JP2007042621A - メタルハライドランプおよびこれを用いた照明装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電極材料に電子放出物質を使用した水銀を封入しないメタルハライ
ドランプにおいて、少量の電子放出物質でも、ちらつきの発生を長時間抑制す
る。
【解決手段】本発明のメタルハライドランプは、放電空間13を形成する発光
管部11、発光管部11の両端に形成された封止部121、122とを有する透光性の気密容器1と、放電空間13に金属ハロゲン化物および希ガスが封入された本質的に水銀不含の放電媒体と、基端側は封止部121、122内で封着され、先端側は放電空間13内で対向配置された一対の電極31、32を具備している。この電極31、32は、酸化トリウムを含むタングステン電極であるとともに、点灯中にアークが形成される位置に第1の突起311、321が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車の前照灯等に使用されるメタルハライドランプおよびこれを用いた照明装置に関するものである。
水銀を封入しないメタルハライドランプは、特開2005-142072号公報(以下、特許文献1という。) に開示され、知られている。このランプは、0.1cc以下の放電空間とその両端に封止部を有する気密容器を備えている。このランプには、略円柱状の先端部、この先端部に形成された略円柱状の軸部とを有し、先端部の直径R(mm)が0.30≦R≦0.40、軸部の直径r(mm)が0.25≦r≦0.30、かつR>rの関係を満たし、さらに前記気密容器の放電空間に5mm以下の電極間距離で先端部が対向するように封止部に封装された一対の電極が備えられている。前記気密容器の放電空間には、また、金属ハロゲン化物および希ガスを含み、かつ本質的に水銀を含まない放電媒体が封入されている。そしてこのランプは、管壁負荷が60(W/cm2)以上で点灯される。このような水銀を用いないメタルハライドランプでは、ちらつきの課題があることが知られている。
このちらつきの問題に関しては、電極に酸化トリウム等の電子放出物質を含むことにより抑制できることが特開2002-110091号公報(以下、特許文献2という。) に記載されている。特許文献2には、水銀入りの高圧放電ランプに酸化トリウム等の電子放出物質をドープした電極を採用したことが開示されている。
特開2005-142072号公報 特開2002-110091号公報
水銀を封入しないメタルハライドランプにおいても、同様の電極を採用すればちらつきに対して有効であることが推測される。しかし、水銀を封入しないメタルハライドランプでは、酸化トリウムを電極にドープしても、長時間ちらつきを抑制することは困難であることがわかった。これは、水銀を封入しないランプは、点灯時の電極温度が高くなるため、酸化トリウムの消失が早くなり、これによって、ランプの長期間にわたる使用中、酸化トリウムがうまく供給されなくなるためであると考えられる。そこで、含有量を増やして長時間酸化トリウムをスムーズに供給できるようにすることが考えられるが、酸化トリウムの量を増やすと発光管内に白濁が発生しやすくなってしまい、光束の低下等の問題が発生してしまう。
上記課題に鑑み、本発明者等が試験を行った結果、酸化トリウムを含むとともに、アークが形成される部分に突起を形成した電極を用いた場合、酸化トリウムの含有量が少なくても長時間アークの位置が安定し、ちらつき防止効果が得られることがわかった。
本発明の目的は、電極材料に電子放出物質を含有する水銀を封入しないメタルハライドランプにおいて、少量の電子放出物質でも、ちらつきの発生を長時間抑制することが可能なメタルハライドランプを提供することにある。
本発明のメタルハライドランプは、放電空間を形成する発光管部、該発光管部の両端に形成された封止部とを有する透光性の気密容器と、前記放電空間に封入された金属ハロゲン化物および希ガスからなり、本質的に水銀不含の放電媒体と、基端側は前記封止部内で封着され、先端側は前記放電空間内で対向配置された一対の電極とを具備するメタルハライドランプにおいて、
前記一対の電極は電子放出物質を含むタングステンからなる電極であり、これらの電極の少なくとも一方には、その先端部の点灯中にアークが形成される位置に第1の突起が形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明の照明装置は、照明装置本体と、この照明装置本体内に配置された前記のメタルハライドランプと、前記メタルハライドランプに電気的に接続された点灯回路とを具備したことを特徴とするものである。
