JP2007179998A - メタルハライドランプ - Google Patents
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Abstract
【課題】 ランプ特性、寿命特性を良好に保つとともに、始動性を改善する。
【解決手段】
放電空間13を内部に形成する発光管部11、発光管部11の両端に形成された封止部121、122とを有する気密容器と、放電空間13に金属ハロゲン化物および希ガスが封入された本質的に水銀不含の放電媒体と、基端側は封止部121、122に封着され、先端側は放電空間13内で対向配置された一対の電極31、32と、気密容器1を囲繞する外管5とを具備し、気密容器1と外管5との間の空間には、少なくとも一種の希ガスを含む混合ガスが封入されており、混合ガス中の希ガスは20%以上を占めるとともに、混合ガスの熱伝導率は0.0580≦kMIX≦0.0845であることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】
放電空間13を内部に形成する発光管部11、発光管部11の両端に形成された封止部121、122とを有する気密容器と、放電空間13に金属ハロゲン化物および希ガスが封入された本質的に水銀不含の放電媒体と、基端側は封止部121、122に封着され、先端側は放電空間13内で対向配置された一対の電極31、32と、気密容器1を囲繞する外管5とを具備し、気密容器1と外管5との間の空間には、少なくとも一種の希ガスを含む混合ガスが封入されており、混合ガス中の希ガスは20%以上を占めるとともに、混合ガスの熱伝導率は0.0580≦kMIX≦0.0845であることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、自動車の前照灯やプロジェクター等に使用されるメタルハライドランプに関するものである。
従来技術として、両端のピンチシール部に挟まれた密閉ガラス球内に電極が対設され、主発光用金属ハロゲン化物および始動用希ガスが封入された、水銀を含まない放電ランプ装置用水銀フリーアークチューブであって、前記始動用希ガスの封入圧が8〜20気圧に設定されたことを特徴とする放電ランプ装置用水銀フリーアークチューブの発明がある。(例えば、特許文献1)
この発明のように、環境的配慮から使用を制限すべきである水銀を用いないメタルハライドランプでは、従来の水銀入りのメタルハライドランプの特性に近づけるために、キセノンなどの希ガスを比較的高い封入圧力で封入する必要がある。このため、ランプの始動時において、絶縁破壊のための放電開始電圧が高くなってしまい、ランプが始動しにくくなってしまうという課題が生じている。
この発明のように、環境的配慮から使用を制限すべきである水銀を用いないメタルハライドランプでは、従来の水銀入りのメタルハライドランプの特性に近づけるために、キセノンなどの希ガスを比較的高い封入圧力で封入する必要がある。このため、ランプの始動時において、絶縁破壊のための放電開始電圧が高くなってしまい、ランプが始動しにくくなってしまうという課題が生じている。
そこで、内管を外囲する外管とを備えたメタルハライド放電灯において、内管と外管の間の空間に、希ガス等を封入したメタルハライド放電灯の発明が提案されている。(例えば、特許文献2)この発明によれば、内管の放電開始電圧よりも低い放電開始電圧をもつガスを外管内に封入したため、始動時に誘電体バリア放電が発生し、これにより、放電開始電圧を下げることができると記載されている。また、特開2004−63158号公報(特許文献3)にも同様に、放電開始電圧を下げることができるという効果が記載されている。
しかしながら、放電開始電圧を低下させるために、内管と外管との間に単に希ガス等を封入した場合において、ランプが暗くなったり、寿命中にリークが発生したりする不具合が発生することがわかった。この原因について本発明者等が様々な検証を行なった結果、封入するガスによって発光管等の温度が大きく変化してしまうためであることがわかった。そこで、外管内に封入するガスを混合ガスとし、始動性を改善しつつ、ランプ特性や寿命特性を好適に保つことができる条件を見出したため、提案するに至った。
