧Vceの検出機能は、図3に示す電圧検知部31の機能である。
図6に示すように、コレクタ−エミッタ間電圧検出機能を有するゲート駆動装置100Bは、図5のゲート駆動装置100Aと同様に、ゲートドライバ101、ゲート抵抗102および差動電圧検出器103を有する構成となっている。図5のゲート駆動装置100Aでは、差動電圧検出器103の2つの入力端がスイッチング素子16のゲート端子とエミッタ端子との間に接続されている。
これに対して、ゲート駆動装置100Bでは、差動電圧検出器103の2つの入力端がスイッチング素子16のコレクタ端子とエミッタ端子との間に接続されている。これにより、差動電圧検出器103は、スイッチング素子16の接合温度を検出するためのコレクタ−エミッタ間電圧Vceを検出する。この検出されたコレクタ−エミッタ間電圧Vceは、図3の周波数分析器(電圧)36に供給される。周波数分析器(電圧)36は、コレクタ−エミッタ間電圧Vceを用いてスイッチング波形の波形特徴量の分析を行う。このコレクタ−エミッタ間電圧Vceに基づく解析結果は、診断装置30におけるスイッチング波形の遅延時間の計測に用いられる。
・コレクタ電流検出機能を有するゲート駆動装置
図7は、スイッチング素子のコレクタ電流Icの検出機能を有するゲート駆動装置の構成を示すブロック図の例である。なお、ゲート駆動装置が有する、スイッチング素子のコレクタ電流Icの検出機能は、図3に示す電流検知部86の機能である。
図7に示すように、コレクタ電流検出機能を有するゲート駆動装置100Cは、ゲートドライバ101、ゲート抵抗102および電流検出器104を有する構成となっている。ゲートドライバ101およびゲート抵抗102の機能は、図5のゲート駆動装置100Aの場合と同じである。
電流検出器104は、スイッチング素子16に対して直列に接続されており、スイッチング素子16の接合温度を検出するためのコレクタ電流Icを検出する。この検出されたコレクタ電流Icは、図3の周波数分析器(電流)35に供給される。周波数分析器(電流)35は、コレクタ電流Icを用いてスイッチング波形の波形特徴量の分析を行う。このコレクタ電流Icに基づく解析結果は、診断装置30におけるスイッチング波形の遅延時間の計測に用いられる。
上述した図5のゲート駆動装置100A、図6のゲート駆動装置100B、図7のゲート駆動装置100Cは、アプリケーションに応じていずれか1つが、一つの電力変換装置に組み込まれる構成であってもよい。また、一つの電力変換装置にゲート−エミッタ間電圧検出、コレクタ−エミッタ間電圧検出およびコレクタ電流検出の各機能を複合したゲート駆動装置を備える構成であってもよい。
[実施例2]
図8は、実施例2に係る診断装置30の構成を示すブロック図の例である。図8に示すように、実施例2に係る診断装置30は、波形特徴量分析部(電流)32としての周波数分析器(電流)35、波形特徴量分析部(電圧)33としての周波数分析器(電圧)36および診断処理部34に加えて、温度センサ90を有する構成となっている。
冷却フィン付きパワーモジュールにおいて、温度センサ90は、冷却フィンまたはその近傍の温度(以下、「モジュール・フィン温度」と記述する)を計測することで、スイッチング素子11〜スイッチング素子16を含むパワーモジュールの温度を直接検出する。温度センサ90が検出したモジュール・フィン温度の計測情報は、スイッチング素子11〜スイッチング素子16の接合温度に対応する計測情報として、A/D変換器93でディジタル化されて診断処理部34に入力される。
診断処理部34において、A/D変換器93でディジタル化されて入力されたモジュール・フィン温度の計測情報は、熱抵抗・熱容量計算部344に入力される。熱抵抗・熱容量計算部344は、損失演算部342の演算結果と、温度演算部343の演算結果と、A/D変換器93でディジタル化されたモジュール・フィン温度の計測情報とに基づいて、熱抵抗および熱容量を求める。
上述した実施例2に係る診断装置30によれば、実施例1に係る診断装置30による診断に加えて、温度センサ90が検出したモジュール・フィン温度の計測情報を用いて劣化診断を行うようにしている。すなわち、スイッチング素子11〜スイッチング素子16の接合温度に対応するモジュール・フィン温度を温度センサ90で直接計測し、その計測結果を劣化診断に反映させるようにしているため、スイッチング素子11〜スイッチング素子16の劣化状態をより精度よく診断することができる。
[実施例3]