かかる本発明によれば、電極材料に電子放出物質を含有する水銀を封入しないメタルハライドランプにおいて、少量の電子放出物質でも、ちらつきの発生を長時間抑制することができる。
(第1の実施の形態)
以下に、本発明の実施の形態に係るメタルハライドランプについて図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態であるメタルハライドランプの全体構成を示す側面図である。
気密容器1は、放電ランプの点灯中の高温化でも十分耐えることができる耐火性と、発生した光が極力少ない損失で透過することができる透光性を具備した材料、例えば、石英ガラスにより形成される。気密容器1の管軸方向の略中央部には軸方向の形状が略楕円形の発光管部11が形成され、その両端部には板状の封止部121、122が形成されている。発光管部11の内部には、軸方向の形状において、中央部が略円筒状で両端部がテーパ状の放電空間13が形成されている。この放電空間13の容積は、ショートアーク型の放電ランプでは0.1cc以下、特に自動車用として用途を指定する場合には、放電空間の内容積は0.0lcc〜0.04ccであるのが望ましい。
放電空間13には、放電媒体として、金属ハロゲン化物および希ガスとが封入されている。金属ハロゲン化物としては、主に可視光を発生させる発光媒体として作用するナトリウム、スカンジウムのハロゲン化物、水銀に代わるランプ電圧形成媒体として作用する亜鉛のハロゲン化物、点灯中の発光色度の改善などを目的としてインジウムのハロゲン化物が封入されている。さらに、目的にあわせてヨウ化セシウム、ヨウ化スズなども封入することができる。なお、これらの金属に結合されるハロゲン化物には、ハロゲン化物の中で反応性が低いヨウ素と結合されるのが最も好適である。しかし、結合されるハロゲン化物はヨウ素に限らず、臭素や塩素などを使用したり、複数のハロゲン化物を組み合わせて使用したりしてもよい。
希ガスとしては、始動直後の発光効率が高く、主に始動用ガスとして作用するキセノンが封入されている。このキセノンの圧力は、10〜13atmであるのが望ましい。また、希ガスとしては、キセノンが最も望ましいが、ネオン、アルゴン、クリプトンなどを使用したり、それらを組み合わせて使用したりしてもよい。
ここで、放電空間13には、本質的に水銀は含まれていない。この「本質的に水銀を含まない」とは、水銀を全く含まないか、または1ccあたり2mg未満、好ましくは1mg以下の水銀量が存在していても許容するという意味である。この量は、従来のショートアーク形の水銀入りメタルハライドランプに封入されていた1ccあたり20〜40mg、場合によっては50mg以上であったことと比較すれば、本実施の形態のメタルハライドランプで許容する2mg未満の水銀量は圧倒的に少なく、本質的に水銀が含まれないと言える。
封止部121、122の内部には、例えばモリブデンからなる金属箔21、22が、その平坦面が封止部121、122の平坦面と平行するように封止されている。金属箔21、22の一端には、先端側が基端側よりも大径に形成された段付きの電極31、32が溶接によって接続されている。電極31、32は、タングステンを主体に0.1重量%以上、1.2重量%以下の酸化トリウムをドープしたトリエーテッドタングステンからなる。なお、電極31、32に混合する電子放出物質としては、酸化トリウムの他、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化イットリウム等が挙げられる。しかし、点灯中に温度が高くなる本発明においては、高温下でも使用できる酸化トリウムが最も望ましい。
また、電極31、32の先端部のアークが形成される位置には、図2−A、図2−Bに示すように第1の突起311、321が形成されている。この「アークが形成される位置」は、ほぼ電極間距離で決定される。例えば、プロジェクタ用のメタルハライドランプの場合のように、2.0mm程度と比較的短ければ、電極31、32の先端面内の略中央であり、自動車用のメタルハライドランプの場合のように、3.0mm以上になれば電極31、32の先端面内の上部に形成すればよい。これは、アークは電極間距離が短いほど、浮力や放電媒体の対流の影響を受けにくく、長いほど影響を受けやすいためである。本発明の実施の形態では、電極間距離は3.0mm以上と想定し、第1の突起311、321は、電極31、32の先端面内上端部に形成されている。
なお、電極間距離は、放電空間13内の実際の距離で5mm以下であるのが望ましく、好ましくは3.5mm〜5.0mmであるのが望ましい。なお、本実施の形態では、電極31、32のうち、突起311、321部分が最も先端部に位置するので、突起311、321間を電極間距離としている。