本発明は、上記のような課題に鑑みたもので、その目的はランプ特性、寿命特性を良好に保つとともに、始動性の優れたメタルハライドランプを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のメタルハライドランプは、放電空間を内部に形成する発光管部、該発光管部の両端に形成された封止部とを有する気密容器と、前記放電空間に金属ハロゲン化物および希ガスが封入された本質的に水銀不含の放電媒体と、基端側は前記封止部に封着され、先端側は前記放電空間内で対向配置された一対の電極と、前記気密容器を囲繞する外管とを具備し、前記気密容器と前記外管との間の空間には、少なくとも一種の希ガスを含む混合ガスが封入されており、前記混合ガス中の前記希ガスは20%以上を占めるとともに、前記混合ガスの熱伝導率は0.0578≦kMIX≦0.085であることを特徴とする。
本発明によれば、ランプ特性、寿命特性を良好に保つとともに、始動性を改善することができる。
(第1の実施の形態)
以下に、本発明の実施の形態の放電ランプについて図面を参照して説明する。図1は、本発明の放電ランプの第1の実施の形態について説明するための全体図である。
以下に、本発明の実施の形態の放電ランプについて図面を参照して説明する。図1は、本発明の放電ランプの第1の実施の形態について説明するための全体図である。
気密容器1は、放電ランプの点灯中の高温化でも十分耐えることができる耐火性と、発生した光が極力少ない損失で透過することができる透光性を具備した材料、例えば、石英ガラスからなり、細長形状をしている。気密容器1の管軸方向の略中央部には軸方向が長径である略楕円形の発光管部11が形成されている。発光管部11の両端部には同一材料で連続形成された、一対の平坦なピンチ面、厚み部分に相当する一対の側面とを有する板状の封止部121、122が形成されている。
発光管部11の内部には、軸方向の形状において、中央部は略円筒状で、その両端部はテーパ状の放電空間13が形成されている。この放電空間13の容積は、ショートアーク型の放電ランプでは100μl以下に設定されているが、特に自動車用として用途を指定する場合には、放電空間の内容積は10μl〜40μlであるのが望ましい。
放電空間13には、金属ハロゲン化物および希ガスとからなる放電媒体が封入される。金属ハロゲン化物としては、主に可視光を発生させる発光媒体として作用するナトリウム、スカンジウムのハロゲン化物、ランプ電圧形成媒体として作用する亜鉛のハロゲン化物が封入されている。また、点灯中の発光色度の改善などを目的としてインジウムのハロゲン化物がさらに封入されている。これらの金属に結合されるハロゲン化物には、ハロゲン化物の中で反応性が低いヨウ素を選択するのが最も好適であるが、結合されるハロゲン化物はヨウ素に限定されるものではなく、臭素、塩素、または複数のハロゲン化物を組み合わせて使用したりしてもよい。
希ガスとしては、始動直後の発光効率が高く、主に始動用ガスとして作用するキセノンが封入されている。なお、キセノンの圧力は常温(25℃)において5atm以上、さらに好適には10〜15atmであるのが望ましい。また、希ガスとしては、キセノンの他に、ネオン、アルゴン、クリプトンなどを使用したり、それらを組み合わせて使用したりしてもよい。
ここで、放電空間13には、本質的に水銀は含まれていない構成としている。この「本質的に水銀を含まない」とは、水銀を全く含まないか、または1mlあたり2mg未満、好ましくは1mg以下の水銀量が存在していても許容するものとする。この上記に規定した水銀量は、従来のショートアーク形の水銀入り放電ランプに封入されていた水銀量が1mlあたり20〜40mg、場合によっては50mg以上であったことを考えれば、本実施の形態の放電ランプで許容する2mg未満の水銀量は圧倒的に少ないため、本質的に水銀が含まれないと言えるだろう。
封止部121、122の内部には、例えばモリブデンからなる金属箔21、22が、その平坦面が封止部121、122のピンチ面と平行するように封止されている。