図9は、実施例3に係る診断装置30の構成を示すブロック図の例である。本実施例では、電流検知部86としてロゴスキコイルからなるセンサ(以下、「ロゴスキセンサ」と記述する)を用いている。ロゴスキセンサは、スイッチング素子16に流れる素子電流Iを検出し、微分波形信号dI/dtとして出力する。ロゴスキセンサの詳細については後述する。
実施例3に係る診断装置30は、実施例1,2の周波数分析器35,36に代えて、第1の積分回路37、第2の積分回路38および乗算回路39を有する構成となっている。第1の積分回路37は、入力抵抗371と、演算増幅器372と、演算増幅器372の反転(−)入力端と出力端との間に接続されたコンデンサ373と、コンデンサ373に並列に接続されたスイッチ374とから構成されている。
第2の積分回路38は、入力抵抗381と、演算増幅器382と、演算増幅器382の反転入力端と出力端との間に接続されたコンデンサ383と、コンデンサ383に並列に接続されたスイッチ384とから構成されている。第1の積分回路37のスイッチ374および第2の積分回路38のスイッチ384は、制御装置20(図1参照)から出力されるリセット信号に応じてオン/オフ動作を行うことによって積分期間を決める。乗算回路39は、入力トランジスタ391と、演算増幅器392と、演算増幅器392の反転入力端と出力端との間に接続された抵抗393とから構成されている。
電流検知部86で検出された微分波形信号dI/dtは、第1の積分回路37に入力される。第1の積分回路37は、微分波形信号dI/dtを積分することによってスイッチング素子16に流れる素子電流(コレクタ電流Ic)を再現する。この再現された素子電流は、第2の積分回路38に供給されるとともに、乗算回路39の入力トランジスタ391のゲート端子に与えられる。
第2の積分回路38は、素子電流(コレクタ電流Ic)をさらに積分し、素子電流の振幅情報として劣化状態分析部23のA/D変換器91に供給する。これは、スイッチング素子16の温度を推定するためである。より具体的な物理現象としては、コレクタ電流Icの積分値はスイッチング素子のチャネルの蓄積電荷量を表し、この物理量は温度に影響を受ける。このことから、素子電流の積分値からスイッチング素子16の温度を推定することができる。乗算回路39は、電圧検知部31が検知するスイッチング素子16の素子電圧と、第1の積分回路37で再現された素子電流とを乗算することによってスイッチング素子16の損失を算出し、劣化状態分析部23のA/D変換器92に供給する。
上述したように、実施例3に係る診断装置30では、電流検知部86で検出された微分波形信号dI/dtを、第1の積分回路37および第2の積分回路38による2回の積分によってスイッチング素子の温度状態を推定できる、スイッチング素子のチャネルの蓄積電荷量が検出される。また、乗算回路39によるスイッチング素子16の素子電流と素子電圧との乗算によってスイッチング素子の損失状態が検出される。そして、これらの検出結果を基に、診断処理部34において、スイッチング素子16の劣化状態について、高い信頼性の下に診断処理が行われることになる。
ここで、ロゴスキセンサの詳細について説明する。図10は、電流検知部86としてのロゴスキセンサ(ロゴスキコイルを用いるセンサ)を示す構成図の例である。ロゴスキセンサは、磁界の検出にコアを使用しないコアレス電流センサである。
図10に示すように、ロゴスキコイルを用いる電流検知部86は、一次導体861の周辺に空芯のコイル862を配した構成となっている。この電流検知部86では、一次導体861に流れる電流に対応した電圧がコイル862の両端に誘起する。この電圧(誘起起電力)としては、一次導体861に流れる電流の微分波形信号dI/dtとして端子863a,863b間に導出される。この端子863a,863b間に導出される微分波形信号dI/dtは、スイッチング素子に流れる素子電流に応じた情報として、図9の第1の積分回路37に供給される。
<変形例>
なお、本発明は、上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例を含む。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細したものであり、必ずしも全ての構成を備えるものに限定されるものではない。具体的には、例えば、負荷として三相交流電動機を例示したが、三相に限られるものではなく、三相以外の多相であっても同様の効果を得ることができる。さらに、電力変換装置は、多相のスイッチングデバイスを有する場合においても、ゲート指令信号を基準として信号の遅延時間の計測を実施することで、これまでに説明してきた実施例と同等の効果を得ることができる。さらに、負荷としての電動機は一例であって、電動機に限られるものではない。
