JP2017123232A - ショートアーク型高圧放電ランプ - Google Patents

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【課題】水銀が封入された発光管内に陰極と陽極とが対向配置され、1kW以上のランプ電力で直流点灯されるショートアーク型高圧放電ランプにおいて、最冷点の温度を上げることなく、ハロゲンサイクルを促進して、高い照度維持率の長寿命のショートアーク型高圧放電ランプを提供する。【解決手段】発光管内に炭素と酸素とハロゲン元素とが封入され、酸素の発光管内の分圧が、常温において、0.01〜100Paの範囲であり、ハロゲンの発光管内の分圧が、常温において、0.01〜100Paの範囲である。【選択図】図1

Description

この発明は、水銀が封入されたショートアーク型高圧放電ランプに関するものであり、特に、露光装置に用いられるショートアーク型高圧放電ランプに係わるものである。
従来から、半導体産業においてフォトリソグラフィーの露光用光源として水銀が封入されたショートアーク型高圧放電ランプが多用されている。このような高圧放電ランプにも、当然のこととして、長寿命が要求されている。
一般に、放電ランプの寿命を決定する最も大きな要因としては、電極物質が蒸発して発光管に付着する黒化があげられる。点灯中に高温にさらされる電極を構成する物質が蒸発し、より温度の低いところに凝集することに起因する。
このような発光管の黒化を防止するために、特表2014−531116号公報(特許文献1)に示されているように、発光管内にハロゲンを封入して、いわゆるハロゲンサイクルによって動作時間中の黒化を低減することが知られている。
ハロゲンサイクルは、生成するハロゲン化合物の量、蒸気圧が温度により異なることを利用し、温度の高い電極周辺では蒸気圧の低いタングステン化合物を生成させ、蒸気圧を低く抑えることにより電極の損耗を低減し、逆に温度の低い管壁付近では、蒸気圧の高いタングステン化合物を生成させ、管壁に付着するタングステン化合物を蒸発させ、発光管の黒化を防止するという手法である。
このようなハロゲンサイクルを活用するには、ランプの内部の最も温度が低い点(最冷点)の温度を、約800℃以上にすることが必要であり、これ以下では、ハロゲンサイクルによる反応が有効に進行しないとされている。
ところで、1〜5kW程度のランプ電力で点灯させる中大型の高圧放電ランプにおいては、発光管の最冷点の温度が約700℃と低く、この温度領域でハロゲンサイクルを有効に促進することは、非常に困難であった。
最冷点の温度が低いままで、ハロゲンサイクルを利用しようとすると、ハロゲンを多量に封入する必要がある。例えばハロゲンとして臭素を導入しようとすると、最冷点では、蒸気圧の低いHgBr(臭化水銀)が形成され、これが凝集して、ハロゲンの分圧が低下してしまうためである。
ハロゲンの導入方法としては、C、Hを含んだCHBr(臭化メチル)、CHBr(臭化メチレン)などのハロゲン化物を使用することが知られている。
ハロゲンを多く封入しようとすれば、臭化メチルや臭化メチレンなどのハロゲン化物を多量に発光管内に封入しなければならなくなる。これらのハロゲン化物は水素を有するため、必然的に水素が多くなり、バルブの白濁やアーク不安定が問題となる。
一方で、ハロゲンサイクルを促進するために、発光管の最冷点の温度を上げることは、発光スペクトルの変化、発光管の耐圧などの問題から実用的ではない。
しかも、ランプの冷却条件の変更を伴い、露光装置への高圧放電ランプの実装上の面からも実用的でないという問題もある。
特表2014−531116号公報
この発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて、水銀が封入された発光管内に陰極と陽極とが対向配置され、1kW以上のランプ電力で直流点灯されるショートアーク型高圧放電ランプにおいて、最冷点の温度を上げることなく、ハロゲンサイクルを促進して、高い照度維持率の長寿命のショートアーク型高圧放電ランプを提供することである。
上記課題を解決するために、この発明では、発光管内に炭素と酸素とハロゲン元素とが封入され、前記酸素の発光管内の分圧が、常温において、0.01〜100Paの範囲であり、前記ハロゲンの発光管内の分圧が、常温において、0.01〜100Paの範囲であることを特徴とする。