金属箔21、22の発光管部11側の端部には、タングステンを主体に酸化トリウムがドープされた材料からなる電極31、32が、レーザー溶接等によって接続されている。この電極31、32の形状は、先端側が基端側よりも大径に形成された段付き形状となっており、電極31、32の先端側は放電空間13内で所定の電極間距離を保って、互いの先端同士が対向するように配置されている。ここで、上記「所定の電極間距離」については、ショートアーク形ランプでは5mm以下、自動車の前照灯に使用する場合はさらに4.2mm程度であるのが望ましい。
また、発光管部11に対して反対側の金属箔21、22の端部には、モリブデンからなる外部リード線41、42の一端がレーザー溶接等によって接続されている。そして、外部リード線41、42の他端側は、封止部121、122の外部に延出している。
上記で構成された気密容器1の外側には、管軸に沿って気密容器1の大部分を覆うように筒状の外管5が設けられている。これらの接続は、外管5の両端部を気密容器1の両端部の外側端に溶着することによって行なわれている。なお、この外管5は、石英ガラスにチタン、セリウム、アルミニウム、カリウム、バリウム等の酸化物を少なくとも一種、または複数添加することにより、透光性かつ紫外線遮断性を有している。
気密容器1と外管5とにより密閉された空間51には、混合ガスが封入されている。混合ガスとしては、2種類以上の希ガスからなる場合と、希ガスと希ガス以外のガスからなる場合とがある。例えば、希ガスとしては、Ne、Ar、Kr、Xeを選択することができ、希ガスと希ガス以外のガスとしては、N2、O2、CO2を選択することができる。なお、空間51に封入されるこれらの混合ガスの封入圧は、圧力が低いほど始動性が良好となるため、0.7atm以下、さらには0.5atm以下であるのが望ましい。
気密容器1を内部に保持する外管5の封止部121側には、ソケット6が接続されている。この接続は、ソケット6側の外管5の外周に装着された金属バンド71を、ソケット6の発光管部11側に形成、延出された4本の金属製の舌片72(図1では、そのうちの2本を図示)により挟持し、さらにそれらの金属をレーザー溶接することによって行なわれている。また、ソケット6には、点灯回路からの電力を供給するための金属端子61がその外周面に沿って形成され、外部リード線42と一端が接続された給電端子81と接続されている。(図示していない)そして、管軸とほぼ平行な給電端子81の大部分には、絶縁確保や酸化防止のために、セラミック等からなる絶縁チューブ82が被覆されている。また、図示していないが、外部リード線41はソケット6の底部で金属製の端子と接続されている。
これらで構成された放電ランプは、安定時は約35W、始動時は光束の立ち上がりを早めるために安定時の約2倍の電力の約75Wで点灯される。
図2は、図1のメタルハライドランプの寸法、材料等の仕様について説明するための拡大図であり、以下の試験は特に言及しない限りこの仕様に基づいて行なっている。
放電容器1:石英ガラス製、放電空間13の容積=26μl、内径A=2.5mm、外径B=6.2mm、長手方向の最大長C=7.8mm、
放電媒体:ヨウ化ナトリウム=0.269mg、ヨウ化スカンジウム=0.146mg、ヨウ化亜鉛=0.085mg、臭化インジウム=0.0005mg、キセノン=11.8atm、水銀=0mg
電極31、32:酸化トリウムをドープしたタングステン材料、先端径=0.38mm、基端径=0.30mm、電極間距離D=4.4mm
空間51:希ガスを含む混合ガス、封入圧=0.5atm
図3は、ガスの種類およびその封入比を変えて、気密容器と外管との間の空間にガスを封入したときの放電開始電圧の時間的変化を説明するための図である。
放電媒体:ヨウ化ナトリウム=0.269mg、ヨウ化スカンジウム=0.146mg、ヨウ化亜鉛=0.085mg、臭化インジウム=0.0005mg、キセノン=11.8atm、水銀=0mg
電極31、32:酸化トリウムをドープしたタングステン材料、先端径=0.38mm、基端径=0.30mm、電極間距離D=4.4mm
空間51:希ガスを含む混合ガス、封入圧=0.5atm
図3は、ガスの種類およびその封入比を変えて、気密容器と外管との間の空間にガスを封入したときの放電開始電圧の時間的変化を説明するための図である。