この第1の実施の形態における突起311、321の大きさXは、電極31、32の先端部の直径Yに対して、20%以下であるのが望ましい。これは、20%よりも大きい場合、突起の温度が上がりにくくなり、後述するちらつき抑制の面で望ましくないからである。
この突起付きの電極の形成方法としては、例えば、電極と突起それぞれを別々に形成したのちに一つに結合したり、径の大きな電極を切削加工したりすることによって、形成することができる。電極と突起それぞれを別々に形成する場合、両者は実質的に同一の電極材料により形成される。
金属箔21、22の他端には、モリブデンからなる外部リード線41、42の一端が溶接等により接続されている。外部リード線41、42の他端側は、封止部121、122の外部に延出している。
これらを備えた気密容器1の外側には、筒状の外管5が、管軸に沿って気密容器1の大部分を覆うように設けられている。筒状の外管5は、石英ガラスにチタン、セリウム、アルミニウム、カリウム、バリウム等の酸化物を少なくとも一種、または複数添加することにより、透光性かつ紫外線遮断性を有するように形成されている。この外管5は、外管5の両端部は、封止部121、122よりもさらに端部側に形成されている部分を溶着することによって閉じられている。
ここで、気密容器1と外管5とにより密閉された空間には、例えば、窒素やアルゴン等の不活性ガスを封入したり、真空雰囲気としたりすることができる。
このように構成にすることにより、結果として空間に水分を含みにくくすることができる。また、アルゴンを封入した場合には、窒素に比べて空問内の熱伝導率が低くなり、これにより発光管部11の温度を高く保てるため、発光効率を向上させることができる。
気密容器1を内部に覆った状態の外管5の封止部121側には、ソケット6が接続される。この接続については、外管5の外側に装着された金属バンド71を、ソケット6に形成、延出された4本の金属製の舌片72により挟持することによって行なわれている。なお、ソケット6の底部には、点灯回路からの電力を供給するための金属端子61が形成されており、封止部121の外部方向に延出した外部リード線41と接続されている。また、ソケット6の外周面には金属端子62が形成されており、給電端子81を介して、封止部122の外部方向に延出した外部リード線42と接続されている。なお、管軸とほぼ平行な給電端子81の大部分には、セラミック等からなる絶縁チューブ82が被覆されている。
これのように構成されたメタルハライドランプは、水平に配置され、安定時は約35W、始動時は光束の立ち上がりを早めるために安定時の約2倍の電力の約75Wで点灯される。
図3は、図1のメタルハライドランプの具体的な構成について説明するための拡大図であり、以下に具体的な構成を示す。
放電容器1:石英ガラス製、放電空間13の容積=0.027cc、内径A=2.6mm、外径B=6.3mm、長手方向の球体長C=7.8mm、
金属ハロゲン化物=NaI=0.36mg、ScI3=0.22mg、ZnI2=0.06mg、InBr=0.002mg
希ガス:キセノン=11atm、
水銀:0mg、
金属箔21、22:モリブデン製、
電極31、32:トリエーテッドタングステン製、先端径=0.38mm、
基端径=0.30mm、電極間距離D=3.7mm、
図4は、図3のランプ仕様において、電極先端面上端部に突起を形成したときの寿命期間中のちらつきによる良品率を示す図である。比較例として、一対の電極のうち一方の電極先端面の上部に突起を形成したもの、両方の電極先端面の上部に突起を形成したもの、突起を形成しないものについて試験を行なっている。試験は、日本電球工業会に定められている自動車前照灯用メタルハライドランプの寿命試験条件であるEU120分モードの点滅試験を行なった。良品か否かは図5−A、図5−Bに示すように、光量が不安定になったときを不良品と判断している。なお、試験を行なった全ランプの酸化トリウムの含有量は、0.5重量%である。
この結果から明らかなように、突起が形成されていない場合よりも突起を形成したランプのほうが、長時間ちらつきの発生を抑制しているのがわかる。また、ちらつきの抑制能力は、両電極に突起を形成したほうが高い。
この理由を次のように推測する。まず点灯初期は、酸化トリウムをドープしているという共通の構造から、ちらつきの発生が抑制されている。しかし、突起のない電極においては、500時間以降に良品率が低下している。この原因には酸化トリウムの消失によって、電子放出能力が低下したということが関係していると考えられる。