また、前記ハロゲンとして臭素を封入し、前記酸素(O)と前記臭素(Br)とのモル比率が、O/Br=0.01〜10の範囲であることを特徴とする。
また、前記炭素は、炭化タングステン(WCまたはWC)として、電極表面に形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、ハロゲンサイクルが適正に機能することにより、タングステン付着によるバルブ内壁の黒化を防止することができる。
特に、封入物中に炭素が存在するので、この炭素が電極先端の高温部において酸素と反応しCO、COを生成するため、酸素ゲッター剤として働く。これより、酸素の分圧を減少させて、電極付近において、蒸気圧の高い酸化タングステンWO、または、二酸化タングステンWOの生成を抑制でき、発光管の黒化物質の生成を低減させることができる。
また、酸素濃度を所定の範囲にすることにより、発光管の内壁や、電極芯線と封止部の接触部などの温度の低い部分(低温部)では、蒸気圧の高いWOBrの生成を促しつつ、温度の高い電極付近では、蒸気圧の低い酸化タングステンWOまたは二酸化タングステンWOの生成を抑制し、ハロゲンサイクルを促進させることができる。
また、ハロゲンを所定の範囲とすることで、アークの不安定性を抑制しつつ、低温部でのWOBrの生成を促進することができる。
更に、酸素とハロゲンとのモル比率を所定の範囲にすることにより、前述したWOBrを生成する反応をさらに促進できる。
また、炭素の存在形態として、WCまたはWCとして電極に存在させることによって、酸化タングステンWOまたは二酸化タングステンWOの生成を抑制し、発光管の黒化物質の生成を更に低減させることができる。
本発明に係るショートアーク型高圧放電ランプの概略図。 本発明の高圧放電ランプ内のタングステン化合物の蒸気圧曲線図。 本発明と比較例の封入物比較表1。 本発明と比較例の照度維持率比較した表2。
図1は、本発明のショートアーク型高圧放電ランプ1を示したものである。
発光管2内に陰極3と陽極4とが対向配置されていて、陰極3は、材質がトリエ―テッドタングステンにより構成され、陽極4は、材質がタングステンにより構成される。そして、発光管2内には、放電ガスとして、水銀が、1mg/cc〜70mg/cc程度封入されるとともに、アルゴンやキセノンが、5×10Pa〜5×10Pa(0.5気圧〜5気圧)封入されている。
陰極3及び陽極4には、それぞれ電極芯線5、6が電気的に接続されていて、この電極芯線5、6は、封止部7、8を介して給電端子9、10に接続される。この両給電端子9、10に電圧を印加することにより、放電が開始し、高圧放電ランプは直流点灯する。
放電が開始すると、徐々に発光管内の温度が上昇し、それに伴い封入物も蒸発し、発光管の内圧も高圧となり、定常状態に達すると、所望の輝線スペクトルの発光が得られるようになる。
本発明の高圧放電ランプでは、発光管内への封入物としてハロゲンと酸素と炭素とが含まれている。
ここで、ハロゲンとして臭素(Br)を封入する場合を考えると、酸素は、低温領域で蒸気圧の高いWOBrガスを形成し、ハロゲンサイクルを有効に働かせる役割をもつ。
一方で、この酸素は炭素と一緒に存在させると、温度の低い領域において、CO、CO、CBrを形成し、酸素と臭素(Br)を消費してしまい、WOBrの生成を抑制する方向に作用することにより、ハロゲンサイクルを阻害する。
そこで、炭素の存在のもと、前記酸素の発光管内の分圧を、常温において、0.01〜100Paの範囲とする。
酸素が、0.01Paより少ないと、低温部において蒸気圧の高いWOBrが生成しにくくなり、ハロゲンサイクルが停滞する。
一方、100Paより多いと、酸素と炭素とが反応し、CO、CO2が生成されると同時に、過剰の酸素が、電極を構成するタングステンと反応してしまい、電極付近で蒸気圧の低い酸化タングステン(WO)または二酸化タングステン(WO)を生成するため、電極が損耗する。
また、ハロゲンの発光管内の分圧を、常温において、0.01〜100Paの範囲とする。
ハロゲンとして、例えば、臭素(Br)を採用した場合、この臭素(Br)が0.01Paより少ないと、低温部でのWOBrが生成されにくくなって、ハロゲンサイクルが停滞する。
一方、100Paよりも多いと、電気陰性度の高い臭素(Br)が放電プラズマ中の電子を捕獲することにより、電子密度が下がってしまい、アークの不安定を引き起こす。
本発明の高圧放電ランプにおいて、ハロゲンとして臭素(Br)を封入した場合、前記酸素(O)と臭素(Br)とのモル比率O/Brは、