また、実施例1および実施例2では、波形特徴量分析部(電流)62および波形特徴量分析部(電圧)63として、周波数分析器(電流)35および周波数分析器(電圧)36を用いるとしたが、周波数分析器に代えてウォルシュ(Walsh)分析器を用いるようにしてもよい。図11は、周波数分析器に代えてウォルシュ分析器を用いる場合の診断装置30の構成を示すブロック図の例である。ウォルシュ分析器を用いる場合は、図11に示すように、スイッチ353_0〜353_Nの前段に、図3(実施例1)の発振器351および乗算器352_1〜352_Nに代えて、ウォルシュ変換回路356を設けるようにすればよい。
1…電力変換装置、 10…インバータ回路、 11〜16…スイッチング素子、 20…制御装置、 30…診断装置、 31…、電圧検知部、 32,33…波形特徴量分析部(アナログ回路)、 34…診断処理部(ディジタル回路)、 35,36…周波数分析器、 37…第1の積分回路、 38…第2の積分回路、 39…乗算回路、 40…直流電圧源、 50…三相交流電動機、 81〜86…電流検知部、 90…温度センサ、 91,92,93…A/D変換器、 100A,100B,100C…ゲート駆動装置

Claims (7)

  1. 複数のスイッチング素子を含むブリッジ回路からなり、前記複数のスイッチング素子のスイッチング動作によって負荷を駆動するインバータ回路と、
    アナログ回路からなり、前記複数のスイッチング素子のスイッチング波形の波形特徴量を分析する波形特徴量分析部と、
    ディジタル回路からなり、前記波形特徴量分析部の分析結果に基づいて前記複数のスイッチング素子の劣化状態を診断する診断処理部と、
    を備えることを特徴とする電力変換装置。
  2. 前記スイッチング波形の波形特徴量は、前記複数のスイッチング素子の過渡応答波形の遅延時間である
    ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記波形特徴量分析部は、前記複数のスイッチング素子のスイッチング波形を周波数分析し、
    前記診断処理部は、前記スイッチング波形の周波数分析結果に基づいて前記複数のスイッチング素子の劣化状態を診断する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力変換装置。
  4. 前記波形特徴量分析部は、前記複数のスイッチング素子のスイッチング波形をフーリエ変換し、各次数成分の値を出力する
    ことを特徴とする請求項3に記載の電力変換装置。
  5. 前記診断処理部は、前記各次数成分の値をディジタル化し、そのディジタル値に基づいて前記複数のスイッチング素子の劣化状態を診断する
    ことを特徴とする請求項4に記載の電力変換装置。
  6. 前記インバータ回路がモジュール化されたパワーモジュールの温度を検出する温度センサを備えており、
    前記診断処理部は、前記温度センサの検出温度を前記劣化状態の診断に用いる
    ことを特徴とする請求項5に記載の電力変換装置。
  7. 前記複数のスイッチング素子の端子間にかかる電圧を検知する電圧検知部と、
    前記複数のスイッチング素子に流れる電流を微分波形信号として検知する電流検知部と、を備えており、
    前記波形特徴量分析部は、
    前記微分波形信号を積分して前記複数のスイッチング素子に流れる電流を再現する第1の積分回路と、
    前記第1の積分回路で再現された電流を積分することよって前記複数のスイッチング素子のチャネルの蓄積電荷量を検出する第2の積分回路と、
    前記第1の積分回路で再現された電流と前記電圧検知部によって検知された電圧とを乗算することによって前記複数のスイッチング素子の損失状態を検出する乗算回路と、を有しており、
    前記診断処理部は、前記複数のスイッチング素子のチャネルの蓄積電荷量と前記複数のスイッチング素子の損失状態とに基づいて、前記複数のスイッチング素子の劣化状態を診断する
    ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
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