これを詳細に説明する。自動車の前照灯等に使用されるメタルハライドランプでは、定格電力に対して2倍程度の電力(約75W)が供給される始動時から、定格電力(約35W)が供給される安定時になると、電極の先端部にアークの起点、いわゆるアークスポットが形成される。そのとき、突起のない比較例の電極では、アークスポットが形成される電極部分の体積(熱容量)が大きいため、点灯中に当該部分の温度が上がりにくい。つまり、アークスポットが形成される電極部分と他の電極部分との温度差が小さくなり、比較例のように酸化トリウムの含有量が1.0重量%に満たない場合には、点灯初期はアークスポットの位置が安定していても、寿命中に当該部分の酸化トリウムが消耗するとアークスポットが移動しやすく、ちらつきが発生してしまう。
これに対して、本実施の形態のような突起付きの電極では、アークスポットが電極の先端の突起部に形成される。この突起部は、電極の直径に比べて小径であるため、点灯中に温度が高く維持され、アークスポットが形成される突起部分と他の電極部分との温度差が大きくなる。そのため、酸化トリウムの含有量が1.0重量%に満たない場合でも、アークスポットの位置は長時間にわたって安定し、寿命中にちらつくことを防止できる。
また、酸化トリウムには、温度差が大きいほど拡散しやすい傾向がある。ここで、酸化トリウムをドープした電極は、電極全体に酸化トリウムが散在している状態である。そして、酸化トリウムは点灯によってアークスポット形成位置付近で消失するが、酸化トリウムが拡散しやすければ、当該位置付近での酸化トリウムの枯渇が抑制され、ちらつきに対して有利になる。つまり、突起付きの電極では、アークスポットが形成される突起部分と他の電極部分との温度差が大きいため、点灯中に突起部分で酸化トリウムが消失しても他の部分から酸化トリウムが供給され、したがって、酸化トリウムのドープ量が少なくても長時間ちらつきを抑制できる。
また、突起を電極の上部に形成したランプでは、突起を形成していないランプと比較して、始動電圧が低下し、ランプの始動性が改善されるという効果も得ることができた。具体的には、突起のない電極のランプでは、始動するために必要な電圧が平均16.8kVであったが、一方の電極の上部に突起を形成したランプでは、15.3kV、両方の電極の上部に突起を形成したランプでは14.9kVであった。これは、電圧を印加した際、上部の突起311、321に電界が集中し、放電空間13内の絶縁破壊が起こりやすくなり、始動電圧が低下したものと考えられる。
次に、酸化トリウムの含有量による特性の変化について説明する。図6−A、図6−Bは、酸化トリウムの含有量による寿命期間中の照度維持率の変化を説明するための図である。試験は、図4と同様にEU120分モードの点滅試験である。照度の測定は、発光管部11の上部かつ略中心部の照度を、直径1mmのスリットを介して、照度計によって測定した。
この試験では、発光管部11の上部にどの程度、黒化や白濁が発生し、それにより透過率がどの程度低下したかがわかる。結果から、酸化トリウムを含むランプでは、全てのランプにおいて500時間以降の照度維持率が低下しているが、特に酸化トリウムの含有量が多くなるほど低下傾向は大きい。これは、点灯中に電極中の酸化トリウムがトリウムと酸素に分解されて放出され、放電媒体中のヨウ化スカンジウムとともにガラスと反応し、白濁するためである。そして、さらに酸化トリウムの含有量が多いほど照度維持率の低下が大きいのは、白濁の原因となるトリウムと酸素が過剰に発生しやすくなるためと考えられる。したがって、酸化トリウムの含有量は、比較的、照度維持率の低下が少なく、かつちらつきを長時間抑制できる0.1重量%〜1.2重量%以下であるのが望ましい。
したがって、本実施の形態では、電極材料に電子放出物質を使用した水銀を封入しないメタルハライドランプにおいて、少量の電子放出物質でも、突起311、321を形成したことで、長時間ちらつきの発生を抑制することができる。また、突起311、321によって、始動電圧が下がるので、電極31、32や点灯回路への負担が低減できる。
さらに、酸化トリウムの使用量を低減できるので、白濁の発生を極力抑えることができ、光束維持率や照度維持率を良好に保てるとともに、環境問題にも貢献できる。
(第2の実施の形態)
図7は、本発明の第2の実施形態に係る電極について説明するための拡大図である。この第2の実施形態の各部について、図1のメタルハライドランプの各部と同一部分は同一符号で示し、その説明を省略する。この第2の実施の形態では、電極31(32)の先端部上方に切欠き部が形成された結果、先端面内において上方に先鋭な突起311(321)が形成されている。すなわち、電極31(32)の先端部において、点灯中にアークが形成される位置に電極31(32)の直径に対して比較的小さい第1の突起311(321)が形成されている。このような突起であっても、第1の実施の形態と同様の作用効果が得られる。