O/Br=0.01〜10
の範囲である。
O/Br比が、0.01より少ないと、酸素(O)に対して臭素(Br)が過剰となり、過剰となった臭素(Br)が電極のタングステンと反応し、電極が損耗する。
また、O/Br比が、10より多いと酸素(O)が過剰となり、酸化水銀(HgO)を生成し、低温部に付着することで、水銀(Hg)の密度が低下し、水銀輝線の発光強度が減少する。
また、過剰の酸素とタングステンが反応し、酸化タングステン(WO)または二酸化タングステン(WO)が生成されて、電極が損耗する。
本発明の高圧放電ランプにおいては、炭素は、WCまたはWCとして電極に含まれる。炭素を電極に付着させ、予め熱処理を施し、WCまたはWCを形成させる方法により、炭素を導入してもよい。または、炭素を電極に付着させるとともに、電極内部に炭素を導入し、熱処理を施してもよい。ランプ点灯時に、電極が高温となり、この状態で電極にCが存在すると、電極付近でCOまたはCOを容易に生成できるためである。
この炭素は、酸素のモル数に対し、過剰に存在する。炭素のモル数が酸素のモル数より小さいと、炭素と反応できなかった過剰の酸素が、タングステンと反応し、酸化タングステン(WO)または二酸化タングステン(WO)が生成され、電極が損耗するからである。
図2は、高圧放電ランプ内のタングステン化合物の熱平衡状態における蒸気圧曲線の計算結果を示す図である。横軸に温度T(K)をとり、縦軸にタングステン化合物の蒸気圧P(Pa)の対数を表示している。
蒸気圧曲線A(実線)は、本発明にかかる封入組成の高圧放電ランプ(本発明のランプ)の蒸気圧の計算例である。
蒸気圧曲線B(点線)は、本発明の比較例であり、封入物として炭素を含まない点を除き、本発明にかかる高圧放電ランプの封入組成と同じ組成の高圧放電ランプ(比較例1)の蒸気圧の計算例である。
蒸気圧曲線C(一点鎖線)は、従来のハロゲンの入っていない高圧放電ランプ(比較例2)の場合である。
ここで、比較例1の蒸気圧曲線Bは、本発明のランプと比較のため、封入物としてハロゲンを含み、炭素は痕跡程度に含む、超高圧水銀ランプを模擬したものであり、仮想的なランプである。
また、従来のハロゲンの入っていない高圧放電ランプ(比較例2)は、例えば、フォトリソグラフィーに用いられる超高圧水銀ランプのように、ハロゲンを元々含まない高圧放電ランプを模擬している。
本発明のランプの蒸気圧曲線Aの計算は、Hgが1.4×10−5mol/cc、Oが1×10−8mol/cc、Brが1.3×10−7mol/cc、及び過剰の炭素が封入されているという条件で計算したものである。
比較例1の蒸気圧曲線Bの計算は、Hgが1.4×10−5mol/cc、Oが1×10−8mol/cc、Brが1.3×10−7mol/cc、及び炭素は痕跡程度(10−7Pa程度)が封入されているという条件で計算したものである。これは本発明ランプの炭素以外の封入組成に相当する。
また、比較例2の蒸気圧曲線Cの計算は、タングステンの蒸気圧である。
以上の関係を表したものが、図3の表1である。
図2において、横軸に垂直な線1〜3はそれぞれ、線1は、約3250K(≒3000℃)、線2は、約1250K(≒1000℃)、線3は、約950K(≒700℃)を示している。
線1が示す温度(約3000℃)は、高圧放電ランプの定常点灯中の陰極近傍の温度を代表している。
線3が示す温度(約700℃)は、本発明のランプ及び比較例ランプ1、2の定常点灯中の発光管の最冷点の温度、例えば、発光管の内壁や、電極芯線と封止部の接触部の温度(600℃〜800℃)を代表している。
線2が示す温度(約1000℃)は、本発明と比較例ランプ1との対比説明用であり、ハロゲンサイクルを起こさせるための管壁や封止部の温度を代表している。
なお、ここにおいて、線1の温度における蒸気圧曲線Aの蒸気圧すなわち、線1と蒸気圧曲線Aの交点をa1と表記し、他の交点もそれに準じて符号を付している。
まず、比較例1について説明する(蒸気圧曲線B)。
比較例1の定常点灯中のタングステン化合物の蒸気圧は、蒸気圧曲線Bで示される。この比較例1の電極付近の温度は、約3000℃であり、この電極付近の蒸気圧はb1であって、この蒸気圧b1は、主として、WOの分圧である。
一方で、比較例1の最冷点の温度は、約700℃である。この最冷点の蒸気圧は、b3であって、この蒸気圧b3は、主として、WOBrの分圧である。