図3の結果から、空間51にN2を100%封入したランプの場合、放電開始電圧は初期は低いが、200時間以降19kV弱まで上昇する。N2にArを混合し、Ar−N2=20%:80%としたランプの場合では17kV程度であり、希ガスを封入すれば寿命中も放電開始電圧を低く維持できることがわかる。また、Ar−Neの希ガスのみからなる混合ガスについて着目すると、混合ガス全体に対するArの封入比が100%、70%、40%のランプでは、放電開始電圧は何れも15kV程度であり、始動電圧にはほとんど差がなく、全体的に低い。このように空間51に希ガスを封入することで、放電開始電圧が下がった理由としては、空間51に封入した希ガスが、始動時にガラスを介して誘電体バリア放電を引き起こし、それがUVエンハンサー、もしくは補助電極の役割を果たし、電極31、32間の絶縁破壊を補助したためと考えられる。なお、Arが100%のランプでは、クラックにより外管からArガスが抜けてしまったため、寿命中に急激に放電開始電圧が悪化する結果となっている。
図4は、Neベースの混合ガスにおいて、Neの封入比を変化させたときの全光束について説明するための図である。ここで、実線はAr−Neからなる混合ガス、点線はKr−Neからなる混合ガスを示している。
結果から、Neベースの混合ガスにおいてNeの封入比率を変化させることにより、全光束が大きく変化することがわかる。詳細には、Neが0%(つまり、ArまたはKrが100%)のときに全光束が最も高く、Neが100%のときに全光束が最も低くなっている。そのときの全光束の差は200lm以上にもなっている。なお、図4によればAr−NeにおいてはNeの封入比が約60%、Kr−NeにおいてはNeの封入比が約70%を上回ると、全光束は大きく低下する傾向がある。
図5は、Neベースの混合ガスにおいて、Neの封入比を変化させたときの1500時間経過後のリーク発生率について説明するための図である。試験したランプは図4の場合と同じである。
結果から、Neの封入比が高くなるほど、リークの発生率が低下することが伺える。これは、金属箔が封止部から剥がれ、その部分から外部に向けてクラックが進行したことにより発生したものであると考察される。さらに図5によると、Ar−NeにおいてはNeの封入比が約20%、Kr−NeにおいてはNeの封入比が約40%を下回ると、特にリークの発生率が高くなることがわかる。
また、上記の試験のように、Ar−Ne、Kr−NeのランプNeの封入比を変えて、寿命中の光束維持率の変化についてEU120分モードの点灯消灯試験を行なったところ、Neの封入比が増すにつれて光束維持率が改善し、Neの封入比が減るにつれて光束維持率が悪化することがわかった。なお、この試験の結果、Ar−NeにおいてはNeの封入比が約20%、Kr−NeにおいてはNeの封入比が約40%を上回れば、高い光束維持率を達成できることが確認された。
以上のように、封入するガスの封入比によってランプ特性や寿命特性が変化したのは、空間51内の混合ガスの熱伝導率が大きく影響している。図6に、800℃におけるガスの熱伝導率を示しているが、Kr、Ar、Neとでは、それぞれ熱伝導率は大きく異なり、Kr、Arは熱伝導率が比較的低く、Neは比較的高い。すなわち、KrやArを封入すれば断熱作用が得られるため発光管部11や封止部121、122の温度は上昇し、Neを封入すれば熱がランプ外部に伝達されやすくなるため発光管部11等の温度は下降する。具体的に図2に示すX地点の金属箔21について、点灯中の温度を放射温度計によって測定してみると、Arが100%のときは、約770℃、Ar−Ne=30%:70%のときは約760℃、Ar−Ne=60%:40%のときは約750℃、Neが100%のときは約730℃であった。このように、空間51に封入されたガスの熱伝導率は、発光管部11等の温度を変化させ、種々の特性に影響を与える。
ここで、i種類のガスが混合されてなる混合ガスの熱伝導率kMIXは、外管5内の空間51の圧力が0.001atm〜10.0atmである場合においては、図6の各ガスの熱伝導率の値と下記の計算式とを用いて計算することができる。
図7は、この数式(1)を用いて計算した混合ガスの熱伝導率と全光束およびリーク発生率について説明するための図である。この結果は、Ar−Ne、Kr−Ne、Kr−Ar−Neを封入したランプで得られた結果を平均したものである。