この実施の形態における第1の突起311(321)は、点灯回路によって75W以上の比較的高い電力でエージングすることにより形成したものである。このように形成する突起311の寸法は0.01mm〜0.1mmであるのが望ましい。この突起の大きさは投入電力、投入時間等のエージング条件により変化させることができる。また、電極3.1、32の先端面よりも突出する突起や、先端部よりも突出しない突起を形成することもできる。
したがって、本実施の形態でも、第1の実施形態のメタルハライドランプと同様の効果を得ることができる。
(第3の実施の形態)
図8−A、図8−Bは、本発明の第3の実施の形態に係る電極について説明するための拡大図である。この第3の実施の形態の各部について、図1のメタルハライドランプの各部と同一部分は同一符号で示し、その説明を省略する。この第3の実施の形態では、第1の実施の形態において電極31、(32)の上部に形成した第1の突起311、(321)の他に、さらに第2の突起312、(322)を下部に形成している。
図9は、図3のランプ仕様において、電極上下部に突起を形成したときの寿命期間中のちらつきによる良品率を示す図である。比較として、一対の電極のうち一方の電極の上下部に突起を形成したもの、両方の電極の上下部に突起を形成したもの、突起を形成しないものについて試験を行なっている。その他、試験場検討は、図4のときと同様である。
電極の上下部に突起を形成した場合、上部のみに突起を形成した図4の結果と同様に長時間ちらつきを抑制できるという結果が得られている。
なお、突起を電極の上下に形成したランプでは、始動電圧が低下し、ランプの始動性が改善されていることが確認された。具体的には、一方の電極の上下部に突起を形成したランプでは、13.9kV、両方の電極の上下部に突起を形成したランプでは13.4kVであり、突起のない電極のランプでの16.8kVと比較して大きく改善されている。これは、下部の突起312、322によって沿面放電が発生し、そのときに放電空間13の下部に堆積している放電媒体を介して放電が発生するため、さらに始動電圧が低下したと考えられる。
したがって、本実施の形態では、第1の実施の形態のメタルハライドランプと同様の効果が得られ、しかも第1の実施の形態よりも高い効果を得ることができる。
(第4の実施の形態)
図10は、本発明の第3の実施の形態に係る照明装置を説明するための図である。
本実施の形態の照明装置は、照明装置本体101、リフレクタ102、フロントレンズ103、ランプ104、シェード105、点灯回路であるイグナイタl06およびバラスト107、外部接続端子108からなる。
照明装置本体101は、内部に半球状のリフレクタ102、光取り出し部分にはフロントレンズ103を備えている。リフレクタl02の略中央にはランプ104が配置され、光を効率よく取り出すとともに、配光を制御する。そして、ランプ104の前方には、配光特性の悪化を防止するためのシェード105が取り付けられている。
ランプ104は、イグナイタl06が有する開口部分にソケット6を嵌め込むことによって機械的、電気的に接続される。そして、イグナイタ106はリード線を介してバラスト107に接続され、さらに、バラスト107は、リード線を介して、自動車に電気的に接続するための外部接続端子108と接続される。
ここで、点灯回路について、図llの点灯回路について説明するための回路図を用いて説明する。点灯回路は、バラスト107とイグナイタ108とからなり、例えば、十数Vから数十Vの自動車用バッテリーである電源201から入力された電力を、ランプ104に入力する。
バラスト107は、DC-DCコンバータ202、電圧検出回路203、電流検出回路204、比較回路205、DC-ACインバータ206を有する。DC-DCコンバータ202は、主としてスイッチング素子、トランス、ダイオード等を有する昇圧チョッパ回路で構成され、その入力側には電源201が接続され、出力側には複数のスイッチング素子を有するブリッジ回路からなるDC-ACインバータ206が接続されている。DC-DCコンバータ202と、DC-ACインバータ206の間には、電圧検出回路203が並列的に、電流検出回路204が直列的に接続されている。なお、これらの検出回路はDC-DCコンバータ202の出力を制御するために設けられているので、フィードバック回路として比較回路205が出力側に接続され、比較回路205の出力は、DC-DCコンバータ202のスイッチング素子のベースに入力されるように接続される。
イグナイタ106は、コンデンサやコイルトランスを有し、入力側はDC-ACインバータ206と接続され、出力側はランプ104と接続される。