両方の蒸気圧を比較すれば、b3≒b1である。これは、電極付近と最冷点のタングステン化合物の蒸気圧がほぼ等しいことを示している。
もし、最冷点の温度が700℃より低下すると、b3<b1となり、電極付近よりも最冷点のタングステン化合物の蒸気圧が低くなる。つまり、電極付近で生成したタングステン化合物は、蒸気圧の差により、電極付近から最冷点に向かって輸送される。
その結果、電極から蒸発したタングステンは、最冷点に輸送され、この最冷点に凝集し、電極付近には回生されず、ハロゲンサイクルは停滞する。
つまり、この条件では、比較例1は、発光管が黒化する。
また、もし、最冷点の温度が700℃より上昇すれば、b3>b1となり、電極付近よりも最冷点のタングステン化合物の蒸気圧が高くなる。電極付近で生成されたタングステン化合物は、蒸気圧の差により、最冷点から電極付近に向かって輸送されることにはなる。
しかし、このグラフの縦軸が対数であることに注意すれば、蒸気圧が高くなるといっても、せいぜい数倍以内であることから、このハロゲンサイクルによるタングステンの回生の効率は悪い。
発光管の最冷点の温度範囲が600℃〜800℃であることを考慮すれば、この温度範囲では、ハロゲンサイクルが働いたり、働かなかったり、あるいは、働いたとしても効率が悪く、ハロゲンサイクルの動作が不安定である。
仮に、比較例1の最冷点温度を約1000℃とした場合、最冷点での蒸気圧はb2であって、この蒸気圧b2は、主として、WOBrの分圧である。
一方、電極付近の温度は、約3000℃であり、電極付近の蒸気圧はb1である。
これら両方の蒸気圧を比較すれば、b2>b1である。これは、電極付近よりも最冷点のほうがタングステン化合物の蒸気圧が高いことを示している。しかし、前述のように、蒸気圧が高くなるといっても、10倍以内である。
つまり、電極付近で生成したタングステン化合物は、蒸気圧の差により、最冷点から電極付近に向かって輸送されることにはなるが、ハロゲンサイクルによる回生の効率は悪い。
であるからといって、発光管の最冷点の温度を上げることは、発光スペクトルの変化、発光管の耐圧などの問題から実用的ではない。
次に、比較例2について説明する。
この比較例2の定常点灯中のタングステン化合物の蒸気圧は、蒸気圧曲線Cで示される。
比較例2の電極付近の温度は、比較例1と変わらず、約3000℃であり、電極付近の蒸気圧はc1であって、この蒸気圧c1は、主として、タングステンの分圧である。
ここで、この蒸気圧c1と、後述する本発明の蒸気圧曲線Aにおける蒸気圧a1がほぼ同じ値になっているが、これは、高温においては、炭素が酸素と反応しCO、COを生成するため、蒸気圧の高い酸化タングステン(WO)の生成を抑制する結果、タングステンの蒸気圧が支配的になり、酸素の入っていない場合と同等の蒸気圧となるためと考えられる。
一方、比較例2の最冷点温度は、約700℃であり、最冷点での蒸気圧は低すぎて、図に示しきれていない。
つまり、電極から蒸発したタングステンは、最冷点に輸送され、電極付近に回生されず、発光管黒化の原因となる。
仮に、比較例2に、比較例1の封入仕様のハロゲンを封入した場合を考えてみる。
この場合、定常点灯中のタングステン化合物の蒸気圧は、蒸気圧曲線Bで示される。そのため、上述した比較例1におけるハロゲンサイクルと同様の挙動を示すことになり、ハロゲンサイクルは停滞し、発光管の黒化の原因となる。
つまり、比較例2、例えば、従来のフォトリソグラフィーの放電ランプに、従来組成のハロゲンを入れてみても、ハロゲンサイクルが良好に機能することにはならない。
次に、本発明のランプについて説明する。
定常点灯中のタングステン化合物の蒸気圧は、蒸気圧曲線Aで示される。
炭素が痕跡程度に封入された比較例1の蒸気圧曲線Bと比較して、全体的にタングステン化合物の蒸気圧が低いことがわかる。
本発明のランプの電極付近の温度は、比較例1及び比較例2と変わらず、約3000℃であり、電極付近の蒸気圧はa1である。
比較例1の項で説明したように、比較例1の蒸気圧曲線Bにおける約3000℃での蒸気圧b1は、主として、WOの分圧である。
一方、本発明では、炭素の導入により、電極付近でC+O→COまたはCOの反応が促進され、蒸気圧の低いWOの生成を抑えることができる。そのため、約3000℃での本発明の蒸気圧a1と比較例1の蒸気圧b1とを比較すると、a1<b1であり、電極からの蒸発自体が低いことがわかる。