結果から、混合ガスの熱伝導率kMIXがある範囲のとき、全光束およびリーク発生率を好適に保つことができることがわかる。この熱伝導率kMIXの範囲は、0.0580≦kMIX≦0.0845であった。
ここで、水銀を封入しないメタルハライドランプにおいては、この空間51に封入するガスの熱伝導率のベストモードは、大気または窒素の熱伝導率に近い熱伝導率であるのが望ましいことが実験的に確認された。すなわち、混合ガスの熱伝導率kMIXは、800℃において0.065W/m・K程度であるのが良い。そこで、本実施の形態では、大気または窒素の熱伝導率より、熱伝導率が高いNeと熱伝導率が低いAr等の希ガスを組み合わせ、熱伝導率を上記の好適な値に調節して混合ガスとすることで、始動性の改善とともに、ランプ特性や寿命特性を図ることができる。
したがって、本実施の形態では、気密容器1と外管5との間の空間51に、Ar−Ne等の熱伝導率の低い第1の希ガスと熱伝導率の高い第2の希ガスとからなる混合ガスを封入し、その混合ガスの熱伝導率kMIXを、0.0580≦kMIX≦0.0845とすることにより、全光束、光束維持率が良好で、リーク等が発生しにくい、すなわち、ランプ特性および寿命特性を良好にすることができるとともに、希ガスの封入量が多いため、始動性を顕著に改善することができる。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態の各部について、第1の実施の形態のメタルハライドランプの各部と同一部分は同一符号で示し、その説明を省略する。
第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態の各部について、第1の実施の形態のメタルハライドランプの各部と同一部分は同一符号で示し、その説明を省略する。
第2の実施の形態では、空間51内部に封入する混合ガスが、熱伝導率が比較的低い希ガスと、熱伝導率が比較的高い希ガス以外のガスとで構成されている。ここで、「比較的」とは「大気や窒素の熱伝導率と比較して」という意味であり、「熱伝導率が比較的低い希ガス」としては、例えば、Ar、Kr、Xe、「熱伝導率が比較的高い希ガス以外のガス」としては、例えば、N2、O2、CO2が挙げられる。
図8は、希ガスと希ガス以外のガスとで構成された混合ガスにおいて、希ガスの封入量を変化させたときの放電開始電圧を示す図である。ここで、図中の放電開始電圧は、約200時間点灯したときの電圧値を示している。
図8より、Ar−N2の混合ガスにおいて、Arの封入比を高くするほど放電開始電圧が低下していることがわかる。つまり、全体に対する希ガスの封入比を高くすることにより、始動性が改善される。これは3種類以上のガスを混合した場合にも同様である。ここで、自動車用の放電ランプでは、ランプのソケット等の耐電圧は20〜22kV程度であるため、それ以上の電圧をランプに印加しても、電極間で絶縁破壊が発生しないで他の部分に電圧が漏れて点灯しなくなることがある。このような現象を抑制するために、ランプの放電開始電圧は18〜19kV以下であることが望まれる。したがって、空間51に封入される混合ガス中の希ガスの封入量は、20%以上であることが好適である。
ここで、本実施の形態は、空間51内に封入する混合ガスを、熱伝導率が比較的低い希ガスによって始動性を改善し、熱伝導率が比較的高い希ガス以外のガスによって熱伝導率を調節する構成としているため、長時間この混合ガスの封入比等が変化しにくいという効果を得ることができる。つまり、空間51内に原子番号が小さい希ガスを封入した場合、外管5を透過して外部に抜けやすいという性質があるが、本実施の形態ではガスの外管5外への透過が発生しにくい組み合わせとなっている。
例えば、熱伝導率が比較的高いHeやNeと、熱伝導率が低いガスとで混合ガスの熱伝導率を好適にした場合、点灯初期は好適な熱伝導率が保たれるが、HeやNeは外管5の外部に抜けやすいため、寿命中に混合ガスの封入比が変化してしまう。寿命中に混合ガスの封入比が変化すれば、放電開始電圧の増加や発光管部11等の温度上昇をもたらしてしまう。これに対し、Ar、Kr、Xeを始動性改善のために封入し、N2、O2、CO2を熱伝導率の調節のために組み合わせて混合ガスを構成すれば、両方とも外管5外に透過しにくいガスであるため、寿命中の封入比の変化等を抑制することができる。