次に、この回路の動作を説明する。電源201からの電力は、DC-DCコンバータ202によって昇圧され、その出力値は電圧検出回路203および電流検出回路204によって検出される。検出された結果は、比較回路205によってDC-DCコンバータ202のスイッチング素子にフィードバックされ、出力の調整が行なわれる。所望の電力値等に制御された後は、DC-ACインバータ206によって交流に変換され、イグナイタ106に入力される。イグナイタ106では、ランプ104の絶縁破壊電圧である15kV以上の電圧が印加できるようコンデンサによって電荷が蓄積され、十分な値になると一気にランプ104に電圧がかかり、絶縁破壊する。以後は、ランプ104の光束の立ち上がりをはやめるべく、約70Wの電力を数秒間かけ続け、その後は定格電力に徐々に近づける電力制御がされる。
したがって、本実施の形態では、長時間ちらつきが発生しにくい照明装置を
提供することができる。
本発明の第1の実施例であるメタルハライドランプの全体構成を示す側面図。 図1に示される電極の拡大側面図。 図1に示される電極の拡大正面図。 図1のメタルハライドランプの一部拡大図。 本発明の電極上部の突起の有無による良品率を説明するための表。 図4における、ちらつき発生していない状態の基準を説明するための図。 図4における、ちらつきが発生している状態の基準を説明するための図。 本発明のメタルハライドランプにおける電極の酸化トリウム含有量と照度維持率との関係について説明するための表。 図6−Aの表をグラフ化した図。 本発明の第2の実施例について説明するための電極の拡大図。 本発明の第3の実施例について説明するための電極の拡大側面図。 本発明の第3の実施例について説明するための電極の拡大正面図。 本発明のメタルハライドランプについて、電極上下部の突起の有無とちらつき良品率との関係について説明するための表。 本発明の第4の実施例に係る照明装置の構造を説明するための概略構成図。 本発明の第4の実施例に用いられる点灯回路を説明するためのブロック図。
符号の説明
1気密容器
11発光管部
121、122封止部
13放電空間
21、22金属箔
31、32電極
311、321第1の突起
312、322第2の突起
41、42外部リード線
5外管
6ソケット
71金属バンド
72舌片
81給電端子
82絶縁チューブ

Claims (9)

  1. 放電空間を形成する発光管部、該発光管部の両端に形成された封止部とを有する透光性の気密容器と、前記放電空間に封入された金属ハロゲン化物および希ガスからなり、本質的に水銀不含の放電媒体と、基端側は前記封止部内で封着され、先端側は前記放電空間内で対向配置された一対の電極とを具備するメタルハライドランプにおいて、
    前記一対の電極は電子放出物質を含むタングステンからなる電極であり、これらの電極の少なくとも一方には、その先端部の点灯中にアークが形成される位置に第1の突起が形成されていることを特徴とするメタルハライドランプ。
  2. 前記電極に含まれる電子放出物質の重量比は、0.1重量%以上、1.2重量%以下であることを特徴とする請求項1記載のメタルハライドランプ。
  3. 前記電子放出物質は、酸化トリウムであることを特徴とする請求項2に記載のメタルハライドランプ。
  4. 前記第1の突起は、その大きさが前記電極の先端部の直径に対して20%以下であり、前記電極の先端部の上部に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のメタルハライドランプ。
  5. 前記第1の突起は、前記電極を構成する材料と実質的に同じ材料により形成されていることを特徴とする請求項4に記載のメタルハライドランプ。
  6. 前記第1の突起は、前記一対の電極の両方の電極に対して形成され、前記放電空間内における第1の突起間の距離である電極間距離は5mm以下であることを特徴とする請求項5に記載のメタルハライドランプ。
  7. 前記電極間距離は、3.5mm乃至5.0mmであることを特徴とする請求項6に記載のメタルハライドランプ。
  8. 前記電極には、その先端の下部に第2の突起が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のメタルハライドランプ。
  9. 照明装置本体と、この照明装置本体内に配置されたメタルハライドランプと、前記メタルハライドランプに電気的に接続された点灯回路とを具備し、前記メタルハライドランプは、前記請求項1乃至8のいずれかに記載のメタルハライドランプであることを特徴とすることを特徴とする照明装置。
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