図2の温度範囲の蒸気圧曲線Aは、3000℃〜3300℃程度の範囲でタングステン化合物の蒸発を抑えることが可能となることを示している。
なお、この蒸気圧a1は、主として、タングステンの分圧である。
本発明のランプの最冷点温度は、約700℃であり、最冷点での蒸気圧はa3であって、この蒸気圧a3は、主として、WOBrの分圧である。
両方の蒸気圧を比較すれば、a1<a3である。これは、電極付近よりも最冷点のほうがタングステン化合物の蒸気圧が高いことを示している。蒸気圧曲線の縦軸を考慮すれば、10〜101.5倍高いことがわかる。
つまり、最冷点にタングステン化合物が存在すると、蒸気圧の差により、最冷点から電極付近に向かって、タングステン化合物は輸送される。
結果として、電極から蒸発したタングステンは、最冷点から再び電極付近に回生されることになり、ハロゲンサイクルは有効に働く。
つまり、発光管の黒化を防止することができることになる。
本発明の効果を実証すべく、以下の仕様のランプによって寿命評価実験を行った。
(本発明ランプ)
図1に示すような、一般的なショートアーク型高圧放電ランプ内に、常温で、Hg=14μmol/cc、Ar=3atmを封入し、さらに、ハロゲンサイクルを活性化させるために、HgBrを0.1μmol/cc、O=35Pa封入した。
高圧放電ランプには、タンタル等のゲッター材が含まれることがあるが、ハロゲンとの反応が懸念されるため、これらは含めなかった。箔・電極の溶接バインダーとしてPtを使用している。
放電空間内には、製造上、完全に取り除くことが困難な、少量のHまたはHOが含まれる。
陰極には、エミッター材としてThOが含まれるトリエーテッドタングステンを使用した。陰極に、カーボンを塗布し、WC層を形成した。
(比較例1)
比較例1は、ハロゲン、カーボンを封入しない点を除き、本発明ランプと同じ構成のランプである。
(比較例2)
比較例2は、ハロゲンを封入し、カーボンを封入しない点を除き、本発明ランプと同じ構成のランプである。
上記各ランプを、4500Wで、3000時間点灯させた結果の照度維持率比較が図4の表2に示されていて、本発明ランプは、比較例1、2のいずれよりも照度維持率が向上していることが分かる。
以上のように、本発明によれば、発光管内に炭素と酸素とハロゲン元素とが封入され、酸素の発光管内の分圧を、常温において、0.01〜100Paの範囲とし、ハロゲンの発光管内の分圧を、常温において、0.01〜100Paの範囲としたことにより、発光管の最冷点での温度を上げることなく、当該最冷点での蒸気圧を電極近傍での蒸気圧よりも高くすることができ、これにより、電極から蒸発したタングステンが最冷点近傍に滞留することなく、再び電極付近に回生されて、ハロゲンサイクルが良好に機能し、発光管の最冷点で黒化を起こすことがないという効果を奏するものである。
1 ショートアーク型高圧放電ランプ
2 発光管
3 陰極
4 陽極
5 陰極芯線
6 陽極芯線
7 封止部
8 封止部
9 給電端子
10 給電端子


Claims (3)

  1. 水銀が封入された発光管内に陰極と陽極とが対向配置され、1kW以上のランプ電力で直流点灯されるショートアーク型高圧放電ランプにおいて、
    前記発光管内に炭素と酸素とハロゲン元素とが封入され、
    前記酸素の発光管内の分圧が、常温において、0.01〜100Paの範囲であり、
    前記ハロゲンの発光管内の分圧が、常温において、0.01〜100Paの範囲である
    ことを特徴とするショートアーク型高圧放電ランプ。
  2. 前記ハロゲンとして臭素を封入し、
    前記酸素(O)と前記臭素(Br)とのモル比率が、O/Br=0.01〜10の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のショートアーク型高圧放電ランプ。
  3. 前記炭素は、炭化タングステン(WCまたはWC)として、電極表面に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のショートアーク型高圧放電ランプ。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP7465450B2 (ja) 2020-09-07 2024-04-11 ウシオ電機株式会社 ショートアーク型放電ランプ及びその製造方法

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