したがって、本実施の形態では、気密容器1と外管5との間の空間51に、Ar−N2等の熱伝導率の低い希ガスと熱伝導率の高い希ガス以外のガスからなる混合ガスを封入し、その混合ガスの熱伝導率kMIXを、0.0580≦kMIX≦0.0845とすることにより、全光束、光束維持率が良好で、リーク等が発生しにくい、すなわち、ランプ特性および寿命特性を良好にすることができるとともに、始動性を改善することができる。また、本実施の形態は、外管5外に透過しにくいガスの組み合わせであるため、それらの効果を長時間維持することができる。
なお、実施の形態は上記に限られるわけではなく、例えば次のように変更してもよい。
本発明は、発光管部11および外管5とが石英ガラスからなるメタルハライドランプのみに限られず、それらが多結晶アルミナ等、セラミックからなるメタルハライドランプに採用されても良い。セラミック部材からなる場合、セラミックは石英ガラスと比較して、封入したガスが外部に透過しにくい特性があるため、ガス抜け等による寿命中の内部雰囲気の変化が少なくなり、さらに有利な構成とすることができる。
1 気密容器
11 発光管部
121、122 封止部
13 放電空間
21、22 金属箔
31、32 電極
41、42 外部リード線
5 外管
51 空間
6 ソケット
71 金属バンド
72 舌片
81 給電端子
82 絶縁チューブ
11 発光管部
121、122 封止部
13 放電空間
21、22 金属箔
31、32 電極
41、42 外部リード線
5 外管
51 空間
6 ソケット
71 金属バンド
72 舌片
81 給電端子
82 絶縁チューブ
Claims (5)
- 放電空間を内部に形成する発光管部、該発光管部の両端に形成された封止部とを有する気密容器と、
前記放電空間に金属ハロゲン化物および希ガスが封入された本質的に水銀不含の放電媒体と、
基端側は前記封止部に封着され、先端側は前記放電空間内で対向配置された一対の電極と、
前記気密容器を囲繞する外管とを具備し、
前記気密容器と前記外管との間の空間には、少なくとも一種の希ガスを含む混合ガスが封入されており、前記混合ガス中の前記希ガスは20%以上を占めるとともに、前記混合ガスの熱伝導率は0.0580≦kMIX≦0.0845であることを特徴とするメタルハライドランプ。 - 前記混合ガスは、その大部分が2種類以上の希ガスからなることを特徴とする請求項1に記載のメタルハライドランプ。
- 前記混合ガスは、Ar、Kr、Xeから選択された一または複数の希ガスからなる第1の希ガスとNeからなる第2の希ガスとからなることを特徴とする請求項2に記載のメタルハライドランプ。
- 前記混合ガスは、熱伝導率が比較的低い希ガスと、熱伝導率が比較的高い希ガス以外のガスとからなることを特徴とする請求項1に記載のメタルハライドランプ。
- 前記混合ガスは、Ar、Kr、Xeから選択された一または複数の希ガスと、N2、O2、CO2から選択された一または複数のガスからなることを特徴とする請求項4に記載のメタルハライドランプ。
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Cited By (2)
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WO2009101743A1 (ja) | 2008-02-14 | 2009-08-20 | Harison Toshiba Lighting Corp. | 自動車用放電ランプ |
JP2016181358A (ja) * | 2015-03-23 | 2016-10-13 | 東芝ライテック株式会社 | 放電ランプ |
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- 2006-02-06 JP JP2006028378A patent/JP2007179998A/ja active Pending
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